JP2005178355A - 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 硬化性樹脂形成層が、支持体フィルムへの十分な密着性、塗膜形成能、形状維持性を示し、転写後の硬化樹脂層が、高光沢、高鮮映性、十分な深み感、耐擦傷性、耐薬品性、耐沸騰水性を付与できる水圧転写用フィルムを提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂形成層が、1)重量平均分子量5,000〜300,000のポリエステルと、2)重量平均分子量400以上10,000以下であるポリエステルアクリレートと、3)前記ポリエステルとポリエステルアクリレートに相溶するエポキシアクリレートとを含有し、前記硬化性樹脂形成層中の、前記ポリエステルは20質量%〜80質量%であり、かつ前記ポリエステルアクリレートとエポキシアクリレートとの質量比が、1/15以上4/5以下である水圧転写フィルム。
【選択図】 なし



Description

本発明は、硬化性樹脂形成層を有する水圧転写用フィルム及び該フィルムを水圧転写した水圧転写体に関する。
水圧転写法は意匠性に富む装飾層を複雑な三次元形状の成形品に付与できる方法であるが、水圧転写後にさらに水圧転写した装飾層に硬化性樹脂を保護層としてスプレー塗装する必要がある。このため、水圧転写法による成形品の製造は、製造工程が煩雑であると共に水圧転写設備の他に塗装設備も必要であることからコスト高であり、水圧転写法で製造される成形品は高級品に限られていた。
この煩雑さとコスト高を解決する手段として、転写層として熱可塑性樹脂層と装飾層を設けた水圧転写フィルムを用いて、被転写体に熱可塑性樹脂層と装飾層を転写する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、該技術は保護層が熱可塑性樹脂、詳しくはブチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合体からなるもので、耐溶剤性や表面硬度などの表面特性を被転写体に十分付与できるものではなかった。
一方、ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有する化合物及び/又は融点が20〜250℃でありラジカル重合性不飽和基を有する化合物からなり、未硬化状態で常温で固体状をなし、且つ非粘着性の塗工層を有する水圧転写用シートと、該水圧転写用シートを用いて被転写体に塗工層を転写した後に電離放射線または熱で該塗工層を硬化させる硬化樹脂層を有する成形品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、該公報の請求項および明細書中に開示された方法により得られた硬化後の転写層は、印刷塗工時の乾燥性と、保管時の安定性を同時に解決しているが、ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有する化合物はそれ単独では水圧転写時の塗膜の活性化が困難であり、融点が20〜250℃でありラジカル重合性不飽和基を有する化合物では単独では巻き取り可能な柔軟性のある塗膜を形成することは不可能である。これとガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有する化合物との組み合わせにおいても柔軟性のある塗膜形成と活性化可能な塗膜形成の両立が極めて困難であった。したがって、硬化性樹脂層を有する水圧転写用シートとして必要とされる、巻き取り可能な塗膜の柔軟性、巻き取り後の保存安定性、活性化に適した転写時の溶解性、硬化塗膜の物性を同時に解決することが困難であった。
この問題に対する対策として該公報の明細書中には、該硬化性塗膜中に熱可塑樹脂やワックスなどを添加する方法が記載されている。該公報にはこれに関する具体例の開示がないが、公知の手法に則ってこれらを実施すると、硬化性樹脂形成層が、未硬化状態において、常温で固体状で、非粘着性であるという性質が低下することに加えて、硬化済み塗膜においても、使用条件として考えられる40℃から100℃程度の高温条件下で、一定時間後にこれらの熱可塑成分が硬化塗膜にブリードしたり、硬化収縮に起因すると思われる塗膜の膨れや剥離が発生し、硬化塗膜表面に著しい外観不良が生じるといった欠点があった。このため依然として未硬化状態で固体状でかつ非粘着性であり、塗膜としての保存安定性に優れ、水圧転写に十分な溶剤可溶性を有し、硬化後は十分な表面物性を有する水圧転写用フィルムおよび該水圧転写用フィルムは提供されていなかった。
反応硬化型樹脂組成物の硬化収縮は古くから知られていた現象であり、不飽和ポリエステル樹脂の場合には、低収縮化剤としてポリスチレンやポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂を添加する方法が多用されているが、エポキシアクリレートやウレタンアクリレートに関しては現在のところこうした試みはあまり報告されていない。この理由としては、不飽和ポリエステル樹脂の場合に低収縮剤として使われているポリスチレンやポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂を添加しても、エポキシアクリレートやウレタンアクリレートの硬化時の分子内の凝集力が極めて大きいため、相溶しなかったり、あるいは一時相溶しても硬化過程でのマトリックスの極性変化に伴ってすぐ相分離を起こす問題があり、あるいは逆にエポキシアクリレートやウレタンアクリレートとの相溶性が良すぎると硬化時にミクロ相分離ができにくくなり、低収縮性が発揮されないためと考えられる。そのため、得られた成形物はクラックや2相分離が発生して外観が悪くなり、あるいは相溶性が良い場合、外観は比較的透明であるが、低収縮効果が現れず歪やクラックが生ずるという問題が発生する。
特開平4−197699号公報 特開昭64−22378号公報(特公平7−29084号公報)
本発明の課題は、硬化性樹脂形成層が、未硬化状態で水溶性支持体フィルムへ十分な密着性と塗膜形成能を有し、水圧転写フィルムを形成後も硬化性樹脂形成層が十分な形状維持性を示し、水圧転写時には有機溶剤によって活性化が可能であって、転写後の活性エネルギー線の照射もしくは加熱により硬化して得られる硬化後の樹脂層が、高光沢、高鮮映性、十分な深み感などの優れた外観と、実用上問題ないレベルの耐擦傷性、耐薬品性、耐沸騰水性、耐衝撃性、塑性加工性などの表面保護性能を付与できる水圧転写用フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、硬化性樹脂形成層として、
重量平均分子量5,000以上300,000以下のポリエステル(成分A)、重量平均分子量400以上10,000以下であるポリエステルアクリレート(成分B)、前記ポリエステル(成分A)とポリエステルアクリレート(成分B)、及びこれらに相溶するエポキシアクリレート(成分C)とを、特定の割合で用いることにより、水溶性支持体フィルムへの塗工印刷性、密着性と、塗工印刷後の乾燥性、保存安定性、さらに有機溶剤による活性化が可能であり、転写後に活性エネルギー線の照射によって硬化が可能であることを同時に達成することが可能となり、上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有し、該転写層が活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な硬化性樹脂形成層を有する水圧転写用フィルムであって、前記硬化性樹脂形成層が、
1)重量平均分子量5,000以上300,000以下のポリエステル(成分A)と、2)重量平均分子量400以上10,000以下であるポリエステルアクリレート(成分B)と、3)前記ポリエステル(成分A)とポリエステルアクリレート(成分B)に相溶するエポキシアクリレート(成分C)とを含有し、前記硬化性樹脂形成層中の、前記ポリエステル(成分A)は20質量%〜80質量%であり、かつ前記ポリエステルアクリレート(成分B)とエポキシアクリレート(成分C)との質量比P:{前記ポリエステルアクリレート(成分B)の質量総和}/{エポキシアクリレート(成分C)の質量総和}が、1/15以上4/5以下である水圧転写用フィルムを提供する。
なお、本発明で言う硬化性樹脂形成層は、転写の段階では未硬化状態の層であって、硬化後、硬化樹脂層を形成する層を意味する。また、硬化樹脂層は、転写後の硬化反応によって作製される層を意味する。
また、本発明は本発明の水圧転写用フィルムを用いて、被転写体の表面に前記硬化性樹脂形成層を水圧転写した後、該硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させた硬化樹脂層を有する水圧転写体を提供する。
本発明の水圧転写フィルムは、
(1)未硬化状態でも巻き取り可能な柔軟性と、巻き取り後もブロッキングなどを起こさず、形状が安定維持される等の良好な保存安定性を示し、
(2)水圧転写工程における均一な活性化が可能であり、
(3)転写後に活性エネルギー線により硬化して、高光沢、高鮮映性、十分な深み感などの優れた外観と、実用上問題ないレベルの耐擦傷性、耐薬品性、耐沸騰水性、耐衝撃性、塑性加工性などの表面保護性能、を併せて有する。
[水圧転写用フィルムの支持体フィルム]
本発明の水圧転写用フィルムに用いる水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムは、水で溶解もしくは膨潤可能な樹脂からなるフィルムである。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム(以下、支持体フィルムと略す)としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のフィルムが使用できる。
