JP2003185869A - 光ファイバ - Google Patents
光ファイバInfo
- Publication number
- JP2003185869A JP2003185869A JP2001383709A JP2001383709A JP2003185869A JP 2003185869 A JP2003185869 A JP 2003185869A JP 2001383709 A JP2001383709 A JP 2001383709A JP 2001383709 A JP2001383709 A JP 2001383709A JP 2003185869 A JP2003185869 A JP 2003185869A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical fiber
- fluorine
- hydrogen
- concentration
- region
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
イバを得る。 【解決手段】 クラッド2のうち光が通過する領域を内
側クラッド2a、それ以外の領域を外側クラッド2bと
するとき、少なくともコア1と内側クラッド2aとの両
方にフッ素をドープし、水素の侵入によって引き起こさ
れる1550nm帯の不可逆な損失増加量を0.01d
B/km以下とする。このような光ファイバは、例え
ば、フッ素の平均実効濃度を、通過光の強度で重み付け
された平均として定義するとき、前記フッ素の平均実効
濃度が0.08〜2.5%となるようにフッ素を光ファ
イバにドープすることによって得ることができる。さら
に、光の通過する領域の略全体にわたって、フッ素を
0.03重量%以上ドープすることによって、耐水素特
性が一層向上した光ファイバを得ることができる。
Description
なる通信用光ファイバに関し、特に、耐水素特性を改善
した光ファイバに関する。
の光ファイバが大洋横断海底伝送システムを代表とする
長距離伝送システムに使用されるようになっている。こ
の種の長距離光伝送システムに使用される光ファイバ
は、品質や信頼性が高く、高速度、大容量の伝送が可能
であることが要求されており、このため、低損失、低分
散、長寿命などの特長を有するものが用いられている。
をはじめとする光伝送システムで多用されている伝送帯
域は、Cバンド(1530〜1565nm)またはSバ
ンド(1460〜1535nm)、Lバンド(1565
〜1625nm)と呼ばれる帯域であり、この帯域で低
損失、低分散が得られる光ファイバとしては、石英系ガ
ラスからなるシングルモード光ファイバが挙げられる。
折率の高い部分をコアといい、また、該コアの周囲に設
けられ、屈折率が前記コアより低い部分をクラッドとい
う。単純なシングルモード光ファイバにおいては、コア
とクラッドとはそれぞれ略均質な屈折率分布を有してい
る。さらに、光ファイバの屈折率分布の形状を適切に変
化させることによって、さらに優れた特性が得られるよ
うにしたものが知られている。例えば、分散シフト光フ
ァイバは、零分散波長を1550nm帯にシフトさせる
ことにより、使用波長帯での分散を最小としたものであ
る。また、分散補償光ファイバは、分散を負の値に大き
くすることにより、伝送用光ファイバの累積分散を補償
し、光信号の劣化を防止できるものである。
つとして、水素による劣化が知られている。これは、現
在では、次のような現象であると考えられている。ま
ず、光ケーブル中では、例えば、被覆材や充填材などに
用いられているプラスチック類の分解や、鎧装用の鉄線
の腐食などにより、水素が微量ながら発生することがあ
る。この水素が光ファイバ中に拡散すると、水素分子に
よる光の吸収が現れる。この光の吸収による損失は可逆
的なものであり、光ケーブルの構造や材料の設計を改良
して、水素の発生を抑制し、水素の濃度を低減すること
により、改善することが可能である。
構造に欠陥がある場合、該欠陥部に水素分子が反応して
ガラスの構造が変化し、新たな光の吸収が現れることが
ある。この反応は不可逆であり、水素の濃度が微小でも
