JP2005179208A - ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法 - Google Patents

ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005179208A
JP2005179208A JP2003419420A JP2003419420A JP2005179208A JP 2005179208 A JP2005179208 A JP 2005179208A JP 2003419420 A JP2003419420 A JP 2003419420A JP 2003419420 A JP2003419420 A JP 2003419420A JP 2005179208 A JP2005179208 A JP 2005179208A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon atoms
group
formula
alkyl group
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003419420A
Other languages
English (en)
Inventor
Kikumitsu Inoue
喜久光 井上
Tatsuya Koizumi
辰哉 小泉
Masayoshi Sato
譲宣 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2003419420A priority Critical patent/JP2005179208A/ja
Publication of JP2005179208A publication Critical patent/JP2005179208A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pyridine Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 空気と接触した場合でも、副生物の量が少ないω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)の製造法を提供する。
【解決手段】 下式(I)
Figure 2005179208

で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類と鉱酸類(z)とを、水の存在下に、疎水性有機溶媒の存在下又は非存在下、反応終了時のpHが2以下になるように反応させることを特徴とする下式(II)
Figure 2005179208

[式中、n’は0〜2の整数を表し、n’が0であるときは、単結合を表す。q’は0〜2の整数を表す。r’は鉱酸類(z)におけるアニオンの価数である。]
で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法に関する。
2−(2−メルカプトエチル)ピリジンや4−(2−メルカプトエチル)ピリジン等のω−メルカプトアルキルピリジン類は、ビスフェノールAを製造する際に用いられるキレート触媒への添加剤や医農薬中間体等として有用な化合物である。
従来、ω−メルカプトアルキルピリジン類の製造法としては、例えば、2−ビニルピリジンに硫化水素を反応させて、2−(2−メルカプトエチル)ピリジンを製造する方法が公知である(非特許文献1及び非特許文献2を参照)。
P.S.K.Chia et al., Aust. J. Chem., 19, 1835 (1966)
R.B.Thompson et al., Industrial and Engineering Chemistry, 44, 1659 (1952)
上記の非特許文献記載の方法で得られるω−メルカプトアルキルピリジン類は空気と接触した場合に、比較的安定性が悪く、式(IV)
Figure 2005179208
[式中、n’は0〜2の整数を表し、q’は0〜2の整数を表す。]
で示される化合物が不純物として副生し、ω−メルカプトアルキルピリジン類の純度を低下させるという問題があった。
また、有機溶媒の存在下にω−メルカプトアルキルピリジン類を鉱酸や有機酸を用いて中和後、晶析等により結晶を析出させ、該析出した結晶を濾過してω−メルカプトアルキルピリジン類の鉱酸塩や有機酸塩の結晶として得ることもできる。
該方法では、有機溶媒に対するω−メルカプトアルキルピリジン類の鉱酸塩や有機酸塩の溶解度が大きく、析出した結晶の濾過や、濾過後の結晶の洗浄を行う際に、濾洗液へのロスを招いてω−メルカプトアルキルピリジン類の鉱酸塩や有機酸塩の収量が著しく低下するという問題があった。
さらに、ω−メルカプトアルキルピリジン類の鉱酸塩や有機酸塩を濾過するための設備や、濾過後の湿潤結晶を乾燥させるための設備が必要になるという問題があった。
本発明の目的は、空気と接触した場合であっても、式(IV)で示される化合物等の副生量が比較的少なく、収率良くω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩を製造する方法を提供することである。
すなわち、本発明は、下式(I)
Figure 2005179208
[式中、n’は0〜2の整数を表し、q’は0〜2の整数を表す。]
で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類と鉱酸類(z)とを、水の存在下に、疏水性有機溶媒の存在下又は非存在下、反応終了時のpHが2以下になるように反応させることを特徴とする下式(II)
Figure 2005179208
[式中、n’及びq’は、それぞれ上記の定義と同じである。r’は鉱酸類(z)におけるアニオンの価数である。]
で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法を提供するものである。
