JP2005186111A - 鋼板の製造ライン及び製造方法 - Google Patents

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安正 一柳
Akira Onishi
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Abstract

【課題】 誘導加熱の消費電力量を抑えて加熱することにより、厚鋼板の温度ムラ、特に幅方向の温度ムラを減少させ、冷却後の放冷過程において良好な平坦度を有する鋼板を得ることが可能な、鋼板の製造ライン及び製造方法を提供する。
【解決手段】 冷却装置10と、誘導加熱装置50と、第一の形状矯正装置20とがこの順序で配置されている鋼板の製造ライン100において、冷却装置10と誘導加熱装置50との間に第二の形状矯正装置30を配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱間圧延後に冷却する厚鋼板を対象とし、冷却過程において平坦度が良好な厚鋼板を製造する製造ライン及び製造方法に関する。
厚鋼板の製造方法として、加工熱処理プロセスで鋼板を製造するケースが急増している。この技術を用いれば、合金の削減が可能で、コストを下げることができるばかりか、合金削減による溶接性向上等の効果があるため、特に造船用材料やラインパイプ鋼管用素材に適用されている。
ところが、上記プロセスには、冷却後の鋼板における平坦度悪化という大きな問題点がある。この平坦度悪化は、鋼板の温度ムラが主原因と考えられており、かかる温度ムラが小さければ、鋼板の平坦度は悪化しないことが知られている。温度ムラによる鋼板の平坦度不良には、幅方向温度差による幅方向反りや、長さ方向温度差による長さ方向の平坦度不良が挙げられるが、平坦度不良はこれらが複雑に絡み合って発生すると言われている。
温度ムラが生じる原因としては種々考えられる。例えば、熱間圧延後の平坦度が悪く、鋼板の平坦度が不良である状態のまま冷却したことに起因する温度ムラのほか、冷却装置の機能に起因する温度ムラ等を挙げることができる。
これまでに、これらの現象に対する防止策が検討されてきている。例えば、特許文献1には、前者の防止策として、冷却装置前にレベラーを設置し、熱間圧延後の鋼板の平坦度を矯正してから冷却をする方法が開示されている。また、特許文献2には、後者の防止策として、冷却装置と形状矯正装置の間に加熱装置を設置し、鋼板内の温度ムラを加熱装置で減少させた後に形状矯正を行う方法が開示されている。
特開昭54−124864号公報 特開昭61−212422号公報
しかし、特許文献1に開示されている方法では、冷却装置が原因の温度ムラを防ぐことはできないため、冷却後に形状矯正を行っても温度ムラがそのまま残り、その後の放冷過程で鋼板の平坦度が悪化するという問題点があった。また、特許文献2に開示されている方法では、形状矯正後の放冷中に発生する鋼板の平坦度不良を改善する為に、冷間レベラーやプレス矯正等による余分な工程を要するという問題点があった。
一方で、本発明者らは、温度ムラを有する鋼板を形状矯正装置により矯正し、鋼板の平坦度を矯正しても、形状矯正後の放冷過程において、鋼板内の温度ムラに起因する平坦度不良が発生するとの知見を有している。この知見に鑑みれば、特許文献2に開示されている方法は、温度ムラ自身をなくす方法であるため、放冷過程における平坦度向上には有効であるが、当該方法においては、従来技術における誘導加熱を用いるため、電力消費量が大きく、コストアップになるとの問題点があった。ここで、従来技術における誘導加熱とは、板厚、板幅等に関係なく鋼板内の温度ムラをなくす方向で加熱する方法をいう。
また、誘導加熱以外の加熱方法でも温度ムラを減少させることは可能であるが、例えば加熱炉方式では鋼板の加熱に多くの時間を要し、生産性が阻害されるので実用的ではない。
そこで、本発明は、かかる現状に鑑み、誘導加熱の消費電力量を抑えて加熱することにより、厚鋼板の温度ムラ、特に幅方向の温度ムラを減少させ、冷却後の放冷過程において良好な平坦度を有する鋼板を得ることが可能な、鋼板の製造ライン及び製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋼板に平坦度不良が起こる温度ムラ限界値を、板幅と板厚で整理したところ、「平坦度不良を起こす温度ムラ限界値」と「板幅/板厚」との間には、一定の関係があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成させるに至ったものである。
第一の本発明は、冷却装置と、誘導加熱装置と、第一の形状矯正装置とがこの順で配置されている鋼板の製造ラインにおいて、冷却装置と誘導加熱装置との間に第二の形状矯正装置が配置されていることを特徴とする鋼板の製造ラインにより、上記課題を解決しようとするものである。
かかる配置を採ることにより、冷却装置による冷却後において鋼板の平坦度が悪い場合であっても、第二の形状矯正装置によりその形状が矯正される結果、誘導加熱装置を退避させずにそのまま鋼板を加熱することが可能になるため、鋼板製造の生産性を向上させることが容易になる。
上記の本発明において、第二の形状矯正装置の矯正能力は、第一の形状矯正装置の矯正能力よりも小さいことが好ましい。
また、上記の本発明において、冷却装置の前に、第三の形状矯正装置が配置されていることが好ましい。
