JP2005170016A - 複合積層板及びシートとその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 内装用廃材を利用して、寸法安定に優れ、低コストのシート状および板状の複合リサイクル製品の製造システムを構築する
【解決手段】 ダブルベルト熱プレスバッキング材成形装置と仕上材貼付け装置が連結した製造システムにより、効率的な複合積層を実現する。
【選択図】 図２

Description

本発明は、建設廃材として廃棄される内装廃材のうち、主として塩ビ樹脂系床材、繊維系床材、塩ビ壁紙等を、低コストで微粉化または短繊維化し、それらを混合、混練したのち、ダブルベルト熱プレス装置を用いて成形し、かつそれと連結して仕上げ材等を複合積層して、マテリアルリサイクルする方法及びその製品に関する。

建設廃材のうち内装廃材は、「廃プラスチック類」に分類され、従来は最大径１５０ｍｍ以内に破砕して、埋め立てなどの方法で処分されている。建設廃材リサイクル法の施行に伴い建設現場での分別が義務付けられるとともに、埋め立て以外の手法でリサイクルすることの必要に迫られてきている。

例えば、塩ビ系床材である塩ビホモジニアスタイルやコンポジションタイルあるいは塩ビ長尺シートなどは、年間６６４０万ｍ^２が国内生産され、使用に供せられている（平成１１年度実績・インテリア産業センター編・統計年鑑２０００）。また、主として塩ビ材をバックアップ材として複層化したタイルカーペットも約２０４０万ｍ^２（平成１１年度同上資料）生産されている。

このように塩ビ系床材は、新規生産着工部分のみでも約８６８０万ｍ^２あり、その他に既設の床材はその１０倍以上はあると推定され、順次改装に際し、廃棄物（約１０億ｍ^２＝４００万トン）となリ、その量は年間４０〜５０万トンに達するものと推定される。

タイルカーペットを除く繊維系床材も、ロールカーペット、ニードルフェルト、パンチカーペットなど、年間３０００万ｍ^２以上施工され、廃棄物の量も年々増大している。

その他床材では、オレフィン系床材、ゴム系床材、リノリウム、コルク、木質系床材など多岐に渡る床材が使用され、ある一定の使用年数後、廃棄物として排出されている。

現在こうした廃床材のうち、木質系の一部がマテリアルリサイクルやサーマルリサイクルに供せられているが、他の素材、特に塩ビ系使用済み廃材については、裏面のモルタル、接着剤の除去困難性や、そのほとんどが複合製品であることから分離が困難のため、最大径１５ｃｍ以内に粗破砕され、埋め立て処分に付されている。

その他では、タイルカーペットを粗破砕したのち、エクストルーダ等の混練装置などで溶融し、再度タイルカーペットのバッキング層の一部として再利用する技術も開示されているが、リサイクル原料の混入使用率が１０％程度ときわめて低く増大する廃棄量にとても追いつかないのが現状である。

本発明では、増大する内装廃材のうち、主として塩ビ樹脂系床材、繊維系床材、塩ビ壁紙等を、あらかじめそれぞれ構成する素材ごとに分離し、かつ微粉化や短繊維化を実現したのち、それら素材を用いて特に寸法安定に優れ、かつ低コストのシート状および板状リサイクル製品を得ることを課題とする。

出願人等は「特願２００１−２４８９５６」、「特願２００１−３２４２００」、「特願２００１−２１７３２４」及び「特願２００１−２６８０１０」等において提言したように、廃床材における裏面附着物の除去や融着の生じやすい熱可塑性樹脂床材や繊維系床材を氷温・氷結させた上で高速に効率よく微粉化する手法をすでに実用化している。また、「特願２００２−３１３４６９」及び「特願２００３−３５２８５５」において、各種廃樹脂粉体と廃短繊維材との複合リサイククル製品についての提言を行っているが、これら内装廃材の成形に際し、カレンダー成形では３ミリ以上で、かつ均一性のある厚みをもった成形品は実現し得ない。本発明人らはこれらの問題解決のため、ダブルベルト熱プレス装置と連結して各種仕上げ材を連続的に複合積層することによって解決することとした。

本発明によれば、従来はほとんど埋め立てや焼却に付されていた内装系廃材を、それぞれの素材の特性を生かし均一かつ厚みの多様なシート状および板状製品として再生し、マテリアルリサイクルすることにより、循環型社会の形成に寄与することが可能となる。

