JP2005170690A - 光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、重水素雰囲気中に光ファイバを曝して、水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加を防ぐ重水素処理を含む一連の処理作業における処理時間を短縮できる光ファイバの製造方法を提供し、かつこの製造方法により効率よく水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加の少ない光ファイバを製造し、提供することにある。
【解決手段】 光ファイバを重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施す光ファイバの製造方法において、前記重水素処理後24時間以上144時間以内の少なくとも1時点で波長1410nm以上1430nm以下のいずれか1つの波長おける重水素処理による伝送損失の増加分を測定することを特徴とするものである。
【選択図】 図2

Description

本願発明は、水素による経時的な伝送損失増加の少ない光ファイバ及びその製造方法に関するものである。
光ファイバ内の光を伝播させる部分に構造欠陥が存在すると、光の吸収が起こることがよく知られている。また水素分子がその構造欠陥中に侵入すると、前記構造欠陥とこの水素分子とが反応して、波長1380nm付近で経時的に光ファイバに伝送損失増加が生じることもよく知られている。
この水素分子による波長1380nm付近での経時的な伝送損失増加を減少させるため、光ファイバを使用する前に、光ファイバを重水素分子含有雰囲気(以下単に重水素雰囲気という)中に暴露する方法が提案されている(特許文献1)。
この特許文献1に記載の光ファイバの処理方法は、光ファイバを重水素分子を有する混合ガスに曝して重水素分子を光ファイバに接触させつつ反応させる工程と、中性雰囲気、具体的には空気中または窒素雰囲気中で光ファイバから重水素分子を抜き出す除去工程とからなるもので、この処理方法で光ファイバをその使用前に処理して、光ファイバに起こる水素による経時的な伝送損失増加を低減している。
:特開平2002−148450号公報
ところで前記特許文献1に記載の処理方法においては、一連の処理に10日以上数週間も掛かってしまう、という問題がある。
この点特許文献1では、重水素による光ファイバの処理方法については具体的に開示しているものの、前述した一連の重水素による処理時間の短縮については、全く検討もされていないし、問題意識さえも示されていない。
そこで本願発明の目的は、重水素雰囲気中に光ファイバを曝して、水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加を防ぐ重水素処理を含む一連の処理作業における処理時間を短縮できる光ファイバの製造方法を提供し、かつこの製造方法により効率よく水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加の少ない光ファイバを製造し、提供することにある。
前記目的を達成すべく本願請求項1記載の光ファイバは、重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施した光ファイバであって、前記重水素処理後24時間以上144時間以内の少なくとも1時点で波長1420nmにおける重水素処理による伝送損失の増加分が0.002dB/km以上であることを特徴とするものである。
このようにしてなる本願請求項1記載の光ファイバによれば、水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加が少なく、長期にわたって伝送損失値の安定した光ファイバを、より短い処理時間で提供することができる。
本願請求項2記載の光ファイバの製造方法は、光ファイバを重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施す光ファイバの製造方法において、前記重水素処理後24時間以上144時間以内の少なくとも1時点で波長1410nm以上1430nm以下のいずれか1つの波長おける重水素処理による伝送損失の増加分を測定することを特徴とするものである。
このようにしてなる本願請求項2記載の光ファイバの製造方法によれば、光ファイバを重水素雰囲気中に曝したことにより伝送損失増加の影響が最も顕著に現れる波長1410nm以上1430nm以下のいずれか1つの波長おける重水素処理による伝送損失の増加分を測定することにより、光ファイバの光が伝播する部分に存在する構造欠陥と重水素分子との反応が完了したか否かを容易に判断することができる。
