JP2005180243A - ハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発進時t1に、ローブレーキ締結状態でエンジン動力をトルク増大下に出力するLBモード要求があっても、ローブレーキを直ちに締結させない(ローブレーキ油圧=0)が、エンジンクラッチはt1にクラッチ油圧の上昇により締結させる。モータ/ジェネレータMG1,MG2の駆動(回転数Nm1,Nm2の上昇)により、停車状態(出力回転数No=0)のままエンジンをクランキングし、その回転数Neをt1以後上昇させてエンジンを始動させ、Neを自立運転回転数Neoに維持する。t2に、エンジントルクおよびMG1,MG2のトルクの適切な配分により車両を発進させ(No≧0)、ローブレーキに係わるリングギヤ回転数Nbが0になるt3にローブレーキを締結させてLBモードへの移行を完了する。
【選択図】図6
Description
この場合、差動装置を構成する所定の回転要素をブレーキで固定可能とし、ブレーキの締結により共線図上のレバー作用で、ブレーキの解放時よりも大きな駆動力を出力軸に向かわせ得るようになすことが考えられる。
電気走行からエンジン走行への切り替え時におけるショック対策として、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されているだけである。
従って、従来の提案技術では何れにしても、エンジンの始動中におけるトルク変動に伴う振動を抑制することができし、また、エンジンの始動に消費されるエネルギーが一時的な駆動力低下を招くという問題も十分には解消することができない
先ず前提となるハイブリッド変速機は、
エンジンと、出力軸と、モータ/ジェネレータとの間を差動装置により相互に連結し、 この差動装置を構成する所定の回転要素をブレーキで固定することにより、該ブレーキの解放時よりも大きな駆動力を出力軸に向かわせ得るようにしたハイブリッド変速機とする。
出力軸が停止した状態でのエンジン始動を可能にして、エンジンの始動に消費されるエネルギーや、エンジン始動中のトルク変動が出力軸に至っても、これらが前記駆動力低下や振動の問題を生ずることがない。
図1は、本発明のエンジン始動方法を実施可能なハイブリッド変速機1を搭載した車両の駆動系を、その制御システムと共に示す。
車両の駆動系は、ハイブリッド変速機1と、その入力側におけるエンジン2と、これら両者間に介在させたエンジンクラッチECと、ハイブリッド変速機1の出力側におけるディファレンシャルギヤ装置3と、ハイブリッド変速機1からの出力をディファレンシャルギヤ装置3により分配されて伝達される左右駆動輪4L,4Rとで構成する。
ハイブリッド変速機1は、軸線方向(図の左右方向)に2個の単純遊星歯車組21,22を同軸に配して具える。
エンジン2に近い側における遊星歯車組21を、リングギヤR1、サンギヤS1、および、これらギヤに噛合させたピニオンP1により構成し、
エンジン2から遠い側における遊星歯車組22を、リングギヤR2、サンギヤS2、および、これらギヤに噛合させたピニオンP2により構成する。
ピニオンP1,P2を共通なキャリアCに回転自在に支持して、遊星歯車組21,22がラビニョオ型プラネタリギヤセットを構成するようになす。
このラビニョオ型プラネタリギヤセットが本発明における差動装置に相当する。
複合電流2層モータ23は、内側ロータ23riと、これを包囲する環状の外側ロータ23roとを、変速機ケース24内に同軸に回転自在に支持して具え、これら内側ロータ23riおよび外側ロータ23ro間における環状空間に同軸に配置した環状ステ-タ23sを変速機ケース1に固設して構成する。
第1のモータ/ジェネレータMG1(外側ロータ23ro)を、上記ラビニョオ型プラネタリギヤセットにおけるサンギヤS1に結合し、第2のモータ/ジェネレータMG2(内側ロータ23ri)を、上記ラビニョオ型プラネタリギヤセットにおけるサンギヤS2に結合しする。
更にキャリアCは出力要素とし、これに出力歯車25を同軸一体に結合し、出力歯車25にカウンターギヤ26を噛合させる。
カウンターギヤ26はカウンターシャフト27に結合して設け、このカウンターシャフト27には更にファイナルドライブピニオン28を結合して設ける。
そしてファイナルドライブピニオン28を、ディファレンシャルギヤ装置3に結合されたファイナルドライブリングギヤ29に噛合させる。
統合コントローラ9は、各種入力情報をもとに所定の演算を行い、コントローラ5〜10を介して対応する部分を通常通りに制御するほか、本発明が狙いとするエンジン始動制御を後述のごとくに実行するものとする。
