JP2694114B2 - 薄膜磁気素子及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気素子及びその製造方法

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JP2694114B2
JP2694114B2 JP6029368A JP2936894A JP2694114B2 JP 2694114 B2 JP2694114 B2 JP 2694114B2 JP 6029368 A JP6029368 A JP 6029368A JP 2936894 A JP2936894 A JP 2936894A JP 2694114 B2 JP2694114 B2 JP 2694114B2
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正雄 三寺
究 白川
文夫 松本
啓安 藤森
健 増本
繁弘 大沼
一幸 山口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気回路で使用される
磁性薄膜を磁心とする平面型のインダクタ、トランス、
センサなどの磁気素子において高周波領域でインダクタ
ンスなどの電気的特性の優れた薄膜磁気素子及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、高性能化が進展する
につれて、磁気回路における磁気素子の小型化、高周波
化がクローズアップされ、その研究が盛んに行われてい
る。磁気素子の特性には磁心の特性が反映されるので、
透磁率が大きく、高周波領域まで低下しない磁心薄膜が
求められている。このような特性は、(1)飽和磁束密
度Bsの高い磁心を用いること、(2)磁心の渦電流損
失を小さくし、かつ(3)100MH以上の高い周波数
領域で高特性を得るには一軸磁気異方性膜を磁化困難軸
方向に励磁することによって実現され、また数MHz以
下の比較的低い周波数領域で高特性を得るには一軸磁気
異方性膜を磁化容易軸方向に励磁することによって実現
されることが知られている。(1)については、Fe
系、Co系非晶質磁性合金薄膜などが用途に応じて合金
組成と成膜条件を選ぶことによって得られる。(2)に
ついては、一つには、磁性膜の比抵抗を大きくするこ
と、二つには絶縁層と一層の厚みがスキン・デプス以下
の薄い磁性膜を積層化した多層膜で損失が抑制されるこ
とが知られている。(3)を実現するには、磁性膜に一
軸磁気異方性を付与することが必要であり、この場合に
は一般に、基板表面上に一方向に磁界を印加しながら成
膜する方向が採られている。従来、図3(a)に示すミ
アンダ型薄膜磁気素子や同図(b)に示す方形スパイラ
ル型薄膜磁気素子の平面型磁気素子の磁心には、破線の
矢印の方向に磁界Hを印加しながら成膜する方法が採ら
れており、磁性膜の磁化容易軸方向He、および磁化困
難軸方向Hhは実線の矢印の方向となる。ただし、両図
とも導体コイル11を上下から磁性膜の上部磁心2uと
下部磁心2dで挟んだ磁気素子であるが絶縁層は省略し
て示してある。33は磁心の磁化容易軸方向を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにして得られた一軸磁気異方性膜を磁心とする薄膜磁
気素子には、次のような問題点がある。先ず、磁気素子
の導線に電流を流した時に発生する磁界の方向、すなわ
ち磁心の励磁磁界方向は電流の方向に対して直角であ
る。したがって、高周波特性の優れた薄膜磁気素子を得
るには、この方向が磁心の磁化困難軸方向(換言すれ
ば、電流方向が磁心の磁化容易軸方向)になるようにす
ることが望ましく、比較的周波数の低い領域で高特性を
得るには逆にこの方向が磁心の磁化容易軸方向(換言す
れば、電流方向が磁心の磁化容易軸方向)になるように
することが望ましい。しかし、前記の磁気素子の磁心は
図3(a)のミアンダ型磁気素子の場合にはAB,CD
…においては磁化困難方向の励磁となっているが、B
C,DE…方向は磁化容易方向の励磁に、また図3
(b)の方形スパイラル型磁気素子の場合はAB,CD
方向は磁化困難方向励磁で、BC,DE方向は磁化容易
方向励磁となり、同一磁心内に磁化困難方向と磁化容易
方向を励磁することになるので磁気素子の高周波化を困
難にしており、また比較的周波数の低い領域で高特性を
得ることも困難にしている。
【0004】このような欠点を避けるために、高周波化
を狙った図4(a),(b)に示すような困難軸励磁領
域にのみ一軸磁気異方性膜を付けた薄膜磁気素子が提案