起こりうるので、水素の発生および侵入を完全に防止し
ない限り、抑制することはできない。
構造欠陥としては、例えば、以下のようなパーオキシラ
ジカルが考えられている。
の石英ガラスをPCVD法、MCVD法などの方法を用
いて製造する際、SiCl4などの材料ガスを、過剰な
酸素と混合した状態で加熱してガラススートを生成する
熱酸化反応や、水素などの燃料ガスと過剰な酸素とが共
存する状態で燃焼させガラススートを生成する火炎加水
分解反応の過程において、酸素過剰となった際、以下の
ようなパーオキシ結合
程で加熱溶融した際、結合の切断により前記パーオキシ
ラジカルになるものと考えられている。
よる吸収は、1380nm付近および1530nm付近
に現れる。図8に、水素暴露前後における1530nm
付近の吸収ピークの変化の一例を示す。これらの吸収は
不可逆なものであって、たとえ水素濃度が低下しても水
素濃度には比例しないため、使用波長帯付近にある場
合、経時的な損失の変動の原因となり、光ファイバの伝
送特性に大きく影響する。
を用いた波長多重伝送システム(WDM)が積極的に利
用されている。この種の光伝送システムにおいては、長
距離の伝送により発生する光ファイバの損失を補償する
ため、アンプシステムを用いて光信号の増幅が行われて
いるが、光ファイバの損失が大きく変化すると、このア
ンプシステムを正常に動作させることができなくなるお
それがある。従って、前記水素暴露に伴うガラスの構造
欠陥と水素との反応による吸収のうち、とりわけ問題な
のは、WDMの使用波長帯(1550nm付近)に近接
しもしくは含まれる1530nm帯の吸収である、例え
ば海底伝送システムに用いられる光ファイバのように、
長期的に使用され、かつ、修理や交換が物理的、費用的
に非常に困難な光ファイバにおいては、1530nm付
近の経時的な損失増加量が0.01dB/km以下であ
ることが望まれている。
0〜1550nm付近の損失増加を抑制するために、従
来、種々の方法が提案されている。例えば、特開平10
−45421号公報には、光ファイバ用ガラス母材を加
熱して光ファイバを紡糸する際の線引速度および張力を
制御することにより、ガラス構造の欠陥の発生を抑制す
る方法が開示されている。また、特開平9−17112
0号公報に例示されるように、クラッドの一部にゲルマ
ニウムをドープすることにより、過剰の酸素によって生
じる前記パーオキシ結合の生成を抑制することで問題の
解決を図る方法が開示されている。
御する方法は、線引き装置の構造に制約を伴い、製造方
法が限定されるため、製造コストが増大する問題があ
る。また、一般に、ゲルマニウムをドープされたガラス
は、元のガラスより屈折率が高くなる。従って、クラッ
ドの一部にゲルマニウムをドープすると、光ファイバの
伝送特性に影響がでるおそれがあるので、ゲルマニウム
の濃度分布を複雑なものとし、所定の部位のみにゲルマ
ニウムをドープする必要がある。そのため、クラッドの
一部にゲルマニウムをドープする方法では、ゲルマニウ
ムの濃度の制御と屈折率分布の制御を両立させる必要が
あり、種々の複雑な屈折率分布を有する光ファイバに適
用する場合、実施が困難である。
であり、水素暴露による1550nm付近の損失増加が
極めて抑制された光ファイバを提供することを課題とす
る。さらに、この光ファイバの水素暴露による1550
nm付近の損失増加を抑制する手段は、種々の複雑な屈
折率分布を有する光ファイバにも適用可能なものとし、
耐水素特性と伝送特性の双方に優れた光ファイバを得る
ことを課題とする。
め、本発明は、通信用光ファイバであって、その光ファ
イバの断面での光の通過する領域の全てまたは大部分に
フッ素をドープすることにより、水素の侵入によって引
き起こされる1550nm帯の不可逆な損失増加量を
0.01dB/km以下としたことを特徴とする光ファ
イバを提供する。
の平均実効濃度を、通過光の強度で重み付けされた平均
として次式
実効濃度を0.08〜2.5%とすることにより、得る
ことができる。
わたって、フッ素が0.03重量%以上の濃度で(後述
するように、この濃度は、平均実効濃度ではなく、局所
的な濃度である)ドープされていることが好ましい。こ
