JP2005186383A - インクジェットヘッド、インクジェットヘッドアセンブリ及びそれを含んだインクジェットプリンタ - Google Patents

Abstract

【課題】 インク吐出面の平面度を向上させるとともにインクの着弾精度のバラツキを抑制する。
【解決手段】 インクジェットヘッド１は、ヘッド本体７０とリザーバユニット７１とプレート１５とを含んでなる。リザーバユニット７１の下方にはヘッド本体７０が接着されており、リザーバユニット７１の上方にはプレート１５が固定されている。プレート１５には、その長手方向に沿って配置されつつ、厚み方向に貫通した複数の貫通孔１８が形成されている。プレート１５のリザーバユニット７１と対向する面は、平坦な面とされており、その面とリザーバユニット７１の上面とが接触するようにボルト１９で固定されている。
【選択図】 図４

Description

本発明は、記録媒体にインクを吐出して印刷するインクジェットヘッド、複数のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッドアセンブリ及びそれを含んだインクジェットプリンタに関する。

特許文献１には、複数のノズルが直線上に配列されたインクジェットヘッドに３つの固定用のボルトでインクジェットヘッドの長手方向に沿ってプレートを取り付けるとともに、それらボルト間に複数の調整用のボルトを配置して、インクジェットヘッドが製造された時点で有している僅かな反りをそれら調整用のボルトで調整して修正する技術について記載されている。これによれば、インクジェットヘッドが製造された時点で有している僅かな反りを修正することで、インクジェットヘッドの長手方向に沿うノズル配列の直線性を矯正することができる。

特開平１０−１５１７４８号公報（段落７１〜７３、図８及び図１０）

しかしながら、特許文献１に記載の技術においては、インクジェットヘッドの一側面にプレートを取り付けてその側面をボルトで押し引きすることで、この側面と直交するインク吐出面に形成されたノズルを直線的に配列するように調整するものであるが、インク吐出面自体の有する反りや撓みを調整するものではない。つまり、依然としてインクジェットヘッドのインク吐出面の平坦度が低下し、ノズルと記録媒体との距離がばらつき、ノズルから吐出されるインクの着弾精度が低下するという問題がある。

そこで、本発明の目的は、インク吐出面の平面度を向上させるとともにインクの着弾精度のバラツキを抑制するインクジェットヘッド、インクジェットヘッドアセンブリ及びそれを含んだインクジェットプリンタを提供することである。

課題を解決するための手段及び発明の効果

本発明のインクジェットヘッドは、インクが吐出されるノズルが複数形成された長方形状のインク吐出面と、共通インク室と、前記共通インク室の出口から圧力室を経て前記ノズルに至る複数の個別インク流路とを含む流路ユニットと、前記流路ユニットの前記インク吐出面と反対側の面に固定されると共に、複数の前記圧力室の容積を変化させてインクに圧力を付与するアクチュエータユニットと、前記流路ユニットとともに前記アクチュエータユニットを間に挟むように前記流路ユニットの前記反対側の面に固定され、前記流路ユニットの前記共通インク室に供給されるインクを貯溜するインクリザーバを含むリザーバユニットと、平坦な一平面を有する基準プレートと、前記基準プレートの前記一平面と前記リザーバユニットの前記流路ユニットが固定された面と反対側にあって前記インク吐出面と平行な長方形状の面とが接触するように、前記リザーバユニットの長手方向に沿った複数箇所において前記基準プレートと前記リザーバユニットとを固定する固定手段とを備えている。

これにより、基準プレートの平坦な一平面にリザーバユニットを接触させることで、リザーバユニットと固定されている流路ユニットのインク吐出面も基準プレートの平坦な一平面に応じて平坦となる。そのため、インク吐出面の平面度が向上する。したがって、インク吐出面全体と記録媒体との距離がほぼ均一になり、記録媒体に対して吐出されたインクの着弾精度のバラツキが抑制される。

本発明において、前記固定手段が、前記基準プレートを貫くとともに前記リザーバユニットに螺合した複数のボルトを含んでおり、前記複数のボルトが、前記リザーバユニットの長手方向に沿って配置されていることが好ましい。これにより、インク吐出面全体の平面度を簡単な構成で向上させることができる。

また、このとき、前記複数のボルトが、前記リザーバユニットの長手方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。これにより、インク吐出面全体の平面度が均一になる。

また、このとき、前記アクチュエータユニットを複数備え、前記複数のアクチュエータユニットが、前記流路ユニットと前記リザーバユニットとの間に配置され、前記複数のノズルが、前記複数のアクチュエータユニットの各々の占有領域内に配置され、前記ボルトが、前記アクチュエータユニットの中央に対応した位置又は互いに隣り合う２つの前記アクチュエータユニットの間に対応した位置において前記リザーバユニットに螺合していてもよい。これにより、インク吐出面における複数のノズルが形成されている領域に対応する位置にボルトが螺合されるのでインク吐出面の特にノズルが形成されている領域の平面度を向上させることができ、限られたボルト本数で効果的に平面度を向上させることができる。

また、このとき、前記複数のアクチュエータユニットが、前記基準プレートの前記一平面と平行な面内において、前記長手方向に沿って千鳥状に配列されていてもよい。これにより、ボルトがリザーバユニットの長手方向に沿って千鳥状に配置されることになる。そのため、インク吐出面の長手方向のみならず短手方向においても平面度が均一になるインクジェットヘッドを得ることができる。

また、このとき、前記リザーバユニットの前記流路ユニットと対向する面には、前記複数のアクチュエータユニット間の領域に沿った前記長手方向と交差する方向に延設された凹形状のスリットが形成されていてもよい。これにより、スリットによってリザーバユニットの長手方向における強度が低下し、基準プレートの一平面に接触したときに一平面に沿うように撓みやすくなる。そのため、リザーバユニットの流路ユニットに対向する面の平面度が向上し、流路ユニットのインク吐出面も平面度が向上する。

