JP2005180589A - 歯付ベルト - Google Patents

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Shinji Naikegashima
真二 内ヶ島
Akinori Kaneda
明記 金田
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Abstract

【課題】 歯付ベルトの帆布からのRFL層の剥離を防止しつつ、ベルト製造時の歯部の成形性を良好に維持し、帆布表面へのゴムの滲み出しを防止する。
【解決手段】 平織原反の表面に、ラテックス成分単体による処理なしでのRFL処理(一段処理)のみが施された実施例(平織原反+一段処理と示す)の帆布は、同じ原反にラテックス成分のみによる処理と、これに続くRFL処理とが施された比較例1の帆布ほど硬化されておらず、平織原反からの伸びの減少が抑制されている。このように、いわゆる柔らかいラテックスを用いた一段処理により、帆布の硬さが適度に保たれるため、加硫工程における歯ゴム材料の帆布表面への滲み出しが防止され、歯部の成形性が良好に維持される。さらに、歯付ベルトの製品化後も、一段処理によって生じるRFL層が、帆布表面から剥離せずに帆布を保護する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、動力伝達に用いられる歯付ベルトに関する。
従来、歯付ベルトの製造において、帆布にはラテックス処理が施されて目止めされ、その後のレゾルシン・ホルマリン・ラテックスによる処理(以下RFL処理という)により、歯ゴムとの接着性の向上、帆布表面の耐摩耗性の改善が図られている(例えば特許文献1)。この一連の処理により、帆布表面には、ラテックスの層と、RFL処理による成分を含む層(以下RFL層という)とが形成される。
また、経糸と緯糸の総デニール数の比等を調整することにより、ラテックス処理なしに、RFL処理のみを帆布に施して、歯ゴムの滲み出しを防止することが行われている(例えば特許文献2)。
特開平10−159908号公報(段落[0015]〜[0017]) 特開平11−182632号公報(段落[0019]〜[0022])
ラテックス処理とRFL処理を行う場合、RFL層とラテックス層とを形成する成分が、互いの親和性が低いものであると、表面に位置するRFL層が剥がれ易くなることがある。このため、RFL処理液におけるレゾルシン、ホルマリン成分の含有量の増加等によりRFL層を硬くして、RFL層の剥離が防止されている。
しかしながら、RFL層を硬くすると帆布の硬化を招き、その結果として、ベルト成形時の成形不良や、目止め層を突き破ったゴムが、帆布表面へ滲み出すことがある。
また、経糸と緯糸の総デニール数の比を調整することにより、RFL層のみで帆布中の糸間の隙間(織り目)が広がらないように目止めする場合、帆布に用いる繊維が限定されてしまうため、汎用的にこの方法を用いることは難しい。
そこで本発明は、帆布表面から剥離せず、耐摩耗性に優れ、なおかつ製造時に帆布表面へのゴムの滲み出しを生じさせないRFL層を備えた歯付ベルトを、帆布に用いる繊維の種類を限定することなく、汎用的に実現することを目的とする。
本発明の歯付ベルトは、歯部の表面を被覆する帆布を備えており、帆布は、50mmの幅で2kgfの力で引っ張られた時に80〜150%の伸びを示す帆布材料によって形成されていて、レゾルシンとホルマリンとの混合物を含まないラテックス液単体で表面処理を施されることなしに、レゾルシンとホルマリンとの固形分の合計1重量部に対して、固形分が10〜30重量部であるラテックスを含むRFL処理液により表面処理が施されている。なお帆布は、より好ましくは、50mmの幅で2kgfの力で引っ張られた時に110〜150%の伸びを示す帆布材料によって形成される。
ラテックスは、表面処理によって帆布が伸び難くなることを抑制するために、高温で柔らかいことが好ましい。例えば、ラテックスは、ゲル含有率の低いクロロプレンラテックス(以下CRラテックスという)、あるいはSBRラテックスである。
