JP2005174865A - 燃料電池用電極およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持された燃料電池用電極では、その厚みが非常に薄いので、反応ガスに含まれる水分量の増減によって、その電極に含まれる陽イオン交換樹脂の含水量が著しく変化することにより、電極のプロトン伝導性あるいは電極触媒の活性が低下し、その結果、燃料電池の出力電圧が低下した。
【解決手段】燃料電池用電極において、陽イオン交換樹脂と第1のカーボンと触媒金属とを含む第1層と、第2のカーボンとフッ素樹脂とからなる第2層と、前記第1層と前記第2層との間に陽イオン交換樹脂、第1のカーボン、触媒金属、第2のカーボン、フッ素樹脂とを含む第3層を備え、前記第1層および第3層に含まれる触媒金属が、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子電解質を用いた電気化学セル、特に固体高分子形燃料電池用電極及びその製造方法に関するものである。
固体高分子形燃料電池(PEFC)の単セルは、膜/電極接合体を一対のセパレータで挟持した構造である。この膜/電極接合体は、高分子電解質膜の一方の面にアノ−ドを、もう一方の面にカソ−ドを接合したものである。セパレータにはガス流路が加工されており、たとえば、アノ−ドに燃料として水素、カソ−ドに酸化剤として酸素を供給することによって電力が得らえる。アノ−ドおよびカソ−ドでは、つぎのような電気化学反応が進行する。
アノ−ド:2H→4H+4e
カソ−ド:O+4H+4e→H
上記のような電気化学反応は、酸化剤あるいは燃料などの反応物質と、プロトン(H)と電子(e)とが存在する界面(以下、この界面を反応界面と呼ぶことにする)で進行する。さらに、プロトンは、数個の水和水をともなって高分子電解質膜をアノードからカソードに移動する。このために、PEFCでは、アノードへの水の供給とカソードからの水の排出との両立が必要である。
固体高分子形燃料電池のアノードおよびカソードには、電気化学反応を円滑に進めるために触媒金属が備えられる。その電極とセパレータとの間では、電気化学反応に関与する電子、反応物および水が、導電性多孔質体を介して移動する。その電子の伝導、反応物質の拡散および水の移動を円滑にするために、その導電性多孔質体には、撥水性を付与した多孔質なカーボンペーパーなどが用いられる。
従来のPEFCの電極は、たとえば、触媒としての白金が担持されたカーボンと陽イオン交換樹脂との混合物を調製したのちに、この混合物を高分子シートに塗布・乾燥したものを高分子電解質膜に接合することによって製作される。あるいは、従来の電極は、たとえば、触媒金属を担持したカーボン粉末と高分子電解質の溶液との混合物を高分子電解質膜あるいは導電性多孔質体に塗布することによって製作される。その従来の電極では、触媒金属が反応界面以外にも存在するので、その金属の利用率が著しく低い。すなわち、その利用率は10%程度であることが、非特許文献1で報告されている。したがって、従来の電極では、白金の利用率が低いので、多量の白金が必要になる。
固体高分子電解質である陽イオン交換樹脂とカーボンと触媒金属との混合体を用いた固体高分子形燃料電池用電極において、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に選択的に担持された燃料電池用電極が開発され、特許文献1、特許文献2および非特許文献2で報告されている。この電極の触媒金属は、電気化学的な反応が進行する接面に選択的に担持されるので、その金属の利用率が従来の燃料電池用電極よりも著しく高い。
さらに、触媒金属を陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に選択的に担持した電極の厚みを20μm以下にすることが可能であるので、触媒金属の使用量をさらに低減することが可能であった。この電極は、単位面積あたりの触媒使用量が0.05mg/cm以下という非常に少量であるにもかかわらず、この電極を備えるPEFCの特性は、従来の電極の場合よりも優れていた。
特開2000−012041号公報 特開2000−173626号公報 Edson A.Ticianelli、J.Electroanal.Chem,251,275(1988) 人見周二他、第40回電池討論会要旨集、167−168、(1999)
しかしながら、上述の、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に選択的に担持された燃料電池用電極の厚みが非常に薄いので、反応ガスに含まれる水分量の増減によって、その電極に含まれる陽イオン交換樹脂の含水量が著しく変化した。この含水量の変化によって、電極のプロトン伝導性あるいは電極触媒の活性が低下するので、その電極を備えた燃料電池の出力電圧が低下するという課題があった。
そこで、本発明の目的は、反応ガスに含まれる水分量の増減に起因する電極中の陽イオン交換樹脂の含水量変化を抑制することによって、電極のプロトン伝導性と電極触媒の活性とを良好な状態に保つことに加えて、その電極を備える燃料電池の特性を向上することにある。
請求項1の発明は、燃料電池用電極において、陽イオン交換樹脂と第1のカーボンと触媒金属とを含む第1層と、第2のカーボンとフッ素樹脂とからなる第2層と、前記第1層と前記第2層との間に陽イオン交換樹脂と第1のカーボンと触媒金属と第2のカーボンとフッ素樹脂とを含む第3層を備え、前記第1層および第3層に含まれる触媒金属が、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の燃料電池用電極の製造方法において、第2のカーボンとフッ素樹脂とからなる第2層を形成する第一の工程と、陽イオン交換樹脂と第1のカーボンとを含む混合物を前記第2層に塗布する第二の工程と、前記陽イオン交換樹脂の対イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第三の工程と、前記触媒金属の陽イオンを化学的に還元する第四の工程とを経ることを特徴とする。