それ故、もし前記構造欠陥と重水素分子との反応が完了したことを確認できれば、それ以上重水素処理を含む一連の処理作業を続ける必要がない、と判断できるためこの処理を直ちに中止することができる。その結果、一連の処理時間の短縮を図ることができる。
さらに本願請求項3記載の光ファイバの製造方法は、請求項2に記載の光ファイバの製造方法であって、前記伝送損失の増加分が0.002dB/km以上のとき、この光ファイバを良品と判定することを特徴とするものである。
このようにしてなる請求項3記載の光ファイバの製造方法によれば、前述したように、光ファイバに重水素分子を添加したことにより伝送損失増加の影響が最も顕著に現れる波長1410nm以上1430nm以下のいずれか1つの波長おける重水素処理による伝送損失の増加分が0.002dB/km以上あれば、光ファイバの光が伝播する部分に存在する構造欠陥と重水素分子との反応が確実に完了した、と判断できる。
その結果、1380nm付近での水素により経時的な伝送損失増加のほとんどない良品の光ファイバを得ることができるとともに、早めに良品の判断ができるため、光ファイバを重水素雰囲気中に曝す処理に始まり、最終的な良品判断に到る一連の処理時間の短縮を図ることができる。
また本願請求項4記載の光ファイバの製造方法は、光ファイバを重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施す光ファイバの製造方法において、前記重水素処理を施す重水素雰囲気の温度が10℃以上40℃以下であって、重水素雰囲気に曝す重水素処理時間(h)と前記重水素雰囲気の重水素分圧(atm)の積が0.15以上であることを特徴とするものである。
このようにしてなる請求項4記載の光ファイバの製造方法によれば、光ファイバを重水素雰囲気中に曝す処理条件を容易に決定できる。より具体的には、高価な重水素ガスの使用量を極力少なくしたい場合、すなわち処理雰囲気中の重水素濃度を下げたい場合、光ファイバを重水素雰囲気中に曝す重水素処理時間を容易に決定できる利点がある。
以上のように本願発明によれば、重水素雰囲気中に光ファイバを曝して、水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加を防ぐ処理において、この一連の処理時間を短縮できる光ファイバの製造方法及び水素による1380nm付近での経時的な伝送損失増加の少ない光ファイバを得ることができる。
まず最初に光ファイバ内の光が伝播する部分に存在する構造欠陥と、そこに侵入していった重水素分子が反応する技術的説明を行うことにする。
光が伝播する箇所に存在する構造欠陥と、この構造欠陥が存在する部分に侵入した重水素分子との反応は、以下の反応式(1)、反応式(2)に従って行われていると考えられている。
尚、構造欠陥の構造については諸説あり、ここでは深く言及しない。しかしSi-O及びSiに関する構造であることが有力な説となっている。
Si-O(構造欠陥)+1/2D2→ Si-OD (1)
Si(構造欠陥)+1/2D2→ Si-D (2)
上記反応式(1)及び反応式(2)が示すように、ガラス中のシリコン(Si)や酸素(O)に関する構造欠陥と重水素分子(D)とを反応させ、より安定なSi-ODあるいはSi-Dに変化させるには、その構造欠陥の濃度と同等かそれ以上の濃度の重水素分子をこの構造欠陥存在部分に侵入させなければならない。
因みに構造欠陥の濃度は、線引き後の光ファイバを電子スピン共鳴分析装置で調べたところ、約1015個/cm3であった。この光ファイバは、具体的にはコアにGeドープした石英系単一モード光ファイバ用プリフォーム(コアのクラッドに対する屈折率差△は0.35%)を線引きし、外径125μmの光ファイバにしたものである。そしてその外周には紫外線硬化性のウレタンアクリレート樹脂によって被覆が施され、その外径は250μmになっている。
光ファイバの内部に侵入した重水素分子の挙動は、拡散係数、温度、及び時間によって理論的に表すことができる。例えば参考文献として下記のものが挙げられる。
参考文献:波平他、信学会通方研、1984、CS-84、R.W.Lee, R.C.Frank , and D.E.Swets
(‘Diffusion of Hydrogen and Deuterium in Fused Quartz', J. Chem. Phys.,
vol.36, no.36, pp.1062-1071,1962.)