本発明によれば、上式(IV)で示される化合物等の副生を抑制することができ、収率良くω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造法で使用するω−メルカプトアルキルピリジン類(I)としては、例えば下式(III)
Figure 2005179208
[式中、n’は0〜2の整数を表し、n’が0であるときは単結合を表す。q’は0〜2の整数を表す。]
で表されるピリジン類と硫化水素とを上記ピリジン類とは異なる第三級アミンの存在下に反応させて得られたものが挙げられる。
上記の反応により得られた反応液を、例えば疎水性有機溶媒の存在下に水洗して得たω−メルカプトアルキルピリジン類を用いてもよく、上記反応液を蒸留することによって得られたω−メルカプトアルキルピリジン類を用いてもよい。また、ピリジン類(III)とチオ尿素との反応液を、さらにアルカリ等で分解して得たω−メルカプトアルキルピリジン類を含む反応液を用いてもよい。勿論、該反応液を蒸留することによって得たω−メルカプトアルキルピリジン類を用いてもよい。
本発明の製造法においては、ピリジン類(III)の中でも、n’が0、すなわち単結合であるピリジン類が好ましく、n’及びq’が0であるピリジン類がより好ましく、2−ビニルピリジン又は4−ビニルピリジンが特に好ましい。
ピリジン類(III)にハイドロキノン類やカテコール類等の重合禁止剤が含まれる場合は、反応に使用する前にピリジン類中の重合禁止剤を蒸留等の手段を用いて除去することが好ましい。
本発明の製造法における硫化水素は、有機溶媒や水等に溶解させた溶液の形態で用いてもよく、硫化水素ガスを用いてもよい。硫化水素を溶解させる有機溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒や脂肪族炭化水素溶媒等が挙げられる。硫化水素の有機溶媒への溶解状態は飽和濃度でもよく、不飽和濃度であってもよい。
本発明の製造法における硫化水素の使用量は、ピリジン類(III)の1モル当り、通常は1〜30モルの範囲である。
本発明の製造法における第三級アミンの使用量は、ピリジン類(III)の1モル当り、0.005モル以上であればよい。
本発明の製造法において、好ましく用いられる第三級アミンは、下記(A)〜(C)からなる群から選ばれる一種以上のアミンである。
(A):下式(a)で表わされる第三級アミン
Figure 2005179208
[式(a)におけるR21〜R23は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基、炭素数4〜12の環状アルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。該鎖状アルキル基、該環状アルキル基及び該芳香族炭化水素基中の水素原子は、アミノ基、炭素数1〜8のN−アルキルアミノ基、炭素数1〜8のN,N−ジアルキルアミノ基及び水酸基から選ばれる一つ以上の基で置換されていてもよい。]
(B):下式(b)で表わされる脂環式第三級アミン
Figure 2005179208
[式(b)におけるR24は、炭素数1〜8の鎖状アルキル基、炭素数4〜12の環状アルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、該鎖状アルキル基、該環状アルキル基及び該芳香族炭化水素基中の水素原子は、それぞれ、アミノ基、N−アルキルアミノ基(但し、該アルキルは炭素数が1〜8個である)、N,N−ジアルキルアミノ基(但し、各アルキルはそれぞれ独立に炭素数が1〜8個である)又は水酸基で置換されていてもよい。また、式(b)における複素環中の一部の−CH−は、−NH−又は−O−で置換されていてもよい。mは0〜8の整数を表し、mが0であるときは単結合を表す。]
(C):含窒素芳香族複素環化合物
[該含窒素芳香族複素環化合物は、複素環を構成する炭素原子に炭素数1〜8のアルキル基が結合していてもよく、さらに、該アルキル基中の水素原子はアミノ基、N−アルキルアミノ基(但し、該アルキルは炭素数が1〜8である)、N,N−ジアルキルアミノ基(但し、各アルキルはそれぞれ独立に炭素数が1〜8である)又は水酸基で置換されていてもよい。]
第三級アミンとしては、下式(1)、(2)、(5)及び(6)で表されるアミン群から選ばれる一種以上のアミンが好ましい。
Figure 2005179208
[式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。]
Figure 2005179208
[式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す。]
Figure 2005179208
[式(5)及び(6)におけるR13〜R15は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。また、φ1〜φは、それぞれ独立に芳香族炭化水素基を表す。]
上記の鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基やブチル基等の炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記の環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基やシクロヘキシル基等の炭素数4〜12の環状アルキル基が挙げられる。
また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基やベンジル基等の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基が挙げられる。
アミン(A)としては、3個のアルキル基と結合した窒素原子を有する第三級アミンや、芳香族炭化水素基と結合した窒素原子を有する第三級アミン等が挙げられる。