また、本発明のインクジェットヘッドアセンブリは、上述したインクジェットヘッドのいずれかを複数備えていると共に、開口部が形成された枠体をさらに備えており、前記複数のインクジェットヘッドは、全ての前記インクジェットヘッドに係る前記ノズルが前記開口部内に位置するように前記枠体に支持されている。また、本発明は、別の観点では、上述したインクジェットヘッドのいずれかを複数備えていると共に、前記基準プレートに複数の前記インクジェットヘッドが固定されている。これにより、ユニット化されたインクジェットヘッドアセンブリを得られる。そのため、インクジェットヘッドアセンブリをインクジェットプリンタ本体に、簡単に組み付けることができ、作業性が向上する。

また、本発明のインクジェットプリンタは、上述したインクジェットヘッドアセンブリのいずれかを含んでいる。これにより、記録媒体に対して吐出されたインクの着弾精度のバラツキが抑制されたインクジェットプリンタになる。

以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。

図１は、本発明の第１の実施の形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。図１に示すインクジェットプリンタ１０１は、４つのインクジェットヘッド１を有するカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ１０１には、図中左方に給紙部１１１が、図中右方に排紙部１１２が、それぞれ構成されている。

インクジェットプリンタ１０１の内部には、給紙部１１１から排紙部１１２に向かって用紙が搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙部１１１のすぐ下流側には、記録媒体である用紙を挟持搬送する一対の送りローラ１０５ａ、１０５ｂが配置されている。一対の送りローラ１０５ａ、１０５ｂによって用紙は図中左方から右方へ送られる。用紙搬送経路の中間部には、二つのベルトローラ１０６、１０７と、両ローラ１０６、１０７間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト１０８とが配置されている。搬送ベルト１０８の外周面すなわち搬送面１０８ａにはシリコン処理が施され粘着性を有しており、一対の送りローラ１０５ａ、１０５ｂによって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト１０８の搬送面１０８ａの粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ１０６の図中時計回り（矢印１０４の方向）への回転駆動によって下流側（右方）に向けて搬送できるようになっている。

用紙のベルトローラ１０６に対する挿入及び排出位置には、押さえ部材１０９ａ、１０９ｂがそれぞれ配置されている。押さえ部材１０９ａ、１０９ｂは、搬送ベルト１０８上の用紙が搬送面１０８ａから浮かないように、搬送面１０８ａに用紙を押し付けて搬送面１０８ａ上に確実に粘着させるためのものである。

用紙搬送経路に沿って搬送ベルト１０８のすぐ下流側には、剥離機構１１０が設けられている。剥離機構１１０は、搬送ベルト１０８の搬送面１０８ａに粘着されている用紙を搬送面１０８ａから剥離して、右方の排紙部１１２へ向けて送るように構成されている。

４つのインクジェットヘッド１は、４色のインク（マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック）に対応して、用紙搬送方向に沿って４つ並べて設けられている。つまり、このプリンタ１０１は、ライン式プリンタである。インクジェットヘッド１は、平面視で用紙搬送方向（副走査方向）に垂直な長手方向（主走査方向）に長尺な細長い長方形状とされるとともに、その下端にヘッド本体７０（圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされたものである）を有している。これらヘッド本体７０の底面には、インクを下方に向けて吐出するための微小径の吐出ノズルが多数並べられて形成されており、この底面がインク吐出面となっている。以下、インクジェットヘッド１の底面を「ノズル面１ａ」と称する。

ヘッド本体７０は、ノズル面（インク吐出面）１ａと搬送ベルト１０８の搬送面１０８ａが平行となり、且つこれらの面の間に少量の隙間が形成されるように配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト１０８上を搬送される用紙が４つのヘッド本体７０のすぐ下方側を順に通過する際、この用紙の上面すなわち印刷面に向けてノズルから各色のインクが吐出されることで、用紙上に所望のカラー画像を形成できるようになっている。

インクジェットプリンタ１０１は、インクジェットヘッド１に対するメンテナンスを自動的に行うためのメンテナンスユニット１１７を有している。このメンテナンスユニット１１７には、４つのヘッド本体７０のノズル面１ａを覆うための４つのキャップ１１６や、図示せぬパージ機構などが設けられている。

メンテナンスユニット１１７は、インクジェットプリンタ１０１で印刷が行われているときには、給紙部１１１の直下方の位置（退避位置）に位置している。そして、印刷終了後に所定の条件が満たされたとき（例えば、印刷動作が行われない状態が所定の時間だけ継続したときや、プリンタ１０１の電源ＯＦＦ操作がされたとき）は、４つのヘッド本体７０の直ぐ下方の位置に移動して、この位置（キャップ位置）にて、キャップ１１６によってヘッド本体７０のノズル面１ａをそれぞれ覆い、ヘッド本体７０のノズル部分のインクの乾燥を防止するようになっている。

ベルトローラ１０６、１０７や搬送ベルト１０８は、シャーシ１１３によって支持されている。シャーシ１１３は、その下方に配置された円筒部材１１５上に載置されている。円筒部材１１５は、その中心から外れた位置に取り付けられた軸１１４を中心として回転可能となっている。そのため、軸１１４の回転に伴って円筒部材１１５の上端高さが変化すると、それに合わせてシャーシ１１３が昇降する。メンテナンスユニット１１７を退避位置からキャップ位置に移動させる際には、予め円筒部材１１５を適宜の角度回転させてシャーシ１１３、搬送ベルト１０８及びベルトローラ１０６、１０７を図１に示す位置から適宜の距離だけ下降させ、メンテナンスユニット１１７の移動のためのスペースを確保しておく必要がある。

搬送ベルト１０８によって囲まれた領域内には、インクジェットヘッド１と対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト１０８の下面と接触することによって内周側からこれを支持するほぼ直方体形状（搬送ベルト１０８と同程度の幅を有している）のガイド１１８が配置されている。

