JP2005181302A - コンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法及び破断検知装置 - Google Patents

コンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法及び破断検知装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 極微細な鉄筋の破断であっても精度良く検知することができるコンクリート構造物内鉄筋の破断検知技術を提供する。
【解決手段】 内部に鉄筋を備えるコンクリート構造物の表面に設定された発振点に外力を加え押圧する工程と、前記押圧した外力を除去し、コンクリート構造物内部に引張波を発生させる工程と、前記発振点から一定間隔をおいて設定されたコンクリート構造物の表面の検知点に設置された受信センサによりコンクリート構造物内を伝播した引張波を受信する工程と、受信した引張波の波形からコンクリート構造物内の鉄筋の破断を検知する工程と、を行うことを特徴とするコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンクリート構造物内に配筋された鉄筋の破断検知方法に関し、特に電柱等のコンクリートポールに好適に用いることができる技術に関する。
電柱等に用いられるコンクリートポールは、一般的に長尺状であり、予め鉄筋にプレストレスをかけたプレストレス鋼棒を配筋した鉄筋コンクリート製が主流である。そのため、鉄筋の破断はコンクリートポールの強度の減少を引き起こし、鉄筋の破断状況を的確に把握する必要がある。しかし、コンクリートポールの外部から点検をしても、内部鉄筋の状態の判断は困難であり、従来、電磁誘導の原理を用いて構造物内部の鉄筋の破断を調べていた。
この電磁誘導の原理を用いた鉄筋の破断検知方法とは、まず、構造体に磁界を発生させて、鉄筋に渦電流を発生させる。そして、この発生させた渦電流により再び磁界を発生させて、この磁界を受信コイルで検知し、鉄筋の破断を推定する方法である。しかし、この電磁誘導の原理を用いた検知方法では、以下の問題点があった。第1に、鉄筋の破断が一定の幅がないと検知できなかった。第2に、らせん筋や他の金属部品に影響されやすく、その精度が低くなることがあった。
このような問題を解決するために、衝撃弾性波を用いた検知方法が考えられた。この弾性波を用いた鉄筋の破断方法とは、超音波や打撃ハンマー等によって衝撃弾性波を構造物に発振させて、その走行時間を正確に計り、鉄筋の破断を検知する方法である。構造物の表面にパルスを加えて発振した弾性波の中では、その中の鉄筋を伝わるP波の伝達速度が最も早いことは良く知られている。このP波の伝達時間を用いて、鉄筋の破断を測定する。鉄筋が破断している場合には、破断面をP波が通れず、受信した初動信号は隣接するの鉄筋か周りのコンクリート面などを伝わってくるため、鉄筋が破断していない場合に比べて到達時間が遅れる。この到達時間の遅れを把握することによって、鉄筋の破断を検知する方法である(特許文献1参照)。この発生させた弾性波は、構造物の内部を潜っていくため、構造物表面の部品等に影響を受けることがなかった。
特開2003−14707号公報
しかし、前記超音波や打撃ハンマー等による打撃弾性波は圧縮波であり、この圧縮波は、粒子の動き方向と波の伝播方向が同一方向であるため、ひび割れや破断面の幅が微少の場合には、波が通過してしまうことがあった。そのため、ひび割れや破断面の幅が微少である場合には、発見できないことが多々あった。
本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、極微細な鉄筋の破断であっても精度良く検知することができるコンクリート構造物内鉄筋の破断検知技術を提供することを技術的課題とする。
すなわち、本発明は、内部に鉄筋を備えるコンクリート構造物の表面に設定された発振点に外力を加え押圧する工程と、前記押圧した外力を除去し、コンクリート構造物内部に引張波を発生させる工程と、前記発振点から一定間隔をおいて設定されたコンクリート構造物の表面の検知点に設置された受信センサによりコンクリート構造物内を伝播した引張
