JP2005174505A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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Fumiyuki Sotodani
文幸 外谷
Masahiko Ujiie
雅彦 氏家
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Abstract

【課題】 光ピックアップ装置において、薄型化を可能としつつ簡単かつ安価に構成することができるとともに、ミラーの角度調整が簡単に行えるようにする。
【解決手段】 光ピックアップ装置は、半球状に形成されたミラー11を備えた筐体10と、対物レンズ31を備えた可動部30とから構成されている。筐体10の底部12にはミラー11の球面に対応した形状の球面状凹部13が設けられているとともに、この球面状凹部13の一部には外部に連通する貫通孔14が設けられている。そして、球面状凹部13にミラー11を直接載置し、貫通孔14を介してエアー吸引によりミラー11を仮保持した状態で、ミラー11の角度を調整するとともに同ミラー11を筐体10に固定した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CD,MOなどの光ディスクに情報を記録し、または光ディスクに記録された情報を再生する光ピックアップ装置に関する。
従来、この種の光ピックアップ装置として下記特許文献1に示されるようなものがある。この光ピックアップ装置には、ミラーの角度調整機構としてミラーを組み付けた半月状のホルダと、このホルダを支持する筐体が備えられている。ホルダの中央部にはミラーを取り付けるための嵌合部と、この嵌合部にミラーを取り付ける際に利用される弾性部材および接着材を挿入する溝部がそれぞれ設けられ、嵌合部にミラーを嵌合させた状態でそれぞれの溝部に弾性部材を挿入するとともに接着剤を注入してホルダにミラーが取り付けられている。また、ホルダのミラーが取り付けられた反対側の外形は球面状に形成されており、この球面の中心がミラーの反射面上になるようにミラーが組み付けられている。
特開2002−56563号公報
筐体にはレーザ光の光路方向にスリットが形成されており、このスリットの両側に前記ホルダの球面部分に対応した球面状凹部が形成されている。そして、この球面状凹部の球面にホルダの球面部分を当接させた状態でホルダが球面状凹部上に載置される。この場合、球面状凹部の中心はホルダの球面部分の中心と一致するとともにミラーの反射面におけるレーザ光の反射点に略一致するように設定されており、ホルダは球面状凹部に対して摺動可能になっている。その結果、ミラーの傾きを光軸の軸回り方向および同光軸と直交する二つの軸線回り方向の3軸方向に調整可能となり、ホルダをこの3軸方向に摺動させることによってミラーの傾きを所望する角度に調整することができる。そして、この角度調整の後、ホルダと筐体の当接縁部分を接着固定することによりミラーを筐体に固着するようになっている。
しかしながら、このような光ピックアップ装置においては、ミラーの角度調整機構を構成する部品および部材が多く、複雑な構成となっているため光ピックアップ装置の薄型化に限界があるとともに光ピックアップ装置のコストアップの要因となる。また、この角度調整機構を構成する部品が多いことは、光ピックアップ装置の組み立ておよびミラーの角度調整に多くの時間を必要とするとともに各部品の部品精度を高精度に保たなければならず、さらに光ピックアップ装置のコストアップの要因となる。また、各部品の精度を高精度に保っても各部品の寸法公差が累積された結果、ミラーの角度調整精度を悪化させることになり角度調整に多くの時間を必要とする。さらにミラーの調整時においても、ミラーの組み付けられたホルダの角度の位置調整自体が難しく、より一層調整時間を要するという問題があった。
本発明は前記問題に対処するためなされたもので、その目的は、光ピックアップ装置の薄型化を可能としつつ簡単かつ安価に構成することができ、ミラーの角度調整が簡単に行える光ピックアップ装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、光を発する光源および同光源からの光を反射させるミラーを組み付けた筐体と、前記ミラーによって反射された光を集光させる対物レンズとを備えた光ピックアップ装置において、ミラーを半球状に形成するとともに筐体に球面状凹部を設けて、ミラーをその裏面にて球面状凹部に固着したことにある。
このように構成した本発明によれば、半球状に形成されたミラーを筐体内に設けられた球面状凹部に直接載置してミラーの角度調整および固着が行えるように構成したため、光ピックアップ装置の薄型化が可能となる。また、光ピックアップ装置の部品数を減らすことができるため、光ピックアップ装置を簡単かつ安価に構成できるとともに組み立ておよびミラーの角度調整を短時間に行えるほか、部品の寸法公差の累積によるミラーの角度調整精度の悪化を抑えて高精度なミラーの角度調整が可能となる。
