JP2005172776A - 複数の波長依存性物質を含む試料の分析方法及び分析装置 - Google Patents

複数の波長依存性物質を含む試料の分析方法及び分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、複数の目的波長光に対応する試料中の目的の波長依存性物質のみを照射する複数の波長依存性物質を含む試料の分析方法及び分析装置を提供する。
【解決手段】 本発明によれば、白色連続スペクトル光パルスを分光する分光工程と、分光された各波長中の複数の目的波長光のみを選択する波長光選択工程と、選択された複数の目的波長光を合成することにより各目的波長光を含有する合成光パルスを生成する合成光パルス生成工程と、生成された前記合成光パルスを顕微鏡に配設された試料に照射する合成光パルス照射工程とを有している。また、透明物質から試料までの光学系で透明物質と顕微鏡とで生じる光パルスの分散を補償する分散補償工程を有することで短パルス幅の目的波長光を試料に照射することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、試料中に存在する複数の波長依存性物質を略同時に励起することが可能な試料の分析装置及び分析方法、特に、概ね蛍光物質として形成される生体中のタンパク質等を略同時に励起することで生体に含まれる複数のタンパク質等の動き、作用等を同時に且つ独立に追跡するための装置及び方法に関する。
生体試料の分析にフェムト秒(10−15秒)オーダーの超短光パルスレーザを使用する方法が存在する。これは細胞内生体細胞内のタンパク質等が蛍光物質であることを利用し、輝度の高い超短光パルスで蛍光物質を励起し、その蛍光を分析しようとするものである。このとき生体試料のような励起時に損傷し易い蛍光物質を分析することを考えた場合、照射するパルスピークができるだけ大きく且つ試料位置におけるパルス幅ができるだけ小さいものでなければならない。従って、従来の分析方法においては光学系で生じる群速度分散(GVD)を押さえパルス幅を短くしてピークを減じないようにするため、媒質を挿入する等の工夫がされてきた(例えば、特開平10−68889号公報参照)。
しかしながら、従来の分析方法では超短光パルスが一種類の中心波長であり、複数の蛍光物質を同時に励起する場合、一の蛍光物質には適切な波長光(目的波長光)になっても別の蛍光物質にとっては適切な目的波長光とならず適正な励起効果(蛍光)を得ることが困難であった。そこで、最近、超短光パルスから白色連続スペクトル光を生成し、これを励起光源に用いる方法が注目されてきた。この白色連続スペクトル光は、原パルスと同様の超短パルスでありながら広帯域波長に拡散された白色連続スペクトルを有するため、広帯域に亙ってスペクトル拡散されており且つ高い輝度を有するため、そのうちの複数の波長光を抽出すれば複数の蛍光物質を同時に励起することができるからである。
具体的には、超短光パルスにより生成される白色連続スペクトル光パルスを分光器により分光し、分光された各波長中のうち生体試料等内の複数の蛍光物質を励起するための複数の波長(目的波長)のみ選択した後に逆分光器で合成された光パルスを生体試料に照射して目的とする蛍光物質を励起する方法である(例えば、特開2003−172702号公報参照)。
しかしながら、この分析方法、分析装置では蛍光物質に応じた複数の目的波長光を抽出(選択)することはできるが、光ファイバーが大きな負の群速度分散値を有すること及び波長光選択の有効領域との関係上、逆に試料までの光路に配設される光ファイバーや回折素子及び顕微鏡自体等で生成される群速度分散(GVD)を完全に押さえることが困難であった。従って、生体試料に照射されるパルス幅が広がった状態になり適正な分析効果を得ることができなかった。
特開2003−172702号公報 特開平10−68889号公報
発明が解決しようとする課題
以上の事情に鑑みて本発明は複数の蛍光物質等の波長依存性物質を同時に励起することができ且つ励起光を適正なパルス光にすべく分散補償することが可能な試料の分析装置及び分析方法を提供することを目的とする。
