JP2005174986A - 急速熱処理装置、その製造方法及び温度調整方法 - Google Patents

急速熱処理装置、その製造方法及び温度調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 急速熱処理装置の温度制御性を改善することによってデバイスの歩留まりを飛躍的に向上させる。
【解決手段】 基板100を急速熱処理する急速熱処理装置は、基板100を支持する基板支持機102と、急速熱処理中の基板100の温度を測定する複数の光学的高温測定器105とを有している。複数の光学的高温測定器105は、少なくとも基板100の中央部及び端部のそれぞれに基板100に直接接しないように設置されている。基板100を急速熱処理することによって、基板100におけるスリップ発生量又は酸化膜厚等の温度依存量を取得した後、該温度依存量に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、基板を急速熱処理する急速熱処理装置、その製造方法、及び急速熱処理装置における基板の温度調整方法に関するものである。
近年、半導体素子の微細化及び高集積化が急速に進んでいると共に、基板(ウェハ)の大口径化が進展している。これに伴い、複数の基板を同時に処理する従来のバッチ処理方式からシングルウェハ処理方式への移行も進んできている。
一方、基板の熱処理工程ではサーマルバジェット(熱履歴)の低減や浅接合形成の要求に応じて、急速熱処理(Rapid Thermal Processing:RTP)が普及してきている。
図21は、従来のシングルウェハ方式の急速熱処理装置の概略構成を示す図である。
図21に示す急速熱処理装置の処理チャンバー1において、基板10の端部(エッジ)は環状の基板支持機2によって保持されている。基板支持機2は回転機構3を介して処理チャンバー1の底部に設置されている。処理チャンバー1の上部には加熱機構4が設けられていると共に、処理チャンバー1における基板10の下側には基板10と直接接しないように光学的高温測定器5が設けられている。加熱機構4及び光学的高温測定器5は、処理チャンバー1の外側に設けられた制御システム6によって制御される。尚、処理チャンバー1における基板10の下側には、光学的高温測定器5による温度測定の精度を向上させるため、反射板7が設けられている。
シングルウェハ方式の急速熱処理においては、通常、数十℃/sec〜数百℃/secの高い昇温率で基板のみを加熱するため、処理時間そのものも数秒〜数百秒程度と、従来の電気炉等を用いた熱処理の場合と比べて飛躍的に短くなる。このため、温度制御が十分になされていない場合には、熱処理時に基板10の面内における温度差が大きくなるので、基板10に反りが生じたり、又は、図22に示すように、基板10の周縁部にすべり(スリップ)11を生じたりする。その結果、場合によっては基板割れ等の問題が生じるので、製品の歩留が著しく低下してしまう。また、このような傾向は、基板が大口径化すればするほど顕著になる。
ところで、前述したように、急速熱処理装置においては、温度測定のために光学的高温測定器(パイロメーター)が広く使われている。光学的高温測定器は、「一定の温度状態にある物体は、特定のスペクトルと強度とを有する輻射を発する」という性質を利用した温度測定器であって、物体から放射される輻射を測定することによって物体の温度を決定(推定)している。ここで、輻射を利用していることから容易に想像されるとおり、光学的高温測定器は物体の放射率の影響を大きく受けるため、急速熱処理に伴って物体の放射率が変化することは、光学的高温測定器による測定温度にズレを生じさせる大きな要因となる。
それに対して、複数の光学的高温測定器により基板面内の温度を複数点で逐次測定すると共に、熱処理機構における各光学的高温測定器(つまり測定対象の基板各部)と対応する各熱処理系(サブシステム)の温度コントロールを独立に行なう急速熱処理装置が提案されている。
特開平10ー173032(第6頁、第3図)
ところが、従来の急速熱処理装置において、基板エッジを支持する基板支持機が設けられており、且つ基板エッジ付近の温度を測定するための光学的高温測定器が設置されている場合、該光学的高温測定器が、図23に示すように、基板10のみならず基板支持機2からの熱放射の影響も受けてしまう。言い換えると、温度差は、基板10の面内のみならず、基板10のエッジと基板支持機2との間にも生じてしまう。その結果、光学的高温測定器が基板温度を正確に測定できないまま、不正確な測定温度が熱処理機構に伝達されてしまう。また、熱処理を重ねるごとに基板支持機の放射率が変動する等の場合には、光学的高温測定器において、基板支持機からの影響に起因して基板温度が熱処理ごとに徐々に変化しているように計測されるため、熱処理機構を含む温度制御システムに経時変化する温度情報が与えられてしまう場合がある。
一方、製品の歩留りを著しく低下させるスリップ発生等の抑制のためには、基板エッジにおける高精度な温度制御が非常に重要であるが、前述のように基板支持機からの影響等に起因して正確な温度測定が行なえない場合、基板エッジにおける高精度な温度制御を行なうことは非常に困難な課題となる。
本発明は、以上に述べた従来の問題点を解決するものであって、急速熱処理装置の温度制御性を改善することによってデバイスの歩留まりを飛躍的に向上させることができる優れた急速熱処理装置、その製造方法及び温度調整方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る急速熱処理装置は、基板を急速熱処理する急速熱処理装置であって、基板を支持する基板支持機を備え、基板支持機が酸化耐性を有する。
本発明の急速熱処理装置によると、基板支持機が酸化耐性を有するため、比較的高温の処理又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中での処理においても、基板支持機が酸化又は酸窒化されにくくなるので、前記の各処理中における基板支持機の放射率の変化を抑制できる。このため、基板エッジの近傍に設置された光学的高温測定器においても、基板支持機からの影響に起因して基板温度が経時変化しているように計測される事態を回避できる。すなわち、熱処理機構を含む温度制御システムに基板エッジ近傍の温度を正確に伝達することができる。従って、基板エッジ近傍の温度制御性が向上するため、基板のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
本発明の急速熱処理装置において、基板支持機は、基板を構成する元素、例えば珪素を含んでいてもよい。
本発明の急速熱処理装置において、基板支持機は、その構成部材が窒化、酸化又は酸窒化されることにより酸化耐性を付与されていることが好ましい。
このようにすると、基板支持機に酸化耐性を確実に付与することができる。
本発明の急速熱処理装置において、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが酸化耐性を付与されていることが好ましい。
このようにすると、急速熱処理による基板支持機の放射率の変化を確実に抑制できるため、基板エッジ近傍の温度が経時変化することなく正確に測定できるので、基板エッジ近傍に対する熱処理が経時変化することはない。
また、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露されない部分が、基板支持機の本来の材質の特性を有するため、基板支持機に酸化耐性を付与する前後において基板支持機の熱放射特性はほとんど変化しない。このため、例えば基板支持機に酸化耐性を付与する前に該基板支持機を用いて急速熱処理装置の温度状態(設定条件等)を調整していた場合でも、その調整された温度状態をほとんど補正することなく活用することができる。
また、基板支持機とそれを支える機構(例えばチャンバー底部に取り付けられた回転機構等)との接続部分における熱の散逸特性も、基板支持機に酸化耐性を付与する前後においてほとんど不変であるため、急速熱処理装置の冷却効率が本来の状態に保たれる。
さらには、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが酸化耐性を付与されていることによって、次のような効果が得られる。例えば、基板支持機を支える機構が回転機構であって、基板支持機が回転機構と連動している場合、基板支持機と回転機構とが接する部分においては適正な摩擦係数が保たれている必要がある。すなわち、該部分での摩擦係数が十分ではない場合、回転機構が回転しても基板支持機がその上をすべってしまい、基板支持機つまり基板の正常な回転を実現できない。それに加えて、基板支持機と回転機構との接点(接線)で、すべりによる機械研磨状態(こすれ)が生じる結果、該接点(接線)がパーティクル等の発生源となる可能性がある。このように、基板支持機が回転機構(基板支持機を支える機構)と接する部分の摩擦係数は、回転の慣性(遠心力)に耐えうるほどに十分大きい必要があり、通常は、本来の基板支持機(酸化耐性を付与されていない基板支持機)はこの要求に合致するように設計されている。一方、この接続部分に酸化耐性を付与することによって該部分の摩擦係数が変化すれば、課題を解決することができても、新たな副作用(パーティクル発生等)を生じかねない。しかしながら、基板支持機において、基板支持機を支える機構との接点(接線)を含む、急速熱処理時に雰囲気に暴露されない領域については酸化耐性を付与せずに、本来の基板支持機の表面状態を保っておくことによって、新たな副作用を発生させることなく、課題を解決することができる。
本発明に係る急速熱処理装置の製造方法は、窒化、酸化又は酸窒化によって基板支持機に酸化耐性を付与する場合における本発明の急速熱処理装置の製造方法であって、基板支持機の構成部材の窒化、酸化又は酸窒化を、前記急速熱処理装置又は他の急速熱処理装置を用いて実施する。
本発明の急速熱処理装置の製造方法によると、本発明の急速熱処理装置又は他の急速熱処理装置を用いて基板支持機の構成部材の窒化、酸化又は酸窒化を実施するため、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露されると予想される部分(つまり基板温度の経時変化を引き起こす考えられる部分)のみに酸化耐性を付与することができる。従って、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが酸化耐性を付与されている場合の前述の各効果が得られる。
本発明に係る温度調整方法は、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法であって、急速熱処理装置は、基板を支持する基板支持機と、急速熱処理中の基板の温度を測定する複数の光学的高温測定器とを有し、複数の光学的高温測定器は、少なくとも基板の中央部及び端部のそれぞれに基板に直接接しないように設置され、基板を急速熱処理することによって温度依存量を取得する工程と、取得された温度依存量に基づいて、複数の光学的高温測定器のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器毎に独立に補正する工程とを備えている。