RFL処理液は、RFL層の耐摩耗性を向上させるために、ラテックス100重量部に対して3〜7重量部のコロイド硫黄を含むことが望ましい。また、RFL処理液は、やはりRFL層の耐摩耗性を向上のため、ポリスチレン系などの熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
本発明によれば、帆布表面から剥離せず、耐摩耗性に優れ、なおかつ製造時に帆布表面へのゴムの滲み出しを生じさせないRFL層を備えた歯付ベルトを、帆布に用いる繊維の種類を限定することなく実現できる。
以下、本発明における歯付ベルトの実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、歯付ベルトを示す断面図である。
歯付ベルト10は、歯部を形成する歯ゴム層12と、歯ゴム層12を被覆してこれを保護する帆布14とを備えている。歯ゴム層12は、主としてクロロプレンゴム(以下CRゴムという)で形成されている。また、帆布14は、2/2綾織りされたナイロン66により形成されている。歯付ベルト10には、歯ゴム層12と同じくCRゴムによって形成された背ゴム層16が設けられており、歯ゴム層12と背ゴム層16との間には、歯付ベルト10の長さ方向に心線18が埋設されている。心線18には、Eガラスが用いられている。
図2は、歯付ベルト10の製造における加硫工程を示す図である。
歯付ベルト10は、図2(A)に示すように、歯ゴム層12と背ゴム層16とを形成するための板状のゴム材料20、心線18、およびRFL処理が施された帆布14を、所定の歯形形状を有する成形金型22の表面に重ねた後に加硫することにより製造される。すなわち、図2(B)に示すように、ゴム材料20の側から加熱および加圧を行い、軟化したゴム材料20を心線18の隙間から成形金型22の表面に向けて移動させる。そして、最終的に、図2(C)が示すように、成形金型22の表面に押圧されたゴム材料20により、所定の形状の歯部を有する歯ゴム層12と、背ゴム層16とが形成される。なお、心線18は、Eガラスの繊維により形成されているため変形しにくく、図2(A)〜(C)が示す加硫工程の前後で形状は一定である。
帆布14は、歯付ベルト10の製造に先立って、予めその両面にRFL処理が施されている。このため、帆布14の表面には、RFL成分による薄いRFL層(図示せず)が形成されている。そして、RFL処理液の成分が調整されることにより、RFL層および帆布14の硬さが、硬過ぎず適度に保たれるため、加硫工程における歯部の成形性を良好に保ち、丸歯の発生が抑えられる。また、RFL層が適度な硬さであることから、ゴム材料20がRFL層を突き破って、帆布14表面に滲み出すことが防止される。さらに、歯付ベルト10の製品化後も、RFL層は、高い接着性により帆布14表面から剥離せずに、帆布14表面を保護する。以下に、実施例を用いてRFL処理の詳細について説明する。
表1は、帆布の構成、処理方法と、ベルトの成形性およびベルトの性能との関係を示す表である。処理された帆布のベルト成形性は、一定の条件下での加硫を行うことにより、目視で評価した。また、ベルト性能としてのRFL剥離については、同一条件下でそれぞれの帆布を用いて歯付ベルトを製造後、RFL層の剥離状態に基づき目視で評価した。なお、各評価結果において、○印は実施化のために必要な基準を満たすこと、◎印は実施化の基準を越えて優れていることを示し、△印はこの基準をやや満たさないこと、×印はこの基準を明らかに満たさないことを示している。
Figure 2005180589
比較例1と比較例2の帆布は、従来公知である、ラテックス処理とその後のRFL処理(以下二段処理という)によって表面処理されている。表2に示す通り、これらの帆布はいずれもナイロン66製で、処理前の帆布の伸びが、比較例1は70%(50mm幅/2kgf時、表1に示す結果に基づいて以下に示す帆布伸びは、この条件下での値)であり、比較例2は130%である。このように、帆布伸びが大きく異なる帆布に対する同じ二段処理を施した結果、比較例2の帆布の方は、比較例1の帆布に比べ、歯ゴムの滲み出し防止性が高かった。これは、比較例1と比較例2とでは帆布の織り方が異なるものの、一定条件下での伸びが大きい帆布は、より伸びが小さい帆布に比べ、帆布を構成する繊維の密度が高く、歯ゴムが滲み出す織り目が小さいことに起因すると考えられる。
