JP2005171352A - ブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板 - Google Patents

ブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】 ブレード支持部材として皮膜中にクロムを含有せず、優れた密着性が得られる無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板を提供する。
【解決手段】 亜鉛系メッキ鋼板の表面に、リン酸亜鉛処理皮膜を形成し、その上に、有機系後処理皮膜を有することを特徴とするブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板。上記リン酸亜鉛処理皮膜量が0.3〜5g/mであり、上記有機系後処理 皮膜量が0.01〜1g/mであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板に関する。
ブレードを構成するブレード支持部材用途として用いられる亜鉛系メッキ鋼板には、従来、ブレード部材や接着剤を介しての密着性向上などを目的とし、クロメートシーリング処理を施したリン酸塩処理やクロメート処理が一般に行われてきた。しかしながら、近年、環境問題の高まりを背景に、毒性の大きいクロメートを用いない表面処理技術の開発が望まれ、下記のような技術が提案されている。
ブレード支持部材とブレード部材を有するブレードであって、6価クロムを含まず、かつ、該ブレード部材との溶解度因子(SP値)の差が±1.2以内である成分を含む表面処理剤を施し皮膜とした表面処理板を、該ブレード支持部材として用いることを特徴とするブレードが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ブレード支持部材とブレード部材を有するブレードであって、6価クロムを含まず、かつ、シランカップリング剤を含有する表面処理剤を施し皮膜とした表面処理板を、該ブレード支持部材として用いることを特徴とするブレードであり、更に上記の皮膜としてポリエステル系樹脂、シランカップリング剤を含む表面処理剤を塗布してなる皮膜を形成した電気亜鉛メッキ鋼板である該ブレード支持部材をブレード部材成形金型に保持し、液状ウレタン樹脂を含む該ブレード部材を注型し、加熱硬化させてなることを特徴とするブレードが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、熱硬化性タイプのウレタンエラストマーからなるブレード部材が接着剤で支持部材に接着された電子写真装置用クリーニングブレードであって、上記接着剤として、ポリビニルアセタール樹脂のホルムアルデヒド縮合型熱硬化性樹脂による変成物を用いたことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードの内、支持部材は、シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とすることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
これらのブレード支持部材は6価クロム等の環境負荷物質を含まず、それぞれのタイプのブレードに促したものとなっているが、ブレード部材とブレード支持部材の間の密着力は充分とはいえず、且つ密着力のばらつきも大きい。そもそも接着力や密着力は異材間の界面の局所的な結合力の不均一により強度にばらつきが生じ易く、不安定である場合が多い。ブレードの具備すべき主たる性能要件はブレード部材とブレード支持部材の高強度且つ安定な密着力の確保であり、上記ブレード支持部材では充分な性能を満足しているとは言えない。
特開2003−195600号公報 特開2003−195719号公報 特開平7−319354号公報
本発明は、上記現状に鑑み、処理された皮膜中に有害なクロメートを含有せず、ブレード部材との密着性に優れたブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板を提供することを目的とするものである。