かかる構成を採ることにより、熱間圧延後の鋼板形状を、冷却装置による冷却前に矯正することが可能になるため、良好な平坦度を有する鋼板を製造することが容易になる。
さらに、上記の本発明において、誘導加熱装置が、ソレノイド型のコイルを具備することが好ましい。
かかるコイルは発熱効率が高いため、鋼板を効率良く加熱することが可能となる。
第二の本発明は、冷却装置と、誘導加熱装置と、形状矯正装置とがこの順で設置されている鋼板の製造ラインにおいて、鋼板の板幅W(mm)と板厚t(mm)とにより与えられる下記(式1)の値をf、
f=0.004×(W/t)2−1.8×(W/t)+220 (式1)
誘導加熱装置における、誘導加熱コイル間距離をL(mm)、鋼板を冷却装置で冷却した後の鋼板表面の最高温度と最底温度との差をΔT(℃)、鋼板のうねり高さをΔH(mm)、とするとき、
(1) ΔH≦0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
ΔT≦f となるように、誘導加熱装置により鋼板を加熱した後に、形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、
(2) ΔH>0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
一旦、誘導加熱装置を退避させた後、形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、その後、 ΔT≦f となるように、誘導加熱装置により鋼板を加熱した後に、再度、形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、
(3) ΔH>0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
誘導加熱装置を退避させた後、形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、
(4) ΔH≦0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
誘導加熱装置により鋼板を加熱することなく、形状矯正装置により鋼板の形状を矯正する、鋼板の製造方法により、上記課題を解決しようとするものである。
ここで、本発明において、誘導加熱コイル間距離Lとは、鉛直方向における誘導加熱コイルの内径をいう。また、うねり高さΔHとは、鋼板表面における最大凸部と最大凹部との高さの差をいう。
第三の本発明は、冷却装置と、第二の形状矯正装置と、誘導加熱装置と、第一の形状矯正装置とがこの順で設置されている鋼板の製造ラインにおいて、鋼板の板幅W(mm)と板厚t(mm)とにより与えられる下記(式1)の値をf、
f=0.004×(W/t)2−1.8×(W/t)+220 (式1)
誘導加熱装置における、誘導加熱コイル間距離をL(mm)、鋼板を冷却装置で冷却した後の鋼板表面の最高温度と最底温度との差をΔT(℃)、鋼板のうねり高さをΔH(mm)、とするとき、
(1) ΔH≦0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
第二の形状矯正装置により鋼板を矯正することなく、ΔT≦f となるように、誘導加熱装置により鋼板を加熱した後に、第一の形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、
(2) ΔH>0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
第二の形状矯正装置により鋼板を矯正した後、ΔT≦f となるように、誘導加熱装置により鋼板を加熱し、その後、第一の形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、
(3) ΔH>0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
第二の形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、誘導加熱装置により鋼板を加熱することなく、第一の形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、
(4) ΔH≦0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
第二の形状矯正装置と誘導加熱装置とを使用することなく、第一の形状矯正装置により鋼板の形状を矯正する、鋼板の製造方法により、上記課題を解決しようとするものである。
本発明の鋼板の製造ライン及び製造方法によれば、冷却装置による冷却後の鋼板に温度ムラが発生した場合でも、特定の条件に該当する鋼板のみを加熱するため、加熱コストを抑えることが可能となる。また、かかる加熱等を行うことにより、厚鋼板の温度ムラ、特に幅方向の温度ムラを減少させ、冷却後の放冷過程においても平坦度が良好な鋼板を製造し得る、鋼板の製造ライン及び製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
1.製造ライン
図1は、本発明における鋼板の製造ライン100の実施形態例を示す図である。本発明の製造ライン100は、冷却装置10と、第二の形状矯正装置30と、誘導加熱装置50と、第一の形状矯正装置20とが、この順で配置され、鋼板1は図の左から右方向へとライン中を送られる。本発明の製造ライン100において、第二の形状矯正装置30の矯正能力は、第一の形状矯正装置20の矯正能力よりも低く、又、冷却装置10と、第二の形状矯正装置30と、誘導加熱装置50と、第一の形状矯正装置20とがこの順で配置されていることを必須とする。
