JP2005193565A - 排液処理装置およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電した微粒子を濃縮して吐出するインクジェット記録において、連続記録を行う場合でも、帯電した微粒子の濃縮、および吐出状態が安定しており、高画質な画像を安定して形成することが可能なインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドにインクを供給するとともに、インクジェットヘッドからインクを回収するインク循環手段とを有するインクジェット記録装置において、前記インク循環手段により回収されたインク中から溶媒を回収する排液処理手段を設けたことを特徴とする装置。さらに、インクに含まれる帯電した微粒子の粒径分布を狭める粒径分布減少手段を備え、これからの排液を処理するようにしてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電界を利用して、帯電した微粒子を含むインクを吐出させ記録を行うインクジェット記録の技術分野に属し、より具体的には、使用済みの上記インクから微粒子を除去して、溶媒の再利用を図るとともに排液量を減少させることを可能とした排液処理装置およびインクジェット記録装置に関する。
静電式インクジェット記録方式は、帯電した微粒子を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドのインクノズル(貫通孔)周辺に設置された制御電極に所定の駆動電圧を印加することにより、静電力を利用してインク滴の吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式である。
例えば、特許文献1には、記録媒体に対向して設けられ、絶縁性支持基板の両側に第1および第2の制御電極を有し、かつ、これらの第1および第2の制御電極と絶縁性支持基板を貫通して設けられた少なくとも1つの貫通孔を有する制御基板と、この制御基板の貫通孔内にインクを供給すると共に前記第2の制御電極に接触するように配置された多孔質体を有するインク供給手段と、前記第1の制御電極と第2の制御電極との間に、画像信号に応じた信号電圧を印加する信号電圧印加手段とを備えるインクジェット記録装置が開示されている。
このインクジェット記録装置においては、前述の制御電極にバイアス電圧が印加され、このバイアス電圧に重畳して制御電極に信号電圧を印加することによって、プラス帯電色剤粒子が前述の貫通孔内のインク面に移動し、これが一定以上になるとインク面に作用する静電力がインク表面張力より増加するため、インク面を破って高濃度の帯電色剤粒子を吐出する。
そして、上述のインクジェット記録装置においては、このように、高濃度の帯電色剤粒子を吐出することにより、にじみが少ない画像を形成することが可能となり、微細な記録画点を記録媒体上に形成でき、高解像度の記録が容易となり、さらに、記録媒体によらず解像度の高い画像を形成することが可能となるとしている。
特許第3288279号公報
しかしながら、特許文献1に開示のインクジェット記録装置では、後述するように、帯電色剤粒子の濃縮が不安定になる、また、吐出状態が不安定になる場合がある。特に、連続記録を行う場合には、この傾向が顕著になる。
これに対して本出願人は、特願2003−331986号「インクジェット記録装置」により、連続記録を行う場合でも、荷電色剤粒子等の帯電した微粒子の濃縮、および吐出状態が安定しており、高画質な画像を安定して形成することが可能なインクジェット記録装置を提案している。
本発明は、上述の特願2003−331986号「インクジェット記録装置」において提案した、荷電色剤粒子等の帯電した微粒子の濃縮、および吐出状態を安定させるための粒径分布減少処理に加えて、溶媒の再利用を図るとともに排液量を減少させることを可能とした排液処理装置およびインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る排液処理装置は、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから排出される、溶媒中に帯電した色剤粒子を含むインクから、電気泳動を利用して前記インク中の前記色剤粒子を除去し、溶媒を回収することを特徴とする。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、画像信号に基づき、記録媒体上に、溶媒中に帯電した色剤粒子を含むインクに静電力を作用させて、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドに前記インクを供給するとともに、前記インクジェットヘッドからインクを回収するインク循環手段とを有するインクジェット記録装置において、前記インク循環手段により回収されるインクからインク溶媒を回収する排液処理手段を設けたことを特徴とするものである。
ここで、前記排液処理手段としては、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから排出される、溶媒中に帯電した色剤粒子を含むインクから、電気泳動を利用して前記インク中の前記色剤粒子を除去し、溶媒を回収する手段を用いることが好ましい。
また、本発明に係るインクジェット記録装置においては、前記各手段に加えて、前記インクに含まれる帯電した微粒子の粒径分布を狭める粒径分布減少手段を有することが好ましい。また、この粒径分布減少手段から排出された処理液から、電気泳動を利用して前記インク中の前記色剤粒子を除去することが好ましい。なお、前記排液処理手段により回収された溶媒は、これを再利用することが好ましい。
前述の、本出願人による特願2003−331986号「インクジェット記録装置」の明細書において詳述したように、本発明者の検討結果によれば、従来のインクジェット記録装置においては、帯電色剤粒子の濃縮,吐出状態が不安定になる場合があり、特に、連続記録を行う場合には、この傾向が顕著になるという問題が生じていたのは、インク中に含有される色剤粒子には種々の粒径のものが含まれていることに起因していた。すなわち、粒径の大きな粒子は吐出性および濃縮性が高く、粒径の小さな粒子は吐出性および濃縮性が低いため、両者が含まれたインクを用いて記録を行うと、粒径の大きな粒子が先に吐出されてしまい、インク循環系を流れるインク中には、粒径の小さな粒子が多くなる方向になる。
すなわち、インク中の色剤粒子の粒径分布が変化していき、粒径の小さい側にシフトする。しかしながら、この粒径の小さな粒子は、吐出し難いが、仮に吐出できたとしても、濃縮しにくいために、結果として、滲みの多い画像しか形成できず、良好な画像記録ができないことになる。すなわち、本発明者は、インク中の色剤粒子の粒径分布の変化が原因で、インク中の色剤粒子の濃縮が不安定になり、また、インク滴の吐出状態が不安定になることが画像劣化を招くことを見出したのである。
このような問題は、含有色剤粒子の粒径が均一に揃ったインクを使用することによって防ぐことができるが、このような色剤粒子の粒径が均一なインクは、非常に高価であるという別の問題があり、さらに、インク中に含有させる色剤粒子として、たとえ、粒径が均一に揃った粒子を使用したとしても、インクがインク流路を循環中に、流路との接触等により、含有色剤粒子が欠けたり割れたりすることにより、粒径の小さな粒子になってしまい、同様の問題が現われることになるという問題もあった。
本発明者は、記録中にインクジェットヘッドに供給されるインク中の色剤粒子の粒径分布をより一定にするためには、循環しているインク中から、粒径が小さな粒子を逐次除去することが効果的であることを見出し、前述の、特願2003−331986号「インクジェット記録装置」の発明に至ったものである。
本発明においては、この考え方をさらに進めて、主として、廃棄対象であった、インク中から除去した粒径が小さな粒子を含む溶媒(希釈液)を再利用可能とするために、インク中の粒子を効率的に除去する排液処理装置を実現するとともに、この排液処理装置を装備したインクジェット記録装置を実現したものである。
以上は、本発明に至る経過の概要である。