本発明は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、リン酸亜鉛処理皮膜を形成し、その上に、有機系後処理皮膜を有することを特徴とするブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板である。
上記リン酸亜鉛処理皮膜量が0.3〜5g/mであり、上記有機系後処理皮膜量が0 .01〜1g/mであることが好ましい。
本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板は、上述した構成よりなるので、皮膜中に有害なクロメートを含有せず、ブレード部材との密着性に優れたブレード支持部材用亜鉛系メッキ鋼板を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、リン酸亜鉛処理皮膜を有し、更にその上に、有機系後処理皮膜を有するものであり、これら二種類の皮膜を有することにより、ブレード部材乃至接着剤を介してのブレード部材との密着性を格段に向上させたものである。
本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、下層皮膜としてリン酸亜鉛処理皮膜が形成されたものである。リン酸亜鉛処理皮膜層が、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ表層に針状乃至葉状乃至粒状の粒が食い込むように形成されるため、高い密着力が発現される。
上記リン酸亜鉛処理皮膜は、下限0.3g/m、上限5g/mの皮膜量で形成されたものである。0.3g/m未満であると、緻密なリン酸亜鉛処理皮膜が形成されない部 位が多くなるため、メッキとの密着力が不十分であるおそれがあり、5g/mを超える と、皮膜粒径の粗大化のためにメッキ表面との食い込みの粒密度が低下するためメッキとリン酸亜鉛処理皮膜の界面の密着力も低下する。更に、この皮膜量領域では二次核成長に起因してリン酸亜鉛処理皮膜内の下層と二次核の間で剥離が起こりやすくなるため、やはり密着力は低下する。上記下限は、0.5g/mであることがより好ましく、上記上限 は、2.5g/mであることがより好ましい。
上記リン酸亜鉛処理皮膜は、リン酸イオン及び亜鉛イオンを含有する従来公知のリン酸亜鉛処理剤によって形成することができ、亜鉛イオン、リン酸イオンの供給源としては、亜鉛、リン酸を含有する化合物であれば特に限定されることはなく、また、リン酸亜鉛処理剤に使用されうる他の成分を適宜含有してもよい。
上記リン酸亜鉛処理皮膜を形成する処理液としては、リン酸イオン、亜鉛イオンを主成分として、さらに亜鉛以外の金属イオン、硝酸イオン、フッ化物イオン等も必要に応じて添加された市販の処理液が使用できる。
上記リン酸亜鉛処理剤による亜鉛系メッキ鋼板のリン酸亜鉛処理方法としては、反応型処理、塗布型処理のいずれの方法によってもリン酸亜鉛処理皮膜を形成させることが可能である。反応型処理としては、たとえば、亜鉛系メッキ鋼板に脱脂、水洗、表面調整を行った後に、上記リン酸亜鉛処理液と接触させ、水洗、乾燥を行うことによりリン酸亜鉛処理皮膜を形成することができる。リン酸亜鉛処理皮膜の皮膜量は、たとえば処理時間や処理剤濃度を変化させることにより調整できる。
塗布型処理としては、たとえば、亜鉛系メッキ鋼板に、必要な皮膜量に応じた量の上記リン酸亜鉛処理液をロールコート法により塗布するほか、浸漬法やスプレー法により塗布した後にロール絞り法により必要な塗布量に調整する方法もある。リン酸亜鉛処理剤を亜鉛系メッキ鋼板に塗布した後、乾燥炉等を用いて乾燥させることにより、リン酸亜鉛処理皮膜を形成させる。
本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板は、上記リン酸亜鉛処理皮膜上に、第二の皮膜として有機系後処理皮膜が形成されたものである。上記リン酸亜鉛処理皮膜上に、有機系後処理皮膜が形成されることにより、リン酸亜鉛処理皮膜と有機系後処理皮膜の界面の密着性を向上させることができる。
即ち、上記リン酸亜鉛処理皮膜がメッキ表面に緻密な粒の集合体として形成されているため、その上の有機系後処理皮膜はリン酸亜鉛処理皮膜の隙間に充填されると共にリン酸亜鉛処理皮膜の凹凸表面に沿って形成されるため、優れた有機系後処理皮膜とリン酸亜鉛処理皮膜の界面の密着性が得られる。更に、有機系後処理皮膜が被覆されても、リン酸亜鉛処理皮膜の凹凸表面によるアンカー効果(投錨効果)と有機系後処理皮膜と接着剤またはブレード部材の含有官能基による相互作用や有機結合により、ブレード部材乃至接着樹脂層を介して接着されるゴム等のブレード部材、または接着剤層との密着性が得られる。
