JP2005175167A - 露光装置および露光方法、並びにプログラムおよびマスク精度保証方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を正確に把握して、補正により露光パターンの位置精度を向上させることができる露光装置、露光方法、プログラム、およびマスク位置精度保証方法を提供する。
【解決手段】マスク作製後(ステップST1)、マスクのパターン位置と、パターン位置の測定時における平面度を測定する(ステップST2)。露光装置内にマスクが格納されたら、露光時の姿勢におけるマスクの平面度を測定する(ステップST3)。そして、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める(ステップST5)。露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正して露光を行う(ステップST6、ST7)。
【選択図】図4
【解決手段】マスク作製後(ステップST1)、マスクのパターン位置と、パターン位置の測定時における平面度を測定する(ステップST2)。露光装置内にマスクが格納されたら、露光時の姿勢におけるマスクの平面度を測定する(ステップST3)。そして、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める(ステップST5)。露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正して露光を行う(ステップST6、ST7)。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えば、半導体装置の製造において使用される露光装置および露光方法、並びにプログラムおよびマスク精度保証方法に関する。
フォトリソグラフィに代わる次世代露光技術(NGL)として、電子線(EB)、イオンビーム、X線、あるいは極紫外光(EUV光)をもちいた転写型露光方法が開発されている。これらの次世代露光技術は、65nm世代以降のデバイス生産に適用されるため、マスクの位置精度に対する要求は非常に厳しい。例えば、ITRSロードマップ(2001年版)によると、65nm世代のDRAMに対して要求されるウエハ上での重ね合わせ精度は23nmであり、これを満たす高精度なマスクが必要である。
特に、X線リソグラフィ(PXL)や低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)では、等倍マスクがもちいられるので、基本的にはマスク上で上記の位置精度を達成しなくてはならない。ただし、LEEPLでは、副偏向レンズで電子線の入射方向を変化させることにより、転写パターン位置補正が可能なので(非特許文献1および特許文献1参照)、この誤差が緩和される可能性がある。
一方、電子線/イオンビーム転写リソグラフィ(EPL/IPL)やEUVリソグラフィ(EUVL)は、縮小投影式露光法なので(一般に縮小率4)、位置精度に対する要求は相対的に緩和されるように思われるが、縮小光学系の伝達特性に起因する誤差を考慮すると、位置精度の要求はむしろ厳しい。例えば、ITRSロードマップ(2001年版)によると、65nm世代のEUVLマスクに対して要求される位置精度は14nmである。
また、PXL、LEEPL、EPL、IPLという一群の次世代露光技術では、散乱メンブレンマスク(例えば非特許文献2参照)やステンシルマスク(例えば非特許文献3参照)という機械強度の低いマスクがもちいられるので、より一層の位置精度の向上が重要な課題となる。
米国特許5831272号明細書
特開2003−59819号公報
T.ウツミ(T.Utsumi),「ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Vaccum Science and Technology)」B17,P.2897(1999)
L.R.ハリオット,「ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Vaccum Science and Technology)」B15,p.2130(1997)
H.Cファイファー(H.C.Pfeiffer),「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japanese Journal of Applied Physics)」34,p.6658(1995)
S.P.チモシェンコ(S.P.Timoshenko)とS.オイノウスキークリーガー(S.woinowsky−Krieger),「セオリー・オブ・プレーツ・アンド・シェルズ(Theory of plates and shells)」
上記次世代露光技術に使用されるマスク全てに共通する問題として、露光姿勢でのマスクの歪がある。一般に、製造されたマスクは、LEICA社のIPROに代表される座標測定器により位置精度が測定される。しかし、座標測定時(一般に、マスクパターン面が上向きで静置)とマスク露光時の姿勢は異なる。露光時はマスクパターン面が下向きであることが多い上に、マスクの固定(チャッキング)方法が座標測定器のそれと異なるので、IPROでは計測されない歪が新たに誘起されてしまう。EUVLマスクのように、フォトマスクと同様なガラス基板上に形成されており、機械的強度が相対的に高いマスクであっても、重力やチャッキングの相違によるマスク歪は無視できないということが指摘されており、次世代露光技術で使用するマスクにおいてはなおさらマスクの歪は無視できないものとなってきている。
図14は、マスクの平面度変化によりパターン変位が誘起されるメカニズムを説明するための図である。図14に示すように、マスクMが撓むことにより、上面側は収縮し、下面側は伸張する結果、パターン変位が起こる。図14のz軸は鉛直方向を示す。従って、例えば完全に平坦な状態においてパターン位置が正確であったとしても、マスクの平面度が変化すればパターン位置が変位しており、マスクの精度が必ずしも保証されていない。このため、これまでフォトマスクでおこなわれてきたように、出荷前にマスクの位置精度(長寸法)を測定し、誤差が一定値以下ならば出荷するというような精度保証形態では、露光時に高い精度を達成することは困難である。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けることにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を把握して、補正により露光パターンの位置精度を向上させることができる露光装置、露光方法およびプログラムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けることにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を把握して、平面度変化に起因するマスクのパターン位置精度の不良を未然に予知することができる露光装置、露光方法およびプログラムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けてマスクとともに供給することにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置精度を保証することができるマスク精度保証方法を提供することにある。