波を受信する工程と、受信した引張波の波形からコンクリート構造物内の鉄筋の破断を検知する工程と、を行うことを特徴とするコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法である。
本発明は前記工程により、コンクリート構造物内を伝播する引張波を用いて、外観では確認することが困難なコンクリート内鉄筋の破断状況を検知することが可能となる。ここで、引張波とは、衝撃弾性波の一種であり、構造物内の粒子の動き方向と波の伝播方向が反対方向の弾性波のことである。これに対して圧縮波とは、粒子の動き方向と波の伝播方向が同じ方向の弾性波である。この引張波は、従来圧縮波では波が通過してしまっていた微細なひび割れであっても波の伝播が遮断されるため、微細な幅の鉄筋の破断も検知することが可能となる。そのため、従来の圧縮波を用いた破断検知方法と比較して破断検知の精度を大幅に向上させることが可能となる。
この引張波を発生させる方法としては、引張波を発生させたい点に外力を加え押圧し、この押圧した外力を除去する方法がある。この方法によれは、押圧された点を中心に引張波が伝播する。この波の伝播方向は、構造物の表面から内部に向かっている。これに対して粒子の動きの方向は、押圧された外力が除去されると構造体の表面が元に戻るため、構造体の表面に向かっている。従って、粒子の動き方向と波の伝播方向が反対方向に向かう。尚、この引張波を発生させる際には、構造体が元に戻るよりも早く発振点に加えた外力を除去しなければならない。構造体のが元に戻る際に外力が完全に除去されていないと、正確に粒子の動き方向が構造体表面に向かわないことがあるからである。
また、本発明は、前記引張波の鉄筋とコンクリートの伝播速度を予め計測する工程と、前記受信センサにて受信した引張波の波形を予め計測したコンクリートと鉄筋の伝播速度に基づいて解析し、鉄筋の破断及びコンクリートのひび割れを検知する工程と、を行うことが望ましい。
一般的に、鉄筋を伝わる弾性波の速度とコンクリートを伝わる弾性波の速度は異なっており、鉄筋を伝わる弾性波の速度の方が速く、その波形も異なっている。その速度は、鉄筋で500〜550(cm/ms)、コンクリートで400〜450(cm/ms)である。また、前述のように、鉄筋が破断している場合には、その破断部分を引張波が通過しない。そのため、発振点から検知点の間の鉄筋が破断している場合には、検知点において鉄筋の引張波は検知されない。しかし、鉄筋が近接して配置されている場合には、隣接する鉄筋を伝播して検知点で鉄筋の縦波が検知されることがある。この場合は、破断のない通常の鉄筋の伝播速度と比較して、引張波の到達時間の遅れから破断を検知することが可能となる。このようにして、通常の鉄筋の伝播速度を検知点にて受信した引張波の波形に基づいて解析することにより、鉄筋の破断を検知することができる。さらに、受信した引張波を分析することにより、鉄筋の破断位置、配置状況を検知することが可能となる。
一方、コンクリートがひび割れを生じている場合には、コンクリート内を伝播する引張波は、発振点から検知点まで直進せず、ひび割れ面を迂回して伝播する。そのため、検知点での到達時間が遅くなる。従って、予め計測したコンクリートの伝播速度に基づいて検知点にて受信した引張波を解析することによって、コンクリートのひび割れを検知することができる。このようにして、鉄筋とコンクリート引張波を受信することにより、鉄筋の破断状況及びコンクリートのひび割れ状況を確認することが可能となる。
また、本発明は、前記発振点に加える外力を圧折可能な加圧部材を用いて行い、この加圧部材を圧折することにより発振点に加えた外力を除去することが望ましい。前述のように、引張波を発生させるためには、構造体が元に戻るよりも早く発振点に加えた外力を除去しなければならない。しかし、外力を加えられ押圧されたコンクリート構造体が元の状