されている(特開平5−326260号)。図4中、図
3と同一部分に相当する部分には同一符号を付してその
説明を省略する。しかし、このような磁気素子は、磁心
2u,2dの付いていない部分(同図、上下の導体コイ
ル11部分)があるので高周波領域のインダクタンスの
低下や、トランスなどの素子の場合には結合係数の低下
をまねき、また、素子の動作状態においてはこの部分か
らの磁界の漏洩があり、外界に対して電磁障害になる恐
れがある。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、高周波領域でインダクタンスなどの電気的、磁気的
特性の優れた薄膜磁気素子及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の薄膜磁気素子は、導体コイルと絶縁層を介し
前記導体コイルと同型もしくは類型の強磁性体とから
なるミアンダ型もしくはスパイラル型薄膜磁気素子にお
いて、強磁性体の磁化容易軸方向が導体コイル中を流れ
る電流方向となるように磁気異方性が制御された磁性体
を有することを特徴とするものである。
【0007】又、本発明の薄膜磁気素子は、導体コイル
と絶縁層を介した前記導体コイルと同型もしくは類型の
強磁性体とからなるミアンダ型もしくはスパイラル型
膜磁気素子において、強磁性体の磁化容易軸方向が導体
コイル中を流れる電流方向に対して直角となるように磁
気異方性が制御された磁性体を有することを特徴とする
ものである。
【0008】又、本発明の薄膜磁気素子は、前記強磁性
体において、飽和磁歪定数が正もしくは負の薄膜磁心
で、かつ形状が導体コイルと同型もしくは類型の平面状
をなし、磁化容易軸方向が導体コイル中を流れる電流方
向に対してすべて直角もしくは平行となるように磁気異
方性が制御されたことを特徴とするものである。
【0009】又、本発明の薄膜磁気素子の製造方法は、
導体コイルと絶縁層を介した前記導体コイルと同型もし
くは類型の強磁性体とからなり、強磁性体の磁化容易軸
方向が導体コイル中を流れる電流方向となるように磁気
異方性が制御された磁性体を有するミアンダ型もしくは
スパイラル型薄膜磁気素子の製造方法において、素子の
磁心が正の飽和磁歪定数の磁性薄膜であって、磁心薄膜
を成膜する時に印加する磁界方向と導体コイルの電流方
向とのなす角度θが0度以上、90度以下、好ましくは
45度±25度以内になるようにセットして製造する
か、もしくは磁化容易軸方向と導体コイルとのなす角度
θが0以上、90度以下、好ましくは45度±25度以
内になるようにパターニング加工して磁心を製造するこ
とを特徴とする。
【0010】又、本発明の薄膜磁気素子の製造方法は、
導体コイルと絶縁層を介した前記導体コイルと同型もし
くは類型の強磁性体とからなり、強磁性体の磁化容易軸
方向が導体コイル中を流れる電流方向に対して直角とな
るように磁気異方性が制御された磁性体を有するミアン
ダ型もしくはスパイラル型薄膜磁気素子の製造方法にお
いて、素子の磁心が負の飽和磁歪定数の磁性薄膜であっ
て、磁心薄膜を成膜する時に印加する磁界方向と導体コ
イルの電流方向とのなす角度θが0以上、90度以下、
好ましくは45度±25度以内になるようにセットして
製造するか、もしくは磁化容易軸方向と導体コイルとの
なす角度θが0以上、90度以下、好ましくは45度±
25度以内になるようにパターニング加工して磁心を製
造することを特徴とする。
【0011】又、上記薄膜磁気素子の製造方法は、薄膜
磁気素子の磁心薄膜を成膜する時に印加する磁界方向と
導体コイルの電流方向とのなす角度θが0以上、90度
以下、好ましくは45度±25度以内になるようにセッ
トして製造するか、もしくは磁化容易軸方向と導体コイ
ルとのなす角度θが0以上、90度以下、好ましくは4
5度±25度以内になるようにパターニング加工して磁
心を製造した後、回転磁界中熱処理を施すことによって
強磁性体の磁化容易軸方向と導体コイル中を流れる電流
方向に平行、もしくは直角方向となるように磁気異方性
を制御することを特徴とする。
【0012】
【作用】上記手段により本発明は、非晶質磁性合金薄膜
を磁心とするインダクタ、トランス、センサなどの平面
型磁気素子に適用することにより、磁心が磁化困難軸励
磁となるように、あるいは磁心がすべて磁化容易軸励磁
となるように作製できるので、用途に応じた電気的、磁
気的特性の優れた磁気素子を提供することができる。
【0013】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を詳細に
説明する。図1は本発明の一実施例を示す平面図であ
