JP2005172223A - スラスト動圧軸受とこれを用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘリングボーン溝のスラスト動圧軸受の気泡に起因する潤滑油漏れを防ぎ、軸受性能を安定させ、信頼性および耐久性を向上させること。
【解決手段】動圧発生用のポンプインタイプのヘリングボーン溝130よりも深い補助溝140を設けて、軸受内周部から軸受外周部にかけて緩やかに下降する圧力勾配で結ぶことにより、補助溝140を通じて軸受内周部に存在する気泡が軸受外周部に導かれ、気液境界面から軸受外部に排出されるため、気泡に起因した潤滑油漏れが防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】動圧発生用のポンプインタイプのヘリングボーン溝130よりも深い補助溝140を設けて、軸受内周部から軸受外周部にかけて緩やかに下降する圧力勾配で結ぶことにより、補助溝140を通じて軸受内周部に存在する気泡が軸受外周部に導かれ、気液境界面から軸受外部に排出されるため、気泡に起因した潤滑油漏れが防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、高速回転を円滑に行なう回転機械において、軸線方向の荷重支持を行なうスラストタイプの動圧軸受に関し、特に、潤滑油に混入した気泡を軸受内周部に滞留させることなく容易に排除可能なスラスト動圧軸受とこれを用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置に関するものである。
ハードディスク装置等の情報記録再生装置の記録メディアを回転させるスピンドルモータにおいて、ロータの軸線方向の荷重を支持するとともにロータの回転振れを抑制するための手段として、中間屈曲部を持つヘリングボーン溝によって動圧を発生するスラストタイプの動圧軸受が種々提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
最初にヘリングボーン溝によって動圧を発生するスラストタイプの動圧軸受について図14、図15により簡単に説明する。図14(a)は従来のスラスト動圧軸受の構成を説明する断面図、図14(b)は従来の別のスラスト動圧軸受の構成を説明する断面図、図14(c)は従来のスラスト動圧軸受の軸受面の溝パターン形状を示す図であり、図15は従来のスラスト動圧軸受のヘリングボーン溝の半径方向断面の圧力分布を示すグラフである。
図14(a)、(b)は従来のヘリングボーン溝のスラスト動圧軸受を示しており、図14(a)は軸受面11が軸受回転側部材10の表面側に、また図14(b)は軸受面21が軸受回転側部材10の裏面側に形成されている例である。回転中心軸1の軸線方向に、潤滑油50が充填された微小すき間を介して対向する軸受回転側部材10の軸受面11と軸受固定側部材20の軸受面21とで構成され、微小すき間の外周側には、潤滑油と空気との気液境界面51を形成するシール部が設けられ、軸受回転側部材10の軸受面11には、図14(c)に示す動圧を発生するための複数のヘリングボーン溝30が所定のピッチで形成されている。
軸受回転側部材10が図14中の矢印の方向に回転すると潤滑油50に動圧が誘起され、ヘリングボーン溝30の中間屈曲部31付近で動圧が最大となる圧力ピークが現れ、軸受半径方向断面S−S’の圧力分布は図15に示すように、中間屈曲部31付近を頂点として半径方向内側および外側に向かって低下する。ヘリングボーン溝30を有するスラスト動圧軸受は、この圧力ピーク部分で軸受回転側部材10の軸線方向の荷重を支持している。
ヘリングボーン溝30を有するスラスト動圧軸受は、回転中心軸1から半径方向に離れたヘリングボーン溝30の中間屈曲部31に圧力ピークが現れるため、軸受の中心部に圧力ピークが現れるスパイラル溝のスラスト動圧軸受に比べて回転剛性が高い。すなわち、スパイラル溝のスラスト動圧軸受は軸線方向の荷重を支持するだけであるのに対して、ヘリングボーン溝のスラスト動圧軸受は軸線方向の荷重を支持するだけでなく、回転剛性が高いことにより軸受回転側部材10の回転振れを抑制する働きも併せ持っている。そのため、ラジアル軸受長さを十分に確保することが困難な薄型のスピンドルモータのスラスト動圧軸受として適している。
通常、ヘリングボーン溝30を有するスラスト動圧軸受では、内径側にある、いわゆるポンプアウト部を流れる流体に回転に伴う遠心力が加わるため、スラスト動圧軸受のすき間の軸芯付近では流体を外径側に引き込もうとする力が強く働く。そのため、高速回転下では、ポンプアウト部よりも内径側の領域で負圧を生じやすい。このような負圧下では、流体中に気泡が発生しやすく、この気泡は軸受性能、特にスラスト動圧軸受の性能低下を起こすと考えられている。そして、この気泡の発生を抑えるために、ヘリングボーン溝30の中間屈曲部31を内径側に変位させて、内径側のポンプアウト部より外形側にあるポンプイン部のポンプ作用を強化して内径側の領域での負圧の発生を抑え、気泡の発生を防止する提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
また、何らかの理由で潤滑油50中に気泡が混入した場合、気泡は圧力勾配に沿って圧力が高い方から低い方へ移動する。そして、上述したように、スラスト動圧軸受の半径方向断面の圧力分布は、断面位置によらず図15に示すようにヘリングボーン溝30の中間屈曲部31付近に頂点を持ち、半径方向の内側および外側に向かって低くなる山型の分布になる。このため、混入した気泡は図15に示すように、中間屈曲部の圧力ピークを境にして圧力の低い軸受内周部または軸受外周部へ移動し、軸受外周部へ移動した気泡は気液境界面51から軸受外部に排出されるが、軸受内周部へ移動した気泡は排出されずにそのまま軸受内周部に滞留することとなる。このようにして軸受の中に気泡が存在すると、気泡は回転体の回転とは同期せずに回転することになり、軸受剛性が回転中に変動して、回転非同期の振れを発生して軸の安定な回転動作を損なうのみならず、軸受内周部に気泡が滞留すると、減圧環境下や高温環境下に置かれた場合、気泡が膨張して潤滑油を軸受外部に押し出し潤滑油漏れを引き起こし、漏れ出た潤滑油により軸受外部を汚染することになるので、軸受部に発生したり、滞留したりする気泡を除去するための各種の提案がなされている(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5等参照)。
次に、スラスト動圧軸受の軸受部に発生したり、滞留したりする気泡を除去する方法の例について説明する。
図16(a)に示したのは、気泡を除去する構成の一例であり、スラスト動圧軸受の軸受面の溝パターン形状を示す図である。この例では、上述のヘリングボーン溝を有するスラスト動圧軸受ではなく、スパイラル溝を有するスラスト動圧軸受の構成となっている。図16(a)において、スパイラル溝150aを有するスラスト軸受部150の半径方向内方側には、スラスト軸受部150となるハウジング部151の上端面に設けられた動圧を発生させるスパイラル溝150aの半径方向内方側端部からスリーブ152の端面の半径方向内方側端部に至る放射状溝153が設けられている。潤滑油内に混入した気泡は、回転時にこの放射状溝153によって撹拌されて細かく分解され、軸線方向溝155と連通孔154からなる軸受間隙内から排出されることになり、潤滑油内に混入する気泡の排出を可能にするものである。
また、図16(b)に示したのは、気泡を除去する構成の別の一例であって、スラスト動圧軸受の軸受面の別の溝パターン形状を示す図である。この別の例も、上述のヘリングボーン溝を有するスラスト動圧軸受ではなく、スパイラル溝を有するスラスト動圧軸受が用いられている。図16(b)において、スラスト軸受部150となるスリーブ152の上端面に設けられた動圧を発生させる動圧発生溝としてポンプイン型の2種類のスパイラル溝150a、150bを設けている。片方は通常の動圧発生用のスパイラル溝150aであるが、もう一方のスパイラル溝150bは、少なくとも一本あって、他の通常のスパイラル溝150aよりも半径方向内方側に延伸し、かつ周方向の幅寸法が大となるように形成されている。もう一方のスパイラル溝150bは、周方向の幅寸法を大とすることにより気泡を集め、さらに、半径方向内方側に延伸することにより気泡の排出を可能にしている。
特許第3155529号公報(第4項、図6)
特開2001−173645号公報(第3頁、図3)
特開2004−112874号公報(第5頁、図3)
特開2004−132535号公報(第6−8頁、図2)
