JP2005183041A - 磁性体コア及び加速空洞 - Google Patents
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Abstract
【課題】主に高周波加速空洞に装荷して使用するアモルファス磁性合金薄帯を積層した磁性体コアにおいて、アモルファス磁性合金薄帯の密度、形状の均一性が高く、積層した後の磁性体コアの磁気特性の設計値からのずれが小さい磁性体コアを得ることを目的とするものである。
【解決手段】アモルファス磁性合金薄帯としての鉄系アモルファスフィルム20及び絶縁性スペーサ部材としてのシリカ粒子22を備え、鉄系アモルファスフィルム20の表面にシリカ粒子22を互いに離隔して配置し、隣接対向する鉄系アモルファスフィルム20がシリカ粒子22の大きさに相当する間隙を有するように積層し、隣接対向する鉄系アモルファスフィルム20の間の絶縁性を確保するようにしたものである。
【選択図】図2.2
【解決手段】アモルファス磁性合金薄帯としての鉄系アモルファスフィルム20及び絶縁性スペーサ部材としてのシリカ粒子22を備え、鉄系アモルファスフィルム20の表面にシリカ粒子22を互いに離隔して配置し、隣接対向する鉄系アモルファスフィルム20がシリカ粒子22の大きさに相当する間隙を有するように積層し、隣接対向する鉄系アモルファスフィルム20の間の絶縁性を確保するようにしたものである。
【選択図】図2.2
Description
この発明は、主に加速器の高周波空洞に用いられる磁性体コア及びこの磁性体コアを用いた高周波加速空洞に関するものである。
円形加速器において、陽子、イオン等の荷電粒子は、高周波加速空洞によって加速されるのが一般的である。高周波加速空洞は、高周波電源から高周波電力として供給されるエネルギーを、高周波加速空洞内で磁場のエネルギーと電場のエネルギーに交互に交換しながら蓄積する高周波空洞共振器を構成しており、この電場のエネルギーを荷電粒子に供給することによって、荷電粒子の加速を行うものである。高周波加速空洞内に蓄積されるエネルギーが大きいほど加速電圧も高くなり、高周波加速空洞の性能は向上するので、高周波加速空洞内に蓄積されるエネルギーを大きくするために、高周波加速空洞内に磁性体コアを装荷することが一般的である。
高周波加速空洞内に装荷された磁性体コアは高周波損失による磁性体内部での発熱があり、高圧の加速電圧を安定的に発生させるためには、磁性体のキュリー温度が十分に高いこと、さらには磁性体の飽和磁束密度も十分に高いことが必要である。従来、高周波加速空洞に装荷される磁性体コアの磁性体として用いられていたフェライトは、キュリー温度が低く、飽和磁束密度も小さいため、加速電圧の高圧化に限界があった。このため、平均粒径1μm以下の微細結晶構造を持つFe基軟磁性合金を用いた磁性体コアの適用が試みられた(引用文献1)。
しかし、上記Fe基軟磁性合金を用いた磁性体コアは、1MHz以上の比較的高い周波数領域において、磁性体コアのQ値(磁性体の比透磁率μの実数部、虚数部をそれぞれμ’、μ”としたときに、μ’/μ”で定義される値。)が低く十分な高周波電力供給ができないといった問題点がある。このため、Fe基軟磁性合金を用いた磁性体コアよりもQ値が高く、フェライトコアよりキュリー温度が高く、飽和磁束密度が高い磁性体コアが必要とされ、アモルファス磁性合金薄帯を絶縁層を介して積層した磁性体コアの適用が試みられた(引用文献2)。
絶縁層の形成方法としては、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルムをアモルファス磁性合金薄帯の間に挟んで積層する方法や、アモルファス磁性合金薄帯の表面に直接絶縁物を塗布、蒸着、コロイダル化合物の塗布後熱処理などの成膜方法によって成膜した後積層する方法が用いられている。しかし、いずれの方法によっても、アモルファス磁性合金薄帯の全面に渡って絶縁層を介在させて積層する場合、隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯の間に排除しきれない空気が残って空隙が発生しやすく、当該空隙が発生した部分は隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯の間隔が絶縁層の厚さよりも広がってしまい、積層されたアモルファス磁性合金薄帯の密度に不均一性を生じやすい。
特に、アモルファス磁性合金薄帯を巻回して積層した磁性体コアの場合、アモルファス磁性合金薄帯の曲率が大きい部分において、この不均一性は顕著となり、さらにはアモルファス磁性合金薄帯自体の形状の不均一性、つまり曲率のばらつき等が発生する。アモルファス磁性合金薄帯は曲げ等の変形や応力により、その磁気特性が変化しやすく、アモルファス磁性合金薄帯を積層する際にその密度、形状の不均一性が生じると、結果的に磁性体コアとしての特性が設計値からずれてしまうことになる。
