JP2005180929A - 燃料集合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度、可燃性毒物濃度分布を最適化し燃料経済性を改善した燃料を提供すること。
【解決手段】 軸方向上下端部の少なくとも一方に低反応度領域を備えた第1群の燃料棒と、その軸方向上端部もしくは下端部もしくは両方の低反応度領域の長さが前記第1群の燃料棒よりも短かい少なくとも一つの他の燃料棒を有する。第1群と他の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が、軸方向上端部においては4/24以下、軸方向下端部においては2/24以下である。また、第1群の燃料棒は最外周以外の位置あるいはウォータロッド・ウォータチャンネルに面隣接しない位置あるいは最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 軸方向上下端部の少なくとも一方に低反応度領域を備えた第1群の燃料棒と、その軸方向上端部もしくは下端部もしくは両方の低反応度領域の長さが前記第1群の燃料棒よりも短かい少なくとも一つの他の燃料棒を有する。第1群と他の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が、軸方向上端部においては4/24以下、軸方向下端部においては2/24以下である。また、第1群の燃料棒は最外周以外の位置あるいはウォータロッド・ウォータチャンネルに面隣接しない位置あるいは最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、沸騰水型原子炉に装荷する燃料集合体に係わり、特に従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度、可燃性毒物濃度分布を最適化し燃料経済性を改善した燃料集合体に関する。
一般に、沸騰水型原子炉の炉心は、燃料被覆管内に酸化ウランなどの燃料ペレットを多数充填した複数の燃料棒から構成されている多数の燃料集合体と、その燃料集合体間に挿抜自在に設けられた十字型制御棒とにより形成されており、上記十字型制御棒1本の周囲に4体の燃料集合体が配置されている。
この燃料集合体の一例を図15に示す。図15の(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるB−B矢視断面図、および(c)は(a)におけるC−C矢視断面図であり、燃料集合体1は、それぞれ複数本の長尺燃料棒2と短尺燃料棒3、および1本または2本のウォータロッド4を、軸方向に配置した複数のスペーサ5で正方格子状に束ねている。
また、この束ねた複数の燃料棒のうちで、長尺燃料棒2は外部スプリング6と共に上部タイプレート7と下部タイプレート8で、また、短尺燃料棒3は下部タイプレート8に固定されていて、この燃料棒の束は、周囲をチャンネルボックス9で包囲している。
なお、前記チャンネルボックス9内における長尺燃料棒2と短尺燃料棒3、およびウォータロッド4の長さと本数、さらに形状や配置については、それぞれ原子炉によって異なることから、上記図15に示す燃料集合体1に限定されるものではない。
ところで、近年、ますます原子力発電の経済性の向上が求められているが、燃料経済性向上のためには、一定の発生エネルギーを得るのに必要な核分裂物質量を減らすことが望ましい。一方、一般的に原子炉では炉心周辺部や上下部近傍では、中性子の漏洩が大きく炉心中心部に比べ、核分裂性物質や可燃性毒物の燃焼が遅れる。特に沸騰水型原子炉ではチャンネルボックス内を流れる冷却材中にはボイドが発生しており、ボイド率は炉心上部程大きく下部程小さいので、上部程中性子の漏洩が大きく、したがって炉心上部は中心部に比べ出力は低く、核分裂性物質や可燃性毒物の燃焼は遅れる。
このような問題に対処するため、一般的に原子炉では、燃料棒の上端部もしくは下端部もしくはその両方において含有される核分裂性物質の濃縮度を、中央部領域よりも低下させて低反応度領域とし、上下端部からの中性子の漏れを低減させ、効率的に核分裂性物質を燃焼させることができるようにし、また同時に上下端部での核分裂性物質の燃え残りを低減させ、燃料経済性を向上させるようにしている。
最近の燃料核設計では、軸方向上部に燃料有効長の2/24あるいは1/24、軸方向下部に燃料有効長の1/24の低反応度領域を設けるのが一般的である。
しかし、前記上下端部に低反応度領域を設けても、特に上端部ではその直下の領域等では、中央部領域と比較し出力が低く燃焼が進まないため、核分裂性物質や可燃性毒物が燃え残る傾向がある。このため、従来の燃料では、上下端の低反応度領域と中央部領域の間に中央部領域の濃縮度よりも低い濃縮度の新たな濃縮度領域を設け、軸方向の濃縮度分布を最適化していた。また、同様にその領域の可燃性毒物濃度を若干低下させ、軸方向の可燃性毒物濃度を最適化していた。
しかし、このような新たな濃縮度領域を形成する場合、用意する濃縮度種類数が増加したり、製造するペレット種類数が増えてしまい、製造コストが増加する傾向があった。また、線出力密度等の炉心特性上の観点からは、軸方向出力分布をなるべく平坦化させた方が好ましく、このため上端部直下の領域等で濃縮度を低下させた場合においても当該部分での軸方向出力分布は過度に低下しないことが望ましく、このため反応度が高いほうが望ましい。
本発明は、このような点に鑑み、従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度、可燃性毒物濃度分布を最適化し燃料経済性を向上させることができる燃料集合体を得ることを目的とする。