本発明の温度調整方法によると、基板を急速熱処理することによって温度依存量を取得した後、該温度依存量に基づいて、各光学的高温測定器の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。すなわち、基板面内における温度依存量の差が温度ズレに相当することを利用して、温度依存量が所望の温度と対応する値になるように、各光学的高温測定器の測定温度を補正することができる。このため、基板面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板エッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
本発明の温度調整方法において、温度依存量が、基板におけるすべり発生量であると、前述の効果が確実に得られる。
本発明の温度調整方法において、温度依存量が、基板を急速熱処理することによって形成される膜の厚さであると、前述の効果が確実に得られる。この場合、温度ズレを補正する工程は、0.4×B<A<B(但し、Aは、基板の半径の10%の幅を持つ基板の外周領域における複数の箇所で測定された膜の厚さの平均値であり、Bは、基板のうち外周領域よりも内側の領域における複数の箇所で測定された膜の厚さの平均値である)を満足するように温度ズレを補正する工程を含んでいてもよい。
本発明の温度調整方法において、温度依存量を取得する工程は、基板を減圧状態で急速熱処理する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、次のような効果が得られる。すなわち、減圧状態での処理の場合、常圧での処理の場合と比べて、急速熱処理後の冷却効率が悪いため、基板及び基板支持機の放熱効率が著しく低下する。これによって、基板支持機は十分冷却されないままに次の基板の処理に用いられるので、基板支持機と基板エッジとの間の温度差が大きくなりやすく、その結果、スリップが発生しやすくなるという問題点が生じる。それに対して、温度ズレの補正のための温度依存量の取得を、実際の処理と同じ減圧状態で実施することによって、温度補正の精度を飛躍的に向上させることができる結果、前記の問題点つまりスリップの発生を防止できる。
本発明の温度調整方法において、温度依存量が、基板を急速熱処理することによって形成される膜の厚さである場合、該膜は酸化膜であり、温度依存量を取得する工程は、基板を減圧状態で急速熱処理する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、次のような効果が得られる。すなわち、減圧状態での処理の場合、常圧での処理の場合と比べて、急速熱処理後の冷却効率が悪いため、基板及び基板支持機の放熱効率が著しく低下する。これによって、基板支持機は十分冷却されないままに次の基板の処理に用いられるので、基板支持機と基板エッジとの間の温度差が大きくなりやすく、その結果、スリップが発生しやすくなるという問題点が生じる。それに対して、温度ズレの補正のための温度依存量(つまり酸化膜厚)の取得を、実際の処理と同じ減圧状態で実施することによって、温度補正の精度を飛躍的に向上させることができる結果、前記の問題点つまりスリップの発生を防止できる。
本発明の温度調整方法において、急速熱処理装置は本発明の急速熱処理装置であって、基板支持機が酸化耐性を有していてもよい。
本発明によると、急速熱処理装置の基板支持機が酸化耐性を有するため、比較的高温の処理又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中での処理においても、基板支持機が酸化又は酸窒化されにくくなるので、前記の各処理中における基板支持機の放射率の変化を抑制できる。このため、熱処理機構を含む温度制御システムに基板エッジ近傍の温度を正確に伝達することができるので、基板エッジ近傍の温度制御性が向上する結果、基板のスリップ等を抑制でき、それによりデバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
また、本発明によると、基板を急速熱処理することによって温度依存量を取得した後、該温度依存量に基づいて、急速熱処理装置の各光学的高温測定器の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。このため、温度依存量が所望の温度と対応する値になるように、各光学的高温測定器の測定温度を補正できるので、基板面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板エッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板のスリップ等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る急速熱処理装置について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、第1の実施形態に係る急速熱処理装置の概略構成を示す図であり、図1(b)は、第1の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。
図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー1の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
本実施形態において、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板支持機102は酸化耐性(酸化されない又は酸化されにくい性質)を有している。具体的には、図1(b)に示すように、基板支持機102は、酸化耐性を持つ部分108によって全面を覆われている。このため、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合にも、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合にも、これらの処理によって基板支持機102が酸化又は酸窒化されにくくなるので、従来の基板支持機2の場合と異なり、基板支持機102の特性の変化、特に放射率の変化は無視できる程度に小さくなる。従って、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において基板支持機102の温度が経時変化しているように測定されることなく、経時変化のない正確な測定温度が制御システム106に伝達されるので、基板100のエッジ近傍の熱処理が経時変化することを防止できる。すなわち、基板100のエッジ近傍の温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、本実施形態において、基板支持機102への酸化耐性の付与は、例えばシリコンよりなる基板支持機102の表面部を予め厚く酸化又は酸窒化することにより行なわれる。或いは、基板支持機102の表面に、酸化耐性を持つ部分108となる厚い酸化膜(例えばシリコン酸化膜)又は酸窒化膜(例えばシリコン酸窒化膜)を堆積することによって、基板支持機102に酸化耐性を付与してもよい。厚い酸化膜又は酸窒化膜によって基板支持機102に酸化耐性を付与することができる理由は次の通りである。すなわち、急速熱処理による酸化又は酸窒化は、厚い酸化膜又は厚い酸窒化膜をほとんど変化させることがないので、厚い酸化膜又は厚い酸窒化膜によって覆われた基板支持機における急速熱処理中の放射率の変化も無視できる程度に小さくなるからである。
また、本実施形態において、基板支持機102の全面を、酸化耐性を持つ部分108(例えば厚い酸化膜)によって覆ったが、これに代えて、基板支持機102の表面側のみを、正確には、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみを、酸化耐性を持つ部分108によって覆ってもよい。言い換えると、基板支持機102の裏面側、正確には、基板支持機102における基板100と基板支持機102と回転機構103とによって囲まれた空間に面している部分は、酸化耐性を持つ部分108によって覆われていなくてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102の表面部を予め厚く酸化又は酸窒化することにより基板支持機102に酸化耐性を付与する場合、例えば急速熱処理装置(図1(a)に示す急速熱処理装置でもよい)を用いて、水素と酸素とを含む雰囲気(例えば水素と酸素との混合雰囲気又は水素と酸素と窒素との混合雰囲気)中で基板支持機102の表面部を酸化又は酸窒化させてもよい。このとき、酸化又は酸窒化を1300Pa程度の減圧下で行なってもよい。
また、本実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。このとき、急速熱処理を1300Pa程度の減圧下で行なってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)はそれぞれ、棚部102aを持つ基板支持機102の平面形状のバリエーションを示している。また、図4は、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)のそれぞれにおけるA−A線の概略断面構成を示している。
また、本実施形態において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、本実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る急速熱処理装置について図面を参照しながら説明する。
第2の実施形態に係る急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
本実施形態において、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板支持機102は酸化耐性を有している。
図5は、第2の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。
具体的には、本実施形態の基板支持機102は例えばシリコンを主成分としており、該基板支持機102の表面部のシリコンを窒化して強固なSi−N結合を形成することにより、図5に示すように、基板支持機102は、酸化耐性を持つ部分(窒化部分)109によって全面を覆われている。
このため、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合にも、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合にも、これらの処理によって基板支持機102が酸化又は酸窒化されにくくなるので、基板支持機102の特性の変化、特に放射率の変化は無視できる程度に小さくなる。従って、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において基板支持機102の温度が経時変化しているように測定されることなく、経時変化のない正確な測定温度が制御システム106に伝達されるので、基板100のエッジ近傍の熱処理が経時変化することを防止できる。すなわち、基板100のエッジ近傍の温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、本実施形態において、基板支持機102の全面を、窒化部分109によって覆ったが、これに代えて、基板支持機102の表面側のみを、正確には、基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみを窒化部分109によって覆ってもよい。言い換えると、基板支持機102の裏面側、正確には、基板支持機102における基板100と基板支持機102と回転機構103とによって囲まれた空間に面している部分は、窒化部分109によって覆われていなくてもよい。