態に戻る前に、瞬時に外力を除去することは難しく、完全に除去できない場合も生じる。そうすると、コンクリート構造体内に引張波が発生せず、内部鉄筋の破断検知を正確に行えないこととなる。そこで、圧折可能な加圧部材を用いることが望ましい。この加圧部材によれば、一定の外力を加えた後、加圧部材を折ることにより外力を瞬時に除去できるためである。
また、本発明は、内部に鉄筋を備えるコンクリート構造物の表面に設定された発振点に外力を加え押圧した後、押圧した外力を除去しコンクリート構造物の内部に引張波を発生させる加圧部材と、前記発振点に設置され、前記加圧部材によって発生された引張波を検知する第一のセンサと、前記発振点から一定間隔をおいて設定されたコンクリート構造物の表面の検知点に設置され、コンクリート構造物内を伝播した引張波を検知する第二のセンサと、を備えることを特徴とするコンクリート構造物内鉄筋の破断検知装置である。
本発明は、前記破断検知装置により、コンクリート構造物内を伝播する引張波を用いて、外観では確認することが困難なコンクリート内鉄筋の破断状況を高い精度で検知することが可能となる。
なお、前記第一のセンサと第二のセンサは、前記発振点又は受信点においてコンクリート構造物内を伝播する引張波を検知できるものであればよく、例えば、加速度センサ、AEセンサを例示でき、種々のセンサを用いることができる。
前記加速度センサとは、振動の測定において加速度を測定するセンサであり、代表的なセンサとして加速度ピックアップが挙げられる。加速度ピックアップは、圧電素子とバネ性を有し慣性運動可能なおもりとを内部に備えており、引張波の振動が伝達すると前記オモリが慣性運動するため、圧電素子に加速度に比例した力が加わり、電荷の変化により振動を検知するセンサである。また、前記AEセンサとは、センサの底部に圧電素子を配置しており、引張波の振動の到達によって圧電素子の膜が変形し、電荷が発生することにより振動を検知するセンサである。
また、本発明は、前記第一のセンサと第二のセンサのうち少なくともいずれか一方は、AEセンサを用いることが望ましい。本発明は、いずれのセンサも好適に用いることができるが、前記加速度センサは、おもりを用いるため重力の影響を受けやすく、測定時の設置向きが不良であると、測定結果に影響を及ぼすことがある。
これに対して、AEセンサは、前記加速度ピックアップと異なりおもりがなく、センサの底部にある圧電素子の膜の変形によって電荷を発生させるため、加速度ピックアップと比較して感度が良好であり、実際に振動が到達した時間と検知する時間とのタイムラグがほとんどないという特徴を有する。本発明は、引張波の検知によって鉄筋の破断を検知するため、引張波の検知精度を上げることにより、鉄筋の破断検知精度を向上させることが可能となる。
以上のように本発明に係るコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法及び破断検知装置によれば、外観からは確認することが出来ない構造物内部の鉄筋の微細な破断を高い精度で検知することが可能となる。また、検知点にて受信した引張波を分析することにより、鉄筋の破断のみならず、コンクリートのひび割れも検知することができる。
以下、本発明に係るコンクリート構造体内鉄筋の破断検知方法の一実施例を詳細に説明する。本実施形態では、コンクリート構造体内鉄筋の破断検知方法の一例として、内部に
複数の鉄筋を有する電柱における鉄筋の破断検知を行った。図1は、本実施の形態に係る鉄筋の破断検知システムの構成概略図である。
本実施の形態の鉄筋の破断検知装置は、引張波を発生させる圧折部材としてのシャープペンシル1と、電柱内を伝播する引張波を採取して、電気信号に変換する第一のセンサとしての加速度ピックアップセンサ2と、第二のセンサとしてのAEセンサ3と、前記加速度ピックアップ2とAEセンサ3とからの電気信号を増幅するチャージアンプ4,5と、ターミナルパネル6と、引張波を解析処理し、画面上に表示するパーソナルコンピュータ7と、を備えている。