請求項1に係る発明は、複数の燃料棒と1本または複数のウォータロッドあるいはウォータチャンネルを正方格子状に束ねて構成する沸騰水型原子炉用の燃料集合体において、軸方向上下端部の少なくとも一方に低反応度領域を備えた第1群の燃料棒と、軸方向上下端部の少なくとも一方に低反応度領域を備え、その軸方向上端部もしくは下端部またはその両方の低反応度領域の長さが前記第1群の燃料棒における対応部位の低反応度領域の長さよりも短かい少なくとも一つの他の燃料棒群を有することを特徴とする。
第1群の燃料棒と他の群の燃料棒では低反応度領域の長さが異なることから、第1群の燃料棒では低反応度領域で他の群の燃料棒では低反応度領域ではない水平断面領域(以下、この水平断面領域を低高反応度混成領域という)が存在する。このような断面を有する領域に着目すると、実効的に中央部領域と低反応度領域の中間程度の平均濃縮度をもつ領域を形成させることができ、濃縮度種類数を増加したり製造するペレット種類数を増加させることなく、軸方向の濃縮度分布を最適化させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が、軸方向上端部においては燃料有効長の4/24以下、軸方向下端部においては燃料有効長の2/24以下であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒が軸方向上端部に低反応度領域を備え、前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が燃料有効長の2/24であることを特徴とする。
すなわち上端部に低反応度領域を形成し、さらにその直下の低高反応度混成領域を有効長の2/24とすることにより濃縮度分布を最適化することができ、過度に中央部断面の局所出力を大きくさせることなく、サイクル末期の反応度を高めることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において、前記第1群の燃料棒と第2群の燃料棒が軸方向下端部に低反応度領域を備え、前記第1群の燃料棒と第2群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が燃料有効長の1/24であることを特徴とする。すなわち下端部に低反応度領域を形成し、さらその直上の低高反応度混成領域を有効長の1/24とすることにより濃縮度分布を最適化することができ、過度に中央部断面の局所出力を大きくさせることなく、サイクル末期の反応度を高めることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る発明において、前記第1群の燃料棒と第2群の燃料棒が軸方向上端部および下端部に低反応度領域を備え、前記第1群の燃料棒と第2群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が、軸方向上端部においては燃料有効長の2/24、軸方向下端部においては燃料有効長の1/24であることを特徴とする。
すなわち上下端部に低反応度領域を形成し、さらその直下および直上の低高反応度混成領域を有効長の2/24および1/24とすることにより濃縮度分布を最適化することができ、過度に中央部断面の局所出力を大きくさせることなく、サイクル末期の反応度を高めることができる。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに係る発明において、前記第1群の燃料棒は、前記燃料集合体において最外周以外の位置に配置されていることを特徴とする。低高反応度混成領域を断面でみた場合、低反応度の燃料棒を比較的出力の低い、すなわち核分裂性物質が燃え残り易い最外周以外の位置に配置することにより、核分裂性物質の燃え残りを低減し効率的に燃焼させることができる。一方、高濃縮度の燃料棒を比較的出力の高い位置に配置することができ、反応度を増加することができる。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記第1群の燃料棒は、前記燃料集合体においてウォータロッドあるいはウォータチャンネルに面隣接しない位置に配置されたことを特徴とする。低高反応度混成領域を断面でみた場合、低反応度の燃料棒を比較的出力の低い、すなわち核分裂性物質が燃え残り易いウォータロッドあるいはウォータチャンネルに面隣接しない位置に配置することにより、核分裂性物質の燃え残りを低減し効率的に燃焼させることができる。
請求項8に係る発明は、請求項6または7に係る発明において、前記第1群の燃料棒は、前記燃料集合体において最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置されていることを特徴とする。低高反応度混成領域を断面でみた場合、比較的出力の低い、すなわち核分裂性物質が燃え残り易い最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に低反応度の燃料棒を配置することにより、核分裂性物質の燃え残りを低減し効率的に燃焼させることができる。一方、高濃縮度の燃料棒を比較的出力の高い位置に配置することができ、反応度を増加することができる。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに係る発明において、前記第1群の燃料棒のうち一部の燃料棒は、前記低反応度領域を除く領域の全てもしくはその一部に可燃性毒物を含有することを特徴とする。軸方向端部から可燃性毒物を排除することにより可燃性毒物の残留量を減らすことができる。また同時に低高反応度混成領域を断面でみた場合、可燃性毒物を含有する燃料棒を比較的出力の低い、すなわち可燃性毒物が燃え残り易い位置以外に配置することにより可燃性毒物の残留量を減らすことができる。これらの効果により燃料経済性を向上させることができる。一方、高濃縮度の燃料棒を比較的出力の高い位置に配置することができ、反応度を増加することができる。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明において、前記第1群の燃料棒のうち一部の燃料棒は、前記低反応度領域を除く領域の全てもしくはその一部に可燃性毒物を含有し、前記低反応度領域を除く領域の全てもしくはその一部に可燃性毒物を含有した前記第2群の燃料棒に隣接する位置に配置されていることを特徴とする。低高反応度混成領域を断面でみた場合、低反応度の第1群の燃料棒が、可燃性毒物を含有する第2群の燃料棒に隣接することにより、第2群の燃料棒に含有される可燃性毒物の燃焼を促進させ燃料経済性を向上させることができる。
