JP2005179549A - ハロゲン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 数平均分子量が500〜5000であり、ハロゲン不含もしくはハロゲン含有量が4重量%未満(ただし、末端クロロホーメート基の塩素を除く)であり、オリゴマー末端のフェノール性水酸基に対するクロロホーメート基の割合が1:3〜1:20であることを特徴とするカーボネートオリゴマー。数平均分子量が1000〜10000であり、ハロゲン含有量が6〜30重量%(ただし末端クロロホーメート基の塩素を除く)であり、オリゴマー末端のフェノール性水酸基に対するクロロホーメート基の割合が1:5〜1:50であることを特徴とするハロゲン含有カーボネートオリゴマー。および、上記2種のオリゴマーを共重合させるポリカーボネートの製造方法。
【選択図】 なし
Description
ーボネート樹脂を製造しようとすると、重合反応によって得られる樹脂の有機溶媒溶液は、ビスフエノールAのみを原料とする場合に比し、洗浄および造粒が極めて困難であった。
また、このようにして製造したハロゲン含有量の多いポリカーボネート樹脂は、ビスフエノールAのみを原料とするポリカーボネート樹脂に比し、溶融流動性が劣る欠点がある。
また、濃縮粉化に際しても、粘調なゲル状物が生成して粉化されないなどの障害が発生し、工業的な製造は因難であった。
即ち、本発明の要旨は、ビスフェノール類とアルカリ化合物を含む水溶液とホスゲンとを連鎖停止剤の存在下に反応させて得られるカーボネートオリゴマーであって、数平均分子量が500〜5000であり、ハロゲン不含もしくはハロゲン含有量が4重量%未満(ただし、末端クロロホーメート基の塩素を除く)であり、オリゴマー末端のフェノール性水酸基に対するクロロホーメート基の割合が1:3〜1:20であることを特徴とするカーボネートオリゴマーに存する。
本発明において、「ハロゲン含有量」とは、末端クロロホーメート基を除いた、オリゴマーないしポリマーの主鎖部におけるハロゲン含有量を意味する。従って、「ハロゲン不含」とは主鎖部にハロゲンを有しないという意味であって、末端クロロホーメート基を有するオリゴマーを排除するものではない。末端クロロホーメート基は、重合反応に関与するだけであって、重合の完結によりほぼ完全にポリマー中に残存しなくなり、ポリマーの難燃性には主鎖中のハロゲンのみが関与する。
本発明に用いられるハロゲン化ビスフェノールAとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)プロパン(テトラブロムビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロムフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロムフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロルフェニル)
プロパンなどがあげられる。
代表的な不活性有機溶媒には、ヘキサン及びn−ヘプタンのような脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン及び1,2−ジクロロエチレンのような塩素化脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びクロロトルエンのような塩素化芳香族炭化水素、その他ニトロベンゼン及びアセトフェノンのような置換芳香族炭化水素が含まれる。
中でも、塩素化された炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロベンゼンが好適に使用される。これらの不活性有機溶媒は、単独であるいは他の溶媒との混合物として使用することができる。
シン酸、塩化シアヌルも使用しうる。中でも、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシ基を持つものが好適である。分岐剤の使用量は、目的とする分岐度によっても異なるが、通常、芳香族ジオール類に対し、0.05〜2モル%の量で使用される。
乳化の状態は通常ウェーバー数或いはP/q(単位容積当たりの付加動力値)で表現できる。ウェーバー数としては、好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、最も好ましくは35,000以上である。また、上限としては1,000,000以下程度で十分である。また、P/qとしては、好ましくは200kg・m/リットル以上、さらに好ましくは500kg・m/リットル以上、最も好ましくは1,000kg・m/リットル以上である。