本発明の燃料電池用電極においては、陽イオン交換樹脂と第1のカーボンと触媒金属とを含み、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持された第1層と、フッ素樹脂と第2のカーボンとからなり、適度な有孔性と撥水性とを有する導電性の第2層と、第1層と第2層との間に、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されたものと、フッ素樹脂と、第2のカーボンとを含む第3層とを備える。この第2層と第3層とは、その空隙あるいは細孔に適量の水分を保持することができることに加えて、適度な撥水性を備える空隙あるいは細孔が、水の滞留によって閉塞されることがないので、反応ガスの供給が円滑におこなわれる。
さらに、第2層と第3層によって、電極表面に反応ガスが、直接接触することを防止できるので、乾燥した反応ガスが供給された場合でも、電極の過度な乾燥を抑制することができる。つまり、導電性の第2層と、第3層とは、反応ガスに含まれる水分量の増減に起因する電極中の陽イオン交換樹脂の含水量変化を抑制することで、電極の含水量を一定に保持する機能を有するので、反応ガスの含水量が低い場合でも、高いセル電圧を維持することが可能になる。
本発明の燃料電池用電極は、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持された第1の混合物(以下では「混合物A」とする)を含む第1層(以下では「A層」とする)と、フッ素樹脂とカーボンとの第2の混合物(以下では「混合物B」とする)からなり、撥水性と有孔性とを備える導電性の第2層(以下では「B層」とする)と、第1層(A層)と第2層(B層)との間に、第1の混合物(混合物A)と第2の混合物(混合物B)とを含む第3層(以下では「C層」とする)とから構成される。したがって、第2層(B層)には触媒金属は含まれない。
本発明の燃料電池用電極の断面の模式図を図1に示す。図1において、11は本発明の燃料電池用電極、12はA層、13はB層、14はC層である。本発明の燃料電池用電極11は、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されたA層12と、フッ素樹脂とカーボンとからなり、撥水性と有孔性とを備える導電性のB層13と、A層12とB層13との間の混在層であるC層14とで構成される。
混在層であるC層14は、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボン表面との接面に担持された混合物Aと、フッ素樹脂とカーボンとの混合物Bとの2種類の混合物を含有する。さらに、C層14のA層12側には、B層13側よりも混合物Aが相対的に多く含まれ、逆に、C層14のB層13側には、A層12側よりも混合物Bが相対的に多く含まれる。
本発明の燃料電池用電極11を高分子電解質膜の少なくとも一方の面に備えることによって、固体高分子形燃料電池を構成することができる。固体高分子形燃料電池の断面を模式的に図2に示す。図2において、記号12、13、14は図1と同じものを示し、15は高分子電解質膜、16は撥水性を付与した導電性多孔質体、17はガス供給路、18はセパレータ、19はシール材、20は固体高分子形燃料電池である。
本発明の燃料電池用電極の、触媒金属が担持されたA層12が、高分子電解質膜15のそれぞれの面に接触するように配置される。燃料電池用電極の他方の面(B層)には、撥水性を付与した導電性多孔質体16の一面が接触するように配置される。さらに、導電性多孔質体16の他方の面には、ガス供給路17を備えたセパレータ18が接触するように配置される。固体高分子形燃料電池20は、一対の燃料電池用電極と、一対の導電性多孔質体16と、一対のセパレータ18とで、高分子電解質膜15を挟持することによって構成される。一対のセパレータの間には、ガスケットやOリングなどのシール材19を配することによって、反応ガスの気密が保たれる。
上述の、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されたA層の内部構造の模式図を図3に示す。図3において、記号12と15は図2と同じものを示し、31は第1のカーボン、32は陽イオン交換樹脂、33は細孔である。
A層12は、第1のカーボン31と陽イオン交換樹脂32とを含有する。陽イオン交換樹脂32には、プロトンを伝導することができる樹脂、たとえばパーフルオロスルホン酸樹脂あるいはスチレン−ジビニルベンゼンスルホン酸樹脂などを用いることができる。図3に示すように、第1のカーボン31と陽イオン交換樹脂32とが混ざり合うことによって、第1のカーボン31と陽イオン交換樹脂32とが三次元的に分布する。第1のカーボン31の表面には、図3には示していないが触媒金属の微細粒子が担持されている。さらに、その第1のカーボン31と陽イオン交換樹脂32との混合物には、複数の細孔33が形成される。
このA層12では、第1のカーボン31、陽イオン交換樹脂32および細孔33が、それぞれ電子の伝導経路、プロトンの伝導経路および反応物と水との移動経路を形成する。これらの3つの経路が、A層12に三次元的に形成されるので、反応物、プロトン(H)および電子(e)とが存在する反応界面が増大する。燃料電池用電極においては、A層12が高分子電解質膜15に接合される。
前述したA層12の触媒金属は、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されている。第1のカーボンの表面近傍を模式的に図4に示す。図4における記号31、32、41、42、43は、図3および図7と同じものを示す。
図4に示したように、第1のカーボン31の表面は陽イオン交換樹脂32によって被覆されている。陽イオン交換樹脂32は、親水性領域(プロトン伝導経路)41と疎水性領域42とから構成される。親水性領域(プロトン伝導経路)41と第1のカーボン31の表面との接面に触媒金属43が選択的に担持されている。
