JP2005170982A - ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法 - Google Patents

ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法 Download PDF

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慶秀 永渕
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Abstract

【課題】 反応器内部に付着した重合体スケールを、極めて簡便な方法で洗浄、除去する方法を提供する。
【解決手段】ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法であって、反応器内部を塩基性洗浄液で洗浄して該反応器内部に生成したビニル系重合体の重合体スケールを除去することを特徴とする重合体スケールの除去方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法に関し、より詳しくは、ビニル系重合体を重合する際、反応器内部に生成したビニル系重合体の重合体スケールを塩基性洗浄液で洗浄して、除去することを特徴とするビニル系重合体の重合体スケールの除去方法に関する。
従来、ビニル系モノマーを攪拌機付反応器内で重合する際、反応器の気相部に存在するガス状のモノマーが反応器気相部壁面にて重合しながら凝集して付着する反応器気相部の重合体スケール、反応器液相部に存在する反応性モノマーが液相部の壁面付近に滞留し、局所的に重合して固着する反応器液相部の重合体スケール、更に前述した気相部、液相部の重合体スケールが反応器内で長時間高温にさらされ架橋反応などの異常反応を起こし、それが原因で更に強固に固着した重合体スケールなど様々な原因により重合体スケールが付着する現象が問題視されている。このような重合体スケールが反応器内面に付着すると、ノズルが閉塞したり、攪拌機の機能に障害が起こるなどの機械的異常の発生要因となることがあり、また、重合体スケールが剥離しこの剥離した重合体スケールが製品中に混入して異常製品が発生することがある。したがって、一般的には反応器内部にこの重合体スケールを付着させない方法が求められる。しかし、重合体スケールの付着を完全に防止することは非常に困難であり、付着が確認された場合は、早急に洗浄、除去する必要がある。
重合体スケールは通常の重合物とは異なり、溶媒によってこれを溶解するのが困難であり特に異常反応をおこした重合体スケールに関しては、いかなる溶媒にも不溶である場合が多い。このため、通常溶媒による洗浄では完全に除去することが出来ず、工業規模で生産を行う場合において、反応器内部への重合体スケールの付着は大きな問題となる。
反応器気相部内壁への重合体スケールの付着防止方法として、特許文献1には、メタクリル酸メチルを主成分とするモノマーを連続塊状重合するに際し、前記モノマーの一部を反応液面、該反応液面と接触している反応容器壁面、および該反応液面と接触している攪拌軸に一様に噴霧状態で吹き付けて供給することを特徴とする連続塊状重合方法が開示されている。
また、特許文献2には、アクリル酸エステルを0.1質量%以上含むビニル系モノマーの重合方法であって、反応装置内の気相部に炭素数2以上のアルコールを存在させて重合を行うことを特徴とするビニル系モノマーの重合方法が開示されている。
これらの方法による反応器気相部壁面への重合体スケールの付着防止は一定期間の間十分に効果があることが開示されている。しかしながら、より優れた、より長期に渡って重合体スケールの生成を防止することのできる技術の開発が望まれている。
また、付着した重合体スケールを除去する一般的な方法として、ノズルから噴出した高圧水の勢いで反応器内部に付着した重合体スケールを剥離させるジェット洗浄機を用いる方法や人間が反応器内部に入り手作業にてこの重合体スケールを除去する方法などが挙げられる。しかし、ジェット洗浄機を用いるには余分な設備費およびメンテナンス費を要する。また、手作業での重合体スケール除去には多大な労力と時間を要してしまう。
したがって、ビニル系重合体を製造する場合において、反応器内部への重合体スケールの生成、付着を、より長期間に渡って、防止することのできる技術の開発が望まれており、また、生成、付着してしまった重合体スケールを効果的に除去する工業的方法の開発が望まれている。
特開平7―149803号公報 特開2003―48904号公報