なかでも一般に水圧転写用フィルムとして用いられているPVAフィルムが水に溶解し易く、入手が容易で、硬化性樹脂形成層の印刷にも適しており、特に好ましい。用いる支持体フィルムの厚みは10〜200μm程度が好ましい。
[水圧転写用フィルムの転写層]
本発明の水圧転写用フィルムの支持体フィルム上に設けられる転写層は、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な硬化性樹脂形成層(以下、硬化性樹脂形成層と略す。)を有する。また、転写層は硬化性樹脂形成層とその上に設けられた印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる装飾層(以下、装飾層と略す。)とを有する場合がある。本発明での硬化性樹脂形成層は、硬化前であっても常温で非粘着性の皮膜を形成し、常温では硬化せず活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能である。
装飾層を有する際は、水圧転写体の装飾層の意匠性を良く発現できることから、硬化性樹脂形成層は透明であることが好ましい。但し、水圧転写体の要求特性によるが、基本的に得られる水圧転写体の装飾層の色や柄が透けて見えれば良く、硬化性樹脂形成層は完全に透明であることを要せず、透明から半透明なものまでを含む。
(活性エネルギー線)
活性エネルギー線は、可視光、紫外線、電子線、ガンマ線を意味し、いずれも使用可能であるが、特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。
[転写層の硬化性樹脂形成層]
本発明の水圧転写用フィルムの硬化性樹脂形成層は、
(1)未硬化状態でも巻き取り可能な柔軟性と、巻き取り後もブロッキングを起こさず、形状が安定維持される良好な保存安定性を示し、
(2)水圧転写工程における均一な活性化が可能であり、
(3)転写後に活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種により硬化して、高光沢、高鮮映性、十分な深み感などの優れた外観と、実用上問題ないレベルの耐擦傷性、耐薬品性、耐沸騰水性などの表面保護性能を併せて有することが必要である。
このためには、硬化性樹脂形成層が必須成分として
(成分A)重量平均分子量5,000以上300,000以下のポリエステル
(成分B)重量平均分子量400以上10,000以下であるポリエステルアクリレート
(成分C)前記ポリエステル(成分A)とポリエステルアクリレート(成分B)に相溶するエポキシアクリレート
を含有することが必要である。
硬化性樹脂形成層は、膜厚が厚いほど、得られる成形品の保護効果は大きく、また装飾層の凹凸を吸収する効果が大きいために成形品に優れた光沢を持たせることができる。従って、硬化性樹脂形成層の膜厚は、具体的には3μm以上、好ましくは15μm以上の厚みを持つことが好ましい。硬化性樹脂形成層の厚みが200μmを超えると、有機溶剤による硬化性樹脂形成層の活性化が十分なされにくい。有機溶剤による硬化性樹脂形成層の十分な活性化、装飾層に対する保護層としての機能、及び装飾層の凹凸の吸収等の観点から、硬化性樹脂形成層の乾燥膜厚は3〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜100μm、更により好ましくは15〜50μmである。
(ポリエステル(成分A))
本発明で使用される硬化性樹脂形成層が含有するポリエステル(成分A)の重量平均分子量は5,000以上300,000以下であり、より好ましくは7,000以上80,000以下、更により好ましくは8,000以上50,000以下である。
ポリエステル(成分A)の重量平均分子量が300,000を超えて大きいと、硬化前の硬化性樹脂形成層の有機溶剤による活性化が困難になり易い。一方、分子量が5,000未満であると、未硬化の硬化性樹脂形成層の流動性や粘着性を抑制しにくく、かつ硬化後の塗膜では高温において熱可塑樹脂が塗膜表面に移行して塗膜性能を低下させる。
本発明で使用される硬化性樹脂形成層が含有するポリエステル(成分A)は、塗膜の形成能、乾燥性、保存安定性をより確保するためには、好ましくは30質量%以上75質量%以下、更により好ましくは35質量%以上70質量%以下である。
また、ポリエステル(成分A)のガラス転移温度(Tg)は、5℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以上95℃以下、更に好ましくは20℃以上90℃以下である。ポリエステル(成分A)のTgが5℃未満であると、未硬化の硬化性樹脂形成層の保存安定性が悪く、かつ硬化後の塗膜の耐熱性に悪影響を及ぼす。反対にポリエステル(成分A)のTgが100℃を超えて大きいと硬化性樹脂との相溶ならびに水圧転写時の有機溶剤による活性化が困難になる。
本発明のポリエステル(成分A)は、以下に示す二塩基酸成分、グリコール成分を適宜共重合することにより得ることができる。酸成分としては、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族や脂環族二塩基酸である。また、発明の内容を損なわない範囲で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価のカルボン酸や2,2−ジメチル3−ヒドロキシプロピオン酸などのヒドロキシカルボン酸を併用しても良い。
また、グリコール成分としては、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1.3−シクロヘキサンジメタノール、1,2シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールS、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサスド付加物、ビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサスド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルが挙げられる。また、発明の内容を損なわない範囲で、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールを併用しても良い。
また、5−スルホイソフタル酸,4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸,5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などの金属塩又は2−スルホ−1,4−ブタンジオ−ル,2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等の金属塩などのスルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコ−ルを全酸または全グリコ−ル成分の5モル%以下の範囲で使用してもよい。
ポリエステルを重合した後に無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などを後付加して酸価を付与してもよい。
前記ポリエステル(成分A)は市販品でもよく、具体例としては、例えば、バイロン103、バイロン200、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン270、バイロン290、バイロン296、バイロン300、バイロン530、バイロン560、バイロン600、バイロン630、バイロン650、バイロンGK110、バイロンGK130、バイロンGK140、バイロンGK150、バイロンGK190、バイロンGK250、バイロンGK330、バイロンGK360、バイロンGK590、バイロンGK640、バイロンGK680、バイロンGK780、バイロンGK810、バイロンGK880、バイロンGK890(商品名;以上全て東洋紡績株式会社製)、エリーテルUE3200、エリーテルUE3201、エリーテルUE3203、エリーテルUE3210、エリーテルUE3215、エリーテルUE3216、エリーテルUE3220、エリーテルUE3620、エリーテルUE3240、エリーテルUE3250、エリーテルUE3320、エリーテルUE3370、エリーテルUE3250、エリーテルUE3380、エリーテルUE3350、エリーテルUE3300、エリーテルUE3500、エリーテルUE9200(商品名;以上全てユニチカ株式会社製)が挙げられ、望ましい塗膜物性が得やすいという観点から、バイロン200、バイロン240、バイロン650、バイロンGK880が好適に用いられる。これらのポリエステルは、既にトルエンやメチルエチルケトンなどを含有する有機溶剤に予め溶解されている溶解品を用いてもよい。また、ポリエステル(成分A)は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
また、硬化樹脂の耐薬品性、特に耐アルカリ性を向上させるために、前記ポリエステル(成分A)に、部分構造(1)
Figure 2005178355
(1)
を有するポリエステル(成分A2)を含有させることができる。このポリエステル(成分A2)は、市販品でもよく、ペスレジンS−140(商品名、高松油脂株式会社)が好適である。
なお、本発明のポリエステル(成分Aならびに成分A2)は溶剤可溶性を有することが好ましい。ここで意味する溶剤可溶性とは、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルの単独またはこれらの任意の複数種からなる任意の混合比の混合溶媒のいずれか一種以上に25℃で3%以上溶解するものをいう(濃度3%で加熱溶解後25℃で24時間保存後ゲル化、析出しない)。なお、実用上は上記溶媒のいずれか一種以上に5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、特に好ましくは20%以上、最も好ましくは22%溶解することが望まれる。