このように構成された鉄筋の破断検知装置は、電柱表面の任意の2点を発振点S1,受信点S2として設定し、各点に加速度ピックアップセンサ2とAEセンサ3とを配置しておき、発振点S1から引張波を発生させる。この引張波の波動信号を加速度ピックアップセンサ2とAEセンサ3とから採取し、電気信号に変換する。加速度ピックアップセンサ2とAEセンサ3とからの電気信号はチャージアンプ4,5により増幅され、ターミナルパネル6を経由しパーソナルコンピュータ7へ送られる。パーソナルコンピュータ7内部のA/Dボードによってデジタル信号に変わり、ハードディスクに保存される信号採取過程が完了する。採取した波動信号を解析し、鉄筋の破断の有無を検知する。
次いで、この鉄筋検知装置を用いた鉄筋の破断検知方法を図10に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。まず、電柱の破断検知を行う前に、鉄筋の破断及びコンクリートのひび割れが生じていない鉄筋コンクリート試験体を用意し、引張波を発生させて、それぞれの伝播時間から鉄筋とコンクリートの伝播速度を計測する。本実施の形態では、この引張波を発生させる方法として、圧折部材としてシャープペンシル1の芯を用いて、シャープペンシル1から一定の長さの芯を延出させて発振点を押圧し、この芯を折ることにより瞬時に外力を除去して引張波を発生させた。この試験体を用いた計測から、鉄筋とコンクリートにおけるP波の伝播速度の基準値を算出する(ステップ1)。表1は、5回計測を行って算出した基準値である。
Figure 2005181302
次いで、図1に示す破断検知装置を用いて電柱内鉄筋の破断の検知を行う。破断の検知を行う測定区間の両端を発振点S1と受信点S2として、加速度ピックアップセンサ2とAEセンサ3とを取り付ける。本実施の形態では、測定区間を30cmに設定した。そして、発振点S1においてシャープペンシル1の芯を用いて引張波を発生させる(ステップ2)。この引張波のP波を加速度ピックアップセンサー2とAEセンサ3とによって1μS間隔で採取し、パーソナルコンピュータ7に取り込む(ステップ3)。
尚、ステップ2とステップ3の引張波の検知は、電柱の円周面に沿って1cm間隔で繰り返し行う。通常、電柱の外観からは鉄筋の配置を認識することは困難であり、実際の測定において鉄筋の真上に発振点S1及び受信点S2を設定することは困難である。しかし、コンクリートにおけるP波の伝達速度と鉄筋におけるP波の伝達速度は予め測定済みであり、細かい間隔で引張波を計測して各計測点での伝達速度を比較することにより、その
計測点の近くに鉄筋が配されているか否かを判別することができる。
このようにして、複数点において採取したP波の波動信号から伝播速度を算出し、予め算出した基準値に基づいて、破損状況を推定する(ステップ4)。内部鉄筋の破断が予想される電柱を対象に、本発明により推定した鉄筋の破断状況と当該電柱を破砕し内部鉄筋の破断状況を調査した結果との比較を表2に示す。
Figure 2005181302
表2に示すように、13本の電柱(イ〜ワ)の計232本の鉄筋に対する測定結果では、正解が216本を占め全体正解率は93%となった。破砕より判明した鉄筋は21本となり、本実施の形態によって推定した破断鉄筋が23本、破断を見逃した鉄筋の本数は7本であったことから、安全サイドの確率は97%となった。
次いで、引張波の波形から推定される鉄筋及びコンクリートの破損状況を図面に基づいて詳細に説明する。電柱の破損状況としては、図2から図5に示す4パターンに大別される。図2は、鉄筋、コンクリート共に破損していない状態である。この場合、検知点から引張波を発生させると、引張波が途中で迂回することなく発振点から検知点まで伝達されるため、図2(b)に示すように、鉄筋P波11に遅れて、コンクリートP波21が検知される。これは、コンクリートP波21より、鉄筋P波11の方が伝播速度が速いためである。
図3は、鉄筋は破損していないが、コンクリートがひび割れを生じている状態である。この破損状態では、図3(b)に示すように破損していない鉄筋P波11は、理論値とほぼ同じ伝播速度で伝播し、コンクリートP波21は理論値よりも遅れて伝播する。コンクリートP波21は、ひび割れた部分を迂回して伝播するため遅れて検知される。