本発明は、反応器内部に生成、付着した重合体スケールを効果的に、簡便な方法で洗浄、除去することが出来る、ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、塩基性洗浄液を用いての反応器内部の洗浄に着目し鋭意検討を行い、反応器内部を塩基性洗浄液で洗浄する簡略な工程により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決した本発明は、ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法であって、反応器内部を塩基性洗浄液で洗浄して該反応器内部に生成したビニル系重合体の重合体スケールを除去することを特徴とする重合体スケールの除去方法である。
本発明によれば、反応器内部に付着した重合体スケールを、多大な設備費をかけることなく、また反応器のオーバーホールを行うことなく、極めて簡便な方法で重合体スケールを洗浄し、除去することが可能となり、これにより、生産性良く高品質な製品を得ることを可能とするビニル系重合体の重合体スケールの除去方法を提供することができる。
本発明のビニル系重合体の重合体スケールの除去方法では、一般的には、反応器内部に重合体スケールの付着が認められた場合に、反応器内部を塩基性洗浄液で洗浄してこのビニル系重合体の重合体スケールを除去する。これにより、通常溶媒には不溶で洗浄除去するのが困難な重合体スケールの除去が可能となる。また、重合体スケールの付着の有無にかかわらず、バッチ毎等、所望の場合に、洗浄を行ってもよい。
溶媒を用いた洗浄方法としては、重合体スケールを溶媒に溶解させる方法、重合体スケールをけん化して、溶媒に溶解させる方法など、溶媒に重合体スケールを溶かして除去する方法が、一般的である。従って、重合体スケールが溶媒に可溶でない場合は除去が困難である。
本発明の塩基性洗浄液を用いた除去方法は、重合体スケールが塩基性洗浄液に可溶でない場合も除去することが可能である。重合体スケールが塩基性洗浄液に可溶でない場合は、重合体スケールは洗浄液中に固体またはゲル状で存在する。しかし、重合体スケールが付着していた壁面は、きれいに重合体スケールが除去される。
例えば、壁面がガラスの場合、塩基性洗浄液により壁面が溶解し、壁面が更新するために、重合体スケールが除去されることも考えられるが、本発明の方法は、塩基に侵食されないステンレスの壁面でも充分に効果が発現する。したがって、塩基性洗浄液によって、重合体スケールが壁面に付着している物理的な力が何らか作用で取り除かれ、壁面から剥離されるものと考えられるが、そのメカニズムは明らかではない。
本発明におけるビニル系重合体は、ビニル系モノマーを重合して得られる重合体であり、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。また、ビニル系モノマーと共重合可能な他のモノマーと組み合わせて重合して得られる共重合体であってもよい。
本発明におけるビニル系モノマーは、最終的に得られるビニル系重合体の用途に応じて選ばれる。
本発明におけるビニル系重合体の製造に用いられるビニル系モノマーとしては、例えば、酸基を有するモノマー類、水酸基を有するモノマー類、炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン系モノマー類、エチレン性不飽和ニトリル類、ビニルエステル類、エポキシ基含有ビニルモノマー類、エチレン性不飽和塩基性ビニルモノマー類、N−アルコキシアルキル置換アミド基を有するα,β−不飽和ビニルモノマー類などが挙げられる。これらの中では、スチレン系モノマーおよびアクリル系モノマーが好適に用いられる。
また、酸基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等の一塩基酸または二塩基酸ビニルモノマー類、無水マレイン酸等の二塩基酸無水物ビニルモノマー類、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレエート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を無水コハク酸、無水フタル酸、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化して末端にカルボキシル基を導入したコハク酸モノエステル、フタル酸モノエステル、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと二塩基酸無水物のモノエステル反応生成物等の長鎖カルボキシル基含有ビニルモノマー類、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、フマール酸モノメチル、フマール酸モノエチル、フマール酸モノブチル、フマール酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等の二塩基酸または二塩基酸無水物ビニルモノマーのモノエステル化物類等が挙げられる。