次に、本実施の形態によるインクジェットヘッド１がユニット化されたインクジェットヘッドアセンブリについて説明する。図２は、本実施の形態によるインクジェットヘッド１がフレーム３に取り付けられる状況を示す斜視図である。図２に示すようにインクジェットヘッド１は、内側にほぼ正方形形状に開口された開口部３ａと４隅に貫通孔３ｂとを有する枠状のフレーム（枠体）３の開口部３ａにヘッド本体７０が内在されるように配置される。４つのインクジェットヘッド１がその長手方向と直交する方向に順に隣接してフレーム３に並設され、ボルト１７（図４参照）でフレーム３に固定されることで、ユニット化されたインクジェットヘッドアセンブリ２が得られる。そして、図１に示すようにインクジェットヘッドアセンブリ２は、インクジェットプリンタ１０１の本体シャーシ１０２からインクジェットヘッドアセンブリ２に向かって突出した支持部１０３にフレーム３を載せるようにして配置されており、フレーム３の貫通孔３ｂで支持部１０３と図示しないネジで固定されている。なお、本体シャーシ１０２から突出した支持部１０３は、搬送面１０８ａと平行に突出しており、インクジェットヘッドアセンブリ２が支持部１０３に固定されたときに、プレート１５の下面が搬送面１０８ａと平行になるようにされている。

次に、本実施の形態によるインクジェットヘッド１の構造について、より詳細に説明する。図３は、本実施の形態によるインクジェットヘッド１を示しており、（ａ）はインクジェットヘッド１が上下逆さまに示された斜視図であり、（ｂ）は図３（ａ）のIIIＢ−IIIＢ線に沿った断面図であり、上下逆さまを正規の状態に戻して描いた図である。図３（ａ）、（ｂ）に示すようにインクジェットヘッド１は、用紙に対してインクを吐出するための主査方向に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体７０と、ヘッド本体７０の上面に配置され且つヘッド本体７０に供給されるインクを貯留するためのインクリザーバ１３が形成されたリザーバユニット７１と、リザーバユニット７１の上方に配置され且つリザーバユニット７１と対向する面がノズル面１ａ及び搬送面１０８ａと平行になる基準面を有するプレート（基準プレート）１５とを備えている。なお、この基準面は平坦な面に形成される。

ヘッド本体７０は、インク流路が形成された流路ユニット４と、流路ユニット４の上面に接着された複数のアクチュエータユニット２１とを含んでいる。これら流路ユニット４及びアクチュエータユニット２１は、共に複数の薄板を積層して互いに接着させた積層構造を有している。

リザーバユニット７１の下面においては、インクリザーバ１３に貯溜されたインクをヘッド本体７０に供給するための上部インク供給流路５１が下方に向かって突出しており、上部インク供給流路５１の下面開口部においてのみリザーバユニット７１の下面と流路ユニット４の上面とが接合している。そのため、リザーバユニット７１の上部インク供給流路５１以外の領域は、ヘッド本体７０から離隔しており、空間８５が形成されている。そして、空間８５にアクチュエータユニット２１が配されている。なお、リザーバユニット７１と流路ユニット４の接合面はプレート１５の基準面と平行である。また、アクチュエータユニット２１の上面には、給電部材であるＦＰＣ５０が電気的に接続されている。ＦＰＣ５０はアクチュエータユニット２１の副走査方向両側から外部に引き出されている。

リザーバユニット７１は、図１０に示されるように図示しないインクタンクからインク供給管を介してインク供給口５３に供給されるインクを、インク落込流路５５の落込口６３からインクリザーバ１３に流し込んで貯溜するとともに、貯溜したインクをリザーバユニット７１の副走査方向の両端部近傍に形成された複数の上部インク供給流路５１から流路ユニット４に形成された後述のマニホールド（共通インク室）５に連通する下部インク供給流路５２に供給するものである。なお、アクチュエータユニット２１に接続されたＦＰＣ５０は図示しない制御部に接続されており、その制御部から指令に基づいてインクジェットヘッド１の駆動が制御されている。

図３（ａ）に示すようにプレート１５は、ヘッド本体７０及びリザーバユニット７１とほぼ同じ幅を有すると共に、リザーバユニット７１の長手方向の長さよりも若干長い矩形平面形状を有している。プレート１５のリザーバユニット７１と対向しない部分であってプレート１５の長手方向の両端部には、厚み方向に貫通した孔１６が形成されている。プレート１５の下面であってリザーバユニット７１と接触する面は、凹凸及び反りのない平坦面とされている。

図４は、本実施の形態によるインクジェットヘッド１を示しており、（ａ）は側面図であり、（ｂ）は上面図である。なお、図４（ｂ）においてはヘッド本体７０の平面を破線で示している。図４（ａ）、（ｂ）に示すようにプレート１５のリザーバユニット７１と対向する領域には、複数の貫通孔１８が形成されている。これら複数の貫通孔１８はその中心がプレート１５の長手方向に沿う中心線１４上に重なるように且つ等間隔に配列されている。プレート１５のリザーバユニット７１と対向する領域の両端部近傍に形成された貫通孔１８以外の貫通孔１８の中心は、後述するように千鳥状に配置された複数のアクチュエータユニット２１の間の領域と重なるように配置されている。また、これら貫通孔１８は図４（ａ）に示すように、リザーバユニット７１の上面に形成されたネジ孔部７５全体と重なるように配置されており、貫通孔１８の径はネジ孔部７５の径よりも若干大きく形成される。そして、複数の貫通孔１８のそれぞれにボルト１９が挿通され、ボルト１９がネジ孔部７５に螺合されることで、プレート１５の下面とリザーバユニット７１の上面全体とが密着するように固定される。

また、プレート１５のリザーバユニット７１と対向する領域であって、図４（ａ）、（ｂ）中において左端部近傍には、インク供給口５３全体と重なる貫通孔２０が形成されている。この貫通孔２０は、インク供給口５３に接続される図示しないインク供給管が内在可能なようにインク供給口５３よりも若干大きい直径を有している。

次に、ヘッド本体７０の構造について詳細に説明する。図５は、図３に示したヘッド本体７０の平面図である。図６は、図５の一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。図５及び図６に示すように、ヘッド本体７０は、圧力室群９を構成する多数の圧力室１０やノズル８が形成された流路ユニット４を有している。流路ユニット４の上面には、千鳥状になって２列に配列された複数の台形のアクチュエータユニット２１が接着されている。流路ユニット４の下面は、前述したノズル面１ａである。各アクチュエータユニット２１は、その平行対向辺（上辺及び下辺）が流路ユニット４の長手方向に沿うように配置されるとともに、隣接するアクチュエータユニット２１の斜辺同士が、流路ユニット４の幅方向（短手方向）にオーバーラップしている。