制御ができず、ホスゲン原単位が悪化する。一方、低すぎると、反応制御上は好ましい状況ではあるが、冷凍負荷が増大して、その分コストアップとなり好ましくない。
通常、前記したオリゴマーの製造法によって得られたオリゴマー(1)の数平均分子量は、500〜10000、好ましくは700〜5000程度である。数平均分子量があまりに小さくても、また逆にあまりに大きくても、得られるポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液の洗浄性および造粒性が悪化するようになる。
また、このオリゴマー(2)の製造においても、上記オリゴマー(1)の製造におけると同様、ビスフェノールAの一部を上記したビスフェノールA以外のジヒドロキシジアリール化合物で置き換えることもできる。
更にオリゴマー(2)の末端CF/OHは5〜50程度である事が必要である。仮に数平均分子量が上記1000〜10000の範囲であったとしても、CF/OHが5未満のハロゲン化オリゴマーを使用するとオリゴマー(1)と同様、次工程での共重合反応が不完全なまま進行し得られるポリカーボネート樹脂の分子量が低下し造粒が困難となる。また逆にCF/OHが50を超えるハロゲン化オリゴマーを使用すると重合反応で多量のアルカリを必要とし、その結果ポリマーの加水分解が進行し分子量が低下し洗浄性、造粒性が悪化するようになるので好ましくない。
ン含有量を高くすることができず、難燃性の十分なポリカーボネート樹脂を得ることができなくなる。逆に、ハロゲン含有量があまりに多いと、得られるポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液の洗浄および造粒が困難となるので好ましくない。
また本発明の共重合反応において、ビスフェノールAを存在させても良い。
上記オリゴマー(1)およびオリゴマー(2)はそれぞれ製造後単離したものを用いてもよいが、工業的には上記オリゴマーの製造に引き続き、これらの混合物をそのまま、またはこれらの混合物から必要に応じて水相などを分離した後、本発明の共重合反応に供するのが得策である。
カーボネートオリゴマーの共重合反応においては、オリゴマー化反応と同一の縮合触媒の存在下で行うことができる。本発明によれば縮合触媒の使用量は芳香族ジオールに対して0.05〜0.5mol%、好ましくは0.05〜0.2mol%である。0.05mol%未満では重縮合反応が著しく遅くなり、アルカリとの接触時間が増え、未反応モノマーが増加する。0.5mol%を超えると重縮合反応は速くなるものの洗浄工程での縮合触媒の抽出除去に多大の労力を要し好ましくない。
重縮合完結後は、残存するクロロフォーメート基(CF基)が0.1μeq/g以下になるまで、水酸化ナトリウムのようなアルカリで洗浄処理する。
その後、常法によって酸洗浄及び水洗浄を行い不純物を除去した後有機溶媒を除去することによって粒状体のポリカーボネートを分離する。
の有機溶媒溶液を攪拌翼を有する造粒槽に供給し水中懸濁状態を保ちながら加熱して有機溶媒を蒸発させポリカーボネート樹脂粒状体を得る方法(造粒法)があるが乾燥性、溶融押出によるペレット化等の加工性の点から造粒法がより好ましい。
また、槽内の邪魔板の有無はとくに影響ないが槽内に滞留部がないように考慮することが必要であり、邪魔板無にするか、または、邪魔板の断面を円型又は楕円型にすることが好ましい。
攪拌翼が3段以上有る場合には各攪拌翼の間の水中にポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液を分割して供給してもよい。
またポリマー溶液を槽内の気相部に供給する場合には液面上でフイルム状になったり粗大凝集物の発生の原因となり好ましくない。
造粒槽で有機溶媒を蒸発させる際の温度は、有機溶媒と水との共沸点以上、水の沸点以下の範囲から選ぶことができるが、造粒槽の温度が、あまりに低いと有機溶媒の蒸発が遅くなり造粒能力が低下するとか、槽内にポリカーボネート樹脂のブロックを生成するようになるなどの不都合があり、逆にあまりに高いと得られるポリカーボネート樹脂粒状体の嵩密度が小さくなる傾向がある。
5重量%、更に好ましくは15〜40重量%程度の範囲とするのがよく、造粒槽に導入するポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液の量、補給水の量、および造粒槽から抜き出すポリカーボネート樹脂粒状体含有水スラリーの量を調節して、ポリカーボネート樹脂粒状体の存在量を上記範囲内の一定値に保つのがよい。