本発明の燃料電池用電極に備えた導電性のB層は、カーボンとフッ素樹脂とからなる。導電性のB層13の内部構造を模式的に図5に示す。図5において記号13と16は図2と同じ物を示し、51は第2のカーボン、52はフッ素樹脂、53は空隙である。
B層13に含まれる混合物Bでは、第2のカーボン51がフッ素樹脂52によって結着されている。そして第2のカーボン51の集合物間に空隙53が形成されている。第2のカーボン51には、電子伝導性が高いカーボンブラックやアセチレンブラックなどの粉末、あるいは電子伝導性のカーボン繊維などを用いることができる。
一方、フッ素樹脂52は、化学的に安定性が高いので、燃料電池の電極近傍での使用に適している。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを使用することが好ましい。あるいは、ポリヘキサフロロプロピレンイレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンとヘキサフロロプロピレンイレンとの共重合体、さらに、前述のフッ素樹脂の混合物を用いることができる。さらに、空隙53の大きさや占有率は、造孔剤などを用いる方法などによって制御することができる。
本発明の燃料電池用電極に備えた混在層であるC層は、混合物Aおよび混合物Bを含有する。このC層の内部構造の模式図を図6に示す。図6において記号14、31、32、51、52、53は、図2、図3、図5と同じものを示す。
C層14では、第2のカーボン51がフッ素樹脂52によって結着され、第2のカーボン51の集合物間に空隙53が形成される。空隙53には、陽イオン交換樹脂32で被覆された第1のカーボン31が存在する部分と空隙として残される部分とが形成される。第1のカーボン31の表面には、図6では示していないが、触媒金属の微細粒子が、陽イオン交換樹脂32の親水性領域(プロトン伝導経路)とカーボンの表面との接面に担持されている。さらに、陽イオン交換樹脂32で被覆された第1のカーボン31の集合物には、細孔33が形成される。
図6において、C層14の「A」と記載した面には、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持された第1の混合物(混合物A)を含むA層12が、「B」と記載した面には、第2のカーボン51とフッ素樹脂52とからなる第2の混合物(混合物B)を含み、撥水性と有孔性とを備える導電性のB層13が、それぞれ配置される。C層14の「A」側には、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持された混合物Aが相対的に多く含有される。一方、C層14の「B」側には、第2のカーボンとフッ素樹脂との混合物Bが相対的に多く含有される。
図6に示すように、フッ素樹脂52によって結着された第2のカーボン51の集合物間の空隙53に、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に担持された混合物Aが存在するので、このC層14では、第2のカーボン51、空隙53、第1のカーボン31、陽イオン交換樹脂32および細孔33が三次元的に分布する。第2のカーボン51および第1のカーボン31が電子の伝導経路を、陽イオン交換樹脂32がプロトンの伝導経路を、空隙53および細孔33が反応物と水との移動経路を、それぞれ形成する。
本発明の燃料電池用電極を備える固体高分子形燃料電池の高分子電解質膜には、例えばパーフルオロスルホン酸樹脂あるいはスチレンジビニルベンゼンスルホン酸樹脂などの陽イオン交換樹脂を用いることができる。さらに、固体高分子形燃料電池の導電性多孔質体には、カーボンペーパーあるいはカーボンフェルトなど電子伝導性があり、かつ多孔性の導電性多孔質体を用いることができる。
本発明の燃料電池用電極は、第2のカーボンとフッ素樹脂とからなる混合物Bを含むB層(第2層)を形成する第一の工程と、陽イオン交換樹脂とカーボンとを含む混合物AをB層に塗布する第二の工程と、混合物Aおよび混合物Bに含まれる陽イオン交換樹脂の対イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第三の工程と、吸着した陽イオンを化学的に還元する第四の工程とを経て製作される。
第二の工程により、B層の一面に混合物Aを含むA層を形成し、同時に、A層とB層との間に、混合物Aと混合物Bとを含むC層を形成する。また、第四の工程で、吸着した陽イオンを化学的に還元することにより、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に選択的に触媒金属が担持することができる。
第一の工程では、例えば、フッ素樹脂とカーボンブラックなどの炭素の粉末とを分散媒に加えたのちに混合することによって、ペースト状の分散物を調製する。このペースト状の分散物を基材に塗布した後、乾燥および焼成することによって、フッ素樹脂とカーボンを含むシート状の混合体を作製する。
フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレンを使用することが好ましいが、ポリヘキサフロロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンとヘキサフロロプロピレンとの共重合体、さらに、前述のフッ素樹脂の混合物を用いることができる。また、フッ素樹脂の粉末あるいはディスパージョンを用いることができる。
ペースト状の分散物を塗布する基材には、高分子シートあるいは金属箔を用いることができる。分散媒には、少量の界面活性剤を添加した水を用いることができる。さらにフッ素樹脂、カーボンおよび分散媒の混合物に、増粘剤を添加することによって、塗布性に優れるペースト状の混合物が得られる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系の化合物を用いることができる。ペースト状の混合物を350℃以上の温度で焼成することによって、増粘剤あるいは界面活性剤を除去することができ、その結果、導電性のB層に空隙が形成される。