上記の第1の目的を達成するため、本発明の露光装置は、露光時の姿勢におけるマスクの平面度を測定する平面度測定手段と、予め測定された前記マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を入力し、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるパターン位置算出手段と、前記パターン位置算出手段により求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するための補正データを作成する補正データ作成手段と、前記補正データに基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するように露光ビームを照射する露光ビーム照射手段とを有する。
上記の本発明の露光装置では、まず、平面度測定手段により、露光時の姿勢におけるマスクの平面度が測定される。
予め測定されたマスクのパターン位置と、パターン位置の測定時における平面度、さらに上記の平面度測定手段により測定された露光時の姿勢におけるマスクの平面度がパターン位置算出手段に入力される。パターン位置算出手段により、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置が補正され、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置が求められる。
パターン位置算出手段により求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて、補正データ作成手段により被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するための補正データが作成される。
補正データ作成手段により作成された補正データに基づいて、露光ビーム照射手段により、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するように露光ビームが照射される。
予め測定されたマスクのパターン位置と、パターン位置の測定時における平面度、さらに上記の平面度測定手段により測定された露光時の姿勢におけるマスクの平面度がパターン位置算出手段に入力される。パターン位置算出手段により、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置が補正され、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置が求められる。
パターン位置算出手段により求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて、補正データ作成手段により被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するための補正データが作成される。
補正データ作成手段により作成された補正データに基づいて、露光ビーム照射手段により、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するように露光ビームが照射される。
上記の第2の目的を達成するため、本発明の露光装置は、露光時の姿勢におけるマスクの平面度を測定する平面度測定手段と、予め測定された前記マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を入力し、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるパターン位置算出手段と、前記パターン位置算出手段により求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、露光を行うか否かを判定する判定手段とを有する。
上記の本発明の露光装置では、まず、平面度測定手段により、露光時の姿勢におけるマスクの平面度が測定される。
予め測定されたマスクのパターン位置と、パターン位置の測定時における平面度、さらに上記の平面度測定手段により測定された露光時の姿勢におけるマスクの平面度がパターン位置算出手段に入力される。パターン位置算出手段により、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置が補正され、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置が求められる。
そして、パターン位置算出手段により求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて、判定手段により露光を行うか否かが判定される。パターン位置の誤差が許容範囲内であれば露光し、パターン位置の誤差が許容範囲を越えていれば露光が中止される。
予め測定されたマスクのパターン位置と、パターン位置の測定時における平面度、さらに上記の平面度測定手段により測定された露光時の姿勢におけるマスクの平面度がパターン位置算出手段に入力される。パターン位置算出手段により、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置が補正され、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置が求められる。
そして、パターン位置算出手段により求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて、判定手段により露光を行うか否かが判定される。パターン位置の誤差が許容範囲内であれば露光し、パターン位置の誤差が許容範囲を越えていれば露光が中止される。
上記の第1の目的を達成するため、本発明の露光方法は、マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を測定する工程と、露光時の姿勢における前記マスクの平面度を測定する工程と、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求める工程と、求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正して露光を行う工程とを有する。