冷却装置と誘導加熱装置との間に形状矯正装置が配置されていない鋼板の製造ラインにおいては、冷却装置による冷却後に鋼板の平坦度が大きく乱れている場合に、誘導加熱装置を退避させるか若しくは当該加熱装置による加熱をせずに形状矯正装置により鋼板の形状を矯正し、その後、製造ラインを逆送して誘導加熱装置により鋼板を加熱し、再び、形状矯正装置により鋼板の形状を矯正する必要がある。
そこで、本発明の製造ライン100では、冷却装置10と誘導加熱装置50との間に第二の形状矯正装置30を配置した。かかる構成をとることにより、冷却装置10による冷却後に鋼板1の平坦度が大きく乱れている場合であっても、第二の形状矯正装置30を用いて、鋼板1のうねり高さΔHの値が「ΔH≦0.05×L」の条件を満たすようにその形状を矯正することにより、誘導加熱装置50を退避させずにそのまま加熱することが可能となる。そのため、製造ラインを逆送する工程が不要となり、生産性を向上させることが可能となる。
本発明の鋼板の製造ライン100における第二の形状矯正装置30の役割は、冷却装置10による冷却後の鋼板1のうねり高さΔHが「ΔH≦0.05×L」の条件を満たすように、その形状を矯正することである。したがって、第二の形状矯正装置30には、第一の形状矯正装置20ほどの矯正能力は必要とされない。上記第二の装置30の矯正能力と上記第一の装置20の矯正能力とを同一若しくは同一以上としても良いが、設備コスト抑制の観点から、第二の形状矯正装置30の矯正能力は、第一の形状矯正装置20の矯正能力よりも低いことが好ましい。
なお、第二の形状矯正装置では鋼板の平坦度を0.05L以下にすればよく、第一の形状装置のように鋼板をデッドフラットにする必要はないため、能力は低くてもよい。
また、本発明の製造ライン100においては、冷却装置10の前に、第三の形状矯正装置を配置することが好ましい。かかる第三の形状矯正装置を配置することにより、熱間圧延後の鋼板形状を、冷却装置による冷却前に矯正することが可能になるため、より良好な平坦度を有する鋼板を製造することが容易になる。
本発明の鋼板の製造ラインに配置される第三の形状矯正装置の矯正能力については、特に制限はないが、設備コスト抑制の観点から、第一の形状矯正装置20の矯正能力よりも低いことが好ましい。
ここで、形状矯正装置における「矯正能力」とは、形状矯正装置の最大矯正反力のことである。
なお、本発明において、形状矯正装置はローラレベラーが好ましいが、ピンチロールのようなもので押さえる形状矯正装置でも良いし、プレス型の形状矯正装置でも良い。
一方、鋼板の製造ラインに配置される誘導加熱装置における誘導加熱方式としては、トランスバース型とソレノイド型とが存在する。ソレノイド型の誘導加熱方式の方がトランスバース型よりも加熱効率が高いという特徴を有するため、本発明の鋼板の製造ライン100における誘導加熱装置50は、ソレノイド型の加熱方式を具備することが好ましい。
2.鋼板の製造方法
本発明における鋼板の製造方法において使用する鋼板の製造ライン200の形態例を図2に示す。鋼板の製造ライン200は、冷却装置11と、誘導加熱装置51と、形状矯正装置21とが、この順で配置されている。ここで、冷却装置11により冷却された鋼板1の板幅と板厚は、それぞれW(mm)とt(mm)であり、この鋼板は、ΔH(mm)のうねり高さとΔT(℃)の温度ムラとを有しているとする。また、誘導加熱装置51の誘導加熱コイル間距離をL(mm)とする。この時、鋼板1は、「ΔHの値と0.05×Lの値との大小関係」及び「Wの値とtの値とを下記(式1)に代入して得られるfの値と、ΔTの値との間における大小関係」に応じて、以下に示す4通りの方法により、その形状を矯正される。
f=0.004×(W/t)−1.8×(W/t)+220 (式1)
すなわち、
ケースA:冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT>f」である場合、鋼板1は、誘導加熱装置51による加熱によってΔT≦fとしてから、形状矯正装置21により、その形状を矯正される。
ケースB:冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH>0.05×L」であり、かつ「ΔT>f」である場合、鋼板1は、一旦、誘導加熱装置51を退避するか若しくは当該装置51による加熱を経ずに形状矯正装置21によりその形状を矯正され、その後、誘導加熱装置51により加熱される。当該装置51による加熱は、鋼板1がΔT≦fの条件を満たすまで行い、この条件を満たした後で、鋼板1は、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
ケースC:冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH>0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」である場合、鋼板1は、誘導加熱装置51を退避した後で、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
ケースD:冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」である場合、鋼板1は、誘導加熱装置51により加熱されることなく、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
