JP2005178051A - 両頭式筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】インキタンクの外観的な面白みが増加するとともに、筆立て等に収容した状態でもインキ色の識別が可能となり、しかも、キャップとの嵌合不良が発生するおそれがない両頭式筆記具を提供する。
【解決手段】軸筒2を透明または半透明の合成樹脂成形体により構成する。軸筒2の内部に、長手方向に延びる隔壁3を一体に形成し、軸筒2の一端より外部に開口する第1のインキタンク5Aと、軸筒2の他端より外部に開口する第2のインキタンク5Bとを設ける。第1の小径部52A内の第1のインキ8A及び第2の小径部52B内の第2のインキ8Bを視認可能に構成する。第1のキャップ9Aとの嵌合部を第1の小径部52Aより前方位置の本体1に設ける。第2のキャップ9Bとの嵌合部を第2の小径部52Bより前方位置の本体1に設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軸筒の両端にペン先を備えた直液タイプの両頭式筆記具に関する。
尚、本発明において、「前」とは、第1のインキタンクにおいて第1のペン先側を指し、第2のインキタンクにおいて第2のペン先側を指す。「後」とは、第1のインキタンクにおいて第1のインキ貯溜部側を指し、第2のインキタンクにおいて第2のインキ貯溜部側を指す。
従来、この種の両頭式筆記具に関して、例えば特許文献1には、ペン先とペン先ホルダとインキタンクを固定した直液構造のペン先ユニットを筒軸両端側に着脱自在に取付けた筆記具が開示されている。さらに、前記特許文献1には、インキタンクの円筒部にキャップを係脱自在に嵌着させる構成が開示されている。
特開2002−36786号公報
前記特許文献1の筆記具は、二つのインキ収納部内の各々のインキが前後に別れて視認される。特に、前記特許文献1の筆記具は、インキ収納部内に空気が多く存在すると、いずれか一方のペン先を下向きにした場合、前記各々のインキの前後の距離が大きくなり、外観的な面白みが不足する。
その上、前記特許文献1の筆記具は、筆立て等に収容陳列状態の場合、筆立て等の外部に突出する上側のペン先のインキ色は視認できるとしても、筆立て等の内部に収容された下側のペン先のインキ色が視認できず、ユーザーに不便を与えるおそれがある。
本発明は前記問題点を解決するものであって、インキタンクの外観的な面白みが増加するとともに、筆立て等に収容した状態でもインキ色の識別が可能となり、しかも、キャップとの嵌合不良が発生するおそれがない両頭式筆記具を提供しようとするものである。
〔1〕本発明は、一端に第1のペン先4Aを備え且つ他端に第2のペン先4Bを備える軸筒2よりなる本体1と、前記第1のペン先4A側の本体1の外面に装着可能な第1のキャップ9Aと、前記第2のペン先4B側の本体1の外面に装着可能な第2のキャップ9Bとからなる両頭式筆記具10であって、前記軸筒2を透明または半透明の合成樹脂成形体により構成し、前記軸筒2の内部に、隔壁3を一体に形成することにより、軸筒2の一端より外部に開口し、第1のペン先4Aを備える第1のインキタンク5Aと、軸筒2の他端より外部に開口し、第2のペン先4Bを備える第2のインキタンク5Bとを設け、前記第1のインキタンク5Aと第2のインキタンク5Bとを互いに連通しない構成とし、
前記隔壁3を長手方向に延設し、前記第1のインキタンク5Aが、前方に開口する第1の大径部51Aと、前記隔壁3により小径化され、前記第1の大径部51Aの後方に連設される第1の小径部52Aとからなり、前記第1の大径部51A内に、第1のペン先4Aと接続される第1のインキ保溜部材6Aを設け、前記第1のインキ保溜部材6Aの後方の第1のインキタンク5A内に第1のインキ8Aを直接貯溜する第1のインキ貯溜部7Aを設け、前記第1のインキ保溜部材6Aが、第1のインキ貯溜部7A内の圧力上昇に応じた溢出インキを一時的に保持し、