上記有機系後処理皮膜は、有機樹脂(A)を含む皮膜であるが、更に、この中に有機防錆剤、無機防錆剤、顔料、染料、界面活性剤、潤滑剤等の他の添加剤の単独乃至二種以上が配合されていてもよい。
上記有機樹脂(A)の役割は有機系後処理皮膜中に含有させることによって、リン酸亜鉛処理皮膜上に欠陥のない均一な有機系後処理皮膜を形成させるためである。また、添加剤を皮膜中で固定するのに好適であり、優れた有機系後処理皮膜とリン酸亜鉛処理皮膜の界面の密着性発現に寄与するものである。
上記有機樹脂(A)としては特に限定されないが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の単独乃至二種以上の混合物乃至複数樹脂の変性体を使用することが添加剤の皮膜中での固定および有機系後処理皮膜とリン酸亜鉛処理皮膜の密着性の向上に好適である。
上記有機系後処理皮膜は、下限0.01g/m、上限1g/mの皮膜量で形成されたものである。0.01g/m未満であると、有機系後処理皮膜はリン酸亜鉛処理皮膜の 隙間に充分に満たされず、且つリン酸亜鉛処理皮膜の凹凸表面を不均一に被覆するため、リン酸亜鉛処理皮膜と有機系後処理皮膜の界面の密着性の向上が見られないおそれがあり、1g/mを超えると、有機系後処理皮膜がリン酸亜鉛処理皮膜の凹凸を隠蔽してしま い、アンカー効果が低下し、ブレード部材乃至接着樹脂層を介して接着されるゴム等のブレード部材、または接着剤層との密着性が低下するおそれがある。上記下限は、0.03g/mであることがより好ましく、上記上限は、0.7g/mであることがより好ましい。
上記有機系後処理皮膜は、上記リン酸亜鉛処理皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板に、上記有機系後処理剤を塗布することによって形成することができる。上記塗布方法としては特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法、エアレススプレー法、ロール法等を挙げることができる
本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板に使用する亜鉛系メッキ鋼板としては特に限定されず、例えば、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛−ニッケルメッキ鋼板、亜鉛−鉄メッキ鋼板、亜鉛−クロムメッキ鋼板、亜鉛−マンガンメッキ鋼板、亜鉛−アルミニウムメッキ鋼板、亜鉛−マグネシウムメッキ鋼板、等の亜鉛系の電気メッキ、溶融メッキ、蒸着メッキ鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金メッキ鋼板等を挙げることができる。
本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、リン酸亜鉛処理皮膜を0.3〜5g/mの皮膜量で形成し、その上に、有機樹脂(A)乃至こ の中に添加剤を含有する有機系後処理皮膜を0.01〜1g/mの皮膜量で形成するこ とにより得られるものであることから、鋼板の全面を均一、且つ表面凹凸のある皮膜で覆うことができる。
これにより、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ表面とリン酸亜鉛処理皮膜、リン酸亜鉛処理皮膜と有機系後処理皮膜、有機系後処理皮膜と接着剤乃至ブレード部材の各界面の密着力を向上することが可能となり、ブレードの具備すべき主たる性能要件であるブレード部材とブレード支持部材の高強度且つ安定な密着力が確保できる。従って、本発明の無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板をブレード支持部材とすることで充分な密着性能を満足できる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(亜鉛メッキ鋼板の処理方法)
使用したメッキ原板を表1に示す。アルカリ脱脂処理の後、リン酸亜鉛処理、後処理を順次行い試験板を調整した。