また、この場合、前記球面状凹部に、同球面状凹部の一部を外部に連通させる貫通孔を設けるようにするとよい。より具体的には、ミラーの角度調整時に使用されてミラーを球面状凹部に吸引するための貫通孔を設けるとよい。これによれば、例えば、ミラーを球面状凹部に載置した際、筐体の外部から前記貫通孔を通してエアー吸引による負圧を掛けることによりミラーを仮保持することができる。これにより、ミラーを安定した状態で角度調整することができ、ミラーの角度調整をより簡単に行うことができる。
また、この場合、前記球面状凹部に、前記ミラーを支持するための少なくとも3つの突起を設けるように構成してもよい。これによれば、筐体の球面状凹部に設けた3つの突起によってミラーを点接触にて三点支持することができるため安定した状態でミラーの角度調整を行うことができ、より高精度なミラーの角度調整が可能となる。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明すると、図1は同実施形態に係る光ピックアップ装置の組み立て状態を表す全体斜視図であり、図2は同光ピックアップ装置の縦断面図であり、図3は同光ピックアップ装置の分解斜視図である。
この光ピックアップ装置は、ミラー11を備えた筐体10と、対物レンズ31を備えた可動部30とによって構成されている。
筐体10は、その一側面が開放された箱型の形状からなり、その底面には中央部にて深さの異なる二段状の底部12が形成されている。この底部12における段部の中央部には、凹状の球面形状をした球面状凹部13が形成されているとともに、その上にミラー11が固着されている。ミラー11は、投射された光を反射させる平らな反射面とこの反射面に中心をもつ球面とからなる半球状の反射体であり、この球面が球面状凹部13に当接した状態で固着されている。したがって、球面状凹部13の球面形状はミラー11の球面に対応した球面形状となっている。また、球面状凹部13の球面中央部には筐体10の外側に連通した貫通孔14が設けられている。
底部12の球面状凹部13の後方には、U字状の磁性体からなるヨーク15が立設固着されるとともにヨーク15の内側にはマグネット16,16が磁気的に結合されて固着されている。また、ヨーク15の後方には円柱状のシャフト17,17が立設固着されている。一方、底部12の球面状凹部13の前方壁面には、筐体10の外側に貫通する光路孔18が設けられ、その外側壁面にはホログラムユニット21がその一部を光路孔18に挿入した状態で固着されている。ホログラムユニット21は、レーザダイオードなどからなる光源と、フォトダイオードなどからなる受光素子と、回析格子とを一体的に備えており、ミラー11に向けてレーザ光を発するとともにミラー11および光ディスク(図示せず)などによって反射された同レーザ光を受光して対応する電気信号に変換する光学部品である。
筐体10の外側前面の一角部には四角柱状の第1支持部22,22が水平方向に突出して設けられるとともに外側後面の両端にはフランジ状の第2支持部23,23が設けられている。これらの第1支持部22,22および第2支持部23,23は、後述するミラー角度調整冶具にセットされる際に光ピックアップ装置を保持するために使用される。
可動部30は、筐体10内に収容されており、対物レンズ31を備えるホルダ32と、ホルダ32をワイヤ33を介して弾性的に支持するベース34とから構成されている。
ホルダ32は、その中央部に四角形の貫通孔が設けられた駒形形状(略五角形)をしており、この駒形形状をした先端部に対物レンズ31が組み付けられているとともに貫通孔内に四角形状に巻かれたフォーカスコイル35が組み付けられて構成されている。フォーカスコイル35は、可動部30が筐体10に組み付けられた状態で、筐体10のヨーク15の一片に固着されているマグネット16と対向するようになっている。そして、このマグネット16による磁界とフォーカスコイル35に通電される駆動電流により生じる磁界との作用によって、対物レンズ31を含むホルダ32を上下方向に変位させる。この対物レンズ31を上下方向に変位動作させる制御がフォーカス制御である。
このフォーカスコイル35の一側面の両側には、薄く四角形状に巻かれたトラッキングコイル36,36がそれぞれ固着されている。このトラッキングコイル36,36は、可動部30が筐体10に組み付けられた状態で、筐体10のヨーク15の他片に固着されているマグネット16と対向している。そして、このマグネット16による磁界とトラッキングコイル36,36にそれぞれ通電される駆動電流により生じる磁界との作用によって、対物レンズ31を含むホルダ32を光ディスクの径方向(図1中左右方向)に変位させる。この対物レンズ31を光ディスクの径方向に変位動作させる制御がトラッキング制御である。このホルダ32は、その両側面にそれぞれ設けられた支持片にて4本のワイヤー33を介してベース34に弾性的に支持されている。
