JP2005185215A - エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 酵素の失活が少なく、モノ(メタ)アクリル酸エステルの収率が高いエステルの製造法を提供することである。
【解決手段】 一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルとを、酵素(B)の存在下に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩またはリン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属塩(C)を添加して反応させる。

J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)
[式中、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2OCO−、R2COO−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表し;R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基、;Lは−OH、−SH、−NH2で表される1価の有機基を表す。]

Description

本発明は、酵素触媒を用いた(メタ)アクリル酸エステルの製造法に関する。
(メタ)アクリル酸と活性水素含有化合物とのエステルは、分散剤、塗料原料、接着剤、凝集剤、反応性希釈剤、硬化剤などに使用される。従来、該エステルは、活性水素含有化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとのエステル化またはエステル交換により得られることは公知である〔「新高分子文庫21 UV硬化技術入門」 加藤清視、中原正二著、(株)高分子刊行会発行(1984)等〕。しかし、これらの方法では、反応温度は通常100℃近くであり、得られるエステルが着色する場合があった。また、p−トルエンスルホン酸やフッ化ホウ素などの酸触媒を用いるため、特殊な加工をした反応釜を必要とし、また、これら触媒は痕跡でも残存していると後の反応に影響するなどの問題がある。
このような酸触媒を用いず、酵素触媒を用いて100℃以下の反応温度で(メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法が提案されている。(例えば、特許文献1)
特開2000−143795
しかしながら、酵素を用いただけではジエステルやトリエステルなどの好ましくない副生成物まで得られる。これらの副反応物は、得られた(メタ)アクリル酸エステルを原料とする反応にそのまま使用すれば物性に悪影響を与える。また、(メタ)アクリル酸エステル95%以上の収率で得ようとすると、反応時間が長くなり酵素が失活するため、高価な酵素を再利用することができない。
すなわち、本発明の目的は、酵素の失活が少なく、モノ(メタ)アクリル酸エステルの収率が高いエステルの製造法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルとを、酵素(B)の存在下で反応させる際に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、炭酸塩またはリン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属塩(C)を添加して反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法である。

J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)
[式中、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表し;R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基、;Lは−OH、−SH、−NH2で表される1価の有機基を表し;a=1〜10、b=0〜10、c=0〜300、d=0〜30、e=0〜100、但し(c+e)は1以上である。bが2以上の場合、R1は同じでも異なっていてもよい。]
本発明のエステルの製造方法は下記の効果を奏する。
(1)100℃以下の反応温度でエステルを製造できるため、着色、重合などの問題がない。
(2)モノ(メタ)アクリルエステルを選択的に生成する。
(3)反応時間が短く、酵素の失活が少ない。
(4)生成物のろ過のみで目的物を純度よく得ることができる。
本発明における活性水素化合物(A)は一般式(1)で表される。

J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)
式中、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表す。
2で表される1価の炭化水素基は、炭素数1〜30の炭化水素基が使用でき、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換される個数は任意でよいが、好ましくは1〜3個である。
脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、オクタデシル、オクチル、オクタデシル、2−モノフルオロノニル、トリフルオロデシル、ペンタフルオロテトラデシル、クロロオクチル、1,1,1−トリフルオロメチル及び1−モノクロロエチル等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、飽和脂環式炭化水素及び不飽和脂環式炭化水素が使用できる。
飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)の飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−メチルシクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、ドデシルシクロへキシル、2,3,4−トリプロピルシクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、2,4,6−トリメチルシクロヘキシル、4,5−ジクロロシクロデシル及びパーフルオロシクロヘキシル等が挙げられる。
不飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)の不飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロドデセニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、5−メチルシクロトリコセニル、2−メチルシクロヘキセニル、3−メチルシクロヘプテニル、シクロオクテニル、2,4,6−トリクロロシクロヘキセニル及び2,3,4−トリメチルシクロヘキセニル等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15)の芳香族炭化水素等が用いられる。具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、クミル、メシル、1−エチルフェニル、2−プロピルフェニル、1−t−ブチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、3−ヘキシルフェニル、3−オクチルフェニル、3−ノニルフェニル、3−デシルフェニル、5−ドデシルフェニル、3−フェニルフェニル、3−ベンジルフェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメチルナフチル、3−メチルテトラフルオロフェニル、p−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル、3,5−ジメチルトリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジ[t−ブチル]フェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、ビフェニレニル及びパーフルオロ−3,4,5−トリプロピルフェニル等が挙げられる。
上記R2のうち好ましいのは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素であり、特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。
2O−で表される1価の有機基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基及びアリールオキシ基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15)のアルコキシ基等が用いられ、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、n−オクタデシルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、ジクロロエチルオキシ及びパークロロプロピルオキシ基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、炭素数2〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10)のアルケニルオキシ基等が用いられ、1,2−エテンオキシ、1,2−プロペニルオキシ、1,2−ブテンオキシ、1,2−ペンテンオキシ、2−ヘキセン−1−オキシ、パークロロオクテンオキシ及び2−臭化デカニルオキシ基等が挙げられる。
シクロアルコキシ基としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)のシクロアルコキシ基等が用いられ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ、1,3−フルオロシクロオクチルオキシ、パークロロシクロヘプチルオキシ、メチルシクロプロピルオキシ及びトリフルオロエチルシクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
シクロアルケニルオキシ基としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)のシクロアルケニルオキシ基等が用いられ、シクロプロピレンオキシ、シクロブテンオキシ、シクロペンテンオキシ、シクロヘキセンオキシ及びパーフルオロシクロオクテンオキシ等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15)のアリールオキシ基等が用いられ、フェノキシ、クレジルオキシ、2,3,4−トリメチルフェノキシ、2,3,4−トリニトロフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ペンタクロロフェノキシ、p−シアノフェノキシ、2,3−キシリルオキシ、ニトロフェノキシ、p−トリフルオロメチルフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ及びヘプタフルオロナフチルオキシ及び3,4,5,6−テトラプロピルナフチルオキシ等が挙げられる。
上記R2O−の内好ましいのはアルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましいのはアルコキシ基である。
2S−で表される1価の有機基としては上記R2O−のOをSに置換したものが挙げられ、好ましいもの等もR2O−と同じである。
2NHCO−で表される1価の有機基としては、上記R2にアルキルアミノカルボニル基(NHCO)が付加した基のものが挙げられる。例えば、炭素数2〜30のアルキルアミノカルボニル基、アルケニルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、シクロアルケニルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの具体的な基としては、上記R2にアルキルアミノカルボニル基(NHCO)が付加した基のものが挙げられる。好ましいものも同じである。
2CONH−で表される1価の有機基としては上記R2にカルボニルアミノ基(CONH)が付加した基のものが挙げられる。アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。これらの具体的な基としては、上記R2にカルボニルアミノ基(CONH)が付加した基のものが挙げられる。好ましいものも同じである。