のためには、フッ素が0.03重量%以上の濃度でドー
プされている領域を通過する光強度が、光ファイバの断
面積全体を通過する光パワーの99%以上であるものと
する、または、フッ素が0.03重量%以上の濃度でド
ープされている領域の外径を、該光ファイバのモードフ
ィールド径の2.4倍以上とすることにより、実施する
ことができる。
より屈折率が低下することが知られている。そこで、フ
ッ素がドープされている領域のうち、クラッドに相当す
る部分にゲルマニウムを共添加して、該部位の屈折率が
純石英と実質的に等しくすることが好ましい。これによ
り、コアとクラッドとの比屈折率差を適正な範囲内にす
ることができる。
本発明は、材料ガスの燃焼により生成したガラススート
を堆積させて光ファイバ母材を製造する工程と、光ファ
イバ母材を線引きして光ファイバを製造する工程とを有
する光ファイバの製造方法において、光ファイバ母材の
製造時に、前記材料ガスにフッ素系ガスを添加して、光
ファイバの断面での光の通過する領域の全てまたは大部
分に対応する部分にフッ素をドープすることにより、光
ファイバへの水素の侵入によって引き起こされる155
0nm帯の不可逆な損失増加量を0.01dB/km以
下とすることを特徴とする光ファイバの製造方法を提供
する。光ファイバ母材を製造する方法としては、MCV
D法またはPCVD法を用いることが好ましい。
発明を詳しく説明する。図1は、本発明の光ファイバの
実施の形態の一例を示す概略断面図である。図1におい
て、符号1はコアである。また、符号2はクラッドであ
る。さらに、クラッド2は、内側クラッド2aと外側ク
ラッド2bとに区別されている。そして、本実施の形態
の光ファイバにおいては、少なくともコア1と内側クラ
ッド2aにフッ素がドープされている。
すように区分した理由は、次のとおりである。光ファイ
バ内を伝播する光の大部分はコア1内を伝播するが、シ
ングルモード光ファイバにおいて、光の一部が内側クラ
ッド2aに染み出して伝播することは周知である。
内の光が通過する領域にフッ素をドープすることによっ
て、該光ファイバの耐水素特性が著しく向上することを
見出した。この光ファイバ内の光が通過する領域とは、
コア1のみならず、前記内側クラッド2aをも含む領域
である。また、フッ素のドープをコア1のみに行った場
合、該光ファイバの耐水素特性の改善効果ははかばかし
くなかった。
している領域を、内側クラッド2aと外側クラッド2b
に区分する。そして、この内側クラッド2aは、コア1
または内側クラッド2aを通過する光のパワーが、光フ
ァイバの断面全体を通過する光のパワーに実質的に等し
いものとなる領域の範囲として決定される。
ッド2aと外側クラッド2bとの区別は、必ずしも明確
に定められるものではない。例えば、内側クラッド2a
には、必ずフッ素がドープされるが、外側クラッド2b
については、フッ素がドープされるか否かに関して制限
は設けられない。換言すれば、外側クラッド2bがフッ
素を含有しなければ、内側クラッド2aとは材質的に明
確に区別されるが、外側クラッド2bが内側クラッド2
aと同様にフッ素を含有するものであれば、内側クラッ
ド2aと外側クラッド2bとの区別を材質に関して付け
ることはできない。そして、本発明を構成するために
は、この両者のいずれでもよい。もっとも、一般的に、
外側クラッド2bにフッ素をドープする必要はないので
あるから、高価なフッ素系材料ガスの使用量を低減でき
るので、外側クラッド2bにフッ素をドープしないこと
が好ましい。
入によって引き起こされる1530nm帯の不可逆な損
失増加量を0.01dB/km以下に抑制することがで
きる。
起こされる損失増加量とは、光ファイバを所定の条件下
で十分な量の水素に暴露させたときの所定の波長帯にお
ける損失の増加量である。光ファイバを水素に暴露させ
たとき、水素とガラスの構造欠陥との反応により光ファ
イバの損失は徐々に増加し、この損失の増加は不可逆な
ものであることが知られている。従って、この水素との
反応が終了するまで、光ファイバを水素に暴露させたと
きの損失増加量は、該光ファイバの耐水素特性を表現す
ることができる。水素暴露の条件としては、特に本発明