前記第2のインキタンク5Bが、前方に開口する第2の大径部51Bと、前記隔壁3により小径化され、前記第2の大径部51Bの後方に連設される第2の小径部52Bとからなり、前記第2の大径部51B内に、第2のペン先4Bと接続される第2のインキ保溜部材6Bを設け、前記第2のインキ保溜部材6Bの後方の第2のインキタンク5B内に第2のインキ8Bを直接貯溜する第2のインキ貯溜部7Bを設け、前記第2のインキ保溜部材6Bが、第2のインキ貯溜部7B内の圧力上昇に応じた溢出インキを一時的に保持し、
第1の小径部52A内の第1のインキ8A及び第2の小径部52B内の第2のインキ8Bを視認可能に構成し、前記第1のキャップ9Aとの嵌合部を第1の小径部52Aより前方位置の本体1に設け、前記第2のキャップ9Bとの嵌合部を第2の小径部52Bより前方位置の本体1に設けたこと(請求項1)を要件とする。
前記請求項1の両頭式筆記具10は、第1の小径部52A内の第1のインキ8Aと第2の小径部52B内の第2のインキ8Bとを外部より近接して視覚でき、外観的な面白みが増加する。その上、前記請求項1の両頭式筆記具10は、筆立て等に収容陳列状態の場合でも、前記筆立て等の上方より露出する第1の小径部52Aと第2の小径部52Bとを同時に視覚でき、第1のインキ8Aの色と第2のインキ8Bの色を容易に視認することができる。
さらに、前記請求項1の両頭式筆記具10は、長手方向に延設された隔壁3を内部に有する軸筒2の外面には、ヒケが生じやすい。そのため、隔壁3が存在する軸筒2の外面に、キャップの嵌合部を設けると、ヒケにより適正な嵌合部を形成できず、キャップとの嵌合不良を生じさせやすい。しかし、前記請求項1の両頭式筆記具10は、キャップとの嵌合部を、第1の小径部52Aよりも前方位置の本体1に設けるとともに、第2の小径部52Bよりも前方位置の本体1に設けたことにより、内部に隔壁3が存在する軸筒2の外面にヒケが生じたとしても、キャップとの適正な嵌合が得られる。
〔2〕前記請求項1の両頭式筆記具10において、第1のキャップ9Aを第1のペン先4A側の本体1の外面に装着した際、前記第1のキャップ9Aの後端が第1の小径部52Aより前方に位置し、第2のキャップ9Bを第2のペン先4B側の本体1の外面に装着した際、前記第2のキャップ9Bの後端が第2の小径部52Bより前方に位置してなること(請求項2)が好ましい。
前記請求項2の両頭式筆記具10は、前記構成により、第1のキャップ9Aを第1のペン先4A側に装着しても、前記第1のキャップ9Aが第1の小径部52Aを覆わず、第2のキャップ9Bを第2のペン先4B側に装着しても、第2のキャップ9Bが第2の小径部52Bの外面を覆わない。そのため、第1のインキ8A及び第2のインキ8Bを外部より容易に視認することができるとともに、より一層、優れた外観性が得られる。
〔3〕前記請求項1または2の両頭式筆記具10において、前記嵌合部が、乗り越え係合部511A,511Bと気密シール部512A,512Bとからなり、前記乗り越え係合部511A,511Bを第1の大径部51Aの外面及び第2の大径部51Bの外面に設け、前記気密シール部512A,512Bを、第1の大径部51Aの前端部及び第2の大径部51Bの前端部に設けること(請求項3)が好ましい。