第二の工程では、例えば、陽イオン交換樹脂の溶液にカーボンブラックなどの炭素の粉末を加えたのちに混合することによって、ペースト状の混合物Aを調製する。この混合物Aを、基材に形成した導電性のB層に塗布した後に乾燥することによって、導電性のB層の上に陽イオン交換樹脂と第1のカーボンを含むシート状の混合物Aを含むA層が形成される。このとき、塗布された混合物Aの一部は、導電性のB層の空隙に含浸される。
混合物Aが含浸されたB層の部分には、フッ素樹脂で結着された第2のカーボンと陽イオン交換樹脂で被覆された第1のカーボンとが存在する。混合物Aは、含浸によって導電性のB層の裏面に到達できないので、B層とA層との間に、フッ素樹脂で結着された第2のカーボンと陽イオン交換樹脂で被覆された第1のカーボンとが存在する混在したC層が形成される。このようにして、基材上に、導電性のB層、混合物Aと混合物Bとを含むC層およびA層からなる、3層構造の、本発明の燃料電池用電極の前駆体が形成される。
本発明の製作工程では、陽イオン交換樹脂として、プロトン伝導性を有する樹脂、たとえばパーフルオロカーボンスルホン酸型あるいはスチレン−ジビニルベンゼンスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いることができる。その樹脂を溶解する溶媒には、水とアルコールとが任意の割合で混合したものを用いることができる。混合物Aの粘度は、陽イオン交換樹脂溶液の溶媒量に応じて変化する。したがって、陽イオン交換樹脂溶液の濃度を選択することによって、種々の粘度を有する混合物Aを調製することができる。
例えば、陽イオン交換樹脂溶液の濃度が高い場合には、混合物Aの粘度が高くなる。さらに、粘度が低い混合物Aから溶媒を除去することによって、粘度を増大することができる。逆に、混合物Aの粘度が高い場合には、混合物Aに水、アルコールあるいはアルコール水溶液などを添加することによって、粘度を低減することができる。
第三の工程では、まず、触媒金属となる金属元素が含まれる化合物を水またはアルコールを含む水に溶解した溶液を調製する。この溶液は、触媒金属となる陽イオンを含有する。つぎに、この溶液に、第二の工程で製作した本発明の燃料電池用電極の前駆体を浸漬し、前駆体に含まれる陽イオン交換樹脂に、触媒金属の陽イオンを吸着させる。この吸着は、陽イオン交換樹脂の対イオンと、触媒金属の陽イオンとのイオン交換反応によるものである。そのとき、イオン交換させる陽イオンを二種類以上用いることによって、その前駆体に二種類以上の触媒金属の陽イオンを吸着することができる。
触媒金属の陽イオンは、陽イオン交換樹脂が被覆されずに露出しているカーボン表面には吸着し難く、陽イオン交換樹脂の対イオンとのイオン交換反応により陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に優先的に吸着するものが好ましい。そのような吸着特性を持つ触媒金属となる陽イオンとして、白金族金属を含む陽イオン、あるいは白金族金属の錯イオンを用いることができる。例えば、錯イオンとして、[Pt(NH2+や[Pt(NH4+などとあらわすことができる白金のアンミン錯イオン、または[Ru(NH2+や[Ru(NH3+が好ましい。さらに、アンミン錯体イオンの他にも、硝酸基あるいはニトロソ基を配位した白金族金属の錯イオンを用いることができる。
第四の工程では、燃料電池用電極の前駆体に含まれる陽イオンを化学的に還元する。この第四の工程は、量産に適した還元剤を用いる化学的な還元方法を用いることが好ましく、特に、水素ガスまたは水素を含むガスによって気相還元する方法またはヒドラジンを含む不活性ガスによって気相還元する方法が好ましい。ここで、水素ガスを含むガスとは、水素ガスと窒素やヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガスであることが好ましく、水素ガスを10vol%以上含むことが好ましい。
この第四の工程において、カーボンが白金族金属の陽イオンの還元反応に対して触媒としての活性を有するので、200℃以下の温度でも、陽イオン交換樹脂に含まれるその陽イオンを還元することができる。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜中に吸着した白金アンミン錯イオン[Pt(NH2+の水素による還元温度は約300℃で(境 哲男、大阪工業技術試験所季報、36、10(1985))あるが、交換基を修飾したカーボン粒子(Denka Black、Vulcan XC−72、Black Peal 2000等)の表面に吸着した[Pt(NH2+のそれは、180℃であることが報告されている(K.Amine、M.Mizuhata、K.Oguro、H.Takenaka、J.Chem.Soc.Faraday Trans.、91、4451(1995))。この活性によって、カーボンの表面近傍の陽イオンが優先的に触媒金属まで還元されて、そのカーボンの表面に触媒金属が生成する。その触媒金属は、陽イオンの還元反応に対して触媒としての活性を有するので、陽イオン交換樹脂中の陽イオンが次々に触媒金属まで還元される。この第四の工程では、還元剤の種類、還元剤濃度、還元圧力、還元時間、還元温度を適時調整することによって、カーボンの表面に生成する触媒金属の粒径や表面性状を制御することができる。
前述の第一の工程から第四の工程の一例をつぎに説明する。まず、第2のカーボンとしてVulcan XC−72(キャボット社製)と増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社社製)とをブレンダーを用いて混合した。その混合物に適量の脱イオン水を加えた後、混合物がペースト状になるまで攪拌器を用いて攪拌した。
つぎに、この混合物に適量のポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン(固形分60mass%)を攪拌しながら徐々に添加した後、十分に混合した。つづいて、塗工機を用いて、その混合物をチタン箔に塗布した後、室温で乾燥した。さらに、その塗布物を窒素雰囲気下、380℃の条件で焼成することによって、本発明の燃料電池用電極を構成する導電性のB層を得た。