図4は、鉄筋が破断しており、コンクリートがひび割れを生じている状態である。この破損状態では、図4(b)に示すように、鉄筋P波11は破断部分を通過しないため検知されず、コンクリートP波21は理論値よりも遅れて検知される。しかし、鉄筋が近接して複数配筋されている場合には、鉄筋が破断している場合でも鉄筋P波11が検知されることがある。これは図4(c)に示すように隣接する鉄筋を経路して鉄筋P波11が伝播したためであり、伝播時間の遅れから鉄筋の破断を検知することができる。また、図5は
、鉄筋が破断しており、コンクリートにはひび割れが発生していない状態である。この場合には、鉄筋P波11は検知されず、コンクリートP波21は理論値とほぼ同じ伝播速度で検知される。
このように、鉄筋が破断されている場合には通常鉄筋P波11は検知されず、コンクリートにひび割れが生じている場合には、コンクリートP波21の伝達時間が理論値よりも遅くなる。従って、検知した引張波の波形信号から、鉄筋の破断状況及びコンクリートのひび割れ状況を推定することができる。
加えて、コンクリートの到達時間からコンクリートの迂回経路を算出することができる。このコンクリートの迂回経路はコンクリートのひび割れ深さに応じて長くなるため、コンクリート到達時間からひび割れの深さを算出することができる。このようにして算出したコンクリートP波の遅れとコンクリートの横ひび割れ幅との関係を図6に示す。この算出方法によれば、微細な鉄筋の破断であっても検知することができる。また、コンクリートのひび割れの有無のみならず、ひび割れの深さも推定することができる。
<実験例1>
本実施の形態に係る鉄筋の破断検知方法を用いて、鉄筋の微細な破断の検知の検証を行った。
(実験方法)
図7に示す3本の鉄筋を埋め込んだ2つの試験体(A1,A2)を用い、一方の試験体(A2)鉄筋のうち一本の鉄筋を0.2mm破断して、本発明に係る鉄筋の破断検知方法を行い、破断の有無を検知した。破断の判定は、引張波の波動信号を画面上に表示し、全ての測定データの平均値を算出し、その平均値より波動信号が大幅に遅れている箇所は、鉄筋が破断していると判定した。
(実験結果)
図8、図9は、2つの試験体の測定結果を示している。図8は、鉄筋が破断していない試験体A1の測定結果である。図示する丸で囲った箇所が鉄筋の位置である。図8に示すように、いずれの波形も遅れなく一斉に立ち上がっており、鉄筋が破断していないことがわかった。一方、図9に示した試験体A2の測定結果では、中央の鉄筋部分の波形が遅れており、鉄筋が破断していることがわかった。この結果、0.2mmの破断であっても破断部分を引張波は伝播せず、破断を検知できることがわかった。
実施例1は、実施の形態に係る鉄筋の破断検知装置の検知精度を更に向上させた実施例である。尚、実施例1の説明において前記実施形態と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図11は、実施例1に係る破断検査装置の概要図である。実施例1に係る破断検知装置は、前記実施の形態において加速度ピックアップセンサ2を用いていた発振点S1のセンサを受信点S2と同様にAEセンサ3を用いる。また、測定対象である電柱と各AEセンサ3との間には、振動の伝動精度を高めるための固定プレート8が設けられている。
前記固定プレート8は、電柱と各AEセンサ3との間に配置されており、電柱と接する面が電柱の外形に沿うように曲線形状に形成されている。一般的に測定対象である電柱の外形は円柱状であるのに対して、AEセンサ3の側面は直線状である。よって、電柱の外周面にAEセンサ3を当設すると互いが密着せず、引張波を正確に採取できず、検査精度が低下するおそれがある。
しかし、前記固定プレート8は、その一側面が電柱の外周面に沿う曲線形状であるため、電柱とAEセンサ3との間に配置されることにより、AEセンサ3と電柱との隙間がなくなり、検査精度を高めることができる。但し、当該固定プレート8は、必要に応じて設ければよく、検知状況によっては前記固定プレート8を配置せず鉄筋の破断検知を行うことができることはもちろんである。