前記請求項3の両頭式筆記具10は、請求項1の構成と相まって、乗り越え係合部511A,511B及び気密シール部512A,512Bにヒケが発生すること回避でき、より一層、適正なキャップ嵌合構造が得られる。また、気密シール部512A,512Bを第1の大径部51Aの前端部及び第2の大径部51Bの前端部に設けたことにより、キャップ装着時のキャップ内の空気の圧縮をできる限り少なくできる。
請求項1の両頭式筆記具は、外観的な面白みが増加しするとともに、筆立て等に収容陳列状態の場合でも、第1のインキの色と第2のインキの色を容易に視認することができ、しかも、内部に隔壁が存在する軸筒の外面にヒケが生じたとしても、適正なキャップ嵌合構造が得られる。
請求項2の両頭式筆記具は、第1のインキ及び第2のインキを外部より容易に視認することができ、しかも、より一層、優れた外観性が得られる。
請求項3の両頭式筆記具は、より一層、適正なキャップ嵌合構造が得られるとともに、キャップ装着時のキャップ内の空気圧縮をできる限り少なくできる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下、図面に従って説明する。
図1乃至図5に本発明の実施の形態を示す。本実施の形態の両頭式筆記具10は、一端に第1のペン先4Aを備え且つ他端に第2のペン先4Bを備えた軸筒2よりなる本体1と、前記本体1の第1のペン先4A側に装着可能な第1のキャップ9Aと、前記本体1の第2のペン先4B側に装着可能な第2のキャップ9Bとからなる。
・軸筒
前記軸筒2は、両端が開口された円筒体であり、透明また半透明の合成樹脂(即ち、無色透明または非着色透明性の合成樹脂)の射出成形により得られる。前記軸筒2の内面には、隔壁3が形成される。前記隔壁3により、前記軸筒2の内部に、軸筒2の一端より開口する第1のインキタンク5Aと、軸筒2の他端より開口する第2のインキタンク5Bとが形成される。前記隔壁3により、前記第1のインキタンク5Aと第2のインキタンク5Bとの間は、連通せず、互いにインキが流通しないように遮断される。前記透明または半透明の合成樹脂は、例えば、ポリプロピレンが挙げられる。
・隔壁
前記隔壁3は、長手方向に延設された構成(即ち、少なくとも、軸線と平行に延びる構成または軸線に対して傾斜した構成)よりなる。前記隔壁3は、本実施の形態では、軸線と略平行に延びる中央壁部31と、該中央壁部31の両端より延設される軸線に対して傾斜した傾斜壁部32及び傾斜壁部33とからなる。前記傾斜壁部32は、第1のインキ保溜部材6A近傍の軸筒2側壁内面に一体に連結され、前記傾斜壁部33は、第2のインキ保溜部材6B近傍の軸筒2側壁内面に一体に連結される。前記隔壁3により、第1のインキ貯溜部7Aと第2のインキ貯溜部7Bとが、隔壁3を介して径方向に重なり合う2層の重層状態に設けられる。
・インキタンク
前記第1のインキタンク5Aは、前方に開口する横断面円形状の第1の大径部51Aと、該第1の大径部51Aより後方に連設される横断面半円形状の第1の小径部52Aとからなる。前記第1の大径部51Aには、第1のインキ保溜部材6Aが嵌入される。前記第1のインキ保溜部材6Aの後方の第1のインキタンク5A内(即ち第1のインキ保溜部材6Aの後方の第1の大径部51Aと第1の小径部52Aとからなる空間)には、第1のインキ貯溜部7Aが形成される。
前記第2のインキタンク5Bは、前方に開口する横断面円形状の第2の大径部51Bと、該第2の大径部51Bより後方に連設される横断面半円形状の第2の小径部52Bとからなる。前記第2の大径部51Bには、第2のインキ保溜部材6Bが嵌入される。前記第2のインキ保溜部材6Bの後方の第2のインキタンク5B内(即ち第2のインキ保溜部材6Bの後方の第2の大径部51Bと第2の小径部52Bとからなる空間)には、第2のインキ貯溜部7Bが形成される。