従って、光ファイバを重水素分子に曝す時間と温度を決めると、その後放置する周囲の温度と雰囲気によって、光が伝播する部分における重水素分子または水素分子の濃度を計算で求めることができる。光が伝播する部分における重水素分子または水素分子の濃度が、光ファイバの場合数ppmであれば構造欠陥の濃度より高く、その結果構造欠陥をSi-OD及びSi-Dへ変化させることができる、と推測される。
以下に図1〜図3を用いて本願発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、重水素雰囲気に曝して重水素処理を行った光ファイバにおいて、重水素分子が光ファイバの光が伝播する部分に達して各波長、とりわけ1410nm以上1430nm付近、特に1420nm付近と1500nm以上の長波長域において伝送損失値の増加が現れた状態を示している。ここで横軸は波長(nm)を、縦軸は各波長における重水素処理前の状態からの伝送損失の増加分(初期ロスとの差:dB/km)を示している。
ここで光ファイバの光が伝播する部分とは、光ファイバのコアと、該コアの外側に設けられたクラッドの前記コアに隣接する部分、より具体的には、コアと該コア内を伝播する光の一部が沁み出すコアに隣接するクラッドの部分、を意味する。
また重水素処理とは、光ファイバを重水素雰囲気中に曝す処理そのものをいう。
ところで図1に示す重水素処理により現れた伝送損失の増加分は、重水素分子の光ファイバの光が伝播する部分への侵入量に応じて増加し、構造欠陥と重水素分子の反応が完了した後、残った未反応の重水素分子が光ファイバの外部へと逃げて行くに従って次第に減少し、光ファイバから重水素分子が除去される除去段階が完了すると、最終的に初期の伝送損失値に戻る。すなわち未反応の重水素分子が光ファイバの外部に完全に除去されると重水素処理に起因する伝送損失の増加分はゼロになることが判っている。
本願発明者等はこの知見に基づいて、予め、例えば最も顕著な形で重水素分子による伝送損失増加のピーク値が現れる波長1410nm以上1430nm付近、より好ましくは1420nmの増加量を監視していれば、光ファイバの光が伝播する部分における構造欠陥と重水素分子の反応が完了したかどうかが判断できるのではないか、と考えた。
尚、波長1420nm付近の伝送損失はレーリー散乱損失と1380nmのOH吸収損失のピークの裾による増加分で表される。重水素処理によってはこの二つの損失要因は変化することはないため、図1に示すように重水素処理後の波長1420nm近辺での伝送損失の増加は、ほぼすべて重水素処理に起因する伝送損失増加と見做すことができる。この点からも波長1410nm〜1430nmのいずれかの波長で伝送損失増加量を監視する方が、他の波長で監視するより容易である、といえる。
そこで長さ約25kmの光ファイバが巻かれたボビンを用意し、予めこのボビンに巻かれた光ファイバの伝送損失、特に波長1380nmと波長1420nmにおける伝送損失の値を測定しておいた。しかる後この光ファイバが巻かれたボビンを2時間、重水素ガス100%雰囲気に曝し、しかる後、ボビンを常温の大気中に取り出し、ある時間経過毎にこのボビンに巻かれた光ファイバの波長1380nm及び1420nmにおける伝送損失を測定し、先に測定しておいた重水素処理前の伝送損失の値との差(増加分)を求めた。図2はこの結果をプロットしたもので、重水素処理(2時間)後の時間経過に伴う、波長1380nm、1420nmにおける重水素処理に伴う伝送損失増加分の変化を示している。
尚、図2において、横軸は重水素処理後の経過時間(h)を、縦軸は重水素処理に伴う伝送損失の増加分の変化、すなわち損失変化(dB/km)を示している。また白い菱形が示すグラフは波長1420nmに関する値を、そして黒い三角が示すグラフは波長1380nmの値の経時変化を示している。
この図2からわかるように重水素処理後直ちに伝送損失を測定しても伝送損失の値は重水素処理前の値と同じであった。
ところで波長1380nmについては重水素処理後ほとんど伝送損失の値に変化は見られないが、波長1420nmにおける伝送損失の増加は、重水素処理後約17時間経過後あたりから徐々に伝送損失が増加し始めて、70時間〜90時間経過した頃に損失増加が最大の約0.02dB/kmになり、その後徐々に減少し、約400時間経過するとほぼ元の状態に戻る、すなわち重水素処理前の状態に戻る。
このことから重水素処理後直ちには重水素分子は光ファイバの光が伝播する部分に存在する構造欠陥にまで達していないが、波長1420nmのグラフから判断すると、重水素処理後17時間程度経過すると、既に構造欠陥が存在する位置まで侵入し、この構造欠陥との反応を完了している、と推測される。因みに重水素処理後17時間経過後の波長1420nmにおける伝送損失増加は0.002dB/km以上になっていることがわかる。