本発明の分光装置は、スペクトルを拡散させるための透明物質(例えば、フォトニック結晶ファイバー、テーパーファイバー、高非線形分散シフトファイバー等)を介して超短光パルスから生成される白色連続スペクトル光パルスを分光する分光工程と、分光された各波長中の複数の目的波長光のみを選択する波長光選択工程と、選択された複数の目的波長光を合成することにより各目的波長光を含有する合成光パルスを生成する合成パルス生成工程と、生成された前記合成光パルスを顕微鏡に配設された試料に照射する合成光パルス照射工程とを有しており、複数の目的波長光に対応する試料中の目的の波長依存性物質のみを照射する複数の波長依存性物質(本明細書及び特許請求の範囲の記載において「波長性依存物質」とは、例えば蛍光物質のように目的波長光で励起した場合に光を放出する性質を有するものを意味する)を含む試料の分析方法である。この分析方法では透明物質から試料までの光学系で、透明物質と顕微鏡とで生じる光パルスの分散を補償する分散補償工程を有している。その結果、短パルス幅の目的波長光を試料に照射することが可能となり、複数の波長依存性物質を含む試料(例えば、生体試料)を効率良く分析することができる。
また、分光工程は透明物質からの白色連続スペクトル光パルスをプリズムを用いた回折光学素子により分光させる工程からなり、合成光パルス生成工程は波長光選択工程により選択された複数の目的波長光を分光工程と逆方向の光路で回折素子により合成する工程からなることができる。この場合、分散補償工程は分光工程と合成光パルス生成工程とにおいて同時になされる。さらに、回折素子は所定の相対的位置関係を有する一対のプリズム(例えば頂角が外側に向くように対向した一対の三角プリズム)を有し、両プリズムの頂角間の距離、各プリズムの頂角、各プリズムへの光パルス入射角、各プリズムへの光パルス入射位置に応じて位置決めされる。この相対的位置関係は波長光選択手段へのスペクトル結像を考慮して一対のプリズムを透過した光パルスが波長光選択工程において複数の目的波長を選択可能な範囲内で設定する必要がある。また、本分析方法における光学系全体での分散を補償するために、透明物質の群速度分散値と顕微鏡の群速度分散値とを加算した値に加算すれば0に近づくような群速度分散値を有するように設定されることが好ましい。
また、本分析方法では合成光パルス生成工程と合成光パルス照射工程との間に、合成光パルス生成工程により生成された合成光パルスを互いに斜面で当接するように配設された一対の直角プリズムに透過させる補助分散補償工程を更に有することが好ましく、一対の直角プリズムは、透明物質の群速度分散値と顕微鏡の群速度分散値と回折素子の群速度分散値とを加算した値に加算すれば最小(補助分散補償工程を有しない場合よりも0に近づく)になるような群速度分散値を有するように直角プリズム内における合成光パルスの透過距離に設定することによって互いに相対的に位置決めされる。
さらに、本発明は上記分析方法を用いた分析装置も提供している。具体的に本分析装置は少なくとも、超短光パルスのスペクトルを拡散させて白色連続スペクトル光パルスを生成するための透明物質と、白色連続スペクトル光パルスを分光する分光光学系と、分光された各波長中の複数の目的波長光のみを選択する波長光選択手段と、選択された複数の目的波長光を合成することにより各目的波長光を含有する合成光パルスを生成する合成光パルス生成光学系と、生成された合成光パルスを顕微鏡に配設された試料に照射する合成光パルス照射光学系とを備えている。このうち透明物質と顕微鏡と分光光学系と合成光パルス生成光学系それぞれの光学系で生じた分散がこれらの光学系を介して試料に到達するまでに補償されて短パルス幅の目的波長光を試料に照射することとなる。また、分光光学系と合成光パルス生成光学系とはプリズムを用いた同一の回折素子で構成されることが好ましく、回折素子は透明物質からの白色連続スペクトル光パルスを分光して波長光選択手段に伝送するとともに、波長光選択工程により選択された複数の目的波長光を合成することができる。また回折素子は所定の相対的位置関係を有する一対のプリズムを有し、その相対的位置関係は一対のプリズムを透過した光パルスが波長光選択手段において複数の目的波長を選択可能な範囲内であり且つ透明物質の群速度分散値と前記顕微鏡の群速度分散値とを加算した値に加算すれば0に近づくような群速度分散値を有するように設定されることが好ましい。