り、(a)はミアンダ型磁気素子、(b)はスパイラル
型磁気素子を示す。図2(a)は図1(a)、(b)中
のL−L′線断面図、図2(b)は導体コイルが多心の
場合の磁心構造例の断面図、図2(c)は隣接する導体
コイルをブロック化した磁心構造例の断面図を示す。図
1、図2中、図3と同一部分に相当する部分には同一符
号を付してその説明を省略する。ただし、両図とも導体
コイル11と磁性膜よりなる上部磁心2u、下部磁心2
dのみを示しており、絶縁層、図1では基板も省略して
ある。図中、22は電流方向、55は基板である。ま
た、上部磁心2uは下部磁心2dと同型であるが見やす
くするために一部のみ図示した。本発明は導体コイル1
1と絶縁層を介した強磁性薄膜よりなる上部磁心2u、
下部磁心2dとからなる薄膜磁気素子において、図中、
矢印で示したように、薄膜磁心2u、2dの磁化困難軸
方向Hhが導体コイル11中の電流の流れる方向22と
直角になるように、換言すれば、磁心の磁化容易軸方向
Heが電流方向22と一致するように薄膜磁心2u、2
dの異方性の制御された薄膜磁気素子を提供するもので
ある。磁心2u、2dがすべて高周波特性のよい磁化困
難軸励磁となるので、本発明の磁気素子は高周波領域に
おいて高いインダクタンスと優れた周波数特性を示す。
【0014】一方、本発明は、磁化容易方向を前記と9
0度異なる方向すなわち磁心の磁化容易軸方向が電流方
向と直角になるように薄膜磁心の異方性の制御された薄
膜磁気素子も提供でき、磁心がすべて磁化容易軸励磁と
なるので、このような磁気素子は前記のように比較的低
い周波数領域において高いインダクタンス特性を示す。
【0015】本発明のポイントは磁性薄膜磁心の形状、
磁歪、磁気異方性と回転磁界中熱処理による制御であ
り、以下に詳述する。本発明における基本となる磁心形
状は、導体コイルと同型または類型の平面状をなし、直
線状もしくは曲線状に配置されたもの、あるいはこれら
の組み合わせからなり、磁心が互いに隣合う時には、空
隙のままあるいは境界部分に薄い絶縁層のあるケースや
接点部の磁性膜表面が平坦でなく、窪んでいる場合も範
疇に入る。図2(a)に図1のL−L′線での素子の断
面構造を示す。同図および図1は本発明の基本となる磁
気素子の一例を示したもので、図2に示すような導体コ
イルが多心構造の場合(b)、隣接する導体コイルの電
流方向が同方向、あるいは逆方向の場合にある単位で導
体コイルをブロック化した場合(c)の磁心構造も平面
的には導体コイルと同型または類型と見なされるので当
然本発明の範疇に入る。
【0016】これを基本形とした薄膜磁気素子の例とし
て、前記、図1の他に円形スパイラル型磁気素子などが
あり、いろいろな形状の磁気素子のすべての磁心に適用
できる。磁性薄膜のライン幅Wmの範囲は、Wmは小さ
い程高周波化を狙った磁心の磁気異方性の制御はし易
い。Wmの最大値は磁性膜のラインの長さLm、後述の
回転磁界中熱処理による異方性制御、特に磁界印加効果
(磁心の反磁界)や作製する磁気素子の大きさにも関係
する。本発明者らは、Wmが最大5mm、Lmが最大2
0mm以下の矩形磁心で検討した結果、磁心長方向の反
磁界係数Nd が〜10-4オーダ以下であれば、後述の磁
気異方性制御の回転磁界中熱処理が有効に働くことを確
認した。
【0017】本発明の高周波薄膜磁気素子用磁心には飽
和磁束密度Bsの高い磁性薄膜が望ましい。磁気素子の
インダクタンスL、磁心の透磁率μ、飽和磁束密度B
s、異方性磁界Hkとの間には
【0018】
【数1】 L∝u∝B/HKなる関係のあることが知られてお
り、高周波領域(磁化困難軸励磁)で高いLを維持する
には高Bsのみならずある程度Hkの大きい磁心が望ま
れる。ただし、磁歪(定数)は以下に述べるように磁気
異方性と密接な関係があるので目的に応じて選定するこ
とが望ましい。
【0019】磁心の磁気異方性には、磁心の誘導磁気異
方性、磁歪、磁心の内部応力などが関与していることが
知られており、磁歪と磁心の内部応力(主として基板と
磁性膜との熱膨張差で生じる)を積極的に利用すること
によってストライプ状磁性薄膜に大きな磁気異方性を発
生させることができるとの報告もみられる(電気学会マ
グネテイックス研究会資料MAG−93−100,19
93)。本発明者らは、次に述べるように前記磁心の基
本形状のストライプ状磁性膜を用いて、主として磁心形
状、磁歪を考慮し、回転磁界中熱処理による磁気異方性
を制御することによって磁心の一軸磁気異方性主軸方向
を制御する方法を新規に見出した。
【0020】すなわち、本発明は後述する実施例1に示