2.1.制御条件の要素
本発明の鋼板の製造方法において、製造方法選択の判断基準となる制御条件の各要素につき、以下に定義する。
(1)うねり高さΔH
うねり高さΔHの概念図を、図3に示す。図3において、1は鋼板の幅方向断面を示している。
形状矯正装置と接する鋼板面の少なくとも一部が水平面5と接するように鋼板1を配置した場合に、形状矯正装置と接する鋼板面の一面において、水平面5からの距離が最大となる点を点A、水平面5と接する点の一つを点Bとする時、点Aと点Bとの二点間における鉛直方向の距離を、うねり高さΔHとする。
ここで、鋼板のうねり高さΔHは、鋼板の製造ラインの側面にうねり高さ測定目盛りを設置して運転席から目視で確認しても良いし、平坦度計による鋼板の急峻度測定によりうねり高さを測定しても良いし、板幅と同程度の長さを有する直尺を鋼板の表面に当てて目視又は隙見ゲージにより測定しても良い。
(2)温度ムラΔT
温度ムラΔTは、鋼板のエッジ部各々20mm及び鋼板の先後端1mを除いた部分の鋼板面における、最大温度と最小温度との差とした。ここで、鋼板のエッジ部及び鋼板の先後端を除くのは、かかる部分は過冷却され特異値となるためである。
ここで、温度ムラΔTは、冷却装置の出側にスキャン温度計を設置して測定しても良いし、CCDカメラ、赤外線サーモグラフィー等の画像解析により温度ムラΔTを算出しても良い。
(3)誘導加熱コイル間距離L
鉛直方向における誘導加熱コイルの内径を、誘導加熱コイル間距離Lとする。誘導加熱コイル間距離Lの概念図を、図4に示す。
図4(a)は、誘導加熱装置50を鉛直方向に切断した場合における切断面を示した図であり、図4(b)は、誘導加熱コイル8、8、8、…と鋼板1との位置関係を、図4(a)とは異なる方向から示した図である。ここで、鋼板1の進行方向は、図4(a)においては紙面の手前から奥へと向かう方向であるのに対し、図4(b)においては、紙面の左から右へと向かう方向である。誘導加熱コイル8は、誘導加熱装置50の周囲に巻き付けられており、テーブルローラ9の上に配置される鋼板1は、誘導加熱コイル8、8、8、…により、上下両面から加熱される。本発明において、誘導加熱コイル間距離Lは、鋼板1の上方に存在する誘導加熱コイル8、8、8、…と、下方に存在する誘導加熱コイル8、8、8、…とが、それぞれ鋼板1と向かい合っている面の間の距離と定義する。
2.2.制御条件
(1)第一の条件
本発明者らは、鋼板に平坦度不良が起こる温度ムラΔTの限界値を、板幅と板厚とで整理したところ、「平坦度不良を起こす温度ムラΔTの限界値」と「板幅/板厚」との間に、一定の関係があることを見出した。図5に、鋼板内温度ムラと鋼板の平坦度との関係を示す。図5の各測定点では、製造現場における実際の各種サイズの鋼板を用いて平坦度不良が発生するか否かを調査した。図5の縦軸である「加速冷却後の温度ムラΔT」は、冷却装置により冷却した直後における鋼板の温度ムラである。冷却装置における鋼板出側に鋼板の幅方向における温度差を測定可能な放射温度計を設置し、この温度計により、0.2秒毎に鋼板幅方向の温度差を鋼板のほぼ全長に渡って測定した。上記温度ムラは、この測定結果から、最大温度差を計算することにより特定した。一方、図5における鋼板の平坦度は、製造現場の最終検査場において、鋼板の幅方向に全長2mの直尺を当て、隙間ゲージにより鋼板のうねり高さを確認することにより特定した。ここで、「平坦度良好」とは、鋼板のうねり高さが10mm以下である場合を指し、「平坦度不良」とは、うねり高さが10mmを超える場合を指す。


なお、鋼板の平坦度については、板厚が15〜30mm、板幅が2000〜4000mmである鋼板において反りが発生したものを選び、データを採取した。また、鋼板の平坦度不良は、鋼板の長手方向にも生じるが、水冷された鋼板においては、特に鋼板の幅方向における平坦度が悪いため、かかる方向の平坦度を測定した。
図5において、「○」は、鋼板の平坦度が良好であり次工程において形状矯正が不要であることを意味し、一方、「●」は、鋼板に平坦度が不良な箇所が発生したため次工程において形状矯正が必要であることを意味している。図5から、鋼板に温度ムラΔTが存在しても、「板幅/板厚」の値との関係で、鋼板に平坦度不良が発生しない許容範囲が存在することが示唆される。鋼板の板幅をW(mm)、同板厚をt(mm)とする時、かかる許容範囲の境界は、「板幅/板厚」の関数として次式で与えられる。
f=0.004×(W/t)−1.8×(W/t)+220
鋼板温度ムラΔTが当該許容値の範囲内である場合、すなわち、ΔTの値が上記fの値以下である場合には、平坦度不良が発生しないため、鋼板の平坦度不良抑制を目的とした加熱は不要である。一方で、鋼板温度ムラが当該許容値の範囲外である場合、すなわち、ΔTの値が上記fの値を超える場合には、ΔTの値をfの値以下とする加熱をすれば鋼板の平坦度不良を抑制することが可能であるため、従来のように、鋼板内の温度ムラがほとんどなくなるまでの加熱は不要となる。
(2)第二の条件
良好な平坦度を有する鋼板を得るための他の条件として、上記第一の条件以外に、鋼板のうねり高さΔHと関連する条件が存在する。