さらに、実施例1に係る破断検知装置は、前記実施形態では1μS間隔で採取していた引張波の採取をデジタルオシロスコープを用いて0.04μS間隔で行った。これにより、前記実施形態と比較して50倍間隔が狭まり、引張波の発生とそれを採取するセンサのタイムラグが少なくなり、更なる検知精度の向上を図ることができる。
また、実施例1では、前記S2に設置したAEセンサ3によって採取した引張波の波動信号から引張波が発生した初動時間を算出し、初動時間の正確性を高めた。この原理は以下の通りである。図12は、引張波の波動信号と時間との関係を示した図である。横軸が、時間の経過であり、1、2、3等の数字が付された縦軸は、AEセンサ3が波動信号を取得するタイミングを表しており、丸が付されている箇所がAEセンサ3が実際に取得した波動信号である。
図12(a)は、AEセンサ3の採取した波動振動から人工的に元の波形を推定した図である。すなわち、AEセンサ3の取得した点を結び、それを回帰させた回帰曲線であり、T1が、真実の初動時間と推定される。しかし、実際に測定を行う際は、図示する丸のみが採取され、最も早い時間に引張波が採取された点を初動時間として、設定することもできる。(図12(b)T2参照)。
しかし、T1とT2を比較すると、初動時間の設定のずれがあり、このずれは、鉄筋の破断検知において影響を及ぼし、誤判定原因となることも考えられる。従って、本実施例1では、採取開始から3点目までの採取点を選択して、これを直線で結び、この直線と時間軸との交点T3を初動時間として設定した。このようにして、得られた衝動時間をT3とする。図12から明らかなように、T3とT1との差はわずかであり、T2とT1との差より少なくなっていることがわかる。よって、引張波の伝播速度の精度を向上させることができる。
<実験2>
以上のように構成した実施例1に係る鉄筋の破断検知装置を用いて、鉄筋の微細な破断の検知の検証を行った。
(実験方法)
24本の電柱に埋め込まれている147本の鉄筋について、実施例1に係る鉄筋の破断検知を行い、その後電柱を破壊して実験の検証を行った。破断の判定は、各電柱について測定した引張波の波形信号を1画面に濃淡表示して、平均ラインL1(全ての波形の立ち上がりの平均値)と、破断ラインL2(鉄筋の破断している場合に立ち上がりが想定されるライン)と、相対ラインL3(破断ラインを平均値分遅らせたライン)の3本のラインを元に表3に示す基準で破断の判定を行った。
Figure 2005181302
(実験結果)
図13は、本実験2における引張波の波動信号の表示画面である。図示する左側の直線は、鉄筋が配されている位置を示しており、テンションが付加されている鉄筋と、テンションが付加されていない鉄筋とを視認できるように区別して表示している。また、その右側の濃淡表示は、各位置における引張波の波動信号である。濃淡の濃い方が、波動信号が強いことを示している。各鉄筋において、表3に示す3本のラインを基準に破断しているか否かの判定を行う。例えば、図示する×印は、相対ラインL3においても波動信号が弱く、鉄筋が破断していると判定する。このようにして鉄筋の破断の有無を判定した後、電柱を破壊して判定結果の検証を行う。実験による破断検知と実際の鉄筋の破断状況の結果を表4に示す。
Figure 2005181302
表4に示すように、合計147本の鉄筋について破断検知を行った結果、141本の鉄筋については正確な判定がなされており、6本の鉄筋については誤判定であった。その内訳は、健全鉄筋(劣化、破断等のない鉄筋)130本のうち125本については健全と正確な判定がされ、残りの5本は破断又は劣化と判定された。健全鉄筋全体の正解率は96%である。しかし、健全鉄筋の誤判定5本について実際に検証したところ、さび等の腐食が激しく、破断してはいないが腐食が進んだものであった。すなわち、腐食が進行した鉄筋は破断又は劣化として判定される可能性があることがわかった。