上記の本発明の露光方法では、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める。そして、求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置の誤差を解消するように、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正して露光を行う。
上記の第2の目的を達成するため、本発明の露光方法は、マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を測定する工程と、露光時の姿勢における前記マスクの平面度を測定する工程と、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求める工程と、求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、露光を行うか否かを判定する工程とを有する。
上記の本発明の露光方法では、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める。そして、求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置の誤差が許容範囲内であれば露光し、許容範囲を越えていれば露光を中止する。
上記の第1の目的を達成するため、本発明のプログラムは、予め測定されたマスクのパターン位置および前記パターン位置の測定時における平面度に関する第1のデータと、露光時の姿勢における前記マスクの平面度に関する第2のデータを入力するステップと、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるステップと、求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するための補正データを作成するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
上記の本発明のプログラムでは、第1のデータと第2のデータに基づいて、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める処理が行われる。そして、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置の誤差を解消するための補正データが作成される。
上記の第2の目的を達成するため、本発明のプログラムは、予め測定されたマスクのパターン位置および前記パターン位置の測定時における平面度に関する第1のデータと、露光時の姿勢における前記マスクの平面度に関する第2のデータを入力するステップと、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるステップと、求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、露光を行うか否かを判定するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
上記の本発明のプログラムでは、第1のデータと第2のデータに基づいて、パターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める処理が行われる。そして、求められた露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置の誤差が許容範囲内であれば露光し、許容範囲を越えていれば露光を中止する判定処理が行われる。
上記の第3の目的を達成するため、本発明のマスク精度保証方法は、作製したマスクのパターン位置を測定し、かつ前記パターン位置の測定時における平面度を測定する工程と、前記マスクに関する前記パターン位置のデータと、前記平面度に関するデータとを前記マスクとともに供給する工程とを有する。
上記の本発明のマスク精度保証方法では、マスクに関するパターン位置のデータに加えて、平面度のデータを供給することにより、パターン位置と平面度とが関連付けられて、マスクの平面度を考慮したパターン位置の精度保証がなされる。
本発明の露光装置、露光方法およびプログラムによれば、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けることにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を把握して、補正により露光パターンの位置精度を向上させることができる。
また、本発明の露光装置、露光方法およびプログラムによれば、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けることにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を把握して、平面度変化に起因するマスクのパターン位置精度の不良を未然に予知することができる。
さらに、本発明のマスク精度保証方法は、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けてマスクとともに供給することにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置精度を保証することができる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明をLEEPL技術に適用したものである。まず、本実施形態に係る露光方法に使用されるマスクについて説明する。
本実施形態は、本発明をLEEPL技術に適用したものである。まず、本実施形態に係る露光方法に使用されるマスクについて説明する。
図1は、マスクの平面図である。
図1に示すように、本実施形態に用いられるマスクMは、例えば200mm□の露光領域10を有する。マスクMは、例えばSOI基板により作製される。
図1に示すように、本実施形態に用いられるマスクMは、例えば200mm□の露光領域10を有する。マスクMは、例えばSOI基板により作製される。
図2は、図1の露光領域10の要部斜視図である。
図2(a)および(b)に示すように、露光領域10は、4つのマスク領域A,B,C,Dに分かれており、各マスク領域A〜Dには、マスクMの強度を補強するための梁11と、梁11に区画された薄膜(メンブレン)12を有する。マスクMは、薄膜12に形成された開口パターンによりマスクパターンが構成されるステンシルマスクである。マスクMの4つのマスク領域A〜Dを重ね合わせて露光することにより、被露光体であるウエハの全ての領域に相補露光が可能なように、各マスク領域A〜Dにおける梁11の配置が調整されている。これは、梁11の位置には開口パターンを形成できないからである。