特開2004−183768号公報(第6−8頁、図2)
しかしながら、ヘリングボーン溝を有するスラスト動圧軸受において、ヘリングボーン溝30の中間屈曲部31を内径側に変位させて、内径側のポンプアウト部より外形側にあるポンプイン部のポンプ作用を強化して内径側の領域での負圧の発生を抑え、気泡の発生を防止する構成のスラスト動圧軸受は、中間屈曲部31の設定位置および動圧発生溝のグルーブ形状の設計に時間を要するのみならず、通常のヘリングボーン溝よりも高い精度が要求されるので、部材コストが上昇するという新たに生ずる課題を解決しなければならない。
また、スラスト動圧発生部に発生したり滞留したりする気泡を排出する各種の提案は、スパイラルタイプのスラスト動圧発生部に対するものが大部分で、ヘリングボーンタイプのスラスト動圧発生部に対するものはほとんど見当たらない。スラスト動圧発生部の場合、スパイラルタイプとヘリングボーンタイプでは動圧を発生させる基本的原理自体は同じであるが、流体の流れ方が異なっている。すなわち、スパイラルタイプでは流体がスラスト動圧発生部の円周外側から内側または円周内側から外側の一方向にしか流れないのに対し、ヘリングボーンタイプのスラスト動圧発生部では流体が円周外側および内側の両側から中間屈曲部に向かって流れることが異なっている。そのため、上述した、放射状溝を別に設ける提案や、複数ある動圧発生溝の一部を延伸させたり、周方向の幅寸法を大とする提案はスパイラルタイプのスラスト動圧発生部に対しては効果があると思われるものの、ヘリングボーンタイプのスラスト動圧発生部に対しては適用させることはほとんどできないものと考えざるを得ない。
さらに、スパイラルタイプのスラスト動圧発生部に放射状溝を別に設けたり、複数ある動圧発生溝の一部を延伸させたり、周方向の幅寸法を大とするためには、スラスト動圧発生部を形成する円形状の平面の面積が余分に必要になり、軸受部が大きくなるため、小型化が必要とされる用途には利用が難しいという課題が生じていた。また、スラスト動圧発生部が形成される円形状の平面の面積を変更せずに、上述した提案を実現するには、スパイラルタイプのスラスト動圧発生部を形成する部分の面積を縮小させなければならず、この場合には、発生する動圧の大きさが減少することになり、スラスト軸受としての動作が困難になって重大な品質トラブルを生ずる可能性が残されており、解決すべき課題となっていた。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたもので、ヘリングボーン溝によって動圧を発生するスラスト動圧軸受において、簡易な構成で、またスラスト動圧軸受部自体の大きさ等の設計上の変更を必要とせずに、潤滑油に混入した気泡を軸受内周部に滞留させることなく軸受外周部に導き、潤滑油の気液境界面から軸受外部に排出することを可能にし、気泡に起因する潤滑油漏れを防止し、安定した軸受性能を得ることが可能であるとともに、信頼性および耐久性の高いスラスト動圧軸受とこれを用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のスラスト動圧軸受は、軸線方向に微小すき間を介在して対向する軸受面をそれぞれ有する軸受回転側部材と軸受固定側部材とを備え、微小すき間には潤滑油が充填され、軸受回転側部材の軸受面と軸受固定側部材の軸受面のうち一方に中間屈曲部を有するヘリングボーン形状の複数の動圧発生溝が形成されており、軸受回転側部材が回転すると、動圧発生溝により潤滑油の動圧が誘起されることによって回転が保持されるスラスト動圧軸受であって、軸受の内周部と外周部を結ぶ補助溝を少なくとも一本設ける構成を有している。また、補助溝の深さを動圧発生溝よりも深くした構成を有したり、補助溝の深さが動圧発生溝の深さの3倍から5倍の範囲にある構成を有していてもよい。
また、ヘリングボーン形状の動圧発生溝が中間屈曲部から半径方向外側部分の面積が半径方向内側部分の面積よりも大きい構成、動圧発生溝と補助溝はともに軸受固定側部材の軸受面に設けられた構成、あるいは、動圧発生溝と補助溝はともに軸受回転側部材の軸受面に設けられた構成、補助溝の形状がポンプインタイプのスパイラル溝である構成や、補助溝の形状が直線溝である構成のみならず、動圧発生溝は軸受回転側部材の軸受面に設けられ、補助溝は軸受固定側部材の軸受面に設けられた構成や、動圧発生溝は軸受固定側部材の軸受面に設けられ、補助溝は軸受回転側部材の軸受面に設けられた構成を有することもできる。
これらの構成により、補助溝内部の圧力勾配は圧力の高い軸受内周部から圧力の低い外周部に向かって緩やかに下降するため、ヘリングボーン溝の中間屈曲部付近に発生する圧力ピークによって軸受内周部に滞留していた気泡を、この補助溝を通じて外周部に導き軸受外部に確実に排出することが可能となる。
さらに、本発明のスラスト動圧軸受は、補助溝がヘリングボーン形状の動圧発生溝の中間屈曲部を避けて設けられた構成を有することもできる。
この構成により、補助溝がヘリングボーン溝の動圧発生作用に与える影響を最小限に抑えることが可能となり、従来のスパイラルタイプのスラスト動圧発生部において気泡を排出させるために、放射状溝を別に設けたり、複数ある動圧発生溝の一部を延伸させたり、周方向の幅寸法を大とするようにしていた方法に比べ、スラスト動圧発生部の動圧発生能力は格段に大きくすることができる。
また、上記の課題を解決するために、本発明のスピンドルモータは、外周側に回転磁石が固着されたフランジ部と内周側に設けられた中空円筒部とからなって回転中心を有する固定軸の周りを回転するロータ部と、コイルが巻回されて回転磁石に対向して固着されたステータと、中空円筒部の外周面に対向する内周面およびフランジ部の下端面に対向する上端面を有する円環状の軸受固定側部材とを備え、微小すき間を介在して軸受固定側部材の上端面と対向するフランジ部の下端面とにより、いずれか一方に中間屈曲部を有するヘリングボーン形状の複数の動圧発生溝が形成されており、微小すき間には潤滑油が充填され、ロータが回転すると、動圧発生溝により潤滑油に動圧が誘起されることで回転が保持されるスラスト動圧軸受を有するスピンドルモータであって、スラスト動圧軸受にはその内周部と外周部とを結ぶ補助溝を少なくとも一本設けられている構成を有している。また、補助溝が動圧発生溝よりも深い構成や、補助溝の形状がポンプインタイプのスパイラル溝である構成を有していてもよい。
これらの構成により、気泡に起因する潤滑油漏れのない安定した性能の信頼性および耐久性の高いスピンドルモータを実現することができる。
また、上記の課題を解決するために、本発明の情報記録再生装置は、ディスクと、ディスクに形成された記録媒体に記録再生するための信号変換素子と、記録媒体の所定のトラック位置に位置決めするための揺動手段と、外周側に回転磁石が固着されたフランジ部と内周側に設けられた中空円筒部とからなって回転中心を有する固定軸の周りを回転するロータ部と、コイルが巻回されて回転磁石に対向してシャーシに固着されたステータと、中空円筒部の外周面に対向する内周面およびフランジ部の下端面に対向する上端面を有する円環状の軸受固定側部材とを有し、かつ、微小すき間を介して軸受固定側部材の上端面と対向するフランジ部の下端面とにより、いずれか一方に中間屈曲部を有するヘリングボーン形状の複数の動圧発生溝が形成されており、微小すき間には潤滑油が充填され、ロータ部が回転すると、動圧発生溝により潤滑油に動圧が誘起されることで回転が保持されるスラスト動圧軸受が構成されているスピンドルモータとを有する情報記録再生装置であって、スラスト動圧軸受にはその内周部と外周部とを結ぶ補助溝を少なくとも一本設けられている構成を有している。また、補助溝が動圧発生溝よりも深い構成や、補助溝の形状がポンプインタイプのスパイラル溝である構成を有していてもよい。
これらの構成により、潤滑油漏れによるコンタミ発生がない信頼性および耐久性の高い情報記録再生装置を実現することができる。
本発明のスラスト動圧軸受によれば、単純な補助溝を追加することにより潤滑油に混入した気泡を軸受内周部に滞留させることなく確実に排出することが可能となるので、気泡に起因する潤滑油漏れを防止することができ、安定した軸受性能を得ることができるとともに、軸受の信頼性および耐久性を向上することができるという優れた効果を有している。