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに係る発明において、前記低反応度領域は、天然ウランであることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに係る発明において、前記低反応度領域は、ウラン−235の濃縮度が1wt%程度以下であることを特徴とする。低反応度領域を天然ウラン或いはウラン−235の濃縮度を1wt%程度以下としたものとすることによって、上下端部からの中性子の漏れを低減させると共に上下端部での核分裂性物質の燃え残りを低減させることができ、燃料経済性を向上させることができる。
請求項13に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに係る発明において、前記低反応度領域は、使用済み燃料の再処理より得られた回収ウランであることを特徴とする。低反応度領域を回収ウランとすることによっても、当該領域を天然ウランとした場合と同様の効果が得られ、燃料経済性を向上させることができる。
請求項14に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに係る発明において、前記低反応度領域は、U−235の濃縮工程における廃棄材より得られた劣化ウランであることを特徴とする。低反応度領域を劣化ウランとすることによっても、当該領域を天然ウランとした場合と同様の効果が得られ、燃料経済性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明の燃料集合体は、軸方向上端部および下端部の少なくとも一方に設けられた低反応度領域の長さが互いに異なる複数群の燃料棒を有するようにしたので、1つの群の燃料棒では低反応度領域で他の群の燃料棒では低反応度領域ではない水平断面が存在し、当該領域においては、実効的に中央部領域と低反応度領域の中間程度の平均濃縮度をもつ領域を形成させることができ、濃縮度種類数を増加したり製造するペレット種類数を増加させることなく、軸方向の濃縮度分布を最適化させることができ、従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度、可燃性毒物濃度分布を最適化し燃料経済性を改善することができる。
以下、添付図面を参照した本発明の実施の形態について説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、燃料集合体内では、軸方向や径方向に燃料である核分裂性物質の濃縮度や、可燃性毒物の濃度について分布がつけられているが、ここでは詳細な分布については省略して説明する。また、本第1の実施の形態については、上記図15に示した燃料集合体1と同様に、燃料棒配列は9行×9列にしている。
図1は本発明の第1の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、燃料集合体内では、軸方向や径方向に燃料である核分裂性物質の濃縮度や、可燃性毒物の濃度について分布がつけられているが、ここでは詳細な分布については省略して説明する。また、本第1の実施の形態については、上記図15に示した燃料集合体1と同様に、燃料棒配列は9行×9列にしている。
図1(a)に示す燃料集合体10は、炉心内に挿抜自在で断面が十字状の制御棒11の周囲に配置されるように構成されており、ウラン燃料の燃料棒を9行×9列の正方格子配列とし、74本の燃料棒として燃料棒U1を50本、燃料棒U2を8本、および可燃性毒物であるガドリニア(以下、Gdと略称する)を含有したGd燃料棒G1の16本が配置され、さらに、2本の太径ウォータロッド4(W)を配置することにより構成されている。
また、一般的に高燃焼度燃料集合体では、軸方向の中性子の漏れを少なくして経済性を上げるために、軸方向の上下端部に天然ウランブランケット部を設けているが、図1(b)に示すように、燃料棒U1とGd燃料棒G1には、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、上端部で2/24の長さの領域に、上部天然ウランブランケット部12bを形成している。
さらに、燃料棒U2については、燃料棒下端より2/24の長さの領域を天然ウランとした下部低反応度領域12cを設けるとともに、上端より4/24の長さの領域を天然ウランとした上部低反応度領域12dを設け、さらに上部低反応度領域12dの直下より下部低反応度領域12c直上の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域としている。
前記燃料集合体10における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料よりも高い3.9%の高濃縮度としてある。