前記第1の小径部52Aと第2の小径部52Bは隔壁3を介して径方向に重なり合う2層の重層状態となる。前記第1の小径部52Aと第2の小径部52Bとの重層部分の外径は、前記第1の大径部51Aの外径及び第2の大径部51Bと、略同一外径に設定される。
・インキ保溜部材
前記第1のインキ保溜部材6Aは、第1のインキ貯溜部7A内の圧力上昇に応じた溢出インキを一時的に保持する部材であり、本実施の形態では、複数の円板状櫛歯を備えた合成樹脂(例えばABS樹脂)の射出成形体である。前記第1のインキ保溜部材6Aの前端には、第1のペン先4Aが取り付けられる。前記第1のインキ保溜部材6Aの軸心には軸心孔が貫設され、前記軸心孔にインキ誘導芯61Aが挿着される。前記インキ誘導芯61Aの前端は第1のペン先4Aに接続され、前記インキ誘導芯61Aの後端は第1のインキ貯溜部7Aに接続される。前記インキ誘導芯61Aは、軸方向の毛細管通路を有する、繊維加工体、多孔質体、合成樹脂押出成形体のいずれであってもよいが、本実施の形態では、繊維の樹脂加工体(例えばポリエステル繊維の樹脂加工体)が採用されている。
前記第2のインキ保溜部材6Bは、第2のインキ貯溜部7B内の圧力上昇に応じた溢出インキを一時的に保持する部材であり、本実施の形態では、複数の円板状櫛歯を備えた合成樹脂(例えばABS樹脂)の射出成形体である。前記第2のインキ保溜部材6Bの前端には、第2のペン先4Bが取り付けられる。前記第2のインキ保溜部材6Bの軸心には軸心孔が貫設され、前記軸心孔にインキ誘導芯61Bが挿着される。前記インキ誘導芯61Bの前端は第2のペン先4Bに接続され、前記インキ誘導芯61Bの後端は第2のインキ貯溜部7Bに接続される。前記インキ誘導芯61Bは、軸方向の毛細管通路を有する、繊維加工体、多孔質体、合成樹脂押出成形体のいずれであってもよいが、本実施の形態では、繊維の樹脂加工体(例えばポリエステル繊維の樹脂加工体)が採用されている。
第1のインキ保溜部材6Aは、第1のインキ貯溜部7A内の第1のインキ8Aと略同色に着色されている。第2のインキ保溜部材6Bは、第2のインキ貯溜部7B内の第2のインキ8Bと略同色に着色されている。軸筒2が透明または半透明の材料よりなることから、軸筒2の外部より第1のインキ保溜部材6A及び第2のインキ保溜部材6Bの着色されたインキ色を視認できる。
・インキ
前記第1のインキ貯溜部7A内には、第1のインキ8Aが貯溜され、第2のインキ貯溜部7Bには、第2のインキ8Bが貯溜される。前記第1のインキ8Aと第2のインキ8Bとは、互いに色が異なる組合せが採用される。前記第1のインキ貯溜部7A内の第1のインキ8A及び第2のインキ貯溜部7B内の第2のインキ8Bは、軸筒2が透明または半透明の材料よりなることから、外部より視認可能である。本実施の形態では、第1のインキ8A及び第2のインキ8Bは、蛍光顔料または蛍光染料を含むインキが採用される。それにより、発色の優れた、見栄えのよい外観性を有する両頭式筆記具10が得られる。前記第1のインキ8Aと第2のインキ8Bの色の組合せは、例えば、蛍光イエローと蛍光ピンクの組合せ、蛍光イエローと蛍光オレンジの組合せ、蛍光イエローと蛍光グリーンの組合せ、蛍光ピンクと蛍光オレンジの組合せ、蛍光ピンクと蛍光グリーンの組合せ、蛍光イエローと蛍光ブルーの組合せ、または蛍光イエローと蛍光バイオレットの組合せ等が、配色の見栄えが良い点から好ましい。