誘導加熱による発熱量は、「誘導加熱コイルと鋼板表面との距離」の2乗に比例する。そのため、鋼板の平坦度が悪く、鋼板のうねり高さΔHの値が大きい場合には、鋼板の同一面内において誘導加熱コイルとの距離にばらつきが生じ、誘導加熱コイルによる発熱量に差が生じる結果、鋼板に温度差(温度ムラ)が発生する。したがって、鋼板のうねり高さΔHの値が大きい場合には、誘導加熱装置による加熱を行う前に、形状矯正装置により、鋼板の形状を矯正する必要がある。
製造される鋼板において、その機械的特性のばらつきを許容範囲内に収めるには、上記温度ムラの範囲を±30℃以内に抑える必要があり、かかる温度ムラの範囲内へ抑えるため、鋼板のうねり高さΔHの値を特定値以下にする必要がある。誘導加熱装置における誘導加熱コイル間距離をL(mm)とする時、当該特定値は、「0.05×L」で表される。かかる特定値「0.05×L」は、以下に示す算出手順により得ることができる。
誘導加熱コイルと鋼板表面との距離(以後、「コイル距離」と記述する。)を変化させると、誘導加熱の加熱効率が変化する。そこで、誘導加熱による発熱量に誘導加熱の加熱効率を乗じたものを、鋼板表面が受ける熱量(以後、「鋼板熱量」と記述する。)とする。コイル距離と鋼板熱量との関係は、二次元熱伝導方程式に差分法ビオサバールの法則
、オームの法則ジュールの法則等を適用することにより算出可能であり、鋼板における60℃の温度差と対応する熱量を当該算出結果へ代入することにより、鋼板のうねり高さΔHの限界値を算出できる。上記特定値「0.05×L」は、かかる手順により算出した鋼板のうねり高さΔHの限界値を、誘導加熱コイル間距離Lの関数として表すことにより、得たものである。
2.3.製造方法
本発明における鋼板の製造方法は、上記二つの条件を用いた制御により、鋼板を製造する方法であり、各々の条件を満たすか否かによって、下記4種類の製造方法が考えられる。
(1)ケースA
冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT>f」である場合、鋼板1は、誘導加熱装置51による加熱によってΔT≦fとしてから、形状矯正装置21により、その形状を矯正される。
この場合は、「ΔH≦0.05×L」であるため、鋼板1をそのまま誘導加熱装置51で加熱しても、その平坦度に影響を及ぼさない。したがって、誘導加熱装置51により温度ムラΔTの値をfの値以下とする加熱を行い、その後、形状矯正装置21により、鋼板1の形状矯正を行う。
(2)ケースB
冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH>0.05×L」であり、かつ「ΔT>f」である場合、鋼板1は、一旦、誘導加熱装置51を退避するか若しくは当該装置51による加熱を経ずに形状矯正装置21によりその形状を矯正され、その後、誘導加熱装置51により加熱される。当該装置51による加熱は、鋼板1がΔT≦fの条件を満たすまで行い、この条件を満たした後、鋼板1は、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
この場合は、「ΔH>0.05×L」であるため、鋼板1をそのまま誘導加熱装置51で加熱すると、加熱中に鋼板1の温度差が拡大し、その平坦度が悪化する危険がある。誘導加熱装置51による加熱中に鋼板1の平坦度が悪化すると、鋼板1が誘導加熱コイルに接触してスパークが発生し、当該装置51を破損させる危険があるため、本ケースの場合は、誘導加熱装置51による加熱を行う前に、鋼板1の形状を矯正する必要がある。したがって、誘導加熱装置51を退避するか若しくは当該装置51による加熱を経ずに、形状矯正装置21により鋼板1の形状を矯正する。かかる矯正が施された鋼板1は、その後、製造ライン200を逆送し、誘導加熱装置51によりΔT≦fとなるように加熱され、引き続き、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。ここで、誘導加熱装置51による加熱後に、再度、形状矯正装置21による形状矯正を行う理由は、加熱装置51に入る前に鋼板1に内在していた残留応力が、当該加熱装置51による加熱により開放されることにより、再度の平坦度不良が鋼板1に発生するためである。
なお、製造ライン200を逆送させる場合において、鋼板1は、形状矯正装置21を素通りしてもよいし、この形状矯正装置21によりその形状を矯正されても良いが、より良好な平坦度を有する鋼板1を希望する場合には、形状矯正装置21により形状矯正されることが好ましい。
(3)ケースC
冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH>0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」である場合、鋼板1は、誘導加熱装置51から鋼板1を退避させた後若しくは誘導加熱装置51により鋼板1を加熱せずに、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
この場合は、「ΔT≦f」であるため、誘導加熱装置51による加熱は不要である。したがって、鋼板1は、誘導加熱装置51から鋼板1を退避させた後若しくは誘導加熱装置51により鋼板1を加熱せずに、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
(4)ケースD
冷却装置11による冷却後の鋼板1が、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」である場合、鋼板1は、誘導加熱装置51により加熱されることなく、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。