すように磁心(ストライプ状)にλs が正または負の一
軸磁気異方性CoNbZr非晶質膜を用いて磁化容易方
向とストライプ長方向とのなす角度θを0〜90°の範
囲で変えてストライプ状にパターニング加工をする。次
にこの加工膜に回転磁界中熱処理を施すと、λsが負の
ストライプ加工膜においてストライプ長方向を向いてい
た容易軸はすべてストライプ幅方向に向きを変え、一
方、λsが正のストライプ加工膜は、ストライプ幅方向
を向いていた磁化容易軸はすべてストライプ長方向を向
くことを見出した。この現象は次のように考えられる。
考えやすくするために、磁心の一軸異方性主軸方向はス
トライプ状膜の長さ方向または幅方向と一致しているも
のとする。
【0021】磁性膜に大きさの異なる二つの一軸異方性
が存在し、それぞれの容易軸が平行あるいは直交してい
る場合、合成の異方性定数は二つの異方性定数の和ある
いは差となる。本実験に用いたストライプ状磁性膜にお
いては磁性膜の内部応力は誘導一軸異方性の容易軸に平
行または直角と考えられる。誘導一軸異方性定数をKu
とし、誘導一軸異方性主軸に対し平行方向の平均的な内
部応力をσE 、困難軸方向の平均的な内部応力をσH
すれば、 Ku +3/2 λσE >3/2 λσH …… (1) のときは容易軸は誘導一軸異方性の方向となり、 Ku +3/2 λσE <3/2 λσH …… (2) のときは磁化容易軸は誘導一軸異方性の方向から90度
回転すると考えられる。
【0022】先ず、本実験の磁性膜の内部応力の影響に
ついては次のように考えられる。λsが正負いずれかの
場合もストライプ状加工膜の磁化容易軸の方向は加工前
の磁性膜と同じであり(図5)、またこれらの膜を無磁
界中で熱処理を施しても磁化容易軸の方向は元の磁性膜
と同じであったのでストライプ状加工膜の状態では
(1)式が成り立っているものと考えられる。したがっ
て、本実験条件下では基板と磁性膜の熱膨張係数の差に
よる磁性膜の内部応力は異方性主軸方向を変化させるほ
どの大きな影響を磁性膜に与えていないものと考えられ
る。
【0023】次に、熱処理中に印加している磁界の影響
については以下のように考えられる。本実験で用いた磁
歪が正および負の磁性膜の異方性磁界Hkはそれぞれ1
2.2および8.7 Oeであった。ひとつのストライ
プ長方向に対し平行な固定磁界中でλsが正の磁性膜に
熱処理を施すと、当初ストライプの幅方向を向いていた
磁化容易方向は、ストライプ長方向へ変化した。これ
は、磁界を容易方向に対して垂直方向に印加して熱処理
をしているので(2)式が成立する範囲内までKu が小
さくなったものと推定される。
【0024】一方、同様な実験でλsが負の膜について
も固定磁界中または無磁界中で熱処理を施して異方性の
変化を調べた結果、前記に示唆する結果が得られた。し
たがって、本実験条件下で熱処理により異方性主軸方向
が変化する原因は、基板と磁性膜の熱膨張差で生じる磁
性膜の内部応力などの影響が主因ではなく、むしろ回転
磁界中での熱処理により誘導一軸異方性定数Kuが小さ
くなることに起因していると考えられる。
【0025】以上の結果から、λsが正のストライプ状
磁性膜の磁化容易軸は、回転磁界中熱処理によってスト
ライプ長方向に変化し、λsが負のストライプ状磁性膜
の磁化容易軸は、回転磁界中熱処理によってストライプ
幅方向に変化する。したがって、磁心の基本形状がスト
ライプ状の例えば方形スパイラル状磁心で高周波用磁気
素子を指向するには、方形のどの辺の磁化容易方向も磁
心長方向を向くと考えられるλsが正の磁性膜を、逆に
低周波用磁気素子を指向するにはλsが負の磁性膜を選
定すればよい。
【0026】前記磁化容易軸方向の変化にはλs、膜の
内部応力の他に磁心の寸法(幅、長さ、膜厚)、形状に
よる反磁界係数Nd 、回転磁界中熱処理前の磁心の磁化
容易軸方向とストライプ長方向との角度θなどが関係す
る。λsが正のストライプ状磁性膜の磁化容易軸方向を
ストライプ長方向に制御する場合は、後述する実施例2
の図6(a)に示すように、θ=0度の場合は磁化容易
軸方向とストライプ長は平行となるのでNdの大きさに
は関係しないが、θが30,45度と大きくなるにした
がってNdは10-4、10-5オーダへ小さくなり、制御
ができる範囲が狭くなるが、Ndが10-6オーダ以下の
寸法であればθが90度でも十分制御できることがわか
る。θが90度で十分制御できるNdの上限は、λsの
値や膜応力、熱処理条件によっても変化し、条件によっ
てはNdが10-4オーダでも制御可能である。具体的な
応用を考えた場合には磁心の形状を考慮する必要があ