また、アモルファス磁性合金薄帯は、加熱処理することによってその磁気特性が変化する。この性質を利用して、アモルファス磁性合金薄帯を積層して磁性体コアとした後に、加熱処理を行ってその磁気特性を改善することが行われる。しかし、加熱処理の温度は絶縁層の耐熱温度によって制限されるため、絶縁層としてポリエステルフィルムやポリイミドフィルムなどの有機高分子フィルムを使用する場合、比較的耐熱性が高いポリイミドフィルムを使用した場合であっても、その耐熱温度は高々350度C程度であり、アモルファス磁性合金薄帯の磁気特性を変化させるのに十分な加熱温度を実現することが難しい。
十分に高い加熱温度を実現するために、耐熱温度が高い無機系の絶縁物を使用する必要がある。シリカやアルミナのような無機系の絶縁物は、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルムなどの有機高分子フィルムのように柔軟性のあるフィルムを作ることは難しいので、アモルファス磁性合金薄帯の表面に直接成膜する方法が用いられることが一般的である。このような無機系の絶縁層は硬度も高く、かつアモルファス磁性合金薄帯と化学的あるいは物理的な結合を有するので、絶縁層の成膜時にアモルファス磁性合金薄帯に内部応力を発生させ、その磁気特性を変化させる。
また、加熱処理した場合には、アモルファス磁性合金薄帯と無機系の絶縁層との熱膨張係数の差に起因する熱応力が発生する。このため、アモルファス磁性合金薄帯を積層して磁性体コアとした後に、加熱処理を行っても、その磁気特性の改善効果にばらつきが生じたり、十分な改善効果が得られないこともあり、安定的に所望の磁気特性を有する磁性体コアを製造することが困難であった。
例えば、高周波加速空洞のQ値(共振周波数に対する共振幅の比)は、高周波電源からのエネルギー供給の効率、加速された粒子が高周波加速空洞に及ぼす影響(ビームローディング)を考慮し、円形加速器全体の仕様から要求される最適の値を実現できることが望ましい。高周波加速空洞のQ値は、これに装荷される磁性体コアのQ値によってほぼ決定されるので、装荷される磁性体コアのQ値が調整できることが望ましい(引用文献3)。しかし、従来のアモルファス磁性合金薄帯を積層した磁性体コアでは、例えば引用文献1では、3MHzでのQ値は高々1.7に留まっておりQ値の調整範囲としては不十分であった。
上記のように従来のアモルファス磁性合金薄帯を積層した磁性体コアは、アモルファス磁性合金薄帯の密度、形状に不均一性が生じやすく、結果的に磁性体コアの磁気特性が設計値からずれてしまうという問題点があった。また、磁性体コアの磁気特性を加熱処理によって改善する場合にも、その磁気特性の改善効果にばらつきが生じ、安定的に所望の磁気特性を有する磁性体コアを製造することが困難であるという問題点があった。さらに、磁性体コアのQ値の調整範囲が狭いために、高周波加速空洞のQ値を円形加速器全体の仕様から要求される最適の値にすることが困難であるという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、アモルファス磁性合金薄帯の密度、形状の均一性が高い磁性体コアを得ることを目的とするものである。また、加熱処理によって安定的に磁気特性を調整できる磁性体コアを得ることを目的とするものである。さらに、高周波加速空洞のQ値を円形加速器全体の仕様から要求される最適の値にすることができるQ値の調整範囲が広い磁性体コアを得ることを目的とするものである。
この発明に係る磁性体コアは、アモルファス磁性合金薄帯及び絶縁性スペーサ部材を備え、上記アモルファス磁性合金薄帯が互いに離隔して配置された複数のスペーサ部材を介し、隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯が間隙をもって積層されたものである。
この発明によれば、アモルファス磁性合金薄帯を互いに離隔して配置された複数のスペーサ部材を介し、隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯が間隙をもって積層するようにしたので、アモルファス磁性合金薄帯の密度、形状の均一性の高い磁性体コアを得ることができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による磁性体コアを示す斜視図である。磁性体コア10は、矢印Zの方向に長さW、矢印Zと直交する面の形状が、頂点部12a〜12dを円弧状とした概略長方形であり、同様の形状の中空部14を有する筒状となっている。この磁性体コア10の直線ABを含み、矢印Zと平行な面における部分断面図を図2.1に示す。また、図2.1において破線で示した正方形Sの部分の拡大図を図2.2に示す。図2.1及び図2.2において、図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。アモルファス磁性合金薄帯である鉄系アモルファスフィルム20が、絶縁性スペーサ部材であるシリカ粒子22を挟んで、図2.2において矢印Cで示した間隙をもって積層されている。鉄系アモルファスフィルム20は幅が図1に示した磁性体コア10の矢印Z方向の長さWである長尺テープ状であり、図1に示す磁性体コア10は、鉄系アモルファスフィルム20をシリカ粒子22を挟んで、頂点部12a〜12dを円弧状とした概略長方形になるように巻回、積層したものである。