さらに本分析装置は、合成光パルス生成光学系と合成光パルス照射光学系との間の光路上に互いに斜面を当接するように配設した一対の直角プリズムを有し、一対の直角プリズムは両直角プリズムを透過する合成光パルスの光路長さが変化するように互いの当接面に沿って相対的に滑動させて位置決めすることができる。位置決めするときには一対の直角プリズムによる群速度分散値が、透明物質の群速度分散値と顕微鏡の群速度分散値と回折素子の群速度分散値とを加算した値に加算すれば最小(一対の直角プリズムがない場合よりも0に近い)になるようになされることが好ましい。
本発明によれば、白色連続スペクトル光パルスから波長光選択工程(波長光選択手段)により複数の蛍光物質等の波長依存性物質に対応する目的波長光を抽出することができると共に、簡単且つ確実な光学系により分散補償することができ蛍光物質への高い励起効果を奏することができる。具体的には白色連続スペクトル光パルスを生成する透明物質の群速度分散をプリズム対により分光工程と同時に補償することができる。また、透明物質が大きな負の群速度分散値を有する場合であり、波長光選択手段の有効範囲の関係上、プリズム対のみでは完全な分散補償ができない場合にも本発明の構成によれば、直角プリズム対を付与するだけで簡単に補助的な分散補償を実行することができる。
発明の最良の実施形態
本発明の分析方法及び分析装置の実施形態について説明する前に、生体細胞内の蛍光物質を顕微鏡で観察する基本原理について説明する。近年一般に、生体細胞内の蛍光物質を顕微鏡で観察するときには、特定の波長のレーザー光等でその蛍光物質を励起(原子・分子のエネルギー状態を低い方から高い方へ遷移させること)し、励起された蛍光物質が元のエネルギー状態へ戻るときに出す蛍光を捕捉する方法を採用している。従って、いかに蛍光物質を励起させるかということが問題となる。ここで、原子・分子を励起させるためにはエネルギーが遷移する分と同じだけのエネルギーを持つ光子を吸収させる必要がある。この光子吸収について1個の光子を用いて蛍光分子を励起させる一光子励起と二個以上の光子を用いて蛍光分子を励起させる多光子励起とが存在するが多光子励起の場合の方が生体細胞の損傷防止、生体試料深部の観察及び非分析部分の蛍光退色防止の観点からは好ましい。従って、ここで示す本発明の実施形態では超短光パルスレーザを光源として多光子励起、特に生体細胞内の蛍光物質を二光子励起させる分析方法及びその分析装置について説明する。
また、生体細胞内に存する蛍光物質としてのタンパク質を分析する場合、生命現象が複数のタンパク質の相互作用により形成されていることに鑑みれば、これら複数のタンパク質を同時に分析する必要がある。従って、蛍光を放出する特定波長の励起光(目的波長光)が異なる複数のタンパク質を同時に励起する必要がある。
さらに生体細胞を損傷させずに顕微鏡で捕捉する蛍光を強く放出させるためには複数の蛍光物質に対応する各目的波長光のパルスピークを大きく且つパルス幅を短くする必要があるが、光源としてのレーザーから生体試料に至るに各光学系を経るときに分散(群速度分散)が生じ、パルスピークが小さくなりパルス幅が長くなることで適正な励起効果を得ることができないという問題が判ってきた。従って、この問題を解決するために光学系全体としての分散を最小にする必要がある。
以上に鑑みて構成された本発明の実施形態が図1に示されている。以下、この分析装置の使用態様を踏まえて説明する。
まず、事前に励起したい複数の蛍光物質、例えば分析を求める生体細胞内のタンパク質を決定し、これらを励起させるための特定波長を調べておく。この際、励起波長は二光子励起する点も考慮した値とする。ここで調べた特定波長を複数照射されるために本分析装置は開発されたものであり、図1にその光学系全体の構成を略示している。