図5に示すように、ローブレーキLBを締結させ、リングギヤR2を回転数Nb=0に固定した変速モードでは、共線図上のレバーがAを支点として回動するため、そのレバー比によりエンジン2(入力In)からのトルクおよびモータ/ジェネレータMG1,MG2からのトルクがそれぞれ増大されて出力Outに至ることとなり、ローブレーキLBを解放している図3および図4の場合よりも大きな駆動力を車輪4L,4Rに向かわせることができる。
発進に際して運転者によるアクセルペダルの踏み込み量が大きく、図6に示すようにアクセルペダルの踏み込み時t1にLBモード要求があっても、ローブレーキLBを直ちに締結させないようローブレーキ油圧を当初0に保つ。
この状態で、モータ/ジェネレータMG1を図6のごとくその前進回転数Nm1が上昇するよう駆動し、および/または、モータ/ジェネレータMG2を図6のごとく後進回転数Nm2が上昇するよう駆動すると、図3に示すごとく共線図上のレバーが、ローブレーキLBの解放によりリングギヤR2の回転数Nbを拘束されないことから、出力回転数No=0のB点周りに時計方向に回動され、入力Inの回転数Niを上昇させる。
エンジン回転数Neが、始動可能回転数になったところでエンジン2を始動させ、エンジン回転数Neを、安定した自立運転が可能な下限回転数Neo(好ましくは、エンジンマウントの共振点よりも高い1000rpm程度)に上昇させて、図6のごとくこの回転数に維持する。
これにより図4に示すごとく、そして図6の瞬時t3におけるように、ローブレーキLBに係わるリングギヤR2の回転数Nbが0になったところで、図6に示すローブレーキ油圧の立ち上げによりローブレーキLBを締結させ、リングギヤR2を固定(回転数Nb=0に)する。
図3および図6の瞬時t1〜t2に示すごとく、出力Outが停止した(No=0)状態でのエンジン始動を可能にして、エンジンの始動に消費されるエネルギーや、エンジン始動中のトルク変動が出力Outに至っても、これらが前記駆動力低下や振動の問題を生ずることがない。
停車状態でのLBモード要求時に直ちにエンジンクラッチECを締結させ、モータ/ジェネレータMG1,MG2により差動装置(遊星歯車組21,22)を介して共線図上のレバー状態を図3のごとくになしてエンジン2を始動し、エンジン回転数Neを、安定した自立運転が可能な下限回転数Neo以上に維持して、エンジン2のトルクおよびモータ/ジェネレータMG1,MG2のトルクの適切な配分により、共線図上のレバー状態を図4のごときものとなし、この図4に示すごとくローブレーキLBに係わるリングギヤR2の回転数Nbが0になった時にローブレーキLBを締結させることから、
ローブレーキLBを締結させる時におけるリングギヤR2の回転数Nbが0であって、その締結ショックを皆無にし得ると共に、リングギヤR2の回転数Nbが負値から0を経て正値になる過程のNb=0時にローブレーキLBを締結させることでトルク段差の発生もない。
また、共線図上のレバー状態を図3のごとくになしてエンジン2を始動させる時に、エンジン回転数Neがエンジンマウントの共振を生ずる回転数を一気に通過して、自立運転が可能な下限回転数Neoに達するから、エンジンマウントの共振による振動もほとんど問題にならない。
発進に際して運転者によるアクセルペダルの踏み込み量が大きく、図11に示すようにアクセルペダルの踏み込み時t11にLBモード要求があっても、ローブレーキLBを直ちに締結させないようローブレーキ油圧を当初0に保つ。
この状態で、モータ/ジェネレータMG1を図11のごとくその前進回転数Nm1が上昇するよう駆動し、および/または、モータ/ジェネレータMG2を図11のごとく後進回転数Nm2が上昇するよう駆動すると、図7に示すごとく共線図上のレバーが、ローブレーキLBの解放によりリングギヤR2の回転数Nbを拘束されないことから、出力回転数No=0のB点周りに時計方向に回動され、入力Inの回転数Niを上昇させる。
エンジン回転数Neが、始動可能回転数になったところでエンジン2を始動させ、エンジン回転数Neを、安定した自立運転が可能な下限回転数Neo(好ましくは、エンジンマウントの共振点よりも高い1000rpm程度)に上昇させて、図11のごとくこの回転数に維持する。
この切り離し後もエンジン回転数Neは、図11および図8のごとく、エンジンの安定した自立運転が可能な下限回転数Neoに維持する。