流路ユニット４のノズル面１ａのうちのアクチュエータユニット２１の接着領域に対向した領域は、ノズル８が密集して配置されたインク吐出領域となっている。図６に示すように、インク吐出領域の表面には、多数のノズル８が密集してマトリクス状に多数配列されている。１つのノズル８に連通された圧力室１０もマトリクス状に配列されており、１つのアクチュエータユニット２１の接着領域に対向した流路ユニット４の上面に存在する複数の圧力室１０が、１つの圧力室群９を構成している。

また、各ノズル８は、先細形状のノズルとなっており、平面形状が略菱形の圧力室１０、及びアパーチャ１２を介してマニホールド（共通インク室）５の分岐流路である副マニホールド５ａと連通している。流路ユニット４の上面には、リザーバユニット７１の下面に設けられている上部インク供給流路５１と接合される開口部５ｂが複数形成されている。そして、リザーバユニット７１のインクが上部インク供給流路５１を介して開口部５ｂから副マニホールド５ａまでの下部インク供給流路５２に供給される。尚、図６において、図面を分かりやすくするために、アクチュエータユニット２１の下方にあって破線で描くべき圧力室１０（圧力室群９）、アパーチャ１２及びノズル８を実線で描いている。

次に、ヘッド本体７０の断面構造について説明する。図７は、図６のVII−VII線における断面図である。図８はヘッド本体７０の部分分解斜視図である。図７から分かるように、ノズル８は、圧力室１０及びアパーチャ１２を介して副マニホールド５ａと連通している。このようにして、ヘッド本体７０には、副マニホールド５ａの出口からアパーチャ１２、圧力室１０を経てノズル８に至る個別インク流路３２が各圧力室１０ごとに形成されている。

ヘッド本体７０は、図８からも分かるように、上から、アクチュエータユニット２１、キャビティプレート２２、ベースプレート２３、アパーチャプレート２４、サプライプレート２５、マニホールドプレート２６、２７、２８、カバープレート２９及びノズルプレート３０の合計１０枚のシート材が積層された積層構造を有している。これらのうち、アクチュエータユニット２１を除いた９枚の金属プレートから流路ユニット４が構成されている。なお、９枚の金属プレートは、ＳＵＳ３１６の同一の金属材料からなる。

アクチュエータユニット２１は、後で詳述するように、４枚の圧電シート４１〜４４（図９参照）が積層され且つ電極が配されることによってそのうちの最上層だけが電界印加時に活性層となる部分を有する層（以下、単に「活性層を有する層」というように記する）とされ、残り３層が非活性層とされたものである。キャビティプレート２２は、圧力室１０に対応するほぼ菱形の開口が多数設けられた金属プレートである。ベースプレート２３は、キャビティプレート２２の１つの圧力室１０について、圧力室１０とアパーチャ１２との連絡孔及び圧力室１０からノズル８への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。アパーチャプレート２４は、キャビティプレート２２の１つの圧力室１０について、２つの孔とその間を結ぶエッチング領域で形成されたアパーチャ１２のほかに圧力室１０からノズル８への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。サプライプレート２５は、キャビティプレート２２の１つの圧力室１０について、アパーチャ１２と副マニホールド５ａとの連絡孔及び圧力室１０からノズル８への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート２６、２７、２８は、積層時に互いに連結して副マニホールド５ａを構成する孔に加えて、キャビティプレート２２の１つの圧力室１０について、圧力室１０からノズル８への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。カバープレート２９は、キャビティプレート２２の１つの圧力室１０について、圧力室１０からノズル８への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。ノズルプレート３０は、キャビティプレート２２の１つの圧力室１０について、ノズル８がそれぞれ設けられた金属プレートである。

これら９枚の金属プレートは、図７に示すような個別インク流路３２が形成されるように、互いに位置合わせして積層される。この個別インク流路３２は、副マニホールド５ａからまず上方へ向かい、アパーチャ１２において水平に延在し、それからさらに上方に向かい、圧力室１０において再び水平に延在し、それからしばらくアパーチャ１２から離れる方向に斜め下方に向かってから垂直下方にノズル８へと向かう。

次に、流路ユニット４における最上層のキャビティプレート２２に積層された、アクチュエータユニット２１の構成について説明する。図９（ａ）はアクチュエータユニット２１と圧力室１０との部分拡大断面図であり、図９（ｂ）はアクチュエータユニット２１の表面に接着された個別電極の形状を示す平面図である。

図９（ａ）に示すように、アクチュエータユニット２１は、それぞれ厚みが１５μｍ程度で同じになるように形成された４枚の圧電シート４１、４２、４３、４４を含んでいる。これら圧電シート４１〜４４は、ヘッド本体７０内の１つのインク吐出領域内に形成された多数の圧力室１０に跨って配置されるように連続した層状の平板（連続平板層）となっている。圧電シート４１〜４４が連続平板層として多数の圧力室１０に跨って配置されることで、例えばスクリーン印刷技術を用いることにより圧電シート４１上に個別電極３５を高密度に配置することが可能となっている。そのため、個別電極３５に対応する位置に形成される圧力室１０をも高密度に配置することが可能となって、高解像度画像の印刷ができるようになる。圧電シート４１〜４４は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛（ＰＺＴ）系のセラミックス材料からなるものである。

最上層の圧電シート４１上には、個別電極３５が形成されている。最上層の圧電シート４１とその下側の圧電シート４２との間には、シート全面に形成された略２μｍの厚みの共通電極３４が介在している。なお、圧電シート４２と圧電シート４３との間及び圧電シート４３と圧電シート４４との間には、電極は配置されていない。これら個別電極３５及び共通電極３４は共に、例えばＡｇ−Ｐｄ系などの金属材料からなる。