を限定するものではないが、例えば、光ファイバを常温
常圧にて、濃度1〜100%の水素雰囲気下、4日〜3
週間程度放置するという条件が例示される。
の平均実効濃度を、通過光の強度で重み付けされた平均
として、上述の式(1)により定義するとき、前記フッ
素の平均実効濃度が0.08〜2.5重量%であるもの
とされる。このように、フッ素の濃度を前記平均実効濃
度として表現することにより、光の強度分布P(a)に
応じたフッ素の濃度分布F(a)を設計することがで
き、光の強度が比較的弱い部分に過剰なフッ素をドープ
することを避けることができる。
るためには、光ファイバの断面におけるフッ素の濃度分
布F(a)を求める必要があるが、これは、例えば、電
子線プローブマイクロアナリシス(EPMA)を用いて
測定することができる。このようにして得たF(a)
と、適切な検出器により求めた光の強度分布P(a)の
結果とを合わせて計算装置により計算すれば、フッ素の
平均実効濃度を計算することができる。
は、後述する実験結果に示されているように、フッ素の
平均実効濃度が0.08重量%未満であると、耐水素特
性の改善が不十分であることがあり、そこでこのように
設定した。また、フッ素の平均実効濃度の上限値につい
ては次のように設定された。フッ素に限られることでは
ないが、石英ガラスにフッ素等のドーパントをドープし
たガラスは密度ムラが生じやすく、このため、レイリー
散乱による損失の増加が大きくなる。そこで、レイリー
散乱の影響が小さい範囲として、前記フッ素の実効濃度
の上限を2.5重量%と定めた。
素をドープする理由は以下のとおりである。光ファイバ
のガラスにフッ素をドープすると、このフッ素と、ガラ
ス中のケイ素とが安定な結合を形成し、上述のガラスの
構造欠陥が除去される。このため、該光ファイバを水素
に暴露させても、損失増加量が極めて低いものとなる。
さらに、光ファイバ中、通過光の強度が高い領域に重点
的にフッ素をドープするので、該光ファイバの耐水素特
性を著しく向上させることができる。
ことにより、次に挙げる効果が得られる。通常、焼結し
たガラスは、密度ムラを有するので、レイリー散乱が起
こりやすく、それにより損失が増加する。フッ素をドー
プした光ファイバは、従来のゲルマニウムをドープした
光ファイバに比較して、レイリー散乱が小さいので、有
利である。
ることにより、該ガラスの屈折率が減少する。このた
め、本実施の形態の光ファイバにおいては、フッ素をド
ープした領域にゲルマニウムを共添加して、所望の屈折
率分布を得ることが好ましい。また、例えば、ドープす
べき領域内でフッ素の濃度を一定にし、かつゲルマニウ
ムの濃度を変化させることによって、所望の屈折率分布
を得ることも可能である。これにより、種々の複雑な屈
折率分布を有する光ファイバにも適用可能であり、耐水
素特性と伝送特性の双方に優れた光ファイバを得ること
ができる。
ゲルマニウムを共添加して、該部位の屈折率を純石英と
実質的に等しくすることが好ましい。特に、外側クラッ
ド2bが実質的にドーパントを含まないものである場
合、内側クラッド2aと外側クラッド2bとの屈折率を
マッチさせることが好ましい。これにより、コア1とク
ラッド2との比屈折率差を、目的とする光ファイバへの
要求に合わせて、所望の適正な範囲内にすることができ
る。
イバを得るための構成について説明する。上述の要件に
おいては、フッ素の平均実効濃度について言及した。し
かしながら、フッ素がほとんど添加されていない領域
は、耐水素特性の改善が見込めないのであるから、その
ような領域が比較的大きければ、他の領域においてフッ
素濃度を高めることにより、平均実効濃度を規定の範囲
内としても、十分な耐水素特性を得られないおそれがあ
る。
を得るためには、光の通過する領域の略全体にわたっ
て、フッ素を0.03重量%以上ドープすることが好ま
しい。具体的には、フッ素添加濃度が0.03重量%以
上である領域を通過する光パワーの割合が、全体の99
%以上、さらに好ましくは、99.5%とする。このよ
うにフッ素の添加濃度を添加する理由は以下のとおりで
ある。
鋭意検討した結果、フッ素による耐水素特性の向上は、
低フッ素濃度領域において特に顕著であるということを