上記Jのうち、好ましいのはR2−、R2O−である。これらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基である。ここで、炭素数1〜10の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換される個数は任意でよいが、好ましくは1〜3個である。
炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換される個数は任意でよいが、好ましくは1〜3個である。
脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、オクタデカニル、オクチル、オクタデシル、2−モノフルオロノニル、トリフルオロデシル、ペンタフルオロテトラデシル、クロロオクチル、1,1,1−トリフルオロメチル及び1−モノクロロエチル等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、飽和脂環式炭化水素及び不飽和脂環式炭化水素が使用できる。
飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜10(好ましくは3〜6)の飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−メチルシクロプロピル、シクロヘキシル及び1,2−フルオロシクロヘキシル等が挙げられる。
不飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜10(好ましくは3〜6)の不飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロヘキセニル及び2,3,4−トリメチルシクロブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素等が用いられる。具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、クミル、1−エチルフェニル、2−プロピルフェニル、1−t−ブチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、等が挙げられる。
上記R1のうち好ましいのは脂肪族炭化水素、−OH、−SH、−NH2であり、特に好ましいのは脂肪族炭化水素、−OHである。
活性水素化合物(A)としては、例えば下記のものが挙げられる。
Lが−OHである(A)としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルアルコールのエチレンオキサイド(EO)2モル付加物、グリセリンのEO3モル付加物、ソルビトールのプロピレンオキサイド(PO)4モル付加物、エチレングリコールのEO10モル−PO10モルランダム共重合物、フェノール、ビスフェノールAのEO2モル付加物等が挙げられる。
Lが−SHである(A)としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、エチレンジチオール、プロピレンジチオール、ブチルアルコールのプロピレングリコールとエチレンジチオールの脱水縮合物等が挙げられる。
Lが−NH2である(A)としては、メチルアミン、エチルアミン、メチルアミン等のEO、PO付加物等が挙げられる。
これらの(A)のうち、Lが−OHである(A)が好ましい。より好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール、グリセリン、ソルビトール及びそれらのEO、PO付加物であり、特に好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらのEO、PO付加物である。
前記(A)は、市販されるものを使用するか、必要により製造して使用することができる。
本発明で得られる(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルを原料とすることができる。
(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニルエステルから選ばれるすくなくとも一つ以上のエステルが使用できる。
(A)は、単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルの使用量は、(A)の活性水素1モルに対し、(メタ)アクリル酸基が0.1〜5モル、好ましくは0.1〜2モルの範囲で混合、反応させることができる。
本発明における酵素(B)としては、例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ等の加水分解酵素が挙げられる。 リパーゼとしては、ブタ肝臓,ブタ膵臓由来リパーゼの他、リゾプス(Rhizopus)属,アスペルギルス(Aspergillus)属,ムコール(Mucor)属,ゲオトリウム(Geotorichum)属,キャンデイダ(Candida)属,クロモバクテリウム(Chromobacterium)属,シュードモナス(Pseudomonas)属,ペニシリウム(Penicillium)等の細菌,糸状菌,酵母由来のものが挙げられる。
また、プロテアーゼとしては、例えば、キモトリプシン,パパイン,ペプシン等を挙げることができる。セルラーゼとしては、例えば、Trichoderma、Fusarium、Psedomonas 由来のものを挙げることができる。これらのうち、好ましいものはリパーゼである。
前記リパーゼは市販されるものを使用するか、必要によっては製造して使用できる。市販されるリパーゼとしては、例えば、シュードモナス・エスピー由来のリパーゼ「アマノ」PS(天野製薬(株)製、商品名)、シュードモナス属由来のリパーゼ「アマノ」AK(天野製薬(株)製、商品名)、キャンディダ・シリンドラセア由来のリパーゼ タイプVII(シグマ社製、商品名)、アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼ「アマノ」A(天野製薬(株)製、商品名)、クロモバクテリウム・ビスコサム由来のリパーゼ(東洋醸造(株)製、商品名)、リゾープス・エスピー由来のリパーゼ「アマノ」D(天野製薬(株)製、商品名)、シュードモナス・エスピー由来のリパーゼ「アマノ」CES(天野製薬(株)製、商品名)、Candida Antarctica由来のノボ(Novo)社のリパーゼ又はノボザイム435などがあげられるが、なかでもリパーゼPSおよびノボ社のノボザイム435が好ましい。特にノボザイム435はアクリル樹脂を担体として使用しているため、本発明においてそのまま使用することができる。