個別電極３５は、略１μｍの厚みで、図９（ｂ）に示すように、図５に示した圧力室１０とほぼ相似である略菱形の平面形状を有している。略菱形の個別電極３５における鋭角部の一方は延出され、その先端に、個別電極３５と電気的に接続された、略１６０μｍの径を有する円形のランド部３６が設けられている。ランド部３６は、例えばガラスフリットを含む金からなり、図９（ａ）に示すように、個別電極３５における延出部表面上に接着されている。また、ランド部３６は、ＦＰＣ５０に設けられた接点と電気的に接合されている。

共通電極３４は、図示しない領域において接地されている。これにより、共通電極３４は、すべての圧力室１０に対応する領域において等しくグランド電位に保たれている。また、個別電極３５は、各圧力室１０に対応するものごとに電位を制御することができるように、各個別電極３５ごとに独立した別のリード線を含むＦＰＣ５０及びランド部３６を介して図示しない制御部に接続されている。

次に、アクチュエータユニット２１の駆動方法について述べる。アクチュエータユニット２１における圧電シート４１の分極方向はその厚み方向である。つまり、アクチュエータユニット２１は、上側（つまり、圧力室１０とは離れた）１枚の圧電シート４１を活性層が存在する層とし且つ下側（つまり、圧力室１０に近い）３枚の圧電シート４２〜４４を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。従って、個別電極３５を正又は負の所定電位とすると、例えば電界と分極とが同方向であれば圧電シート４１中の電極に挟まれた電界印加部分が活性層として働き、圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。一方、圧電シート４２〜４４は、電界の影響を受けないため自発的には縮まないので、上層の圧電シート４１と下層の圧電シート４２〜４４との間で、分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなり、圧電シート４１〜４４全体が非活性側に凸となるように変形しようとする（ユニモルフ変形）。このとき、図９（ａ）に示したように、圧電シート４１〜４４の下面は圧力室を区画するキャビティプレート２２の上面に固定されているので、結果的に圧電シート４１〜４４は圧力室側へ凸になるように変形する。このため、圧力室１０の容積が低下して、インクの圧力が上昇し、ノズル８からインクが吐出される。その後、個別電極３５を共通電極３４と同じ電位に戻すと、圧電シート４１〜４４は元の形状になって圧力室１０の容積が元の容積に戻るので、インクをマニホールド５側から吸い込む。

次に、リザーバユニット７１の構造について詳細に説明する。図１０は、本実施の形態によるインクジェットヘッド１のリザーバユニット及びその近傍部分の断面図である。図１１は、リザーバユニット７１の分解図であり、リザーバユニット７１を構成する各プレートの平面図を示している。

リザーバユニット７１は、図１０に示すように第１〜第５のプレート９１〜９５が積層された積層構造を有している。これら各プレート９１〜９５は主走査方向に延在した矩形状のプレートであり、前述した流路ユニット４を構成する金属材料と同じ金属材料からなる。そして、各プレート９１〜９５を互いに位置合わせして積層することにより、リザーバユニット７１内にインク落込流路５５、インクリザーバ１３、及び上部インク供給流路５１が構成される。インク落込流路５５の上流側の開口部にはインク供給口５３が、下流側の開口部には落込口６３が設けられている。インク供給口５３はリザーバユニット７１の上面端部に設けられており、落込口６３はインクリザーバ１３の中央に対向する位置に設けられている。インクリザーバ１３は、落込口６３を介してインク落込流路５５と連通している。また、インクリザーバ１３は１０個の上部インク供給流路５１と連通している。上部インク供給流路５１は、リザーバユニット７１の幅方向の両側に、主走査方向に沿って５つずつ形成されている。なお、図１０は断面図なので、リザーバユニット７１の幅方向の一方側に形成された上部インク供給流路５１及び下部インク供給流路５２が描かれている。

次に各プレートについて詳細に説明する。第１のプレート９１には、主走査方向における一端側の中央部近傍に円形の平面形状を有する孔４５が形成されている。孔４５の上面の開口部はインク供給口５３を構成する。また、第１のプレート９１には、主査方向に沿う中心線上であって、プレート１５の貫通孔１８と重なるように等間隔に配列された複数のネジ孔部７５が第１のプレート９１の厚み方向に貫通しないように形成されている。また、図１０に示すように第１のプレート９１は、プレート１５の厚みより小さい厚みを有している。

第２のプレート９２には、図１０及び図１１に示すように、孔４５と対向する位置から中央部まで主査方向に平行に延設され、厚み方向に貫通した長穴４６が形成されている。

第３のプレート９３には、中央部に円形の平面形状を有する孔６９が形成されている。孔６９の下流側の開口部が落込口６３を構成している。

第４のプレート９４には、中央に孔３１が形成されている。孔３１は第５のプレート９５の上部インク供給流路５１を構成する孔３３に対向する１０個の凸型の端部を有するものである。また、孔３１はインクリザーバ１３を構成するものである。

第５のプレート９５には、略円形の平面形状を有する１０個の孔３３が形成されている。孔３３は、第５のプレート９５の副走査方向の両側に、主走査方向に沿って５つずつ配置されている。また、孔３３は、主走査方向の両端に形成された孔３３が１つ、それ以外の孔３３が２つを単位として千鳥状になるように、且つ第５のプレート９５の中心点（主走査方向に関する中央）に対して点対称になるように配置されている。孔３３は上部インク供給流路５１を構成する。また、第５のプレート９５の流路ユニット４に対向する面には、凹部３７がハーフエッチングで形成されている。凹部３７は、図１１中に示す破線と第５のプレート９５の主査方向に沿う外形線とで囲まれた形状となっており、図１０に示すように第５のプレート９５が流路ユニット４の上面に積層されたときに、前述した空間８５を形成する。また、凹部３７は、副走査方向の外側に向かって開口している。

なお、第１〜第５のプレート９１〜９５が同じ金属材料からなることで、各プレート間に熱硬化性接着剤を塗布し、加熱・加圧接合したときに、プレート９１〜９５で構成されるリザーバユニット７１がその上面及び下面に対して垂直方向に反ることがなくなる。つまり、各プレート９１〜９５に同一金属材料を使用すると、各プレート９１〜９５の線膨張係数が同じになるので、加熱・加圧接合したときに各プレート９１〜９５の面方向への伸びが同じとなる。そのため、線膨張係数の違いで各プレート９１〜９５によって構成されたリザーバユニット７１が反るのを防ぐことができる。また、本実施の形態において、流路ユニット４とリザーバユニット７１とが金属プレートで構成されていることで、インクジェットヘッド１の耐久性が向上する。