その一方で、第1のカーボンとしてVulcan XC−72(キャボット社製)と陽イオン交換樹脂溶液としてNafion溶液(アルドリッチ社製、5mass%溶液)とからなる混合物を調製した。つぎに、塗工機を用いて、その混合物を本発明の燃料電池用電極を構成する導電性のB層に塗布した後、室温で乾燥した。このようにして、チタン箔上に、本発明の燃料電池用電極の前駆体を形成した。
つづいて、触媒金属となる化合物として[Pt(NH]Clの水溶液を調製した後、この水溶液に前駆体を浸漬し、陽イオン交換樹脂の対イオン(H)と[Pt(NH2+とのイオン交換反応により、触媒金属となる陽イオンを陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に吸着した。その後、陽イオンを吸着した前駆体を水洗することによって、余剰の[Pt(NH2+を除去した後乾燥した。最後に、この前駆体を180℃の水素ガス雰囲気中で還元することによって、触媒金属としての白金を陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に選択的に形成した本発明の燃料電池用電極を得た。
本発明の燃料電池用電極は、電極の触媒金属が担持された側が高分子電解質膜に接触するように配置することによって、燃料電池に適用される。例えば、高分子電解質膜の少なくとも一方の面に、本発明の燃料電池用電極に備わる陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に触媒金属が選択的に担持された側が接合される。
高分子電解質膜には、プロトン伝導性を有する陽イオン交換樹脂膜を用いることができ、たとえば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂、スチレン-ビニルベンゼンスルホン酸樹脂、パーフルオロカーボンカルボン酸樹脂、スチレン-ビニルベンゼンカルボン酸樹脂などのプロトン伝導性の陽イオン交換樹脂を用いることができる。
高分子電解質膜には、化学的な安定性とプロトン伝導性とが高いパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂からなるものを用いることが好ましい。たとえば、高分子電解質膜として、デュポン社製のナフィオン膜を用いることができる。
本発明の燃料電池用電極と高分子電解質膜との接合は、加熱圧着することによりおこなうことができる。加熱温度は、陽イオン交換樹脂のガラス転移温度の近傍であることが好ましく、ナフィオン膜の場合では125℃から135℃であることがこの好ましい。しかしながら、水の液体である0℃以上であれば、加圧することによって、本発明の燃料電池用電極と高分子電解質膜とを接合することができる。接合には、平プレス機あるいはロールプレス機を用いることができる。
最後に、本発明の燃料電池用電極が高分子電解質膜に接合されたのちに、電極の基材であったチタン箔を取り除くことによって、本発明の燃料電池用電極を備える膜/電極接合体(MEA)が得られる。そのMEAを反応ガス用流路が加工されたセパレータで挟持することによって、本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池が構成される。
本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池の特性は、従来の電極を備える場合よりも優れることが研究の結果から明らかになった。本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池の特性は、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に触媒金属が選択的に担持された電極のみを備える燃料電池よりも優れることが研究の結果から明らかになった。
本発明の燃料電池用電極では、A層とC層とB層の三層が積層された構造を備える。導電性のB層は、適度な有孔性と撥水性とを有するので、その孔に適量の水分を保持することができることに加えて、適度な撥水性を備えることにより、その孔が水の滞留によって閉塞されることがない。したがって、そのB層によって、A層の乾燥の抑制と、A層への反応ガスの円滑な供給とが実現される。さらに、B層によって、A層の表面に反応物質が、直接、接触することを防止できるので、乾燥した反応ガスが供給された場合でも、A層の過度な乾燥を抑制することができる。
加えて、C層では、フッ素樹脂で結着されたカーボン同士の空隙の一部分に、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に触媒金属が選択的に担持された混合物Aを備えるので、燃料電池おける電気化学的な反応に対して活性が高い触媒金属が、三次元的に付与される。この触媒金属の近傍は、フッ素樹脂とカーボンとの混合物Bによって水分量が好適な状態に保たれるとともに、その触媒に十分な反応物質が供給される。したがって、本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池は、白金の使用量が著しく低減されたにもかかわらず、優れた特性を有することができるものと考えられる。
つぎに、従来の電極における白金の利用率低下の理由を説明する。従来の電極における、陽イオン交換樹脂と触媒金属を担持したカーボンの表面との界面の模式図を図7に示す。図7において、31はカーボン、32は陽イオン交換樹脂、41は親水性領域(プロトン伝導経路)、42は疎水性領域、43および71は触媒金属、72は触媒金属粒子が存在しない領域である。