ところで、図2は前記従来の燃料集合体を示す図であって、図中の記号、数字などに関しては先に説明した通りである。この図2から判るように、燃料集合体内の全燃料棒には燃料有効部の上端部及び下端部に各々同じ長さでかつ一様な天然ウランブランケット部が設けられており、さらに燃料棒U3の上部天然ウランブランケット部12bの直下に中央部領域より核分裂物質の濃縮度を低くした中反応度領域12eが形成されている。そして、上部天然ウランブランケット部12bを燃料有効長の2/24、下部天然ウランブランケット部を燃料有効長の1/24とし、さらに上部天然ウランブランケット部12b直下の中反応度領域12eを燃料有効長の2/24とすることにより、核分裂性物質を効率的に燃焼させ、燃料経済性を向上させることができるようにしてある。
しかし、このように燃料棒の上端部直下に中反応度領域12eを形成する場合、新たな核分裂性物質の濃縮度をもつウラン粉末を用意したり、あるいは新たな種類のペレットを製造する必要が出てくる。
一方、図1に示す本発明においては、上部天然ウランブランケット部12bの下端部或いは下部天然ウランブランケット部12aの上端部に接する領域では水平断面でみた場合には、燃料棒U2では天然ウランを、燃料棒U1では天然ウランではない濃縮ウランを含有することから、実効的に中央部領域と天然ウラン領域の中間程度の平均濃縮度をもつ領域を形成しており、濃縮度種類数を増加したり製造するペレット種類数を増加させることなく、軸方向の濃縮度分布を最適化させることができる。これにより新たな製造コスト増加の要因を抑制することができる。
次に、この低高反応度混成領域の長さが、軸方向上部においては燃料有効長の4/24以下、軸方向下部においては2/24以下であることが望ましい理由を以下に示す。
図3は、上下端部に低反応度領域を設けた燃料棒U2の上部低反応度領域12dを下に伸ばし、さらに燃料集合体の平均濃縮度を変わらないように中央部の濃縮度を高めていった燃料集合体を炉心に装荷した場合のサイクル末期の反応度の増加分を示す図である。ここで、燃料棒U2の本数が8本の場合の一例を示しており、曲線14(実線)は、燃料棒U1上端部の上部天然ウランブランケット部が有効長の2/24の場合、曲線15(1点鎖線)は、燃料棒U1の上端部に上部天然ウランブランケット部を設けなかった場合の一例で、低高反応度混成領域がない場合からの反応度の増加分を縦軸としている。この結果から、一般的な設計例である燃料棒U1の上部天然ウランブランケット部12bの長さが2/24の場合には、低高反応度混成領域が有効長の2/24から3/24の場合にサイクル末期の反応度を最も増加させることができ、燃料棒U1上端部に低反応度領域である上部天然ウランブランケット部12bがない場合には有効長の4/24がサイクル末期の反応度を最も増加させることができることが分かる。また同様に、下端部においては、一般的な設計例である燃料棒U1の下部天然ウランブランケット部12aの低反応度領域長さ1/24の場合には、低高反応度混成領域が有効長の1/24、燃料棒U1下端部に下部天然ウランブランケット部12aがない場合には有効長の2/24が最も反応度を増加させることができる。
一般的に沸騰水型原子炉では上部に比べ下部ではボイド率は小さく、上部程中性子の漏洩は大きくないため、下端部におけるサイクル末期の反応度を最も高める最適な低高反応度混成領域の長さは上端部に比べ小さくなる。
図4に図2に示す燃料集合体13を炉心に装荷した場合のサイクル末期の典型的な軸方向出力分布の一例を示す。低反応度領域は典型的な設計例である上部に有効長の2/24、下部に1/24としている。サイクル末期であるため、軸方向下部の核分裂性物質の燃焼が進み、出力分布は上部にシフトしているが、それにもかかわらず、上部から4/24の位置では相対出力が1未満の低出力であることが分かる。さらにその下方の位置、例えば上部から5/24の位置では相対出力が1より大きい。一方、下部から2/24の位置においても相対出力が1未満の低出力であり、さらにその上方の位置ではその相対出力は大きくなる。このため、上部においても下部においても、さらに低高反応度混成領域を長くした場合、軸方向出力分布が大きい所の濃縮度が下がるため上記のような反応度増加の効果は少なくなる。また、高燃焼度化の面からも低高反応度混成領域の伸張は燃料集合体平均濃縮度が低くなるため好ましくなく、この濃縮度低下分を補償するために、中央部領域の濃縮度を増加した場合には、中央部領域の局所出力ピーキングが高くなり、炉心特性上好ましくない。従って、低高反応度混成領域の軸方向長さは必要以上に長くしないほうが良く、軸方向上端部においては4/24以下、軸方向下端部においては2/24以下であることが最も望ましい。本実施の形態では、低高反応度混成領域の長さを、上部は有効長の2/24、下部は1/24としている。
次に、燃料棒U2を燃料集合体において最外周以外の位置、あるいはウォータロッドあるいはウォータチャンネルに面隣接しない位置、あるいは最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置する理由について以下に示す。
図5に、図1に示す燃料集合体10において濃縮度分布を一様とし、Gdを含有しない場合の局所出力分布を示す。局所出力が比較的高い燃料棒位置を「高」、中程度の燃料棒位置を「中」、低い燃料棒位置を「低」と示している。この結果から出力の低い燃料棒位置は、最外周以外の位置、あるいはウォータロッドに面隣接しない位置、あるいは最外周から2層目の四隅部あるいはそれに隣接する位置を除く位置であることが分かる。