図2(a)および(b)に示すように、露光領域10は、4つのマスク領域A,B,C,Dに分かれており、各マスク領域A〜Dには、マスクMの強度を補強するための梁11と、梁11に区画された薄膜(メンブレン)12を有する。マスクMは、薄膜12に形成された開口パターンによりマスクパターンが構成されるステンシルマスクである。マスクMの4つのマスク領域A〜Dを重ね合わせて露光することにより、被露光体であるウエハの全ての領域に相補露光が可能なように、各マスク領域A〜Dにおける梁11の配置が調整されている。これは、梁11の位置には開口パターンを形成できないからである。
図2(a)に示すタイプでは、各マスク領域A〜Dに、格子状に梁11が形成されており、各マスク領域A〜Dの梁配置が互いにずれて形成されているものである。これにより、被露光体であるウエハの全ての領域に相補露光が可能となる。
図2(b)に示すタイプでは、マスク領域A,Cには、一の方向に延びる梁11が複数並んで形成され、マスク領域Aとマスク領域Cとを重ねた際に、梁11が重ならないようにずれて形成されている。マスク領域B,Dには、先の一の方向と直交する方向に延びる梁11が複数並んで形成され、マスク領域Bとマスク領域Dとを重ねた際に、梁11が重ならないようにずれて形成されている。これにより、被露光体であるウエハの全ての領域に相補露光が可能となる。
以上、代表的な2つのタイプのマスクについて例示したが、被露光体であるウエハの全ての領域に相補露光が可能となるように、各マスク領域A〜Dにおける梁11の配置を種々に変更することが可能である。
図3(a)は、梁11で区画された1つの薄膜12の要部斜視図であり、図3(b)は図3(a)の断面図である。
図3(a)に示すように、薄膜12には、薄膜12を貫通する開口パターン13が形成されており、開口パターン13によりマスクパターンが構成されている。図3(b)の断面図に示すように、マスクMは例えばSOIウエハにより作製され、この場合には、梁11はSOIウエハのシリコン基板11aと酸化シリコン膜11bにより構成され、薄膜12はSOIウエハのSOI層により構成される。
本来、SOIウエハは、高速で電力消費が少ないデバイスを作製するための技術として開発されたもので、ステンシルマスク製造を意図したものではない。しかしながら、その断面構造が、薄膜12となるSOI層/酸化シリコン膜11b/シリコン基板11aという3層構造をしており、薄膜12となるSOI層の膜厚均一性や膜質が極めて高度に制御されているという利点がある。さらに、一般に、SiO2 とSiのドライエッチングにおける選択比は1000以上にもなるので、中間の酸化シリコン膜11bがシリコン基板11aのエッチングの際のエッチング阻止層として機能する。これらのことから、SOIウエハは、高度な成膜技術を必要とせずに高品質のステンシルマスクを製造することができる可能性のある材料である。
しかし、酸化シリコン膜11bは300MPa以上の大きな圧縮内部応力をもつこともあるため、マスク全体が上に凸な形状に反ってしまうという問題点がある。したがって、IPRO等の座標測定器によるパターン位置測定時と露光時において、マスクをチャッキングする方法(チャック形状、吸着力など)が異なっていると、平面度が変動してしまい、座標測定器によるマスクMのパターン位置の測定データをマスク歪補正に有効に利用することができなくなる。
このため本実施形態では、以下に示すように、マスクのパターン位置と当該パターン位置の測定時における平面度とを関連付けることにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を把握して、補正により露光パターンの位置精度を向上させる。
図4は、マスクMの作製からマスクMを用いた露光までのフローチャートである。
図4は、マスクMの作製からマスクMを用いた露光までのフローチャートである。
まず、マスクMを作製した後(ステップST1)、IPROに代表される座標測定器によってマスクMのパターン位置を測定する(ステップST2)。このパターン位置の測定は、いわゆる長寸法測定と称されるものである。通常は長寸法誤差が規格値以内であることが確認されれば、マスクは次の工程に移される。
一方、本実施形態では、座標測定器のオートフォーカス機能などをもちいて、マスクの平面度も同時に測定する(ステップST2)。これにより、座標測定器により得られたパターン位置の測定データと、平面度とが関連づけられる。そして、マスクと共に、計測されたパターン位置に関するデータおよび平面度に関するデータ(以下、第1のデータと称する)が、供給される(ステップST3)。
マスクMを露光装置内に格納したら、露光姿勢のままで平面度測定をおこなう(ステップST4)。パターン位置の測定時(ステップST2)から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正することにより、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める(ステップST5)。
ステップST5で求められた露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置に基づいて、ウエハに露光される露光パターンの位置を補正するための補正データを作成する(ステップST6)。そして、補正データを用いて、露光パターンが正しい位置に転写されるように露光をおこなう(ステップST7)。
図5は、上記のステップST4〜ST7を実施する本実施形態に係る露光装置の一例である概略構成図である。図5に示す露光装置は、LEEPL技術に適用される露光装置である。
図5に示す露光装置は、露光ビームとして電子ビームEBを出射する電子銃101と、電子ビームEBを平行化するコンデンサレンズ102と、電子ビームEBを制限するアパーチャ103と、電子ビームEBをラスターまたはベクトル走査モードにいずれかでかつマスクに垂直に入射するように偏向させる一対の主偏向器104a,104bと、ウエハWへの露光パターンの位置を補正すべく電子ビームEBのマスクMへの入射角を調製する副偏向器105a,105bとを有する。
図5に示す露光装置においては、2kV程度の低加速電子が用いられる。図5においてマスクMの開口パターンを通過した電子ビームEBにより、ウエハW上の図示しないレジストが露光される。図5に示す露光装置では、等倍露光を採用しており、マスクMとウエハWは近接して配置される。
制御手段106は、装置全体の動作を制御する。例えば、主偏向器104a,104bを制御して電子ビームEBをマスクM上で走査させ、マスクMのパターンをウエハWに転写する。この露光時において、マスクM上の座標毎に補正値が規定された補正データを読み込み、副偏向器105a,105bを制御して電子ビームEBを僅かに変化させることにより、正確な位置から変位しているマスクMのパターンを、ウエハW上の正しい位置に補正して転写する。図5に示すように、照射角度の制御により、電子ビームEBのウエハWへの照射位置をΔだけ移動させることができる。