他方モータ/ジェネレータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を、図8および図11の瞬時t12以後に示すごとく共に0にし、共線図上のレバー状態を図8に示すごとくになす。
この状態で図11の瞬時t13以後に示すごとく、モータ/ジェネレータMG1をその前進回転数が上昇するよう駆動し、および/または、モータ/ジェネレータMG2を後進回転数が上昇するよう駆動する。
この時、図9に示すごとく共線図上のレバーが、リングギヤ回転数Nb=0のA点周りに時計方向に回動され、出力Outの回転数Noを上昇させる。
よってモータ/ジェネレータMG1,MG2のトルクが、ローブレーキLBの締結によりレバー比分だけ増大されて出力Outに至り、大きな駆動力での電気走行による車両の発進が可能である。
そこで本実施例においては、上記大駆動力での電気走行による発進中に入力軸回転数Niがエンジン回転数Ne=Neoにほぼ一致する(例えば、エンジン回転数Neおよび入力軸回転数Ni間の偏差の絶対値が設定範囲内に収まった)図11の瞬時t14に、若しくは、エンジンの制御によりエンジン回転数NeをNeo以上の範囲で操作して、上昇中の入力軸回転数Niに一致させ終えた時に(例えば、エンジン回転数Neおよび入力軸回転数Ni間の偏差の絶対値が設定範囲内に収まった時に)、エンジンクラッチECを、図11の瞬時t14におけるエンジンクラッチ油圧の立ち上げにより締結させる。
このLBモードでは、エンジン2のトルクおよびモータ/ジェネレータMG1,MG2のトルクが、図10のレバー状態により示すごとく共線図上のレバーを、リングギヤ回転数Nb=0のA点周りに回動させつつレバー比による増大下に出力Outに向かい、大駆動力での車両の走行を可能にする。
Ni={(1+α+γ)/( 1+α+β+γ)}・(Nm1-Nm2)+Nm2 ・・・(1)
ただし、ローブレーキLBが締結している場合は、Nb=0であるから、一点の回転数が判れば、これと共線図上における前記した距離比α,β,γとから次式により求めて推定することができる。
つまり、出力軸回転数Noが判っている場合、入力軸回転数Niは、
Ni={(1+β)/β}・No ・・・(2)
により、また、モータ/ジェネレータMG1の回転数Nm1が判っている場合、入力軸回転数Niは、
Ni={(β/( 1+α+β))・Nm1 ・・・(3)
により求めることができる。
かように入力軸回転数Niを演算により推定することは、入力軸周りにスペース上の制約で回転センサを設置し難い実情に照らして大いに有用である。
図7および図11の瞬時t11〜t12に示すごとく、出力Outが停止した(No=0)状態でのエンジン始動を可能にして、エンジンの始動に消費されるエネルギーや、エンジン始動中のトルク変動が出力Outに至っても、これらが前記駆動力低下や振動の問題を生ずることがない。
停車状態でのLBモード要求時に直ちにエンジンクラッチECを締結させ、モータ/ジェネレータMG1,MG2により差動装置(遊星歯車組21,22)を介して共線図上のレバー状態を図7のごとくになしてエンジン2を始動し、その後エンジン回転数Neを、安定した自立運転が可能な下限回転数Neo以上に維持してエンジンクラッチECを解放し、停車中にローブレーキLBを締結させ、この締結状態でモータ/ジェネレータMG1,MG2からの動力のみにより図9の共線図により示すごとく電気走行している間に、変速機入力軸の回転数Niとエンジン回転数Neとがほぼ一致する時にエンジンクラッチECを締結することから、
エンジンクラッチECを締結させる時における入力軸回転数Niとエンジン回転数Neとの間における回転差がほぼ0であって、その締結ショックを皆無にし得ると共に、リングギヤR2の回転数Nbが0の停車時にローブレーキLBを締結させることでトルク段差の発生もない。
また、共線図上のレバー状態を図7のごとくになしてエンジン2を始動させる時に、エンジン回転数Neがエンジンマウントの共振を生ずる回転数を一気に通過して、自立運転が可能な下限回転数Neoに達するから、エンジンマウントの共振による振動もほとんど問題にならない。
エンジンの始動によるエネルギー損失が相対的に大きくなる上記の走行条件で、或いは、エンジンの始動によるエネルギー損失が相対的に大きいと運転者が判断して手動スイッチにより指令する場合に、前記予めのエンジンの始動、自立運転を行わせ、LBモードへの移行時における前記の問題を解消するようになす。
この点、前記した実施例ではいずれも停車状態で前記予めのエンジンの始動、自立運転を行わせることから、エネルギーロスを最小限にし得て前記の作用効果を一層顕著なものにすることができる。