本発明によれば、連続記録を行った場合でも、頻繁なインク交換を行うことなく、帯電した微粒子の濃縮、および、吐出状態を安定させることができ、高画質な描画を記録媒体を選ぶことなく行うことが可能となるばかりでなく、濃縮の結果生じる粒径が小さな粒子を含む溶媒(希釈液)の再利用を図るとともに、排液量を減少させることを可能とした、ランニングコストおよび環境への影響についても優れたインクジェット記録技術を実現することができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の静電式インクジェット記録装置を詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る静電式インクジェット記録装置の概略全体構成を示す模式図である。同図に示す静電式インクジェット記録装置10は、静電力により、帯電した微粒子を含むインクの吐出を制御し、記録媒体(記録用紙)P上に単色印刷をしてモノクローム画像を記録するもので、記録媒体Pの保持手段12、搬送手段14、記録手段16、インク循環手段18、溶媒回収手段20および筐体22を備えている。
記録媒体Pの保持手段12は、記録前の記録媒体Pを保持する給紙トレイ24と、フィードローラ26と、記録後の記録媒体Pを保持する排出トレイ28とを備えている。
給紙トレイ24は、その先端部が給紙トレイ24の装着部(図中筐体22の左側下部)の内部に挿入され、装着部の所定位置に着脱可能なものである。給紙トレイ24が装着部に完全に装着された状態では、その挿入方向の先端部が装着部の奥端部に接触し、給紙トレイ24の後端部は筐体22の外部に突出した状態で装着される。また、フィードローラ26は、給紙トレイ24の装着部の奥部近傍に配置されている。
給紙トレイ24内には、記録前の記録媒体Pが複数枚積層されてストックされる。画像の記録時には、フィードローラ26により、記録媒体Pが給紙トレイ24から1枚ずつ取り出され、記録媒体Pの搬送手段14に供給される。
排出トレイ28は、記録媒体Pの排出部(図中筐体22の左側中央部)の近傍に、その先端部側(記録媒体Pの搬送方向側)が筐体22の外部に位置し、その後端部側が筐体22の内部に位置するように配設されている。また、排出トレイ28は、その先端部が後端部よりも低くなるように、所定の傾斜角度で配設されている。
記録後の記録媒体Pは、搬送手段14により搬送されて排出部から排出され、排出トレイ28内に順次積層されてストックされる。
搬送手段14は、記録媒体Pを静電吸着し、給紙トレイ24から排出トレイ28まで所定の経路に沿って搬送するためのものであり、搬送ローラ対30と、搬送ベルト32と、ベルトローラ34a、34b、34cと、導電性プラテン36と、記録媒体Pの帯電装置38および除電装置40と、分離爪42と、ガイド44と、定着ローラ対46とを備えている。
搬送ローラ対30は、記録媒体Pの搬送経路上の、フィードローラ26と搬送ベルト32との間の位置に設けられている。
フィードローラ26により給紙トレイ24から取り出された記録媒体Pは、この搬送ローラ対30により挟持搬送され、搬送ベルト32上の所定の位置に供給される。
記録媒体Pの帯電装置38は、スコロトロン帯電器38aと、負の高圧電源38bとを備えている。スコロトロン帯電器38aは、記録媒体Pの搬送経路上の、搬送ローラ対30と記録手段16との間の位置で、搬送ローラ対30により、記録媒体Pが供給される位置の搬送ベルト32の表面に対向する位置に配置されている。また、負の高圧電源38bの負側の端子は、スコロトロン帯電器38aに接続され、その正側の端子は接地されている。
記録媒体Pの表面は、負の高圧電源38bに接続されたスコロトロン帯電器38aにより所定の負の高電位に均一に帯電され、常に一定のDCバイアス電圧(例えば、約−1.5kV)が印加された状態となる。これにより、記録媒体Pは、搬送ベルト32の絶縁性を有する表面上に静電吸着される。
搬送ベルト32はエンドレスベルトであり、3つのベルトローラ34a、34b、34cによって三角形状に張架されている。また、記録手段16に対向する位置にある搬送ベルト32の内側には、平板状の導電性プラテン36が配置されている。
搬送ベルト32は、記録媒体Pが静電吸着される側の面(表面)が絶縁性、ベルトローラ34a、34b、34cと接触する側の面(裏面)が導電性のものである。ベルトローラ34bは接地されており、従って、搬送ベルト32の裏面を介してベルトローラ34a、34cおよび導電性プラテン36も接地される。これにより、記録手段16に対向する位置の搬送ベルト32は、インクジェットヘッドの対向電極として機能する。
ベルトローラ34a、34b、34cのうちの少なくとも1つは図示されていない駆動源に接続されており、記録時には、所定の速度で回転駆動される。これにより、搬送ベルト32は、記録時に図中の矢印方向に移動される。従って、記録媒体Pは、搬送ベルト32の移動とともに移動され、記録手段16に対向しつつ搬送される。
記録媒体Pの除電装置40は、コロトロン除電器40aと、高圧電源40bとを備えている。コロトロン除電器40aは、記録媒体Pの搬送経路上の、記録手段16と分離爪42との間の位置で、記録後の記録媒体Pが搬送される位置の搬送ベルト32の表面に対向する位置に配置されている。また、高圧電源40bの一端はコロトロン除電器40aに接続され、他端は接地されている。
記録後の記録媒体Pは、高圧電源40bに接続されたコロトロン帯電器40aにより除電される。これにより、記録媒体Pは、搬送ベルト32から分離されやすくなる。
また、分離爪42、ガイド44および定着ローラ対46は、記録媒体Pの搬送経路上の除電装置40の下流側にこの順に配置されている。
除電装置40により除電された記録媒体Pは、分離爪42により搬送ベルト32上から分離され、ガイド44に沿って定着ローラ対46に供給される。定着ローラ対46は、ヒートローラを備えるローラ対であり、記録媒体Pは、定着ローラ対46により挟持搬送されつつ、その上に記録された画像は、接触加熱され定着される。定着後の記録媒体Pは排出部から排出され、排出トレイ28内に順次積層されてストックされる。
続いて、記録媒体Pの記録手段16について説明する。
記録手段16は、静電力により、記録媒体P上に単色印刷をしてモノクローム画像を記録するものであり、ヘッドユニット48と、ヘッドドライバ50と、記録媒体Pの位置検出装置52とを備えている。
図4は、ヘッドユニット48の構成を示す拡大斜視図であり、図中矢印X方向が搬送ベルト32の搬送方向である。
ヘッドユニット48は、記録ヘッド70、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74、サブタンク位置調節機構(供給サブタンク側76、回収・廃棄サブタンク側78)、駆動手段82、ガイドレール84a、ガイドレール84b、支持部材86を備えている。
ガイドレール84aおよびガイドレール84bは、搬送ベルト32の搬送方向(矢印X方向)に直交する方向に所定間隔離間して平行に配置されている。
駆動手段82は、図示されていないモータにより駆動されるボールねじなどであり、ガイドレール84aおよびガイドレール84bの間に配置されている。
支持部材86はガイドレール84a、ガイドレール84bおよび駆動手段82に支持され、駆動手段82によりガイドレール84aおよび84bに沿って、搬送ベルトの搬送方向(矢印X方向)に直交する方向に移動される。また、支持部材86は板状の形状で有しており、その上には、記録ヘッド70、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74、サブタンク位置調節機構(供給サブタンク側76、回収・廃棄サブタンク側78)が配置されている。
支持部材上に配置されたサブタンク位置調節機構(供給サブタンク側76、回収・廃棄サブタンク側78)は、それぞれがインク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74を支持している。また、それぞれモータ76a、78aを備えており、モータを駆動させ、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74を鉛直方向(矢印X方向)に移動させる。
ここで、サブタンク位置調節機構76、78は、ボールねじ76b、78bをモータ76a、78aにより駆動する方式のものを用いることができるが、これに限定されず、他の方式による位置調整機構が各種利用できる。なお、サブタンクの位置は、基本的に頻繁に変更するものではないので、手動で調整するように構成してもよい。
また、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74およびインク供給管58、インク回収管60、溶媒回収管62については、後段のインク循環手段20の説明の項で詳細に説明する。
記録ヘッド70は支持部材86上に固定されており、モノクローム画像を記録するための、例えばブラック(B)の単色のインクジェットヘッドを備えている。
ここで、静電式インクジェットヘッドの具体的なヘッドの構造を図5〜図7に示す。周知の通り、静電式インクジェット方式は、記録ヘッド70で用いる帯電した色剤粒子を含むインクの吐出を、静電力により制御する方式である。