以上の加水分解酵素は単独または二種以上のものを組み合わせて使用することもできる。
本発明において(B)は、担体に固定化して使用する。リパーゼを固定化する担体としては、セライト、ケイソウ土、パーライト、シリカ、活性炭、セルロースパウダー、キトサン担体、ポリスチレンおよびジビニルベンゼンを母体とするイオン交換樹脂、またはアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などのキレート樹脂等が挙げられるがシリカ、セライト、活性炭、イオン交換樹脂、キレート樹脂が好ましく、特にシリカ、セライト、キレート樹脂が好ましい。
酵素固定化には通常の手法が用いられる。酵素は吸着またはイオン結合または共有結合により担体上に固定化される。(W.Hartmeier:Immobilisierte Biokatalysatoren,Springer Verlag Berlin Heidelberg,New York,Tokyo 1986 page 14〜16)。
反応に使用した固定化酵素はデカンテーションなどにより取り除き、そのまま、もしくは水やアセトンなどの極性溶媒で再生し、再度利用してもよい。
(B)の添加量については、特に制限はないが、(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルに対し、0.01〜10重量%(好ましくは0.05〜5重量%)添加することが望ましい。
本発明におけるエステル化およびエステル交換反応は、反応系中に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、炭酸塩またはリン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属塩(C)を添加して行われる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、バリウム、ラジウムが挙げられる。
これらアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩またはリン酸塩は市販のものを使用することができる。
これら(C)のうち、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸カルシウムであり、さらに好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウムである。
(C)の添加量は、(B)の重量に基づいて、1〜300重量%、好ましくは、5〜200重量%、さらに好ましくは、10〜100重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。この範囲であれば、酵素触媒による反応時間の短縮およびモノエステルの選択的生成の効果が発現される。
本発明におけるエステル化およびエステル交換反応は、無溶媒または有機溶媒下で行われる。有機溶媒を使用する際は、反応に関与しない一般の溶媒が用いられ、例えば、ヘキサン、トルエン、ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン等が使用できる。エステル化反応により生成した水の除去のし易さから、ヘキサンおよびトルエンが特に好ましい。
本発明において反応温度は特に限定されないが、酵素が失活せず、反応時間が遅くなりすぎない10〜80℃(特に20〜70℃)の範囲が好ましい。反応時間は5〜30時間が好ましい。エステル化により発生する水の除去は減圧除去、共沸溶媒下での除去、水吸収剤による吸収、透析膜による透析蒸発などいずれでもよいが、特に減圧除去、水吸収剤による吸収が好ましい。
減圧除去する場合は、例えば、冷却管と水分定量受器を減圧ポンプとの間に設置し、冷却管で回収した溶媒は水分定量受器で水と分離し、再度反応系中に戻し使用できるようにすることが望ましい。減圧度は、1mPa以上50mPa以下が好ましい。
また、反応の際、必要に応じて安定剤(リン酸エステル等)、重合禁止剤(ハイドロキノン、p−メトキシフェノール等)、調整剤としての充填剤(シリカ、酸化チタン等)、着色剤(カーボンブラック、染料等)等を使用してもよい。
以下、実施例において本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
[実施例1]
戻り用側管の付いた水分定量受器に冷却管を接続した1リットルガラスコルベンにトルエン100ml、エチレングリコール62.1(1モル)部、酵素(「ノボザイム435」ノボ社製、0.04部、炭酸ナトリウム0.01部、ハイドロキノン0.01部を秤量し、40℃に加熱する。そこにアクリル酸72.1部(1モル)を攪拌下、少量ずつ10分かけて分割投入し、全量投入し終わると、同温度で10mPaに減圧下、攪拌した。反応後、触媒および添化剤を濾別し、目的とするアクリル酸エステルを得た。反応に要した時間は約6時間であった。
得られたアクリル酸エステルは、ガスクロマトグラフィー(以下GCと略記する。)によって収率と副成物を求めた。生成物の色相は、ハーゼン単位色数(JIS K0071−1993,5.ハーゼン単位色数)を用いて表した。
<<GC条件>>
装 置 島津社製ガスクロマトグラフGC−17
カ ラ ム SHIN CARBONA(信和化工社製)
気化室温度 200℃
ディテクタ温度 210℃
カラム初期温度 90℃
カラム昇温速度 6℃/分
カラム最終温度 280℃
試料濃度 50%アセトン溶液
各生成物はあらかじめGCMSを用いてピーク位置(リテンションタイム)を確認した。
<<GCMS条件>>
装 置 島津社製四重極型質量分析計(GCMS QP−5000)
<GC条件> 上記GC条件と同じ
<MS条件>
測定開始質量範囲 EI 33〜600
走査間隔(I) 1.0sec
しきい値(T) 1000
溶媒溶出時間 0.05min