湿式粉砕処理に使用する湿式粉砕機としては、液体中の固体を粉砕することができる形式のものであれば何れも使用することができるが、粉枠とともに水スラリーの移送作用を併せ有するものが好ましく、例えば、攪拌翼が高速回転する形式のものが好適である。前者の形式の市販品としては、特殊機化工業株式会社製、商標、パイプラインホモミキサーまたはホモミックラインミルなどが、また後者の形式の市販品としては、小松ゼノア株式会社製、商標、ディスインテグレーターなどがあげられる。
mm、好ましくは0.2〜2mm程度になるように粉砕するのがよい。
この湿式粉砕処理した水スラリーを造粒槽に循環させる量は、造粒槽から抜き出す水スラリーの50〜99.5重量%、好ましくは70〜98重量%程度である。この量があまりに少ないと造粒槽で形成されるポリカーボネート樹脂粒状体の粒径が段々大きくなるとともに不揃いとなり、満足できる製品が得られなくなるとか、連続運転が不能となるなどの不都合を招く。逆にあまりに多いと運転上の不都合は特にないが、製品の取得量が少なくなる。
ポリカーボネート樹脂粒状体含有水スラリーからポリカーボネート樹脂粒状体を取得するには、傾斜、濾過、遠心分離などの手段によって粒状体を分離し、乾燥すればよい。
また、実施例中の各測定値は以下の方法により求めたものである。
数平均分子量:
106 /{(末端クロロホーメート基+末端OH基 μeq/g)×1/2}より算出した。
オリゴマー溶液を塩化メチレンで希釈した後、アニリンと純水を添加し、フェノールフタレインを指示薬として規定度のNaOHにて滴定して求めた。
オリゴマー溶液を塩化メチレンで希釈した後、四塩化チタン、酢酸溶液を加え発色させ分光光度計(日立株式会社製UV−160型)を用い546nmの波長での吸光度を測定した。別に該オリゴマー製造時に使用したビスフェノールAの塩化メチレン溶液を用い、吸光係数を求め、オリゴマーの末端フェノール性水酸基を測定した。
樹脂の0.6g/dl塩化メチレン溶液を20℃でウベローデ型粘度計を用いて測定したηSPから、以下の式を用いて算出した。
ηSP/C=[η](1+0.28ηSP)
ηSP=1.23×10−4Mv0.83
樹脂の約1gを精秤し、塩化メチレン20mlを加えて溶解し、これに4−(pニトロベンジル)ピリジンの1wt%塩化メチレン溶液2mlを加え発色させ、分光光度計(日立株式会社製、330型)を用い440nmの波長での吸光度を測定した。別に、フェニルクロロホーメートの塩化メチレン溶液を用い、吸光係数を求め、サンプル中のクロロホーメート基量を定量した。
樹脂約1gを精秤し、テトラヒドロフラン25mlに溶解後、蛍光X線(SEA2010L型)により測定した。
共重合反応終了後のハロゲン含有ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を三菱化学製デジタル微量水分測定装置(CA−05型)により測定した。
樹脂1gを精秤し、塩化メチレン50mlに溶解後0.02規定水酸化ナトリウム水溶液10mlで抽出し、液体クロマトグラフィー(LC)により測定し(溶離液:アセトニトリル/水=4/6(v/v)、カラム:MCI GEL ODS−1HU、検出器:UV245nm、装置:島津LC−9A)予め求めた面積補正係数よりサンプル中の未反応ビスフェノールA量、未反応テトラブロムビスフェノールA量を算出した。
表1記載の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」と記す)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)プロパン(以下「TBBPA」と記す)、水酸化ナトリウム(以下NaOHと記す)、及び水101.1kg/時をハイドロサルファイト0.018kg/時の存在下に35℃で溶解した後、25℃まで冷却した塩化メチレン60.5kg/時の有機相を各々内径6mm、外径8mmのステンレス製配管に供給し、同配管内で混合し、さらにホモミキサー(特殊機化株式会社製
製品名T.KホモミックラインフローLF−500型)を用いて、乳化し乳濁液を調製した。
又は2,4,6−トリブロモフェノールの24%塩化メチレン溶液(以下「24%TBP」と記す)を表1記載の流量で各々、オリゴマー化槽に添加した。この時のオリゴマー1)の数平均分子量(Mn)、ハロゲン含有量、CF基濃度、OH基濃度、CF/OHを表1に記載した。
30℃で攪拌し、30分間反応させた。この時のオリゴマー(2)の数平均分子量(Mn)、ハロゲン含有量、CF基濃度、OH基濃度、CF/OHを表1に記載した。
この方法によって得られた粒状ポリカーボネート樹脂は嵩密度も大きく、また粒子の付着凝集、造粒槽内でのブロック状固形物の発生もなく安定して満足できるポリカーボネート樹脂粒状体が得られた。