また、本発明における上記ビニル系モノマーの重合に際して使用することのできる重合開始剤としては、例えばクメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどのパーオキサイド類、過硫酸塩、レドックス系開始剤などの公知の重合開始剤を挙げることができる。これらの重合開始剤は、上記ビニル系モノマーに含有させて反応器に供給することも可能である。
また、本発明における上記ビニル系モノマーの溶液重合においては、溶媒を用いることも可能である。
重合温度は、上記ビニル系モノマーの重合に際して用いられる温度であり、用いるモノマーおよび開始剤等に応じて適切な温度を選べばよい。通常130〜300℃の範囲とするのが好ましい。
本発明における上記ビニル系モノマーの重合様式には何ら制限はなく、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合など何れの重合様式であってもよい。また、回分式、連続式など供給様式にも何ら制限はなく何れの供給様式であってもよい。
本発明におけるビニル系重合体の重合体スケールは、上述したようなビニル系モノマーを反応器内で重合する際に、反応器内部に生成する、固形またはゲル状の付着物であり、上記ビニル系モノマーを反応器内で重合する際、反応器の気相部に存在するガス状のモノマーが反応器気相部壁面にて重合しながら凝集して付着する反応器気相部の重合体スケール、反応器液相部に存在する反応性モノマーが液相部の壁面付近に滞留し、局所的に重合して固着する反応器液相部の重合体スケール、更にこれらの気相部、液相部の重合体スケールが反応器内で長時間高温にさらされ架橋反応などの異常反応を起こし、これが原因で更に強固に固着した重合体スケールなど、様々な要因によって生成する重合体スケールが挙げられる。このような特異な状況にて重合体スケールが生成、付着している場合、これらの重合体スケールは通常の重合物とは異なり、通常、溶媒によって溶解して除去するのが困難であり、特に異常反応をおこした重合体スケールに関しては、いかなる溶媒にも不溶である場合が多い。したがって、通常の溶媒洗浄ではこれらの重合体スケールを完全に除去することが不可能である。
本発明の重合体スケールの除去方法は、ビニル系重合体において効果的であるが、ビニル系重合体が酸基を有するモノマー単位、例えば無水マレイン酸単位を含むビニル系重合体の場合において特に効果的である。酸基が中和され、塩になることで壁面への付着力が低下するためであると考えられるが、このメカニズムは明らかではない。
また、本発明の重合体スケールの除去方法は、ビニル系重合体の重合様式には何ら制限はなく、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合など何れの重合方法においても効果が見られるが、重合方法が乳化重合であった場合に重合体スケールの除去効率が他の重合様式の場合よりも若干小さかった。これは、生成した重合体スケールの分子量が大きいためだと考えられるが明確な原因は不明である。また、回分式、連続式など供給様式にも何ら制限はなく何れの場合においても効果が見られる。
本発明における塩基性洗浄液は、塩基性物質含む溶液であればよく特に限定されない。本発明における塩基性物質としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物が挙げられる。これらのなかでは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムの水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがさらに好ましい。これらの塩基性物質は単独で、または二つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における塩基性洗浄液は、所望の場合には、その他、洗浄効果を向上させるために、界面活性剤などの洗浄剤を添加することも可能である。洗浄剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、添加量としては、塩基性洗浄液に対して、0.01〜5質量%が好ましい。