前記3個のアルキル基と結合した窒素原子を有する第三級アミンとしては、例えば、以下の式(1)〜(6)で表されるアミン等が挙げられる。
Figure 2005179208
[式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。]
式(1)で表される第三級アミンの具体例としては、トリメチルアミンやトリエチルアミン等が挙げられる。
Figure 2005179208
[式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す。]
式(2)で表される第三級アミンの具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。
Figure 2005179208
[式(3)及び(4)におけるR10〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。q及びrは、それぞれ独立に1〜4の整数を表す。]
式(3)で表される第三級アミンとしては、N,N−ジエチルエタノールアミン等が例示される。
また、式(4)で表される第三級アミンとしては、N−メチルジエタノールアミン等が例示される。
芳香族炭化水素基と結合した窒素原子を有する第三級アミンとしては、例えば下式(5)及び(6)で表されるアミン等が挙げられる。
Figure 2005179208
[式(5)及び(6)におけるR13〜R15は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。また、φ1〜φは、それぞれ独立に芳香族炭化水素基を表す。]
(B)の脂環式第三級アミンとしては、例えば、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、(ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンやN−(3−アミノプロピル)モルホリン等のアミンが挙げられる。
(C)の含窒素芳香族複素環化合物としては、例えば、ピリジン、α−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジンや4−ピペリジノピリジン等のアミンが挙げられる。
本発明の製造法における第三級アミンとしては、2種以上の第三級アミンの混合物を用いてもよい。
第三級アミンとしては、ω−メルカプトアルキルピリジン類(II)鉱酸塩の収率の観点からは、前記(A)及び(B)の第三級アミンが好ましく、(A)の式(1)、(2)、(5)及び(6)で表される第三級アミン並びに(B)の脂環式第三級アミンからなる群から選ばれる一種以上の第三級アミンがより好ましく、前記式(1)及び(2)で表される第三級アミンが特に好ましい。
本発明のω−メルカプトアルキルピリジン類(II)鉱酸塩の製造法における硫化水素としては、通常はボンベ等の容器に充填されたものがそのまま用いられる。
硫化水素を使用する際には、反応を効率よく実施するために、必要に応じて、反応容器又は反応槽を密封してもよいし、加圧してもよい。
硫化水素の使用量は、ピリジン類(III)1モルに対して、通常は1〜30モルの範囲である。反応容器として、密封容器を用いた場合は、ピリジン類(III)1モルに対して、通常は1〜10モルの範囲である。
本発明の製造法においては、ピリジン類(III)と硫化水素を第三級アミンの存在下に反応させることにより、ω−メルカプトアルキルピリジン類(II)を含む反応液が得られる。
具体的には、(ア)第三級アミンとピリジン類(III)と必要に応じて反応溶媒を含む混合物中に硫化水素を導入する方法;(イ)第三級アミンと反応溶媒の混合物中に又は第三級アミン中に硫化水素を導入後、ピリジン類(III)を導入する方法;(ウ)反応容器内の硫化水素中に、第三級アミンを導入し、次いでピリジン類(III)を導入する方法;(エ)反応容器内の硫化水素中に、第三級アミンとピリジン類(III)を順次又は同時に導入する方法(オ)反応容器に、第三級アミンとピリジン類(III)と硫化水素を同時に導入する方法等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、上記の(イ)と(ウ)の方法の如く、硫化水素が予め存在する反応容器又は反応槽にピリジン類(III)を導入する方法が、下式(V)
Figure 2005179208
(式中、n’及びq’は、それぞれ前記と同じ定義である。)
で示されるスルフィド体等の副生量を抑制する傾向にあることから好ましく、(ウ)の方法が殊に好ましい。
硫化水素導入後のゲージ圧(大気圧に対する差圧)は、好ましくは0.1〜1.5MPaであり、より好ましくは0.2〜1.0MPaである。反応容器内での硫化水素の形態は気体状態でもよいし、液体状態でもよい。また、加圧の際に窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いて圧力調整してもよい。さらに、反応終了後に残存した硫化水素は、別に設置した反応容器に移しておき、次回の反応に再使用してもよい。
本発明の製造法における反応温度は、通常は−40〜100℃の範囲であり、好ましくは−30〜60℃の範囲である。反応温度が−40℃以上であると反応速度が向上する傾向にあることから好ましく、100℃以下であると式(V)で表されるスルフィド体等の副生成物量が抑制される点で好ましい。
本発明の製造法における反応時間は、ピリジン類(III)、第三級アミン及び硫化水素の量や、これらの原料化合物の導入方法や、反応温度等によっても異なるが、通常は0.1〜20時間の範囲である。
かくして得られた反応混合物は疎水性有機溶媒を用い、水洗することにより、第三級アミン、着色成分およびゲル分などの不純物を除去し、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)を得ることができる。また、蒸留などにより不純物を除去したのち、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)を得ることもできる。