また、本実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。このとき、急速熱処理を1300Pa程度の減圧下で行なってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、本実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る急速熱処理装置について図面を参照しながら説明する。
第3の実施形態に係る急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処置対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
本実施形態において、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板支持機102は酸化耐性を有している。
図6は、第3の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。
具体的には、本実施形態においては、基板100は、主要構成元素をシリコンとする基板、例えばシリコンウェハ等であると共に、基板支持機102は、基板を構成する元素つまりシリコンを含む材料(例えばSiC又は多結晶シリコン等)を主成分としている。また、例えば基板支持機102の表面部を窒化することにより、図6に示すように、基板支持機102は、酸化耐性を持つ部分(シリコン窒化部分)110によって全面を覆われている。
このため、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合にも、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合にも、これらの処理によって基板支持機102が酸化又は酸窒化されにくくなるので、基板支持機102の特性の変化、特に放射率の変化は無視できる程度に小さくなる。従って、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において基板支持機102の温度が経時変化しているように測定されることなく、経時変化のない正確な測定温度が制御システム106に伝達されるので、基板100のエッジ近傍の熱処理が経時変化することを防止できる。すなわち、基板100のエッジ近傍の温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、本実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。このとき、急速熱処理を1300Pa程度の減圧下で行なってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、本実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る急速熱処理装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
第4の実施形態に係る急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
本実施形態において、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置の基板支持機102において、急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが酸化耐性を有する。
図7は、第4の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。
具体的には、本実施形態の基板支持機102は例えばシリコンを主成分としており、実際の処理に使用する急速熱処理装置(本実施形態の急速熱処理装置)を用いて、又はそれと同等の他の急速熱処理装置を用いて(この場合、基板支持機102は本実施形態の急速熱処理装置から一旦取り外されることになる)、基板支持機102の表面部は窒化されている。これにより、図7に示すように、基板支持機102における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分(正確には、基板支持機102における酸化処理又は酸窒化処理等の雰囲気にさらされて経時変化が予想される部分)のみが、酸化耐性を持つ部分(窒化部分)109によって覆われる。
このため、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合にも、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合にも、これらの処理によって、基板支持機102における窒化部分109によって覆われている部分(基板支持機102における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分)が酸化又は酸窒化されにくくなるので、基板支持機102の特性の変化、特に放射率の変化は無視できる程度に小さくなる。従って、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において基板支持機102の温度が経時変化しているように測定されることなく、経時変化のない正確な測定温度が制御システム106に伝達されるので、基板100のエッジ近傍の熱処理が経時変化することを防止できる。すなわち、基板100のエッジ近傍の温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
また、本実施形態によると、基板支持機102における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが酸化耐性を有することによって、次のような効果が得られる。
すなわち、基板支持機102における急速熱処理時に雰囲気に暴露されない部分が、基板支持機102の本来の材質の特性を有するため、基板支持機102に酸化耐性を付与する前後において基板支持機102の熱放射特性はほとんど変化しない。このため、例えば基板支持機102に酸化耐性を付与する前に該基板支持機102を用いて急速熱処理装置の温度状態(設定条件等)を調整していた場合でも、その調整された温度状態をほとんど補正することなく活用することができる。また、基板支持機102とそれを支える機構(具体的には回転機構103)との接続部分における熱の散逸特性も、基板支持機102に酸化耐性を付与する前後においてほとんど不変であるため、急速熱処理装置の冷却効率が本来の状態に保たれる。
さらには、基板支持機102における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが酸化耐性を付与されていることによって、次のような効果が得られる。本実施形態のように、基板支持機102を支える機構が回転機構103であって、基板支持機102が回転機構103と連動している場合、基板支持機102と回転機構103とが接する部分においては適正な摩擦係数が保たれている必要がある。すなわち、該部分での摩擦係数が十分ではない場合、回転機構103が回転しても基板支持機102がその上をすべってしまい、基板支持機102つまり基板100の正常な回転を実現できない。それに加えて、基板支持機102と回転機構103との接点(接線)で、すべりによる機械研磨状態(こすれ)が生じる結果、該接点(接線)がパーティクル等の発生源となる可能性がある。このように、基板支持機102が回転機構103(基板支持機を支える機構)と接する部分の摩擦係数は、回転の慣性(遠心力)に耐えうるほどに十分大きい必要があり、通常は、本来の基板支持機102(酸化耐性を付与されていない基板支持機102)はこの要求に合致するように設計されている。一方、この接続部分に酸化耐性を付与することによって該部分の摩擦係数が変化すれば、課題を解決することができても、新たな副作用(パーティクル発生等)を生じかねない。しかしながら、基板支持機102において、基板支持機102を支える機構(回転機構103)との接点(接線)を含む、急速熱処理時に雰囲気に暴露されない領域(つまり基板支持機102における窒化部分109によって覆われていない部分)については酸化耐性を付与せずに、本来の基板支持機102の表面状態を保っておくことによって、新たな副作用を発生させることなく、課題を解決することができる。
尚、本実施形態において、急速熱処理装置を用いて実施される基板支持機102の窒化は、例えばNH3 、NO又はN2 Oのうちの少なくとも1つを含む雰囲気中で実施されてもよい。具体的には、例えばNO雰囲気中において1100℃程度で数分〜数十分の処理を1回又は数回繰り返すことにより、基板支持機102の表面は窒化され、それによって基板支持機102に酸化耐性が付与される。
また、本実施形態において、急速熱処理装置を用いて基板支持機102を窒化したが、これに代えて、急速熱処理装置を用いて基板支持機102を酸化又は酸窒化しても、基板支持機102に酸化耐性が付与され、それによって本実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。このとき、急速熱処理を1300Pa程度の減圧下で行なってもよい。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、本実施形態の急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。
また、本実施形態において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、本実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係る温度調整方法、具体的には、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法について図面を参照しながら説明する。
第5の実施形態に係る温度調整方法を実施する急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
ここで、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されていると共に、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100の中央部に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板100を急速熱処理することによって温度依存量を取得した後、該温度依存量に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図8(a)及び(b)は本実施形態の特徴を説明するための図であり、図9は本実施形態の温度調整方法のフローチャートである。