平面度測定手段107は、露光装置の図示しないマスクホルダにセットされたマスクMの平面度を測定する。平面度測定手段107は、例えば図示しないウエハステージ上に設けた静電容量センサによって構成される。
データ処理手段108は、座標測定器によるマスクのパターン位置およびパターン位置の測定時における平面度に関する第1のデータD1と、平面度測定手段107により測定された露光時の姿勢におけるマスクの平面度に関するデータ(第2のデータ)を入力して、補正データを制御手段106に出力する。第1のデータD1と第2のデータに基づいて、補正データを作成するデータ処理は、データ処理手段108に内蔵されたCPU109が本実施形態に係るプログラム110に基づいて実行する。
図6は、データ処理手段の果たす機能を説明するための露光装置の機能ブロック図である。
データ処理手段108は、パターン位置算出手段111と補正データ作成手段112とを有する。
データ処理手段108は、パターン位置算出手段111と補正データ作成手段112とを有する。
パターン位置算出手段111は、第1のデータD1と、平面度測定手段107からの露光時の姿勢における平面度の測定データ(第2のデータ)を入力し、座標測定器によるマスクのパターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置を求める。
パターン位置算出手段111による処理について説明する。図14からも示唆されるように、パターンの変位はマスク面の局所的な勾配と関連付けられる。材料力学の文献(例えば、非特許文献4参照)によると、平板の微小たわみに対しては次の関係が成立する。
上記式において、uとvはそれぞれx方向とy方向の変位であり、hは平板の厚みである。上式のwは平面度を示し、マスク平面の座標(x,y)毎に求められた値である。本実施形態で用いる梁構造を有するマスクは、厳密な平板とは言えないが、上記の関係は近似的に成り立っていると考えられる。
従って、パターン位置算出手段111は、上記式のwに第1のデータに含まれる座標測定器による平面度と、平面度測定手段107からの平面度の差を代入することにより、第1のデータに含まれるパターン位置から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分を求める。そして、パターン変位分だけ第1のデータに含まれるパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置を求める。
補正データ作成手段112は、パターン位置算出手段111により求められた露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置を入力すると、設計位置からのパターン位置の誤差を求め、補正データを作成する。補正データは、例えば、マスクMの座標毎に補正量を規定する補正マップである。例えば、設計位置からのパターン位置の誤差の負の値を補正量とする。
露光ビーム照射手段100は、補正データ作成手段112から入力した補正データに基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するように、副偏向器105a,105bにより電子ビームEBを偏向させてマスクMに照射する。露光ビーム照射手段は、図5に示す露光装置の電子銃101と、コンデンサレンズ102と、アパーチャ103と、一対の主偏向器104a,104bと、副偏向器105a,105bとを含む電子光学系の他、電子光学系を制御する制御手段106に相当する。
以上のようにして、照射角度を制御しながら、電子ビームEBを照射することにより、露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置の誤差を打ち消して、設計位置に対して忠実な位置に、露光パターンを転写することができる。
(実施例)
次に、上記の本実施形態の効果について、より詳細な実施例を用いて説明する。本実施例では、薄膜12の厚さが600nm、酸化シリコン膜11bの厚さが1000nmのマスクMを用いた。
次に、上記の本実施形態の効果について、より詳細な実施例を用いて説明する。本実施例では、薄膜12の厚さが600nm、酸化シリコン膜11bの厚さが1000nmのマスクMを用いた。
図7は、マスクM作製後のパターン位置の測定時の平面度(ステップST2)と、露光時の姿勢での平面度(ステップST4)との間の平面度変化を示す図である。図7に示すように、特に露光装置ではマスクMの周囲しか保持していないことと、マスクMの中央部が周辺部に比べて撓みやすいことから、マスクMの露光領域10の中央部における平面度変化が大きい。図7に示す結果では、マスクMの露光領域10の中央部で約30μmもの平面度変化が生じていた。
上記の平面度変化により誘起されるパターン変位を、図8(a)に示すように、マスクのマスク領域Aの周辺(図中、矢印C1で示す)、および中心(図中、矢印C2で示す)についてy方向に沿って計測したデータを図8(b)に示す。
図8(b)では、矢印C1上のマスク領域Aのy方向位置毎に、平面度変化によるx方向のパターン変位をx1で示し、y方向のパターン変位をy1で示し、z方向のパターン変位をz1で示している。また、矢印C2上のマスク領域Aのy方向位置毎に、平面度変化によるx方向のパターン変位をx2で示し、y方向のパターン変位をy2で示し、z方向のパターン変位をz2で示している。
図8(b)のx方向のパターン変位x1,x2およびy方向のパターン変位y1,y2に着目すると、座標測定器による測定時と露光装置による露光時での平面度変化に起因して、最大80nmものパターン変位が生じている。すなわち、座標測定器により測定されたパターン位置を基に、露光時において露光パターンの位置を補正して露光したとしても、下地との重ね合わせ不良が生じ、デバイス(半導体装置)が不良となってしまう。
ここで、本実施例では、上式のwに図8の平面度データを代入することにより、平面度の変化に起因するパターン変位分だけ座標測定器により測定されたパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求め、補正データを作成した。この補正データをもちい、図5に示すLEEPL露光装置によって露光姿勢のおけるマスクのパターン位置の誤差(マスク歪み)を補正して露光した。
露光では、まずフォトマスクをASML社のArFスキャナに搭載し、レジストZEP520(厚さ200nm)を塗布した200mmシリコンウエハにパターンを転写した。転写後のウエハは東京エレクトロン社製塗布現像機MARK8で現像し、レジストパターンを形成した。このパターンをマスクにしてシリコンウエハをエッチングし、重ね合わせマーク(主尺)を加工した。次に、このウエハにレジストZEP520(厚さ50nm)を塗布し、LEEPL露光装置により重ね合わせマーク(副尺)を転写した。重ね合わせ精度は日立製LA3200をもちいて測定した。