ところで、パーフルオロスルホン酸樹脂などの陽イオン交換樹脂は、H.L.Yeager等(J.Electrochem.Soc.,128,1880、(1981))および小久見等(J.Electrochem.Soc.,132,2601(1985))で報告されているように、主鎖が集合した疎水性領域と側鎖が集合した親水性領域とにミクロ相分離した構造であることが知られている。疎水性領域は、ポリテトラフルオロエチレンに類似の構造であるので、反応物および水の透過は著しく少ない。一方、親水性領域では、側鎖の先端に結合しているイオン交換基がクラスターを形成しており、そのクラスターに水が取り込まれることによって、対イオンが移動可能な状態になる。つまり、水、プロトンおよび反応物(水素または酸素)は、親水性領域を移動することができる。
図7に示したように、カーボン31の表面は、陽イオン交換樹脂32によって被覆されている。陽イオン交換樹脂32は、親水性領域(プロトン伝導経路)41と疎水性領域42とから構成される。カーボン31の表面と陽イオン交換樹脂32との界面には、触媒金属43と71とがランダムに担持されている。
図7で●で示した触媒金属粒子43は、カーボン31の表面と親水性領域(プロトン伝導経路)41との接面に存在するので、反応界面を形成することができ、電気化学反応に対して活性である。一方、触媒金属71は、カーボン31の表面と疎水性領域42との接面に存在するので、反応物およびプロトンの供給がおこらないので、電気化学反応に対して不活性である。したがって、触媒金属71が存在する従来の電極は、触媒金属の利用率が低いものである。
さらに、従来の電極では、カーボン31の表面と親水性領域(プロトン伝導経路)41との界面に、触媒金属粒子が存在しない領域72が部分的に形成される。この領域72には反応界面が形成されないので、この領域72が存在することによって、従来の電極の電気化学的な活性が低下するのである。
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
[実施例1]
本発明の燃料電池用電極を備える固体高分子形燃料電池を以下の方法で製作した。まず、本発明の燃料電池用電極を構成する導電性のB層をつぎの手順で製作した。第2のカーボンとしての8gのVulcan XC−72(キャボット社製)と増粘剤としての3gのカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社社製)とをブレンダーを用いて混合した。この混合物に脱イオン水140gを加えたのちに、二軸回転式攪拌装置を用いて5分間攪拌した。つぎに、羽式攪拌器で攪拌しながら、この混合物にポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン(固形分60mass%)3gを徐々に添加したのちに、5分間攪拌した。つづいて、隙間が250μmのアプリケータを用いて、この混合物をチタン箔(厚み50μm)に塗布したのちに、室温で乾燥して、塗布物を得た。さらに、窒素雰囲気炉を用いて、この塗布物を380℃で30分間焼成することによって、厚みが25μmである本発明の燃料電池用電極を構成する導電性のB層を得た。
本発明の燃料電池用電極の前駆体をつぎの手順で製作した。まず、陽イオン交換樹脂の溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5mass%溶液)80gを容器に採取した。その溶液に、第1のカーボンとしてVulcan XC−72(キャボット社社製)を6g添加した後、羽式攪拌器を用いて超音波を照射しながら1時間攪拌することによって分散物を調製した。つぎに、この容器を50℃の恒温水槽に設置し、羽式攪拌器で分散物を攪拌した。このとき、分散物の溶媒が蒸発するので、分散物は濃縮される。この濃縮によって、分散物の重量に対する固形分重量(カーボンと陽イオン交換樹脂の固形分との和)を14mass%に調整した。つづいて、隙間が250μmのアプリケータを用いて、この分散物をチタン箔上に形成された導電性のB層に塗布したのちに、室温で乾燥することによって、本発明の燃料電池用電極の前駆体を作製した。この前駆体の厚みは約50μm(チタン箔の厚みを除く)であった。
本発明の燃料電池用電極を次の手順で製作した。まず、50mmol/l濃度の[Pt(NH]Cl水溶液を調製した。この水溶液に本発明の燃料電池用電極の前駆体を6時間以上浸漬することによって、前駆体中の陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に[Pt(NH2+を吸着させた。そのあと、前駆体を脱イオン水で充分洗浄したのちに、乾燥した。つづいて、前駆体を還元器に設置したのちに、1気圧の水素を充填した。還元器を180℃に昇温した状態で12時間保持することによって、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に担持された本発明の燃料電池用電極を得た。さらに、還元器を室温にクールダウンしたのちに、電極を取り出した。最後に、電極を0.5mol/lの硫酸に1時間浸漬することによって水素還元で還元されなかった[Pt(NH2+を溶出したのちに、電極を脱イオン水で十分に洗浄した。この電極には、触媒金属としての白金が、0.05mg/cm担持されていた。その電極を5cm×5cmの大きさに裁断したものを固体高分子形燃料電池に適用した。
本発明の燃料電池用電極と高分子電解質膜との接合体を、つぎの手順で製作した。まず、高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン115膜、膜厚約120μm)を0.5mol/lの硫酸で1時間煮沸したのちに、その膜に脱イオン水で5回の洗浄および1時間煮沸を施した。つづいて、高分子電解質膜のそれぞれの面に、本発明の燃料電池用電極を配した後、加熱圧着(135℃、50kg/cm)することによって、高分子電解質膜と電極とを一体に接合した。そのあと、接合体からチタン箔を剥がし取った。このようにして、本発明の燃料電池用電極を備える膜/電極接合体を得た。その膜/電極接合体のそれぞれの面に、撥水性を付与した導電性多孔質体のカーボンペーパーを配したのちに、一対のセパレータで挟持することにより、本発明の燃料電池用電極を備えた固体高分子形燃料電池(以後、この燃料電池を「本発明の燃料電池」とする)を製作した。