示唆するデータを得た。詳しくは後述するが、表1に示
すように、フッ素を添加しない光ファイバと、フッ素を
0.05重量%添加した光ファイバとを比較すると、水
素暴露に伴う損失増加量は、差にして0.23dB/k
m以上、比にして10分の1以下に改善されている。こ
れに対して、フッ素を0.05重量%添加した光ファイ
バと、フッ素を0.13重量%添加した光ファイバとを
比較すると、水素暴露に伴う損失増加量は、差にして
0.02dB/km以下、比にしても5分の1以下程度
しか改善されていない。すなわち、光が通過する領域の
全てまたは大部分(上述のように、光パワーに基づい
て、99%以上、さらに好ましくは、99.5%)に
は、少ないながらもフッ素をフッ素が添加されているこ
とが重要である。そこで、そのフッ素の添加濃度の下限
として0.03重量%程度とした。換言すれば、この要
件は、フッ素添加濃度が0.03重量%未満の領域を通
過する光パワーの割合が、1%未満、さらに好ましく
は、0.5%未満であるということに等しい。
おける光の強度は、コア1から遠ざかるにつれて減衰す
るものであるから、内側クラッド2aの外径に適切な下
限を規定することによっても、フッ素のドープ量が小さ
い領域を通過する光のパワーを限度以下におさめること
ができる。すなわち、前記内側クラッド2aの外径を、
光ファイバのモードフィールド径の2.4倍以上、さら
に好ましくは2.6倍以上とし、かつ、コア1および内
側クラッド2aの全体にドープするフッ素の濃度を、最
も少ないところで0.03重量%以上とする条件を設け
ることもできる。これによっても、耐水素特性の高い光
ファイバを得ることができる。
料ガスに、四フッ化ケイ素(SiF 4)、フッ素
(F2)、六フッ化硫黄(SF6)などのフッ素系ガスを
添加することによって、フッ素がドープされた光ファイ
バ母材を製造し、得られた光ファイバ母材を線引きして
ファイバ化することによって製造することができる。光
ファイバ母材を製造する方法としては、MCVD法、P
CVD法、VAD法などの公知の方法を用いることがで
きるが、添加物の制御が高精度かつ容易であることか
ら、プロファイルが複雑であっても生産効率が高く、製
造コストを低減できるMCVD法またはPCVD法が特
に好ましい。
に、フッ素をドープする領域にゲルマニウムを共添加す
ることが好ましい。特に、フッ素のドープ濃度を一定に
し、ゲルマニウムのドープ濃度を変化させて屈折率分布
を形成するようにすれば、所望の屈折率分布の形成が一
層容易になる。フッ素やゲルマニウムのドープ濃度を変
化させるためには、従来行われているように、SiCl
4、SiF4、GeCl4などのそれぞれの材料ガスの配
合比を変化させることによって実施することができる。
側に、MCVD法またはPCVD法を用いて、前記フッ
素系材料ガスならびにSiCl4、GeCl4などのその
他の材料ガスの濃度を変化させながら、所望の組成のガ
ラススートを堆積、透明化させ、次いでコラップスによ
り中実化し、さらに外付け法により前記ガラス管の外側
に所望の外径までシリカを堆積させて光ファイバ母材と
したのち、延伸紡糸することにより光ファイバを製造す
ることができる。
明する。 [試験例1]PCVD法により表1に示す濃度でフッ素
を含有する光ファイバ母材を製造し、この光ファイバ母
材を紡糸してシングルモード光ファイバを製造した。フ
ッ素は、コアおよびクラッドとも、略一様に添加した。
従って、本試験例の光ファイバのフッ素の平均実効濃度
は、局所的なフッ素濃度にほぼ等しい。このシングルモ
ード光ファイバを水素暴露した際の1528nm(本試
験例のシングルモード光ファイバにおける1530nm
付近の吸収のピーク波長)における損失増加量を測定し
た。この測定値を表1に示す。
することによって、損失増加量が減少した。特に、フッ
素濃度を0.08重量%以上とすることによって、15
28nmにおける損失増加量を0.01dB/km以下
にまで減少させることができた。
以上の領域を通過する光のパワーの割合と、耐水素特性
との関係について検討した。PCVD法により、フッ素
の平均実効濃度が0.11重量%であり、フッ素が0.