図5は、図4に示した記録ヘッド70で使用される静電式インクジェットヘッドの一実施形態の概略構成を示す模式的部分斜視図である。また、図6(a)は、図5に示す静電式インクジェットヘッド100の模式的断面図であり、図6(b)は、図6(a)のV−V線矢視図である。また、図7(a)、(b)および(c)は、それぞれ図6(b)のA−A線、B−B線およびC−C線矢視図である。
ここで、本発明で用いるインクQ(インク組成物)は、色剤粒子(色剤を含み、かつ、帯電した微粒子)をキャリア液に分散してなるものである。
また、インクQ中には、色剤粒子とともに、印刷後の画像の定着性を向上させるための分散樹脂粒子を、適宜、含有させてもよい。
キャリア液は、高い電気抵抗率(10Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。電気抵抗率の低いキャリア液の電気抵抗が低いと、後述する吐出電極によって印加される電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまうため、色剤粒子の濃縮が起こらない。また、電気抵抗率の低いキャリア液は、隣接する吐出部間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため、本発明には不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色剤粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このような誘電性液体の固有電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。誘電性液体の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン(株)製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色剤粒子は、色剤自身を色剤粒子としてキャリア液中に分散させてもよく、定着性を向上させるための分散樹脂粒子中に含有させてもよい。分散樹脂粒子中に含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色剤としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
インクQにおいて、色剤粒子の含有量(色剤粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色剤粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均−な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド100等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
色剤として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なしに用いることができる。
色剤として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
また、キャリア液に分散された色剤粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色剤粒子をキャリア液に分散させた後、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色剤粒子を荷電して、荷電した色剤粒子をキャリア液に分散してなるインクQとする。なお、着色微粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色剤粒子は、後述する吐出電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色剤粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、色剤粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクQの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
本発明に使用するインクは基本的に以上のようなものである。
図5〜図7に示す静電式インクジェットヘッド100は、上記のような、帯電された顔料等の色剤粒子成分(例えば、トナー等)を含むインクQを静電力により吐出させて、画像データに応じて画像を画像記録媒体P(以下、単に、記録媒体Pとする)上に記録するものである。
図5および図6に示すように、静電式インクジェットヘッド(以下、単に、インクジェットヘッドという)100は、吐出口基板102と、ヘッド基板104と、インクガイド106とを備えている。吐出口基板102は、絶縁性基板108と、この絶縁性基板108の図中下面の第2吐出電極112と、第2吐出電極112の下方の絶縁層116aと、絶縁性基板108の図中上面の第1吐出電極110と、その上方の絶縁層116b、ガード電極114および絶縁層116cとから構成されている。第1吐出電極110および第2吐出電極112は、それぞれに画像信号に応じた信号電圧を出力する制御手段(図示されていない)に接続されている。また、ヘッド基板104の内部には浮遊導電板120が配置されている。また、インクジェットヘッド100は、対向電極となる記録媒体Pを支持する搬送ベルト32(図3参照)と対向するように配置されている。
図示例のインクジェットヘッド100においては、インクガイド106は、突状先端部分106aを持つ所定厚みのセラミック製平板からなり、先端部分106aが基部106b上に形成され、基部106bがヘッド基板104(浮遊導電板120)の上に配置されている。また、吐出口基板102には、インクガイド106の配置に対応する位置に吐出口となる貫通孔118が開孔されている。インクガイド106は、吐出口基板102に開孔された貫通孔118を通過し、その先端部分106aが吐出口基板102の記録媒体P側の最表面(絶縁層116cの図中上側の表面)よりも上部に突出している。なお、インクガイド106の中央部分には、インクQおよびインクQ内の色剤粒子成分の先端部分106aへの濃縮を促進するために、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分106aに集めるインク案内溝となる切り欠きを形成してもよい。
なお、インクガイド106の先端部分106aの側は、対向電極側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。なお、インクガイド106の、インクQが吐出される先端部分(最先端部)106aには、金属が蒸着されているのが好ましい。なお、インクガイド106の先端部分106aの金属蒸着はされていなくてもよいが、この金属蒸着により、インクガイド106の先端部分106aの誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせやすくできるという効果がある。なお、インクガイド106の形状は、インクQ、特に、インクQ内の色剤粒子成分を吐出口基板102の貫通孔118を通って先端部分106aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分106aは、突状でなくてもよいなど適宜変更してもよいし、従来公知の形状とすることができる。
ヘッド基板104と吐出口基板102とは、所定間隔離間して配置されており、両者の間には、インクガイド106にインクQを供給するためのインクリザーバ(インク室)として機能するインク流路124が形成されている。なお、インク流路124内のインクQは、第1吐出電極110および第2吐出電極112に印加される電圧と同極性に帯電した色剤粒子成分を含み、記録時には、後述するインク循環手段によって、所定方向(図6に示す例では、インク流路124内の矢印a方向、すなわち右側から左側)へ向かって所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。以下、インク中の色剤粒子が正帯電している場合を例に挙げて説明を行う。
第1吐出電極110および第2吐出電極112は、それぞれ、絶縁性基板108を挟んで図中上面および下面に、絶縁性基板108に開孔された貫通孔118の周囲を囲むように、吐出部毎にリング状に設けられた円形電極である。また、インクジェットヘッド100は、さらに、第2吐出電極112の下方(下面)を覆う絶縁層116aと、第1吐出電極110の上方に絶縁層116bを介して配置されるシート状のガード電極114と、ガード電極114の上面を覆う絶縁層116cとを備えている。