上記塩基性物質の溶液を調製するために用いることのできる溶媒としては、水が好ましい。
本発明における塩基性洗浄液は、塩基性物質および所望の場合には他の添加剤を公知の方法で溶媒に溶解して溶液を調製すればよく、調製方法については特に限定されない。また、塩基性洗浄液に含まれる塩基性物質の濃度は、通常0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
塩基性洗浄液としては、取り扱いが容易なところから、一般的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好ましい。
本発明における反応器内部の洗浄は、塩基性洗浄液を反応器内壁表面へ接触させればよく、接触方法としては、塩基性洗浄液を噴霧する方法、反応器内に塩基性洗浄液を満たした後抜き取る方法、反応器内表面を塩基性洗浄液で濡壁状にする方法などを挙げることができる。乳化重合や懸濁重合の場合には、重合を終了して重合液を抜液した後に反応器内を水等で洗い流してから塩基性洗浄液で洗浄する方がアルカリによるラテックスの凝集が発生せず、また、懸濁物の除去が容易となるため好ましい。
塩基性洗浄液による洗浄は、重合体スケールの生成が見られてから洗浄しても、重合体スケールの生成の有無とは関係なく、例えばバッチごと等、所望のときに洗浄を行ってもよい。
塩基性洗浄液による洗浄効果は、温度を高くすれば大きくなるが、洗浄効果が高くなるところから、通常30〜150℃が好ましく、50〜120℃とするのがより好ましい。
本発明における反応器は、特に限定されず、撹拌槽型、管型、スタティックミキサー型等の反応器であってもよい。また、本発明における反応器の材質としては、耐食性を有するものであれば特に制限はないが、通常、ステンレス鋼やグラスライニング加工を施してあるものが好ましい。
また、本発明における反応器内部とは、反応器の内壁は勿論、モノマーが接触する他の部分の表面、例えば、撹拌翼、バッフル等の反応器内の付属物表面も含む。
本発明の重合体スケールの除去方法においては、前述のように洗浄に使用した後の塩基性洗浄液の廃液には、通常この塩基性洗浄液に溶解しない固体またはゲル状の重合体スケールが固体またはゲル状の形態で存在している。この重合体スケールが、本工程内に進入すると、ポンプの機能障害や配管の閉塞、また、製品への混入による異常製品の発生などの事態を引き起こす可能性がある。これを防止するため本発明の重合体スケールの除去方法においては、この塩基性洗浄液の廃液を反応器から抜液する際に重合体スケール捕集器にて塩基性洗浄液の廃液に含まれる重合体スケールを捕集し、除去するのが好ましい。
本発明に使用することのできる重合体スケール捕集器は、洗浄後の塩基性洗浄液の廃液を通し、塩基性洗浄液の廃液中に存在する重合体スケールを捕集出来るものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、市販のストレーナ、フィルターなど何れのものを使用してもよい。反応器の形状、大きさによって塩基性洗浄液中に存在する重合体スケールの大きさも変化するため反応器の形状、大きさに合わせて捕集器を選定するのが好ましい。また、捕集器のメッシュサイズは、細かい方が重合体スケールの捕集率が高まるので好ましいが、極端に細かいものを使用すると圧力損失の影響等で捕集に時間が掛るようになるので、使用する塩基性洗浄液の廃液の量、粘度に合わせて適切なメッシュサイズを選定するのが好ましい。更に、捕集器は、捕集した重合体スケールの除去、洗浄などのメンテナンスにおける作業性を考慮して分解、洗浄が容易に行える形態のものが好ましい。具体的には、例えば、取り外しが可能なスクリーンを備えたストレーナ、交換が可能なフィルタを備えたバッグフィルタなどが挙げられる。
塩基性洗浄液の廃液は、反応器から抜液し、捕集した重合体スケールは廃棄される。反応器から抜液する方法は特に制限されないが、塩基性洗浄液の危険性の低下、反応器の乾燥防止、重合体スケールの滞留をなくすなどの理由から、80℃以下の温度で、反応器下部より速やかに抜き出すことが好ましい。抜き出した洗浄液は、廃棄することが好ましいが、回収して、再利用することも可能である。
内部を洗浄された反応器は、そのまま用いることが可能な場合はそのまま用いられるが、乾燥する方法、水または溶媒で洗浄する方法、水または溶媒で洗浄した後に乾燥する方法、水または溶媒で洗浄した後に重合に用いる溶剤または用いない溶剤で洗浄する方法、水または溶媒で洗浄した後に重合に用いる溶剤または用いない溶剤で洗浄した後に乾燥する方法など、適宜処理して重合に使用される。このような処理方法は、混入が好ましくない物質と、作業性などを加味して、選択することが可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