ベース34は、直方体状に形成されており、その長手方向の壁面には4本ワイヤー33の一端がそれぞれ固着され、ワイヤー33の他端に固着したホルダ32を弾性的に支持している。また、ベース34の上面から底面に向けて貫通した二つの軸孔38,38が設けられており、前記筐体10に設けられたシャフト17,17を挿入することによって可動部30を筐体10内に固定している。
ここで、このように構成された光ピックアップ装置の組み立てについて図4ないし図9を用いて説明する。まず、作業者は、筐体10の球面状凹部13にミラー11を取り付けるための冶具であるミラー角度調整冶具を用意する。
このミラー角度調整冶具は、ミラー11を筐体10に取り付ける際、ミラー11の角度調整を行うための冶具であり、図4に示すようにオートコリメータ41、反射鏡42、CCD43、モニタ44、バキューム45および支持台51から構成されている。オートコリメータ41は、内蔵する光源からレーザ光を発し、ミラー11および反射鏡42によって反射された同レーザ光を受光することによって、ミラー11の角度変位を検出する装置である。この反射されたレーザ光の検出は、オートコリメータ41の上面に組み付けられたCCD43により検出され、その結果がモニタ44に投影されるようになっている。このオートコリメータ41はミラー角度調整冶具の図示しない支持部材により、レーザ光の発する方向を自在に変更することができる状態で支持されている。また、モニタ44はミラー角度調整冶具の図示しない支持部材により作業者の視認し易い位置に固定されている。
反射鏡42は、オートコリメータ41から発せられミラー11により反射されたレーザ光を反射させる反射板であり、縦方向と横方向の角度が調節可能な状態でミラー台48に立設されている。バキューム45は、吸引口47を通してエアーを吸引する装置であり、筐体10の下面に設けられている貫通孔14に吸引口47を取り付けるように設置されている。なお、このバキューム45のエアーの吸引力は、強弱2段階に設定できるようになっている。
支持台51は、詳しくは図5に示すように、直方体状の部材からなり、その一側面に互いに平行な2本の支持棒52,53が設けられて構成されている。支持棒52,53は後述する角度校正冶具60および筐体10の支持に用いられるものであり、支持される筐体10が基準面46に対して略水平になるように設けられている。また、支持棒52,53は同径に形成されているが、ミラー11の角度調整の際、筐体10の光路孔18を通るレーザ光の妨げにならないように支持棒52は短く形成されている。
このように構成されたミラー角度調整冶具の使用に際しては、予めオートコリメータ41と反射鏡42の角度校正が必要なため、これらの角度校正について説明しておく。まず、作業者は、角度校正冶具60を用意する。角度校正冶具60は、図6に示すように、方形状の平板部材からなり、その上面の縁中央部に平面ミラー61および三角ミラー62がそれぞれ固着して設けられているとともに、下面に互いに平行な2本の溝部63,64が形成されている。平面ミラー61は、オートコリメータ41の角度校正に用いられる反射板であり、角度校正冶具60を支持棒52,53に載置した状態で、支持棒52,53の中心軸を含む平面に対して平面ミラー61の反射面が平行になるように取り付けられている。また、三角ミラー62は、反射鏡42の角度校正に用いられる反射体であり、角度校正冶具60を支持棒52,53に載置した状態で、垂直方向から受けたレーザ光を支持棒52,53の中心軸を含む平面と平行かつこの平面に垂直で支持棒52,53の中心軸に垂直な平面と平行な方向に反射するように取り付けられている。溝部63,64は、角度校正冶具60を支持台51の支持棒52,53上に安定的に載置するための三角形状の溝である。
このように構成された角度校正冶具60は、作業者により支持台51の支持棒52,53上に載置される。この場合、図7に示すように、支持棒52上に溝部63が載置されるとともに支持棒53上に溝部64が載置されることによって、角度校正冶具60が、支持棒52,53の軸線方向に摺動可能かつ同軸線方向と直交する方向に移動不可能な状態で載置されることになる。そして、角度校正冶具60を、支持棒52,53に沿って動かしオートコリメータ41から発せられるレーザ光が平面ミラー61に投射される位置に位置決めする。次に作業者は、オートコリメータ41、CCD43、モニタ44の作動を開始させる。これにより、オートコリメータ41はレーザ光を平面ミラー61に向けて発射する。オートコリメータ41から発せられたレーザ光は、平面ミラー61によって反射されオートコリメータ41に入射する。オートコリメータ41に入射したレーザ光はCCD43により受光され対応する電気信号に変換された後、モニタ44に出力される。モニタ44は、CCD43からの電気信号に基づいてオートコリメータ41から発せられたレーザ光と平面ミラー61によって反射されて戻ってきたレーザ光との光軸のずれの様子を表示する。
