JP3097265U - リサイクルカーペットおよびリサイクルカーペット用素材 - Google Patents
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Abstract
【課題】異種材料から構成されたカーペットをリサイクルする際の品質、寸法安定性、およびリサイクル性等の問題を同時に解決し、リサイクルカーペットの品質、寸法安定性が良好であり、かつ、塩化ビニール樹脂製バッキング層を同一用途に全量リサイクルすることが可能であるリサイクルカーペットおよびリサイクルカーペット用素材を提供することにある。
【解決手段】パイル糸1がタフティングされた基布2に毛抜け止め層7を設けたパイル繊維層3を設ける。上下一対のリサイクル塩化ビニールシート層4bの間にガラス繊維不織布層5を挟んでバッキング層6を形成する。パイル繊維層3とバッキング層6とをホットメルト接着剤層8にて接着し、バッキング層6をリサイクル自在に設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】パイル糸1がタフティングされた基布2に毛抜け止め層7を設けたパイル繊維層3を設ける。上下一対のリサイクル塩化ビニールシート層4bの間にガラス繊維不織布層5を挟んでバッキング層6を形成する。パイル繊維層3とバッキング層6とをホットメルト接着剤層8にて接着し、バッキング層6をリサイクル自在に設ける。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はリサイクル可能なカーペットおよびその素材に関するもので、特に表層パイル繊維層とバッキング層とが異質の熱可塑性樹脂で構成されるリサイクルカーペットおよびリサイクルカーペット用素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題がクロ−ズアップされているが、カーペットについては、従来、廃棄されたカーペットは埋め立てや焼却処理により廃棄されており、埋め立て場所の不足や、資源ロス等の問題が生じている。リサイクル法の施行に伴いカーペットについても、リサイクルしやすい製品を製造すること、およびリサイクルシステムの構築が急務とされている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002‐191488号公報
【特許文献2】
特開平7‐32520号公報
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
従来の一般的なカーペットは図1に示すような構造であり、図示の不織布や平織布等からなる基布2に、フィラメントや紡績糸などのパイル糸1をタフティングしたパイル繊維層3と炭酸カルシウム、可塑剤等を含有する塩化ビニール樹脂層4aの2層の間にガラス繊維の不織布5またはメッシュ5mを挟んだバッキング層6からなる構成になっている。また、その一般的な製法は、タフティング法により作成された、ナイロン繊維製やポリプロピレン繊維製の表面パイル繊維層3と、塩化ビニール樹脂を主成分とするバッキング層6を接合一体化して作成する方法であり、バッキング層は特殊グレードのペースト用塩化ビニールポリマーをベースに50〜150部のDOP(フタル酸ジオクチル)等のフタル酸エステル系可塑剤を使用し、200〜450部の粒状炭酸カルシウムを混合したペースト状の樹脂をゾルコートし、加熱炉による加熱を施し、ゲル化して作成される。このバッカー剤の作成と表層パイル繊維層の接着加工は一工程で連続的に製造されるのが一般的である。加工機を流れるスチールネットベルトの上に、上記組成のバッキング層用ペーストゾルをコートし、ガラス繊維の不織布またはメッシュを挿入し、更にバッキング層用ペーストゾルをコートして、ガラス繊維不織布等を中間に挟んだ多層のバッキング層6にタフティングされたパイル繊維を挿入し、加熱炉に通してゲル化と同時にパイル繊維層等の各層を接着・固化させ、シート状のカーペットを製造する。この際、ガラス繊維を挟んだ塩化ビニール樹脂を主成分とするバッキング層6の二層は同じ組成でも良いが、目的に応じて変更する場合が多い。
【0005】
しかし、これらのカーペットをリサイクルする場合は、ペーストゾルにリサイクル品の粉砕品などを混入するリサイクル化は品質的に安定したシートをつくることが困難で、この方式ではリサイクル化が生産技術上不可能な状況にある。近年、この対策として、塩化ビニール樹脂を主成分とするバッキング層をシート成形して、このシートにリサイクル物を混入する方法が検討されている。しかしながら、カーペットは前述の通り、表層のパイル繊維層3とバッキング層6とが異質の材料であり、かつ、バッキング層6にはガラス繊維の不織布等が構成の一部になっているため、各種の異質材料が混在し、バッキング層やパイル繊維層に戻すことができない等の問題があった。また、各々を分離して再利用することは、通常の商業ベースにはコストがかかり過ぎるため、リサイクルの実用化には至らず、廃カーペットを埋め立て又は焼却しているのが現状である。
【0006】
このような状況の中、本考案者等はカーペットのリサイクル化の検討を行い、特許文献1において、バッキング層とパイル繊維層の間にホットメルト接着剤層を設けて、ホットメルト接着剤の融点以上の温度にすることによりバッキング層とパイル繊維層を容易に分離できる再生用カーペットおよびその再生方法などを提案した。
【0007】