図5に示すように、行方向(主走査方向)に配置された複数の第1吐出電極110は相互に接続され、列方向(副走査方向)に配置された複数の第2吐出電極112は相互に接続される。
なお、第1吐出電極110および第2吐出電極112は、リング状の円形電極に限定されず、インクガイド106に臨むように配置される電極であれば、囲繞電極あるいは平行電極等、どのような形状であってもよい。例えば、略円形であっても、分割円形電極であっても、平行電極または略平行電極であってもよい。
前述の制御手段は、第1吐出電極110および第2吐出電極112に接続され、第1吐出電極110および第2吐出電極112のそれぞれに、画像信号に応じた信号電圧を印加するもので、信号電圧源等を有している。この制御手段による第1吐出電極110および第2吐出電極112の駆動方法については、後に詳述する。
また、貫通孔118は、絶縁性基板108の下方の116aならびに上方の絶縁層116bおよび116cをも貫通して穿孔されている。すなわち、貫通孔118は、絶縁層116a、絶縁性基板108ならびに絶縁層116bおよび66cの積層体(吐出口基板102)を貫通する。また、この貫通孔118には、絶縁層116a側からインクガイド106が挿入され、インクガイド106の先端部分106aは、絶縁層116cから突出している。
ガード電極114は、第1吐出電極110の図6中上側、すなわち記録媒体P側(図3参照)に、絶縁層116bを介して配置されており、ガード電極114の表面は絶縁層116cで覆われている。ガード電極114は、隣接する第1吐出電極110の間に配置され、所定の一定電圧が印加されて、隣接する吐出電極の吐出部となるインクガイド106の間に生じる電界干渉を抑制するためのものである。図示例においては、ガード電極114は接地され、0Vとされている。また、ガード電極114は、金属板などの各吐出部に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出部毎の貫通孔118の周囲に形成された第1吐出電極110または第2吐出電極112に相当する開口部が穿孔されている。
また、第1吐出電極110または第2吐出電極112からのインク流路124方向への反発電界を遮蔽するために、第1吐出電極110および第2吐出電極112の流路側にシールド電極を適宜設置し、後述するように、インク中の色剤粒子成分を吐出口基板102側へ泳動させるために、シールド電極と浮遊導電板間に電圧を印加してもよい。
浮遊導電板120は、インク流路124の下方に配置され、電気的に絶縁状態(ハイインピーダンス状態)となっている。図6に示す例では、ヘッド基板104の上面に配置されている。なお、本発明においては、浮遊導電板120は、インク流路124の下方であれば、どこに配置しても良く、例えば、ヘッド基板104の内部または下方であってもよいし、吐出電極(第1吐出電極110または第2吐出電極112)の位置よりもインク流路124の上流側で、かつヘッド基板104の内部に配置するようにしてもよい。
この浮遊導電板120は、画像の記録時に、吐出電極に印加された電圧値に応じて、誘起された誘導電圧が発生し、インク流路124内のインクQにおいて、その色剤粒子成分を吐出口基板102側へ泳動させて濃縮させるためのものである。従って、浮遊導電板120は、インク流路124よりもヘッド基板104側に配置される必要がある。また、浮遊導電板120は、吐出電極の位置よりもインク流路124の上流側に配置される方が好ましい。
この浮遊導電板120により、インク流路124内の上層の色剤粒子成分の濃度が高められるため、吐出口基板102の貫通孔118を通過するインクQ内の色剤粒子成分の濃度を所定濃度に高めることができ、インクガイド106の先端部分106aに濃縮させて、インク液滴として吐出させるインクQ内の色剤粒子成分の濃度を所定濃度に安定させることができる。
また、浮遊導電板120を配置することにより、稼動チャンネル数に応じて誘導電圧が変化するため、浮遊導電板120への電圧を制御しなくても、吐出に必要な色剤粒子を供給するため、目詰まりを防止することができる。なお、浮遊導電板120に電源を接続して、所定の電圧を印加するようにしてもよい。
浮遊導電板120は、ヘッド1ユニットにつき1個以上である。例えば、フルカラー印刷の場合において、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(B)の4つのヘッドユニットがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個づつ有し、ヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない。
静電式インクジェットヘッド100は、基本的に以上のように構成される。
以下、同じく図5〜図7を参照して、静電式インクジェットヘッド100の作用を説明する。
上記のように構成されるインクジェットヘッド100においては、先端部分106aの近傍と負帯電された記録媒体Pの間に生じている静電界によって、インクQが、インク流路124から貫通孔118を通過して先端部分106aに供給され、先端部分106aにおいてインクメニスカスが形成される。そして、先端部分106aの近傍には、静電力により、インクQ中の正帯電している色剤粒子が濃縮される。
制御手段によって、第1吐出電極110および第2吐出電極112に、画像信号に応じて所定の正の電圧が印加されると、正帯電している色剤粒子が先端部分106aで濃縮されたインクQは、所定サイズのインク滴として吐出され、インクジェットヘッド100に対向する位置に配置された図示されてない記録媒体Pに引き寄せられて飛翔し、記録媒体Pの所定位置に着弾して画像を形成する。
次に、第1吐出電極110および第2吐出電極112の駆動形態の例について詳細に説明する。
上述したように、インクジェットヘッド100において、行方向(主走査方向)に配置された複数の第1吐出電極110は相互に接続され、列方向(副走査方向)に配置された複数の第2吐出電極112は相互に接続されている。そして、第1吐出電極110および第2吐出電極112は、2層電極構造に構成され、マトリクス状に配置されている。
記録時には、本実施形態の場合、第1吐出電極110が1行ずつ順番に高電圧レベルまたはハイインピーダンス状態(オン状態)とされ、残りの全ての第1吐出電極110は接地レベル(接地状態:オフ状態)に駆動される。また、第2吐出電極112が、画像データに応じて列単位で高電圧レベルまたは接地レベルに駆動される。これにより、各々の吐出部におけるインクの吐出/非吐出が制御される。
すなわち、第1吐出電極110が高電圧レベルまたはフローティング状態で、かつ第2吐出電極112が高電圧レベルの場合にはインクが吐出し、第1吐出電極110または第2吐出電極112の一方が接地レベルの場合にはインクは吐出しない。
なお、別の実施形態として、第1吐出電極110および第2吐出電極112を逆の状態に駆動してもよい。
なお、本実施形態において、第1吐出電極110および第2吐出電極112に、画像信号に応じてパルス電圧を印加し、両電極ともに高電圧レベルとなったときに、インク吐出を行うようにしてもよい。
例えば、インクジェットヘッド100において、インクQ中の色剤粒子成分の帯電は正極(+)である、すなわち正帯電色剤粒子であるとしたとき、インクジェットヘッド100のインク流路124内にインクQを矢印a方向に循環させ、吐出部のインクガイド106の先端部分106aから吐出されたインクQ(インク液滴)中の正帯電色剤粒子が記録媒体Pに引き付けられるような電界、すなわち飛翔電界を第1吐出電極110および第2吐出電極112と、記録媒体Pとの間に形成する。例えば、インクガイド106の先端部分106aと記録媒体Pとの間の間隔(ギャップ)は、200〜1000μmとされるが、ギャップが500μmのときに、1kV〜2.5kVの電位差を設けることにより、飛翔電界を形成する。
さらに、浮遊導電板120には、第1吐出電極110または第2吐出電極112に印加された平均電圧により、この平均電圧より低い電圧の誘導電圧がほぼ定常的に生じるため、インクリザーバとして機能するインク流路124内のインクQ中の正帯電色剤粒子が上方に引き付けられるような電界(以下、例えば、泳動電界とする)を形成し、インク流路124の上部にインクQ中の正帯電色剤粒子を偏在させる。例えば、インク流路124の厚み数mmに対して数百V程度の電位差を設けて、泳動電界を形成する。
例えば、記録媒体Pを−1.5kVの負の高電圧に帯電させ(または、対向電極(搬送ベルト32または記録媒体P)を−1.5kVにバイアスし)、第1吐出電極110および第2吐出電極112を共に0V(接地状態)として、飛翔電界を形成し、ガード電極114は0V(接地状態)とする。