図9(a)は、平面度変化に起因するパターン変位を考慮した補正データに基づいて上記の露光を行った場合における主尺と副尺の重ね合わせ精度測定データであり、図9(b)は、座標測定器におけるパターン位置からそのまま作成された補正データに基づいて上記の露光を行った場合における主尺と副尺の重ね合わせ精度測定データである。
図9(a)および図9(b)に示す重ね合わせ精度測定データでは、ウエハの各座標における重ね合わせ精度が良好な場合には理想的な格子が形成されるものである。図9(a)および図9(b)に示すように、平面度変化に起因するパターン変位を考慮した補正データに基づいて露光パターンの位置を補正して露光することにより、設計位置からの露光パターンの誤差を良好に打ち消すことができ、その結果、下地との重ね合わせ精度が大幅に向上していることが分かる。
上記の本実施形態に係る露光装置、露光方法によれば、平面度の変化に起因するパターン変位分を考慮して露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求め、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置に基づいて作成された補正データを用いて露光することにより、露光パターンの位置精度を向上させることができる。この結果、下地層との重ね合わせ精度を向上させることができる。重ね合わせ精度の向上により、半導体装置の歩留りを向上させることができる。
また、本実施形態に係るプログラムによれば、上記の露光装置に使用される補正データを作成することができ、露光パターンの位置精度の向上に寄与することができる。
さらに、本実施形態に係るマスク精度保証方法では、マスク作製後のパターン位置を測定する長寸法測定に加えて平面度をさらに測定し(ステップST2)、マスクMとともにパターン位置のデータに加えて平面度のデータを供給することにより(ステップST3)、露光時の姿勢におけるマスクの精度の保証に貢献することができる。
すなわち、従来ではマスクMの精度保証としてパターン位置の誤差が規定値以内に収まっているか否かの測定のみ行い、マスクとともに測定したパターン位置のデータしか供給していなかった。しかし、平面度の変化に起因するパターン変位があるため、これでは露光時の姿勢におけるマスクの精度を保証したことにならなかった。
(第2実施形態)
第1実施形態では、露光ビームとして荷電粒子線である電子ビームを用い、電子光学系の偏向により露光パターンの位置を補正し得る手段のある露光方法について説明したが、本発明は、同様に電子ビームを用いるEPL技術にも適用可能である。
第1実施形態では、露光ビームとして荷電粒子線である電子ビームを用い、電子光学系の偏向により露光パターンの位置を補正し得る手段のある露光方法について説明したが、本発明は、同様に電子ビームを用いるEPL技術にも適用可能である。
図10は、EPL技術に用いられるマスクの一例を示す断面図である。EPL技術には、マスクパターンが開口パターンにより形成されるいわゆるステンシルマスク、あるいはマスクパターンが散乱体パターンにより形成されるいわゆるメンブレンマスクが用いられる。
図10(a)に示すマスクは、ステンシルマスクであり、シリコン基板20上に酸化シリコン膜からなるバッファ層21を介してSOI層からなる薄膜(メンブレン)22が形成されている。シリコン基板20およびバッファ層21が加工されて梁23が形成されており、梁23により区画された薄膜22には、開口(貫通孔)により開口パターン24が形成されている。バッファ層21の膜厚は例えば1μmであり、薄膜22の膜厚は例えば2μmである。
図10(b)に示すマスクは、メンブレンマスクであり、シリコン基板30上に例えば窒化シリコンからなる薄膜31が形成されており、シリコン基板30が加工されて梁32が形成されている。梁32により囲まれた薄膜31上には、クロム膜33aおよびタングステン膜33bからなる散乱体パターン33が形成されている。薄膜31の膜厚は、例えば150nmであり、クロム膜33aの膜厚は例えば10nmであり、タングステン膜33bの膜厚は例えば50nmである。
上記したEPL技術に使用されるマスクも、薄膜22,31に開口パターン24あるいは散乱体パターン33が形成され、薄膜22,31の平面度の変化によりパターン位置が変化しやすいものである。
上記したマスクの作製から露光方法までのフローは、図4に示す第1実施形態と同様である。EPLに使用される露光装置であっても、図6に示す機能ブロックは同様に適用される。ただし、図6の露光ビーム照射手段の装置構成は4倍の縮小投影系であるため、図5に示す等倍露光の電子光学系とは異なる。EPLに使用される露光装置では、LEEPLに使用される図5に示す露光装置のように、マスクの座標毎に露光パターンの位置を補正することはできないが、倍率誤差を補正することができる。
上記の本実施形態に係る露光装置、露光方法によっても、第1実施形態と同様の理由で、露光パターンの位置精度を向上させることができる。この結果、下地層との重ね合わせ精度を向上させることができる。重ね合わせ精度の向上により、半導体装置の歩留りを向上させることができる。さらに、本実施形態に係るマスク精度保証方法によれば、第1実施形態と同様の理由で、露光時の姿勢におけるマスクの精度の保証に貢献することができる。
(第3実施形態)
第1実施形態では、露光ビームとして荷電粒子線である電子ビームを用いる例について説明したが、本発明は、同様に荷電粒子線以外のX線や極紫外光(EUV)を用いた転写露光にも応用することが可能である。
第1実施形態では、露光ビームとして荷電粒子線である電子ビームを用いる例について説明したが、本発明は、同様に荷電粒子線以外のX線や極紫外光(EUV)を用いた転写露光にも応用することが可能である。
図11(a)は、X線リソグラフィに用いられるマスクの一例を示す断面図であり、(11(b)は、EUVリソグラフィに用いられるマスクの一例を示す断面図である。
図11(a)に示すマスクは、シリコン基板40上に例えば膜厚が2μm程度のSiCからなる薄膜41が形成されており、中央部の露光領域におけるシリコン基板40が除去されている。露光領域の薄膜41上には、例えば膜厚が20nm程度のクロム膜42が形成され、クロム膜42上に例えば500nm程度のTaSiからなるX線の吸収体パターン43が形成されている。
上記したX線リソグラフィ技術に使用されるマスクも、薄膜41に吸収体パターン43が形成され、薄膜41の平面度の変化によりパターン位置が変化しやすいものであるため、本発明が好適に適用されるものである。