この場合は、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」であるため、鋼板1は、誘導加熱装置51による加熱を経ずに、形状矯正装置21によりその形状を矯正される。ここで、本ケースにおいて、形状矯正装置21による形状矯正を行う理由は、通常、熱間圧延後の鋼板は、完全な平坦ではなく多少平坦が崩れていることから、形状矯正装置21による矯正により、鋼板1をほぼ完全な平坦とするためである。
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。各実施例及び比較例においては、鋼板サイズ、冷却装置の冷却条件等を予め設定した材質予測シミュレーションにより、鋼板のうねり高さ及び温度ムラを算出した。
本発明の実施例及び比較例のシミュレーションにおいて用いた鋼板は、JIS SM490A相当材とした。鋼板サイズは、板厚23mm×板幅3200mm×長さ37mとし、鋼板製造ラインにおける冷却装置入り側の鋼板温度は780℃、冷却装置出側の鋼板温度は400℃とした。ここで、鋼板の板厚23mmと、同板幅3200mmとから、fは、
f=0.004×(3200/23)2−1.8×(3200/23)+220≒47
となり、本発明の実施例及び比較例において使用した鋼板の限界温度ムラは47℃であった。
本発明の実施例又は比較例において使用した、鋼板製造ラインの構成配置を表1に、冷却装置の仕様を表2に、誘導加熱装置の仕様を表3に、形状矯正装置の仕様を表4に、加速冷却装置による冷却後における鋼板のうねり高さΔHの値及び温度ムラΔTの値を表5に、それぞれ示す。
Figure 2005186111
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Figure 2005186111
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ここで、表4より、誘導加熱コイルと鋼板のパスライン間の距離が100mmであるため、本発明の実施例及び比較例における誘導加熱コイル間距離L(mm)は、「100mm×2+鋼板の板厚」より、「L>200」となる。そのため、「10<0.05×L」の条件が特定できる。
「f≒47」と、「10<0.05×L」とから、表5における各鋼板は、次のように分類することができる。すなわち、
「鋼板A」は、ΔH=10、ΔT=60より、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT>f」であるため、上記ケースAに該当する。
また、「鋼板B」は、ΔH=40、ΔT=60より、「ΔH>0.05×L」であり、かつ「ΔT>f」であるため、上記ケースBに該当する。
さらに、「鋼板C」は、ΔH=25、ΔT=40より、「ΔH>0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」であるため、上記ケースCに該当する。
さらにまた、「鋼板D」は、ΔH=5、ΔT=30より、「ΔH≦0.05×L」であり、かつ「ΔT≦f」であるため、上記ケースDに該当する。
(実施例1)
本実施例においては、表1に示す鋼板製造ライン1を使用した。誘導加熱装置内における鋼板の通板速度、当該加熱装置が各鋼板に熱量を与えた時間、及び当該装置が各鋼板に与えた熱量は、それぞれ、毎分10m、6秒間、及び400℃の鋼板温度が500℃となる熱量とし、かかる加熱を1回行うことにより、各鋼板の温度ムラを47℃以下とした。
本実施例における各鋼板(鋼板A〜鋼板D)の製造工程を表6にあわせて示す。
Figure 2005186111

本実施例において、鋼板Aは、上記ケースAに該当するため、加速冷却装置による冷却後に、誘導加熱装置により鋼板Aを加熱し、その後、形状矯正装置により形状を矯正した。
また、本実施例の鋼板Bは、上記ケースBに該当するため、加速冷却装置による冷却後に、鋼板Bは誘導加熱装置を退避し、形状矯正装置によりその形状を矯正した後、誘導加熱装置により加熱し、引き続き、形状矯正装置によりその形状を矯正した。
さらに、本実施例の鋼板Cは、上記ケースCに該当するため、加速冷却装置による冷却後に、鋼板Cは誘導加熱装置を退避し、その後、形状矯正装置によりその形状を矯正した。
さらにまた、本実施例の鋼板Dは、上記ケースDに該当するため、鋼板Dは、誘導加熱装置により加熱することなく、形状矯正装置によりその形状を矯正した。
かかる方法による鋼板形状の矯正結果を表6にあわせて示す。表6より、本実施例における鋼板は、全ての鋼板(鋼板A〜鋼板D)において、良好な平坦度を得ることができた。ここで、鋼板の平坦度が良好であるか否かの判断は、2mの直尺により行った。かかる平坦度の判断基準は、以下の実施例及び比較例においても同様である。
なお、本実施例において、誘導加熱装置による加熱後に行う形状矯正装置による鋼板形状の矯正は、1回のみとしたが、鋼板の平坦度に応じて、かかる矯正を複数回行っても良い。
また、本実施例において、誘導加熱装置による加熱が必要である場合、その回数は1回のみとしたが、加熱後の鋼板の温度ムラに応じて、かかる加熱を複数回行うことにより、温度ムラをfの値以下としても良い。
(実施例2)
本実施例においては、表1に示す鋼板製造ライン3を使用し、誘導加熱装置内における鋼板の通板速度、当該加熱装置が各鋼板に熱量を与えた時間、及び当該装置が各鋼板に与えた熱量は、実施例1と同様とした。