また、実験を行った鉄筋のうち実際に破断していた破断鉄筋は17本であり、16本は破断と判定され、1本は健全と判定された。破断鉄筋全体の正解率は94%であった。こ
れらの実験の結果から、本実施例1に係る破断検知方法によれば、前記実施形態と比較しても高い精度で鉄筋の破断を検知できることがわかった。
本実施形態に係る電柱の破損検知装置の構成概略図である。 引張波の波形と鉄筋及びコンクリートの破損状況の関係を示した図である(鉄筋、コンクリート共に破損無し)。 引張波の波形と鉄筋及びコンクリートの破損状況の関係を示した図である(鉄筋破損無し、コンクリート破損有り)。 引張波の波形と鉄筋及びコンクリートの破損状況の関係を示した図である(鉄筋、コンクリート共に破損有り)。 引張波の波形と鉄筋及びコンクリートの破損状況の関係を示した図である(鉄筋破損有り、コンクリート破損無し)。 コンクリートP波の伝搬の遅れとコンクリート横ひび割れ幅の関係を示した図である。 実験例に用いたコンクリート試験体を示した図である。 実験例の測定結果を示した図である(鉄筋破断無し)。 実験例の測定結果を示した図である(鉄筋破断有り)。 鉄筋の破断検知方法のフローチャートである。 本実施例1に係る電柱の破損検知装置の構成概略図である。 引張波の波動信号と時間との関係を示した図である 本実験2における引張波の波動信号の表示画面である。
符号の説明
1 シャープペンシル
2 加速度ピックアップ
3 AEセンサー
4,5 チャージアンプ
6 ターミナルパネル
8 固定プレート
11 鉄筋P波
21 コンクリートP波

Claims (6)

  1. 内部に鉄筋を備えるコンクリート構造物の表面に設定された発振点に外力を加え押圧する工程と、
    前記押圧した外力を除去し、コンクリート構造物内部に引張波を発生させる工程と、
    前記発振点から一定間隔をおいて設定されたコンクリート構造物の表面の受信点に設置された受信センサによりコンクリート構造物内を伝播した引張波を受信する工程と、
    受信した引張波の波形からコンクリート構造物内の鉄筋の破断を検知する工程と、を行うことを特徴とするコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法。
  2. 前記引張波の鉄筋の伝播速度を予め計測する工程と、
    前記受信センサにて受信した引張波の波形を予め計測した鉄筋の伝播速度に基づいて解析し、鉄筋の破断を検知する工程と、を行うことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法。
  3. 前記引張波のコンクリートの伝播速度を予め計測する工程と、
    前記受信センサにて受信した引張波の波形を予め計測したコンクリートの伝播速度に基づいて解析し、コンクリートのひび割れを検知する工程と、を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法。
  4. 前記発振点に加える外力を圧折可能な加圧部材を用いて行い、この加圧部材を圧折することにより発振点に加えた外力を除去することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンクリート構造物内鉄筋の破断検知方法。
  5. 内部に鉄筋を備えるコンクリート構造物の表面に設定された発振点に外力を加え押圧した後、押圧した外力を除去しコンクリート構造物の内部に引張波を発生させる加圧部材と、
    前記発振点に設置され、前記加圧部材によって発生された引張波を検知する第一のセンサと、
    前記発振点から一定間隔をおいて設定されたコンクリート構造物の表面の受信点に設置され、コンクリート構造物内を伝播した引張波を検知する第二のセンサと、を備えることを特徴とするコンクリート構造物内鉄筋の破断検知装置。
  6. 前記第一のセンサと第二のセンサのうち少なくともいずれか一方は、AEセンサを用いることを特徴とする請求項5に記載のコンクリート構造物内鉄筋の破断検知装置。
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