水洗して得られる疎水性有機溶媒を含むω−メルカプトアルキルピリジン類(I)は、そのまま、例えば鉱酸で中和後、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)の鉱酸塩の水溶液として、ビスフェノールA製造用のキレート触媒の添加剤等として用いられる。
水洗において疎水性有機溶媒を用いる場合には、ピリジン類と硫化水素との反応で得られた反応混合物に加えてもよい。
ピリジン類と硫化水素との反応で得られた反応混合物を用いる場合には、該反応混合物を溶解する疎水性有機溶媒として、例えば、炭素数5以上の脂肪族ケトン(メチルイソブチルケトン等)、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、脂環式炭化水素(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(トルエン、エチルベンゼン、キシレンやシメン等)が用いられる。
また、反応溶媒として用いる疎水性有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)や芳香族炭化水素類(トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シメン等)が用いられる。
上記の疎水性有機溶媒としては、上述した2種以上の溶媒の混合物を使用してもよい。
疎水性有機溶媒の使用量は、上記の反応混合物1重量部当り、通常は0.5〜5重量部の範囲であり、好ましくは1〜4重量部の範囲である。
疎水性有機溶媒の使用量が0.5重量倍未満では水洗時の分液性が悪くなり、且つω−メルカプトアルキルピリジン類(II)の得量が低下する傾向がある。一方、疎水性有機溶媒の使用量が5重量倍を超えても、ω−メルカプトアルキルピリジン類の得量が向上することはない。
水洗は、空気雰囲気中で行ってもよいが、不純物である化合物(IV)の副生量を抑制するという観点から、通常は、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気中で行われることが好ましい。
水洗時の温度は、通常は5〜90℃の範囲であり、好ましくは10〜60℃の範囲である。水洗時の温度が5℃未満ではω−メルカプトアルキルピリジン類(I)の得量が低下する傾向があり、水洗時の温度が90℃を超えると、第三級アミンの疎水性有機溶媒への溶解度が水に対する溶解度よりも相対的に高くなり、第三級アミンの除去に必要な洗浄水量が増加する傾向がある。
水洗時の水量は、前記反応混合物1重量部当り、通常は0.1〜2重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜1重量部の範囲である。
水洗時の水量が2重量倍を超えると、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)の収率が低下する傾向がある。また、水洗時の水量が1重量倍未満であると、疎水性有機溶媒と水の分液性が悪化する傾向があり、操作性の観点から好ましくない。
水洗の回数は、第三級アミンの使用量等により異なるが、通常は1〜10回、好ましくは3〜5回である。
水洗を行わない場合には、反応混合物中の着色物が除去できず、水洗の回数が増えるとω−メルカプトアルキルピリジン類(I)の得量が低下する傾向がある。
かくして得られる疏水性有機溶媒を含むω−メルカプトアルキルピリジン類(I)は、溶媒を除去して用いてもよいし、そのまま、ω−メルカプトアルキルピリジン鉱酸塩(II)の原料として用いてもよい。
本発明では、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)と鉱酸類を、水の存在下にpHを調節しながら反応させることにより、ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)を水溶液として得ることができる。また、疏水性有機溶媒の存在下に反応した場合は、該疎水性有機溶媒を水層から分離することにより、ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)を水溶液として得ることができる。
上記の疏水性有機溶媒としては、前述したω−メルカプトアルキルピリジン類(I)の製造で用いられる溶媒と同じである。
本発明の製造法において用いられる鉱酸類としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸や燐酸等が挙げられる。該鉱酸類のうち、塩酸が好ましい。
本発明は、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)と鉱酸類(z)とを、水の存在下に、疏水性有機溶媒の存在下又は非存在下、反応させるものである。pHは、通常は使用する鉱酸類の種類に応じて添加量を決め、反応終了時の反応液のpHをモニターする。反応液のpHは2以下に調節する必要があり、pHが1以下であることがより好ましい。反応終了時の反応液のpHが2を超えると、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)と鉱酸類(z)との反応が完結しないことがあり、ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)の収率が著しく低下する。
鉱酸類(z)の使用量は、その種類によって異なるが、反応終了時の反応液のpHが2以下となる量が用いられる。例えば、鉱酸類(z)として塩酸を用いる場合には、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)1モル当り、0.94モル以上使用することが好ましい。より好ましい塩酸の使用量は、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)1モル当り、1.0〜1.1モルの範囲である。
ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)の水溶液を得るための水量は、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)100重量部に対して、通常は50〜500重量部の範囲であり、好ましくは100〜200重量部の範囲である。
水量が、ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)100重量部に対して、50重量部未満では、ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)の結晶が析出しやすくなる傾向があり、好ましくない。
使用される鉱酸類の形態は、特に限定されず、水等の溶媒で希釈して溶液として用いてもよい。
ω−メルカプトアルキルピリジン類(I)と鉱酸類(z)の反応温度は、通常は0〜90℃の範囲であり、好ましくは10〜60℃の範囲である。該反応温度が0℃未満の場合は、ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)の結晶が析出しやすくなる傾向があり、好ましくない。
反応は、pHが好ましくは1以下になるまで行われ、好ましい反応時間は、鉱酸類の添加が終了した時点から4時間以内である。
ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩(II)を含む反応液は、疏水性有機溶媒を使用しなかった場合は水溶液として得られる。また、疎水性有機溶媒を使用した場合は、疏水性有機溶媒を水層と分離、除去した後、ω−メルカプトアルキルピリジン類の鉱酸塩水溶液として得ることができる。
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの収率の算出法]
4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの収率は、反応終了後の溶液をアセトニトリル/水の混合液で希釈して、下記条件の液体クロマトグラフを用いて、面積百分率法によって求めた。
<面積百分率法>
カラム:L−column ODS 4.6mmφ×15cm
移動相:2.5mmol/Lの1−ペンタンスルホン酸ナトリウム塩を含有するアセトニトリル/水
検出:UV254nm
参考例1
オートクレーブ内を硫化水素で置換した後、約0.5MPa(ゲージ圧5kg/cm)に保ちながら、硫化水素545g(16モル)を導入した。
次いで、4−ビニルピリジン421.6g(4モル)とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン23.4g(0.2モル)の混合溶液を攪拌下に5℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、3℃で1時間攪拌した後、オートクレーブ内の圧力を徐々に大気圧に戻して過剰の硫化水素を除去し、4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの反応液の577gを得た。
次いで、窒素雰囲気下で反応液の全量を別の反応容器に移し、除々に30℃まで昇温後、同温度でトルエン2020gを加えた後、水380gのイオン交換水で3回洗浄した。 得られた洗浄混合物を濾過して、4−(2−メルカプトエチル)ピリジンのトルエン溶液2590gを得た。この溶液を分析した結果、4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの含量は20.2%であった。
実施例1
反応容器に参考例1で得た4−(2−メルカプトエチル)ピリジンのトルエン溶液400gを窒素雰囲気下で加え、さらにイオン交換水72gを加えた。次に、25〜30℃の温度で攪拌しながら、同温度で36%塩酸59.2gを約2時間で滴下し、滴下終了後、25〜30℃で約1時間保温した。その後、トルエン層を水層から分離、除去して、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン塩酸塩の水溶液219gを得た。
この塩酸塩水溶液のpHを測定した。また、塩酸塩水溶液中の上記塩酸塩の含量を分析した。pHは1.0であり、前記塩酸塩の含量は4−(2−メルカプトエチル)ピリジン換算で36.8重量%であった。塩酸塩化反応の収率は99.7%であった。
実施例2
36%塩酸63.0gを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン塩酸塩の水溶液223gを得た。
この塩酸塩水溶液のpHを測定した。また、塩酸塩水溶液中の上記塩酸塩の含量を分析した。pHは0.5であり、塩酸塩の含量は4−(2−メルカプトエチル)ピリジン換算で36.1重量%であった。塩酸塩化反応の収率は99.8%であった。
実施例3
36%塩酸69.3gを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン塩酸塩の水溶液226gを得た。
この塩酸塩水溶液のpHを測定した。また、塩酸塩水溶液中の上記塩酸塩の含量を分析した。pHは0.1であり、塩酸塩の含量は4−(2−メルカプトエチル)ピリジン換算で35.8重量%であった。塩酸塩化反応の収率は100%であった。
比較例1
36%塩酸21.8gを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン塩酸塩の水溶液124gを得た。
この塩酸塩水溶液のpHを測定した。また、塩酸塩水溶液中の上記塩酸塩の含量を分析した。pHは4であり、塩酸塩の含量は4−(2−メルカプトエチル)ピリジン換算で23.5重量%であった。塩酸塩化反応の収率は34.6%であった。