このとき、インクQは、電気泳動現象および毛細管現象によって、インク流路124から貫通孔118とインクガイド106の間を上昇し、先端部分106aに集まり、インクメニスカスを形成する。先端部分106aに集まったインクQは、先端部分106aで、またはインクQの表面張力等で押し留められ、インクQ中の正帯電色剤粒子は、高濃度化する。
次に、画像信号に応じて、第1吐出電極110および第2吐出電極112にパルス状の駆動電圧、例えば、共に+400〜600Vを印加し、正帯電色剤粒子濃度の高まったインク液滴がインクガイド106の先端部分106aから吐出される。例えば、インクQの初期粒子濃度が3〜15%の場合、吐出インク液滴の粒子濃度は30%以上であるのが好ましい。なお、パルス状の駆動電圧のパルス幅は、特に制限的ではないが、例えば、数十μs〜数百μsとすることができる。また、記録媒体Pに記録されるドット径は、パルス電圧の大きさまたは印加時間に依存する。
なお、本実施形態に係るインクジェットヘッド100においては、第1吐出電極110または第2吐出電極112のどちらで、または両方で、インク吐出/非吐出の制御を行うかは特に制限的ではないが、第1吐出電極110または第2吐出電極112の一方が接地レベルの場合にはインクQが吐出せず、第1吐出電極110がハイインピーダンス状態または高電圧レベルで、かつ第2吐出電極112が高電圧レベルの場合にだけ、インクQが吐出するようにするのがよい。
ところで、本実施形態に係るインクジェットヘッド100においては、図示例のように、ガード電極114を隣接する第1吐出電極110の間に設けているが、本発明はこれに限定されず、第1吐出電極110および第2吐出電極112をマトリックス駆動する場合には、例えば、下層の第2吐出電極112を1列毎に順次駆動し、画像データに応じて、上層の第1吐出電極110を駆動するようにする場合には、第1吐出電極110の各行の間にのみガード電極を設けるようにしてもよい。このような場合にも、記録時にガード電極114を所定のガード電位、例えば接地レベル等にバイアスすることにより、隣接する吐出部の電界の影響を排除することができる。
また、第1吐出電極110および第2吐出電極112を駆動するとき、上層の第1吐出電極110の行を順次オンし、画像データに応じて、下層の第2吐出電極112をオン/オフした場合、すなわち、行列の並びを逆にした場合、第2吐出電極112が画像データに応じて駆動されるため、列方向のそれぞれの吐出電極を中心として、その両側の吐出電極は、高電圧レベルまたは接地レベルに頻繁に変化する。
しかし、行方向は、第1吐出電極110の1行毎に駆動され、行方向のそれぞれの吐出電極を中心として、その両側の吐出電極の第1吐出電極110は常に接地レベルになるため、この両側の吐出電極の行がガード電極の役割を果す。このように、上層の第1吐出電極110で各行を順次オンし、画像データに応じて下層の第2吐出電極112を駆動する場合には、ガード電極を設けなくとも、隣接する吐出電極の影響を排除し、記録品質を向上させることができる。
なお、2層電極構造の吐出電極を持つ静電式インクジェットヘッドの本実施形態では、対向電極(記録媒体P)を例えば−2.1Vに帯電し、第1吐出電極および第2吐出電極の何れか一方または両方が負の高電圧(例えば−600V)のときにはインクが吐出せず、第1吐出電極および第2吐出電極の両方が接地レベル(0V)の場合にだけインクが吐出するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、各吐出部に第1吐出電極110および第2吐出電極112を備えた2層電極構造とし、上述した各駆動方式によってインクジェットヘッドの安定した駆動を可能としているが、本発明のインクジェットヘッドはこれには限定されず、吐出電極を単層電極構造とすることもできるし、3層以上の電極構造としてもよい。
本発明のインクジェットヘッド100は、基本的に以上のようなものである。
ここで、図4に示す記録ヘッド70においては、インクジェットヘッド100の吐出部の配列方向は、記録媒体Pの搬送方向と略並行に配置されている。
本実施形態では、ガイドレール84a、84bに沿って、記録ヘッド70を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に主走査しながら吐出を行い、その後に記録媒体Pを一定量のみ搬送することを繰り返すシリアルスキャンを行うことで記録を行う。
また、それぞれのインクジェットヘッドは、そのインクの吐出部が、導電性プラテン36が配置された位置の、搬送ベルト32の表面に対向する位置に、搬送ベルト32上に静電吸着されて搬送されてくる記録媒体Pの表面と所定の一定間隔となるように配置されている。
記録媒体Pの位置検出装置52は、フォトセンサ等の従来公知の位置検出手段であり、記録媒体Pの搬送経路上の、帯電装置38とインクジェットヘッド(記録ヘッド)70との間の位置で、記録媒体Pが搬送される搬送ベルト32の表面に対向する位置に配置されている。
位置検出装置52により記録媒体Pの位置が検出され、その位置情報はヘッドドライバ50に供給される。このヘッドドライバ50は、筐体22内部の図中右面に取り付けられており、ヘッドユニット48の記録ヘッド70と接続されている。
ヘッドドライバ50には、外部装置から画像データが入力され、位置検出装置52から記録媒体Pの位置情報が入力される。ヘッドドライバ50の制御により、記録媒体Pの位置情報に従って、記録ヘッド70のインクジェット100(図5〜図7参照)の吐出タイミングが制御されつつ、画像データに応じて各色の吐出ヘッドから各色のインクが吐出され、記録媒体P上には、画像データに対応したモノクローム画像が記録される。
次に、インク循環手段18について説明する。
インク循環手段18は、インクタンク54、溶媒回収タンク56、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74、ポンプ(図示されていない)、インク供給流路58、インク回収流路60、溶媒回収流路62、インク流路80を備えている。
図3に示すように、インクタンク54とヘッドユニット48(インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74)とは、インク供給流路58、およびインク回収流路60を介して接続され、溶媒回収タンク56とヘッドユニット48(インク回収・廃棄サブタンク74)とは、溶媒回収流路62を介して接続されている。
インクタンク54内には、帯電微粒子(色剤粒子)と、これを分散させる分散溶媒とを含むインクが保持されている。インクタンク54内のインクは、ポンプにより、インクの供給流路58を介して、インク供給サブタンク72のタンクに供給される。
また、記録ヘッド70で使用されなかったインク(記録ヘッド70で吐出されなかった色剤粒子を含むインク)は、インク回収流路60を介して、インクタンク54に回収される。このようにインクは、循環されて、記録ヘッド70に供給される。
また、記録ヘッド70からインクが吐出されることにより、インク循環手段18で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環手段18は、図示されていないインク濃度検出器によってインク濃度を検出し、検出したインク濃度に応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つことが好ましい。
また、インクタンク54には、インクの固形成分の沈殿・濃縮を抑制するための攪拌装置や、インクの温度変化を抑制するためのインク温度管理装置が備えられることが好ましい。この理由は、温度管理をしないと、環境温度の変化等によりインク温度が変化して、インクの物性が変化することによりインク滴のドット径が変化し、高画質な画像が安定して形成できなくなる可能性があるからである。一方、攪拌装置としては、回転羽根、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御方法としては、記録ヘッド70、インクタンク54、インク配管等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、各種の温度センサ(サーモスタット等)により制御する公知の方法が使用できる。
溶媒回収タンク56は、溶媒回収流路62を介してインク回収・廃棄サブタンク74から廃棄されるインクを貯蔵する。また、溶媒回収タンク56は、取替え可能なカートリッジ式であることが好ましい。
次に、図4を参照して、記録ヘッド70まわりのインク循環手段を詳細に説明する。