また、このようなスラスト軸受を用いることにより、単純な補助溝を追加することで確実に軸受内部の気泡を排出することが可能になるので、高い信頼性および耐久性を有するスピンドルモータを実現できるとともに、より小径薄型のスピンドルモータを実現でき、さらには、このスピンドルモータを搭載することにより高い信頼性および耐久性を備えた情報記録再生装置を実現することができるとともに、機器の小型化・薄型化を図ることができるという大きな効果を有している。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受について図1から図5を用いて説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の回転側部材の軸受面の概略図、図1(b)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の固定側部材の軸受面の概略図、図2は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の軸受部断面の圧力分布図、図3は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受に設ける補助溝断面の圧力分布を補助溝の深さをパラメータとして示す図、図4(a)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の軸受回転側部材の軸受面に動圧発生溝および補助溝を設けた場合の構成図、図4(b)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の軸受固定側部材の軸受面に動圧発生溝および補助溝を設けた場合の構成図、図5(a)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合の軸受回転側部材または軸受固定側部材の軸受面の概略図、図5(b)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合に、軸受固定側部材または軸受回転側部材の軸受面の概略図をそれぞれ示している。図1および図4に示した本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受では、動圧発生用のヘリングボーン溝が形成された軸受面に、潤滑油に混入した気泡を排出するために補助溝を形成した点が、図14に示した従来のスラスト動圧軸受と異なるが、それ以外の基本的な構成は同様であるので、重複する内容については詳しい説明を省略する。また、図14と同様の構成要素には同一の符号を付している。
本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受について図1から図5を用いて説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の回転側部材の軸受面の概略図、図1(b)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の固定側部材の軸受面の概略図、図2は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の軸受部断面の圧力分布図、図3は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受に設ける補助溝断面の圧力分布を補助溝の深さをパラメータとして示す図、図4(a)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の軸受回転側部材の軸受面に動圧発生溝および補助溝を設けた場合の構成図、図4(b)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の軸受固定側部材の軸受面に動圧発生溝および補助溝を設けた場合の構成図、図5(a)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合の軸受回転側部材または軸受固定側部材の軸受面の概略図、図5(b)は本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合に、軸受固定側部材または軸受回転側部材の軸受面の概略図をそれぞれ示している。図1および図4に示した本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受では、動圧発生用のヘリングボーン溝が形成された軸受面に、潤滑油に混入した気泡を排出するために補助溝を形成した点が、図14に示した従来のスラスト動圧軸受と異なるが、それ以外の基本的な構成は同様であるので、重複する内容については詳しい説明を省略する。また、図14と同様の構成要素には同一の符号を付している。
図1、図2および図4において、回転中心軸1の軸線方向に、潤滑油(図示せず)が充填された微小すき間を介して対向する軸受回転側部材10の軸受面11と軸受固定側部材20の軸受面21とで構成され、微小すき間の外周側には、潤滑油と空気との気液境界面(図示せず)を形成するシール部が設けられ、図1(a)の左上部に拡大部分斜視図を円で囲んで示すように、軸受回転側部材10の軸受面11には複数の動圧発生用の中間屈曲部131を持つヘリングボーン溝130が所定のピッチで形成されている。ヘリングボーン溝130は、軸受内周部の圧力を軸受外周部よりも高くするためにポンプインタイプになっており、中間屈曲部131から半径方向外側部分132の面積が、半径方向内側部分133の面積よりも大きくなるように中間屈曲部131の位置が決められている。
また、同じ軸受面11上に少なくとも一本の気泡を排出するためのポンプインタイプのスパイラル形状の補助溝140が形成されている。図1および図4には、補助溝140が三本形成された例を示しているが、二本以上設けるときは、補助溝140は所定のピッチで等間隔に形成される。さらに、補助溝140がヘリングボーン溝130の動圧発生作用に与える影響を最小限にするために、補助溝140はヘリングボーン溝130の中間屈曲部131と干渉しないように中間屈曲部131を避けて形成されている。一方、図1(b)に示すように、軸受回転側部材10の軸受面11と対向する軸受固定側部材20の軸受面21は平滑面である。
このように構成されたスラスト動圧軸受では、軸受回転側部材10が矢印Aの方向に回転すると、潤滑油はヘリングボーン溝130の半径方向外側部分132と半径方向内側部分133に沿って中間屈曲部131に向かって流れるため、中間屈曲部131に動圧が最大となる圧力ピークが現れ、軸受半径方向の圧力分布は中間屈曲部131付近を頂点にして、軸受外周部および軸受内周部に向かって下降する山型の分布になる。
このとき、ヘリングボーン溝130は、中間屈曲部131から半径方向外側部分132の面積が、半径方向内側部分133の面積よりも大きい、いわゆるポンプインタイプであるので、ヘリングボーン溝130の半径方向外側部分132が潤滑油を内周側へ圧送する力の方が、半径方向内側部分133が潤滑油を外周側へ圧送する力よりも大きくなるため、軸受内周部の圧力は、軸受外周部よりも高くなる。
一方、補助溝140の溝深さは動圧発生用のヘリングボーン溝130よりも深いため、補助溝140では動圧がほとんど発生せず、補助溝140の圧力は、ポンプインタイプのヘリングボーン溝130の効果で軸受外周部よりも圧力が高い軸受内周部から、気液境界面で外部の空気と接している軸受外周部に向かって緩やかに下降する圧力分布となる。
図2は、上述の説明に基づき、図1(a)中に示した補助溝140を縦断するB−B’線断面とヘリングボーン溝130の中間屈曲部131を通過するC−C’線断面における圧力分布を示したものである。図2中、B−B’線断面における圧力分布を実線で示し、C−C’線断面における圧力分布を点線で示している。
図1(a)に示したスラスト動圧発生部において、補助溝140のない領域では、圧力分布は図2に点線で示した、C−C’線断面における圧力分布と同様に、中間屈曲部131近傍に頂点を持つ山型の分布となるため、中間屈曲部131よりも外周側に存在する気泡B1は圧力勾配に沿って軸受外周部へ移動し排出されるが、中間屈曲部131よりも内周側に存在する気泡B2は圧力の頂点を超えられないため、軸受内周部に集まってくる。ところが、補助溝140の部分では、圧力分布は図2に実線で示したように軸受内周部から軸受外周部に向けて緩やかに下降しているので、軸受内周部に集まった気泡B3は補助溝140を通って軸受外周部へ移動し、気液境界面から軸受外部へ排出される。