具体的には、まず、ステップS101において、基板100に対して温度依存処理(急速熱処理)を実施し、それにより、ステップS102において、急速熱処理の処理温度に依存して変化する基板100の物理量、つまり温度依存量を各温度(光学的高温測定器105の測定値)について測定する。温度依存量は例えばシート抵抗であってもよい。或いは、温度依存量として、基板100上に堆積された金属膜の処理温度に対する相変化量(例えば相転位温度)等を利用してもよい。
尚、温度依存量の測定においては、基板100の面内における一定の箇所を指定して該箇所で測定した温度依存量を、該箇所と対応する光学的高温測定器105の測定温度と、加熱機構104における該箇所の熱処理に寄与する部分とに対応させてもよい。或いは、基板100の面内における複数点で測定した物理量の平均値を算出し、該平均値を、前記の複数点と対応する全ての光学的高温測定器105の測定温度の平均値と、加熱機構104における前記の複数点の熱処理に寄与する全ての部分とに対応させてもよい。
次に、ステップS103において、ステップS102で測定された温度依存量に基づいて、温度依存量(基板100の物理量)と温度(光学的高温測定器105の測定値)との対応関係を作成する。
ところで、温度依存量は温度によって一義的に決まるので、図8(a)及び(b)に示すように、基板100の面内で温度依存量に差がある場合、それは温度ズレ(温度差)に相当する。本実施形態では、この温度依存量の差と温度ズレとの関係を利用して、温度依存量が所望の温度と対応する値になるように、各光学的高温測定器105の測定温度を補正する。
具体的には、ステップS104において、急速熱処理中の基板100の面内における複数点で温度依存量を測定する。続いて、ステップS105において、前記の複数点で測定された温度依存量の差と、ステップS103で作成した対応関係(温度依存量と温度との対応関係)とに基づいて、前記の複数点の間の温度ズレ(各点と対応する光学的高温測定器105の測定値の間のズレ)を算出する。次に、ステップS106において、ステップS105で算出された温度ズレに基づいて、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)を補正する。このとき、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。続いて、ステップS107において、基板100に対して急速熱処理(図1(a)に示す急速熱処理装置による本来の急速熱処理)を実施する。このとき、ステップS108において、基板支持機102の特性(特に放射率)が経時変化するため、ステップS109において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)も経時変化する。そこで、本実施形態では、ステップS104からステップS109までを定期的に実施し、それによって、基板100の面内における各部分と対応する温度依存量の差に基づいて温度ズレを算出して温度補正を実施する。これにより、基板支持機102の放射率等の経時変化に起因して、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において温度ズレの経時変化が生じることを防止することができる。
以上に説明したように、第5の実施形態によると、基板100を急速熱処理することによって温度依存量を取得した後、該温度依存量に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。すなわち、基板100の面内における温度依存量の差が温度ズレに相当することを利用して、温度依存量が所望の温度と対応する値になるように、各光学的高温測定器105の測定温度を補正することができる。このため、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板100のエッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、第5の実施形態において、ステップS101及びS104を、基板100と同等のダミー基板を用いて行なってもよい。
また、第5の実施形態の温度補正は、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105に対してのみ実施してもよいし、又は所定の数の若しくは全ての光学的高温測定器105に対して実施してもよい。
また、第5の実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、第5の実施形態において、例えば図1(a)に示す急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。
また、第5の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、第5の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、第5の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。また、基板支持機102として、酸化耐性を有する基板支持機、つまり第1〜第4の実施形態のいずれかの基板支持機102を用いてもよい。
また、第5の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、第5の実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係る温度調整方法、具体的には、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法について図面を参照しながら説明する。
第6の実施形態に係る温度調整方法を実施する急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
ここで、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されていると共に、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100の中央部に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板100を急速熱処理することによって温度依存量(急速熱処理の処理温度によって変化する基板100の物理量)、具体的には基板100におけるすべり(スリップ)発生量を測定した後、該スリップ発生量に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。ここで、スリップ発生量として、長さが数ミリ以上のスリップの数、又は確認できる全てのスリップの数を用いてもよい。或いは、発生したスリップのうち最も長いスリップの長さ等を用いてもよい。また、本実施形態においては、急速熱処理の温度の指標として、基板100のエッジ近傍に設置されている光学的高温測定器105の温度ズレを補正するための温度補正量(ΔT)を採用する。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図10は、温度補正量ΔTを変化させた場合におけるスリップ発生量を示す。図10に示すように、温度補正量ΔTがプラス方向に増加するにつれて(基板100のエッジ近傍に設置されている光学的高温測定器105の測定値を高く補正するにつれて)スリップ発生量が急激に増加している。逆に、温度補正量ΔTをマイナス方向に増加させても(基板100のエッジ近傍に設置されている光学的高温測定器105の測定値を低く補正しても)スリップは発生しない。本実施形態は、図10に示す温度補正量ΔTとスリップ発生量との関係に基づいて、スリップの発生しない温度補正量ΔTを求め、該温度補正量ΔTを用いて、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の温度(測定値)を補正する。すなわち、本実施形態では、スリップの発生しない温度補正量ΔTによって、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレが均一化されると考える。
図11は本実施形態の温度調整方法のフローチャートである。
まず、ステップS201において、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の温度補正量ΔTをプラス方向及びマイナス方向のそれぞれに変化させながら基板100に対して熱処理を行なう。これにより、基板100におけるエッジ近傍と中央部との間に温度差が生じて基板100にスリップが発生するので、基板100のスリップ発生量を温度依存量として測定する。
次に、ステップS202において、ステップS201で測定されたスリップ発生量と温度補正量ΔTとの対応関係を作成し、該対応関係に基づいて、スリップの発生しない温度補正量ΔTを求める。
次に、ステップS203において、ステップS202で求められた、スリップの発生しない温度補正量ΔTを用いて、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)を補正する。すなわち、スリップ発生量と温度補正量ΔTとの対応関係に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。
続いて、ステップS204において、基板100に対して急速熱処理(図1(a)に示す急速熱処理装置による本来の急速熱処理)を実施する。このとき、ステップS205において、基板支持機102の特性(特に放射率)が経時変化するため、ステップS206において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)も経時変化する。そこで、本実施形態では、ステップS201からステップS206までを定期的に実施し、それによって、温度補正量ΔTと対応する基板100のスリップ発生量を測定し、該測定結果から求められる、スリップの発生しない温度補正量ΔTを用いて温度補正を実施する。これにより、基板支持機102の放射率等の経時変化に起因して、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において温度ズレの経時変化が生じることを防止することができる。
以上に説明したように、第6の実施形態によると、基板100を急速熱処理することによって基板100のスリップ発生量を取得した後、該スリップ発生量に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。すなわち、温度補正量ΔTと対応する基板100のスリップ発生量を測定し、該測定結果から求められる、スリップの発生しない温度補正量ΔTを用いて、各光学的高温測定器105の測定温度を補正することができる。このため、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板100のエッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、第6の実施形態において、ステップS201を、基板100と同等のダミー基板を用いて行なってもよい。