る。例えば、図1に示したミアンダ型あるいは方形スパ
イラル型磁気素子の場合は、磁心が互いに直角になる部
分が存在するので、磁性膜パターニング加工する時ある
いは成膜する時の磁化容易軸方向を前記形状の素子のど
の方向にとるかで異方性の制御の難易が生じる。θを実
施例2の図6(b)のようにとると、同図(a)および
後述する実施例4からθが45度の時、磁心A,B両者
が同一条件で均等に制御できることがわかる。λsが負
の磁心についても同様な傾向を示す。請求項4および5
は前記のように磁心形状を考慮した実施例にもとづいて
磁心A,Bの両者が均一に制御できる範囲である。すな
わち、方形または類似の形状の磁気素子磁心において、
Ndが小さい場合はθを0以上90度以下の範囲で、N
dが大きい場合は45度±25度の範囲で選定すること
により、磁心長手方向がすべて磁化容易方向または磁化
困難軸方向に制御可能である。
【0027】次に、作製法について述べる。磁性薄膜の
作製法はイオンスパッタリング法による磁界中成膜や電
気メッキ法などが知られているがいずれの方法でもよ
く、また、単層膜、多層膜いずれでもよい。前記形状の
の作製は、例えば、基板上に塗布したレジストに、
フォトエッチングで磁心パターンを作り、成膜後、不要
部分を溶剤で除去して作るリフトオッフ法や磁性膜上に
フォトエッチングで磁心パターンを作り、イオンを照射
して不要部分を取り去るイオンエッチング法などが知ら
れているがいずれの方法でもよい。また、磁気素子の磁
性層−導線間の絶縁層や導線の作成は、スパッタリング
あるいは印刷法が、導線の場合にはこの他に電気メッキ
法などが従来から知られており、絶縁性、コイル抵抗な
ど所望の特性が得られればいずれの方法でもよい。ま
た、異性制御における回転磁界中熱処理は真空中また
は希ガス中で、温度は200℃以上、結晶化温度以下で
かつキュリー点以下の温度の通常の回転磁界中熱処理条
件でよい。
【0028】以下に本発明を、前記平面型磁気素子用磁
心などに適用した具体的な実施例について説明する。 実施例1 本発明は薄膜磁気素子磁心の基本形状のストライプ状磁
性膜(ガラス基板上に膜厚1μm、ストライプの長さが
10mm、膜幅が100μの磁性膜が多数ならんでい
る)に適用した例を示す。図5(a)にλsが正(λs
=1.2×10-6)および負(λs=−0.8×1
-6)の一軸異方性CoNbZr非晶質膜を用いて、磁
化容易方向とストライプ長方向とのなす角度が0,4
5,90°となるようにストライプ状にパターニングし
た加工膜および回転磁界中熱処理(RFA,225 O
e,285℃×240min)後の磁化容易軸方向を示
した。磁化容易軸方向は磁区状態の観察により決定し
た。同図から回転磁界中熱処理を施した磁性膜の磁化容
易軸方向はλsの正負によって異なることが判る。すな
わち、同図(b)に示した磁区構造の変化から明らかな
ように、λsが正のストライプ加工膜は、ストライプ幅
方向を向いていた磁化容易軸はストライプ長方向を向
き、一方、λsが負のストライプ加工膜は、ストライプ
長方向を向いていた磁化容易軸はストライプ幅方向を向
くことがわかる。すなわち、本発明は加工状態で磁化容
易軸方向がどの方向を向いても、ストライプ長方向また
は幅方向のいずれの方向にも一様に制御できることを示
している。
【0029】実施例2 本実施例では請求項4,5の根拠を示す。λsが正(λ
s=1.2×10-6)のCoNbZr非晶質磁性合金薄
膜を用い、基本形状のストライプ状磁性膜(ガラス基板
上に膜厚1μm)をイオンエッチング法で作製した。ス
トライプの長さを4〜20mm,膜幅を0.1〜2.5
mmと変え、また磁心の一軸異方性主軸方向とストライ
プ長方向とのなす角度θを0,30,45,90°とな
るようにした。図6(a)に磁区観察から回転磁界中熱
処理(RFA,225 Oe,285℃×240mi
n)後の異方性の制御の程度を評価した結果を示す。同
図の横軸は磁心寸法からストライプ長方向の反磁界係数
を算出して表示した。縦軸の評価点100は磁化容易軸
方向が完全にストライプ長方向を向いた状態とした。同
図から、θ=0度の場合は磁化容易軸方向とストライプ
長は平行となるのでNdの大きさには関係しないが、θ
が30,45度と大きくなるにしたがってNdは1
-4,10-5オーダへ小さくなり、制御できる範囲が狭
くなるが、Ndが10-6オーダ以下の寸法であればθが
90度でも十分制御できることがわかる。θが90度で
十分制御できるNdの上限は、λsの値や膜応力、熱処
理条件によっても変化し、条件によってはNdが10-4
オーダでも制御可能である。