(ポリエステルアクリレート(成分B))
本発明で用いるポリエステルアクリレート(成分B)は、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する飽和もしくは不飽和ポリエステルである。該ポリエステルアクリレート(成分B)の構成成分であるポリエステルは、グリコール成分、必要によりトリオール成分と二塩基酸、必要により三塩基酸成分とのエステル反応により得られるものである。その際、必要により、モノエポキシ化合物やポリエポキシ化合物を併用してもよい。ポリエステルアクリレート(成分B)の含有量は、硬化性樹脂層中、後述のエポキシアクリレート(成分C)と合算して20質量%〜80質量%であることが好ましく、かつポリエステルアクリレート(成分B)とエポキシアクリレート(成分C)との質量比P:{ポリエステルアクリレート(成分B)の質量総和}/{エポキシアクリレート(成分C)の質量総和}が1/15以上4/5以下であり、中でも1/10以上7/10以下であることがより好ましく、1/8以上3/5以下が更により好ましい。前記質量比Pが1/15未満では、硬化塗膜の耐久性、特に耐沸騰水性が確保できない。逆に前記質量比Pが4/5を超えると硬化性樹脂層のベタツキが増大し、塗工作業性が悪化する。
上記ポリエステルの原料となるグリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等に代表されるアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等に代表されるポリアルキレングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等に代表される2価フェノールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加反応生成物などがある。トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオールなどがある。テトラオール単位としてはペンタエリスリトール、ジグリセロール、1,2,3,4−ブタンテトラオールなどがある。
二塩基酸(無水物)としては、o−フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロルフタル酸、テトラブロモフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,1,2−ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハイミッタ酸、ヘット酸などがあり、3塩基酸単位としては、トリメリット酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、6−カルボキシ−3−メチル−1,2,3,6−ヘキサヒドロフタル酸などがあり、4塩基酸単位としてはピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などがある。
モノエポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、スチレンオキサイド、フェニルダリシジルエーテルなどが挙げられる。また、ポリエポキシ化合物としては、いわゆるジエポキシ化合物を好適に使用することができ、例えば日刊工業新聞社発行プラスチック材料講座1「エポキシ樹脂」(昭和11年5月10日発行、縞本邦之編著)第19頁〜第48頁に記載されたエポキシ樹脂を挙げることができる。
上記ポリエステルアクリレートの製法としては、例えばグリコール、必要により3価アルコールと(メタ)アクリル酸及び二塩基酸、必要により3価以上の多塩基酸とのエステル化反応による方法が一般的であるが、(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物と二塩基酸、必要により3価以上の多塩基酸とのエステル化による製造方法でもよい。
上記ポリエステルアクリレートの構成成分となる不飽和ポリエステルとは、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物と芳香族飽和二塩基酸またはその酸無水物と、グリコール類の重縮合によって製造され、場合によって酸成分として脂肪族あるいは脂肪族飽和二塩基酸を併用して製造されるものが挙げられる。
上記のα,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等である。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独或いは併用して使用される。
グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA,エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、単独或いは併用して使用されるが、そのほかにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の付加物も同様に使用できる。また、グリコール類と酸成分の一部として水酸基又はカルボキシル基を有するポリエチレンテレフタレート等の重縮合物も使用できる。
不飽和グリジジル化合物としては、アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和一塩基酸のグリシジルエステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等があり、グリシジルアクリレートが好ましい。
本発明でのポリエステルアクリレート(成分B)の重量平均分子量は、好ましくは600以上8,000以下、より好ましくは800以上6,500以下である。
本発明で用いるポリエステルアクリレート(成分B)の平均官能基数が3未満の場合には、硬化した際の架橋密度が小さすぎて、ポリエステル(成分A)のブリード抑制等の求める性質が発現されにくい。また重量平均分子量が10,000を越えると、他成分との相溶性が悪くなり、組成物としての取扱いが困難となる傾向がある。
前記ポリエステルアクリレート(成分B)は市販品でもよく、具体例としては、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050(商品名:以上全て東亞合成株式会社製)が挙げられ、架橋間分子量がやや大きいM−7100あるいはM−8530が塗膜物性のバランスが取り易いので好適に用いられる。
(エポキシアクリレート(成分C))
エポキシ(メタ)アクリレートとは、ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸またはその無水物を反応させて得られる(メタ)アクリレートである。ポリエポキシドとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等や、ビスフェノール型エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したものが挙げられる。
エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレートが好ましい。
エポキシアクリレート(成分C)の含有量は、硬化性樹脂層中、前述のポリエステルアクリレート(成分B)と合算して20質量%〜80質量%であることが好ましく、かつポリエステルアクリレート(成分B)とエポキシアクリレート(成分C)との質量比P:{ポリエステルアクリレート(成分B)の質量総和}/{エポキシアクリレート(成分C)の質量総和}が1/15以上4/5以下であり、中でも1/10以上7/10以下であることがより好ましく、1/8以上3/5以下が更により好ましい。前記質量比Pが1/15未満では、硬化塗膜の耐久性、特に耐沸騰水性が確保できない。逆に前記質量比Pが4/5を超えると硬化性樹脂層のベタツキが増大し、塗工作業性が悪化する。
前記ポリエポキシドとしては、1分子中に平均1.5個以上、好ましくは、平均2〜5個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。前記エポキシ樹脂のなかでもビスフェノール型エポキシ樹脂が硬度と伸度のバランスの優れた硬化塗膜を形成できるため好ましい。また、ポリエポキシドは単独で使用できる他、2種以上を併用することもできる。
エポキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させることによって得ることができる。この反応は、通常、50℃〜150℃の範囲の温度で、1〜8時間程度、行なわれる。反応の際、好ましくは、触媒が用いられる。触媒としては、具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、又は第四級ホスホニウム塩、そのほか、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類や、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等を挙げることができる。
また、反応の際、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロブアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を反応溶剤として用いることができる。反応の際、重合禁止剤として、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4−メチルキノリン、フェノチアジン等を反応系に共存させてもよい。