以上の観点から波長1420nmにおいて、重水素処理による伝送損失の増加が最大値になる70時間〜90時間経過した頃には、波長1380nmにおいて経時的な水素ロス増を引き起こす光が伝播する部分に存在する構造欠陥と重水素分子との反応は既に完了している、と判断してよい、と考えられる。
それ故、重水素処理による伝送損失の変化がほとんど見られない波長1380nmではなく、周囲に比して重水素処理による伝送損失の増加が突出していて観測し易い波長1420nmにおける重水素処理後の伝送損失の増加分を監視し、かつその増加分が0.002dB/km以上になっていれば、問題となる波長1380nmにおいて経時的な水素ロス増を引き起こす構造欠陥は重水素分子との反応を完了している、と判断できることになる。
このように重水素処理後17時間、安全を考えて24時間以上経過して、波長1420nmにおける損失増加が0.002dB/kmあるいはそれ以上になっていれば、重水素分子と構造欠陥との反応は完了し、その後不要となった過剰の重水素分子は光ファイバからその外部へと抜けていく。そして重水素処理後約400時間後には、光ファイバの光が伝播する部分からはほぼ完全になくなる、すなわち除去される、と推測される
尚、波長1420nmにおける重水素処理による伝送損失の増加分が0.002dB/km以上になったボビン10個について、ボビンに巻かれた光ファイバを水素雰囲気に曝し、いわゆる水素試験を施したところ波長1380nmにおける伝送損失の増加は見られなかった。
このことから波長1420nmにおける重水素処理による損失増加が0.002dB/kmあるいはそれ以上になっていれば、光ファイバ内の光が伝播する部分における構造欠陥と重水素分子の反応は予想通り完了していることが確認できた。
このことから光ファイバ内に侵入した重水素分子のうち構造欠陥と未反応の重水素分子、すなわち過剰の重水素分子が完全に光ファイバから除去されない状態であっても、波長1420nmでの重水素処理の伴う伝送損失の増加分が0.002dB/km以上になっていさえすれば、既に重水素分子と構造欠陥との反応が完了しているので、重水素処理後に続く重水素分子の除去段階を直ちに止めることもできる。
さらには従来行っていたこの重水素処理により光ファイバに耐水素性が付与されたことを確認する水素試験、すなわち光ファイバを所定時間水素雰囲気に曝した後、数日後波長1380nmでの伝送損失増加があるかないかを確認する試験を省略することも可能である。
因みに、この重水素分子の除去段階は、重水素処理後の光ファイバを大気中に自然放置しておくだけの処理である。この除去段階中、過剰の重水素分子は光ファイバから自然と除去され、重水素処理により増加した光ファイバの伝送損失の値(増加分)は徐々に減少していき、最終的には増加分はゼロになる。
このように波長1410nm以上1430nm以下のいずれか1つの波長おける重水素処理による伝送損失増加、より好ましくは1420nmにおける増加分が0.002dB/km以上になった時点で重水素分子の除去段階を中止できれば、それ以上処理を続行する必要がないので、重水素処理に係る一連の処理時間の短縮を図ることができる。もちろんこの結果として効率よく波長1380nmにおける水素による経時的伝送損失増加のない光ファイバを得ることができる。
ところで図2に示す結果では、重水素処理後約70〜90時間で波長1420nmにおける伝送損失の増加分が最大値になっているが、光ファイバの光が伝播する部分の構造欠陥数は光ファイバ毎に異なる。また重水素雰囲気の温度や重水素処理後放置された大気雰囲気の温度も、例えば季節により10℃〜40℃の範囲内で変化することも鑑みて、波長1420nmにおける伝送損失の増加を、安全を考慮して重水素処理後約24時間(1日間)〜144時間(6日間)程度、好ましくは重水素処理後約48〜90時間(約2〜4日)の範囲内の少なくとも1時点で測定し、その値が重水素処理前より0.002dB/km以上増加していたら、その時点で構造欠陥と重水素分子との反応は完了した、と判断すればよい。
尚、図2から判断してこの増加分が0.040dB/kmを超えることはないと思われるので、前記重水素処理後24時間以上144時間以内の少なくとも1時点で波長1420nmにおける重水素処理による伝送損失の増加分が0.002dB/km以上、0.040dB/km以下であることを目安にすればよい。
換言すれば、重水素処理後波長1420nmでの伝送損失増加分が0.002dB/km以上になった光ファイバは重水素分子と構造欠陥の反応が完了したもの、すなわち一連の処理作業が完了した良品、と判断することができる。
前述した例では光ファイバが巻かれたボビンを重水素100%雰囲気にて処理した場合についてのみ示した。しかしながら重水素ガスは極めて高価なガスである。そこで重水素ガスをできるだけ少なくして重水素処理を施したい場合、重水素処理時間、すなわちボビンを重水素雰囲気に曝しておく時間はどのように決定すればよいのかを次に検討した。