Figure 2005180589
そこで、以下の実施例においては、帆布伸びが130%の帆布に対して、RFL処理液のみによる表面処理(以下一段処理という)を施して、この時のベルトの成形性やベルトの性能を確認した。なお、表1に示す全ての比較例及び実施例において、共通の歯ゴム層を用いており、その組成は表3に示す通りである。
Figure 2005180589
比較例1〜9及び実施例1〜11において用いられたRFL処理液の組成を、表1よりも詳細に、表4に示す。これらのRFL処理液においては、ラテックスの種類と、コロイド硫黄や熱可塑性樹脂といった添加剤の有無、レゾルシンとホルマリンの混合物に対するラテックス成分の重量比が異なっており、レゾルシンとホルマリン成分(以下RF成分という)については水分を除き一定とした。なお、先述のように、比較例1及び2については、レゾルシンやホルマリンを含まず、固形分として40%のNBRラテックスを含むラテックス液に浸漬処理を施した後に、RFL処理液で処理した。
Figure 2005180589
以下、表1に基づいて、比較例1〜9及び実施例1〜11の帆布に対する表面処理と、各帆布を用いて製造されたベルトの性能について説明する。実施例1〜5、比較例3〜6においては、帆布処理のラテックス成分として、SBRラテックスとコロイド硫黄を用いた(帆布処理欄にてRFL2と示す)。これらの実施例及び比較例において、レゾルシンとホルマリンとの固形分の合計重量部(以下RF固形分という)に対して5〜40重量部のSBRラテックスを用いており、さらにコロイド硫黄を、SBRラテックス100重量部に対して2〜8重量部の範囲(コロイド硫黄添加量の欄を参照)で用いた。
RF固形分に対して40重量部のSBRラテックスを用いた比較例3においては、この帆布を用いて製造された歯付ベルトにおいて、耐摩耗性が劣る結果となった。これに対し、RF固形分に対するSBRラテックスの使用量が10〜30重量部である点が比較例3と異なる実施例1、3、5においては、耐摩耗性は良好であった。このため、SBRラテックスが過剰に含まれると帆布の耐摩耗性が低下すること、及びSBRラテックスの使用量が10〜30重量部の範囲であれば耐摩耗性が良好であることが確認された。
一方、RF固形分に対して5重量部のSBRラテックスを用いた比較例6では、歯付ベルト成形時にゴムの滲み出しが生じた。これに対して、RF固形分重量の10倍以上のSBRラテックスを用いた全ての実施例において、ゴムの滲み出し防止性能は良好であった。このことから、従来は二段処理において主にラテックス処理により帆布に与えられていた、帆布の織り目に対する目止め効果が、RF固形分に対して10〜30倍の重量のラテックスを含むRFL処理液による一段処理によって得られることが明らかになった。
また、コロイド硫黄をSBRラテックス100重量部に対して2重量部用いた比較例5においては、製造された歯付ベルトが耐摩耗性に劣っていた。コロイド硫黄をSBRラテックス100重量部に対して8重量部用いた比較例4においては、RFL処理液が均等に懸濁しなかったため、RFL処理液に添加することはできなかった。
一方、RF固形分に対して10〜30重量部のSBRラテックスと、SBRラテックス100重量部に対して3〜7重量部のコロイド硫黄を用いた実施例1〜5においては、いずれも良好な結果であった。特に、SBRラテックス100重量部に対して7重量部のコロイド硫黄を用いた実施例2においては、実用化レベルを超えて耐摩耗性が良好であり、これらの実施例の中でも総合評価が最も高かった。
以上の結果から、コロイド硫黄がRFL層の耐摩耗性を向上させる効果を有しており、SBRラテックス100重量部に対して3〜7重量部のコロイド硫黄を加えて一段処理を施すことにより、歯付ベルトの耐摩耗性が向上することとが確認された。