反応に際して、アクリル酸又はメタクリル酸の重合反応を抑制するために、場合によっては、空気等の気流下に反応を行なうこともできる。また、その際に、空気による酸化反応を防止するために2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の酸化防止剤を併用してもよい。
本発明で用いるエポキシアクリレート(成分C)の官能基数が平均1.5未満の場合には、硬化した際の架橋密度が小さく、得られる塗膜の表面保護性能が芳しくない。
前記エポキシアクリレート(成分C)は市販品でもよく、具体例としては、NKオリゴEA−1020、NKエステル A−B1206PE、NKエステル ABE−300、NKエステル A−BPE−4、NKエステル A−BPE−6、NKエステル A−BPE−10、NKエステル A−BPE−20、NKエステル A−BPE−30、NKエステル BPE−80N、NKエステル BPE−100N、NKエステル BPE−500、NKエステル BPE−900,NKエステル BPE−1000N、NKエステル A−9300、NKオリゴ EA−5220、NKオリゴ EMA−5220、NKオリゴ EA−5221、NKオリゴ EA−5222、NKオリゴ EA−5223、NKエステル A-BPFL-4E(商品名:以上全て新中村化学株式会社製)が挙げられ、得られる硬化塗膜の物性ならびに経済的理由の観点からEA−1020が好適に用いられる。
(テルペンフェノール樹脂(成分D))
本発明の水圧転写用フィルムの硬化性樹脂形成層は、テルペンフェノール樹脂(成分D)を含有することが好ましい。テルペンフェノール樹脂は、同程度の軟化点を有する熱可塑性アクリル樹脂や熱可塑性ポリエステル樹脂と比べて、有機溶剤に溶解する速度が速く、かつ水圧転写用フィルムの硬化性樹脂形成層を構成する他の成分、すなわち活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な化合物やその他の熱可塑性樹脂との相溶性も高いので、水圧転写用フィルムの硬化性樹脂形成層を構成する成分として好適である。
本発明で用いるテルペンフェノール樹脂は、テルペン類とフェノールとを三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウムのようなルイス酸触媒の存在下で、水素の移動により不均一付加反応、いわゆるフリーデル・クラフト反応により合成することができる。前記テルペンフェノール樹脂の原料であるテルペン類としては、モノテルペン類(C10:炭素数を現す、以降同じ)、セスキテルペン類(C15)、ジテルペン類(C20)、トリテルペン類(C30)、テトラテルペン類(C40)等があり、その中に官能基の構造から、炭化水素系、アルコール系、ケトン系などがある。
具体例としてはモノテルペン類としてミルセン、オシメン、リモネン、ジペンテン、テルピノレン、テルピネン、フェランドレン、シルベストレン、サビネン、カレン、ピネン、カンフェン、トリシクレン、フェンチェンなどの炭化水素系モノテルペン;シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、テルピネオール、カルベオール、ツイルアルコール、ピノカンフェオール、フェンチルアルコール、ボルネオールなどのアルコール系モノテルペン;シトロネラール、シトラール、シクロシトラール、サフラナール、フェランドラール、ベリルアルデヒドなどのアルデヒド系モノテルペン;ダゲトン、ヨノン、イロン、メントン、カルボメントン、カルボタナセトン、ピペリテノン、ツヨン、カロン、ショウノウなどのケトン系モノテルペン;シオネール、ピノール、アスカリドールなどのオキシド系モノテルペン;シトロネル酸などのモノテルペン酸などが挙げられ、
セスキテルペン類として、ビサボレン、ジンギベレン、クルクメン、カジネン、セキスベニヘン、サンタレン、カリオフィレン、セドレン、ロンギホレンなどの炭化水素系セキステルペン;ファルネソール、ネロリドール、カジノール、オイデスモール、グアヨール、バチュリアルコール、カロトール、ランセオール、セドロール、ケッソグリコールなどのアルコール系セキステルペン;シベロン、エレモフィロン、ゼルンボンなどのケトン系セキステルペン;ヒノキ酸、サンタル酸などのセキステルペン酸などが挙げられ、
ジテルペン類として、カンホレン、ホドカルプレン、ミレン、フィロクラデン、トタレンなどの炭化水素系ジテルペン;フィトール、スクラレオール、マノール、ヒノキオール、フェルギノール、トタロールなどのアルコール系ジテルペン;スギオール、ケトマノイルオキシドなどのケトン系ジテルペン;マノイルオキシドなどのオキシド系ジテルペン;アビエチン酸、ビマル酸、ネオアビエチン酸、レボビマル酸、イソ−d−ビマル酸、アガデンジカルボン酸、ルベニン酸などのジテルペン酸などが挙げられる。
トリテルペン類としては、スクアレン、アンブレイン、オノセリンなどの炭化水素系トリテルペン;ラノステロール、アグノステロールなどのアルコール系トリテルペン、トラメテノリック酸、エブバコイック酸、ポリポレニック酸などのトリテルペン酸などが挙げられ、テトラテルペン類として、カロチン、リコピン、クリプトキサンチン、ルティン、ビアキサンチン、ロドキサンチン、カプサンチン、クロセチンなどのカロチノイドが挙げられる。
前記テルペンフェノール樹脂の原料であるテルペン類として例示した化合物のなかで、原料入手の容易性からα―ピネンやβ−ピネンなどのピネンならびにリモネンが多用される。なお、前記テルペン類は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してフェノールとの重合物を製造してもよい。前記テルペンフェノール樹脂の原料であるフェノール類の具体例としては、クレゾール、ジオキシナフタレン、アルキルフェノール、ハロゲン化フェノール、アリルフェノール、ポリクレゾール等が挙げられる。なお、前記フェノール類は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用して前記テルペン類との重合物を製造してもよい。
前記テルペンフェノール樹脂は市販品でもよく、具体例としては、例えば、YP−90、マイティエースG125、マイティエースG150、マイティエースK125、YSレジンTO125、YSレジンTO115、YSレジンTO105、YSレジンTO85、YSレジンTR105TR、YSレジンZ115、YSレジンZ100、YSポリスター2130、YSポリスター2115、YSポリスター2100、YSポリスターU115、YSポリスターT160、YSポリスターT145、YSポリスターT130、YSポリスターTH130、YSポリスターT115、YSポリスターT100、YSポリスターT80、YSポリスターT30、YSポリスターS145、YSポリスターN125(商品名;以上全てヤスハラケミカル社製)が好適に挙げられる。
また、テルペンフェノール樹脂は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
本発明で用いるテルペンフェノール樹脂(成分D)が、水圧転写体の硬化樹脂層が所望の性能を有するためには、軟化点が40℃以上160℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上155℃以下、更により好ましくは60℃以上155℃以下である。テルペンフェノール樹脂の軟化点が40℃以下となると高温使用時にブリードしやすくなり、160℃を超えると得られる塗膜が脆くなる傾向がある。
本発明で用いるテルペンフェノール樹脂(成分D)の水酸基価は、特に制限されるものではないが、水圧転写体の硬化樹脂層が所望の性能を発現しやすくするためには、水酸基価(mgKOH/g)40以上が200以下であることが好ましく、より好ましくは40以上180以下、更により好ましく45以上170以下である。テルペンフェノール樹脂の水酸基価が40以下となると高温使用時にブリードしやすくなり、180を超えると相溶性が低下する傾向がある。
軟化点が40℃以上160℃以下であるテルペンフェノール樹脂(成分D)は架橋反応には関与せず、有機溶剤に溶解しやすいために水圧転写体の表面に広がやすい傾向があるので、テルペンフェノール樹脂(成分D)の配合量は、硬化性樹脂形成層の全量中、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上15%以下、更により好ましくは1質量%以上10質量%以下である。配合量が0.5%未満ではテルペンフェノール樹脂(成分D)を配合した効果の発現が不十分であり、30%を超えると硬化塗膜の耐溶剤性が悪化する。
(光重合開始剤)
硬化性樹脂形成層には、必要に応じて慣用の光重合開始剤や光増感剤が含まれて良い。光重合開始剤の代表的なものとしては、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンの如きアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントンの如きチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
光重合開始剤は用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、通常0.5〜15質量%、好ましくは1〜8質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルの如きアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光ラジカル発生剤と併用することもできる。
(装飾層)
硬化性樹脂形成層の上に設けられる装飾層として用いられる印刷インキ皮膜または塗料皮膜は、有機溶剤によって活性化されて転写に十分な柔軟性が得られることが好ましく、硬化性樹脂形成層の乾燥後に、特にグラビア印刷インキを用いた印刷により装飾層を形成することが好ましい。