【0030】上記したように、具体的な応用をえた場
合には磁心の形状を考慮する必要がある。例えば、図1
に示したミアンダ型あるいは方形スパイラル型磁気素子
の場合は、磁心が互いに直角になる部分が存在するの
で、磁性膜をパターニング加工する時あるいは成膜する
時の磁化容易軸方向を前記形状の素子のどの方向にとる
かで異方性の制御の難易が生じる。そこで、図7(a)
に図6(a)から求めた評価点が70以上になるNdと
θとの関係を示す。同図で、θを図6(b)のようにと
ると、磁心A,Bの部分で評価点が70以上になるのは
曲線A(θ),B(90−θ)の下側の寸法(Nd)
で、Ndが小さいほど100に近づく。θが45度の
時、磁心A,B両者が同一条件で均等に制御できること
がわかる。λsが負の磁心についても同様な傾向を示
す。請求項4および5はこのように磁心形状を考慮した
実施例にもとづいて磁心A,Bの両者が均一に制御でき
る範囲である。すなわち、方形または類似の形状の磁気
素子磁心において、Ndが小さい場合はθを0以上90
度以下の範囲で、Ndが大きい場合は45度±25度の
範囲で選定することにより、磁心長手方向がすべて磁化
容易方向または磁化困難軸方向に制御可能である。
【0031】実施例3 薄膜磁気素子磁心にλsが正(λs=+0.7×1
-6)の(CoFe)SiB系非晶質合金薄膜を適用し
た例を示す。
【0032】ストライプ状(ストライプの長さが1m
m,膜幅が100μ)の磁性膜は磁界中で成膜しリフト
オッフ法で作製した。図8にこの膜の回転磁界中熱処理
(RFA,225Oe,285℃×60min)前後の
磁区構造図を示す。同図から、RFA処理前にストライ
プ幅方向を向いていた磁化容易方向はRFA処理後では
ストライプ長方向へ変化していることがわかる。この結
果から、CoNbZr系のみならず(CoFe)SiB
系非晶質磁性合金薄膜でも磁気異方性の制御が可能であ
ることがわかる。
【0033】実施例4 本発明を図9に示す5.5ターンの方形スパイラル状磁
心薄膜に適用した。同図の方形スパイラル状磁心薄膜は
λsが正のCoNbZr非晶質膜をガラス基板上に磁界
中で成膜しリフトオッフ法で作製した。磁化容易軸方向
は本発明である正方形(スパイラル状磁心)の対角線方
向(磁心長に対し45°方向:ED(45°))になる
ように、もう一つは比較として従来の異方性付与のしか
たである正方形(スパイラル状磁心)の一辺に平行にな
るように成膜時点に印加する磁界方向を調整した。図1
0にスパイラル状磁心薄膜の回転磁界中熱処理(H=2
25 Oe,285℃×60min)前後の磁区構造を
示す。同図で本発明のED(45°)のスパイラル状磁
心薄膜の磁化容易軸方向は成膜状態のままではどの辺も
方形の辺に対して45°方向を向いている。回転磁界中
熱処理後ではコーナー部では45°方向に磁壁が明瞭に
観察され、それ以外では各辺に沿って180°磁壁が観
察される。辺の中央付近では磁壁は観察されずあたかも
単磁区構造の様相を呈しており、回転磁界中熱処理を施
すことによって容易方向は方形の各辺に平行になったも
のと考えられる。
【0034】一方、従来タイプの一軸異方性膜の磁化容
易方向を方形の一辺に平行にしたED(0°)は、成膜
状態のままでは180°磁区幅が狭くなっているものの
一軸異方性膜の磁区構造をしている。回転磁界中熱処理
後では、90°磁区に変化は認められるものの一軸異方
性的であり、磁区が不揃いになるなど本発明のED(4
5°)のように一様な磁区構造をした膜を得ることは困
難である。
【0035】以上の結果から、方形スパイラル状磁性膜
の異方性を制御するには、成膜時の誘導一軸異方性の方
向と正方形の対角線の方向を一致させた方が、方形すべ
ての磁心の異方性を均一に制御することが可能である。
【0036】実施例5 本発明を方形スパイラルインダクタに適用した。図11
に磁心と導線が同じパターンで、片面に磁心(λs>
0,CoNbZr膜,t=1μm)を付けた方形スパイ
ラルインダクタの熱処理後のインダクタンス(L−L0
,ここでL,L0はそれぞれ磁心つきと空心のインダク
タンス)および性能指数Qの周波数特性を示す。ED
(45°)のインダクタの熱処理はRFA(H=225
Oe、285℃×60min)で行い、ED(0°)
は磁界方向を成膜時に付与された誘導一軸異方性方向に
一致させ、固定磁界中で行った。同図から本発明のED
(45°)のインダクタンスLはおよそ40MHz付近
までほぼ一定であるが、従来タイプのED(0°)は4
MHzより高い周波数になると一種の共鳴現象が起きて
インダクタンスは下降しながら小さくなっていくことが