03重量%以上含有する領域の割合が表2に示す割合で
ある光ファイバ母材を製造し、この光ファイバ母材の紡
糸によりシングルモード光ファイバを得た。このシング
ルモード光ファイバを、水素暴露した際の1528nm
(本試験例のシングルモード光ファイバにおける153
0nm付近の吸収のピーク波長)における損失増加量を
測定したところ、この測定結果は表2に示すようになっ
た。
%以上含む領域を通過する光のパワーの割合を99%以
上とすることにより、1528nmにおける損失増加量
が0.01dB/km以下となり、耐水素特性が極めて
良好なものとなった。
ような形状の屈折率分布とフッ素濃度分布を有する光フ
ァイバを製造した。これらの光ファイバについて、純粋
石英を基準とした比屈折率の最大値Δmaxおよびフッ
素の平均実効フッ素濃度を表3に示す。図2〜図7に示
す屈折率分布およびフッ素濃度分布は、模式図であり、
屈折率分布にいわゆる「だれ」や「ディップ」等があっ
たり、フッ素濃度分布に多少の不均一さがあったりす
る。また、これらの分布形状は、単なる例示であって、
本発明を何ら限定するものではないことはいうまでもな
い。また、これらの屈折率分布およびフッ素濃度分布に
おいて、破線で示した縦軸は、光ファイバの中心の位置
を示し、フッ素濃度分布において、破線で示した横軸
は、フッ素の濃度が0であるレベルを示す。ここで、試
験番号9〜12のものは、ノンゼロ分散シフト光ファイ
バであり、試験番号13〜14のものはシングルモード
光ファイバであり、試験番号15のものは、分散スロー
プ/分散補償光ファイバである。
は、以下のとおりである(ここに示す製造方法は、単な
る例示であって、本発明を何ら限定するものではないこ
とはいうまでもない)。ノンゼロ分散シフト光ファイバ
および分散スロープ/分散補償光ファイバは、MCVD
法により、またシングルモード光ファイバはVAD法に
よりそれぞれ製造した。そして、それぞれの光ファイバ
について、表3に示すように、種々の伝送特性および耐
水素特性を測定した。これらの測定結果を表3に示す。
れも1528nmにおける損失増加量が0.01dB/
km以下であって、耐水素特性が極めて良好であった。
しかも、その他の伝送特性でも優れたものであった。
バによれば、光ファイバの耐水素特性を著しく向上させ
ることが可能となる。さらに、本発明は、種々の複雑な
屈折率分布を有する光ファイバにも適用可能であるの
で、耐水素特性と伝送特性の双方に優れた光ファイバを
得ることができる。従って、本発明の光ファイバは、例
えば、大洋横断海底伝送システムのように、容易に修理
や交換ができず、極めて高い長期信頼性が要求される光
伝送システムにも使用することができるものとなる。
る。
1の例の屈折率分布およびフッ素濃度分布を示すグラフ
である。
の屈折率分布およびフッ素濃度分布を示すグラフであ
る。
の屈折率分布およびフッ素濃度分布を示すグラフであ
る。
例の屈折率分布およびフッ素濃度分布を示すグラフであ
る。
例の屈折率分布およびフッ素濃度分布を示すグラフであ
る。
の第1の例の屈折率分布およびフッ素濃度分布を示すグ
ラフである。
失増加量の一例を示すグラフである。
外側クラッド。
Claims (7)
- 【請求項1】 通信用光ファイバであって、その光ファ
イバの断面での光の通過する領域の全てまたは大部分に
フッ素をドープすることにより、水素の侵入によって引
き起こされる1550nm帯の不可逆な損失増加量を
0.01dB/km以下としたことを特徴とする光ファ
イバ。 - 【請求項2】 請求項1に記載の光ファイバにおいて、
該光ファイバにドープされているフッ素の平均実効濃度
を、通過光の強度で重み付けされた平均として次式 【数1】 によって定義するとき、このフッ素の平均実効濃度が
0.08〜2.5%であることを特徴とする光ファイ
バ。 - 【請求項3】 請求項2に記載の光ファイバにおいて、
さらに、フッ素が0.03重量%以上の濃度でドープさ
れている領域を通過する光のパワーの割合が、光ファイ
バの断面積全体を通過する光パワーの99%以上である
ことを特徴とする光ファイバ。 - 【請求項4】 請求項2に記載の光ファイバにおいて、
さらに、フッ素が0.03重量%以上の濃度でドープさ
れている領域の外径が、該光ファイバのモードフィール
ド径の2.4倍以上であることを特徴とする光ファイ
バ。 - 【請求項5】 フッ素がドープされている領域のうち、
クラッドに相当する部分は、ゲルマニウムを共添加する
ことにより、純石英ガラスと屈折率が実質的に等しくさ
れていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
に記載のファイバ。 - 【請求項6】 材料ガスの燃焼により生成したガラスス
ートを堆積させて光ファイバ母材を製造する工程と、光
ファイバ母材を線引きして光ファイバを製造する工程と
を有する光ファイバの製造方法において、 光ファイバ母材の製造時に、前記材料ガスにフッ素系ガ
スを添加して、光ファイバの断面での光の通過する領域
の全てまたは大部分に対応する部分にフッ素をドープす
ることにより、光ファイバへの水素の侵入によって引き
起こされる1550nm帯の不可逆な損失増加量を0.