本第1の実施の形態である図1に示す燃料集合体10における低高反応度混成領域では、出力の高い位置には濃縮度の高い燃料棒U1を、出力の低い位置には濃縮度の低い、天然ウランを含有する燃料棒U2を配置することで反応度が高くなるようにしている。具体的な反応度の増加の一例を図6に示す。図6は、図1に示す燃料集合体10における低高反応度混成領域における無限増倍率と、断面平均濃縮度を同じにし濃縮度分布を一様とした断面における無限増倍率との差の燃焼変化を、曲線17(実線)として示したものである。また、図1に示す燃料集合体10における低高反応度混成領域における無限増倍率と、従来技術である図2に示す燃料集合体13における上部天然ウランブランケット部の直下領域の断面における無限増倍率との差の燃焼変化を、曲線18(1点鎖線)に示す。
これらの結果から、図1に示す燃料集合体10の低高反応度混成領域の場合が、燃焼のほぼ全ての期間を通して、従来技術である断面や濃縮度分布を一様とした断面よりも、高い反応度がとれることが分かる。これは高濃縮度の燃料棒を、より出力が高いところに配置することにより断面平均として反応度が高くなるためである。低反応度の燃料棒を比較的出力の低い、すなわち核分裂性物質が燃え残り易い最外周以外の位置、あるいはウォータロッドあるいはウォータチャンネルに面隣接しない位置、あるいは最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置することにより、核分裂性物質の燃え残りを低減し効率的に燃焼させることができている。
以上に示した通り、低反応度領域を設けた燃料棒U2を配置した燃料集合体10においては、従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度分布を最適化し燃料経済性が向上する。
なお、燃料集合体10は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記燃料棒U1、U2、Gd燃料棒G1およびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒の有無、天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
また、本第1の実施の形態は、燃料棒配列が9行×9列で、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行×8列や10行×10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U2を配置すれば同様の効果が得られる。
また、本第1の実施の形態は、低反応度領域として天然ウランを使用している例であるが、ウラン−235の濃縮度を1.0wt%以下とした場合や、反応度が天然ウランと同程度かそれ以下の回収ウランや劣化ウランを用いた場合においても同様の効果が得られる。
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
図7は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
燃料集合体19は、前記図15に示した燃料集合体1に適用した例で、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を46本、長尺燃料棒U2を4本、および可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒G1の16本がある。さらに、8本の短尺燃料棒U4と、2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成されている。
また図7(b)に示すように、長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒G1には、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、上端部で2/24の長さの領域に上部天然ウランブランケット12bが形成されている。
さらに、長尺燃料棒U2については、燃料棒下端より2/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12cを、上端より4/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12dを設けると共に、下部低反応度領域12cの直上より上部低反応度領域12d直下の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域としてある。
本第2の実施の形態における燃料集合体19では短尺燃料棒U4があるが、軸方向出力分布の違いによる影響は少なく、低高反応度混成領域を形成させることにより、核分裂性物質を効率的に燃焼させることができ、また、低高反応度混成領域の長さは、短尺燃料棒が存在しない場合と同様に軸方向上端部においては4/24以下、軸方向下端部においては2/24以下であることが望ましい。
図8に、図7に示す燃料集合体19における低高反応度混成領域における無限増倍率と、断面平均濃縮度を同じにし濃縮度分布を一様とした断面における無限増倍率との差の燃焼変化を、曲線20として示す。この結果から、図7に示す燃料集合体19の低高反応度混成領域の場合が、燃焼をほぼ全ての期間を通して、濃縮度分布を一様とした断面よりも、高い反応度がとれることが分かる。
以上に示した通り、燃料棒U2の本数が4本と少ない場合や短尺燃料棒がある場合においても、低反応度領域を設けた燃料棒U2を配置した燃料集合体19においては、従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度分布を最適化し燃料経済性が向上する。
また、本第2の実施の形態は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が異なったり、前記燃料棒U1、U2、U4、Gd燃料棒G1およびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さなどが変わる他の設計においても、上部低反応度燃料棒U2を配置すれば同様の効果が得られる。