印刷インキまたは塗料に用いるワニス用樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ共重合樹脂)、ビニリデン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネート)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
印刷インキまたは塗料に用いる着色剤は、顔料が好ましく、無機系顔料、有機系顔料のいずれも使用が可能である。また、金属切削粒子のペーストや蒸着金属膜から得られる金属細片を顔料として含んだ金属光沢インキの使用も可能である。これらの金属としては、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、真鍮(Cu−Zn)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ニッケルクローム(Ni−Cr)およびステンレス(SUS)等が好ましく用いられる。これらの金属細片は、分散性、酸化防止やインキ層の強度向上のためにエポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース誘導体などで表面処理されていても良い。
装飾層は、支持体フィルム上に形成された硬化性樹脂形成層上に、グラビア印刷のほかにオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成する。装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
なお、硬化性樹脂形成層および装飾層中に、意匠性、展延性を阻害しない範囲において、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤、顔料分散剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤などの慣用の各種添加剤を加えることができる。
得られた本発明の水圧転写用フィルムは、ブロッキング性が低く、遮光紙で覆い、倉庫などの暗所に保管すれば硬化反応が不必要に進行することはなく、水圧転写の際に有機溶剤により硬化性樹脂形成層、または硬化性樹脂形成層と装飾層が活性化されて転写可能なものであり、積極的に紫外線や太陽光に曝さない限り十分な市場流通性を有するものである。
なお、ブロッキング性が低いとは、120℃、1分間で乾燥させた硬化性樹脂形成層と装飾層を重ね印刷または塗工した塗膜面と支持体フィルムとを重ね合わせ、ブロッキングテスターで1kg/cmの荷重をかけて、20℃で1週間放置後、支持体フィルムと塗膜面をはがした際に塗膜面が支持体フィルムに付着せず、容易にはがれることをいう。
(水圧転写体の製造方法)
本発明の硬化樹脂形成層、または装飾層と硬化樹脂形成層とを有する成形品の製造方法は、本発明の水圧転写フィルムの支持体フィルムを下にして水に浮かべ、有機溶剤により硬化樹脂形成層、または装飾層と硬化性樹脂形成層を有する転写層を活性化した後、転写層を被転写体に水圧転写し、支持体フィルムを除去し、次いで転写層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させる方法であり、従来の水圧転写用フィルムと同様な方法で水圧転写を行うことができる。水圧転写用フィルムを用いた装飾成形品の製造方法の概略は、以下に示す通りである。
(1)水圧転写フィルムの支持体フィルムを下にし、転写層を上にして水槽中の水に浮かべ、前記支持体フィルムを水で溶解もしくは膨潤させる。
(2)水圧転写用フィルムの転写層に有機溶剤を塗布または噴霧することにより硬化樹脂層もしくは硬化性樹脂形成層と装飾層からなる転写層を活性化させる。
なお、転写層の有機溶剤による活性化はフィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
(3)水圧転写用フィルムの転写層に被転写体を押しつけながら、被転写体と水圧転写用フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を前記被転写体に密着させて転写する。
(4)水から出した被転写体から支持体フィルムを除去し、被転写体に転写された転写層の硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種により硬化させ、硬化樹脂形成層もしくは硬化性樹脂形成層と装飾層とを有する成形品を得る。
硬化性樹脂形成層または、硬化性樹脂形成層と装飾層とからなる本発明の水圧転写フィルムの転写層は、有機溶剤を塗布または散布することにより活性化され、十分に可溶化もしくは柔軟化される。ここで言う活性化とは、転写層に有機溶剤を塗布または散布することにより、転写層を完全には溶解せずに可溶化させ、転写層に柔軟性を付与することにより転写層の被転写体への追従性と密着性を向上させることを意味する。この活性化は転写層を水圧転写用フィルムから被転写体へ転写する際に、これらの転写層が柔軟化され、被転写体の三次元曲面へ十分に追従できる程度に行われれば良い。
水圧転写における水槽の水は、支持体フィルムを膨潤または溶解させる他、転写層を転写する際に水圧転写用フィルムを被転写体の三次元曲面に密着させる水圧媒体として働く。具体的には、水道水、蒸留水、イオン交換水などの水で良く、また用いる支持体フィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類やアルコール類を10%以内の範囲で溶解させたものでもよい。
(活性化剤)
硬化樹脂層もしくは硬化性樹脂形成層と装飾層とを可溶化すなわち活性化させる有機溶剤であるが、水圧転写工程が終了するまで蒸発しないことが好ましい。本発明で使用される活性化剤は、一般の水圧転写に用いる活性化剤を用いることができる。具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、1プロパノール、2プロパノール、1ブタノール、2ブタノール、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ソルフィットアセテート、ミネラルスピリット及びそれらの混合物が挙げられる。
この活性化剤中に印刷インキ又は塗料と成形品との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似の構造のものを1〜10%含ませることによって密着性が高まることがある。
また同様の目的で、活性化剤中に上述したラジカル重合性化合物や光重合開始剤を溶解させて使用してもよい。
被転写体に転写層を水圧転写した後、支持体フィルムを水で溶解もしくは剥離して除去し乾燥させる。被転写体からの支持体フィルムの除去は、従来の水圧転写方法と同様に水流で支持体フィルムを溶解もしくは剥離して除去する。
硬化性樹脂形成層は、水および活性剤を乾燥後させた後に、活性エネルギー線照射および/または加熱により硬化を行う。硬化時間は、組成、硬化剤の種類にもよるが、数分から1時間以内に硬化が進むものが工程上好ましい。
(被転写体となる成形品)
被転写体となる成形品は、その表面に硬化性樹脂形成層や装飾層が十分密着することが好ましく、このため必要に応じて成形物表面にプライマー層を設ける。プライマー層を形成する樹脂は、プライマー層として慣用の樹脂を特に制限なく用いることができ、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。また、密着性の良好なABS樹脂やSBSゴムなど、溶剤吸収性の高い樹脂成分からなる成形品にはプライマー処理は不要である。成形品の材質は、プライマー処理さえ施されていて、水中に沈めても形状が崩れたりせず品質上問題を起こさないレベルの防水性があれば、金属、プラスチック、木材、パルプモールド、ガラスなど特に限定されない。
本発明が適用できる成形物の具体例としては、テレビ、ビデオ、エアコン、ラジオカセット、携帯電話、冷蔵庫等の家庭電化製品、パーソナルコンピューターやプリンター等のOA機器、その他石油ファンヒーター、カメラなどの家庭製品のハウジング部分に適用できる。また、テーブル、タンス、柱などの家具部材や、バスタブ、システムキッチン、扉、窓枠、廻り縁などの建築部材、筆記用具、電卓、電子手帳、ケースなどの雑貨、文房具、自動車内装パネル、自動車やオートバイの外板、ホイールキャップ、スキーキャリヤ、自動車用キャリアバッグ、ゴルフクラブ、ヨットなどの船舶部品、スキー板、スノーボード、ヘルメット、ゴーグル、モニュメントなどの曲面を有し、かつ意匠性を必要とする成形品に特に有用に用いられ、極めて広い分野で使用可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は質量基準である。
(製造例1)<格子柄フィルムP1の製造>
東洋紡社製の厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと略す)上に下記組成の印刷インキG1をグラビア印刷にて4g(固形分)/m2の厚みで柄模様及びベタを3版で印刷して、格子柄印刷フィルムP1を製造した。
<印刷インキG1組成、墨、赤、黄、白>
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):20部
顔料(墨、赤、黄、白) :10部
酢酸エチル・トルエン(1/1) :60部
ワックス等添加剤 :10部
(製造例2)<抽象柄フィルムP2の製造>
東洋紡社製の厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと略す)上に前記組成の印刷インキG1をグラビア印刷にて4g(固形分)/m2の厚みで抽象絵柄模様およびベタを4版で印刷して、抽象柄印刷フィルムP2を製造した。
<水圧転写後の成形品の試験方法>
実施例及び比較例で得た水圧転写したサンプル等を以下の試験で評価した。
(模様再現性)
3次元立体成形物での模様再現性について、模様再現面積率により以下のように目視評価した。