本発明を実施する最良の形態として、以下の実施例に示すように、内装廃材の各粉体品及び廃短繊維材を使用した例について説明する

図１は本発明の実施形態の一例をとして、廃タイルカーペットのバッキング層と廃塩ビ長尺シートそれぞれの微粉体及び廃タイルカーペットの仕上げ材であるナイロン繊維と少量のポリエステル繊維を含んだ短繊維材を使用して複合リサイクルシートを製造する工程フロー図とナイロンを主としたタフテッドカーペットを仕上げ材としたタイルカーペットの製造工程フロー図である。

タイルカーペットバッキング材の粉体（Ａ）は、その成分として、重量比で、ＰＶＣ（ポリ塩化ビニル）分約１５〜２０％、可塑剤１０〜１５％、炭酸カルシウム６５〜７０％で構成されている。また、塩ビ長尺シートの粉体（Ｂ）は、重量比で、ＰＶＣ（ポリ塩化ビニル）分約４０〜５０％、可塑剤３０〜４０％、その他は炭酸カルシウムであり、タイルカーペットの仕上げ短繊維材（Ｃ）はナイロンを主体とする複合短繊維である。

あらかじめ５００ミクロン程度に微粉化された（Ａ）４０部と（Ｂ）４０部及び短繊維材（Ｃ）２０部（いずれも重量比）を、多軸の攪拌混合装置、例えば三井鉱山（株）製ヘンシェルミキサー（商品名：三井ヘンシェルミキサーＦＭ型）にて、高速流動混合する（一次混合）ことにより、均等分散させる。ここでは、該素材は摩擦熱により、約１５０℃に昇温し、半溶融の混合状態となる．

次に、該素材をエクストルーダやバンバリミキサー、あるいはミキシングロール等を用いて加熱、溶融、混練（二次混合）し、軟粘土状態にしたのち、押出し機を介してダブルベルト熱プレス装置に供給する

前述した一次混合工程において、高速の撹拌による「へらなで」作用によって粉体の球状化、粒度の均一化が促進され、それにより、流動性も増し、次の二次混合工程にも良い影響を与える。このように、一次（ヘンシェルミキサー等による高速流動混合による半溶融素材の形成）と二次（バンバリミキサー等による加圧、加熱、混練による半軟粘土状素材の形成）の二段階混合方式の採用は、特に繊維素材を均等に分散混合する場合には、「ダマ」の発生防止等極めて効果的である。

また、該半軟粘土状素材は、二次混合後の工程で用いられる押出し装置によって、出来上がり製品の要求仕様にほぼ適した巾、厚み、重量等に調整され、ダブルベルト熱プレス装置供給される。さらに該装置側においてプレス圧、プレス時間、プレス温度等の精密制御を行い、所定の仕様を満たした製品化を行う。

図２は、前述のダブルベルト熱プレス装置に連結した、繊維系仕上げ材の貼付け装置の一例であり、ダブルベルト熱プレス装置によって成形されたバッキング層の上面に寸法安定部材であるガラス繊維不織布等を載置して、さらにその上面に接着用ペーストを塗工し、最後にポリエステル基布にタフトされた仕上げ材を繰り出し、これらを加圧ロールによりー体成形し、バッキング層付きカーペットあるいはタイルカーペットを製造する。（タフテッドカーペット部の貼りあわせについての参考文献：ラバーダイジェスト社１９９８年刊「塩ビペースト加工−特長と応用」五十嵐敏郎著）

通常、使用済み内装材（床材、壁材）から得られる塩ビ粉体は、バージン粉体と異なり可塑剤を吸収する細孔がつぶれているため、バージン粉体となじまず、そのままでは「ママコ」となり、現状では、再生原料の混入率は１０％程度にとどまっている。

本発明によるゾルゲル法によらないバッキング材と仕上げ材の一体成形法は、最終製品の重量比で５０％を超える再生原料の利用を可能とし、繊維素材を初め多様な素材（オレフィン系等熱可塑性樹脂等）の再生素材を利用することも可能である

また、本発明によるバッキング材と仕上げ材の一体成形法は、あらかじめバッキング材をシート化した後、別工程で仕上げ材を貼り合わせる方法に比べ、再加熱、及び、次工程への移動に関するエネルギー等の節減が可能で、極めて省エネルギーかつ効率的なシステムを実現していることは言うまでもない。