01dB/km以下とすることを特徴とする光ファイバ
の製造方法。 - 【請求項7】 光ファイバ母材を製造する方法がMCV
D法またはPCVD法であることを特徴とする請求項6
に記載の光ファイバの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001383709A JP2003185869A (ja) | 2001-12-17 | 2001-12-17 | 光ファイバ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001383709A JP2003185869A (ja) | 2001-12-17 | 2001-12-17 | 光ファイバ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003185869A true JP2003185869A (ja) | 2003-07-03 |
Family
ID=27593678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001383709A Pending JP2003185869A (ja) | 2001-12-17 | 2001-12-17 | 光ファイバ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003185869A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007063030A (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-15 | Fujikura Ltd | 光ファイバ裸線の製造方法、光ファイバ素線の製造方法と製造装置並びに光ファイバ素線 |
-
2001
- 2001-12-17 JP JP2001383709A patent/JP2003185869A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007063030A (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-15 | Fujikura Ltd | 光ファイバ裸線の製造方法、光ファイバ素線の製造方法と製造装置並びに光ファイバ素線 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107850728B (zh) | 具有大有效面积和低弯曲损耗的光纤 | |
US7805039B2 (en) | Single mode optical fiber with improved bend performance | |
EP3166899B1 (en) | High chlorine content low attenuation optical fiber | |
EP1663890B1 (en) | Optical fiber containing an alkali metal oxide and methods and apparatus for manufacturing same | |
US6535679B2 (en) | Optical fiber and method of manufacturing the same | |
US10146008B2 (en) | Optical fibers having a varying clad index and methods of forming same | |
JP3753975B2 (ja) | シングルモード光ファイバの製造方法及びシングルモード光ファイバ | |
US6776012B2 (en) | Method of making an optical fiber using preform dehydration in an environment of chlorine-containing gas, fluorine-containing gases and carbon monoxide | |
US11181684B2 (en) | Optical fiber | |
US11577984B2 (en) | Method for manufacturing optical fiber preform, optical fiber preform, method for manufacturing optical fiber, and optical fiber | |
US6647190B2 (en) | Optical fiber having improved hydrogen resistance | |
CN111308609A (zh) | 一种大有效面积低损耗单模光纤 | |
JP2004505000A (ja) | 単一モード光ファイバーおよび単一モード光ファイバーの製造法 | |
JP4460069B2 (ja) | シングルモード光ファイバの製造方法 | |
KR100878709B1 (ko) | 산소 화학량론을 조정하여 광섬유를 제조하는 방법 | |
US20210116634A1 (en) | Optical fibers having core regions with reduced alpha profiles | |
JP2003185869A (ja) | 光ファイバ | |
US20240043313A1 (en) | Alkali doped optical fiber with reduced attenuation | |
EP3809173A1 (en) | Optical fibers having core regions with reduced alpha profiles | |
JP4459875B2 (ja) | 光ファイバ用母材とその製造方法、光ファイバの製造方法 | |
JPS61251539A (ja) | 光フアイバ | |
CN111239891A (zh) | 一种低损耗截止波长位移单模光纤 | |
CN114402240A (zh) | 光纤 | |
JPH0930828A (ja) | 光ファイバ母材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040603 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060110 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060313 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060313 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060509 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060710 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060912 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061113 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070327 |