[比較例1]
比較のため、従来の電極を備える燃料電池を、つぎに示す方法で製作した。まず、陽イオン交換樹脂の溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5mass%溶液)80gを容器に採取した。この溶液に、白金が50mass%担持されたカーボン触媒(田中貴金属工業製、TEC10V50E)を14g添加したのちに、羽式攪拌器を用いて超音波を照射しながら1時間攪拌することによって分散物を調製した。つぎに、この容器を50℃の恒温水槽に設置したのちに、羽式攪拌器でさらに分散物を攪拌した。このとき、分散物の溶媒が蒸発するので、分散物は濃縮される。この濃縮によって、分散物の重量に対する固形分重量(カーボンと陽イオン交換樹脂の固形分との和)を14mass%に調整した。その分散物を、隙間が200μmのアプリケータを用いて、高分子(FEP)フィルムに塗布したのちに、室温で乾燥することによって従来の電極を作製した。その電極を5cm×5cmの大きさに裁断した。その電極の厚みは約20μmであり、白金の担持量は0.5mg/cmであった。つづいて、高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン115膜、膜厚約120μm)を0.5mol/lの硫酸で1時間煮沸したのちに、その膜を脱イオン水で5回洗浄してから1時間煮沸した。その高分子電解質膜のそれぞれの面に、従来の電極を配したのちに、加熱圧着(135℃、50kg/cm)することによって、高分子電解質膜と従来の電極とを一体に接合した。そのあと、この接合体から高分子(FEP)フィルムを剥がし取った。このようにして、従来の電極を備える膜/電極接合体を得た。
最後に、その膜/電極接合体のそれぞれの面に、撥水性を付与した導電性多孔質体であるカーボンペーパーを配したのちに一対のセパレータで挟持することによって、従来の電極を備える燃料電池(以後、この燃料電池を「比較例1の燃料電池」とする)を製作した。
[比較例2]
比較のために、つぎに示す方法で、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持された層のみを電極として備える固体高分子形燃料電池を製作した。まず、陽イオン交換樹脂の溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5mass%溶液)80gを容器に採取した。この溶液に、カーボンとしてVulcan XC−72(キャボット社社製)を6g添加し、羽式攪拌器を用いて超音波を照射しながら1時間攪拌することによって分散物を調製した。この容器を50℃の恒温水槽に設置したのちに、この分散物を羽式攪拌器で分散物を攪拌した。この時、分散物の溶媒が蒸発するので、分散物は濃縮される。この濃縮によって、分散物の重量に対する固形分重量(カーボンと陽イオン交換樹脂の固形分との和)を14mass%に調整した。その分散物を、隙間が250μmのアプリケータを用いて、高分子シート(FEP、50μm厚、ダイキン工業製)に塗布したのち、室温で乾燥することによって、比較例2の燃料電池用電極の前駆体を作製した。この前駆体の厚みは約20μmであった。
一方で、50mmol/l濃度の[Pt(NH]Cl水溶液を調製した。この水溶液に比較例2の燃料電池用電極の前駆体を6時間以上浸漬することによって、前駆体中の陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に[Pt(NH2+を吸着させた。その後、前駆体を脱イオン水で充分洗浄したのちに、乾燥した。つづいて、前駆体を還元器に設置したのちに、1気圧の水素を充填した。還元器を180℃に昇温した状態で12時間保持することによって、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に選択的に触媒金属が担持された比較例2の燃料電池用電極を得た。その還元器を室温にクールダウンしたのちに、電極を取り出した。その電極を0.5mol/lの硫酸に1時間浸漬することによって水素還元で還元されなかった[Pt(NH2+を溶出したのちに、この電極を脱イオン水で十分に洗浄した。この電極には、触媒金属としての白金が、0.05mg/cm担持されていた。その電極を5cm×5cmの大きさに裁断したものを燃料電池に適用した。
最後に、実施例1と同様の手順で前処理を施した高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン115膜、膜厚約120μm)のそれぞれの面に、比較例2の電極を配したのちに、加熱圧着(135℃、50kg/cm)することによって、高分子電解質膜と電極とを一体に接合した。その後、この接合体から高分子(FEP)フィルムを剥がし取った。このようにして、比較例2の電極を備える膜/電極接合体を得た。この膜/電極接合体のそれぞれの面に、撥水性を付与した導電性多孔質体のカーボンペーパーを配したのちに一対のセパレータで挟持することによって、この電極を備える燃料電池(以後、この燃料電池を「比較例2の燃料電池」とする)を製作した。
本発明の燃料電池、比較例1の燃料電池および比較例2の燃料電池の電圧―電流特性を評価した結果を図8に示す。試験条件は、セル温度を80℃、アノードガスを純水素、アノード利用率を80%、アノード加湿温度を80℃、カソードガスを空気、カソード利用率を40%、カソード加湿温度を80℃とした。図8において、曲線Aは本発明の燃料電池の電圧―電流特性、曲線Bは比較例1の燃料電池の電圧―電流特性、曲線Cは比較例2の燃料電池の電圧―電流特性を示す。
図8より、比較例2の燃料電池の白金使用量は、比較例1の場合の約1/10であるにもかかわらず、比較例2の燃料電池の特性の方が優れていることがわかった。
この結果は、比較例2の燃料電池に備わる電極では、触媒金属が選択的に陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持されているので、触媒金属である白金の利用率が飛躍的に向上したことによるものと考えられる。