攪拌翼、原料供給ライン、重合体抜液ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた連続式槽型反応器を用いた溶液重合において、スチレン30質量部、メチルメタクリレート45質量部、無水マレイン酸25質量部、溶媒としてSS―150(新日本石油化学(株)製;商品名)40質量部および重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド(商品名:パーブチルD、日本油脂(株)製;商品名)6質量部を添加した原料混合物を調整し、この原料混合物を200℃、1.0MPaに保たれた反応器に滞在時間が10分となるように連続的に供給し、また、反応器内から得られた重合体溶液をギアポンプで連続的に抜き出しながら重合した。3時間の定常運転後、反応器内を観察したところ反応器気相部壁面に硬い層状の重合体スケールの付着が確認された。
上記定常運転を停止し重合体溶液を重合体抜液ラインから抜き出した後に、この反応器に濃度2質量%の水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、内温100℃にて3時間攪拌保持した。3時間後、反応器内の水酸化ナトリウム水溶液を抜液した。抜液終了後、重合体スケール捕集器内を確認したところ捕集された重合体スケールが粒子状態でスクリーンのメッシュ部に確認できた。また、反応器内を確認したところ、壁面に付着した重合体スケールは全て除去されており反応器の壁面が綺麗に再現された。
[実施例2]
原料混合物を、メチルメタクリレート100質量部、溶媒としてトルエン40質量部、更に重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド(商品名:パーブチルD、日本油脂(株)製;商品名)6質量部を添加した原料混合物とし、この原料混合物を、180℃に保った反応器に供給した以外は実施例1と同様にして、重合し、また、反応器内から反応重合体を抜き出した。3時間の定常運転後、反応器内を観察したところ、反応器気相部壁面に硬い層状の重合体スケール、攪拌軸部、温度計挿入部に固形の重合体スケールの付着が確認された。この反応器を実施例1と同様にして洗浄し、水酸化ナトリウム水溶液を抜液した。抜液終了後、重合体スケール捕集器内を確認したところ捕集した重合体スケールが粒子状態でスクリーンのメッシュ部に確認できた。また、反応器内を確認したところ、壁面、攪拌軸、温度計挿入部に付着した重合体スケールは全て除去されており反応器の壁面が綺麗に再現された。
[実施例3]
攪拌翼、原料供給ライン、重合体抜液ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた回分式槽型反応器を用いた乳化重合において、スチレン80質量部、n−ブチルアクリレート20質量部、蒸留水200質量部、乳化剤としてラテムルASK(花王製;商品名)3質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2質量部を添加した原料混合物を75℃、大気圧に保たれた反応器にて2時間重合した。重合終了後、反応器内を観察したところ、液面付近の反応器壁面に重合体スケールの付着が確認された。この反応器を実施例1と同様にして洗浄し、水酸化ナトリウム水溶液を抜液した。抜液終了後、反応器内を確認したところ、液面付近に付着した重合体スケールは、綺麗に除去された部分と一部重合体スケールが残っている部分が見られた。重合体スケールが残った部分を金属性のヘラを用いて擦ると容易に重合体スケールが剥がれ落ち綺麗な反応器壁面が再現した。
[比較例1]
実施例1と同様に運転を実施した後、反応器内を観察したところ反応器内に実施例1と同様の重合体スケールの付着が確認された。この反応器にアセトンを仕込み、内温50℃にて2時間攪拌保持した。2時間後、反応器内のアセトンを抜液した。抜液後、捕集器を確認したところスクリーンのメッシュ部に重合体スケールがほとんど確認できなかった。また、反応器内を確認したところ固形の重合体スケールが固形のまま反応器底に落ちていたものの、剥離面は、ざらついた状態で綺麗になっていなかった。更に、反応器内に付着した層状の重合体スケールは、ほとんど剥離しておらず壁面に層を形成したままで、綺麗な反応器壁面が再現されなかった。アセトンによる重合体スケールの洗浄、除去効果の低さが窺えた。