本分析装置では光源として強力なピークパワーを得るために超短光パルスレーザ12が使用され、照射される光はフェムト秒(10−15)オーダーの超短光パルスである。この超短光パルスはレンズ18を介して透明物質20に入射する。透明物質20は蛍光物質に対応する目的波長を含むようにスペクトルを拡散させ広帯域の波長領域を形成する効果を奏するものであれば良く、ここではフォトニック結晶ファーバーを使用しているが、テーパーファイバー、高非線形分散シフトファイバー、水晶、水等でも代替可能である。なお、本実施形態では透明物質20に超短光パルスが入射される前に半波長板14と偏光ビームスプリッター16とを用いてS偏光とP偏光とダブルパルスを作製する構成が示唆されているが本発明の必須構成要素ではなく、本発明ではシングルパルスでも良いためここでの説明は割愛する。
透明物質20に入射された超短光パルスは、スペクトル拡散され白色連続スペクトル光パルスを生成する。この白色連続スペクトル光パルスは輝度が非常に高く生体細胞内の蛍光物質を発光させるために適している。図3を参照すれば白色連続スペクトル光パルスのスペクトル拡散状態を例示したものであり、中心波長が750〜850nm、繰り返し周波数82MHz、パルス幅70fsの超短光パルスレーザ12を使用した場合のものである。この図で明らかなようにレーザ光パルスは広帯域に拡散している。これにより白色連続スペクトル光パルスは複数の蛍光物質に対応する目的波長を広帯域に含んでいることがわかり、白色連続スペクトル光パルスにおいて狭帯域の波長光である超短光パルスではできなかった広帯域での複数の目的波長光抽出が可能となることが理解される。従って、白色連続スペクトル光パルスから複数の目的波長光を抽出する工程が必要であり、本実施形態では透明物質20の端部から放出される白色連続スペクトル光パルスがレンズ22で所定径の光束として集光された後に実行される。
具体的には白色連続スペクトル光パルスを分光器により分光し(分光工程)、分光された各波長中の複数の目的波長光のみを選択し(波長光選択工程)、選択された複数の目的波長光を逆分光器で合成することにより各目的波長光を含有する合成光パルスを生成し(合成光パルス生成工程)、生成された合成光パルスを試料に照射する(合成光パルス照射工程)ような光学系を構成する。本発明の実施形態では、まず分光工程は白色連続スペクトル光パルスが順に対物レンズ34と一対の三角プリズム36、38を透過することでなされることとなる。詳細には透明物質20の端部及びレンズ22から放出された所定の径を有する白色連続スペクトル光パルスをレンズ34で集光して頂角がレンズ34側に向けられた三角プリズム36に透過させることで分光し、分光した光パルスを波長光選択手段40の有効面積内でスペクトル結像できるように頂角が波長光選択手段40側に向けられた三角プリズム38に透過させる。これにより白色連続スペクトル光が空間的に分光され、波長に応じて波長光選択手段40の所定位置に結像されることとなる。
次に、分光工程を経て波長光選択手段40に結像された光パルスは該手段40によって事前に調べておいた複数の目的波長光(上述する生体細胞内の複数の蛍光物質に対応する各特定波長光)のみを抽出する。この目的波長光の抽出は既に公知であり、特開2003−172702号公報で開示されている。例えば、各目的波長の箇所に小反射鏡を配置して光路方向の位置を互いにずらせる方法や、各目的波長の光路中に厚さの異なる透明光学媒体をそれぞれ配置する方法や、各分光成分に対して分散(チャープ)を与えることにより合成パルスに含まれる各波長成分のピークパワーを調整し目的蛍光物質における線形吸収と非線形吸収(多光子吸収)との間の任意のレベルで吸収を制御する方法が採用されている。本発明の実施形態では波長光選択手段としてDMD(degital micromirror devie)が使用されている。DMDを使用した場合には、DMD40の有効面積に応じてスペクトルの結像面における空間幅が小さくなるように三角プリズム36、38は相対的に位置決めされる。すなわち、XDMDがDMDの大きさ、Xλがスペクトルの空間的広がりを示す場合、XDMD>Xλとなるように位置決めされる。具体的に、Xλはスペクトルの波長領域、DMDの大きさ、プリズム材質、プリズム頂角間の距離、プリズム頂角に応じて決定される。
上記波長光選択手段40において複数の目的波長光を選択した後は、再び平行光として分光工程と同光路に戻され、一対の三角プリズム38、36を透過することにより複数の各目的波長光が合成されて合成光パルスが生成され(合成光パルス生成工程)、レンズ34から合成光パルスが放出される。この合成光パルスは複数の目的波長光が含まれているため、これを試料に照射すると複数の蛍光物質を同時に励起させ、蛍光を放出させることができる。