したがって、スラスト動圧発生部に備わるヘリングボーン溝130の中間屈曲部131を通過しないように、ラジアル方向に横切るような補助溝140を追加することによって、潤滑油に混入した、あるいは滞留している気泡を確実に軸受外部に排出することが可能となる。このような、ヘリングボーン溝130に形成する補助溝140は、中間屈曲部131と干渉しないように中間屈曲部131を避けて設けているので、動圧発生作用に与える影響を最小限に留められるので、従来のスパイラルタイプのスラスト動圧発生部において気泡を排出させるために、放射状溝を別に設けたり、複数ある動圧発生溝の一部を延伸させたり、周方向の幅寸法を大とする方法に比べ、本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧発生部の動圧発生能力は格段に大きい。
次に、図3を用いて、動圧発生部に備わるヘリングボーン溝130に設けた補助溝140の深さと気泡排出能力の関係について説明する。図3は、図1(a)に示したスラスト動圧発生部で、ヘリングボーン溝130の中間屈曲部131を通らないB−B’線に沿って横切る補助溝140の深さを変化させたときのラジアル方向の位置に対する圧力分布を示している。補助溝140の深さは、ヘリングボーン溝130の深さに対する倍率Nで変化させており、ヘリングボーン溝130と同じ深さのN=1からヘリングボーン溝130の深さの10倍にあたるN=10まで変化させている。
図3において、補助溝の深さがヘリングボーン溝の2倍以下の、N=1、N=1.5、N=2では、圧力分布に山が存在しており、スラスト軸受内周の気泡の排出は困難と考えられる。N=2以下で、補助溝140の深さがヘリングボーン溝130の深さに近い場合、ヘリングボーン溝130の圧力の影響が補助溝140にまで及ぶため圧力分布に山ができると考えられる。
そして、N≧3となる、補助溝140の深さがヘリングボーン溝130の深さの3倍以上では、圧力分布の山がなくなり、圧力は軸受内周から外周に向かって小さくなっていくため、軸受内周の気泡はスムーズに排出されることになる。特に、N=3〜N=5となる3倍から5倍の倍率範囲では圧力勾配が大きいため、気泡排出の能力が大きいと考えられるが、補助溝140が深くなるほど圧力勾配が小さくなるため、気泡排出の能力が小さくなっていく。N=3〜N=5の倍率範囲で圧力勾配が大きいのは軸受内周の圧力が高いためである。実際、図3に示されているように、N=3〜N=5の倍率範囲では軸受最内周の圧力が1倍よりも高くなっている。このことは、スパイラル形状の補助溝140のポンプイン作用によって、潤滑油が軸受内周に向かって流れようとするために、軸受内周の圧力が上昇することに起因すると考えられる。一方、N≧6となる、倍率6倍以上では、補助溝140が深すぎて、ポンプイン作用が小さくなるため、軸受最内周の圧力上昇は小さくなっている。
上述の説明をまとめると、補助溝140の深さがヘリングボーン溝130の深さの2倍以下では、圧力分布に山ができるため気泡排出は困難であり、また、6倍以上では圧力勾配が小さいため気泡排出の効果は小さいのに対し、補助溝140の深さがヘリングボーン溝130の深さの3倍〜5倍の範囲が、圧力勾配が大きく、気泡排出の効果が大きいという結論になる。補助溝140の溝深さをヘリングボーン溝130の溝深さの3倍〜5倍の範囲で形成すれば、スパイラル形状の補助溝140のポンプイン作用が大きく、かつ、ヘリングボーン溝130の圧力の影響を受けないと言える。したがって、補助溝140の深さをヘリングボーン溝130の深さの3倍から5倍に形成することが好ましく、圧力勾配が最大になるヘリングボーン溝の3倍の深さに形成することが最も望ましい。
一方、補助溝140の溝幅は、ヘリングボーン溝130より狭くすると、ポンプイン作用が小さくなり、ヘリングボーン溝130より広くすると、ヘリングボーン溝130の動圧発生効果への影響が大きくなるので、ヘリングボーン溝130と同程度の溝幅が好ましい。
なお、上記の説明では、図4(a)に斜視図で示したように軸受回転側部材10の軸受面11にヘリングボーン溝130と補助溝140を形成し、軸受固定側部材20の軸受面21を平滑面としたが、本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受はこれに限定されるものではなく、図4(b)のように軸受固定側部材20の軸受面21にヘリングボーン溝130と補助溝140を形成し、軸受回転側部材10の軸受面11を平滑面としてもよい。
また、上記の説明では、スラスト動圧発生部に設ける補助溝140はポンプインタイプのスパイラル形状としたが、図5に示すように、直線状に溝を形成して補助溝140を設けてもよい。すなわち、軸受回転側部材10の軸受面11、または、軸受固定側部材20の軸受面21にヘリングボーン溝130と直線状の補助溝140を形成し、これに対向する軸受固定側部材20の軸受面21、または、軸受回転側部材10の軸受面11を平滑面とする。
また、上記の説明に用いた図では、スラスト動圧発生部に設ける補助溝140の本数を三本としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助溝140は一本であっても二本であっても、また四本であってもかまわない。ただし、補助溝140の本数が多くなるほどヘリングボーン溝130の動圧発生効果を抑制することになるので、補助溝を過度に多く形成する必要はない。
(実施の形態2)
本発明の形態2におけるスラスト動圧軸受について図6から図8を用いて説明する。図6(a)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の回転側部材の軸受面の概略図、図6(b)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の固定側部材の軸受面の概略図、図7(a)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の軸受回転側部材の軸受面に動圧発生溝を設け、軸受固定側部材の軸受面に補助溝を設けた場合の構成図、図7(b)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の軸受回転側部材の軸受面に補助溝を設け、軸受固定側部材の軸受面に動圧発生溝を設けた場合の構成図、図8(a)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合の軸受回転側部材または軸受固定側部材の軸受面の概略図、図8(b)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合に、軸受固定側部材または軸受回転側部材の軸受面の概略図をそれぞれ示している。
本発明の形態2におけるスラスト動圧軸受について図6から図8を用いて説明する。図6(a)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の回転側部材の軸受面の概略図、図6(b)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の固定側部材の軸受面の概略図、図7(a)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の軸受回転側部材の軸受面に動圧発生溝を設け、軸受固定側部材の軸受面に補助溝を設けた場合の構成図、図7(b)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の軸受回転側部材の軸受面に補助溝を設け、軸受固定側部材の軸受面に動圧発生溝を設けた場合の構成図、図8(a)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合の軸受回転側部材または軸受固定側部材の軸受面の概略図、図8(b)は本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受の直線溝を補助溝とした場合に、軸受固定側部材または軸受回転側部材の軸受面の概略図をそれぞれ示している。
図6、および図7に示した本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受では、動圧発生用のヘリングボーン溝が形成された軸受回転側部材10の軸受面11と対向する軸受固定側部材20の軸受面21に、軸受内周部に滞留する気泡を排出するための補助溝140を形成した点が、図1、図2および図4に示した本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧軸受と異なるが、それ以外の基本的な構成は同様であるので、重複する内容については詳しい説明を省略する。また、図1、図4と同様の構成要素には同一の符号を付している。