また、コロイド硫黄を含まず、従来の二段処理が施された比較例2においては、歯付ベルトが製品化された後のベルト表面における、RFL層の剥離防止性が劣るのに対し、コロイド硫黄を含み、一段処理が施された実施例5では、RFL層の剥離防止性が良好であった。従って、実施例5における、SBRラテックスとコロイド硫黄を用いたRFL処理により、従来の二段処理よりもRFL層の剥離防止性に優れた歯付ベルトが得られることが明らかになった。この剥離防止性の向上効果も、コロイド硫黄がRFL層の耐摩耗性を向上させることに起因すると考えられる。
実施例6〜8及び比較例7においては、SBRラテックスとポリスチレン系熱可塑性樹脂とをラテックス成分とするRFL処理が帆布に施された(帆布処理欄にてRFL3と示す)。ここでは、RF固形分に対して10〜40重量部のラテックス成分を用いている。
RF固形分に対して40重量部のラテックス成分を用いた比較例7においては、歯付ベルト製造後の帆布の耐摩耗性が劣る結果となった。一方、RF固形分に対して10〜30重量部のラテックス成分を用いた実施例6〜8においては、耐摩耗性が良好である上に、RFL層の剥離防止性についても非常に良好であった。また、従来の二段処理が施された比較例2の帆布と、帆布処理のみが異なる実施例8の帆布とを比較すると、実施例8の帆布は、RFL層の剥離防止性に大変優れている。
以上の結果から、RF固形分に対して10〜30倍の重量のラテックスを含むRFL処理液により、製造後のベルトの耐摩耗性が良好となることが確認された。さらに、SBRラテックスとポリスチレン系熱可塑性樹脂とを用いた一段処理により、従来の二段処理に比べて、RFL層の剥離防止性が大幅に向上されることが確認された。このRFL層の剥離防止性における効果は、主として、熱可塑性樹脂がRFL層の耐摩耗性を向上させることに因ると考えられる。
なお、実施例6〜8では、ベルト成形性のうち、脱型性に難点があった。これは、加硫工程後に、成形金型から成形体を取外す際に、帆布表面のRFL層の一部が、成形金型の表面に融着して離脱し、傷が付いたことを示す。しかしながら、この傷の発生は、成形体を冷却後に成形金型から取外すことにより防止されたため、本質的な問題とはならなかった。
実施例9〜11及び比較例8、9においては、ゲル含有率の低いタイプのCRラテックスであるショウプレン635(昭和電工(株)製)をラテックス成分として用いた(帆布処理欄にてRFL4と示す)。ここでは、RF固形分に対して5〜40重量部のラテックス成分を用いている。
RF固形分に対して5重量部のラテックス成分を用いた比較例9においては、歯付ベルト成形時にゴムの滲み出しが生じた。これに対して、RF固形分に対して10重量部以上のラテックス成分を用いた実施例9〜11、及び比較例8では、ゴムの滲み出し防止性に優れていた。特に、ラテックス成分がRF固形分の20倍以上の重量である実施例9、10及び比較例8では、比較例9のみならず、一段処理が施された比較例2よりも滲み出し防止性に優れていた。
以上の結果より、RF固形分に対して10倍以上のラテックス成分を用いた一段処理においては、ゴムの滲み出し防止性に優れていることが再確認された(実施例5と比較例6の場合と同様の結果)。さらに、一段処理におけるRFL処理液中のラテックス成分を増加させることにより、従来の二段処理による効果よりも高い目止め効果が得られることが確認された。
一方、RF固形分に対して40重量部以上のラテックス成分を用いた比較例8では、滲み出し防止性に優れているものの、歯付ベルトの耐摩耗性が不良であった。これに対して、RF固形分に対して10〜30重量部の範囲でラテックス成分を用いた実施例9〜11においては、耐摩耗性に優れていた。
従って、RF固形分に対して10〜30倍の重量のラテックスを含む一段処理により、製造後のベルトの耐摩耗性が良好となることが確認された。
また、従来の二段処理が施された比較例2の帆布と、帆布処理のみが異なる実施例11の帆布とを比較すると、実施例11の帆布はRFL剥離防止性に優れている。このことから、ゲル含有率が低く、いわゆる柔らかいラテックスを用いた一段処理の方が、ゲル含有率の高いCRラテックスであるショウプレン650(昭和電工(株)製)をRFL処理に用いる二段処理よりも、RFL層の剥離抑止に有効であることが確認された。この効果は、いわゆる柔らかいラテックスにより形成されたRFL層は、帆布になじみ易いことに起因すると考えられる。