前記第1のインキ8A及び第2のインキ8Bは、隔壁3を介して径方向の2層の重層状態で視認される。第1のインキ貯溜部7A及び第2のインキ貯溜部7Bには、第1のペン先4Aまたは第2のペン先4Bのいずれのペン先を下向きにしても、第1のインキタンク5Aの第1の小径部52A及び第2のインキタンク5Bの第2の小径部52Bに常時インキが存在するよう第1のインキ8A及び第2のインキ8Bの充填量が設定される。それにより、第1のペン先4Aまたは第2のペン先4Bを下向きにした際、第1のインキ8Aと第2のインキ8Bとを、隔壁3を介して左右(即ち径方向)に2層の重層状態で確実に視認可能となる。
尚、前記重層部分を構成する隔壁3の軸方向の長さは、2色の視認が容易である点で、第1のインキ保溜部材6Aの後端と第2のインキ保溜部材6Bの後端との間の軸方向の長さの少なくとも20%以上に設定することが好ましい。また、いずれか一方のペン先が下向き状態における第1のインキ8Aと第2のインキ8Bとの重層部分の軸方向の長さも、2色の視認が容易である点で、第1のインキ保溜部材6Aの後端と第2のインキ保溜部材6BBの後端との間の軸方向の長さの少なくとも20%以上に設定するよう、第1のインキ8A及び第2のインキ8Bの充填量を設定することが好ましい。
・ペン先
前記第1のペン先4Aは、繊維加工体、毛筆体、または多孔質体よりなり、第1のインキ貯溜部7A内の第1のインキ8Aが含浸されることにより、外部より第1のインキ8Aの色が視認され、第1のペン先4Aが第1のインキ8Aの色に着色された状態となる。同様に、前記第2のペン先4Bも、繊維加工体、毛筆体、または多孔質体であり、第2のインキ貯溜部7B内の第2のインキ8Bが含浸されることにより、外部より第2のインキ8Bの色が視認され、第2のペン先4Bが第2のインキ8Bの色に着色された状態となる。本実施の形態では、第1のペン先4A及び第2のペン先4Bは、同一形状の、繊維の樹脂加工体(例えばポリエステル繊維の樹脂加工体)よりなる。
前記以外にも、前記第1のペン先4A及び第2のペン先4Bは、例えば、両者の形状が異なる繊維加工体、両者がボールペンチップの組合せ、両者が毛筆体の組合せ、両者が多孔質体の組合せ、両者が先端にスリットを備えた金属板製の万年筆状ペン先の組合せ、両者が合成樹脂の押出成形体よりなるペン体(プラスチックペン体)の組合せ、一方が繊維加工体で他方が毛筆体の組合せ、一方が繊維加工体で他方が多孔質体の組合せ、一方が繊維加工体で他方がボールペンチップの組合せ、一方が繊維加工体で他方が万年筆状ペン先の組合せ等、または一方が繊維加工体で他方がプラスチックペン体の組合せが挙げられる。前記ボールペンチップの場合、その外面が第1のインキ貯溜部7A及び第2のインキ貯溜部7B内のインキと略同色に着色されることが好ましい。尚、本発明のペン先とは、ペン先と軸筒2との間に介在されるペン先ホルダーを含む。
・キャップ装着構造(図4及び図5参照)
図4に示すように、前記第1のインキタンク5Aの第1の大径部51Aの前端部は、その外周面に外向突起511A(乗り越え係合部)が形成され、且つ、その内周面に環状気密部512A(気密シール部)が形成される。図5に示すように、同様に、前記第2のインキタンク5Bの第2の大径部51Bの前端部は、その外周面に外向突起511B(乗り越え係合部)が形成され、且つ、その内周面に環状気密部512B(気密シール部)が形成される。
前記第1の大径部51Aの内部及び第2の大径部51Bの内部には隔壁3が存在しないため、前記大径部51A,51Bの外周面及び内周面には、成形時のヒケの発生が抑えられる。そのため、第1の大径部51Aの前端部及び第2の大径部51Bの前端部にも、ヒケが発生せず、その結果、第1の大径部51Aの前端部に設けた嵌合部(即ち、乗り越え係合部511A及び気密シール部512A)及び第2の大径部51Bの前端部に設けた嵌合部(即ち、乗り越え係合部511B及び気密シール部512B)が、ヒケのない適正な形状を有する。尚、本発明において、前記気密シール部512A,512Bは、第1の大径部51Aの前端部及び第2の大径部51Bの前端部に直接設ける構成(図4及び図5の構成)の他、第1の大径部51Aの前端部の内周面及び第2の大径部51Bの前端部の内周面に取り付けた環状シール部材よりなる構成も含まれる。前記環状シール部材よりなる気密シール部は、第1の大径部51A及び第2の大径部51Bの前端部にヒケが生じないことから、その取付箇所において十分なシール性能が得られる。