次に、リザーバユニット７１における各インク流路について説明する。インク落込流路５５は、図示しないインクタンクからインク供給口５３を介して供給されるインクを、落込口６３を介してインクリザーバ１３に落し込むためのものである。インク供給口５３はリザーバユニット７１の主走査方向の一端部に形成されている。落込口６３はインクリザーバ１３の中心と対向する位置に形成されている。また、インク落込流路５５は、孔４５と長穴４６と孔６９で構成されており、インク供給口５３から落込口６３までのインク流路である。

インクリザーバ１３は、インクを貯溜するとともに貯溜したインクを上部インク供給流路５１に流し込むためのものであり、凸型の各端部において上部インク供給流路５１と連通している。インクリザーバ１３には、インクリザーバ１３の中央部から主走査方向の両端部近傍に形成されているインクリザーバ１３の２つの端部に向かって先細りになるようにメイン流路３８が形成されるとともに、メイン流路３８から分岐して副走査方向の端部に形成されている各端部に向かって先細りになるように８つのサブ流路３９が形成されている。上部インク供給流路５１と連通する各端部は、リザーバユニット７１の副走査方向の両側に、主走査方向に沿って５つずつ、且つ主走査方向の両端近傍に形成されたものが１つ、それ以外のものが２つを単位として千鳥状になるように形成されている。また、インクリザーバ１３は、落込口６３からインクを落し込まれる点となる主走査方向に関する中央に対して点対称となる平面形状を有している。

上部インク供給流路５１は、インクリザーバ１３から流し込まれたインクを流路ユニット４のマニホールド５に供給するためのものであり、上流側においてインクリザーバ１３と、下流側において下部インク供給流路５２を介してマニホールド５と連通している。上部インク供給流路５１は、インクリザーバ１３の端部と対向するように、リザーバユニット７１の副走査方向の両側に、主走査方向に沿って５つずつ且つ、主走査方向の両端近傍に形成されたものが１つ、それ以外のものが２つを単位として千鳥状になるように形成されている。つまり、上部インク供給流路５１の配置位置は、落込口６３からインクを落し込まれる点となる主走査方向に関する中央に対して点対称となる平面形状を有している。

次にリザーバユニット７１におけるインクの流れについて説明する。インクが図示しないインクタンクからリザーバユニット７１のインク供給口５３を介して垂直方向（リザーバユニット７１を構成する各プレート９１〜９５の積層方向）に流れを形成しつつ、インク落込流路５５に供給される。インク落込流路５５に供給されたインクは長穴４６に沿った水平方向（リザーバユニット７１を構成する各プレート９１〜９７の平面方向）に流れを形成し、そして、その流れを垂直方向に形成しつつ落込口６３を介してインクリザーバ１３の中心に落し込まれる。インクリザーバ１３の中心に落し込まれたインクは、インクリザーバ１３の中心からメイン流路３８の主走査方向の両端部と連通している上部インク供給流路５１に向かって流れる。メイン流路３８を流れるインクの一部はメイン流路３８から分岐する複数のサブ流路３９に沿ってサブ流路３９の端部と連通している各上部インク供給流路５１に向かって流れる。上部インク供給流路５１に到達したインクは上部インク供給流路５１を介して流路ユニット４の下部インク供給流路５２に流れ、そしてマニホールド５に供給される。

以上のような本実施の形態によるインクジェットヘッド１によると、プレート１５のリザーバユニット７１と対向する面（プレート１５の下面）が凹凸及び反りのない平坦面とされているので、プレート１５にボルト１９で固定されたリザーバユニット７１がプレート１５の下面に密着し、リザーバユニット７１上面及び下面が面方向に直交する方向に撓むことがなくなる。そのため、リザーバユニット７１に接着されている流路ユニット４の上面及び下面（ノズル面１ａ）もプレート１５の下面と平行となるように矯正されるので、ノズル面１ａの平面度が向上する。したがって、フレーム３をインクジェットプリンタ１０１の支持部１０３に固定した場合、ノズル面１ａと搬送面１０８ａまでの距離がほぼ均一となって、用紙に対して吐出されたインクの着弾精度のバラツキがなくなる。つまり、ノズル面にその面方向に直交する方向に僅かな撓みが生じていると、ノズルから搬送面までの距離がノズル毎に異なるので、搬送されてくる用紙に対して吐出されたインクの着弾精度にバラツキが生じるが、本発明においては、プレート１５によってノズル面１ａが撓みのない平坦面になるとともに、プレート１５はフレーム３を介して支持部１０３に固定されたときに、プレート１５の下面が搬送面１０８ａと平行になるようにされていることで、ノズル８から搬送面１０８ａまでの距離が各ノズル８毎に異ならずほぼ均一な距離となり、インクの着弾精度のバラツキがなくなる。

また、複数のボルト１９でプレート１５にリザーバユニット７１が固定されているので、ノズル面１ａの面方向に直交する方向の撓みを場所によらずなくすように調整しやすい。つまり、個々のボルト１９による締め付け量を調整するだけで、ノズル面１ａの撓みを矯正できる。そのため、ノズル面１ａ全体の平面度が効果的に向上する。また、複数のボルト１９が等間隔に配置されているので、ノズル面１ａの撓みがなくなってノズル面１ａの平面度が均一となる。

また、ボルト１９が複数のアクチュエータユニット２１間の領域に重なるように配置されているので、ノズル面１ａのインク吐出領域が効果的にプレート１５の下面に沿うようになる。そのため、ノズル面１ａのインク吐出領域と搬送面１０８ａの距離が均一となる。

本実施の形態におけるインクジェットヘッド１はフレーム３に固定されたインクジェットヘッドアセンブリ２として本体シャーシ１０２に固定されるので、簡単に組み付けることができ、作業性が向上する。また、インクジェットヘッドアセンブリ２が本体シャーシ１０２に固定されたときに、プレート１５の下面と搬送面１０８ａとが平行になるだけで、インクの着弾精度のバラツキが抑制されたインクジェットプリンタ１０１が得られる。