図1はこの発明の実施の形態1による磁性体コアを示す斜視図である。磁性体コア10は、矢印Zの方向に長さW、矢印Zと直交する面の形状が、頂点部12a〜12dを円弧状とした概略長方形であり、同様の形状の中空部14を有する筒状となっている。この磁性体コア10の直線ABを含み、矢印Zと平行な面における部分断面図を図2.1に示す。また、図2.1において破線で示した正方形Sの部分の拡大図を図2.2に示す。図2.1及び図2.2において、図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。アモルファス磁性合金薄帯である鉄系アモルファスフィルム20が、絶縁性スペーサ部材であるシリカ粒子22を挟んで、図2.2において矢印Cで示した間隙をもって積層されている。鉄系アモルファスフィルム20は幅が図1に示した磁性体コア10の矢印Z方向の長さWである長尺テープ状であり、図1に示す磁性体コア10は、鉄系アモルファスフィルム20をシリカ粒子22を挟んで、頂点部12a〜12dを円弧状とした概略長方形になるように巻回、積層したものである。
次に、この磁性体コア10の積層プロセスについて説明する。幅Wの長尺テープ状の鉄系アモルファスフィルム20の一方の表面に、シリカ粒子22を分散させたコーティング液を塗布する。塗布方法としては、カーテンコート法、スプレー法、ドクターブレード法など適当な方法を適用すればよい。次に、コーティング液が塗布された鉄系アモルファスフィルム20を乾燥させる。乾燥方法としては、赤外線加熱、温風乾燥など適当な方法を採用すればよい。乾燥温度条件、乾燥時間等はコーティング液を組成する媒質、塗布膜厚等によって適切に設定する。塗布されたコーティング液を乾燥することにより、鉄系アモルファスフィルム20の表面には、複数のシリカ粒子22が、互いに離隔して配置された状態になる。乾燥後の鉄系アモルファスフィルム20の表面におけるシリカ粒子の離隔距離、あるいは密度はコーティング液のシリカ粒子の含有率等によって調整できる。
図1に示す中空部14の矢印Zと直交する面の形状と同じ形状を有する巻芯(図示せず)に、複数のシリカ粒子22が互いに離隔して配置された鉄系アモルファスフィルム20を、シリカ粒子22が配置された面が内側(巻芯側)になるようにして巻回する。このとき、鉄系アモルファスフィルム20には適当な張力を与えて、また必要に応じて鉄系アモルファスフィルム20のシリカ粒子22が配置された面と反対の面から圧力を与えて、図2.1に示すように、隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯の間にシリカ粒子22の大きさに相当する間隙が形成されるように巻回、積層する。所定の長さの鉄系アモルファスフィルム20を巻回、積層し、その末端を固定することにより、磁性体コア10の積層プロセスは完了する。
このように構成された磁性体コアにおいては、鉄系アモルファスフィルムを互いに離隔して配置された複数のシリカ粒子を介し、隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯が間隙をもって積層するようにしたので、不必要な空気が排除しきれずに隣接対向するアモルファス磁性合金薄帯の間隙を広げてしまう空隙を作ることはなく、アモルファス磁性合金薄帯の密度、形状の均一性が高い磁性体コアを得ることができる。シリカ粒子の大きさ、互いの離隔間隔を適当に設定することによって、隣接対向する鉄系アモルファスフィルムの表面同士が接触することも防止でき、磁性体コアとして十分な絶縁性を得ることができる。
アモルファス磁性合金薄帯として、鉄系アモルファスフィルムについて説明したが、他のアモルファス磁性合金薄帯を用いても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、絶縁性スペーサ部材として、シリカ粒子について説明したが、絶縁性を有し、形状の安定性がある材料であればよく、例えばアルミナ等のセラミック粒子であっても同様の効果を奏する。