また、第6の実施形態の温度補正は、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105に対してのみ実施してもよいし、又は所定の数の若しくは全ての光学的高温測定器105に対して実施してもよい。
また、第6の実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、第6の実施形態において、例えば図1(a)に示す急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。
また、第6の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、第6の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、第6の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。また、基板支持機102として、酸化耐性を有する基板支持機、つまり第1〜第4の実施形態のいずれかの基板支持機102を用いてもよい。
また、第6の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、第6の実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態に係る温度調整方法、具体的には、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法について図面を参照しながら説明する。
第7の実施形態に係る温度調整方法を実施する急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
ここで、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されていると共に、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100の中央部に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板100を急速熱処理することによって温度依存量(急速熱処理の処理温度によって変化する基板100の物理量)、具体的には、酸化により基板100に形成される酸化膜の厚さを測定した後、該酸化膜厚に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。ここで、基板100が例えばシリコンよりなる場合、前記の酸化膜厚は、シリコンの熱酸化膜(SiO2 膜)の厚さである。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図12(a)及び(b)は本実施形態の特徴を説明するための図であり、図13は本実施形態の温度調整方法のフローチャートである。
具体的には、まず、ステップS301において、基板100に対して酸化処理(急速熱処理)を実施し、それにより、ステップS302において、各温度(光学的高温測定器105の測定値)に対する酸化膜厚を測定する。ここで、前記の酸化処理は、例えば数十秒〜数分程度に亘る1000℃程度の処理であってもよい。
次に、ステップS303において、ステップS302で測定された酸化膜厚に基づいて、酸化膜厚と温度(光学的高温測定器105の測定値)との対応関係を作成する。
ところで、酸化膜厚は温度によって一義的に決まるので、図12(a)及び(b)に示すように、基板100の面内で酸化膜厚に差がある場合、それは温度ズレ(温度差)に相当する。本実施形態では、この酸化膜厚の差と温度ズレとの関係を利用して、酸化膜厚が所望の温度と対応する値になるように各光学的高温測定器105の測定温度を補正する。
具体的には、ステップS304において、急速熱処理中の基板100の面内における複数点で酸化膜厚を測定する。続いて、ステップS305において、前記の複数点で測定された酸化膜厚の差と、ステップS303で作成した対応関係(酸化膜厚と温度との対応関係)とに基づいて、前記の複数点の間の温度ズレ(各点と対応する光学的高温測定器105の測定値の間のズレ)を算出する。次に、ステップS306において、ステップS305で算出された温度ズレに基づいて、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)を補正する。このとき、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。続いて、ステップS307において、基板100に対して急速熱処理(図1(a)に示す急速熱処理装置による本来の急速熱処理)を実施する。このとき、ステップS308において、基板支持機102の特性(特に放射率)が経時変化するため、ステップS309において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)も経時変化する。そこで、本実施形態では、ステップS304からステップS309までを定期的に実施し、それによって、基板100の面内における各部分と対応する酸化膜厚の差に基づいて温度ズレを算出して温度補正を実施する。これにより、基板支持機102の放射率等の経時変化に起因して、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において温度ズレの経時変化が生じることを防止することができる。
以上に説明したように、第7の実施形態によると、基板100を急速熱処理することによって酸化膜厚を取得した後、該酸化膜厚に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。すなわち、基板100の面内における酸化膜厚の差が温度ズレに相当することを利用して、酸化膜厚が所望の温度と対応する値になるように、各光学的高温測定器105の測定温度を補正することができる。このため、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板100のエッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、第7の実施形態において、ステップS301及びS304を、基板100と同等のダミー基板を用いて行なってもよい。
また、第7の実施形態の温度補正は、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105に対してのみ実施してもよいし、又は所定の数の若しくは全ての光学的高温測定器105に対して実施してもよい。
また、第7の実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、第7の実施形態において、例えば図1(a)に示す急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。
また、第7の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、第7の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、第7の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。また、基板支持機102として、酸化耐性を有する基板支持機、つまり第1〜第4の実施形態のいずれかの基板支持機102を用いてもよい。
また、第7の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、第7の実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第8の実施形態)
以下、本発明の第8の実施形態に係る温度調整方法、具体的には、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法について図面を参照しながら説明する。
第8の実施形態に係る温度調整方法を実施する急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
ここで、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されていると共に、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100の中央部に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板100を急速熱処理することによって温度依存量(急速熱処理の処理温度によって変化する基板100の物理量)、具体的には、酸化により基板100に形成される酸化膜の厚さを測定した後、該酸化膜厚に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。ここで、基板100が例えばシリコンよりなる場合、前記の酸化膜厚は、シリコンの熱酸化膜(SiO2 膜)の厚さである。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図14(a)、(b)及び図15(a)〜(c)は本実施形態の特徴を説明するための図であり、図16は本実施形態の温度調整方法のフローチャートである。
具体的には、まず、ステップS401において、急速熱処理中の基板100の面内における複数点で酸化膜厚を測定する。
次に、ステップS402において、基板100の半径(r)の10%の幅を持つ基板100の外周領域(領域a)における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値Aと、基板100のうち前記の外周領域よりも内側の領域(領域b)における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値Bとを求める(図14(b)参照)。尚、酸化膜厚の測定は、例えば図15(a)に示すように、基板100の主面上において十字状に配置された9点(領域aに4点、領域bに5点)について、領域aの4点での測定値の平均をAとし、領域bの5点での測定値の平均をBとしてもよい。また、例えば図15(b)に示すように、基板100の主面上における直径方向に配置された9点(領域aに2点、領域bに7点)について、領域aの2点での測定値の平均をAとし、領域bの7点での測定値の平均をBとしてもよい。或いは、例えば図15(c)に示すように、基板100の主面上において同心円状に配置された49点(領域aに24点、領域bに25点)について、領域aの24点での測定値の平均をAとし、領域bの25点での測定値の平均をBとしてもよい。
次に、ステップS403において、ステップS402で求められたAとBとを比較して、0.4×B<A<Bを満足するように、温度ズレ(光学的高温測定器105の測定値のズレ)を補正する(図14(a)参照:尚、図14(a)及び(b)では簡単のため領域aでの測定点を1点としている)。すなわち、例えばBがAよりも小さい場合には、BがAよりも大きくなるような温度ズレの補正を、Bに影響を与える光学的高温測定器105に実施する。或いは、AがBよりも小さく且つ0.4×Bよりも大きくなるような温度ズレの補正を、Aに影響を与える光学的高温測定器105に実施してもよい。これにより、ステップS404において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)が補正される。尚、各光学的高温測定器105の温度ズレはそれぞれ独立に補正される。