また、低反応度領域としてウラン−235の濃縮度を1.0wt%以下とした場合や、反応度が天然ウランと同程度かそれ以下の回収ウランや劣化ウランを用いた場合においても同様の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
図9は本発明の第3の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。これは前記第1の実施の形態と比べ、1本の太径ウォータチャンネル21(W)により構成している点が異なる。
図9は本発明の第3の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。これは前記第1の実施の形態と比べ、1本の太径ウォータチャンネル21(W)により構成している点が異なる。
本第3の実施の形態における燃料集合体21では、前記第1の実施の例形態の燃料集合体10と比較し、ウォータロッドがウォータチャンネルに置き換わっているが、これによる軸方向出力分布への影響はほとんどない。このため、低高反応度混成領域の長さは、前記第1の実施の形態の燃料集合体10の場合と同様に軸方向上端部においては4/24以下、軸方向下端部においては2/24以下であることが望ましいことが分かる。
図10に、図9に示す燃料集合体21における低高反応度混成領域における無限増倍率と、断面平均濃縮度を同じにし濃縮度分布を一様とした断面における無限増倍率との差の燃焼変化を、曲線22として示す。この結果から、図9に示す燃料集合体21の低高反応度混成領域の場合が、燃焼をほぼ全ての期間を通して、濃縮度分布を一様とした断面よりも、高い反応度がとれることが分かる。
以上に示した通り、低反応度領域を設けた燃料棒U2を配置した燃料集合体21においては、従来の燃料集合体のもつ反応度を維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度分布を最適化し燃料経済性を向上する。
また、本第3の実施の形態は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が異なったり、前記燃料棒U1、U2、Gd燃料棒G1およびウォータチャンネル21の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒の有無、天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さなどが変わる他の設計においても、上部低反応度燃料棒U2を配置すれば同様の効果が得られる。
また、低反応度領域としてウラン−235の濃縮度を1.0wt%以下とした場合や、反応度が天然ウランと同程度かそれ以下の回収ウランや劣化ウランを用いた場合においても同様の効果が得られる。
(第4の実施の形態)
図11は本発明の第4の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
図11は本発明の第4の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
燃料集合体23は、図11(b)に示すように、燃料棒U4とGd燃料棒G2には、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に、下部天然ウランブランケット部12aを、上端部で1/24の長さの領域に、上部天然ウランブランケット12bを形成している。
さらに燃料棒U2については、燃料棒下端より1/24の長さの領域に天然ウランとした低反応度領域12cを、上端より4/24の長さの領域に天然ウランとした低反応度領域12dを設けると共に、下部低反応度領域12cの直上より上部低反応度領域12d直下の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域としている。
この第4の実施の形態における燃料集合体23は、燃料棒U4、Gd燃料棒G2の上部天然ウランブランケットの長さが1/24であるため、サイクル末期での反応度を最大化させる最適な低高反応度混成領域長さは図3に示した曲線14から曲線15の間に含まれる曲線になる。また、低高反応度混成領域を形成した場合と濃縮度分布を一様とした場合の無限増倍率の差は、炉心全体の反応度に大きく反映される。すなわち、低高反応度混成領域による反応度利得が大きくなる。
以上に示した通り、低反応度領域を設けた燃料棒U2を配置した燃料集合体23においては、従来の燃料集合体のもつ反応度を増加あるいは維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度分布を最適化し燃料経済性が向上する。
また、第4の実施の形態も、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が異なったり、前記燃料棒U2、U4、Gd燃料棒G2およびウォータチャンネル21の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒の有無、天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さなどが変わる他の設計においても、上部低反応度燃料棒U2を配置すれば同様の効果が得られる。
また、低反応度領域としてウラン−235の濃縮度を1.0wt%以下とした場合や、反応度が天然ウランと同程度かそれ以下の回収ウランや劣化ウランを用いた場合においても同様の効果が得られる。
(第5の実施の形態)