作業者は、このモニタ44による両光軸のずれの表示に基づいて、オートコリメータ41から発せられたレーザ光と平面ミラー61から反射されて戻ってきたレーザ光との光軸を一致させるように、オートコリメータ41が発するレーザ光の方向を調整する。これにより、オートコリメータ41から発せられるレーザ光は支持棒52,53の中心軸を含む平面に対して垂直になる。次に作業者は、角度校正冶具60を支持棒52,53に沿って動かし、オートコリメータ41から発せられるレーザ光が三角ミラー62に投射される位置に位置決めする。これにより、オートコリメータ41から発せられたレーザ光は、三角ミラー62によって直角方向に反射され反射鏡42に到達する。この状態で作業者は、反射鏡42の向きを調整してレーザ光が反射鏡42に垂直に投射されるようにする。これにより、オートコリメータ41から発せられたレーザ光は、三角ミラー62および反射鏡42により反射され、再び三角ミラー62により反射されてオートコリメータ41に入射するとともに、両光軸のずれの様子がCCD43を介してモニタ44に表示される。
そして、作業者は、モニタ44による両光軸のずれの表示に基づいて、オートコリメータ41から発せられたレーザ光と、三角ミラー62および反射鏡42から反射されて戻ってきたレーザ光との光軸を一致させるように、反射鏡42の角度を調整する。これにより反射鏡42はオートコリメータ41から発せられるレーザ光に対して平行になるとともに、支持棒52,53の中心軸を含む平面に対して垂直になる。そして、オートコリメータ41、CCD43、モニタ44の作動を停止させ、角度校正冶具60を支持棒52,53上から取り除き、オートコリメータ41および反射鏡42の角度校正が終了する。
次に、このように校正されたミラー角度調整冶具を用いた光ピックアップ装置の組み立てについて説明する。作業者は、まず、ヨーク15、マグネット16,16、シャフト17,17を備えた筐体10とミラー11とを用意する。この筐体10にはミラー11の角度調整時に光路孔18を必要とするためホログラムユニット21は取り付けられていない。また、これと同時に前記ミラー角度調整冶具を用意する。そして、ミラー角度調整冶具内に、この筐体10およびミラー11をセットする。具体的には、筐体10の第1支持部22,22の間に支持棒52を挿通させるとともに、筐体10の第2支持部23,23に支持棒53を挿通させて筐体10を支持台51に取り付ける(図8参照)。そして、再度オートコリメータ41、CCD43、モニタ44の作動を開始させ、筐体10を支持棒52,53の軸線方向に摺動させてオートコリメータ41から発せられるレーザ光が球面状凹部13の略中心に位置するように調整する。これにより、オートコリメータ41から発せられるレーザ光の光軸上に筐体10の球面状凹部13が位置するとともに同光軸に対して垂直にセットされたことになる。次に、オートコリメータ41、CCD43、モニタ44の作動を停止させ筐体10の下面に設けられている貫通孔14を覆うようにバキューム45の吸引口47を密着させ固定させる。そして、筐体10の球面状凹部13にミラー11を互いの球面部を当接させた状態で載置する。これにより、ミラー11はオートコリメータ41から発せられるレーザ光の光軸上に載置されたことになる。以上により筐体10およびミラー11がミラー角度調整冶具内にセットされたことになる。
このような状態で、作業者は、まずバキューム45の作動を開始させる。この場合、バキューム45の吸引力はミラー11の仮保持が目的のため「弱」に設定させる。これにより、ミラー11はバキューム45の吸引力によって球面状凹部13に吸着されて仮保持される。そして、ミラー11の反射面を水平に対して約45度になるように調整する。次に作業者は、再びオートコリメータ41、CCD43、モニタ44の作動を開始させる。これにより、オートコリメータ41はレーザ光をミラー11に向けて発射する。オートコリメータ41から発せられたレーザ光は、ミラー11の反射面にて直角方向に反射され光路孔18を通り反射鏡42に到達する。そして、同レーザ光は同反射鏡42により反射されて再び光路孔18およびミラー11を介してオートコリメータ41に入射する。オートコリメータ41に入射したレーザ光はCCD43により受光され対応する電気信号に変換された後、モニタ44に出力される。モニタ44は、CCD43からの電気信号に基づいてオートコリメータ41から発せられたレーザ光とミラー11および反射鏡42によって反射されて戻ってきたレーザ光との光軸のずれの様子を表示する。