本実施例における各鋼板(鋼板A〜鋼板D)の製造工程を表6にあわせて示す。
本実施例において、鋼板Aは、上記ケースAに該当する。冷却装置と、第二の形状矯正装置と、誘導加熱装置と、第一の形状矯正装置とがこの順で配置されている鋼板の製造ライン(以後、「製造ラインX」と記述する。)において、上記ケースAに該当する鋼板の形状を矯正する場合、鋼板Aは、ΔH≦0.05×Lの条件を既に満たしているため、当該鋼板Aは、第二の形状矯正装置によりその形状を矯正されることなく誘導加熱装置により加熱される。当該加熱装置による加熱は、ΔT≦fとなるように行われ、かかる加熱後に、第一の形状矯正装置によりその形状を矯正される。したがって、本実施例における鋼板Aは、この手順によりその形状を矯正した。
また、本実施例における鋼板Bは、上記ケースBに該当する。製造ラインXにおいて上記ケースBに該当する鋼板の形状を矯正する場合、鋼板Bは、ΔH>0.05×Lの状態であるため、第二の形状矯正装置により、ΔH≦0.05×Lとする形状矯正が行われる。この矯正によりΔH≦0.05×Lの条件を満たした鋼板Bは、次に、誘導加熱装置により、ΔT≦fとなるような加熱が行われ、その後、第一の形状矯正装置によりその形状を矯正される。したがって、本実施例における鋼板Bは、この手順によりその形状を矯正した。
さらに、本実施例における鋼板Cは、上記ケースCに該当する。製造ラインXにおいて上記ケースCに該当する鋼板の形状を矯正する場合、鋼板Cは、ΔH>0.05×Lの状態であるため、第二の形状矯正装置により、ΔH≦0.05×Lとする形状矯正が行われる。この矯正によりΔH≦0.05×Lの条件を満たした鋼板Bは、ΔT≦fの条件を既に満たしているため、誘導加熱装置により加熱されることなく、第一の形状矯正装置によりその形状を矯正される。したがって、本実施例における鋼板Cは、この手順によりその形状を矯正した。
さらにまた、本実施例における鋼板Dは、上記ケースDに該当する。製造ラインXにおいて上記ケースDに該当する鋼板の形状を矯正する場合、鋼板Dは、ΔH≦0.05×Lの条件を既に満たしているため、第二の形状矯正装置によりその形状は矯正されないほか、ΔT≦fの条件も既に満たしているため、誘導加熱装置による加熱もされず、第一の形状矯正装置による形状矯正のみが行われる。したがって、本実施例における鋼板Dは、この手順によりその形状を矯正した。
かかる方法による鋼板形状の矯正結果を表6にあわせて示す。表6より、本実施例における鋼板は、全ての鋼板(鋼板A〜鋼板D)において、良好な平坦度を得ることができた。
なお、本実施例において、誘導加熱装置による加熱後に行う形状矯正装置による鋼板形状の矯正は、1回のみとしたが、鋼板の平坦度に応じて、かかる矯正を複数回行っても良い。
また、本実施例において、誘導加熱装置による加熱が必要である場合、その回数は1回のみとしたが、加熱後の鋼板の温度ムラに応じて、かかる加熱を複数回行うことにより、温度ムラをfの値以下としても良い。
(比較例1)
本比較例においては、表1に示す鋼板製造ライン1を使用した。誘導加熱装置内における鋼板の通板速度、当該加熱装置が各鋼板に熱量を与えた時間、及び当該装置が各鋼板に与えた熱量は、それぞれ、毎分5m、12秒間、及び400℃の鋼板温度が500℃となる熱量とし、かかる加熱を3回行うことにより、各鋼板の温度ムラを10℃以下とした。
本比較例における各鋼板(鋼板A〜鋼板D)の製造工程を表6にあわせて示す。
本比較例において、鋼板Aは、上記ケースAに該当するため、誘導加熱装置により鋼板の温度ムラが10℃以下となる加熱を行った以外は、実施例1における鋼板Aの形状矯正と同様の処理を行った。
また、本比較例の鋼板Bは、上記ケースBに該当するため、誘導加熱装置により鋼板の温度ムラが10℃以下となる加熱を行った以外は、実施例1における鋼板Bの形状矯正と同様の処理を行った。
さらに、本比較例の鋼板C及び鋼板Dにおいても、本比較例における鋼板A及び鋼板Bと同様に、誘導加熱装置により鋼板の温度ムラが10℃以下となる加熱を行った以外は、実施例1における鋼板C及び鋼板Dの形状矯正と同様の処理を行った。
本比較例における鋼板形状の矯正結果を表6にあわせて示す。表6より、本比較例における鋼板は、全ての鋼板(鋼板A〜鋼板D)において、良好な平坦度を得ることができたが、誘導加熱装置による加熱を3回行ったため、生産性が著しく低下するとともに、電力消費量が大きくなった。そのため、生産コストの面から、本比較例にかかる製造方法は好ましくないとの結果が得られた。
(比較例2)
本比較例においては、表1に示す鋼板製造ライン2を使用した。鋼板製造ライン2は、誘導加熱装置を有さず、加速冷却装置以外には形状矯正装置のみを有する製造ラインであるため、全ての鋼板(鋼板A〜鋼板D)において、加速冷却装置による冷却後に、引き続き、形状矯正装置によりその形状を矯正した。
本比較例における各鋼板(鋼板A〜鋼板D)の製造工程及び鋼板形状の矯正結果を表6にあわせて示す。表6より、本比較例における鋼板の平坦度は、鋼板A及び鋼板Bにおいて、不良となった。したがって、鋼板の製造ラインにおいては、誘導加熱装置を配置することが重要であるという結果が得られた。
鋼板の製造ラインの実施形態例を示す図である。 鋼板の製造方法において使用する鋼板の製造ラインの実施形態例を示す図である。 うねり高さの概念図である。 誘導加熱コイル間距離Lの概念図である。 鋼板内温度ムラと鋼板の平坦度との関係を示す図である。
符号の説明
1 鋼板
10、11 冷却装置