リン酸亜鉛処理は、市販のTiOコロイド系表面調整処理の後、表2に示すように調製 した浴を使用して、スプレー法により、温度45℃で処理時間1〜10秒間で行い、更に、水洗して乾燥した。
有機系後処理の構成成分を表3に示す。処理はすべて水性処理剤をロールコーターを用いて塗布した。
Figure 2005171352
Figure 2005171352
Figure 2005171352
(実施例1〜34及び比較例1〜14)
表4及び表5に示した条件(原板の種類、リン酸亜鉛処理の種類と皮膜量、有機系後処理の種類と皮膜量)となるように試験板を製造した。原板としては表1中のEG20又はGI70を使用し、リン酸亜鉛処理浴としては表2中のNo.1〜4を使用し(なお、比較例5〜8、11〜14は、リン酸亜鉛処理を行わなかった。)、有機系後処理剤としては表3中のNo.1〜10を使用(なお、比較例1〜4、9〜10は、有機系後処理を行わなかった。)した。リン酸亜鉛処理後の皮膜量は、クロム酸でリン酸亜鉛処理皮膜を溶解し、前後の質量差から算出した。リン酸亜鉛処理後のサンプルに、各有機系後処理剤を塗布し、到達板温150℃で乾燥して水冷後、乾燥放置した。塗布前後の質量差から有機系後処理皮膜の皮膜量を算出した。
(ブレード密着性評価方法)
上記の処理された亜鉛メッキ鋼板を20mm角のサンプルにシャーせん断し、端面バリの反りが接着面にこないように、あらかじめ120℃に加温された湿潤硬化型のウレタン系接着剤をカートリッジ缶の先端から押し出しで被着部に少量のせた後で、すぐにブレード部材であるウレタン系ゴム(厚さ1mmで10mm×20mmの短冊)を押し当てて、49N/100mmで数秒間加圧して、ブレード部材と鋼板間の接着剤厚みが0.1± 0.05mmとなるように設定した。この後で、1hr室内放置後、35℃、60%RHの恒温恒湿槽で1dayエージングを行なった。取り出し後、3hr室内放置し、ブレード密着性評価を行なった。
鋼板を治具で水平に固定し、ゴムの短冊長手方向をチャック付き治具でしっかりと挟み込み、チャック付き治具を鋼板と垂直に鉛直方向に10mm/min.の速度で引き上げた。この時、ゴムの剥離が起こり出す初期剥離強度をモニターし、ブレード密着性評価値とした。評価基準は、以下のようにした。
〇;80N/10mm超
△;70〜80N/10mm
×;70N/10mm未満
以上の評価結果を表4と表5に示した。
EG20、リン酸亜鉛処理浴Nо.1〜4、有機系後処理剤No.1〜10を使用した試験板(実施例1〜26)は、どの種類の皮膜量の組み合わせにおいてもブレード密着性に優れるものであった。また、GI70を使用した場合(実施例27〜34)でも、どの種類の皮膜量の組み合わせにおいてもブレード密着性に優れるものを得ることができた。一方、比較例により得られた試験板は、ブレード密着性が優れているものを得ることはできなかった。すなわち、亜鉛系メッキ鋼板の表面の下層にリン酸亜鉛処理皮膜、上層に有機系後処理皮膜を有することで格段のブレード密着性向上が図られることがわかった。なお、従来技術相当品にあたるEG20の上にシランカップリング剤を含む有機皮膜(厚み0.6〜1.5μm)を有する鋼板を用いて、上記評価法により密着性を評価したところ評点は△であった。このとき、評価に用いた湿潤硬化型のウレタン系接着剤、ウレタン系ゴム及び上記有機皮膜のSP値は共に10であり、値の差は0であった。
Figure 2005171352
Figure 2005171352

Claims (2)

  1. 亜鉛系メッキ鋼板の表面に、リン酸亜鉛処理皮膜を形成し、その上に、有機系後処理皮膜を有することを特徴とするブレード支持部材用無機−有機複合処理亜鉛系メッキ鋼板。
  2. リン酸亜鉛処理皮膜量が0.3〜5g/mであり、有機系後処理皮 膜量が0.01〜1g/mである請求項1記載のブレード支持部材用無機−有機複合処 理亜鉛系メッキ鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112553609A (zh) * 2019-09-10 2021-03-26 天津大学 一种碳钢表面膦酸-硅烷复合膜及其制备方法和应用

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