次に磁性体コア10の磁気特性を加熱処理によって調整する加熱処理プロセスについて説明する。鉄系アモルファスフィルム20は、350度C〜450度Cの範囲で加熱処理することにより、Q値(前記磁性体コアのQ値と同様、鉄系アモルファスフィルム20の比透磁率μの実数部、虚数部をそれぞれμ’、μ”としたときの、μ’/μ”の値。)が、時間の経過とともに上昇する特性を有している。また、シリカ粒子22は、350度C〜450度Cの温度範囲において十分な耐熱性を有する。よって、積層プロセスを完了した磁性体コア10を350度C〜450度Cの温度範囲において加熱処理することができる。
図3は積層プロセスを完了した磁性体コア10を400度Cの窒素雰囲気炉で加熱処理した場合の、磁性体コア10の3MHzでのQ値の加熱処理時間による変化を示すグラフである。図3において、横軸は加熱処理時間、縦軸は磁性体コア10のQ値を示している。磁性体コア10のQ値は、加熱処理時間が0.5時間の時にほぼ0.5となり、加熱処理時間3時間までは、加熱時間の経過とともに磁性体コア10のQ値が単純に上昇し、ほぼ4.5に達する。よって、加熱時間を適切に設定することにより、磁性体コア10のQ値をほぼ0.5から4.5の間で調整することができる。
磁性体コア10の鉄系アモルファスフィルム20の間に挟まれた複数のシリカ粒子22は、互いに離隔して配置されているので、鉄系アモルファスフィルム20の全面にわたって無機系の絶縁層を成膜した場合のような成膜時の応力はほとんど発生せず、また鉄系アモルファスフィルム20とシリカ粒子22との熱膨張係数の差に起因する熱応力の発生も極めて低く抑えることができる。このため、積層プロセスに起因する磁性体コアのQ値の調整範囲、加熱処理時間依存性等のばらつきは小さく、加熱処理による磁性体コア10のQ値の調整は、安定的かつ再現性よく行うことができる。また、安価な鉄系アモルファスフィルムでは従来は実現することが難しかった3MHzでのQ値が3以上の磁性体コアを、容易に得ることができる。
アモルファス磁性合金薄帯としては、鉄系アモルファスフィルムに限らず、所定の温度で加熱処理することによって、磁性体のQ値が変化する特性を有するアモルファス磁性合金からなる薄帯であれば、同様の効果を奏する。また、絶縁性スペーサ部材としては、使用するアモルファス磁性合金薄帯の加熱処理温度での耐熱性を有するものを適用することができ、例えばアルミナ等のセラミックであれば耐熱性も高く、ほとんどのアモルファス磁性合金薄帯に適用できる。
なお、上記積層プロセス完了後、あるいは上記加熱処理完了後、磁性体コア10と外部との絶縁や信頼性向上等の目的から、必要に応じて磁性体コア10全体にエポキシ樹脂等を含浸させるプロセスが付加されることがある。
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による磁性体コアの積層前の鉄系アモルファスフィルム20及びその表面に配置されたシリカ粒子22を示す部分断面図である。この実施の形態2においては、シリカ粒子22は透明なものを用いており、図4において矢印Dで示すシリカ粒子22の厚さはほぼ1μmである。矢印Eは鉄系アモルファスフィルム20及びその表面に配置されたシリカ粒子22に照射される入射光を示しており、レーザー光のようなコヒーレンシーを有しない自然光、たとえば蛍光灯からの光であり、矢印Fはシリカ粒子22の表面での反射光、矢印Gはシリカ粒子22と鉄系アモルファスフィルム20の界面での反射光を示している。
図4はこの発明の実施の形態2による磁性体コアの積層前の鉄系アモルファスフィルム20及びその表面に配置されたシリカ粒子22を示す部分断面図である。この実施の形態2においては、シリカ粒子22は透明なものを用いており、図4において矢印Dで示すシリカ粒子22の厚さはほぼ1μmである。矢印Eは鉄系アモルファスフィルム20及びその表面に配置されたシリカ粒子22に照射される入射光を示しており、レーザー光のようなコヒーレンシーを有しない自然光、たとえば蛍光灯からの光であり、矢印Fはシリカ粒子22の表面での反射光、矢印Gはシリカ粒子22と鉄系アモルファスフィルム20の界面での反射光を示している。
自然光の場合、その可干渉距離は数μmであることは公知であり、矢印Fで示す反射光と矢印Gで示す反射光によって光の干渉が生じるのはシリカ粒子の厚さがほぼ1.5μm以下の場合に制限される。この実施の形態2のシリカ粒子は厚さをほぼ1μmに設定しているため、矢印Fで示す反射光と矢印Gで示す反射光は干渉を生じ、肉眼でも干渉色として観察が可能となる。この干渉色はシリカ粒子22が存在する部分のみで観察されるので、鉄系アモルファスフィルム20の表面のシリカ粒子22の離隔間隔あるいは密度等の配置状態も容易に把握することが可能である。シリカ粒子22の厚さが1μm程度になっても、離隔間隔あるいは密度等の配置状態を把握して、適切な配置状態の鉄系アモルファスフィルム20を巻回、積層することによって、隣接対向する鉄系アモルファスフィルム20の表面同士が接触することも防止でき、磁性体コアとして十分な絶縁性を得ることができる。