図6、図7において、回転中心軸1の軸線方向に、潤滑油(図示せず)が充填された微小すき間を介して対向する軸受回転側部材10の軸受面11と軸受固定側部材20の軸受面21とで構成され、微小すき間の外周側には、潤滑油と空気との気液境界面(図示せず)を形成するシール部が設けられ、図6(a)に示すように、軸受回転側部材10の軸受面11には複数の動圧発生用の中間屈曲部131を持つヘリングボーン溝130が所定のピッチで等間隔に形成されている。ヘリングボーン溝130は、軸受内周部の圧力を軸受外周部よりも高くするためにポンプインタイプになっており、中間屈曲部131から半径方向外側部分132の面積が、半径方向内側部分133の面積よりも大きくなるように中間屈曲部131の位置が決められている。
また、図6(b)に示すように、軸受面11に対向する軸受固定側部材20の軸受面21には数本のポンプインタイプのスパイラル形状の補助溝140が所定のピッチで等間隔に形成されている。このスパイラル形状の補助溝140はポンプインタイプであるので、補助溝140自体が潤滑油中の気泡をスラスト動圧発生部において内周側から外周側に潤滑油の移動とともに排出する。これのみならず、補助溝140はスラスト動圧発生部の内周側に存在する気泡を細分化し、補助溝140とヘリングボーン溝130で発生する動圧の差により、細分化した気泡を補助溝140の方に移動させてスラスト動圧発生部の外周側に排出する。
本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧発生部に設ける補助溝140の溝深さについては、本発明の実施の形態1におけるスラスト動圧発生部に設けた補助溝140の溝深さの説明に用いた図3をそのまま適応させることはできないが、図3を参考にして、次のように考えることができる。すなわち、補助溝140の深さがヘリングボーン溝130の深さの2倍以下では、気泡の細分化は可能であるが、補助溝140とヘリングボーン溝130で発生する動圧の圧力差が小さいため気泡排出は困難であり、また、6倍以上では内周側と外周側の圧力勾配が小さくなるため気泡排出の効果は小さいと考えられるのに対し、補助溝140の深さがヘリングボーン溝130の深さの3倍〜5倍の範囲では、細分化した気泡をヘリングボーン溝130から補助溝140に移動させるのに十分な動圧の圧力差が得られ、さらに内周側と外周側の圧力勾配も十分大きくなって、気泡排出の効果が大きいと考えられる。したがって、本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧発生部に設けた補助溝140の溝深さについても、ヘリングボーン溝130の溝深さの3倍から5倍が望ましい。また、補助溝140の溝幅は、ヘリングボーン溝130より狭くすると、ポンプイン作用が小さくなり、ヘリングボーン溝130より広くすると、発生する動圧の圧力差を大きくできないので、ヘリングボーン溝130と同程度の溝幅が好ましい。
以上述べたように、回転側軸受面11にヘリングボーン溝130を形成し、対向する固定側軸受面に複数のラジアル形状の補助溝140を形成したスラスト動圧軸受では、上記で説明したような作用と効果が得られ、潤滑油に混入し、あるいは滞留している気泡を確実に軸受外部に排出することができる。そして、従来のスパイラルタイプのスラスト動圧発生部において、放射状溝を別に設けたり、複数ある動圧発生溝の一部を延伸させたり、周方向の幅寸法を大とすることにより気泡を排出させる方法に比べ、本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧発生部の気泡排出効果がはるかに大きく、動圧発生作用に及ぼす影響も少ない。
なお、上記の説明では、図7(a)に示したように軸受回転側部材10の軸受面11にヘリングボーン溝130を形成し、軸受固定側部材20の軸受面21に補助溝140を形成する構成としたが、本発明の実施の形態2におけるスラスト動圧軸受は、これに限定されるものではなく、図7(b)のように軸受固定側部材20の軸受面21にヘリングボーン溝130を形成し、軸受回転側部材10の軸受面11に補助溝140を形成してもよい。
また、上記の説明では、スラスト動圧発生部に設ける補助溝140はスパイラル形状としたが、図8に示すように、直線状に溝を形成して補助溝140を設けてもよい。すなわち、軸受回転側部材10の軸受面11、または、軸受固定側部材20の軸受面21にヘリングボーン溝130を形成し、これに対向する軸受固定側部材20の軸受面21、または、軸受回転側部材10の軸受面11に直線状の補助溝140を形成する。
また、上記の説明に用いた図では、スラスト動圧発生部に設ける補助溝140の本数を三本としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助溝140は二本であっても四本であってもかまわない。ただし、補助溝140の本数はヘリングボーン溝130の本数の公約数でない方がよく、補助溝140の本数が多くなるほどヘリングボーン溝130の動圧発生効果を抑制することになるので、補助溝を過度に多く形成する必要はない。
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3においては、スラスト動圧軸受を用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置について図9から図13を参照して説明する。図9は本発明の実施の形態3におけるスラスト動圧軸受を用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置の主要部の概略断面図、図10は本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータの動圧軸受部の拡大断面図、図11は本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータの動圧軸受部の固定側軸受面の構成を示す斜視図、図12は本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータのスラスト動圧軸受の半径方向断面およびラジアル動圧軸受の軸線方向の圧力分布図、図13は本発明の実施の形態3のスピンドルモータおよびディスク装置の他の一例を示す概略断面図である。ここで示した情報記録再生装置はハードディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置等のディスク装置に本発明を適応した例を示している。
続いて、本発明の実施の形態3においては、スラスト動圧軸受を用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置について図9から図13を参照して説明する。図9は本発明の実施の形態3におけるスラスト動圧軸受を用いたスピンドルモータおよび情報記録再生装置の主要部の概略断面図、図10は本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータの動圧軸受部の拡大断面図、図11は本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータの動圧軸受部の固定側軸受面の構成を示す斜視図、図12は本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータのスラスト動圧軸受の半径方向断面およびラジアル動圧軸受の軸線方向の圧力分布図、図13は本発明の実施の形態3のスピンドルモータおよびディスク装置の他の一例を示す概略断面図である。ここで示した情報記録再生装置はハードディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置等のディスク装置に本発明を適応した例を示している。
図9において、回転中心201の周りに回転するロータ部202は、回転中心201近傍において中空円筒部202aおよびフランジ部202bを有している。また、ロータ部202は、その中空円筒部202aの外周面202cおよびフランジ部202bの下端面202dにより動圧軸受の回転側軸受部202eが形成されている。そして、ロータ部202に備わるフランジ部202bの外周側に突き出した部分の下面には複数磁極に着磁された回転磁石203が圧入あるいは接着その他の周知の方法により固着されている。ロータ部202と回転磁石203により回転体204が構成されている。なお、上記の回転側軸受部202eを構成する部材は、前述した本発明の実施の形態1および実施の形態2のスラスト動圧軸受の説明において示した軸受回転側部材10に相当するとみなすことができる。