ここで光学系におけるパルス光の分散について考慮する。パルス光は一般に各光学系を伝播する過程で分散が生じパルス幅が広がる性質を有している。この分散の生成は同時にパルスピークの低下を招致せしめることとなり、本分析装置において試料内の蛍光物質(蛍光分子)に照射した場合に各分子のエネルギー遷移を妨げ、結果、適正な蛍光放出ができないこととなる。従って、光学系における分散を適正に補償する手段が必要となる。例えば、電気通信分野では光ファイバーでの分散を補償するために分散補償性を有する媒質を挿入する等で対応しているが、本分析装置においては広帯域での波長領域を生成する必要があり透明物質20により必然的に異常分散させて白色連続スペクトル光パルスを生成するため上記分散補償媒質の挿入等の手段は好ましくない。また、図1では示されていないが分析を求める試料は顕微鏡42内に配設されており、試料にパルス(ここでは合成光パルス)が到達するまでの顕微鏡42自身の光学系によっても分散は生じる。さらに、プリズム対36、38やその他光学系18、22、34等によっても分散生じる。
この分散を解決するために本発明では群速度分散値に注目した。上述するように透明物質20は異常分散させてスペクトル拡散させるものであり、その性質上、透明物質20の光路方向の長さに比例した正の群速度分散値を有する。その一方、顕微鏡42自身は固定の負の群速度分散値を有している。また、プリズム対36、38はその頂角間距離に応じて群速度分散値が変化する性質を有することが判った。ここで本分析装置における分散全体を考えた場合、分析装置は最終的に試料に照射する励起光の分散を補償していれば途中の光学系それぞれでの分散は問題とならない。従って、本分析装置では各光学系における群速度分散値を互いに相殺して試料に照射することとしている。詳細に説明すれば、
条件:群速度分散値dφ/dt
=(dφ/dt)L+(dφ/dt)+(dφ/dt
=最小値(理想条件=0)
φ/dt:透明物質(ファイバー等)の単位長さあたりの群速度分散値(正)
L:透明物質の長さ
φ/dt:顕微鏡42の群速度分散値(負)
φ/dt:プリズム対36、38による群速度分散値(負から正)
が成立すれば良い。
このうち、透明物質20の長さは要求するスペクトル拡散に従って決定され、顕微鏡42の群速度分散値は顕微鏡42固有のものであり、プリズム対36、38による群速度分散値は互いの頂角間距離が大きくなるにつれて負の群速度分散値から正の群速度分散値になるものである。従って、本分析装置ではプリズム対36、38の頂角間距離を光学系全体の群速度分散値が最小になる(0に近づく)ように設定することで分散を補償することとしている。具体的には、図1における左右方向に滑動させてプリズム対36、38における互いの頂角間距離を設定する。これによりプリズム対36、38の頂角間距離を設定すれば光学系全体の容易に分散を補償することができ、また分光器としてのプリズム対36、38を分散補償に同時に使用することとしている。
図2を参照すれば図1に示す本分析装置の実施形態の更に改良された実施形態が示されており、図1と同一の参照符号で示した構成要素は図1のものと同じものを示している。この実施形態では図1のように合成光パルス生成工程で生成された合成光パルスが直接顕微鏡42内の試料に照射される構成ではなく、一対の直角プリズム44,46を介して顕微鏡42内の試料に照射される構成をなしている。この直角プリズム44、46は斜面が互いに当接するように配設されており、図2では見やすいように互いの相対的大きさを近似させているが群速度分散値の可変量を大きくするために(詳細には後述する)実際には直角プリズム46に比して直角プリズム44は小さいものとなる。また、直角プリズム44は合成光パルスが透過されるように光路上に固定されている。さらに、直角プリズム46は直角プリズム44との当接面に沿って滑動させて位置決めすることができる(図2の矢印X参照)。すなわち、図2に示す直角プリズム対44、46は合成光パルスが透過する距離aを直角プリズム46を滑動させることで変化させる構成をなしている。