さらに、本発明の燃料電池の白金使用量は、比較例2の場合と同程度であるにもかかわらず、セル電圧が向上したことがわかった。このセル電圧の向上は、適度な撥水性と有孔性とを備える導電性のB層によって、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持された電極の含水状態が良好な状態に維持されたことと、混在層(C層)での導フッ素樹脂で結着されたカーボン同士の空隙の一部分に備わる陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に触媒金属が担持された混合物によって、電気化学的な反応に対して活性が高い触媒金属が三次元的に付与されたこととに起因するものと考えられる。
さらに、A層およびC層においては、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持されているため、フッ素樹脂に結着されたカーボンによって形成された空隙を通って、触媒金属に十分な反応物質が供給されることに起因するものと考えられる。したがって、本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池は、白金の使用量が著しく低減されたにもかかわらず、優れた特性を有することができる。
本発明の燃料電池および比較例2の燃料電池の、セル電圧とカソード加湿温度との関係を図9に示す。試験条件は、セル温度を80℃、アノードガスを純水素、アノード利用率を80%、アノード加湿温度を80℃、カソードガスを空気、カソード利用率を40%として、カソード加湿温度を55℃から95℃の間で変化させた。
図9において、曲線Dは本発明の燃料電池のセル電圧とカソード加湿温度との関係を示し、曲線Eは比較例2の燃料電池のセル電圧とカソード加湿温度との関係を示す。図9より、比較例2の燃料電池のセル電圧は、カソード加湿温度がセル温度よりも低くなるに伴って著しく低下するが、逆に、本発明の燃料電池は、カソードガスの加湿状態が低い場合でも、比較例2の場合よりも高いセル電圧を維持することが可能であることわかった。
この結果は、本発明の燃料電池では、カソードガスの含水量の低下に起因するセル電圧の低減が抑制されたことを示す。この抑制は、適度な撥水性と有孔性とを備える導電性のB層によって、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持された電極の乾燥が防止されたことに起因するものと考えられる。
つまり、電極とカソードガスが流れる導電性多孔質体の空隙との間に保水作用を備える層が配置されているので、乾燥したカソードガスが電極に直接接触することがないので、電極の過度な乾燥が抑制されたものと思われる。さらに、この抑制効果によって、電極の含水状態も良好な状態に維持され、触媒金属の電気化学的な反応に対する活性が向上したことも、低加湿のカソードガスでもセル電圧が高いことの一因であるものと考えられる。
本発明の、燃料電池用電極の断面の模式図。 本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池の断面の模式図。 A層(第1層)の内部構造の模式図。 A層(第1層)における、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持された、カーボンの表面近傍の模式図。 B層(第2層)の内部構造の模式図。 C層(第3層)の内部構造の模式図。 従来の電極における、陽イオン交換樹脂と触媒金属を担持したカーボンとの界面の模式図。 本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池、比較例1の燃料電池および比較例2の燃料電池の、電圧―電流特性を示した図。 本発明の燃料電池用電極を備える燃料電池および比較例2の燃料電池の、セル電圧とカソード加湿温度との関係を示した図。
符号の説明
11 本発明の燃料電池用電極
12 触媒金属が選択的に陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持されたA層
13 フッ素樹脂とカーボンとを含む導電性のB層
14 混在層(C層)
15 陽イオン交換膜
15 撥水性を付与した導電性多孔質体
31 第1のカーボン
32 陽イオン交換樹脂
33 細孔
41 陽イオン交換樹脂の親水性領域(プロトン伝導経路)
42 陽イオン交換樹脂の疎水性領域
43 触媒金属
51 第2のカーボン
52 フッ素樹脂
53 空隙


























Claims (2)

  1. 陽イオン交換樹脂と第1のカーボンと触媒金属とを含む第1層と、第2のカーボンとフッ素樹脂とからなる第2層と、前記第1層と前記第2層との間に陽イオン交換樹脂と第1のカーボンと触媒金属と第2のカーボンとフッ素樹脂とを含む第3層を備え、前記第1層および第3層に含まれる触媒金属が、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と第1のカーボンの表面との接面に担持されていることを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 第2のカーボンとフッ素樹脂とからなる第2層を形成する第一の工程と、陽イオン交換樹脂と第1のカーボンとを含む混合物を前記第2層に塗布する第二の工程と、前記陽イオン交換樹脂の対イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第三の工程と、前記触媒金属の陽イオンを化学的に還元する第四の工程とを経ることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極の製造方法。




























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