判る。この共鳴はQの周波数特性にも反映されている。
この特性の違いはスパイラル状磁心で確認したように本
発明のED(45°)のインダクタの磁心の磁化容易方
向はすべてスパイラルの導線方向を向き、一方、従来タ
イプのED(0°)の磁心は外部磁界に対し容易方向と
困難方向の磁心が存在していることが反映されているも
のと推定される。
【0037】実施例6 実施例5と同じ方法で方形スパイラルインダクタに適用
した。図12に導線の両面にCoNbZr膜、片面1μ
mずつ磁心をサンドイッチ状に付けた方形スパイラルイ
ンダクタの熱処理後のインダクタンスL−L0 および性
能指数Qの周波数特性を示す。本発明のED(45°)
のインダクタンスは1〜10MHzでやや小さくなる
が、従来タイプのED(0°)のインダクタンスよりも
大きい値が得られ、周波数特性も良いことが判る。この
特性の違いには、前述の通り、磁心の異方性が制御され
ているか否かが反映されていると考えられる。
【0038】実施例7 本発明を円形スパイラル状磁心薄膜に適用した。図13
に示す様な円形スパイラル状磁心をリフトオッフ法で作
製した。スパイラルの膜幅は100μmである。これを
真空中、回転磁界中熱処理(RFA,印加磁界:220
Oe、280℃60分)を施した。図13(a),
(b)にRFA前後の磁区構造図を示す。同図から成膜
状態では一軸磁気異方性膜であったものが、回転磁界中
熱処理後では、磁化容易軸方向が磁心に沿ってスパイラ
ル状に変化していることがわかる。すなわち、円形スパ
イラル状磁気素子の磁心の励磁方向はすべて磁化困難方
向となっている。このように本発明によれば、磁心形状
が曲線状でも磁気異方性の制御が可能である。
【0039】
【発明の効果】本発明を、非晶質磁性合金薄膜を磁心と
するインダクタ、トランス、センサなどの薄膜磁気素子
に適用することにより高周波帯域で、電気的、磁気的特
性の優れた磁気素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図であり、(a)
はミアンダ型磁気素子、(b)はスパイラル型磁気素子
を示す。
【図2】(a)は図1(a),(b)中のL−L′線断
面図、(b)は導体コイルが多心の場合の磁心構造例の
断面図、(c)は隣接する導体コイルをブロック化した
磁心構造例の断面図を示す。
【図3】従来の磁心に磁気異方性を付与する方法を示す
図であり、(a)はミアンダ型磁気素子、(b)はスパ
イラル型磁気素子を示す。
【図4】従来の磁心に磁気異方性を付与する方法を示す
図であり、(a)はミアンダ型磁気素子、(b)はスパ
イラル型磁気素子を示す。
【図5】本発明をストライプ状磁心薄膜に適用した時の
磁化容易軸方向の変化の一例を示す図である。
【図6】本発明に係るストライプ状磁心における寸法お
よび熱処理前の磁化容易軸方向と異方性制御の難易の関
係の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る方形スパイラル状磁心全体を一様
に異方性制御するための磁化容易軸の方向の範囲の一例
を示す図である。
【図8】本発明を適用したCoFeSiB系非晶質合金
薄膜磁心の磁化容易軸方向の変化の一例を示す図であ
る。
【図9】本発明の実施例4で用いた方形スパイラル状磁
心薄膜の形状の一例を示す図である。
【図10】本発明を方形スパイラル状磁心に適用した時
の磁化容易軸方向の変化の一例を示す図である。
【図11】本発明を方形スパイラルインダクタに適用し
た時のインダクタンスLおよび性能指数Qの周波数特性
の一例を示す図である。
【図12】本発明を方形スパイラルインダクタに適用し
た時のインダクタンスLおよび性能指数Qの周波数特性
の一例を示す図である。
【図13】本発明を適用した円形スパイラル状磁心の回
転磁界中熱処理前後の磁化容易方向の変化の一例を示す
図である。
【符号の説明】
11…導体コイル、22…電流方向、2u…上部磁心、
2d…下部磁心、33…磁心の磁化容易軸方向、55…
基板、He…磁化容易軸方向、Hh…磁化困難軸方向、