このような直角プリズム対44、46を付加した理由は、図1の本分析装置で分散補償が完全にできない場合を想定したものである。例えば、透明物質20が長く顕微鏡42自身の負の群速度分散値の絶対値に比して透明物質20の正の群速度分散値の絶対値が過大であるような場合、差分の群速度分散値をプリズム対36、38だけで補償することができない。なぜなら、プリズム対36、38の頂角間距離は上述するようにDMD40の大きさ(有効範囲)との相関上、所定以上短くすることはできず、差分を補償するために互いの頂角間距離を短くして負の群速度分散値を大きくするには限界があるからである。
このような場合を考慮して図2に示す実施形態では、補助分散補償手段として直角プリズム対44、46を使用することとしている。上述するように直角プリズム対44、46は合生光パルスの透過距離aを可変設定できるため透明物質20と顕微鏡42とプリズム対36、38で補償できなかった分散を容易に補償することができる。
詳細に説明すれば、
条件:群速度分散値dφ/dt
=(dφ/dt)L+(dφ/dt)+(dφ/dt)+(dφcp/dt
=最小値(理想条件=0)
φ/dt:透明物質(ファイバー等)の単位長さあたりの群速度分散値(正)
L:透明物質の長さ
φ/dt:顕微鏡42の群速度分散値(負)
φ/dt:プリズム対36、38による群速度分散値(正から負)
φcp/dt:直角プリズム対44、46による群速度分散値(負)
が成立すれば良い。
直角プリズム対44、46は、直角プリズムの一方(本実施形態では直角プリズム46)を大きくすればそれだけ透過距離が長くなり負の群速度分散値も大きくなる。従って、プリズム対36、38による群速度分散値よりも大きく(又はプリズム対36、38の代わりに)且つ可変な分散補償を達成することができる。従って、本分析装置では光学系全体としての分散補償が図1よりも更に容易になる。
以上、本発明の分析方法及び分析装置の実施形態について説明してきたが本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書に記載された発明の概要及び精神を逸脱しない範囲で種々の改良例、変形例が存在することを当業者は容易に理解されよう。例えば、実施形態においては生体細胞内の蛍光物質を分析することを前提にしていたが、本発明は分散補償光学系として幅広く活用できるものであり特に波長性依存物質の分析全般に使用することができる。また、実施形態ではプリズム対36、38による分光、分散補償に加えて直角プリズム44、46を付加する構成で説明したが、分光工程にプリズム対36、38ではない回折素子を使用し直角プリズム44、46を配設することも本発明に包含されることが理解されよう。
本発明の分析装置の実施形態の光学系を示す概略図である。 図1に示す実施形態の改良例を示す概略図である。 白色連続スペクトル光パルスのスペクトル拡散を例示する図である。
符号の説明
12…超短光パルスレーザ
20…透明物質
36、38…プリズム対
40…波長光選択手段(DMD)
42…顕微鏡
44、46…直角プリズム対

Claims (8)

  1. スペクトルを拡散させるための透明物質を介して超短光パルスから生成される白色連続スペクトル光パルスを分光する分光工程と、分光された各波長中の複数の目的波長光のみを選択する波長光選択工程と、選択された複数の目的波長光を合成することにより各目的波長光を含有する合成光パルスを生成する合成光パルス生成工程と、生成された前記合成光パルスを顕微鏡に配設された試料に照射する合成光パルス照射工程と、を有する前記複数の目的波長光に対応する前記試料中の目的の波長依存性物質のみを照射する複数の波長依存性物質を含む試料の分析方法であって、
    前記透明物質から試料までの光学系で、該透明物質と顕微鏡とで生じる光パルスの分散を補償する分散補償工程を有することで短パルス幅の目的波長光を試料に照射する、ことを特徴とする複数の波長依存性物質を含む試料の分析方法。
  2. 前記分光工程は、前記透明物質からの白色連続スペクトル光パルスをプリズムを用いた回折光学素子により分光させる工程からなり、前記合成光パルス生成工程は、前記波長光選択工程により選択された複数の目的波長光を前記分光工程と逆方向の光路で前記回折素子により合成する工程からなり、