図12は本発明の第5の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
図12は本発明の第5の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
燃料集合体24は、図12(b)に示すように、燃料棒U1とGd燃料棒G1には、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、上端部で2/24の長さの領域に上部天然ウランブランケット12bが形成されている。
さらに燃料棒U2とGd燃料棒G3については、燃料棒下端より2/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12cを、上端より4/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12dを設けると共に、下部低反応度領域12cの直上より上部低反応度領域12d直下の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域としている。さらにGd燃料棒G3では下部低反応度領域12cの直上より上部低反応度領域12d直下の領域にGdを含有している。
図13は、従来の燃料集合体の一例を示す図であって、Gd燃料棒G4の上端部直下領域にGdの濃度が軸方向中央部のGdの濃度よりも低い領域12fを設けた点を特徴としている。燃料棒の軸方向端部、特に上端部ではその上部天然ウランブランケット部12b直下の領域では、中央部領域と比較し出力が低く燃焼が進まないため、可燃性毒物であるGdがサイクル末期においても燃え残る傾向がある。Gdが燃え残ると、Gdにより中性子が吸収されるため反応度が低下し燃料経済性が悪化する。このようなことから、上記図13に示す従来の燃料集合体では、このような領域のGd濃度を中央部領域の濃度よりも低く設定することにより可燃性毒物の燃え残りを抑制している。つまりGd濃度を低下させることにより、より低い燃焼度においてGdを燃え尽きさせることができるようにしている。しかし、この燃料集合体においては、製造するGdペレット種類数が増えてしまい、製造コストが増加する傾向があった。また、一般的にGdを含有させると、燃焼が進みGdの反応度制御能力の大部分が無くなった後もいわゆる残留Gdが存在し反応度を低下させる等の問題がある。
また、図13のGd燃料棒G4の本数は16本であり、図12のGd燃料棒G1及びG3の本数16本と同じである。すなわち、本第5の実施の形態である図12においては、炉心の余剰反応度の観点から、従来の燃料集合体である図13に示すものとGd燃料棒本数を同じとし、Gd燃料棒のうちの4本のGd燃料棒G3について上端より4/24の領域かつ下端より2/24の領域を天然ウランとした低反応度領域を設ける設計としている。すなわち、第5の実施の形態における燃料集合体24では、Gdの濃度が軸方向中央部のGdの濃度よりも低い領域12fと対応する領域をGdを含有しない低反応度の天然ウランブランケットとしたものである。
図14に、Gd濃度を低下させた場合とGd濃度を低下させる代わりに低反応度の天然ウランブランケットとした場合の無限増倍率の燃焼変化を示す。曲線26(実線)は、図12に示す燃料集合体24の上部天然ウランブランケット部直下の断面での無限増倍率で、曲線27(2点鎖線)は図13に示す燃料集合体25の上部天然ウランブランケット部直下の断面での無限増倍率であり、断面平均濃縮度は同じとしてある。本実施例における燃料集合体24の上端部直下の断面での無限増倍率を示す曲線26では、図13に示す従来の燃料集合体における無限増倍率を示す曲線27に比べ、Gd本数が少ないため燃焼初期の反応度制御量が小さく無限増倍率は大きいが、Gd濃度が濃いため、より高燃焼度までGdの大部分の制御能力が持続するため燃焼の進行と共に無限増倍率は小さくなる。しかし、さらに燃焼が進むと本実施の形態における曲線26では従来技術の例である曲線27より無限増倍率が大きくなる。これは、本実施の形態における曲線26ではGdの燃え残りが少ないこと、及び、低反応度の燃料棒U2およびG3を比較的出力の低い、すなわち核分裂性物質が燃え残り易いGd棒に隣接する位置、あるいは最外周以外の位置、ウォータロッド・ウォータチャンネルに面隣接しない位置、最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置することにより、核分裂性物質の燃え残りを低減し効率的に燃焼させていることによる。これらの結果、サイクル1年目の燃料では従来技術の例が、サイクル2年目以降の燃料では本発明の方が無限増倍率は大きくなり、炉心全体としてみるとほぼ同等か本発明の設計例が幾分増加する。
以上に示した通り、低反応度領域を設けた燃料棒U2、G3を配置した燃料集合体24においては、従来の燃料集合体のもつ反応度を維持しつつ、製造コストを増加させずに軸方向の濃縮度分布を最適化し燃料経済性を向上させることがでこる。
また、本第5の実施の形態も、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が異なったり、前記燃料棒U1、U2、Gd燃料棒G1、G3およびウォータチャンネル21の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒の有無、天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さなどが変わる他の設計においても、上部低反応度燃料棒U2を配置すれば同様の効果が得られる。
また、低反応度領域としてウラン−235の濃縮度を1.0wt%以下とした場合や、反応度が天然ウランと同程度かそれ以下の回収ウランや劣化ウランを用いた場合においても同様の効果が得られる。