図4に示すヘッドユニット48は前述のように、板状の支持部材86上に、記録ヘッド70、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74、並びにこれらのサブタンクを、支持部材86上で鉛直方向上下に移動させるためのサブタンク位置調整機構(供給サブタンク側76、回収・廃棄サブタンク側78)が配置されている。
インクタンク54との間には、インク供給流路58およびインク回収流路60が、また、記録ヘッド70との間には、インク供給流路58aおよびインク流路80が接続されている。インク回収流路60bは、インク供給サブタンク60からインクタンク54へのドレン配管を示しており、インク回収流路60aは、インク回収・廃棄サブタンク74からインクタンク54へのドレン配管を、また、溶媒回収流路62は、インク回収・廃棄サブタンク74から溶媒回収タンク56へのドレン配管を示している。
インク供給サブタンク72は、インクタンク54からインク供給流路58を介して供給されたインクを、インク供給流路58aを介して記録ヘッド70に供給する。ここで、インク供給サブタンク72に過剰に供給されたインクは静水圧を利用して、インク回収流路60bを通過し、インクタンク54に回収される。これによりインク供給サブタンク72のインク量は一定量に保たれる。
記録ヘッド70は、供給されたインクで記録を行い、記録ヘッド70で使用されなかったインクはインク流路80を介して、インク回収・廃棄サブタンク74に供給される。
インク回収・廃棄サブタンク74は供給されたインクを、インク回収流路60を介してインクタンク54に、溶媒回収流路62を介して溶媒回収タンク56に、それぞれ供給する。
ここで、インク供給サブタンク72、インク回収・廃棄サブタンク74はサブタンク位置調節機構76、78によって上下方向に移動することで記録ヘッド70にかかる圧力を調整する。
また、上述のように、インクタンク54に回収されたインクは循環され、再びインク供給流路58から記録ヘッド70に供給される。
本実施形態においては、上述のように、浮遊導電板を備え、また、記録媒体を所定電位に帯電させる等によって、貫通孔を通過するインク内の色剤粒子成分の濃度を高めるようにして、キャリア液に分散させた固形成分である色剤粒子に力を作用させて、飛翔させることにより、濃縮されたインク液滴を吐出することができる。
その結果、記録媒体上でのにじみが少なく、さらに、普通紙を初めとして、非吸収性のフィルム(例えばPETフィルム等)などの種々の記録媒体Pに画像を記録することができ、また、記録媒体P上で、滲みや流動を生じることなく、種々の記録媒体に対して、高画質な画像を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、図1に示すような、記録ヘッド70に供給されるインクの色剤粒子の粒径分布をより減少させ、所定の値に近づけるとともに、不要となる粒径が小さな粒子を含む溶媒(希釈液)を再利用するために、インク回収・廃棄サブタンク74に粒径分布減少手段75、および、図2に示すような、粒径分布減少手段75から排出される、粒径が所定粒径より小さい色剤粒子Pafを含む溶媒から色剤粒子Pafを除去して、溶媒を回収する排液処理手段130を設けている。
以下、図1に示す、粒径分布減少手段75および図2に示す排液処理手段130を備えるインク回収・廃棄サブタンク74について詳細に説明する。
まず、インク回収・廃棄サブタンク74は、粒径分布減少手段75、インク回収サブタンク92および溶媒回収サブタンク94で構成されている。
また、粒径分布減少手段75は、主管路80aと分岐管路80bおよび80cとからなるインク流路80、2枚の電極板88aおよび88bからなる平行電極88並びに電圧源90を備えている。
インク流路80は、主管路80aと主管路80aからY字形状に分岐された二つの分岐管路80bおよび80cを備えている。また、主管路80aの一端(分岐管路側と逆側)は、記録ヘッド70と接続されている(図4参照)。また、分岐管路80cは、溶媒回収サブタンク94に接続され、分岐管路80bは、インク回収サブタンク92に接続されている。また、インク回収サブタンク92はインク回収流路60aと接続され、インク供給サブタンクと同様に静水圧を利用して液面を一定化できるようになっている。溶媒回収サブタンク94は溶媒回収流路62と接続されており、インク回収サブタンク92と同様に、静水圧を利用して液面を一定化できるようになっている。
平行電極88は主管路80aを挟むように配置されており、ここでは、電圧印加側電極板88b(図中下側)は電極に電圧を印加する電圧源90と接続され、接地電極板88a(図中上側)は接地されている。すなわち、平行電極88は、主管路80aに電界(図1中に、矢印Eで示されている)を形成するものである。
ここで、電圧源90は、印加する電圧値を変化することのできる可変電圧源であることが好ましい。
前述のように、インクQは、記録ヘッド70から供給され、主管路80aから分岐管路80b、80cの方向へ流される。インクQが、平行電極88が配置されている部分まで移動すると、平行電極88によって形成される電界によって、流れているインクQ中の正帯電した色剤粒子Paには図中上方向の力(図1中の矢印E)が、電気泳動によって、図中上方向に移動するように作用する。この際、色剤粒子Paにかかる力は粒径(実際は質量)によって異なり、粒径の大きい色剤粒子Pacほど上方向にかかる力は大きくなり、電気泳動による下方向(平行電極88b方向)への移動量が大きくなる。
これにより、主管路80a内の色剤粒子Paの中から、粒径が所定粒径より大きい色剤粒子Pacを図中下側の分岐管路80bに、粒径が所定粒径より小さい色剤粒子Pafを図中上側の分岐管路80cに、分級することができる。
このように分級された分岐管路80bのインクQは、インク回収サブタンク92に供給され、分岐管路80cのインクQは、溶媒回収サブタンク94に供給される。
そして、前述のように、インク回収サブタンク92のインクQは、インク回収流路60aを介してインクタンク54に回収され、溶媒回収サブタンク94のインクQは、溶媒回収タンク56に廃棄される。
そして、このように、粒径分布減少手段75によって、吐出され難く、濃縮し難い粒径の小さい色剤粒子を除去することにより、長時間、連続記録を行った場合でも、粒径分布の揃ったばらつきの少ない色剤粒子を供給することが可能となるので、頻繁なインク交換を行う必要がなく、かつ記録媒体を選ぶことなく、安定して高画質な描画を行うことが可能になる。
さらに、本実施形態では、粒径分布減少手段75をインク回収・廃棄サブタンク74に配置したが、この配置位置は特に限定されず、インク供給流路58とインク供給サブタンク72間、記録ヘッド70の前後の流路等、どのような場所に配置してもよい。
また、粒径分布減少手段75をインクタンク54に直接接続してもよい。
さらに、本実施形態に係る静電式インクジェット記録装置においては、近年の環境重視の風潮に対処するため、および静電式インクジェット記録装置のランニングコストを低下させるために、従来は回収後、廃棄処分されていた微笑粒子を含む溶媒(希釈液)を、この微笑粒子を除去することで再利用可能にする手段、すなわち、図2に示す排液処理手段130を付加している。
以下、この排液処理手段130について説明する。
図2(a)は排液処理手段130の側面図、図2(b)は同上面図である。
図中、136は排液処理手段130の筐体、132は図示されていない軸により回転可能に軸支されているドラム型電極、134はこのドラム型電極の表面に付着(電着)した色剤粒子を掻き取るブレード、136aは筐体136の半円筒状の凹部とドラム型電極132との間に形成されているスリット状のインク流路を示している。
また、138a〜138cは、前述の主管路80aから分岐した粒径が所定粒径より小さい粒子を主に含むインクの流路である分岐管路80cからのインクを受け入れるインク導入チューブ、139a〜139cは、当排液処理手段130での微細粒子除去処理が終了した溶媒を排出するための溶媒排出チューブである。
なお、ここでは、インク導入チューブ138a〜138c、溶媒排出チューブ139a〜139cを、いずれも3本ずつで構成しているが、これはドラム型電極132の幅方向に均一にインクを流すために分散させる目的であり、この分散させる数は任意に決定してよく、スリット状等適宜形状を変えてもよいことはいうまでもない。
本実施形態に係る排液処理手段130において、ドラム型電極132は、少なくともその表面付近を導電性の材料(例えば、ステンレスやカーボン粒子を分散したフッ素樹脂等)により構成しておくことが好ましく、また、このドラム型電極132の表面に摺接して、ドラム型電極132の表面に付着(電着)した色剤粒子を掻き取るブレード134は、適度の弾性を有する耐食性材料(例えば、フッ素樹脂等)で攻勢することが好ましい。