第1のキャップ9Aは、一端が閉鎖され他端が開口され有底筒状体であり、透明または半透明の合成樹脂(即ち、無色透明または非着色透明性の合成樹脂)の射出成形により得られる。前記第1のキャップ9Aの内面には、前記第1のインキタンク5Aの外向突起511A及び前記第2のインキタンク5Bの外向突起511Bと乗り越え係合可能な内向突起91Aと、第1のインキタンク5Aの環状気密部512A及び第2のインキタンク5Bの環状気密部512Bと密接可能な環状シール部92Aとが一体に形成される。前記透明また半透明の合成樹脂は、例えば、ポリプロピレンが挙げられる。
第2のキャップ9Bは、一端が閉鎖され他端が開口され有底筒状体であり、透明または半透明の合成樹脂(即ち、無色透明または非着色透明性の合成樹脂)の射出成形により得られる。前記第2のキャップ9Bの内面には、前記第1のインキタンク5Aの外向突起511A及び前記第2のインキタンク5Bの外向突起511Bと乗り越え係合可能な内向突起91Bと、第1のインキタンク5Aの環状気密部512A及び第2のインキタンク5Bの環状気密部512Bと密接可能な環状シール部92Bとが一体に形成される。前記透明また半透明の合成樹脂は、例えば、ポリプロピレンが挙げられる。
即ち、前記第1のキャップ9Aの嵌合部(即ち内向突起91A及び環状シール部92A)の形状と第2のキャップ9Bの嵌合部(即ち内向突起91B及び環状シール部92B)の形状が同一であるとともに、第1のインキタンク5Aの嵌合部(即ち外向突起511A及び環状気密部512A)の形状と第2のインキタンク5Bの嵌合部(即ち外向突起511B及び環状気密部512B)の形状が同一である。それにより、第1のキャップ9Aは、第1のペン先4Aを備えた第1のインキタンク5A及び第2のペン先4Bを備えた第2のインキタンク5Bのいずれにも装着可能であり、第2のキャップ9Bは、第1のペン先4Aを備えた第1のインキタンク5A及び第2のペン先4Bを備えた第2のインキタンク5Bに装着可能である。つまり、前記第1のキャップ9Aは、第1のペン先4A側及び第2のペン先4B側の軸筒2のいずれにも装着可能であり、且つ、前記第2のキャップ9Bは、第1のペン先4A側及び第2のペン先4B側の軸筒2のいずれにも装着可能である。
本実施の形態の第1のキャップ9A及び第2のキャップ9Bは、それ単体で、透明性を有し、インキ色表示機能を備えない構成のため、第1のペン先4A及び第2のペン先4Bのいずれのペン先側に装着しても、インキ色の識別の混乱を生じさせず、インキ色の識別が容易になるとともに、ユーザーが第1のキャップ9Aと第2のキャップ9Bを区別してそれぞれのペン先に装着する手間が不要となる。また、本実施の形態では、前記第1のキャップ9Aの外面にはクリップ93Aが一体に形成され、一方、第2のキャップ9Bの外面にはクリップが形成されていない構成である。そのため、前記クリップ93Aを備える第1のキャップ9Aを第1のペン先4A及び第2のペン先4Bのいずれのペン先に装着してもよく、それをユーザーが自由に選択することができる。
本発明の両頭式筆記具の外観図である。 図1の縦断面図である。 図1のA−A線拡大断面図である。 図2の第1のペン先側の拡大縦断面図である。 図2の第2のペン先側の拡大縦断面図である。