    さらに、前記分散補償工程は、該分光工程と合成光パルス生成工程とにおいて同時になされる、ことを特徴とする請求項1に記載の複数の波長依存性物質を含む試料分析方法。
  3. 前記回折素子は所定の相対的位置関係を有する一対のプリズムを有し、該相対的位置関係は該一対のプリズムを透過した光パルスが前記波長光選択工程において複数の目的波長を選択可能な範囲内であり且つ前記透明物質の群速度分散値と前記顕微鏡の群速度分散値とを加算した値に加算すれば0に近づくような群速度分散値を有するように設定される、ことを特徴とする請求項2に記載の複数の波長依存性物質を含む試料分析方法。
  4. 前記合成光パルス生成工程と前記合成光パルス照射工程との間に、前記合成光パルス生成工程により生成された合成光パルスを互いに斜面で当接するように配設された一対の直角プリズムに透過させる補助分散補償工程を更に有し、
    該一対の直角プリズムは、前記透明物質の群速度分散値と前記顕微鏡の群速度分散値と前記回折素子の群速度分散値とを加算した値に加算すれば最小になるような群速度分散値を有するように該直角プリズム内における前記合成光パルスの透過距離に設定することによって互いに相対的に位置決めされる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の複数の波長依存性物質を含む試料分析方法。
  5. 複数の目的波長光に対応する試料中の目的の波長依存性物質のみを照射する複数の波長依存性物質を含む試料の分析装置であって、
    超短光パルスのスペクトルを拡散させて白色連続スペクトル光パルスを生成するための透明物質と、
    該白色連続スペクトル光パルスを分光する分光光学系と、
    該分光された各波長中の複数の目的波長光のみを選択する波長光選択手段と、
    該選択された複数の目的波長光を合成することにより各目的波長光を含有する合成光パルスを生成する合成光パルス生成光学系と、
    該生成された前記合成光パルスを顕微鏡に配設された試料に照射する合成光パルス照射光学系とを備え、
    前記透明物質と前記顕微鏡と前記分光光学系と前記合成光パルス生成光学系それぞれの光学系で生じた分散がこれらの光学系を介して試料に到達するまでに補償されて短パルス幅の目的波長光を試料に照射する、ことを特徴とする複数の波長依存性物質を含む試料の分析装置。
  6. 前記分光光学系と前記合成光パルス生成光学系とはプリズムを用いた同一の回折素子で構成され、
    該回折素子は、前記透明物質からの白色連続スペクトル光パルスを分光して前記波長光選択手段に伝送するとともに、該波長光選択工程により選択された複数の目的波長光を合成する、ことを特徴とする請求項5に記載の複数の波長依存性物質を含む試料の分析装置。
  7. 前記回折素子は所定の相対的位置関係を有する一対のプリズムを有し、該相対的位置関係は該一対のプリズムを透過した光パルスが前記波長光選択手段において複数の目的波長を選択可能な範囲内であり且つ前記透明物質の群速度分散値と前記顕微鏡の群速度分散値とを加算した値に加算すれば0に近づくような群速度分散値を有するように設定される、ことを特徴とする請求項6に記載の複数の波長依存性物質を含む試料の分析装置。
  8. 前記合成光パルス生成光学系と前記合成光パルス照射光学系との間の光路上に互いに斜面を当接するように配設した一対の直角プリズムを有し、該一対の直角プリズムは両直角プリズムを透過する合成光パルスの光路長さが変化するように互いの当接面に沿って相対的に滑動させて位置決めすることが可能であり、さらに、前記透明物質の群速度分散値と前記顕微鏡の群速度分散値と前記回折素子の群速度分散値とを加算した値に加算すれば最小になる群速度分散値を有するように位置決めされる、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の複数の波長依存性物質を含む試料の分析装置。
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