比較例2
36%塩酸56.7gを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン塩酸塩の水溶液210gを得た。
この塩酸塩水溶液のpHを測定した。また、塩酸塩水溶液中の上記塩酸塩の含量を分析した。pHは2.9であり、塩酸塩の含量は4−(2−メルカプトエチル)ピリジン換算で37.0重量%であった。塩酸塩化反応の収率は96.2%であった。
Figure 2005179208

Claims (8)

  1. 下式(I)
    Figure 2005179208
    [式中、n’は0〜2の整数を表し、n’が0であるときは、単結合を表す。q’は0〜2の整数を表す。]
    で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類と鉱酸類(z)とを、水の存在下に、疎水性有機溶媒の存在下又は非存在下、反応終了時のpHが2以下になるように反応させることを特徴とする下式(II)
    Figure 2005179208
    [式中、n’とq’は、それぞれ上記の定義と同じである。r’は鉱酸類(z)におけるアニオンの価数である。]
    で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
  2. 式(I)で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類が、下式(III)
    Figure 2005179208
    [式中、n’は0〜2の整数を表し、n’が0であるときは、単結合を表す。q’は0〜2の整数を表す。]
    で表されるピリジン類と硫化水素とを上記ピリジン類とは異なる第三級アミンの存在下に反応させて得たものである請求項1に記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
  3. 式(III)で表されるピリジン類とは異なる第三級アミンが、下記(A)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも一種のアミンである請求項2に記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
    (A):下式(a)で表わされる第三級アミン
    Figure 2005179208
    [式(a)におけるR21〜R23は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基、炭素数4〜12の環状アルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。該鎖状アルキル基、該環状アルキル基及び該芳香族炭化水素基中の水素原子は、アミノ基、炭素数1〜8のN−アルキルアミノ基、炭素数1〜8のN,N−ジアルキルアミノ基及び水酸基から選ばれる一つ以上の基で置換されていてもよい。]
    (B):下式(b)で表わされる脂環式第三級アミン
    Figure 2005179208
    [式(b)における複素環中の窒素原子に結合するR24は、炭素数1〜8の鎖状アルキル基、炭素数4〜12の環状アルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、該鎖状アルキル基、該環状アルキル基及び該芳香族炭化水素基中の水素原子は、それぞれ、アミノ基、N−アルキルアミノ基(但し、該アルキルは炭素数が1〜8個である)、N,N−ジアルキルアミノ基(但し、各アルキルはそれぞれ独立に炭素数が1〜8個である)又は水酸基で置換されていてもよい。また、式(b)における複素環中の一部の−CH−は、−NH−又は−O−で置換されていてもよい。mは0〜8の整数を表し、mが0であるときは単結合を表す。]
    (C):含窒素芳香族複素環化合物
    [含窒素芳香族複素環化合物は、複素環を構成する炭素原子に炭素数1〜8のアルキル基が結合していてもよく、該アルキル基中の水素原子はアミノ基、N−アルキルアミノ基(但し、該アルキルは炭素数が1〜8である)、炭素数1〜8のN,N−ジアルキルアミノ基(但し、各アルキルはそれぞれ独立に炭素数が1〜8である)又は水酸基で置換されていてもよい。]
  4. 式(III)で表されるピリジン類が、4−ビニルピリジン及び/又は2−ビニルピリジンである請求項2又は3に記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
  5. ピリジン類とは異なる第三級アミンが、下式(1)、(2)、(5)及び(6)で表されるアミン群から選ばれる一種以上のアミンである請求項2〜4のいずれかに記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
    Figure 2005179208
    [式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。]
    Figure 2005179208
    [式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す。]
    Figure 2005179208
    [式(5)及び(6)におけるR13〜R15は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の鎖状アルキル基又は炭素数4〜12の環状アルキル基を表す。また、φ1〜φは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基を表す。]
  6. 疎水性有機溶媒が、次のa)〜d)群から選ばれる一つ以上の溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
    a)脂肪族炭化水素類
    b)脂環式炭化水素類