図11(b)に示すマスクは、ガラス基板50上に例えばMo/Siからなる多層膜51が形成されており、多層膜51上にはバッファ層52と、吸収体パターン53が形成されている。
上記したEUVリソグラフィに使用されるマスクは、支持基板であるガラス基板50は剛性が高いが、ガラス基板50上に多層膜51、バッファ層52、吸収体パターン53が形成されているため、これらの膜の内部応力によりガラス基板50が反ってしまう。
従って、このガラス基板50の反りの矯正が、マスクM作製後の座標測定器によるパターン位置測定時と、露光装置にセットされた露光姿勢で異なるため、同様にして、平面度の変化によりパターン位置の変化が起こる。
X線やEUVでは、荷電粒子線のように、マスクのパターン位置誤差を補正して露光することができないため、マスクMの作製からマスクMを用いた露光までのフローチャートは、図12に示すようになる。
まず、マスクMを作製した後(ステップST11)、IPROに代表される座標測定器によってマスクMのパターン位置を測定し、本実施形態では、さらに、座標測定器のオートフォーカス機能などをもちいて、マスクの平面度も同時に測定する(ステップST12)。これにより、座標測定器により得られたパターン位置と、平面度とが関連づけられる。そして、マスクと共に、計測されたパターン位置に関するデータおよび平面度に関するデータ(以下、第1のデータと称する)が、供給される(ステップST13)。
マスクMを露光装置内に格納したら、露光姿勢のままで平面度測定をおこなう(ステップST14)。パターン位置の測定時(ステップST12)から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求める(ステップST15)。
ステップST15で求められた露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置に基づいて、設計位置からの誤差を求めて、誤差が許容範囲内にあるか否かを判定する(ステップST16)。誤差が許容範囲内にあれば、露光を行う(ステップST17)。このとき、露光装置で倍率補正が可能であれば、できるだけ誤差を小さくするように倍率補正をしてもよい。
設計位置からの誤差が許容範囲を超えている場合には、露光を中止し、マスクを再作製する、もしくは、装置のチャッキング方法等を改善する。これにより、デバイスの不良を事前に防止することができる。
図13は、上記のステップST14〜ST18を実施する本実施形態に係る露光装置の機能ブロック図である。
本実施形態に係る露光装置では、平面度測定手段107と、データ処理手段108と、露光ビーム照射手段200とを有する。データ処理手段108は、パターン位置算出手段111と判定手段113とを有する。なお、第1のデータD1と、平面度測定手段107については、第1実施形態と同様のため説明は省略する。
パターン位置算出手段111は、第1のデータD1と、平面度測定手段107からの露光時の姿勢における平面度の測定データ(第2のデータ)を入力し、座標測定器によるマスクのパターン位置の測定時から露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけパターン位置を補正して、露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置を求める。この処理については、マスクの構造は異なるが、第1実施形態と同様にして求めることができる。
判定手段113は、パターン位置算出手段111から、露光時の姿勢におけるマスクMのパターン位置を入力すると、設計位置からのパターン位置の誤差を求め、誤差が一定値以内か否かを判定する。誤差が一定値以内であれば、露光ビーム照射手段200に露光を行うべき情報を出力する。誤差が一定値を越えていれば、露光ビーム照射手段200に露光を中止すべき情報を出力する。
露光ビーム照射手段200は、判定手段113からの露光を行うべき情報を受けて、X線あるいはEUV光をマスクに照射することにより、被露光体であるウエハに露光パターンを転写する。このとき、倍率誤差を補正してもよい。
上記の本実施形態に係る露光装置および露光方法によれば、平面度の変化に起因するパターン変位分を考慮して露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置を求め、露光時の姿勢におけるマスクのパターン位置の誤差が許容範囲内であるか否かの判定を行うことにより、平面度変化に起因するマスクのパターン位置精度の不良を未然に予知することができる。この結果、半導体装置の歩留りを向上させることができる。
また、本実施形態に係るプログラムによれば、上記の露光を行うか否かの判定処理をコンピュータに実行させることにより、半導体装置の歩留りの向上に寄与することができる。さらに、本実施形態に係るマスク精度保証方法によれば、第1実施形態と同様の理由で、露光時の姿勢におけるマスクの精度の保証に貢献することができる。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、本発明に使用されるマスクは、上記した構造に限定されず、種々のマスクに適用可能である。また、第1実施形態においても、ステップST5とステップST7との間に、露光姿勢時のマスクのパターン位置の誤差が電子線副偏向補正による補正可能な範囲内か否かの処理を設け、誤差が補正可能な範囲内の場合に露光を行ってもよい。さらに、本発明は荷電粒子線としてイオンビームを用いた露光にも適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、本発明に使用されるマスクは、上記した構造に限定されず、種々のマスクに適用可能である。また、第1実施形態においても、ステップST5とステップST7との間に、露光姿勢時のマスクのパターン位置の誤差が電子線副偏向補正による補正可能な範囲内か否かの処理を設け、誤差が補正可能な範囲内の場合に露光を行ってもよい。さらに、本発明は荷電粒子線としてイオンビームを用いた露光にも適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
10…露光領域、11…梁、11a…シリコン基板、11b…酸化シリコン膜、12…薄膜、13…開口パターン、20…シリコン基板、21…バッファ層、22…薄膜、23…梁、24…開口パターン、30…シリコン基板、31…薄膜、32…梁、33…散乱体パターン、33a…クロム膜、33b…タングステン膜、40…シリコン基板、41…薄膜、42…クロム膜、43…吸収体パターン、50…ガラス基板、51…多層膜、52…バッファ層、53…吸収体パターン、100…露光ビーム照射手段、101…電子銃、102…コンデンサレンズ、103…アパーチャ、104a,104b…主偏向器、105a,105b…副偏向器、106…制御手段、107…平面度測定手段、108…データ処理手段、109…CPU、110…プログラム、111…パターン位置算出手段、112…補正データ作成手段、113…判定手段、200…露光ビーム照射手段、A,B,C,D…マスク領域、M…マスク、D1…第1のデータ