測定開始時間 0.1min
測定終了時間 40min
スキャンゲイン 1.4KV
GC分析の結果、生成物中、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の純度は98.2%であり、不純物としてエチレングリコールジアクリレート(EGDA)1.8%を検出した。
[実施例2]
実施例1において、アクリル酸72.1部(1モル)をメタクリル酸86.1部(1モル)に変えた以外は実施例1と同様にして目的物を得た。反応に要した時間は約5時間であった。ガスクロマトグラフィーによりヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の収率は98.5%、不純物としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)1.5%を検出した。
[実施例3]
実施例1において、エチレングリコール62.1部(1モル)をグリセリンのPO付加物(平均付加モル数4モル)324部(1モル)に変えた以外は実施例1と同様にして目的物を得た。反応に要した時間は約7時間であった。ガスクロマトグラフィーによりグリセリンPOアクリレート(GPA)の収率は98.7%、不純物としてグリセリンPOジアクリレート(GPDA)1.0%、グリセリンPOトリアクリレート(GPTA)0.3%を検出した。
[実施例4]
実施例1において、エチレングリコール62.1部(1モル)をビスフェノールA228部(1モル)、アクリル酸72.1部(1モル)を144.2部(2モル)に変えた以外は実施例1と同様にして目的物を得た。反応に要した時間は約7時間であった。ガスクロマトグラフィーによりビスフェノールAジアクリレート(BADA)97.3%、不純物としてビスフェノールAモノアクリレート(BAA)2.7%を検出した。
[比較例1]
酵素(「ノボザイム435」)を硫酸1部に変える以外は実施例1と同様にしてエステル化合物を得た。反応に要した時間は約15時間であった。ガスクロマトグラフィーによりヒドロキシエチルアクリレート(HEA)は86%、不純物としてヒドロキシエチルジアクリレート(HEDA)は10%、多量体(Olg)は4%であった。
[比較例2]
触媒をテトライソプロポキシドチタン0.1部に変える以外は実施例2と同様にしてエステル化合物を得た。反応に要した時間は約14時間であった。ガスクロマトグラフィーによりヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)は84%、不純物としてヒドロキシエチルジメタクリレート(HEDMA)12%、多量体(Olg)は4%であった。
[比較例3]
炭酸ナトリウムを添加しない以外は実施例3と同様にしてエステル化合物を得た。反応に要した時間は約19時間であった。ガスクロマトグラフィーによりグリセリンPOアクリレート(GPA)は79%、不純物として、未反応グリセリンPO7%、グリセリンPOジアクリレート(GPDA)10%、グリセリンPOトリアクリレート(GPTA)4%を検出した。
実施例1〜4及び比較例1〜3で使用したエステル化触媒、カルボン酸成分、活性水素化合物(a)、反応時間(hr)、生成物、ハーゼン単位色数を表1に記載した。
表1から明らかなように、本発明の条件ではいずれも、エステル化終了までの時間が短く、着色が少ない。
また、酸と活性水素化合物の仕込み比により、モノエステル、ジエステルの生成比率をより精密にコントロールすることができる。
本発明の製造法では、モノエステル、ジエステルの生成比率のコントロールが可能なため、UV硬化樹脂原料、クリヤー塗料原料、硬化剤等用途に合わせて、(メタ)アクリル酸エステルを容易に提供できる。また、(メタ)アクリル酸を酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、フタル酸等の有機酸に代えることにより、種々のエステル化合物を得ることが出来るので、エステル製造法として広範囲の用途に有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルとを、酵素(B)の存在下で反応させる際に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、炭酸塩またはリン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属塩(C)を添加して反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。

    J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)
    [式中、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表し;R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基、;Lは−OH、−SH、−NH2で表される1価の有機基を表し;a=1〜10、b=0〜10、c=0〜300、d=0〜30、e=0〜100、但しc+eは1以上である。bが2以上の場合、R1は同じでも異なっていてもよい。]
  2. 前記(C)の添加量が、前記(B)の重量に基づいて、1〜300重量%である請求項1記載のエステルの製造法。
  3. 前記(C)が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ストロンチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載のエステルの製造方法。
  4. 前記(B)が加水分解酵素である請求項1〜3のいずれか記載のエステルの製造方法。
  5. 前記(B)が固定化加水分解酵素である請求項1〜4のいずれか記載のエステルの製造方法。
  6. 前記(B)がリパーゼであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のエステルの製造方法。
  7. 請求項1〜6の製造法により得られてなるエステル化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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