図3は、帆布の熱間引張試験の結果を示す図であり、図4は、常温での帆布の引張試験の結果を示す図である。また、表5は、図3及び図4における試験帆布の組成や帆布処理剤等を示す。
Figure 2005180589
図3は、先述の実施例及び比較例の帆布の一部と、比較例1の帆布材料(以下原反という)である平織原反、比較例1以外の比較例及び実施例で用いられた綾織原反等の、120℃における引張試験結果を示している。平織原反と綾織原反との伸びを比較すると、綾織原反の方が、同一荷重でのストローク(試験開始時25mmであったチャック間距離の伸びを表す)が長く、伸びやすいことを示している。なお、図3及び図4の引張試験条件は、先述の表1及び表5に示される伸びの測定条件とは異なっている。このため、互いの結果について単純に比較はできないものの、図3及び図4における、綾織原反の方が平織原反よりも伸び易いという結果は、表1及び表5に示す帆布の伸びが、処理前の比較例1(平織原反)は70%であるのに対し、比較例1以外の処理前の帆布(綾織原反)が130%であることと関連している。
一般に、原反に対してラテックス液やRFL処理液によって表面処理を施すと、処理後の帆布は原反よりも硬くなり、伸びは小さくなる。このことは、図3において、荷重が20(N)の時のストロークが、平織原反は約48(mm)であったのに対し、平織原反に二段処理を施した比較例1はおよそ42(mm)であったことからも明らかである。同様に、荷重が20(N)の時のストロークが、綾織原反においてが約72(mm)であったのに対して、これに一段処理を施した実施例7や実施例11のストロークは約68(mm)であった。
図3に示すように、平織原反に対して二段処理を施した比較例1のストロークは、同じ平織原反に対して一段処理を施した“平織原反+一段処理”(詳細な処理条件は表5に示す)のストロークに比べ、いかなる荷重下においても短かった。このことは、比較例1の帆布の方が“平織原反+一段処理”よりも硬化して、伸び難くなったことを示す。従って、同一原反に対して一段処理を施すと、二段処理を施した場合よりも伸びの減少が抑制されることが明らかである。すなわち、本発明における、RFL処理液のみからなる一段処理は、同一の帆布材料(原反)に対するラテックス液とRFL処理液による二段処理に比べ、伸びの減少を抑制する。
帆布が硬化せず、その伸びが大きい場合、歯部を形成する歯ゴム材料の成形とともに帆布が伸長し易いことから成形性に優れている。さらに、帆布が硬化すると、成形時に歯ゴムが帆布表面へ滲み出す可能性が高まることからも、表面処理による帆布の硬化、すなわち伸びの減少は抑制されることが好ましい。従って、帆布の伸びの減少を抑制する一段処理は、従来の二段処理よりも優れている。
実施例7の帆布には、ポリスチレン系の熱可塑性樹脂を含むラテックス成分とRF成分とによる一段処理が施された。この実施例7の帆布は、その他の帆布に比べて相対的に、図3に示す高温下では伸び易く、図4に示す常温時には伸びにくいという結果を示した。このことは、低温では硬化して弾性を有し、高温では軟化する特徴を有する熱可塑性樹脂に起因していると考えられる。従って、熱可塑性樹脂をラテックス成分に含んだ一段処理により、高温時には伸び易いため成形性が良好であり、歯付ベルト完成後の常温下ではRFL層が適度に硬く、その剥離が防止される帆布が形成される。この熱可塑性樹脂を含んだ一段処理は、これら複数の効果を生ずる、特に優れた処理であることが確認された。
また、綾織原反に、ゲル含有率の低いショウプレン635をラテックス成分として含む一段処理が施された実施例11の帆布と、同じ原反にゲル含有率の高いショウプレン650のCRラテックスによる一段処理が施されたCR比較例の帆布の伸びを、図3及び図4にて比べると、実施例11の帆布が、CR比較例の帆布よりも伸び易いことが明らかである。従って、ゲル含有率が低く、いわゆる柔らかいラテックスを用いた一段処理の方が、ゲル含有率の高いラテックスを用いた処理よりも、原反の硬化や、表面処理による伸びの減少を抑制することが示され、ゲル含有率の低いタイプのCRラテックスが、一段処理の処理剤として優れていることが確認された。