続いて、ステップS405において、基板100に対して急速熱処理(図1(a)に示す急速熱処理装置による本来の急速熱処理)を実施する。このとき、ステップS406において、基板支持機102の特性(特に放射率)が経時変化するため、ステップS407において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)も経時変化する。そこで、本実施形態では、ステップS401からステップS407までを定期的に実施し、それによって、各光学的高温測定器105に対して温度補正を実施する。これにより、基板支持機102の放射率等の経時変化に起因して、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において温度ズレの経時変化が生じることを防止することができる。
以上に説明したように、第8の実施形態によると、基板100を急速熱処理することによって酸化膜厚を取得した後、該酸化膜厚に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。具体的には、0.4×B<A<B(Aは、基板100の半径(r)の10%の幅を持つ基板100の外周領域における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値であり、Bは、基板100のうち前記の外周領域よりも内側の領域における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値である)を満足するように、温度ズレ(光学的高温測定器105の測定値のズレ)を補正する。このため、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板100のエッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
尚、第8の実施形態において、ステップS401を、基板100と同等のダミー基板を用いて行なってもよい。
また、第8の実施形態の温度補正は、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105に対してのみ実施してもよいし、又は所定の数の若しくは全ての光学的高温測定器105に対して実施してもよい。
また、第8の実施形態において、酸化膜厚の平均値Aの算出対象となる基板100の外周領域(領域a)と、酸化膜厚の平均値Bの算出対象となる基板100の内側の領域(領域b)との境界を、基板100のエッジから半径(r)の10%だけ内側に入った位置に設定したが、該境界の位置は特に限定されるものではない。
また、第8の実施形態において、0.4×B<A<Bを満足するように温度ズレの補正を行なったが、このとき、Aの下限(本実施形態では0.4×B)はBよりも小さい値ならば特に限定されるものではない。
また、第8の実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、第8の実施形態において、例えば図1(a)に示す急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。
また、第8の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、第8の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、第8の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。また、基板支持機102として、酸化耐性を有する基板支持機、つまり第1〜第4の実施形態のいずれかの基板支持機102を用いてもよい。
また、第8の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、第8の実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第9の実施形態)
以下、本発明の第9の実施形態に係る温度調整方法、具体的には、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法について図面を参照しながら説明する。
第9の実施形態に係る温度調整方法を実施する急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
ここで、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されていると共に、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100の中央部に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板100を急速熱処理することによって温度依存量(急速熱処理の処理温度によって変化する基板100の物理量)、具体的には基板100におけるすべり(スリップ)発生量を測定した後、該スリップ発生量に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。ここで、スリップ発生量として、長さが数ミリ以上のスリップの数、又は確認できる全てのスリップの数を用いてもよい。或いは、発生したスリップのうち最も長いスリップの長さ等を用いてもよい。また、本実施形態においては、急速熱処理の温度の指標として、基板100のエッジ近傍に設置されている光学的高温測定器105の温度ズレを補正するための温度補正量(ΔT)を採用する。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図17は、温度補正量ΔTを変化させた場合におけるスリップ発生量を示す。図17に示すように、温度補正量ΔTがプラス方向に増加するにつれて(基板100のエッジ近傍に設置されている光学的高温測定器105の測定値を高く補正するにつれて)スリップ発生量が急激に増加している。逆に、温度補正量ΔTをマイナス方向に増加させても(基板100のエッジ近傍に設置されている光学的高温測定器105の測定値を低く補正しても)スリップは発生しない。本実施形態は、図17に示す温度補正量ΔTとスリップ発生量との関係に基づいて、スリップの発生しない温度補正量ΔTを求め、該温度補正量ΔTを用いて、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の温度(測定値)を補正する。すなわち、本実施形態では、スリップの発生しない温度補正量ΔTによって、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレが均一化されると考える。
図18は本実施形態の温度調整方法のフローチャートである。
まず、ステップS501において、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の温度補正量ΔTをプラス方向及びマイナス方向のそれぞれに変化させながら基板100に対して熱処理を行なう。これにより、基板100におけるエッジ近傍と中央部との間に温度差が生じて基板100にスリップが発生するので、基板100のスリップ発生量を温度依存量として測定する。尚、本実施形態では、スリップ発生量を測定するための急速熱処理を減圧状態(例えば1300Pa程度)で行なう。これによって次のような効果が得られる。すなわち、減圧状態での処理の場合、常圧での処理の場合と比べて、急速熱処理後の冷却効率が悪いため、基板100及び基板支持機102の放熱効率が著しく低下する。これによって、基板支持機102は十分冷却されないままに次の基板100の処理に用いられるので、基板支持機102と基板100のエッジとの間の温度差が大きくなりやすく、その結果、スリップが発生しやすくなるという問題点が生じる。それに対して、本実施形態では、温度ズレの補正のための温度依存量(基板100のスリップ発生量)の取得を、実際の処理と同じ減圧状態で実施することによって、温度補正の精度を飛躍的に向上させることができる結果、前記の問題点つまりスリップの発生を防止できる。
次に、ステップS502において、ステップS201で測定されたスリップ発生量と温度補正量ΔTとの対応関係を作成し、該対応関係に基づいて、スリップの発生しない温度補正量ΔTを求める。
次に、ステップS503において、ステップS502で求められた、スリップの発生しない温度補正量ΔTを用いて、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)を補正する。すなわち、スリップ発生量と温度補正量ΔTとの対応関係に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。
続いて、ステップS504において、基板100に対して急速熱処理(図1(a)に示す急速熱処理装置による本来の急速熱処理)を減圧状態で実施する。このとき、ステップS505において、基板支持機102の特性(特に放射率)が経時変化するため、ステップS506において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)も経時変化する。そこで、本実施形態では、ステップS501からステップS506までを定期的に実施し、それによって、温度補正量ΔTと対応する基板100のスリップ発生量を測定し、該測定結果から求められる、スリップの発生しない温度補正量ΔTを用いて温度補正を実施する。これにより、基板支持機102の放射率等の経時変化に起因して、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において温度ズレの経時変化が生じることを防止することができる。
以上に説明したように、第9の実施形態によると、基板100を急速熱処理することによって基板100のスリップ発生量を取得した後、該スリップ発生量に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。すなわち、温度補正量ΔTと対応する基板100のスリップ発生量を測定し、該測定結果から求められる、スリップの発生しない温度補正量ΔTを用いて、各光学的高温測定器105の測定温度を補正することができる。このため、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することが可能になる。従って、基板100のエッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
また、第9の実施形態によると、温度依存量であるスリップ発生量を測定するための急速熱処理を減圧状態で行なうため、温度補正の精度を飛躍的に向上させることができるので、スリップの発生等をより確実に防止できる。
尚、第9の実施形態において、ステップS501を基板100と同等のダミー基板を用いて行なってもよい。
また、第9の実施形態の温度補正は、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105に対してのみ実施してもよいし、又は所定の数の若しくは全ての光学的高温測定器105に対して実施してもよい。