1,10,13,19,21,23,24,25 燃料集合体、
2,U1〜U3 長尺燃料棒、
3,U4 短燃料棒、
4 ウォータロッド(W)、
5 スペーサ、
6 外部スプリング、
7 上部タイプレート、
8 下部タイプレート、
9 チャンネルボックス、
G1〜G4 長尺Gd燃料棒、
11 制御棒、
12a 下部天然ウランブランケット部、
12b 上部天然ウランブランケット部、
12c,d 低反応度領域、
14,16,17,20,22,26 曲線(実線)、
15,18,27 曲線(1点鎖線)
2,U1〜U3 長尺燃料棒、
3,U4 短燃料棒、
4 ウォータロッド(W)、
5 スペーサ、
6 外部スプリング、
7 上部タイプレート、
8 下部タイプレート、
9 チャンネルボックス、
G1〜G4 長尺Gd燃料棒、
11 制御棒、
12a 下部天然ウランブランケット部、
12b 上部天然ウランブランケット部、
12c,d 低反応度領域、
14,16,17,20,22,26 曲線(実線)、
15,18,27 曲線(1点鎖線)
Claims (14)
- 複数の燃料棒と1本または複数のウォータロッドあるいはウォータチャンネルを正方格子状に束ねて構成する沸騰水型原子炉用の燃料集合体において、軸方向上下端部の少なくとも一方に低反応度領域を備えた第1群の燃料棒と、軸方向上下端部の少なくとも一方に低反応度領域を備え、その軸方向上端部もしくは下端部またはその両方の低反応度領域の長さが前記第1群の燃料棒における対応部位の低反応度領域の長さよりも短かい少なくとも一つの他の燃料棒群を有することを特徴とする燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が、軸方向上端部においては燃料有効長の4/24以下、軸方向下端部においては燃料有効長の2/24以下であることを特徴とする、請求項1記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒が軸方向上端部に低反応度領域を備え、前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が燃料有効長の2/24であることを特徴とする、請求項2記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒が軸方向下端部に低反応度領域を備え、前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が燃料有効長の1/24であることを特徴とする、請求項2または3記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒が軸方向上端部および下端部に低反応度領域を備え、前記第1群の燃料棒と他の群の燃料棒の前記低反応度領域の長さの差が、軸方向上端部においては燃料有効長の2/24、軸方向下端部においては燃料有効長の1/24であることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれかに記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒は、前記燃料集合体において最外周以外の位置に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒は、前記燃料集合体においてウォータロッドあるいはウォータチャンネルに面隣接しない位置に配置されていることを特徴とする、請求項6記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒は、前記燃料集合体において最外周から2層目の四隅部かつそれに隣接する位置を除く位置に配置されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒のうち一部の燃料棒は、前記低反応度領域を除く軸方向領域の全てもしくはその一部に可燃性毒物を含有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の燃料集合体。
- 前記第1群の燃料棒のうち一部の燃料棒は、前記低反応度領域を除く軸方向領域の全てもしくはその一部に可燃性毒物を含有し、前記低反応度領域を除く軸方向領域の全てもしくはその一部に可燃性毒物を含有した前記他の群の燃料棒に隣接する位置に配置されていることを特徴とする、請求項9記載の燃料集合体。
- 前記低反応度領域は、天然ウランであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の燃料集合体。
- 前記低反応度領域は、ウラン−235の濃縮度が1wt%程度以下であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の燃料集合体。
- 前記低反応度領域は、使用済み燃料の再処理により得られた回収ウランであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の燃料集合体。
- 前記低反応度領域は、U−235の濃縮工程における廃棄材より得られた劣化ウランであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の燃料集合体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2003-12-16 JP JP2003417498A patent/JP2005180929A/ja active Pending
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