しかし、これらの方法で作られたカーペットは、夏季と冬季等、環境温度変化による寸法変化が大きく、施工時に適正に敷き詰めても経時的に隙間ができたり、カーペット端部の浮き上がり等、種々の問題の生じることがわかった。
【0008】
この対策として、施工の際にバッキング層の裏面または床面に対するフィット性を付与し、寸法変化による敷き詰め後の問題を緩和する方法がある。しかしながら、これらはバッキング層を汚染し、再利用する際の問題になり、かつ、床面を汚染する原因となる等の問題があった。
【0009】
また、特許文献2において、異質の材料であるナイロン繊維製パイル繊維層と塩化ビニール樹脂製バッキング層を分離することなく一括粉砕し、これを溶融混錬して、圧延した再生シートのバッキング材をハードバック層とし、ガラスメッシュを中間層として、塩化ビニール樹脂のペーストゾルをコートする方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、この方法は異質材料の樹脂を混合したままリサイクルするため塩化ビニール樹脂製バッキング層として利用することは、外観、強度、柔軟性、その他の問題から廃材の混合比率に制限があり、全量をリサイクルすることができない等の問題があった。また、寸法安定性のためにガラスメッシュを塩化ビニールシートと塩化ビニールゾルの間に挟み、接着させているが、このガラスメッシュでは寸法安定性が不十分であることがわかった。
【0011】
また、カーペットの用済み後の廃材処理は従来から異種材料の構成であるため現状ではバッキング層や表層パイル繊維層に戻すことができない問題があった。また、各々を分離して再利用することができても、ガラス繊維不織布が塩化ビニール樹脂層中に存在するため、塩化ビニール樹脂層のバッキング層は同一用途への100%リサイクルはできないと考えられていた。しかしながら、本考案者等が鋭意検討した結果、ガラス繊維不織布層を有する塩化ビニール樹脂をバンバリーミキサーで加熱混錬することにより、ガラス繊維の不織布が破壊され、ほぼガラスの粉体になることがわかった。
【0012】
本考案の目的は、これらの問題を解決するために、カーペットの材料構成、組成を適切なものとしてリサイクルカーペットの品質、寸法安定性が良好であり、かつ、塩化ビニール樹脂製バッキング層を同一用途に全量リサイクルすることが可能なリサイクルカーペットおよびリサイクルカーペット用素材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本考案者等は上記問題の解決を図るため、本考案に係わるカーペット、およびその素材を以下のようにすることが有効であることを見出した。
【0014】
第1の手段は、異種材料から構成されるリサイクルカーペットにおいて、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けたパイル繊維層と、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層を介してパイル繊維層と分離自在に設けられたバッキング層とからなり、該バッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着される塩化ビニール樹脂層と、該塩化ビニール樹脂層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面の塩化ビニール樹脂層とが順次積層され、バッキング層のみをリサイクル自在に設けたことにある。
【0015】
第2の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に接合される塩化ビニール樹脂層とが積層されたバッキング層とする。
【0016】
第3の手段は、異種材料から構成され加熱炉で加熱することによって熱硬化樹脂剤を接着硬化するリサイクルカーペット素材において、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けたパイル繊維層と、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層に接合されると共に、ホットメルト接着シート層から分離してリサイクル自在に設けられるバッキング層とからなり、該バッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とし、リサイクル塩化ビニールシート層は、使用済みのパイル繊維層から分離されたバッキング層をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートからなる。
【0017】
第4の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面の塩化ビニールペースト浸漬処理を施したガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とし、リサイクル塩化ビニールシート層は、使用済みのパイル繊維層から分離されたバッキング層をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートが表面温度100℃〜160℃で加熱圧着されたリサイクル塩化ビニールシートからなる。
【0018】