また、第9の実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、第9の実施形態において、例えば図1(a)に示す急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。
また、第9の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、第9の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、第9の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。また、基板支持機102として、酸化耐性を有する基板支持機、つまり第1〜第4の実施形態のいずれかの基板支持機102を用いてもよい。
また、第9の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、第9の実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を、該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
(第10の実施形態)
以下、本発明の第10の実施形態に係る温度調整方法、具体的には、基板を急速熱処理する急速熱処理装置において基板の温度を調整するための温度調整方法について図面を参照しながら説明する。
第10の実施形態に係る温度調整方法を実施する急速熱処理装置の全体構成は、図1(a)に示す第1の実施形態と同様である。すなわち、図1(a)に示す急速熱処理装置の処理チャンバー101において、処理対象の基板100の端部(エッジ)は環状の基板支持機102によって保持されている。基板支持機102は回転機構103を介して処理チャンバー101の底部に設置されている。処理チャンバー101の上部には加熱機構104が設けられていると共に、処理チャンバー101における基板100の下側には基板100と直接接しないように複数の光学的高温測定器105が設けられている。加熱機構104及び光学的高温測定器105は、処理チャンバー101の外側に設けられた制御システム106によって制御される。尚、処理チャンバー101における基板100の下側には、光学的高温測定器105による温度測定の精度を向上させるために反射板107が設けられている。
ここで、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100のエッジ近傍に設置されていると共に、複数の光学的高温測定器105のうちの少なくとも1つは基板100の中央部に設置されている。また、各光学的高温測定器105は、基板100における対応する部分(つまり対向する部分)の温度制御に関連している。
ところで、図21に示す従来の急速熱処理装置による急速熱処理時には、基板10及び基板支持機2は、処理雰囲気(処理チャンバー内の雰囲気)及び加熱機構4からの熱を受けながら処理される。すなわち、熱処理によって基板10に対して酸化処理又は酸窒化処理を行なう場合、基板支持機2に対しても同時に酸化処理又は酸窒化処理が行なわれることになる。このとき、酸化処理又は酸窒化処理が700℃〜900℃程度の比較的低温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の弱い雰囲気中で処理が行なわれる場合、このような処理による基板支持機2の変化、特に基板支持機2の放射率の変化は小さい。しかしながら、酸化処理又は酸窒化処理が950℃以上の比較的高温で行なわれる場合、又は酸化力若しくは酸窒化力の比較的強い雰囲気中で処理が行なわれる場合、これらの処理によって基板支持機2が酸化又は酸窒化されることにより、基板支持機2の特性、特に放射率が変化する。これにより、基板10のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器5が、基板支持機2の放射率の変化を温度の変化と誤認してしまう。その結果、光学的高温測定器5において、基板10のエッジ近傍の温度が経時的に変化しているように測定され、該測定温度が制御システム6に伝達されてしまうので、基板10の実際の温度は変化していないにも関わらず、基板10のエッジ近傍に対する熱処理も経時変化してしまう。
それに対して、本実施形態の特徴として、図1(a)に示す急速熱処理装置において、基板100を減圧状態で急速熱処理することによって温度依存量(急速熱処理の処理温度によって変化する基板100の物理量)、具体的には、減圧状態(例えば1300Pa)での酸化により基板100に形成される酸化膜の厚さを測定した後、該酸化膜厚に基づいて、複数の光学的高温測定器105のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器105毎に独立に補正する。ここで、基板100が例えばシリコンよりなる場合、前記の酸化膜厚は、シリコンの熱酸化膜(SiO2 膜)の厚さである。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図19(a)及び(b)は本実施形態の特徴を説明するための図であり、図20は本実施形態の温度調整方法のフローチャートである。
酸化膜厚は温度によって一義的に決まるので、図19(a)及び(b)に示すように、基板100の面内で酸化膜厚に差がある場合、それは温度ズレ(温度差)に相当する。本実施形態では、この酸化膜厚の差と温度ズレとの関係を利用して、各光学的高温測定器105の測定温度を補正する。
具体的には、まず、ステップS601において、減圧状態で急速熱処理中の基板100の面内における複数点で酸化膜厚を測定する。ここで、基板100の急速熱処理を、水素を含まない酸化性雰囲気中で行なうことにより、基板100を酸化させて酸化膜を形成する。その理由は、酸素と水素とを含む雰囲気中における減圧状態での酸化では、圧力を変化させるだけで、酸化膜厚のウェハ面内分布がいかようにも変化してしまうので、温度のみによって酸化膜厚が一意に決まらないからである。また、ステップS601で急速熱処理を減圧状態で行なうことにより、次のような効果が得られる。すなわち、減圧状態での処理の場合、常圧での処理の場合と比べて、急速熱処理後の冷却効率が悪いため、基板100及び基板支持機102の放熱効率が著しく低下する。これによって、基板支持機102は十分冷却されないままに次の基板100の処理に用いられるので、基板支持機102と基板100のエッジとの間の温度差が大きくなりやすく、その結果、スリップが発生しやすくなるという問題点が生じる。それに対して、本実施形態では、温度ズレの補正のための温度依存量(酸化膜厚)の取得を、実際の処理と同じ減圧状態で実施することによって、温度補正の精度を飛躍的に向上させることができる結果、前記の問題点つまりスリップの発生を防止できる。
次に、ステップS602において、基板100の半径(r)の10%の幅を持つ基板100の外周領域(領域a)における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値Aと、基板100のうち前記の外周領域よりも内側の領域(領域b)における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値Bとを求める(第8の実施形態の図14(b)参照)。尚、酸化膜厚の測定は、基板100の主面上において十字状に配置された9点(領域aに4点、領域bに5点)について、領域aの4点での測定値の平均をAとし、領域bの5点での測定値の平均をBとしてもよい(第8の実施形態の図15(a)参照)。また、基板100の主面上における直径方向に配置された9点(領域aに2点、領域bに7点)について、領域aの2点での測定値の平均をAとし、領域bの7点での測定値の平均をBとしてもよい(第8の実施形態の図15(b)参照)。或いは、基板100の主面上において同心円状に配置された49点(領域aに24点、領域bに25点)について、領域aの24点での測定値の平均をAとし、領域bの25点での測定値の平均をBとしてもよい(第8の実施形態の図15(c)参照)。
次に、ステップS603において、ステップS602で求められたAとBとを比較して、0.4×B<A<Bを満足するように、温度ズレ(光学的高温測定器105の測定値のズレ)を補正する(第8の実施形態の図14(a)参照)。すなわち、例えばBがAよりも小さい場合には、BがAよりも大きくなるような温度ズレの補正を、Bに影響を与える光学的高温測定器105に実施する。或いは、AがBよりも小さく且つ0.4×Bよりも大きくなるような温度ズレの補正を、Aに影響を与える光学的高温測定器105に実施してもよい。これにより、ステップS604において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)が補正される。尚、各光学的高温測定器105の温度ズレはそれぞれ独立に補正される。
続いて、ステップS605において、基板100に対して急速熱処理(図1(a)に示す急速熱処理装置による本来の急速熱処理)を減圧状態で実施する。このとき、ステップS606において、基板支持機102の特性(特に放射率)が経時変化するため、ステップS607において、基板100の面内における複数点の温度(光学的高温測定器105の測定値)も経時変化する。そこで、本実施形態では、ステップS601からステップS607までを定期的に実施し、それによって、各光学的高温測定器105に対して温度補正を実施する。これにより、基板支持機102の放射率等の経時変化に起因して、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105において温度ズレの経時変化が生じることを防止することができる。
以上に説明したように、第10の実施形態によると、基板100を急速熱処理することによって酸化膜厚を取得した後、該酸化膜厚に基づいて、各光学的高温測定器105の温度ズレをそれぞれ独立に補正する。具体的には、0.4×B<A<B(Aは、基板100の半径(r)の10%の幅を持つ基板100の外周領域における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値であり、Bは、基板100のうち前記の外周領域よりも内側の領域における任意の複数の箇所で測定された酸化膜厚の平均値である)を満足するように、温度ズレ(光学的高温測定器105の測定値のズレ)を補正する。このため、基板100の面内における急速熱処理による温度ズレを高精度に均一化することができる。従って、基板100のエッジ近傍においても温度制御性が向上するため、基板100のすべり(スリップ)等を抑制できるので、デバイスの歩留りを飛躍的に向上させることができる。
また、第10の実施形態によると、温度依存量である酸化膜厚を測定するための急速熱処理を減圧状態で行なうため、温度補正の精度を飛躍的に向上させることができるので、スリップの発生等をより確実に防止できる。
尚、第10の実施形態において、ステップS601を、基板100と同等のダミー基板を用いて行なってもよい。
また、第10の実施形態の温度補正は、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105に対してのみ実施してもよいし、又は所定の数の若しくは全ての光学的高温測定器105に対して実施してもよい。