なお、筐体136の接液部(主に、136a)や、インク導入チューブ138a〜138c、溶媒排出チューブ139a〜139cについても、耐食性を考慮した材料により構成することが好ましいことはいうまでもない。
上述のように構成された排液処理手段130を用いる本実施形態の静電式インクジェット記録装置においては、前述の粒径分布減少手段75における粒径分布減少処理の終了した、粒径が所定粒径より小さい粒子を主に含むインクの流路である分岐管路80cからのインクを、インク導入チューブ138a〜138cで受け入れ、このインク中から、粒径分布減少手段75におけると同様の電気泳動により、含有されている微細な粒子を除去するものである。
すなわち、図示されていない駆動手段により、所定の速度で矢印方向に回転するドラム型電極132に所定の負電圧を印加して、その表面に正帯電している色剤粒子を電着させてインク中から取り出し、ブレード134によって順次掻き取って液中から除去する。
微細粒子が除去されたインク(内容的には、ほとんど溶媒)は、溶媒排出チューブ139a〜139cから溶媒回収タンク56に送られる。
こうして溶媒回収タンク56に回収された溶媒は、供給路を介して、その粒子除去レベルに応じて、インクの希釈液として、あるいは、装置内の洗浄用溶媒等として、再利用される。
排液処理手段130により処理された回収溶媒をインクの希釈液として使用する際には、回収溶媒は図示されていない希釈液タンクに供給路を介して供給される。また、その際、溶媒回収タンク56は、図示されていない希釈液タンクで代用してもよい。
同様に、回収溶媒を洗浄液として再利用する際には、回収溶媒は図示されていない洗浄液タンクに供給路を介して供給され、この場合も、溶媒回収タンク56は、図示されていない希釈液タンクで代用してもよい。
なお、ブレード134により掻き取られた粒子は、適宜のタイミングで固形物の形で集められて、廃棄される。
本実施形態に係る粒径分布減少手段75、並びに排液処理手段130を用いることにより、高画質な描画を記録媒体を選ぶことなく行うことが可能となるばかりでなく、濃縮の結果生じる粒径が小さな粒子を含む溶媒の再利用を図るとともに、排液量を減少させることを可能とした、ランニングコストおよび環境への影響についても優れたインクジェット記録技術を実現することができる。
図8に、上述の粒径分布減少手段75に代わる、別の粒径分布減少手段140の概略構成を示す。
図8は、本実施形態に係る粒径分布減少手段140を含むインク回収・廃棄サブタンク74を示す拡大模式図である。本実施形態に係る粒径分布減少手段140の特徴は、この粒径分布減少手段140が設けられる部分においてインク流路80の主管路80aの上面を切り欠き開放状態として、ここに、分級用の電極の一方(粒子が吸引されるマイナス側電極)を回転式ベルト電極142としたものを対抗させて配置した点にある。
上記回転式ベルト電極142は、図示されていない駆動源に接続される2本のベルトローラ143a,143b間に掛け渡されており、矢印d方向に回転するように構成されている。また、上述の回転式ベルト電極142の上面には、後述する作用で回転式ベルト電極142の表面に付着した色剤粒子を掻き取るためのブレード144が設けられている。なお、このブレード144は、適度の弾性を有する耐食性材料(例えば、フッ素樹脂プレート等)で構成されることが好ましい。
前述の回転式ベルト電極142は、導電性を有する耐食性材料(例えば、ステンレスやカーボン粒子を分散させたフッ素樹脂等)で構成することが好ましい。回転式ベルト電極142をフッ素系樹脂以外の材料で構成した場合には、さらに、その表面に、付着した色剤粒子が剥離しやすくなるようにフッ素コーティングを施すことも好ましい。
なお、前述のように、本実施形態に係る粒径分布減少手段140においては、インク流路80の主管路80aの上面を切り欠き開放状態としているが、この主管路80aを流れるインクQの流速はそれほど速くはなく、また、インクQの表面張力も作用するため、インクQがこの開放部(実際には、回転式ベルト電極142の周辺部と主管路80aの切り欠き部周辺の隙間)から溢れ出るおそれはない。
また、粒径分布減少手段140の上記以外の部分については、先に図1を用いて説明した実施形態と同様の構成となっているので、同じ構成要素については同じ符号を付与することで、詳細な説明は省略する。
以下、上述のように構成される、本実施形態に係る粒径分布減少手段140の作用を説明する。
記録媒体Pへの記録が行われる際には、インクQは、インクタンク54からインク供給流路58、インク供給サブタンク72を介して、記録ヘッド70に供給される。記録ヘッド70で使用されなかったインクは、インク回収・廃棄サブタンク74に回収される。また、インク回収・廃棄サブタンク74の粒径分布減少手段140によって、インクQ内の色剤粒子Paは分級され、粒径が所定粒径より大きい色剤粒子Pacは、インク回収流路60を介してインクタンク54に戻される。一方、粒径が所定粒径より小さい色剤粒子Pafを含むインクは、上述の排液処理手段130に送られる。
この際、粒径分布減少手段140においては、電圧源90により電極板88bに所定の電圧を印加することにより、前述のような原理でインクQ中の色剤粒子の分級を行うが、本実施形態に係る粒径分布減少手段140においては、対向電極が回転式ベルト電極142で構成されているため、電界により付勢された色剤粒子がこの回転式ベルト電極142に付着(いわゆる、電着)した場合にも、この付着物を、前述のブレード144によって掻き取ることにより、回転式ベルト電極142の表面を常に好ましい状態に維持することができるようになっている。
すなわち、回転式ベルト電極142の表面に色剤粒子が付着した場合には、電極板88bとの間における電界強度が低下して、分級が十分に行われなくなるおそれがあるが、本実施形態に係る粒径分布減少手段140の場合には、ブレード144によって付着物を掻き取ることにより、このような事態になることを未然に防止し、安定した色剤粒子の分級を継続的に行うことができるという効果がある。
そして、これにより、記録ヘッド70に供給されるインク中の色剤粒子の粒径分布の変化が抑えられ、長時間、連続記録を行っても、色剤粒子の濃縮が安定して行われ、また、吐出状態も安定するため、高画質な記録を安定して行うことが可能になるという効果が得られる。
また、さらに、色剤粒子の粒径分布の変化が抑えられるので、頻繁なインク交換を行う必要もなく、さらに色剤粒子の粒径分布が大きい比較的安価なインクを使用しても、粒径分布を減少させ、より均一に揃えることができるので、高画質な記録を行うことが可能になるという効果も得られる。
なお、ブレード144によって回転式ベルト電極142の表面から掻き取られた付着物(色剤粒子)は、あまりたまらないうちに、適宜の方法で、インクQ中に戻してやることが好ましい。このためには、ブレード144を回転式ベルト電極142の下面(つまり、インクQ中)に配置して、付着が実質的には発生しないようにすることも好ましい。
上記実施形態に係る粒径分布減少手段140においては、分級用の電極の一方を上述のように回転式ベルト電極142としたことにより、電極表面への色剤粒子の付着を実質的に防止することが可能になるため、長期間にわたって安定したインクQの供給が可能になり、高画質な記録を安定して行うことが可能になるという効果が得られる。
図3に戻って、インクジェット記録装置の他の部分について補足説明を行う。
溶媒回収手段20は、記録ヘッド70から記録媒体P上に吐出されたインクから蒸発する分散溶媒や、画像の定着時にインクから蒸発する分散溶媒等を回収するもので、排出ファン64と、活性炭フィルタ66とを備えている。活性炭フィルタ66は、筐体22の上面(図中上側)の裏面に取り付けられ、排出ファン64は、活性炭フィルタ66の上に取り付けられている。
筐体22内部の分散溶媒成分を含む空気は、排出ファン64により、活性炭フィルタ66を介して筐体22の外部に排出される。その際、筐体22内部の空気中に含まれる分散溶媒成分は、活性炭フィルタ66によって吸着除去される。
以下、上述のように構成される本実施形態に係る静電式インクジェット記録装置10の特徴的な動作を説明する。
静電式インクジェット記録装置10では、画像の記録時に、給紙トレイ24に収納された記録媒体Pがフィードローラ26により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ対30により挟持搬送されて搬送ベルト32上の所定位置に供給される。
搬送ベルト32上に供給された記録媒体Pは、帯電装置38により負の高電位に帯電され、搬送ベルト32の表面に静電吸着される。