なお、比較例1を除く全ての実施例及び比較例で、処理前の帆布、すなわち帆布材料(原反)の伸びが130%(表1及び表3に示す測定条件)のものを用いたが、80〜150%の範囲であれば、一段処理を施した際に、総合評価において実用化可能レベル(表1における○印のレベル)の帆布が得られ、特に110〜150%の範囲にあればゴムの滲み出し防止性や歯ゴムの成形性に優れると考えられる。
また、熱間引張試験データとして、120℃の測定結果が示されているが、これは一例に過ぎず、歯付ベルトの製造における一般的な歯部の成形温度である40〜200℃の全温度範囲に渡って、一段処理により、従来の二段処理による帆布の伸びの減少を抑えるものと考えられる。
以上のように本発明によれば、帆布伸びが適当な帆布材料に対して、ラテックス液のみによるラテックス処理無しに、RF成分1重量部に対して10〜30重量部のラテックス成分を含むRFL処理液による処理(一段処理)を施すことにより、ベルト製造時の歯部の成形性や、帆布表面へのゴムの滲み出し防止性の向上が可能である。さらに、本発明の歯付ベルトは、ベルト製造後においても、帆布表面にあるRFL層の剥離が防止され、耐摩耗性に優れる。
歯付ベルト10を構成する各部材の素材は、本実施形態のものに限定されない。例えば、歯ゴム層12と背ゴム層16とに用いられる原料ゴムは、水素化ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム等で形成されても良い。また、帆布14は、ナイロン6、ポリエステル、アラミド等の繊維が、単独で、あるいは混合されて用いられたものであっても良い。心線18としては、例えばアラミド繊維等も用いられる。
歯付ベルト10の形状は、図1に示す台形歯形に限定されず、円弧歯形等であっても良い。また、両面歯付ベルトであっても良い。
歯付ベルトを示す断面図である。 歯付ベルトの製造における加硫工程を示す図である。 帆布の熱間引張試験の結果を示す図である。 帆布の常温引張試験の結果を示す図である。
符号の説明
10 歯付ベルト
12 歯ゴム層
14 帆布
16 背ゴム層
18 心線
20 ゴム材料

Claims (7)

  1. 歯部の表面を被覆する帆布を備えた歯付ベルトであって、
    前記帆布が、
    50mmの幅で2kgfの力で引っ張られた時に80〜150%の伸びを示す帆布材料によって形成され、
    レゾルシンとホルマリンとの混合物を含まないラテックス液単体で表面処理を施されることなしに、前記レゾルシンと前記ホルマリンとの固形分の合計1重量部に対して、固形分が10〜30重量部であるラテックスを含むRFL処理液によって表面処理が施されていることを特徴とする歯付ベルト。
  2. 前記ラテックスが、前記表面処理によって生じる前記帆布の伸びの減少を抑制するために、高温時に柔らかいことを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。
  3. 前記ラテックスが、ゲル含有率の低いクロロプレンラテックスであることを特徴とする請求項2に記載の歯付ベルト。
  4. 前記ラテックスが、SBRラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。
  5. 前記RFL処理液が、前記ラテックス100重量部に対して3〜7重量部のコロイド硫黄をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。
  6. 前記RFL処理液が、前記ラテックスとして熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。
  7. 前記帆布が、50mmの幅で2kgfの力で引っ張られた時に110〜150%の伸びを示す帆布材料によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。

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