JP2005185909A - コーティング方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 スプレーノズルによってコーティング剤が供給されるコーティング方法において、ノズルに圧送するコーティング剤の流量を、水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)によって測定したコーティングの膜厚によってフィードバック制御することを特徴とする方法、およびそのための装置。
【選択図】 なし
Description
これらのコーティングにおいて、均一なコーティングを得ること、所望の膜厚を得ることなどを目的とする場合には、コーティングの付着量を制御することがある。
また、特許文献2は、塗装品質要因の一つとして膜厚を計測してフィードバック制御する方法が記載され、膜厚測定には光干渉表面粗さ計が用いられている。
さらに、特許文献3では、レンズに反射防止膜などをコーティングするに際して、均一な厚みを得るために膜厚を算出して、スプレーノズルの噴射角度、距離などを制御している。
本発明者らは、最近、固体物品を撥水処理するとき、撥水剤の膜厚が撥水性に著しく影響することを見出し、特にnmオーダーの膜厚を制御することが必要であることを発見した。
このようなコーティング膜において、コーティング膜の厚さを精度良く制御できるコーティング方法および装置が要望される。
提供することを課題とする。
すなわち、本発明は次に関する。
(1)スプレーノズルによってコーティング剤が供給されるコーティング方法において、ノズルに圧送するコーティング剤の流量を、水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)によって測定したコーティングの膜厚によってフィードバック制御することを特徴とする方法。
(2)スプレーしたコーティング剤の乾燥を制御しながらコーティングを行う上記(1)に記載のコーティング方法。
(3)コーティング剤がノズルより間欠的にスプレーされる上記(1)または(2)に記載のコーティング方法。
(4)コーティング剤が、塗料、接着剤、および撥水剤のいずれかである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコーティング方法。
(5)スプレーノズルによって撥水剤が供給される撥水処理方法において、ノズルに圧送する撥水剤の流量とスプレーされた撥水剤の乾燥の制御とを、水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)によって測定した周波数によってフィードバック制御することを特徴とする方法。
(6)スプレーノズルによってコーティング剤が供給されるコーティング装置において、ノズルにコーティング剤を圧送するためのポンプ、ノズルに圧送するコーティング剤の流量を調節する手段、被コーティング物品上あるいはその近傍に設置された水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)、該水晶振動子マイクロバランスによる膜厚測定値に応じて前記流量調節手段を制御する制御手段を含むコーティング装置。
(7)スプレーしたコーティング剤の乾燥を制御する手段をさらに有する上記(6)に記載のコーティング装置。
(8)ノズルに圧送するコーティング剤の流量を調節する手段が、該ポンプの吐出量調整手段あるいは該ポンプの流量調節バルブである上記(6)または(7)に記載のコーティング装置。
(9)スプレーノズルがスライダーに載置され往復動する上記(6)〜(8)のいずれかに記載のコーティング装置。
(10)スプレーノズルからの噴霧を間欠的に行うための手段をさらに有している上記(6)〜(9)のいずれかに記載のコーティング装置。
(11)塗料、接着剤、および撥水材のいずれかをコーティングするための上記(6)〜(10)のいずれかに記載の装置。
(12)スプレーノズルによって撥水剤が供給される撥水処理装置において、ノズルに撥水剤を圧送するためのポンプ、ノズルに圧送する撥水剤の流量を調節する手段、撥水処理される物品上あるいはその近傍に設置された水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)、該水晶振動子マイクロバランスによる周波数測定値に応じて前記流量調節手段および乾燥制御手段を制御する制御手段を含むことを特徴とする方法。
本発明のコーティング方法および装置が適用されるコーティング剤は、塗料、接着剤、撥水剤、半田、半田フラックス、溶射剤などであるが、特に塗料、接着剤、撥水剤に好ましく適用される。
つまり、コーティング剤をスプレーすることによる質量変化を膜厚に換算できるとともに、スプレー後乾燥させると媒体が揮発することにより質量が減少し、QCM周波数が増加することになり乾燥状態を検知することができる。レーザービームや光干渉計を用いる従来の膜厚計では、乾燥状態を検知することはできない。
コーティング剤の流量の制御は、コーティング剤の貯留タンクとスプレーノズルとの間に設けたポンプの吐出量を調整するか、あるいはポンプの流量調整バルブによって行うことができる。
また、スプレーを固体表面に対して間欠的に行うことによっても、すばやく乾燥させながらスプレーするという状況を実現できる。間欠的にスプレーするためには、ノズル位置を固定しておいて、スプレーを間欠的に行っても良いし、スライダーなどを利用してノズルを移動させることによって行っても良い。具体的には、スライダーなどにスプレーノズルを載置し、スプレーノズルをスライダーにより往復移動させながらコーティング剤をスプレーする。固体表面上のあるポイントに着目すれば、あるポイントに一定時間スプレーされたらスプレーノズルはそのポイントを通過してしまい、復路でスプレーされるまでの間にコーティング剤は乾燥され、ある程度乾燥したコーティング剤の上に再度コーティング剤がスプレーされることになる。適当なコーティング量が得られるまで、スプレーノズルの往復を行う。また、スライダーを用いノズル位置を移動させながら、かつ、ノズルからの噴射も間欠的に行うこともできる。このような間欠的スプレーによって、より好ましいコーティング表面が形成される。スプレーを間欠的に行う手段としては、間欠タイマーが挙げられる。
図1において、(1)は、被コーティング物品であり、車のボディーを例示した。