H…印加磁界。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白川 究 宮城県仙台市青葉区南吉成6丁目6番地 の3 株式会社アモルファス・電子デバ イス研究所内 (72)発明者 松本 文夫 宮城県仙台市青葉区南吉成6丁目6番地 の3 株式会社アモルファス・電子デバ イス研究所内 (72)発明者 藤森 啓安 宮城県仙台市青葉区吉成2−20−3 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3−8−22 (72)発明者 大沼 繁弘 宮城県仙台市青葉区南吉成6丁目6番地 の3 株式会社アモルファス・電子デバ イス研究所内 (72)発明者 山口 一幸 宮城県仙台市青葉区南吉成6丁目6番地 の3 株式会社アモルファス・電子デバ イス研究所内 (56)参考文献 特開 平4−221812(JP,A) 特開 平3−283503(JP,A) 特開 平5−29146(JP,A) 特開 平5−299282(JP,A) 特開 平5−326260(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体コイルと絶縁層を介した前記導体コ
    イルと同型もしくは類型の強磁性体とからなるミアンダ
    型もしくはスパイラル型薄膜磁気素子において、強磁性
    体の磁化容易軸方向が導体コイル中を流れる電流方向と
    なるように磁気異方性が制御された磁性体を有すること
    を特徴とする薄膜磁気素子。
  2. 【請求項2】 導体コイルと絶縁層を介した前記導体コ
    イルと同型もしくは類型の強磁性体とからなるミアンダ
    型もしくはスパイラル型薄膜磁気素子において、強磁性
    体の磁化容易軸方向が導体コイル中を流れる電流方向に
    対して直角となるように磁気異方性が制御された磁性体
    を有することを特徴とする薄膜磁気素子。
  3. 【請求項3】 強磁性体において、飽和磁歪定数が正も
    しくは負の薄膜磁心で、かつ形状が導体コイルと同型も
    しくは類型の平面状をなし、磁化容易軸方向が導体コイ
    ル中を流れる電流方向に対してすべて直角もしくは平行
    となるように磁気異方性が制御されたことを特徴とする
    請求項1又は2記載の薄膜磁気素子。
  4. 【請求項4】 導体コイルと絶縁層を介した前記導体コ
    イルと同型もしくは類型の強磁性体とからなり、強磁性
    体の磁化容易軸方向が導体コイル中を流れる電流方向と
    なるように磁気異方性が制御された磁性体を有するミア
    ンダ型もしくはスパイラル型薄膜磁気素子の製造方法に
    おいて、素子の磁心が正の飽和磁歪定数の磁性薄膜であ
    って、磁心薄膜を成膜する時に印加する磁界方向と導体
    コイルの電流方向とのなす角度θが0度以上、90度以
    下、好ましくは45度±25度以内になるようにセット
    して製造するか、もしくは磁化容易軸方向と導体コイル
    とのなす角度θが0以上、90度以下、好ましくは45
    度±25度以内になるようにパターニング加工して磁心
    を製造することを特徴とする薄膜磁気素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 導体コイルと絶縁層を介した前記導体コ
    イルと同型もしくは類型の強磁性体とからなり、強磁性
    体の磁化容易軸方向が導体コイル中を流れる電流方向に
    対して直角となるように磁気異方性が制御された磁性体
    を有するミアンダ型もしくはスパイラル型薄膜磁気素子
    の製造方法において、素子の磁心が負の飽和磁歪定数の
    磁性薄膜であって、磁心薄膜を成膜する時に印加する磁
    界方向と導体コイルの電流方向とのなす角度θが0以
    上、90度以下、好ましくは45度±25度以内になる
    ようにセットして製造するか、もしくは磁化容易軸方向
    と導体コイルとのなす角度θが0以上、90度以下、好
    ましくは45度±25度以内になるようにパターニング
    加工して磁心を製造することを特徴とする薄膜磁気素子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 薄膜磁気素子の磁心薄膜を成膜する時に
    印加する磁界方向と導体コイルの電流方向とのなす角度
    θが0以上、90度以下、好ましくは45度±25度以
    内になるようにセットして製造するか、もしくは磁化容
    易軸方向と導体コイルとのなす角度θが0以上、90度
    以下、好ましくは45度±25度以内になるようにパタ
    ーニング加工して磁心を製造した後、回転磁界中熱処理
    を施すことによって強磁性体の磁化容易軸方向と導体コ
    イル中を流れる電流方向に平行、もしくは直角方向とな
    るように磁気異方性を制御することを特徴とする請求項
    4又は5記載の薄膜磁気素子の製造方法。
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