第5の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層と、該塩化ビニール樹脂塗布層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とが順次積層されたことにある。
【0019】
第6の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されたリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とが順次積層されたバッキング層とする。
【0020】
第7の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層と、該塩化ビニール樹脂塗布層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とする。
【0021】
第8の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とからなる。
【0022】
第9の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂層塗布層と、該塩化ビニール樹脂層塗布層下面の塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とする。
【0023】
【考案の実施の形態】
以下に本考案の実施の形態を詳細に説明する。本考案リサイクルカーペット及びリサイクルカーペット素材は、異種材料から構成されたパイル繊維層3と、バッキング層6とからなる。パイル繊維層3は、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けた構成を成す。
【0024】
一方、バッキング層6は、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層8を介してパイル繊維層と分離自在に設けられる。図1に示すバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着される塩化ビニール樹脂層4aと、該塩化ビニール樹脂層4a下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面の塩化ビニール樹脂層4aとが順次積層され、バッキング層のみをリサイクル自在に設けている。
【0025】
図2に示すバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着されるガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に接合される塩化ビニール樹脂層4aとが積層されたバッキング層6としている。
【0026】
ガラス繊維不織布層を有する塩化ビニール樹脂をバンバリーミキサーで加熱混錬することにより、ガラス繊維の不織布が破壊され、ほぼガラスの粉体になることは、前述のとおりである。もともと塩化ビニール樹脂のバッキング基材は、炭酸カルシウム、可塑剤等を多量含有しており、このガラス粉体の混入は含有率を約10%以下に限定することにより、外観、強度、柔軟性、クッション性、その他、品質的に何ら悪影響を及ぼさず、かつ、シート成形も容易にできることがわかった。ただし、ガラス繊維状の形態から粉体化されることにより、このガラス粉体含有の塩化ビニールリサイクルシートをバッキング層として再利用をすると、カーペットの夏季、冬季等の温度変化等に対する寸法安定性が不十分となり、リサイクルカーペットの寸法安定化対策としてガラス繊維不織布層が必須であることがわかった。
【0027】
このため、リサイクルカーペットを図5に示すようなパイル繊維層3と、バッキング層6としている。すなわち、該バッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cと、該塩化ビニール樹脂塗布層3c下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cとが順次積層されたリサイクルカーペット素材を開発した。このカーペットをホットメルト接着剤の融点以上に加熱することにより、パイル繊維層3とバッキング層6を分離することができるようになった。
【0028】
また、この構成では、パイル繊維層3とホットメルト接着シート層8との接着力が弱く、切断時、加工時および施工時等でパイルが抜ける等の問題が発生することがわかった。このため、パイル糸1をタフティングした基布2にパイル糸1の抜け防止としてエチレン−酢酸ビニール共重合体樹脂等をコーティングした毛抜け止め防止層7を設ける必要のあることがわかった。
【0029】
本考案の具体的な製造方法として、次の方法を見出した。すなわち、リサイクル塩化ビニール樹脂のバッキング層6からなるリサイクルカーペットを製造するためには、初期カーペットの製造方法として、タフティングされたパイル繊維層3とバッキング層6の分離を可能とする層構成のカーペットを製造する必要がある。
【0030】
この製造方法としては、加工機を流れるスチールネットベルトの上に、炭酸カルシウム、可塑剤等を含有する塩化ビニールペースト4a(ゾル)をコートし、ガラス繊維不織布5を挿入し、更に同様の塩化ビニールペーストゾル4a(ゾル)をコートして、このガラス繊維不織布を中間に挟んだ多層のバッキング層6、ホットメルト接着剤シート層8、毛抜け止め層7を有するパイル繊維層の各層を、加熱炉にて150℃〜200℃の温度で加熱し、ガラス繊維不織布との接着、およびホットメルト接着剤のパイル繊維層との接着等各層の接着と同時に塩化ビニールゾルのゲル化(硬化)を行うことにより、リサイクルカーペットを得るための初期カーペットを製造する方法を見出した。