搬送ベルト32の表面に静電吸着された記録媒体Pは、搬送ベルト32の移動とともに所定の一定速度で移動されつつ、記録ヘッド70により、その表面に画像データに対応した画像が記録される。
画像記録後の記録媒体Pは、除電装置40により除電され、分離爪42により搬送ベルト32から分離され、ガイド44に沿って定着ローラ対46に供給される。そして、定着ローラ対46により挟持搬送されつつ、記録された画像が加熱定着され、排出トレイ28内に積層された状態でストックされる。
この際、インクQは、インクタンク54からインク供給流路58、インク供給サブタンク72を介して、記録ヘッド70に供給される。記録ヘッド70で使用されなかったインクは、インク回収・廃棄サブタンク74に回収される。また、インク回収・廃棄サブタンク74の粒径分布減少手段75によって、インクQ内の色剤粒子Paは分級され、所定以上の大きさの色剤粒子Pacは、インク回収流路60を介してインクタンク54に戻され、所定以下の大きさの色剤粒子Pafは、溶媒回収流路62から排液処理手段130へ送液される。
インクタンク54、インク供給流路58、インク回収流路60、またはヘッドユニット48内にインクの帯電微粒子濃度を検知する光学的手段、磁気的手段、電気的手段を配置し、微粒子を補充する手段を設ける。補充する手段としては検知結果に応じて、高濃度の微粒子分散液を供給する、荷電制御剤を含む高濃度インクを供給する、等が好適に行われる。また、インク分散媒の蒸発を考慮して分散媒も補充してもよい。これらの手段によって、インク濃度およびインク量が一定に保たれている。
このように、吐出されにくい粒径の小さい色剤粒子を分級して取り除くことにより、記録ヘッド70に供給されるインク中の色剤粒子の粒径分布の変化が抑えられる。これにより、長時間、連続記録を行っても、色剤粒子の濃縮が安定して行われ、また、吐出状態も安定するため、高画質な記録を安定して行うことが可能になるという効果が得られる。
また、色剤粒子の粒径分布の変化が抑えられるので、頻繁なインク交換を行う必要もなく、さらに色剤粒子の粒径分布が大きい比較的安価なインクを使用しても、粒径分布を減少させ、より均一に揃えることができるので、高画質な記録を行うことが可能になるという効果も得られる。
上述の例では、インク中の色剤粒子を正帯電させ、記録媒体あるいは記録媒体の背面の対向電極を負の高電圧にして、吐出したインクジェットによって画像記録を行うインクジェット式記録装置について説明したが、本発明はこれには限定されず、逆に、インク中の色剤粒子を負に帯電させ、記録媒体または対向電極を正の高電圧にして、インクジェットによる画像記録を行ってもよい。このように、色剤粒子の極性を上記の例と逆にする場合には、粒径分布除去手段の平行電極、静電吸着手段、対向電極、静電式インクジェットヘッドの吐出電極への印加電圧極性等を前述の例と逆にすればよい。
また、上記説明においては、いずれもモノクローム画像を記録する場合を礼に挙げたが、本発明はこれに限定されず、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M),イエロー(Y)、ブラック(B)の4色のフルカラー印刷を行うようにしてもよい。この場合には、ヘッドユニットを各色ごとに設けてもよく、また、1つの記録ヘッドに各色のインクジェットヘッドを設けてもよい。
また、本実施形態では、ヘッドユニットとしてシリアルヘッド型を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ラインヘッド型のヘッドユニット等、どのようなものを用いてもよい。
すなわち、上記各実施形態はいずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜の変更または改良を行ってもよいことはいうまでもない。
本発明の一実施形態に係る静電式インクジェット記録装置のインク回収・廃棄サブタンクの拡大模式図である。 一実施形態に係る静電式インクジェット記録装置の排液処理装置の模式図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。 一実施形態に係る静電式インクジェット記録装置の概略全体構成を示す模式図である。 一実施形態に係るヘッドユニットの拡大斜視図である。 一実施形態に係る静電式インクジェットヘッドの構成を示す模式的斜視図である。 (a)は、図5に示す静電式インクジェットヘッドの模式的断面図であり、(b)は、(a)のV−V線切断面図である。 (a)、(b)および(c)は、それぞれ図6(b)のA−A線、B−B線およびC−C線矢視図である。 一実施形態に係る静電式インクジェット記録装置のインク回収・廃棄サブタンクの拡大模式図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
12 保持手段
14 搬送手段
16 記録手段
18 インク循環手段
20 溶媒回収手段
22 筐体
24 給紙トレイ
26 フィードローラ
28 排出トレイ
30 搬送ローラ対
32 搬送ベルト
34 ベルトローラ
36 導電性プラテン
38 帯電装置
40 除電装置
42 分離爪
44 ガイド
46 定着ローラ対
48 ヘッドユニット
50 ヘッドドライバ
52 位置検出手段
54 インクタンク
56 溶媒回収タンク
58 インク供給流路
60 インク回収流路
62 溶媒回収流路
64 活性炭フィルタ
66 排気ファン
70 記録ヘッド
72 インク供給サブタンク
74 インク回収・廃棄サブタンク
75 粒径分布減少手段
76、78 サブタンク位置調節機構
80 インク流路
82 駆動手段
84a、84b カイドレール
86 支持部材
88、89 平行電極
90 電圧源
92 インク回収サブタンク
94 溶媒回収サブタンク
100 静電式インクジェットヘッド
102 吐出口基板
104 ヘッド基板
106 インクガイド
106a 先端部分
106b 基部
108 絶縁性基板
110 第1吐出電極
112 第2吐出電極
114 ガード電極
116a、116b、116c 絶縁層
118 貫通孔
120 浮遊導電板
124 インク流路
130 排液処理手段
132 回転式ドラム型電極
134 ブレード
136 筐体
138a〜138c インク導入チューブ
139a〜139c 溶媒排出チューブ
140 粒径分布減少手段
142 回転式ベルト電極
143a,143b ベルトローラ
144 ブレード
P 記録媒体
Q インク

Claims (5)

  1. インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから排出される、溶媒中に帯電した色剤粒子を含むインクから、電気泳動を利用して前記インク中の前記色剤粒子を除去し、溶媒を回収することを特徴とするインクジェット記録装置用の排液処理装置。
  2. 画像信号に基づき、記録媒体上に、溶媒中に帯電した色剤粒子を含むインクに静電力を作用させて、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、
    このインクジェットヘッドに前記インクを供給するとともに、前記インクジェットヘッドからインクを回収するインク循環手段とを有するインクジェット記録装置において、
    前記インク循環手段により回収されるインクから溶媒を回収する排液処理手段を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 前記排液処理手段が、電気泳動を利用して前記インク中の前記色剤粒子を除去し、溶媒を回収するものであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. さらに、前記インクに含まれる帯電した微粒子の粒径分布を狭める粒径分布減少手段を有することを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記排液処理手段により回収された溶媒を収容する溶媒回収タンクを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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JP2012143968A (ja) * 2011-01-12 2012-08-02 Seiko Epson Corp 廃液回収装置、および液体噴射装置
JP2014133321A (ja) * 2013-01-08 2014-07-24 Mimaki Engineering Co Ltd インクジェット記録装置

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