従来のカレンダー法やゾルゲル法による各種床材の成形方法は、主としてバージン材を使用することを前提として構築された方式であり、再生原料を主原料とした低コスト、高品質製品の生産システムを構築する上で、本発明は、革新的な新技術になり得るものである。

本発明の一例を示す工程のフロー図である。 本発明におけるダブルベルト熱プレス装置と連結して、タフテッドカーペットの貼り合わせの例を示すシステムの構成図である。

符号の説明

１．第一次混合装置
２．第二次混練装置
３．押出し装置
４．ダブルベルト熱プレス装置
５．ダブルベルト熱プレス装置加熱部
６．成形バッキングシート
７．テフロン布エンドレスベルト
８．ガラス繊維不織布等
９．接着用ペーストゾル
１０．タフテッドカーペット繊維
１１．熱風乾燥炉
１２．冷却装置

Claims (9)

1. プレス圧力及びプレス温度を自在に制御する手段を有し、かつ間隔が調整可能な金属製ベルトあるいは耐熱性樹脂ベルトを上下に配し、それぞれが同調して駆動することが可能な加圧型ダブルベルト熱プレス装置により、連続的に成形される自在な厚みのシート状あるいは板状の熱可塑性成形品の上面に、該プレス装置に連結して設けられた積層あるいは接着可能な装置を介して、繊維状仕上げ材等を連続的に複合積層することを特徴とする複合積層製品及びその製造方法
2. 請求項１のダブルベルト熱プレス装置において各種熱可塑性樹脂粉体に短繊維体との混合複合素材を板状あるいはシート状に成形する前工程として、異種素材の均等混合に最適な多軸、三次元、高速流動混合による一次混合装置と加熱、溶融、混練あるいは加圧、加熱、溶融、混練の二次混合装置とを組合せ、更に適度な厚み、重量等を計測可能な手段を有する押出し装置等を具備した加圧型ダブルベルト熱プレスシステムにより、連続的に成形される板状あるいはシート状の熱可塑性成形品の上面に、該プレス装置に連結して設けられた積層あるいは接着可能な装置を介して、繊維状仕上げ材等を連続的に複合積層することを特徴とする複合積層製品及びその製造方法。
3. 請求項１、２において該ダブルベルト熱プレス装置により成形される板状あるいはシート状の熱可塑性成形品の素材が、主として産業廃棄物として排出される内装廃材（床、壁材等）の樹脂部分であり、かつあらかじめ粒径１ミリ以下、のぞましくは５００ミクロン以下に粉体化されていることを特長とするリサイクル複合積層製品及びその製造方法。
4. 請求項３に記載する内装廃材（床、壁材等）の樹脂部分に加えて繊維長２０ミリ以下望ましくは５ミリ以下に短繊維化された廃繊維材を混練して用いることを特長とする複合繊維強化リサイクル製品。
5. 請求項１、２、３及び４における該ダブルベルト熱プレス装置により連続的に成形される板状あるいはシート状の熱可塑性成形品の成形時に、同時にその下面に、寒冷紗、クッション材等を積層し、かつ連結して設けられた積層あるいは接着する装置を介して、仕上げ材等を連続的に複合積層したことを特徴とする複合積層製品及びその製造方法。
6. 請求項１、２、３、４及び５項に記載するリサイクル製品の製造に際し、必要に応じてバージン樹脂、バージン繊維、可塑剤、充填剤、安定剤、発泡剤等を添加したことを特長とするシート状、板状複合製品。
7. 請求項１、２、３、４、５及び６項に記載するシート状熱可塑性成形品の上面に接着剤等を用いて積層する仕上げ素材としてタフテッドカーペット等の繊維系仕上げ材の他に、耐磨耗用シート、表面仕上げ用印刷シート等の合成樹脂シートまたはリノリウム、コルク、木質系仕上げ材等の天然素材を積層したことを特長とする複合リサイクル床材。
8. 請求項１、２、３、４、５、６、及び７項に記載する複合リサイクル床材において、その裏面にあらかじめ粘着性樹脂を含浸させたポリエステルシート、あるいは不織布シートを接着等の方法で積層し、寸法安定化を図るとともに、接着剤によって床に固着させない置き敷き施工を容易にしたことを特長とする複合リサイクル床材。
9. 請求項１、２、３、４、５、６、７及び８項に記載する複合リサイクル床材において、その仕上げ材とシート状リサイクル製品の間にガラス繊維不織布等の寸法安定部材を配し、寸法安定性を増大させたことを特長とする複合リサイクル床材。

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