回転体204を構成するロータ部202に備わる中空円筒部202aの内周面は、図9中で上側において大きく、かつ、下側(シャーシ205側)において小さくなるように少なくとも2つの異なる内径を有しており、上側における内周面と下側における内周面を接続する段差面202fが回転中心201の軸方向に略垂直な形状となるように形成されている。一方、軸受固定側部材206が圧入、接着あるいは溶接その他の周知の方法によりシャーシ205に固着されており、ロータ部202に備わる回転側軸受部202eの外周面202cと下端面202dにそれぞれに対向して、軸受固定側部材206の内周面206aと上端面206bにより動圧軸受の固定側軸受部206cが形成されている。また、コイル207がステータコア208の複数の磁極歯部に巻回されてステータ209が構成されている。そして、ステータ209は、その複数の磁極歯部先端部の内周面がロータ部202に固着された回転磁石203の外周面に対向するようにしてシャーシ205に固着されている。
また、固定軸210が、その軸心を回転中心201に略一致させるとともに、ロータ部202を構成する中空円筒部202aの内周側にある中空部分において固定軸210の外周部とすき間を有するように、シャーシ205に圧入あるいは接着等の方法により固着されている。また、ステータ209からの漏洩磁束を磁気的に遮蔽するシールド板211がシャーシ205に固着されている。固定軸210は、図9中で下側(シャーシ205側)において外径が小さく、上側において外径が大きくなるような段付軸形状を有しており、固定軸210の下側部分の外径がロータ部202を構成する円筒部202aの内周面の下側部分の内径よりも小さく、固定軸210の上側部分の外径がロータ部202の上側部分の内径よりも小さく形成されている。固定軸210の下側部分で外径が小さい方の外周面と上側で外径が大きい方の外周面とを接続する段付面210aは回転中心201の軸方向に略垂直な面を形成している。そして、固定軸210は、ロータ部202を構成する中空円筒部202aの上側部分の内周面と下側部分の内周面を接続する段差面202fと、固定軸210の段付面210aとが所定の微小なすき間を有して対向するように、シャーシ205に固定されている。また、固定軸210の上側の端部の中心部には雌ねじ部210bが形成されている。これらの部材によりスピンドルモータ212を形成している。
また、スピンドルモータ212のロータ部202を構成するフランジ部202bから突き出た部分の上面には、周知の方法により表面に記録媒体(図示せず)が形成されたディスク214が載置され、ディスク214はねじ215により固定されたディスク保持部材216の弾性力によりフランジ部202bから突き出た部分の上面に押圧固定されて、ロータ部202の回転に伴ってディスク214が回転可能に構成されている。そして、ディスク214に形成された記録媒体に記録再生するための信号変換素子(図示せず)が、記録媒体の所定のトラック位置に位置決めするための揺動手段(図示せず)を介してディスク214に対向して配設されている。なお、ディスク214に形成される記録媒体は、ディスク214の上下両面に形成されていてもよく、このときには信号変換素子および揺動手段はディスク214の上下面に形成されたそれぞれの記録媒体に対応させる構成となる。
さらに、固定軸210に形成した雌ねじ部210bの位置に対応させて、カバー217の中央部にある当接部217aに貫通穴を設け、当接部217aの下端面と固定軸210の上端面とを当接させて、カバー217の貫通穴を介して固定軸210の雌ねじ部210bにカバー固定ねじ218をねじ止めし、カバー217を固定軸210に固定する。一方、カバー217の周縁部においてカバー217をシャーシ205、あるいは筐体(図示せず)等にねじ止め等により固定保持している。上述したディスク214、信号変換素子、揺動手段、スピンドルモータ212およびカバー217等からなる部材により情報記録装置を構成している。なお、カバー217と固定軸210は必ずしもねじ止めしなくてもよいのは言うまでもない。
次に、上述したスピンドルモータに備わる動圧軸受部の構成について、図10、図11を用いて詳しく説明する。
図10に示すように、ロータ部202にある回転側軸受部202eと軸受固定側部材206にある固定側軸受部206cのそれぞれ対向する面の間に、例えばエステル系合成油のような潤滑油50が充填されており、ロータ部202を構成する中空円筒部202aの外周面202cと、これに対向する軸受固定側部材206の内周面206aとの間でラジアル動圧軸受220bが構成されている。さらに、ロータ部202を別に構成しているフランジ部202bの下端面202dと、これに対向する軸受固定側部材206の上端面206bとの間でスラスト動圧軸受220aが構成されている。
また、図11に示すように、ラジアル動圧軸受220bは、軸受固定側部材206の内周面206aに形成された動圧発生溝となるヘリングボーン溝221と、内周面206aと対向する中空円筒部202aの平滑な外周面202cとで構成されている。そして、ヘリングボーン溝221は、ロータ部202の回転時に、ポンプアップ効果によってスラスト動圧軸受220aに向けて潤滑油50を圧送するように、中間屈曲部131よりも下側の部分が上側の部分よりも長い上下非対称形状を有している。
一方、スラスト動圧軸受220aは、軸受固定側部材206の上端面206bに形成された動圧発生溝となるヘリングボーン溝130と、上端面と対向するフランジ部202bの平滑な下端面202dとで構成されている。そして、スラスト動圧軸受220aのヘリングボーン溝130は、ロータ部202の回転時に、ポンプ効果によってラジアル動圧軸受220bに向けて潤滑油50を圧送するように、半径方向外側部分132の面積が、半径方向内側部分133の面積よりも大きくなるように中間屈曲部131の位置が決められている。
さらに、同じ上端面206b上に少なくとも一本の気泡を排出するためのポンプインタイプのスパイラル形状の補助溝140が、ヘリングボーン溝130の中間屈曲部131と干渉しないように中間屈曲部131を避けて形成されている。なお、図11には、補助溝140が三本形成された例を示しているが、補助溝140を二本以上設けるときは、補助溝140は所定のピッチで等間隔に形成される。そして、既に図3を用いて前述したように、補助溝140の溝深さは、ヘリングボーン溝130の溝深さの3倍から5倍で、その溝幅はヘリングボーン溝130と同程度であることが好ましい。
このように構成されたスピンドルモータ212の動圧軸受部220において、ロータ部202の回転側軸受部202eが図11の矢印Gの方向に回転するとき、図11中に示すスラスト動圧軸受220aのヘリングボーン溝130の中間屈曲部131を避けて設けた補助溝140を通りラジアル動圧軸受220bのヘリングボーン溝221で垂直に軸線方向に引いた線U−V−W、およびスラスト動圧軸受220aのヘリングボーン溝130の中間屈曲部131を通りラジアル動圧軸受220bのヘリングボーン溝221で垂直に軸線方向に引いた線D−E−Fにおける圧力分布は図12に示すようになる。
図11、図12において、スラスト動圧軸受220aでは、潤滑油はヘリングボーン溝130の半径方向外側部分132と半径方向内側部分133に沿って中間屈曲部131に向かって流れるため、中間屈曲部131に動圧が極大となる圧力ピークが現れ、軸受半径方向断面の圧力分布は中間屈曲部131付近を頂点にして、軸受外周部および軸受内周部に向かって下降する山型の分布になり(線D−E)、ラジアル動圧軸受220bでも同様に、ヘリングボーン溝221の中間屈曲部に動圧が極大となる圧力ピークが現れ、軸線方向断面の圧力分布は中間屈曲部付近を頂点にして、軸受上側および軸受下側に向かって下降する山型の分布になる(線E−F)。
このとき、スラスト動圧軸受220aのヘリングボーン溝130は、中間屈曲部131から半径方向外側部分132の面積が、半径方向内側部分133の面積よりも大きいいわゆるポンプインタイプであるので、潤滑油を内周側、すなわちラジアル動圧軸受220bに向かって圧送する。また、ラジアル動圧軸受220bでは、ヘリングボーン溝221は中間屈曲部よりも下側の部分が上側の部分よりも長い上下非対称形状のいわゆるポンプアップタイプであるので、潤滑油を上側、すなわちスラスト動圧軸受220aに向かって圧送する。このため、潤滑油50はスラスト動圧軸受220aとラジアル動圧軸受220bによって常に動圧軸受部220の内側に向かって圧送されることになり、スラスト動圧軸受220aとラジアル動圧軸受220bの境界部分(E)の圧力は、気液境界面であるスラスト動圧軸受220aの外周部(D)およびラジアル動圧軸受220bの下端部(F)の圧力よりも高くなる。またこの作用によりスラスト動圧軸受220aの外周部およびラジアル動圧軸受220bの下端部の気液境界面から潤滑油50が軸受外部に流出することはない。