(2)がスプレーノズルであり、スプレーノズル(2)は、電動スライダー(3)上に固定されている。電動スライダー(3)は、モーター(4)により矢印方向に往復駆動される。電動スライダー(3)の往復動と共に往復するスプレーノズル(2)からは、コーティング剤がスプレーされる。スプレーノズル(2)は、コーティング剤貯槽(5)およびポンプ(6)と連結されており、コーティング剤流量は、該ポンプ(6)の吐出量で制御することもできるし、該ポンプ(6)に設けた流量調節バルブ(図示せず)によって制御することもできる。
ノズル(2)におけるコーティング剤の噴射圧力は、コンプレッサー(7)に設けられた電磁弁(図示せず)により制御される。一方、被コーティング物品には、コーティング量を測定するためのQCM(水晶振動子マイクロバランス:Quartz Crystal Microbalance)(8)が取り付けられている。コーティング量はQCMの周波数変動として周波数カウンタ(9)でカウントする。
周波数カウンタ(9)のカウントに基づきポンプ(6)の吐出量や流量調節バルブの開度、コンプレッサーの電磁弁をパソコン制御することによって、コーティング膜厚に応じたコーティング剤流量を制御することができる。
図1において、(10)は、スライダー(3)の駆動を制御するためのモーター制御装置、(11)(12)は、電源装置である。
また、本発明のコーティング装置には、QCMの周波数変動に応じて、乾燥を制御する制御手段、例えば間欠タイマーをさらに設けることができる(図示せず)。
接触角は、Kyoma Interface Science Co. LTD. Model: CA-DT
光沢は、Horiba, Model: IG-330
転落角は、Kyoma Interface Science Co. LTD. Model: CA-DT
ミスト径は、LDSA Win 5.04L
によって、測定した。
接触角は145°以上、転落角は40°以下であれば実用上十分であり、接触角160°以上、転落角20°以下であればより優れた撥水性であることを示している。
シリコーンオイル、微粒子、微粒子の結合剤、水系溶剤及び水を含む撥水剤を、1秒スプレー、0.5秒休止の繰り返しで、金属基材からなる塗装被覆用テストピースに所定厚さのコーティング膜が得られるまで(所定のQCM周波数になるまで)間欠スプレーした。スプレーノズルとテストピースとの距離は25cm、噴射圧力は0.3MPaである。図2には間欠スプレーによるQCM周波数変動を示す。間欠スプレーにより、スプレーした撥水剤が乾燥され、QCM周波数が変動することが分かる。なお、図2のQCM周波数変動は、付着量に換算すれば、1Hz=0.032ng/mm2である。
得られた撥水膜は、接触角160°、転落角15°、光沢72であって、優れた撥水性が得られた。
連続スプレーする以外は、同じ撥水剤、装置を用いて撥水性膜を得た。3mlスプレー後のコーティングは、接触角135°、光沢74であり、テストピースを90°傾斜させても水滴が転がらず、転落角は測定できなかった。図2には、そのときのQCM周波数変動も併せて示した。周波数が殆ど変動しないことから、ある量以上撥水剤の付着が起こらないことが分かる。
この実施例により本発明の装置で間欠スプレーを行うのがより好ましいことが分かった。
2: スプレーノズル
3:電動スライダー
4:モーター
5:コーティング剤貯槽
6:ポンプ
7:コンプレッサー
8:QCM
9:周波数カウンタ
10:モーター制御装置
11,12:DC電源
Claims (12)
- スプレーノズルによってコーティング剤が供給されるコーティング方法において、ノズルに圧送するコーティング剤の流量を、水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)によって測定したコーティングの膜厚によってフィードバック制御することを特徴とする方法。
- スプレーしたコーティング剤の乾燥を制御しながらコーティングを行う請求項1に記載のコーティング方法。
- コーティング剤がノズルより間欠的にスプレーされる請求項1または2に記載のコーティング方法。
- コーティング剤が、塗料、接着剤、および撥水剤のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング方法。
- スプレーノズルによって撥水剤が供給される撥水処理方法において、ノズルに圧送する撥水剤の流量とスプレーされた撥水剤の乾燥の制御とを、水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)によって測定した周波数によってフィードバック制御することを特徴とする方法。
- スプレーノズルによってコーティング剤が供給されるコーティング装置において、ノズルにコーティング剤を圧送するためのポンプ、ノズルに圧送するコーティング剤の流量を調節する手段、被コーティング物品上あるいはその近傍に設置された水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)、該水晶振動子マイクロバランスによる膜厚測定値に応じて前記流量調節手段を制御する制御手段を含むコーティング装置。
- スプレーしたコーティング剤の乾燥を制御する手段をさらに有する請求項6に記載のコーティング装置。
- ノズルに圧送するコーティング剤の流量を調節する手段が、該ポンプの吐出量調整手段あるいは該ポンプの流量調節バルブである請求項6または7に記載のコーティング装置。
- スプレーノズルがスライダーに載置され往復動する請求項6〜8のいずれかに記載のコーティング装置。
- スプレーノズルからの噴霧を間欠的に行うための手段をさらに有している請求項6〜9のいずれかに記載のコーティング装置。
- 塗料、接着剤、および撥水材のいずれかをコーティングするための請求項6〜10のいずれかに記載の装置。
- スプレーノズルによって撥水剤が供給される撥水処理装置において、ノズルに撥水剤を圧送するためのポンプ、ノズルに圧送する撥水剤の流量を調節する手段、撥水処理される物品上あるいはその近傍に設置された水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)、該水晶振動子マイクロバランスによる周波数測定値に応じて前記流量調節手段および乾燥制御手段を制御する制御手段を含むことを特徴とする方法。
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