Claims (9)
- 露光時の姿勢におけるマスクの平面度を測定する平面度測定手段と、
予め測定された前記マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を入力し、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるパターン位置算出手段と、
前記パターン位置算出手段により求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するための補正データを作成する補正データ作成手段と、
前記補正データに基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するように露光ビームを照射する露光ビーム照射手段と
を有する露光装置。 - 前記露光ビーム照射手段は、前記露光ビームとして荷電粒子線を用い、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するように前記荷電粒子線を偏向させる
請求項1記載の露光装置。 - 露光時の姿勢におけるマスクの平面度を測定する平面度測定手段と、
予め測定された前記マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を入力し、前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるパターン位置算出手段と、
前記パターン位置算出手段により求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、露光を行うか否かを判定する判定手段と
を有する露光装置。 - マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を測定する工程と、
露光時の姿勢における前記マスクの平面度を測定する工程と、
前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求める工程と、
求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正して露光を行う工程と
を有する露光方法。 - 前記露光を行う工程において荷電粒子線を用い、前記荷電粒子線を偏向させることにより被露光体に露光される露光パターンの位置を補正して露光を行う
請求項4の露光方法。 - マスクのパターン位置と、前記パターン位置の測定時における平面度を測定する工程と、
露光時の姿勢における前記マスクの平面度を測定する工程と、
前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求める工程と、
求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、露光を行うか否かを判定する工程と
を有する露光方法。 - 予め測定されたマスクのパターン位置および前記パターン位置の測定時における平面度に関する第1のデータと、露光時の姿勢における前記マスクの平面度に関する第2のデータを入力するステップと、
前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるステップと、
求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、被露光体に露光される露光パターンの位置を補正するための補正データを作成するステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。 - 予め測定されたマスクのパターン位置および前記パターン位置の測定時における平面度に関する第1のデータと、露光時の姿勢における前記マスクの平面度に関する第2のデータを入力するステップと、
前記パターン位置の測定時から前記露光時の姿勢への平面度の変化に起因するパターン変位分だけ前記パターン位置を補正して、露光時の姿勢における前記マスクのパターン位置を求めるステップと、
求められた前記露光時の姿勢における前記マスクの前記パターン位置に基づいて、露光を行うか否かを判定するステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。 - 作製したマスクのパターン位置を測定し、かつ前記パターン位置の測定時における平面度を測定する工程と、
前記マスクに関する前記パターン位置のデータと、前記平面度に関するデータとを、前記マスクとともに供給する工程と
を有するマスク精度保証方法。
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JP2003412362A JP2005175167A (ja) | 2003-12-10 | 2003-12-10 | 露光装置および露光方法、並びにプログラムおよびマスク精度保証方法 |
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JP2003412362A JP2005175167A (ja) | 2003-12-10 | 2003-12-10 | 露光装置および露光方法、並びにプログラムおよびマスク精度保証方法 |
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JP2003412362A Abandoned JP2005175167A (ja) | 2003-12-10 | 2003-12-10 | 露光装置および露光方法、並びにプログラムおよびマスク精度保証方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005274953A (ja) * | 2004-03-24 | 2005-10-06 | Toshiba Corp | 描画パターンデータの生成方法及びマスクの描画方法 |
US9846357B2 (en) | 2014-03-14 | 2017-12-19 | Toshiba Memory Corporation | Photomask manufacturing method and photomask |
-
2003
- 2003-12-10 JP JP2003412362A patent/JP2005175167A/ja not_active Abandoned
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---|---|---|---|---|
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