続いて、本発明の第２の実施の形態によるインクジェットヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。図１２は、本発明の第２の実施の形態によるインクジェットヘッドアセンブリ１２２の上下逆さまに示された斜視図である。図１３は、本発明の第２の実施の形態によるインクジェットヘッド１２１を示しており、（ａ）は図１２におけるＸIIIＡ−ＸIIIＡ線に沿った断面図であり、（ｂ）は平面図である。なお、図１３（ｂ）においてはヘッド本体の平面を破線で示している。また、前述したインクジェットヘッド１と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。

図１２に示すようにインクジェットアセンブリ１２２は、前述したヘッド本体７０とリザーバユニット１２４とを含んだインクジェットヘッド１２１が前述したプレート１５より平面積が大きく、ほぼ正方形形状を有するプレート１２３上に４つ固定されて構成されている。プレート１２３は、前述したプレート１５と同様にインクジェットヘッド１２１と対向する面（プレート１２３の下面）が凹凸及び反りのない平坦面（基準面）とされている。また、プレート１２３の４隅には、前述したインクジェットプリンタ１０１の本体シャーシ１０２から突出した支持部１０３にプレート１２３を載せた場合に、前述したフレーム３の貫通孔３ｂと同様に図示しないネジでプレート１２３と支持部１０３とを固定することが可能なように厚み方向に貫通した貫通孔１２３ａが設けられている。なお、このプレート１２３を支持部１０３に固定した場合においてもプレート１２３の下面（インクジェットヘッド１２１に対向する面）が搬送面１０８ａと平行となる。

図１３（ｂ）に示すようにプレート１２３には、インクジェットヘッド１２１のリザーバユニット１２４と対向する領域（図１３（ｂ）中破線で示す領域）１２８に複数の貫通孔１２６が形成されている。これら貫通孔１２６のうち、領域１２８における長手方向の両端部に形成された貫通孔１２６は領域１２８の長手方向に沿う中心線１２５上に貫通孔１２６の中心が重なるように配置されている。また、領域１２８の両端部に形成された貫通孔１２６を除く４つの貫通孔１２６は、図１３（ｂ）中破線で描くアクチュエータユニット２１のほぼ中心とそれら貫通孔１２６の中心とが重なるように配置されている。つまり、４つの貫通孔１２６は中心線１２５を境にして領域１２８の長手方向に沿って千鳥状に配置されている。

インクジェットヘッド１２１のリザーバユニット１２４は、前述したリザーバユニット７１とほぼ同じ構成となっているが、流路ユニット４と対向する面に複数のスリット１２９が形成されている点が異なっている。なお、リザーバユニット１２４に形成されたネジ孔部７５は、配置位置が異なるだけでその他は前述したリザーバユニット７１のネジ孔部７５と同じなので説明を省略する。

図１３（ａ）、（ｂ）に示すリザーバユニット１２４に形成されたスリット１２９は、流路ユニット４に向かって開口するように形成されており、流路ユニット４上で千鳥状に配置されたアクチュエータユニット２１の斜辺に沿うようにして延在されている。このようなリザーバユニット１２４を含むインクジェットヘッド１２１は、図１３（ａ）に示すようにプレート１２３の貫通孔１２６に挿通されたボルト１２７がネジ孔部７５に螺合されることでプレート１２３と固定されており、図１２に示すように４つ並設されている。こうして、固定手段としてのボルト１２７でプレート１２３の下面にリザーバユニット１２４の上面全体が密着する。

以上のような本実施の形態によるインクジェットヘッド１２１を含んだインクジェットヘッドアセンブリ１２２によると、プレート１２３が前述したプレート１５の下面と同様にリザーバユニット１２４と対向する面（プレート１２３の下面）が凹凸及び反りのない平坦面とされているので、プレート１２３にボルト１２７で固定されたリザーバユニット１２４がプレート１２３の下面に密着し、リザーバユニット１２４の上面及び下面が面方向に直交する方向に撓むことがなくなる。そのため、リザーバユニット１２４に接着されている流路ユニット４の上面及び下面（ノズル面１ａ）もその面方向に直交する方向に撓まなくなって平坦となり、ノズル面１ａの平面度が向上する。したがって、前述したインクジェットヘッド１と同様な効果を得ることができる。

また、ボルト１２７が複数のアクチュエータユニット２１の中心と重なるように配置されているので、ノズル面１ａのうちの特にアクチュエータユニット２１の接着領域に対向したインク吐出領域が効果的にプレート１２３の下面に沿うようになる。そのため、ノズル面１ａのインク吐出領域と搬送面１０８ａとの距離が均一となる。また、リザーバユニット１２４の流路ユニット４と対向する面に複数のスリット１２９が設けられているので、リザーバユニット１２４の長手方向において上下方向に撓みやすくなり、プレート１２３により密着しやすくなる。そのため、リザーバユニット１２４の下面の平面度が向上し、流路ユニット４のノズル面１ａも平面度が向上する。

また、流路ユニット４の上面に千鳥状に配置されたアクチュエータユニット２１の中心と貫通孔１２６の中心とが重なっているので、ボルト１２７の中心とも重なることになる。つまり、ボルト１２７がリザーバユニット１２４の長手方向に沿って千鳥状に配置されることになる。そのため、ノズル面１ａ全体の平面度が均一になるインクジェットヘッドを得ることになる。つまり、単にアクチュエータユニットを流路ユニットの長手方向に平行に１列に並設すると、流路ユニットの幅方向の一方に片寄った場合においては、ノズル面の幅方向での撓みがボルトで補正しきれなくなるが、本発明においては、千鳥状にアクチュエータユニット２１が配置され、且つボルト１２７もアクチュエータユニット２１の中心と重なるように千鳥状に配置されているので、リザーバユニット１２４及び流路ユニット４の幅方向での撓みも矯正することが可能になって、ノズル面１ａの平面度が非常に高いヘッドを得ることができる。