○:模様再現面積率95%以上 (模様再現性良好)
△:模様再現面積率80%〜95%未満(模様再現性やや不良)
×:模様再現面積率80%未満(模様再現性不良)
(密着性)
下記のプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、碁盤目テープ法(JIS K5400) に準じてインキ密着性を評価(10点満点)した。
<プライマー処理済亜鉛メッキ鋼板>
大日本インキ化学工業株式会社製ベッコライト57−206−40(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10000)を固形分換算で45部、チタン白50部、シクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部を混合し、ビーズミル練肉し、練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネート(XDI)を5部、ジブチル錫ジラウレート(TK−1)を0.5部加えて得られた上塗り塗料をクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m)に乾燥膜厚として40μmになるようバーコ一夕一にて塗布し、最高到達板温235℃にて焼き付け、プライマー処理済亜鉛メッキ鋼板を得た。
(硬化収縮性)
10cm四方の厚さ50μmのPETフィルム上に、硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚25μmとなるようにバーコーターで塗工した。得られた塗工サンプルを60℃で30分間乾燥した後、UV照射装置に1回サンプルを通す(UV照射量2400mJ/cmに相当)ことにより、硬化性樹脂を完全硬化させた。放冷後、平板上に塗工サンプルを置き、塗工サンプル四隅の捲れ上がり距離(mm)を測定し、これを総和した値を硬化収縮性の指標とした。
(鉛筆硬度)
JIS-K5401「塗膜用鉛筆引き掻き試験機」を用いて塗膜硬度を測定した。芯の長さは3mm塗膜綿との角度45度、荷重1kg、引き掻き速度0.5mm/分、引き掻き長さ3mm、使用鉛筆は三菱ユニとした。
(表面光沢)
20度および60度鏡面光沢度(JIS K5400)を測定した。
(鮮映度)
水圧転写したサンプルの鮮映度を、(財)日本色彩研究所製の携帯用鮮明度光沢度計PGD−4型により測定した。なお、本発明でいう鮮映性とは、写像鮮映性すなわち水圧転写したサンプルに写した正反射の像の鮮明さを意味し、高鮮映とは前記鮮映度が0.6以上をさす。
(表面平滑性)
レーザー顕微鏡により、表面粗さRaを測定した。
(深み感)
塗膜の落ち着いた重厚感、奥行き感、および深み感を、目視により下記の基準で判断した。
◎:落ち着いた重厚感、奥行き感、および深み感 が非常に優れている。
○:落ち着いた重厚感、奥行き感、および深み感 が優れている。
×:落ち着いた重厚感、奥行き感、および深み感 がない。
(耐擦傷性)
密着性試験で用いたプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、ラビング試験機(荷重800g)により、乾拭き100回後の表面光沢保持率を評価した。
(耐薬品性1:耐アルコール性)
密着性試験で用いたプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、1−ブタノールを含ませた脱脂綿を用いてラビング試験(荷重800g、往復100回)を実施し、試験後の表面光沢保持率を測定した。
(耐薬品性2:耐酸性/耐アルカリ性)
密着性試験で用いたプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)に水圧転写したサンプルについて、端面(端から3mm内側まで)および裏面を保護フィルム(日東電工(株)製ニトフロン粘着テープ No.903UL)にて、5%酢酸水溶液もしくは5%水酸化ナトリウム水溶液に72時間浸漬させた後の表面光沢保持率を測定した。
(熱水処理後の密着性)
水圧転写したサンプルを熱水(水温98℃)中で2時間加熱処理し、次いで塗膜にカッターで1×1mmの碁盤目を100個つくり、その部分に粘着テープを貼った後、この粘着テープを急速に剥離し、塗膜の剥離状態を目視により観察して、次に示す3段階にて評価した。
○:剥離が全く認められなかった。
△:全体の1〜30%が剥離した。
×:全体の31〜100%が剥離した。
(熱水処理後の光沢保持率)
水圧転写したサンプルを熱水(水温98℃)中で2時間加熱処理し、次いで光沢計で60度グロスを測定して熱水処理前後での光沢保持率を算出した。
(耐衝撃性)
密着性試験で用いたABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、デュポン衝撃試験(25℃、100g、100mm、1/2インチ径)を行い、撃心部位の表面状態を観察・評価した。
○:割れ・はがれがない。
×:割れ・はがれがある。
(塑性加工性)
水圧転写したサンプルのエリクセン値(定距離法、JIS-K5400)を実施し、鋼球5mm押し出し後の表面状態を観察・評価した。
○:割れ・はがれがない。
×:割れ・はがれがある。
(実施例1)
支持体フィルムである厚さ30μmのPVAフィルムへ下記組成の硬化性樹脂組成物C1をリップコーターで乾燥膜厚40μmになるように塗布し、次いで60℃で3分間乾燥した。得られた硬化性樹脂組成物C1を塗布したフィルムの硬化性樹脂形成層と格子柄フィルムP1の印刷層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温30℃、湿度50%の環境下で96時間エージングした剥離紙付き水圧転写用フィルムF1を作成した。
<硬化性組成物C1の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」
:70部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :20部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK880」
(重量平均分子量54,000、Tg=84℃) :110部
トルエン :135部
メチルエチルケトン :135部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=35/10/55)
但し、塗膜構成とは、光重合開始剤などの添加剤を除いた、乾燥後の塗膜組成を言う。
得られた水圧転写用フィルムF1からPPフィルムを剥離し、30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、活性剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=50/25/15/10)50g/mをフィルム上に散布した。更に20秒放置後、垂直方向からプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(石油ファンヒーターハウジング)を押し当て、転写層を水圧転写した。転写後、成形物を水洗し、120℃で30分乾燥した。次にUV照射装置に1回サンプルを通す(UV照射量2400mJ/cmに相当)ことにより、硬化性樹脂形成層を完全硬化させ、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z1を得た。
(実施例2)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C2に変更した以外は実施例1と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z2を得た。
<硬化性組成物C2の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」
: 80部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) : 40部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロン650」
(重量平均分子量51,000、Tg=10℃) : 70部
テルペンフェノール樹脂「YSポリスターK125」 : 10部
トルエン :130部
メチルエチルケトン :130部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル/テルペンフェノール=40/20/35/5)
(実施例3)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C3に変更し、更に格子柄フィルムP1を抽象柄フィルムP2に変更した以外は実施例1と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z3を得た。
<硬化性組成物C3の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:65部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :20部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK880」
(重量平均分子量54,000、Tg=84℃) :120部
高松油脂(株)製ポリエステル「ペスレジンS−140」
(重量平均分子量52,000、Tg=77℃、固形分=30%) :5部
トルエン :135部
メチルエチルケトン :135部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」 :4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル/ポリエステル2=31/10/58/1)