このように末端基(CF/OH)の管理された特定のオリゴマーを共重合反応することによって、分子量の低下もなく、洗浄性、造粒性に優れたハロゲン含有ポリカーボネート樹脂を効率的に製造することができる。
実施例1でオリゴマー(1)製造時のNaOH量、PHG量を変えPTBPを添加しなかった事、オリゴマー(2)製造時のNaOH量を変えた以外は同様の操作を行い共重合反応を行い実施例1と同様の洗浄操作を行い有機相中の水分量をそれぞれ測定した。各々の結果を表1および表2に示した。
このように末端基(CF/OH)が管理されていない特定のオリゴマーを共重合反応して得られるハロゲン含有ポリカーボネート樹脂は分子量の低下、洗浄性の悪化を招き造粒性にも問題があった。
実施例3でオリゴマー(1)製造時のTBBPA量、NaOH量、PHG量を変えPTBPを添加しなかった事、オリゴマー2)製造時のTBBPA量、NaOH量を変えた以外は同様の操作を行い共重合反応を行い実施例と同様の洗浄操作を行い有機相中の水分量をそれぞれ測定した。各々の結果を表1、表2に示した。
このように末端基(CF/OH)が管理されていない特定のオリゴマーを共重合反応して得られるハロゲン含有ポリカーボネート樹脂は分子量の低下、洗浄性の悪化を招き造粒性にも問題があった。
Claims (8)
- ビスフェノール類とアルカリ化合物を含む水溶液とホスゲンとを連鎖停止剤の存在下に反応させて得られるカーボネートオリゴマーであって、
数平均分子量が500〜5000であり、
ハロゲン不含もしくはハロゲン含有量が4重量%未満(ただし、末端クロロホーメート基の塩素を除く)であり、
オリゴマー末端のフェノール性水酸基に対するクロロホーメート基の割合が1:3〜1:20である
ことを特徴とするカーボネートオリゴマー。 - アルカリ化合物の使用量をビスフェノール類に対して2.1〜3倍モル、ホスゲンの使用量をビスフェノール類に対して1.2〜2倍モル、連鎖停止剤の使用量をビスフェノール類に対して0.005〜0.1倍モルとすることを特徴とする請求項1に記載のカーボネートオリゴマーの製造方法。
- 連鎖停止剤がモノフェノール類であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボネートオリゴマー。
- ハロゲン含有ビスフェノール及びアルカリ化合物を含む水溶液と、請求項1〜3に記載のカーボネートオリゴマーとを反応させて得られるハロゲン含有カーボネートオリゴマーであって、
数平均分子量が1000〜10000であり、
ハロゲン含有量が6〜30重量%(ただし末端クロロホーメート基の塩素を除く)であり、
オリゴマー末端のフェノール性水酸基に対するクロロホーメート基の割合が1:5〜1:50である
ことを特徴とするハロゲン含有カーボネートオリゴマー。 - アルカリ化合物の使用量をハロゲン含有ビスフェノールに対して3.0〜4倍モルとすることを特徴とする請求項4記載のカーボネートオリゴマーの製造方法。
- 請求項1〜3に記載のカーボネートオリゴマー10〜85重量部と請求項3又は4に記載のハロゲン含有カーボネートオリゴマー90〜15重量部とをアルカリ化合物の存在下に共重合させることを特徴とするハロゲン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ハロゲン含有ポリカーボネート樹脂のハロゲン含有量が4〜25重量%である請求項6記載のハロゲン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ハロゲン含有ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜100,000である請求項6又は7に記載のハロゲン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
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JP2007031487A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-02-08 | Idemitsu Kosan Co Ltd | ポリカーボネート−ポリテルペン共重合体及びその製造方法 |
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JP4658726B2 (ja) * | 2005-07-22 | 2011-03-23 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート−ポリテルペン共重合体及びその製造方法 |
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