作業者は、モニタ44による両光軸のずれの表示に基づいて、オートコリメータ41から発せられたレーザ光と反射されて戻ってきたレーザ光との光軸を一致させるようにミラー11の角度を調整する。この場合、ミラー11の角度調整はバキューム45による吸引力に抗して行われる。そして、この両光軸が一致したことがモニタ44によって確認されると、作業者はバキューム45を操作してその吸引力を「強」に切り替える。これにより、ミラー11はより強く球面状凹部13に吸着されることになり、この状態において、ミラー11と球面状凹部13の当接縁に接着剤を塗布して、同当接縁を接着することによりミラー11を筐体10に固定する。そして、ミラー11と筐体10の接着が完了すると、オートコリメータ41、CCD43、モニタ44、バキューム45の作動を停止させ筐体10をミラー角度調整冶具から外し、ミラー11の角度調整が終了する。このミラー11の角度調整により、筐体10は、ミラー11の水平方向および垂直方向から入射したレーザ光をそれぞれ正確に垂直方向および水平方向に反射させることができる。
次に、作業者は、対物レンズ31、フォーカスコイル35、トラッキングコイル36,36を備えたホルダ32がワイヤー33によってベース34に弾性的に支持されて構成される可動部30と、ホログラムユニット21とを用意する。そして、この可動部30をミラー11の角度調整がされた前記筐体10内に収容する。具体的には、図9に示すように、可動部30のベース34に設けられた軸孔38,38に筐体10に立設されたシャフト17,17を挿入し固定する。この場合、ホルダ32に組み付けられたフォーカスコイル35の内側に、マグネット16が固着されたヨーク15の一片が進入するとともに、同ヨーク15の他片がトラッキングコイル36,36に対向した状態で固定される。また、ホルダ32に組み付けられた対物レンズ31はミラー11の真上に配置されるようになる。そして、ホログラムユニット21を筐体10の外側壁面からその一部を光路孔18に挿入した状態で貼り付け固定する。以上により図1に示される本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置が得られる。
このように構成された光ピックアップ装置を使用するに際しては、対物レンズ31の上方における所定の位置に図示しないCD、MOなどの光ディスクを配置して、光ピックアップ装置を備えた図示しない光ディスク装置の電源を入れ、光ディスクを回転させるとともにフォーカスコイル35およびトラッキングコイル36,36に駆動電流を通電させる。フォーカスコイル35およびトラッキングコイル36,36への通電は、光ディスク装置内の駆動電流供給手段(図示せず)によって行われ、フォーカスコイル35およびトラッキングコイル36,36に駆動電流が通電されると、ヨーク15およびマグネット16,16による磁界との相互作用により、フォーカスコイル35およびトラッキングコイル36,36に供給される駆動電流の向きおよび大きさに応じて対物レンズ31がフォーカス制御およびトラッキング制御される。
また、これらと同時にホログラムユニット21からレーザ光がミラー11に向けて発射される。このホログラムユニット21からのレーザ光の発射は光ディスク装置内のレーザ駆動手段(図示せず)によって制御されており、発射されたレーザ光は、光路孔18を通りミラー11により直角上向に反射され、対物レンズ31を介して光ディスク面上に照射される。この場合、対物レンズ31は前記フォーカス制御およびトラッキング制御によりレーザ光の光軸方向および光ディスクの径方向に連続的に変位しているが、ミラー11の角度調整が正確に行われているため光ディスク面に対して垂直にレーザ光が照射される。そして、光ディスク面に垂直に照射されたレーザ光は、光ディスク面により反射され再び対物レンズ31を介してミラー11に到達し、ミラー11によって直角水平方向に反射され光路孔18を通りホログラムユニット21に入射する。ホログラムユニット21は入射した同レーザ光を内蔵する受光素子により対応する電気信号に変換して図示しない信号再生手段などに出力する。
この第1実施形態によれば、ミラー11を筐体10の球面状凹部13に直接載置して角度調整および固定を行っているため、ミラー11の角度調整機構を極めて簡単な構成とすることができる。このことは、光ピックアップ装置の薄型化を可能とするほか、光ピックアップ装置を安価にできるとともに光ピックアップ装置の組み立ておよびミラー11の角度調整を短時間にすることができる。また、各構成部品の寸法公差の累積によるミラー11の角度調整精度の劣化を防ぎ高精度な角度調整も可能となる。さらには、バキューム45によりミラー11を仮保持するとともに固定時にはより強くミラー11を仮保持しながらミラー11の角度調整および固定ができるため、ミラー11の角度調整をより簡単かつ正確に行えるとともに短時間で行うことができる。