(実施例4)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C4に変更し、更に格子柄フィルムP1を抽象柄フィルムP2に変更した以外は実施例1と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z4を得た。
<硬化性組成物C4の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」 :65部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :20部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロン240」
(重量平均分子量41,000、Tg=60℃) :120部
高松油脂(株)製ポリエステル「ペスレジンS−140」
(重量平均分子量52,000、Tg=77℃、固形分=30%) :5部
テルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」 :5部
トルエン :140部
メチルエチルケトン :140部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」 :4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル/ポリエステル2/テルペンフェノール=31/9/57/2/1)
(実施例5)
実施例3における硬化性樹脂組成物C3を下記組成の硬化性樹脂組成物C5に変更した以外は実施例3と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z5を得た。
<硬化性組成物C5の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」 :90部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :10部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK890」
(重量平均分子量33,000、Tg=17℃) :30部
トルエン :85部
メチルエチルケトン :85部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」 :4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=68/8/23)
(実施例6)
実施例3における硬化性樹脂組成物C3を下記組成の硬化性樹脂組成物C6に変更した以外は実施例3と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z6を得た。
<硬化性組成物C6の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:50部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−7100」
(重量平均分子量1,200) :35部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK880」
(重量平均分子量54,000、Tg=84℃) :40部
トルエン :80部
メチルエチルケトン :80部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=40/28/32)
(実施例7)
実施例3における硬化性樹脂組成物C3を下記組成の硬化性樹脂組成物C7に変更した以外は実施例3と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z7を得た。
<硬化性組成物C7の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:80部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :20部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロン600」
(重量平均分子量41,000、Tg=47℃) :100部
トルエン :130部
メチルエチルケトン :130部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=40/10/50)
(実施例8)
実施例3における硬化性樹脂組成物C3を下記組成の硬化性樹脂組成物C8に変更した以外は実施例3と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z8を得た。
<硬化性組成物C8の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1026」:65部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :25部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロン200」
(重量平均分子量47,000、Tg=67℃) :45部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロン240」
(重量平均分子量41,000、Tg=60℃) :45部
トルエン :120部
メチルエチルケトン :120部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」 :4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル1/ポリエステル2=36/14/25/25)
(実施例9)
実施例3における硬化性樹脂組成物C3を下記組成の硬化性樹脂組成物C9に変更した以外は実施例3と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z9を得た。
<硬化性組成物C9の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:60部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :25部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK890」
(重量平均分子量33,000、Tg=17℃) :85部
トルエン :110部
メチルエチルケトン :115部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=35/15/50)
(実施例10)
支持体フィルムである厚さ30μmのPVAフィルム表面に下記組成の硬化性組成物C10をコンマコーターにより30g(固形分)/m2の硬化性樹脂形成層を塗工し、次いで60℃で5分間乾燥した。次に、印刷インキG1をグラビア印刷にて4g(固形分)/m2の厚みで柄模様及びベタを3版で印刷して装飾層を形成し、水圧転写用フィルムF6を作成した。
<硬化性組成物C10の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:45部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :10部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK880」
(重量平均分子量54,000、Tg=84℃) :125部
トルエン :120部
メチルエチルケトン :120部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」: 4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=25/6/69)
得られた水圧転写用フィルムF10を30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、活性剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=50/25/15/10)50g/mをフィルム上に散布した。更に10秒放置後、垂直方向からプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(石油ファンヒーターハウジング)を押し当て、硬化性樹脂形成層を転写した。転写後、成形物を水洗し、110℃で15分乾燥した。次にUV照射装置に1回サンプルを通す(UV照射量2400mJ/cm2に相当)ことにより、硬化性樹脂形成層を完全硬化させ、硬化性樹脂形成層を完全硬化させ、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z10を得た。
(実施例11)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1の支持体フィルムへの塗工膜厚を乾燥膜厚40μmから20μmに変更し、更に活性剤散布量を25g/mに変更した以外は実施例1と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z11を得た。
(実施例12)
実施例9における硬化性樹脂組成物C9の支持体フィルムへの塗工膜厚を乾燥膜厚40μmから20μmに変更し、更に活性剤散布量を25g/mに変更した以外は実施例9と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z12を得た。
(実施例13)
実施例1における被水圧転写体をプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(石油ファンヒーターハウジング)からABS樹脂成形物(ビデオデッキハウジング)に変更した以外は実施例1と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z13を得た。