一方、スラスト動圧軸受220aに形成された補助溝140の溝深さは、動圧発生用のヘリングボーン溝130よりも深いため、ロータ部202が回転しても補助溝140では動圧がほとんど発生せず、補助溝140内部の圧力は、スラスト動圧軸受220aのポンプイン作用とラジアル動圧軸受220bのポンプアップ作用で圧力が高くなったスラスト動圧軸受220aとラジアル動圧軸受220bの境界部分からスラスト動圧軸受220aの外周部に向かって緩やかに下降する圧力分布となる(線U−V)。
潤滑油に気泡が混入した場合、スラスト動圧軸受220aの補助溝140のない領域では、圧力分布は線D−E−Fと同様に、スラスト動圧軸受220aのヘリングボーン溝130の中間屈曲部131近傍とラジアル動圧軸受220bのヘリングボーン溝221の中間屈曲部近傍の2箇所に圧力ピークを持つ分布となるため、各動圧軸受のヘリングボーン溝の中間屈曲部よりも外側に存在する気泡B11、B12は、動圧による圧力勾配に沿って動圧軸受部220の外側へ移動して気液境界面から排出されるが、ヘリングボーン溝の中間屈曲部よりも内側に存在する気泡B13は、2つの圧力ピークに挟まれてしまうため圧力ピークを超えて外側へは移動できず、スラスト動圧軸受220aとラジアル動圧軸受220bの境界部分に集まってくる。
ところが、スラスト動圧軸受220aの補助溝140の内部では、圧力分布はスラスト動圧軸受軸220aとラジアル動圧軸受220bの境界部分からスラスト動圧軸受220aの外周部に向けて緩やかに下降しているので、2つの軸受の境界部分に集まった気泡B13は補助溝140を通ってスラスト動圧軸受220aの外周部へ移動し、気液境界面から軸受外部へ排出される。
したがって、本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータ212のスラスト動圧発生部に備わるヘリングボーン溝130の中間屈曲部131を通過しないように、ラジアル方向に横切るような補助溝140を追加することによって、潤滑油に混入した、あるいは滞留している気泡を確実に軸受外部に排出することが可能となり、気泡に起因する潤滑油漏れを防ぐことができるため、高い信頼性および耐久性を有するスピンドルモータを実現できる。このような動圧軸受部220を備えたスピンドルモータ212を用いることにより、さらには、高い信頼性と耐久性を有するディスク装置をはじめとする情報記録再生装置を実現できる。
また、このようなヘリングボーン溝130に形成する補助溝140は、中間屈曲部131と干渉しないように中間屈曲部131を避けて設けているので、動圧発生作用へ与える影響を最小限に留められ、従来のスパイラルタイプのスラスト動圧発生部において発生し、滞留する気泡を排出させるために、放射状溝を別に設けたり、複数ある動圧発生溝の一部を延伸させたり、周方向の幅寸法を大とする方法に比べ、本発明の実施の形態3におけるスラスト動圧発生部の動圧発生能力は格段に大きい。すなわち、ヘリングボーン溝のスラスト動圧軸受220aは、ヘリングボーン溝130の中間屈曲部131に圧力ピークが現れるため、軸受の最内周部に圧力ピークが現れるスパイラル溝のスラスト動圧軸受に比べて圧力ピークが現れる半径が大きく、スパイラル溝のスラスト動圧軸受よりも軸の回転振れに対する回転剛性が高くなる。これにより、ラジアル動圧軸受220bの軸線方向の長さを小さくすることが可能となり、スピンドルモータ212の薄型化を図ることができ、さらにはディスク装置をはじめとする情報記録再生装置の薄型化を図ることができる。
なお、上記の説明では、本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータ212に備わるラジアル動圧軸受220bを、軸受固定側部材206の内周面206aに動圧発生溝となるヘリングボーン溝221を形成して固定側軸受部206cとし、ロータ部202の中空円筒部202aの平滑な外周面202cを回転側軸受部202eとする例で説明したが、これに限ることはなく、軸受固定側部材206の内周面206aを平滑面のままで固定側軸受部206cとし、ロータ部202の中空円筒部202aの外周面202cに動圧発生溝となるヘリングボーン溝221を形成して回転側軸受部202eとしてもよい。
また、スラスト動圧軸受220aを、軸受固定側部材206の上端面206bに動圧発生溝となるヘリングボーン溝130および気泡排出のための補助溝140を形成して固定側軸受部206cとし、フランジ部202bの平滑な下端面202dを回転側軸受部202eとする例で説明したが、これに限ることはなく、既に、本発明の実施の形態1のスラスト動圧軸受において、図4(a)を用いて説明したように、軸受固定側部材206の上端面206bを平滑面のままで固定側軸受部206cとし、フランジ部202bの下端面202dに動圧発生溝となるヘリングボーン溝130および気泡排出のための補助溝140を形成して回転側軸受部202eとしてもよい。さらに、本発明の実施の形態2のスラスト動圧軸受において、図7(a)を用いて説明したように、フランジ部202bの下端面202dに動圧発生溝となるヘリングボーン溝130を形成して回転側軸受部202eとし、軸受固定側部材206の上端面206bに気泡排出用の補助溝140を形成して固定側軸受部206cとしてもよいし、図7(b)により説明したように、フランジ部202bの下端面202dに気泡排出用の補助溝140を形成して回転側軸受部202eとし、軸受固定側部材206の上端面206bに動圧発生溝となるヘリングボーン溝130を形成して固定側軸受部206cとしてもよい。
また、本発明の実施の形態3におけるスピンドルモータのスラスト動圧発生部に設ける気泡排出用の補助溝140は、上記で説明したようにポンプインタイプのスパイラル形状でもよいし、図5または図8に示したように直線状に溝を形成して補助溝140を設けてもよい。
また、上記の説明に用いた図11では、スラスト動圧発生部に設ける補助溝140の本数を三本としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助溝140は一本であっても二本であっても、また四本であってもかまわない。ただし、補助溝140の本数が多くなるほどヘリングボーン溝130の動圧発生効果を抑制することになるので、補助溝を過度に多く形成する必要はない。
また、上述の本発明の実施の形態3において、1枚のディスクが搭載されるスピンドルモータおよびディスク装置等の情報記録再生装置について説明しているが、図13に示すように、周知の方法により、ロータ部302に複数のディスク314が搭載できるように設計してスピンドルモータ312を載置し、複数のディスク314が搭載されたディスク装置等の情報記録再生装置を構成することができるのは言うまでもないことである。
本発明にかかるスラスト動圧軸受は、潤滑油漏れの心配がなく高い信頼性および耐久性を有しており、このスラスト動圧軸受を用いたスピンドルモータはハードディスク装置をはじめとする情報記録再生装置等に有用に適用することができる。
1 回転中心軸
10 軸受回転側部材
11 (回転側)軸受面
20,206 軸受固定側部材
21 軸受面
30 ヘリングボーン溝
31 中間屈曲部
50 潤滑油
51 気液境界面
130 (ポンプインタイプの)ヘリングボーン溝
131 中間屈曲部
132 半径方向外側部分
133 半径方向内側部分
140 (気泡排出のための)補助溝
201 回転中心
202,302 ロータ部
202a 中空円筒部
202b フランジ部
202c 外周面
202d 下端面
202e 回転側軸受部
202f 段差部
203 回転磁石
204 回転体
205 シャーシ
206a 内周面
206b 上端面
206c 固定側軸受部
207 コイル
208 ステータコア
209 ステータ
210 固定軸
210a 段付面
210b 雌ねじ部
211 シールド板
212,312 スピンドルモータ
214,314 ディスク
215 ねじ
216 ディスク保持部材
217 カバー
217a 当接部
218 カバー固定ねじ
220 動圧軸受部
220a スラスト動圧軸受
220b ラジアル動圧軸受