2 エンジン
EC エンジンクラッチ
3 ディファレンシャルギヤ装置
4L 左駆動輪
4R 右駆動輪
5 エンジンコントローラ
6 クラッチコントローラ
7,8 モータコントローラ
9 ブレーキコントローラ
11 統合コントローラ
21 単純遊星歯車組(差動装置)
22 単純遊星歯車組(差動装置)
25 出力歯車
27 カウンターシャフト
MG1,MG2 モータ/ジェネレータ
31 スタータまたは始動発電機
Claims (6)
- エンジンと、出力軸と、モータ/ジェネレータとの間を差動装置により相互に連結し、 この差動装置を構成する所定の回転要素をブレーキで固定することにより、該ブレーキの解放時よりも大きな駆動力を前記出力軸に向かわせ得るようにしたハイブリッド変速機を搭載する車両において、
前記ブレーキを締結させた状態で前記エンジンおよびモータ/ジェネレータからの出力を前記出力軸に向かわせる変速モードへの移行要求に呼応してエンジンを始動するに際し、
前記ブレーキの締結作動よりも前に前記エンジンを始動させて自立運転状態にすることを特徴とするハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法。 - 請求項1に記載のエンジン始動方法において、
前記エンジンの自立運転への移行を、停車状態で前記モータ/ジェネレータからの動力により前記差動装置を介して行わせ、
エンジンからの動力およびモータ/ジェネレータからの動力による走行開始で、前記ブレーキにより固定すべき回転要素の回転数がほぼ0になった時に該ブレーキを締結作動させることを特徴とするハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法。 - 請求項1に記載のエンジン始動方法において、
前記エンジンの自立運転への移行を、停車状態で前記モータ/ジェネレータからの動力により前記差動装置を介して行わせた後、エンジンおよび変速機入力軸間におけるクラッチを解放し、
停車中に前記ブレーキを締結させ、このブレーキ締結状態でモータ/ジェネレータからの動力のみにより電気走行している間に、変速機入力軸の回転数とエンジン回転数とがほぼ一致する時、前記クラッチを締結することを特徴とするハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法。 - 請求項3に記載のエンジン始動方法において、
前記クラッチを解放している状態でのエンジンの自立運転を、自立運転可能な下限回転数で行うと共に、燃料消費率が最も良くなる運転点で行わせることを特徴とするハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法。 - 請求項3または4に記載のエンジン始動方法において、
前記差動装置を構成する回転要素のうち、少なくとも2個の回転要素の回転数を基に、前記ブレーキを締結させた状態での電気走行中における変速機入力軸の回転数を推定し、エンジン回転数とこの推定変速機入力回転数との差が所定値未満になった時に、前記ブレーキを締結させた状態での電気走行中における前記クラッチの締結を行うことを特徴とするハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法。 - 請求項1または5のいずれか1項に記載のエンジン始動方法において、
前記ブレーキの締結作動の前に予め前記エンジンを始動させ、自立運転状態にする条件として、温度、バッテリ蓄電状態、入出力可能電力、手動スイッチからの信号を設定し、温度が低い時、バッテリ蓄電状態が低い時、入出力可能電力が小さい時、手動スイッチによる指令がある時、ブレーキ締結作動に先立つ予めの前記エンジンの始動、自立運転を行わせることを特徴とするハイブリッド変速機搭載車のエンジン始動方法。
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- 2003-12-17 JP JP2003419732A patent/JP3818292B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2013001385A (ja) * | 2011-06-20 | 2013-01-07 | Hyundai Motor Co Ltd | ハイブリッド車両の動力伝達装置 |
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