20、21、30 形状矯正装置
50、51 誘導加熱装置
100、200 鋼板の製造ライン

Claims (6)

  1. 冷却装置と、誘導加熱装置と、第一の形状矯正装置とがこの順で設置されている鋼板の製造ラインにおいて、前記冷却装置と前記誘導加熱装置との間に第二の形状矯正装置が設置されていることを特徴とする、鋼板の製造ライン。
  2. 前記第二の形状矯正装置の矯正能力が、前記第一の形状矯正装置の矯正能力よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の鋼板の製造ライン。
  3. 前記冷却装置の前に、第三の形状矯正装置が設置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼板の製造ライン。
  4. 前記誘導加熱装置が、ソレノイド型の誘導加熱コイルを具備することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板の製造ライン。
  5. 冷却装置と、誘導加熱装置と、形状矯正装置とがこの順で設置されている鋼板の製造ラインにおいて、
    前記鋼板の板幅W(mm)と板厚t(mm)とにより与えられる下記(式1)の値をf、
    f=0.004×(W/t)2−1.8×(W/t)+220 (式1)
    前記誘導加熱装置における、誘導加熱コイル間距離をL(mm)、
    前記鋼板を前記冷却装置で冷却した後の前記鋼板表面の最高温度と最底温度との差をΔT(℃)、前記鋼板のうねり高さをΔH(mm)、とするとき、
    (1) ΔH≦0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
    ΔT≦f となるように、前記誘導加熱装置により前記鋼板を加熱した後に、前記形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、
    (2) ΔH>0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
    一旦、誘導加熱装置を退避させた後、前記形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、その後前記誘導加熱装置まで逆送し、 ΔT≦f となるように、前記誘導加熱装置により前記鋼板を加熱した後に、再度、前記形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、
    (3) ΔH>0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
    誘導加熱装置を退避させた前記形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、
    (4) ΔH≦0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
    前記誘導加熱装置により前記鋼板を加熱することなく、前記形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正する、鋼板の製造方法。
  6. 冷却装置と、第二の形状矯正装置と、誘導加熱装置と、第一の形状矯正装置とがこの順で設置されている鋼板の製造ラインにおいて、
    前記鋼板の板幅W(mm)と板厚t(mm)とにより与えられる下記(式1)の値をf、
    f=0.004×(W/t)2−1.8×(W/t)+220 (式1)
    前記誘導加熱装置における、誘導加熱コイル間距離をL(mm)、
    前記鋼板を前記冷却装置で冷却した後の前記鋼板表面の最高温度と最底温度との差をΔT(℃)、前記鋼板のうねり高さをΔH(mm)、とするとき、
    (1) ΔH≦0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
    前記第二の形状矯正装置により前記鋼板を矯正することなく、ΔT≦f となるように、前記誘導加熱装置により前記鋼板を加熱した後に、前記第一の形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、
    (2) ΔH>0.05L、かつ、 ΔT>f、であるときは、
    前記第二の形状矯正装置により前記鋼板を矯正した後、ΔT≦f となるように、前記誘導加熱装置により前記鋼板を加熱し、その後、前記第一の形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、
    (3) ΔH>0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
    前記第二の形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、前記誘導加熱装置により前記鋼板を加熱することなく、前記第一の形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正し、
    (4) ΔH≦0.05L、かつ、ΔT≦f、であるときは、
    前記第二の形状矯正装置と前記誘導加熱装置とを使用することなく、前記第一の形状矯正装置により前記鋼板の形状を矯正する、鋼板の製造方法。
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