また、本実施の形態におけるインクジェットヘッド１２１がプレート１２３に４つ並設され、インクジェットヘッドアセンブリ１２２としてユニット化されているので、前述したインクジェットヘッドアセンブリ２と同様にインクジェットプリンタの本体シャーシに簡単に取り付けることが可能となって、作業性が向上する。

以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな設計変更が可能なものである。例えば、上述したリザーバユニット７１，１２４をプレート１５，１２３に固定する固定手段はボルト以外の固定手段であってもよく、例えば、リザーバユニット７１，１２４を構成する第１のプレートを他のプレートよりも長手方向に長くして、両端部でプレート１５，１２３と挟み込んでリザーバユニットとプレート１５，１２３とを固定してもよい。また、リザーバユニット７１，１２４とプレート１５，１２３とを固定するボルトは少なくともリザーバユニット７１，１２４の長手方向の両端部又は中央部に配置されていればよい。また、リザーバユニット１２４に形成されたスリット１２９は設けられていなくてもよい。

本発明の第１の実施の形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。 第１の実施の形態によるインクジェットヘッドがフレームに取り付けられる状況を示す斜視図である。 第１の実施の形態によるインクジェットヘッドを示しており、（ａ）はインクジェットヘッドが上下逆さまに示された斜視図であり、（ｂ）は図３（ａ）のIIIＢ−IIIＢ線に沿った断面図である。 第１の実施の形態によるインクジェットヘッドを示しており、（ａ）は側面図であり、（ｂ）は上面図である。 図３に示したヘッド本体の平面図である。 図５の一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。 図６のVII−VII線における断面図である。 図５に描かれたヘッド本体の部分分解斜視図である。 図６に描かれたアクチュエータユニットの部分断面図及び平面図である。 第１の実施の形態によるインクジェットヘッドのリザーバユニット及びその近傍部分の断面図である。 図３に示すリザーバユニットの分解図である。 本発明の第２の実施の形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットヘッドアセンブリの上下逆さまに示された斜視図である。 本発明の第２の実施の形態によるインクジェットヘッドを示しており、（ａ）は図１２におけるＸIIIＡ−ＸIIIＡ線に沿った断面図であり、（ｂ）は平面図である。

符号の説明

１，１２１ インクジェットヘッド
１ａ ノズル面（インク吐出面）
２，１２２ インクジェットヘッドアセンブリ
３ フレーム（枠体）
４ 流路ユニット
５ マニホールド（共通インク室）
８ ノズル
１０ 圧力室
１３ インクリザーバ
１５，１２３ プレート
１９，１２７ ボルト（固定手段）
３２ 個別インク流路
７０ ヘッド本体
７１ リザーバユニット
１０１ インクジェットプリンタ

Claims (10)

1. インクが吐出されるノズルが複数形成された長方形状のインク吐出面と、共通インク室と、前記共通インク室の出口から圧力室を経て前記ノズルに至る複数の個別インク流路とを含む流路ユニットと、
   前記流路ユニットの前記インク吐出面と反対側の面に固定されると共に、複数の前記圧力室の容積を変化させてインクに圧力を付与するアクチュエータユニットと、
   前記流路ユニットとともに前記アクチュエータユニットを間に挟むように前記流路ユニットの前記反対側の面に固定され、前記流路ユニットの前記共通インク室に供給されるインクを貯留するインクリザーバを含むリザーバユニットと、
   平坦な一平面を有する基準プレートと、
   前記基準プレートの前記一平面と前記リザーバユニットの前記流路ユニットが固定された面と反対側にあって前記インク吐出面と平行な長方形状の面とが接触するように、前記リザーバユニットの長手方向に沿った複数箇所において前記基準プレートと前記リザーバユニットとを固定する固定手段とを備えていることを特徴とするインクジェットヘッド。
2. 前記固定手段が、前記基準プレートを貫くとともに前記リザーバユニットに螺合した複数のボルトを含んでおり、
   前記複数のボルトが、前記リザーバユニットの長手方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項１に記載のインクジェットヘッド。
3. 前記複数のボルトが、前記リザーバユニットの長手方向に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする請求項２に記載のインクジェットヘッド。
4. 前記アクチュエータユニットを複数備え、
   前記複数のアクチュエータユニットが、前記流路ユニットと前記リザーバユニットとの間に配置され、
   前記複数のノズルが、前記複数のアクチュエータユニットの各々の占有領域内に配置され、
   前記ボルトが、前記アクチュエータユニットの中央に対応した位置において前記リザーバユニットに螺合していることを特徴とする請求項２又は３に記載のインクジェットヘッド。
5. 前記複数のアクチュエータユニットが、前記基準プレートの前記一平面と平行な面内において、前記長手方向に沿って千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項４に記載のインクジェットヘッド。
6. 前記アクチュエータユニットを複数備え、
   前記複数のアクチュエータユニットが、前記流路ユニットと前記リザーバユニットとの間に配置され、
   前記複数のノズルが、前記複数のアクチュエータユニットの各々の占有領域内に配置され、
   前記ボルトが、互いに隣り合う２つの前記アクチュエータユニットの間に対応した位置において前記リザーバユニットに螺合していることを特徴とする請求項２又は３に記載のインクジェットヘッド。
7. 前記リザーバユニットの前記流路ユニットと対向する面には、前記複数のアクチュエータユニット間の領域に沿った前記長手方向と交差する方向に延設された凹形状のスリットが形成されていることを特徴とする請求項４〜６のいずれか１項に記載のインクジェットヘッド。
8. 請求項１〜７のいずれか１項に記載されたインクジェットヘッドを複数備えていると共に、開口部が形成された枠体をさらに備えており、
   前記複数のインクジェットヘッドは、全ての前記インクジェットヘッドに係る前記ノズルが前記開口部内に位置するように前記枠体に支持されていることを特徴とするインクジェットヘッドアセンブリ。
9. 請求項１〜７のいずれか１項に記載されたインクジェットヘッドを複数備えていると共に、
   前記基準プレートに複数の前記インクジェットヘッドが固定されていることを特徴とするインクジェットヘッドアセンブリ。
10. 請求項８又は９に記載のインクジェットヘッドアセンブリを含むインクジェットプリンタ。

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