また、第10の実施形態において、酸化膜厚の平均値Aの算出対象となる基板100の外周領域(領域a)と、酸化膜厚の平均値Bの算出対象となる基板100の内側の領域(領域b)との境界を、基板100のエッジから半径(r)の10%だけ内側に入った位置に設定したが、該境界の位置は特に限定されるものではない。
また、第10の実施形態において、0.4×B<A<Bを満足するように温度ズレの補正を行なったが、このとき、Aの下限(本実施形態では0.4×B)はBよりも小さい値ならば特に限定されるものではない。
また、第10の実施形態において、酸化膜厚に基づく温度補正方法として第8の実施形態の方法(外周領域における酸化膜厚の測定値の平均Aと、内側領域における酸化膜厚の測定値の平均Bとを用いる方法)を用いたが、これに代えて、酸化膜厚に基づく温度補正方法として第6の実施形態の方法(図13参照)を用いてもよい。
また、第10の実施形態において、基板100の形状は特に限定されるものではないが、例えば円盤状であってもよい。
また、第10の実施形態において、例えば図1(a)に示す急速熱処理装置を用いて実施する急速熱処理は、例えば、酸素雰囲気中若しくは窒素雰囲気中での処理であってもよいし、少なくとも水素と酸素とを含む雰囲気(例えば酸素と水素との混合雰囲気又は酸素と水素と窒素との混合雰囲気)中での酸化処理であってもよいし、又は窒素を含む酸化性雰囲気(例えばNO又はN2 O等を含む雰囲気)中での処理であってもよい。
また、第10の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104において、ランプ加熱方式を用いてもよい。このとき、基板100をその上面側からのみ加熱する片面加熱方式を用いてもよいし、又は基板100をその両面から加熱する両面加熱方式を用いてもよい。また、加熱ランプとして、複数のハロゲンランプを組み合わせたものを用いてもよい。具体的には、複数のハロゲンランプが、基板100の上側(及び基板100の下側)の複数の領域(ゾーン)にそれぞれ配置されていると共に、各ゾーン毎にハロゲンランプと対応する光学的高温測定器105が設けられ、該ハロゲンランプが、対応する光学的高温測定器105の測定温度に基づいて制御されていてもよい。例えば、基板100のエッジ近傍に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100のエッジ近傍のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。また、基板100の中央部に設置された光学的高温測定器105の測定温度が制御システム106を介して、基板100の中央部のゾーンに配置された加熱ランプのパワー設定に反映される。
また、第10の実施形態で用いる急速熱処理装置の加熱機構104においてランプ加熱方式を用いる場合、基板100と加熱ランプとの間に、ランプからの光等を透過する1つ又は複数の仕切りを設けてもよい。このとき、仕切りは石英又は石英を含む材料から構成されていてもよい。
また、第10の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば円環状であってもよい。また、基板支持機102は、基板100を保持するための棚を備えていてもよい。また、基板支持機102として、酸化耐性を有する基板支持機、つまり第1〜第4の実施形態のいずれかの基板支持機102を用いてもよい。
また、第10の実施形態で用いる急速熱処理装置において、基板支持機102は回転機構103上に設置されていたが、これに代えて、基板支持機102が他の駆動機構上に設置されていてもよい。
また、第10の実施形態において、光学的高温測定器105は、処理チャンバー101における基板100の下側に基板100と直接接触しないように設置されていてもよい。また、基板100つまりウェハを回転させずに熱処理を行なう場合には、基板100と接触するように光学的高温測定器を設けてもよい。また、基板100のエッジ近傍に光学的高温測定器105を設置する場合、該光学的高温測定器105を、例えば基板100におけるエッジから5mm程度内側に離れた位置に設置してもよい。具体的には、基板100が半径100mmのウェハである場合、光学的高温測定器105を該ウェハにおける中心から95mm程度離れた位置に設置してもよい。
本発明は、基板を急速熱処理する急速熱処理装置、その製造方法、及び急速熱処理装置における基板の温度調整方法に関し、半導体装置等の電子デバイスの製造に適用した場合に特に有用である。
(a)は本発明の第1の実施形態に係る急速熱処理装置の概略構成を示す図であり、(b)は本発明の第1の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。 (a)〜(d)は本発明の第1〜第4の実施形態に係る急速熱処理装置の基板支持機が棚部を持つ場合の平面形状のバリエーションを示す図である。 (a)〜(c)は本発明の第1〜第4の実施形態に係る急速熱処理装置の基板支持機が棚部を持つ場合の平面形状のバリエーションを示す図である。 図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)のそれぞれにおけるA−A線の概略断面構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る急速熱処理装置における基板支持機の断面構成を示す図である。 (a)及び(b)は本発明の第5の実施形態に係る温度調整方法の特徴を説明するための図である。 本発明の第5の実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。 本発明の第6の実施形態に係る温度調整方法において温度補正量ΔTを変化させた場合におけるスリップ発生量を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。 (a)及び(b)は本発明の第7の実施形態に係る温度調整方法の特徴を説明するための図である。 本発明の第7の実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。 (a)及び(b)は本発明の第8の実施形態に係る温度調整方法の特徴を説明するための図である。 (a)〜(c)は本発明の第8の実施形態に係る温度調整方法の特徴を説明するための図である。 本発明の第8の実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。 本発明の第9の実施形態に係る温度調整方法において温度補正量ΔTを変化させた場合におけるスリップ発生量を示す図である。 本発明の第9の実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。 (a)及び(b)は本発明の第10の実施形態に係る温度調整方法の特徴を説明するための図である。 本発明の第10の実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。 従来のシングルウェハ方式の急速熱処理装置の概略構成を示す図である。 従来のシングルウェハ方式の急速熱処理において基板の周縁部にスリップが生じている様子を示す図である。 従来のシングルウェハ方式の急速熱処理装置における問題点を説明するための図である。
符号の説明
100 基板
101 処理チャンバー
102 基板支持機
102a 棚部
103 回転機構
104 加熱機構
105 光学的高温測定器
106 制御システム
107 反射板
108 酸化耐性を持つ部分
109 窒化部分
110 シリコン窒化部分

Claims (13)

  1. 基板を急速熱処理する急速熱処理装置であって、
    前記基板を支持する基板支持機を備え、
    前記基板支持機が酸化耐性を有することを特徴とする急速熱処理装置。
  2. 前記基板支持機は、前記基板を構成する元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の急速熱処理装置。
  3. 前記基板を構成する元素は珪素であることを特徴とする請求項1に記載の急速熱処理装置。
  4. 前記基板支持機は、その構成部材が窒化、酸化又は酸窒化されることにより前記酸化耐性を付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の急速熱処理装置。
  5. 前記基板支持機における急速熱処理時に雰囲気に暴露される部分のみが前記酸化耐性を付与されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の急速熱処理装置。
  6. 請求項4に記載の急速熱処理装置の製造方法であって、
    前記基板支持機の構成部材の窒化、酸化又は酸窒化を、前記急速熱処理装置又は他の急速熱処理装置を用いて実施することを特徴とする急速熱処理装置の製造方法。
  7. 基板を急速熱処理する急速熱処理装置において前記基板の温度を調整するための温度調整方法であって、
    前記急速熱処理装置は、前記基板を支持する基板支持機と、急速熱処理中の前記基板の温度を測定する複数の光学的高温測定器とを有し、
    前記複数の光学的高温測定器は、少なくとも前記基板の中央部及び端部のそれぞれに前記基板に直接接しないように設置され、
    前記基板を急速熱処理することによって温度依存量を取得する工程と、
    取得された前記温度依存量に基づいて、前記複数の光学的高温測定器のそれぞれの温度ズレを該各光学的高温測定器毎に独立に補正する工程とを備えていることを特徴とする温度調整方法。
  8. 前記温度依存量は、前記基板におけるすべり発生量であることを特徴とする請求項7に記載の温度調整方法。
  9. 前記温度依存量は、前記基板を急速熱処理することによって形成される膜の厚さであることを特徴とする請求項7に記載の温度調整方法。
  10. 前記温度ズレを補正する工程は、0.4×B<A<B(但し、Aは、前記基板の半径の10%の幅を持つ前記基板の外周領域における複数の箇所で測定された前記膜の厚さの平均値であり、Bは、前記基板のうち前記外周領域よりも内側の領域における複数の箇所で測定された前記膜の厚さの平均値である)を満足するように前記温度ズレを補正する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の温度調整方法。
  11. 前記温度依存量を取得する工程は、前記基板を減圧状態で急速熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の温度調整方法。
  12. 前記膜は酸化膜であり、
    前記温度依存量を取得する工程は、前記基板を減圧状態で急速熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の温度調整方法。
  13. 前記急速熱処理装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の急速熱処理装置であって、前記基板支持機が酸化耐性を有することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の温度調整方法。
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