221 (ポンプアップタイプの)ヘリングボーン溝
10 軸受回転側部材
11 (回転側)軸受面
20,206 軸受固定側部材
21 軸受面
30 ヘリングボーン溝
31 中間屈曲部
50 潤滑油
51 気液境界面
130 (ポンプインタイプの)ヘリングボーン溝
131 中間屈曲部
132 半径方向外側部分
133 半径方向内側部分
140 (気泡排出のための)補助溝
201 回転中心
202,302 ロータ部
202a 中空円筒部
202b フランジ部
202c 外周面
202d 下端面
202e 回転側軸受部
202f 段差部
203 回転磁石
204 回転体
205 シャーシ
206a 内周面
206b 上端面
206c 固定側軸受部
207 コイル
208 ステータコア
209 ステータ
210 固定軸
210a 段付面
210b 雌ねじ部
211 シールド板
212,312 スピンドルモータ
214,314 ディスク
215 ねじ
216 ディスク保持部材
217 カバー
217a 当接部
218 カバー固定ねじ
220 動圧軸受部
220a スラスト動圧軸受
220b ラジアル動圧軸受
221 (ポンプアップタイプの)ヘリングボーン溝
Claims (19)
- 軸線方向に微小すき間を介在して対向する軸受面をそれぞれ有する軸受回転側部材と軸受固定側部材とを備え、前記微小すき間には潤滑油が充填され、前記軸受回転側部材の軸受面と前記軸受固定側部材の軸受面のうち一方に中間屈曲部を有するヘリングボーン形状の複数の動圧発生溝が形成されており、前記軸受回転側部材が回転すると、前記動圧発生溝により潤滑油の動圧が誘起されることによって回転が保持されるスラスト動圧軸受であって、
前記軸受の内周部と外周部を結ぶ補助溝を少なくとも一本設けたことを特徴とするスラスト動圧軸受。 - 前記補助溝は前記動圧発生溝よりも深いことを特徴とする請求項1に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記動圧発生溝は前記中間屈曲部から半径方向外側部分の面積が半径方向内側部分の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記動圧発生溝と前記補助溝はともに前記軸受固定側部材の軸受面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記動圧発生溝と前記補助溝はともに前記軸受回転側部材の軸受面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記補助溝はヘリングボーン形状の前記動圧発生溝の中間屈曲部を避けて設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記動圧発生溝は前記軸受回転側部材の軸受面に設けられ、前記補助溝は前記軸受固定側部材の軸受面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記動圧発生溝は前記軸受固定側部材の軸受面に設けられ、前記補助溝は前記軸受回転側部材の軸受面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記補助溝の形状はポンプインタイプのスパイラル溝であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記補助溝の形状は直線溝であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のスラスト動圧軸受。
- 前記補助溝の深さは前記動圧発生溝の深さの3倍から5倍の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のスラスト動圧軸受。
- 外周側に回転磁石が固着されたフランジ部と内周側に設けられた中空円筒部とからなって回転中心を有する固定軸の周りを回転するロータ部と、コイルが巻回されて前記回転磁石に対向して固着されたステータと、前記中空円筒部の外周面に対向する内周面および前記フランジ部の下端面に対向する上端面を有する円環状の軸受固定側部材とを備え、
微小すき間を介在して前記軸受固定側部材の前記上端面と対向する前記フランジ部の前記下端面とにより、いずれか一方に中間屈曲部を有するヘリングボーン形状の複数の動圧発生溝が形成されており、前記微小すき間には潤滑油が充填され、前記ロータが回転すると、前記動圧発生溝により前記潤滑油に動圧が誘起されることで回転が保持されるスラスト動圧軸受を有するスピンドルモータであって、
前記スラスト動圧軸受にはその内周部と外周部とを結ぶ補助溝が少なくとも一本設けられていることを特徴とするスピンドルモータ。 - 前記補助溝は前記動圧発生溝よりも深いことを特徴とする請求項12に記載のスピンドルモータ。
- 前記補助溝の深さは前記動圧発生溝の深さの3倍から5倍の範囲にあることを特徴とする請求項13に記載のスピンドルモータ。
- 前記補助溝の形状はポンプインタイプのスパイラル溝であることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
- ディスクと、
前記ディスクに形成された記録媒体に記録再生するための信号変換素子と、
前記記録媒体の所定のトラック位置に位置決めするための揺動手段と、
外周側に回転磁石が固着されたフランジ部と内周側に設けられた中空円筒部とからなって回転中心を有する固定軸の周りを回転するロータ部と、コイルが巻回されて前記回転磁石に対向してシャーシに固着されたステータと、前記中空円筒部の外周面に対向する内周面および前記フランジ部の下端面に対向する上端面を有する円環状の軸受固定側部材とを有し、かつ、微小すき間を介在して前記軸受固定側部材の前記上端面と対向する前記フランジ部の前記下端面とにより、いずれか一方に中間屈曲部を有するヘリングボーン形状の複数の動圧発生溝が形成されており、前記微小すき間には潤滑油が充填され、前記ロータ部が回転すると、前記動圧発生溝により前記潤滑油に動圧が誘起されることで回転が保持されるスラスト動圧軸受を有するスピンドルモータとを備えた情報記録再生装置であって、
前記スラスト動圧軸受にはその内周部と外周部とを結ぶ補助溝が少なくとも一本設けられていることを特徴とする情報記録再生装置。 - 前記補助溝は前記動圧発生溝よりも深いことを特徴とする請求項16に記載の情報記録再生装置。
- 前記補助溝の深さは前記動圧発生溝の深さの3倍から5倍の範囲にあることを特徴とする請求項17に記載の情報記録再生装置。
- 前記補助溝の形状はポンプインタイプのスパイラル溝であることを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
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---|---|---|---|
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008020872A1 (de) | 2008-04-25 | 2009-10-29 | Minebea Co., Ltd. | Rillenstrukturen für ein fluiddynamisches Lager |
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JP2013208046A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Samsung Electro-Mechanics Co Ltd | スピンドルモータ |
JP2022128417A (ja) * | 2021-02-22 | 2022-09-01 | ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー | 捕捉されるガスを減少させるx線管の液体金属軸受構造 |
-
2004
- 2004-11-01 JP JP2004317853A patent/JP2005172223A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8729757B2 (en) | 2012-03-29 | 2014-05-20 | Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. | Spindle motor |
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