(実施例14)
実施例9における被水圧転写体をプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(石油ファンヒーターハウジング)からABS樹脂成形物(ビデオデッキハウジング)に変更した以外は実施例9と同様に処理して、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体Z14を得た。
(比較例1)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C51に変更した以外は実施例1と同様に処理して、水圧転写体Z51を得た。
<硬化性組成物C51の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:70部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :3部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK880」
(重量平均分子量54,000、Tg=84℃) :110部
トルエン :135部
メチルエチルケトン :135部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:3部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル1=38/2/60)
(比較例2)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C52に変更した以外は実施例1と同様に処理して、水圧転写体Z52を得た。
<硬化性組成物C52の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:70部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :20部
トルエン :60部
メチルエチルケトン :60部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=78/22/無し)
(比較例3)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C53に変更した以外は実施例1と同様に処理して、水圧転写体Z53を得た。
<硬化性組成物C53の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:10部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530 」
(重量平均分子量1,200) :10部
東洋紡績(株)製ポリエステル「バイロンGK880」
(重量平均分子量54,000、Tg=84℃) :180部
トルエン :135部
メチルエチルケトン :135部
チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤「イルガキュア184」:1部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=5/5/90)
(比較例4)
実施例1における硬化性樹脂組成物C1を下記組成の硬化性樹脂組成物C54に変更した以外は実施例1と同様に処理することを試みたが、ロール保管していた水圧転写フィルムを繰り出すと、フィルム切断箇所の凸凹がロール巻き内部にまで影響していたため、以降の作業を中止した。
<硬化性組成物C54の組成>
新中村化学(株)製エポキシアクリレート「NKオリゴ EA−1020」:75部
東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート「M−8530」
(重量平均分子量1,200) :19部
東洋紡績(株)製「バイロン500」
(重量平均分子量41,000、Tg=4℃) :95部
トルエン :105部
メチルエチルケトン :100部
チバ・スペシャリティケミカルス社製「イルガキュア184」 :4部
(塗膜構成:エポキシアクリレート/ポリエステルアクリレート/ポリエステル=40/10/50)
本発明の水圧転写フィルムを水圧転写することにより得られた水圧転写体の転写物の評価結果を比較例とともに表1〜表4に示す。
Figure 2005178355
Figure 2005178355
Figure 2005178355

Figure 2005178355


Figure 2005178355
実施例1〜10の水圧転写フィルムを水圧転写した転写体は、11μm以下の表面平滑性Raを有し、優れた低硬化収縮性および光沢を有していることが分かる。一方、比較例1〜5では樹脂組成物のバランスが崩れて所望する性能が得られなくなっていることがわかる。
簡単に実施例の特徴を以下に説明する。
実施例1:ポリエステルTg=84℃を使用。
実施例2:ポリエステルTg=10℃のため、テルペンフェノール樹脂で塗膜TgをUP。
実施例3:部分構造(1)を有するポリエステルであるペスレジンS−140を加えることにより、耐薬品性が上がっている。
実施例4:ポリエステルTg=60℃を使用。
実施例5:ポリエステルTg=17℃を使用。
実施例6:実施例1とは異なるポリエステルアクリレートの使用。
実施例7:ポリエステルTg=47℃を用いた例。
実施例8:ポリエステルTg=60℃とポリエステルTg=67℃とのブレンド。
実施例9:ポリエステルTg=17℃を用いた例。実施例5とは塗膜構成比が異なる。
実施例10:PVAに硬化性樹脂形成層を塗工し、その上に印刷する手法で製造。
実施例11および実施例12:硬化性樹脂形成層の乾燥膜厚20μmについて、塑性加工性OKであること提示。
実施例13および実施例14:被水圧転写物がABS樹脂の場合を提示し、耐衝撃性があること提示。

以上の実施例では、水圧転写・硬化後に、高光沢、高鮮映性、十分な深み感などの優れた外観と、実用上問題ないレベルの耐擦傷性、耐薬品性、耐沸騰水性などの表面保護性能とを有する水圧転写体を製造することができる水圧転写フィルムを提供することができた。
一方、本発明の要件を満たさない硬化性樹脂形成層を有する比較例は、
比較例1:ポリエステルアクリレートの配合量が3部と少なすぎるために、熱水処理後の密着性がNGとなった。
比較例2:ポリエステルが配合されていないために硬化収縮が大きく、密着性も悪く、
深み感(外観)もNG。
比較例3:Tg=4℃のポリエステル(低Tgタイプ)を用いたために、表面硬度が低く
なり、耐擦傷性などの表面保護性能が大きく低下した。
という結果が得られ、本発明の効果が確認された。

Claims (7)

  1. 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有し、該転写層が活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な硬化性樹脂形成層を有する水圧転写用フィルムであって、前記硬化性樹脂形成層が、1)重量平均分子量5,000以上300,000以下のポリエステル(成分A)と、2)重量平均分子量400以上10,000以下であるポリエステルアクリレート(成分B)と、3)前記ポリエステル(成分A)とポリエステルアクリレート(成分B)に相溶するエポキシアクリレート(成分C)とを含有し、前記硬化性樹脂形成層中の、前記ポリエステル(成分A)は20質量%〜80質量%であり、かつ前記ポリエステルアクリレート(成分B)とエポキシアクリレート(成分C)との質量比P:{前記ポリエステルアクリレート(成分B)の質量総和}/{エポキシアクリレート(成分C)の質量総和}が、1/15以上4/5以下であることを特徴とする水圧転写フィルム。
  2. 前記エポキシアクリレート(成分C)がビスフェノールA型エポキシアクリレートである請求項1記載の水圧転写フィルム。
  3. 前記ポリエステル(成分A)がガラス転移温度(Tg)が5℃以上100℃以下である請求項1または2記載の水圧転写フィルム。
  4. 前記ポリエステル(成分A)が、部分構造(1)
    Figure 2005178355
    (1)
    を有する請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の水圧転写フィルム。
  5. 前記硬化性樹脂形成層に、テルペンフェノール樹脂(成分D)を含有する請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の水圧転写用フィルム。
  6. 前記硬化性樹脂形成層上に印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる装飾層を有する請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の水圧転写用フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の水圧転写用フィルムを用いて、被転写体の表面に前記硬化性樹脂形成層を水圧転写した後、該硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させた硬化樹脂層を有する水圧転写体。


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JP2017128127A (ja) * 2017-03-06 2017-07-27 大日本印刷株式会社 水圧転写フィルム
JP2018158578A (ja) * 2018-06-05 2018-10-11 大日本印刷株式会社 水圧転写フィルム

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