    c)芳香族炭化水素類
    d)炭素数5以上の脂肪族ケトン
  7. 式(I)で表されるω−メルカプトアルキルピリジン類と鉱酸類(z)とを、水の存在下に、疏水性有機溶媒の存在下又は非存在下、反応終了時のpHが1以下になるように反応させる請求項1〜6のいずれかに記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
  8. 鉱酸類(z)が、塩酸、硫酸、硝酸及び燐酸から選ばれる一つ以上の酸である請求項1〜7のいずれかに記載のω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法。
JP2003419420A 2003-12-17 2003-12-17 ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法 Pending JP2005179208A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003419420A JP2005179208A (ja) 2003-12-17 2003-12-17 ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003419420A JP2005179208A (ja) 2003-12-17 2003-12-17 ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005179208A true JP2005179208A (ja) 2005-07-07

Family

ID=34781320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003419420A Pending JP2005179208A (ja) 2003-12-17 2003-12-17 ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005179208A (ja)

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6008064491, Zeitschrift fuer Chemie, 1961, Vol.1, p.19−21 *
JPN6008064494, Journal of Industrial and Engineering Chemistry, 1952, Vol.44, p.1659−1662 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102256955B (zh) 哌嗪衍生物的制备方法
JP2005179208A (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の製造法
JP4378995B2 (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類の製造方法
JP3731909B2 (ja) ヒドロキシオキサアルキルメラミンの製造法
JP4461784B2 (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類の製造法
JP4586361B2 (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類鉱酸塩の保存方法
JP4463209B2 (ja) 光学活性アミン化合物の製造方法
JP2005179324A (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類の保存方法
JPS5838242A (ja) N−置換メタクリルアミド及びアクリルアミドの製造方法
KR102417295B1 (ko) 2,2,2-트리플루오로에탄티올의 합성
TWI252227B (en) Process for producing omega-mercaptoalkylpyridine
CN103068789B (zh) 选择性间位氯化烷基苯胺的方法
WO2017033813A1 (ja) アルケニルハライドの製造方法
JP4586362B2 (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類の製造方法
JP2009013121A (ja) シクロヘキシルイソシアネートの精製方法、およびグリピシドの製造方法
JP4529115B2 (ja) アリールメチルピペラジン誘導体の製造方法
JP3412246B2 (ja) 2−ハロゲノ−1−アルケン誘導体の製法
JP2005289988A (ja) アミノ化合物の製造法
JP4710140B2 (ja) ピロリン誘導体の製造法
JP2005154391A (ja) ω−メルカプトアルキルピリジン類の製造方法
KR102360975B1 (ko) 2,2-디플루오로에틸아민의 알킬화에 의한 n-[(6-클로로피리딘-3-일)메틸]-2,2-디플루오로에탄-1-아민의 제조 방법
US9896463B2 (en) Preparation of purified phosphorodiamidite
JPS581114B2 (ja) ユウキロダンユウドウタイノゴウセイホウホウ
CN109689612A (zh) 使用叔胺作为催化剂制备二碳酸二烷基酯的方法
JP2000327685A (ja) シリル化されたアニリン誘導体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061012

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080130

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100810