符号の説明
1 本体
2 軸筒
3 隔壁
31 中央壁部
32 傾斜壁部
33 傾斜壁部
4A 第1のペン先
5A 第1のインキタンク
51A 第1の大径部
511A 外向突起(乗り越え係合部)
512A 環状気密部(気密シール部)
52A 第1の小径部
6A 第1のインキ保溜部材
61A インキ誘導芯
7A 第1のインキ貯溜部
8A 第1のインキ
9A 第1のキャップ
91A 内向突起
92A 環状シール部
93A クリップ
4B 第2のペン先
5B 第2のインキタンク
51B 第2の大径部
511B 外向突起(乗り越え係合部)
512B 環状気密部(気密シール部)
52B 第2の小径部
6B 第2のインキ保溜部材
61B インキ誘導芯
7B 第2のインキ貯溜部
8B 第2のインキ
9B 第2のキャップ
91B 内向突起
92B 環状シール部
10 両頭式筆記具

Claims (3)

  1. 一端に第1のペン先を備え且つ他端に第2のペン先を備える軸筒よりなる本体と、前記第1のペン先側の本体の外面に装着可能な第1のキャップと、前記第2のペン先側の本体の外面に装着可能な第2のキャップとからなる両頭式筆記具であって、
    前記軸筒を透明または半透明の合成樹脂成形体により構成し、前記軸筒の内部に、隔壁を一体に形成することにより、軸筒の一端より外部に開口し、第1のペン先を備える第1のインキタンクと、軸筒の他端より外部に開口し、第2のペン先を備える第2のインキタンクとを設け、前記第1のインキタンクと第2のインキタンクとを互いに連通しない構成とし、
    前記隔壁を長手方向に延設し、前記第1のインキタンクが、前方に開口する第1の大径部と、前記隔壁により小径化され、前記第1の大径部の後方に連設される第1の小径部とからなり、前記第1の大径部内に、第1のペン先と接続される第1のインキ保溜部材を設け、前記第1のインキ保溜部材の後方の第1のインキタンク内に第1のインキを直接貯溜する第1のインキ貯溜部を設け、前記第1のインキ保溜部材が、第1のインキ貯溜部内の圧力上昇に応じた溢出インキを一時的に保持し、
    前記第2のインキタンクが、前方に開口する第2の大径部と、前記隔壁により小径化され、前記第2の大径部の後方に連設される第2の小径部とからなり、前記第2の大径部内に、第2のペン先と接続される第2のインキ保溜部材を設け、前記第2のインキ保溜部材の後方の第2のインキタンク内に第2のインキを直接貯溜する第2のインキ貯溜部を設け、前記第2のインキ保溜部材が、第2のインキ貯溜部内の圧力上昇に応じた溢出インキを一時的に保持し、
    第1の小径部内の第1のインキ及び第2の小径部内の第2のインキを視認可能に構成し、前記第1のキャップとの嵌合部を第1の小径部より前方位置の本体に設け、前記第2のキャップとの嵌合部を第2の小径部より前方位置の本体に設けたことを特徴とする両頭式筆記具。
  2. 第1のキャップを第1のペン先側の本体の外面に装着した際、前記第1のキャップの後端が第1の小径部より前方に位置し、
    第2のキャップを第2のペン先側の本体の外面に装着した際、前記第2のキャップの後端が第2の小径部より前方に位置してなる請求項1記載の両頭式筆記具。
  3. 前記嵌合部が、乗り越え係合部と気密シール部とからなり、前記乗り越え係合部を第1の大径部の外面及び第2の大径部の外面に設け、前記気密シール部を、第1の大径部の前端部及び第2の大径部の前端部に設けた請求項1または2記載の両頭式筆記具。
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