[比較例2]
実施例2と同様の運転を実施した後、反応器内を観察したところ反応器内に実施例2と同様の重合体スケールの付着が確認された。この反応器を比較例1と同様にして洗浄し、アセトンを抜液した。抜液後、反応器内を確認したところ液面付近に付着した重合体スケールが、剥離せずにそのまま残っていた。実施例2と同様に洗浄後の重合体スケールを金属製のヘラを用いて擦っても重合体スケールは綺麗に剥離せず、手作業で容易に剥離可能な状態ではなかった。アセトンによる重合体スケールの洗浄、除去効果の低さが窺えた。
実施例1では、重合体スケールの除去が良好に行われ反応器内部に綺麗な壁面が確認された。除去された重合体スケールは捕集器により捕集され、その後の運転に際し重合体スケールが原因となるトラブルも発生しなかった。
実施例2では、実施例1と同様に重合体スケールの除去が良好に行われ反応器内部に綺麗な壁面が確認された。除去された重合体スケールは捕集器により捕集され、その後の運転に際し重合体スケールが原因となるトラブルも発生しなかった。
実施例3では、液面付近に付着した重合体スケールが若干残っていたものの、容易に除去することが可能であり、除去後には綺麗な反応器壁面が再現された。他の重合方法において付着した重合体スケールの洗浄の場合と比べ洗浄、除去効果が低かったのは、乳化重合によって生成した重合体スケールの分子量が大きかったためと考えられる。
比較例1では、洗浄液としてアセトンを使用している。しかし、洗浄液としてアセトンを用いた場合は、重合体スケールの洗浄、除去効果はほとんどなく、洗浄後も、付着した重合体スケールは、ほぼ元のままの状態で確認された。
比較例2では、洗浄液としてアセトンを使用している。しかし、洗浄液としてアセトンを用いた場合は、重合体スケールの洗浄、除去効果はほとんどなく、洗浄後も、付着した重合体スケールは、ほぼ元のままの状態で確認された。また、実施例3と同様に手作業による重合体スケールの除去を試みたが、容易に除去することができなかった。
本発明によれば、極めて簡便な重合体スケールの除去方法を提供することができる。これにより、多大な設備費をかけることなく、反応器をオーバーホールすることなく除去することができ、生産性良く、高品質なビニル系重合体を提供することを可能とした。

Claims (5)

  1. ビニル系重合体の重合体スケールの除去方法であって、反応器内部を塩基性洗浄液で洗浄して該反応器内部に生成したビニル系重合体の重合体スケールを除去することを特徴とする重合体スケールの除去方法。
  2. 前記洗浄に使用した前記塩基性洗浄液の廃液に含まれる重合体スケールを、該廃液を該反応器から抜液する際に捕集し除去することを特徴とする請求項1記載の重合体スケールの除去方法。
  3. 前記塩基性洗浄液が、0.1〜10質量%の濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液であり、前記洗浄における洗浄温度が30〜150℃であることを特徴とする請求項1または2記載の重合体スケールの除去方法。
  4. 前記ビニル系重合体の構成モノマー単位が、酸基を有するモノマー単位を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体スケールの除去方法。
  5. 前記酸基を有するモノマー単位が、無水マレイン酸単位であることを特徴とする請求項4記載の重合体スケールの除去方法。
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JP2012093658A (ja) * 2010-10-29 2012-05-17 Canon Inc トナー粒子の製造方法
JP2015172156A (ja) * 2014-03-12 2015-10-01 日本ゼオン株式会社 スケールの除去方法
US9434844B2 (en) 2011-10-12 2016-09-06 Ineos Europe Ag Additive, composition comprising it and use thereof
JP2019059862A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 株式会社カネカ 重合体の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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