なお、隣接対向する鉄系アモルファスフィルム20の間隙を1μm程度にまで狭くすることによって、磁性体の占積率を高め、磁性体コアの小型化も同時に達成できることは言うまでもない。なお、絶縁性スペーサ部材として、絶縁性があって透明であればよく、アルミナ等の結晶粒子であってもよく、自然光によって干渉を生じ、干渉色を呈する厚さであればよい。また、シリカ粒子、アルミナ粒子等、アモルファス磁性合金薄帯の加熱処理温度における耐熱性を有する絶縁性スペーサを用いれば、加熱処理によって磁性体コアのQ値の調整をすることが可能である。
なお、実施の形態1又は2においては、巻回して積層した磁性体コアについて説明したが、長方形、円形、ドーナツ状円形その他の形状のアモルファス磁性合金薄帯を絶縁性スペーサ部材を介して積層した磁性体コアであっても同様の効果を奏する。また、実施の形態1又は2の磁性体コアは高周波加速空洞に装荷して使用するものであるが、Fe基軟磁性合金を用いた磁性体コアよりもQ値が高く、フェライトコアよりキュリー温度が高く、飽和磁束密度が高い磁性体コアを必要とする用途に使用できることは言うまでもない。
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による高周波加速空洞を示す断面図である。図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。高周波加速空洞28は、筐体30の中に、荷電粒子の通路を構成するドリフトチューブ32が設置され、磁性体コア10は、中空部14にドリフトチューブ32を貫通させるように複数設置されている。高周波加速空洞28のQ値は、磁性体コア10のQ値によってほぼ決定されるので、磁性体コア10のQ値を加熱処理によって調整することによって、高周波加速空洞28のQ値を調整することができる。磁性体コア10のQ値は加熱処理によって3MHzで4.5までの広い調整範囲を有しているので、高周波加速空洞28のQ値の調整範囲も広いものとなり、円形加速器全体の仕様から要求される最適の値にすること、あるいは最適の値に近づけることが容易となる。
図5はこの発明の実施の形態3による高周波加速空洞を示す断面図である。図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。高周波加速空洞28は、筐体30の中に、荷電粒子の通路を構成するドリフトチューブ32が設置され、磁性体コア10は、中空部14にドリフトチューブ32を貫通させるように複数設置されている。高周波加速空洞28のQ値は、磁性体コア10のQ値によってほぼ決定されるので、磁性体コア10のQ値を加熱処理によって調整することによって、高周波加速空洞28のQ値を調整することができる。磁性体コア10のQ値は加熱処理によって3MHzで4.5までの広い調整範囲を有しているので、高周波加速空洞28のQ値の調整範囲も広いものとなり、円形加速器全体の仕様から要求される最適の値にすること、あるいは最適の値に近づけることが容易となる。
10 磁性体コア、20 アモルファス磁性合金薄帯、22 絶縁性スペーサ部材。
Claims (4)
- アモルファス磁性合金薄帯及び絶縁性スペーサ部材を備え、上記アモルファス磁性合金薄帯が互いに離隔して配置された複数の上記絶縁性スペーサ部材を介し、隣接対向する上記アモルファス磁性合金薄帯が間隙をもって積層されたことを特徴とする磁性体コア。
- 上記アモルファス磁性合金薄帯は、所定温度で加熱処理するとQ値が上昇するアモルファス磁性合金薄帯であり、上記絶縁性スペーサ部材は上記所定温度における耐熱性を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性体コア。
- 上記絶縁性スペーサ部材は透明であり、上記絶縁性スペーサ部材の表面で反射する自然光と、上記絶縁性スペーサ部材と上記アモルファス磁性合金薄帯との界面で反射する自然光とが干渉して干渉色を生じる厚さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性体コア。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の磁性体コアを装荷した高周波加速空洞。
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JP2020017608A (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | 日立金属株式会社 | 巻磁心の製造方法および巻磁心 |
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