なお、上記第1実施形態においては、ミラー11と筐体10の固定は、ミラー11と球面状凹部13の当接縁を接着して固定したが、これに代えて、例えば球面状凹部13に貫通孔14に連通しない溝部を設け、この溝部に接着剤を注入してミラー11を固着するようにしてもよい。これによれば、ミラー11と球面状凹部13との接着面積が広くなりより強固にミラー11を筐体10に固定することができる。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る光ピックアップ装置について説明する。この光ピックアップ装置も、図10に示すように、ミラー11を備えた筐体10と、対物レンズ31を備えた可動部30とによって構成されている。
この光ピックアップ装置では、筐体10の底部12の中央部に設けられた球面状凹部13に3つの半球状の突起24,24,24が設けられている。この突起24,24,24は、ミラー11を点接触にて3点支持するとともに、それらの各間隔が同一となるようにすなわち等間隔に配置されている。なお、前記3つの突起24,24,24は、球面状凹部13に等間隔に配置したが、ミラー11を3点支持できればどのような配置にしてもよい。この場合、球面状凹部13の球面とミラー13の球面との間に突起24,24,24の高さ分の隙間も生じることになる。
そして、この筐体10にミラー11を組み付ける場合には、突起24,24,24にミラー11を載置して所望する角度に調整した後、球面状凹部13とミラー11のとの間に生じる前記隙間に接着剤を注入してミラー11を固着させる。光ピックアップ装置のそれ以外の部分の構成については前記第1実施形態と同様である。したがって、同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
このような第2実施形態によれば、ミラー11を3つの突起24,24,24によって3点支持し安定した状態でミラー11の角度調整が行えるため、より高精度な角度調整が行えるようになる。また、球面状凹部13の球面とミラー13の球面との間に生じた隙間に接着剤を注入してミラー11を固着できるため、より強固にミラー11と筐体10を固着させることができる。
なお、本第2実施形態においては、3つの突起部24,24,24を設けて構成したが、これに代えて、例えば4つ以上の突起部を設けて構成してもよい。これによれば、各突起部の精度やミラー11の球面精度に多少のバラツキが生じていても、常にいずれか3つの突起部によってミラー11を安定的に支持することができる。
以上、本発明の第1実施形態、第2実施形態およびそれらの変形例について説明したが、本発明の実施にあたっては本発明の目的を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の全体斜視図である。 前記光ピックアップ装置の縦断面図である。 前記光ピックアップ装置の分解斜視図である。 ミラーの角度調整時に使用されるミラー角度調整冶具の概略図である。 ミラー角度調整冶具における支持台の概略図である。 ミラー角度調整冶具における角度校正冶具の概略図である。 支持台に角度校正冶具を設置した状態を表す図である。 支持台に筐体を取り付けた状態を表す図である。 図1の光ピックアップ装置の組み付け過程を示す分解斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る光ピックアップ装置の全体斜視図である。
符号の説明
10…筐体、11…ミラー、12…底部、13…球面状凹部、14…貫通孔、15…ヨーク、16…マグネット、17…シャフト、18…光路孔、21…ホログラムユニット、22…第1支持部、23…第2支持部、24…突起部、30…可動部、31…対物レンズ、32…ホルダ、34…ベース。

Claims (3)

  1. 光を発する光源および同光源からの光を反射させるミラーを組み付けた筐体と、
    前記ミラーによって反射された光を集光させる対物レンズとを備えた光ピックアップ装置において、
    前記ミラーを半球状に形成するとともに前記筐体に球面状凹部を設けて、前記ミラーをその裏面にて前記球面状凹部に固着したことを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記球面状凹部に、同球面状凹部の一部を外部に連通させる貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記球面状凹部に、前記ミラーを支持するための少なくとも3つの突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
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