この検討に際しては、処理雰囲気中の重水素ガス(D)の分圧を0.025、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25(atm)の6水準取り、各々について重水素ガス雰囲気に光ファイバを曝す重水素処理時間を1時間単位で変え、波長1420nmでの重水素処理のよる伝送損失の増加値を測定すると共に、処理後の光ファイバについて水素試験を施して、波長1380nmにおける水素ロス増の有無を調べ、重水素処理が完全に行われたかどうかを調べた。尚、処理雰囲気の温度は常温である。
一般的に、雰囲気中の重水素ガスの分圧が高ければ高いほど重水素分子が光ファイバ内の光が伝播する部分に達する時間は短くなり、この分圧が低ければ低いほど時間は長く掛かる。それ故、重水素ガスの分圧と重水素処理時間の積が重要な要素になる、と推測し、前記実験結果を図3にまとめた。
図3において横軸は重水素ガスの分圧(atm)と重水素処理時間(h)との積を、縦軸は重水素処理前後の波長1420nmでの伝送損失の変化(重水素処理に伴う伝送損失の増加値)を示している。尚、図3において丸印は得られた光ファイバに水素試験を施して水素ロス増がないもの、すなわち光ファイバにおいて重水素分子と構造欠陥の反応が完了している良品の光ファイバを示し、ばつ印は逆に水素試験の結果、波長1380nmで水素ロス増があった不良の光ファイバ、すなわち重水素分子と構造欠陥の反応が完了していない光ファイバを示している。
図3に示すように、処理雰囲気中の重水素ガスの分圧(atm)と重水素処理時間(h)との積が0.15以上であれば、確実に重水素分子と光ファイバの光が伝播する部分に存在する構造欠陥との反応が完了していて、波長1380nmでの経時的な水素ロス増加のない光ファイバが得られることがわかった。
ところで前記積の上限は特にないが、現実的には重水素ガスの分圧(atm)と重水素処理時間(h)との積が4.0以下になるようにする。
尚、この図3の左隅の表示からも、重水素処理によって波長1420nmにおける伝送損失の増加が0.002dB/km以上あれば、重水素分子と光ファイバの光が伝播する部分に存在する構造欠陥との反応が完了していて、波長1380nmでの経時的な水素ロス増加のない光ファイバが得られることがわかる。
この結果から、高価な重水素ガスを節約するために、重水素ガスの処理雰囲気中の分圧を下げる場合には、処理雰囲気中の重水素ガスの分圧(atm)と重水素処理時間(h)との積が0.15以上になるように重水素ガスへの暴露時間、すなわち重水素処理時間を設定すればよい。
換言すれば、光ファイバの納期に余裕がある場合には、重水素ガス節約のために重水素ガス分圧を小さくし、逆に余裕がない場合には、重水素ガスの分圧を大きくして重水素処理を短縮するように調整することも容易である。
因みに、前記実験は常温雰囲気で行っているので、常温、すなわち10℃以上40℃以下の範囲なら、前述した処理雰囲気中の重水素ガスの分圧(atm)と重水素処理時間(h)との積の関係は成立する。
重水素処理に伴う各波長における伝送損失の増加量を示すグラフである。 波長1380nmと1420nmにおける重水素処理後の伝送損失増加量の経時的変化を示すグラフである。 重水素処理による波長1420nmにおける伝送損失増加量と重水素雰囲気中の重水素ガスの分圧と重水素処理時間の積との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施した光ファイバであって、前記重水素処理後24時間以上144時間以内の少なくとも1時点で波長1420nmにおける重水素処理による伝送損失の増加分が0.002dB/km以上であることを特徴とする光ファイバ。
  2. 光ファイバを重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施す光ファイバの製造方法において、前記重水素処理後24時間以上144時間以内の少なくとも1時点で波長1410nm以上1430nm以下のいずれか1つの波長おける重水素処理による伝送損失の増加分を測定することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  3. 請求項2に記載の光ファイバの製造方法であって、前記伝送損失の増加分が0.002dB/km以上のとき、この光ファイバを良品と判定することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  4. 光ファイバを重水素雰囲気中に曝して重水素処理を施す光ファイバの製造方法において、前記重水素処理を施す重水素雰囲気の温度が10℃以上40℃以下であって、重水素雰囲気に曝す重水素処理時間(h)と前記重水素雰囲気の重水素分圧(atm)の積が0.15以上であることを特徴とする光ファイバの製造方法。
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