【0031】
この層構成のカーペットはホットメルト接着剤の融点以上に加熱して、パイル繊維層とバッキング層を分離することができると伴に、カーペットとして必要な寸法安定性、外観、強度、柔軟性、クッション性等の品質特性を有している。
【0032】
また、実際のリサイクルカーペットを製造する方法として、次の方法を見出した。上記のようなパイル繊維層3と塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層6との分離可能なカーペットを、ホットメルト接着剤シート8の融点以上に加熱しガラス繊維層5を有する塩化ビニール樹脂のバッキング層6を分離した後、バンバリーミキサーにより120℃〜170℃好ましくは140℃〜165℃の温度で加熱撹拌を行い溶融混錬し、塩化ビニールの樹脂温度を140℃〜165℃でカレンダー成形することにより、炭酸カルシウム、可塑剤およびガラス粉体を含んだ塩化ビニール樹脂のリサイクルシート4bを作成する。このリサイクル塩化ビニールシート4bの上にガラス繊維不織布5を乗せ、その上にバージンの塩化ビニールペースト4a(ゾル)をコートしたバッキング層6に、ホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め層7を有するパイル繊維層の層構成で順次積層し、加熱炉にて150℃〜200℃の温度で加熱して、塩化ビニールシートの融着、ホットメルト接着剤シートの接着による各層の接着と同時に塩化ビニールゾルのゲル化(硬化)を行うことにより、図6、図7に示すような層構成のリサイクルカーペットを製造する。
【0033】
すなわち、図6に示す構成のバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cと、該塩化ビニール樹脂塗布層4c下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面のリサイクル塩化ビニールシート層4bとが順次積層されたバッキング層6としている。また、リサイクル塩化ビニールシート層4bは、前記パイル繊維層3から分離されたバッキング層6をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートを使用する。
【0034】
一方、図7に示す構成のバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着されたリサイクル塩化ビニールシート層4bと、該リサイクル塩化ビニールシート層4b下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cとが順次積層されたバッキング層としている。尚、リサイクル塩化ビニールシート層4bは、使用済みのパイル繊維層3から分離されたバッキング層6をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートを使用する。
【0035】
更に、上記塩化ビニール樹脂のリサイクルシート4bの上に、塩化ビニールペーストゾル、ガラス繊維不織布5、ホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め7を有するパイル繊維層の層構成で順次積層し、加熱炉にて150℃〜200℃の温度で加熱して、塩化ビニールシートの融着、ガラス繊維の接着、ホットメルト接着剤シートの接着等、各層の接着と同時に塩化ビニールゾルのゲル化(硬化)を行う。図9に示すリサイクルカーペット素材のバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着されるガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂層塗布層4cと、該塩化ビニール樹脂層塗布層4c下面の塩化ビニールシート4b層とが順次積層されている。該塩化ビニールシート層4bは、使用済みのパイル繊維層3から分離されたバッキング層6をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートで形成されている。なお、この塩化ビニール樹脂層の層構成で、リサイクル塩化ビニールシートと塩化ビニールゾルとの厚み構成比率は適宜変えられるが、塩化ビニールゾルの厚み比を小さくする方が同用途への再利用率を高くできるため好ましい。
【0036】
これらの方式により、ホットメルト接着剤シートの融点以上に加熱することにより、パイル繊維層3とバッキング層6を分離することができ、カーペットとしての必要な特性である寸法安定性、外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ、塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。ただし、バージンの塩化ビニール樹脂を使用するため、このカーペットを100%回収すると同用途に100%再利用することはできないことになる。
【0037】
また、パイル繊維層についても、層分離されるため不純物が少なく、少なくともナイロン、ポリプロピレン等のプラスチック成形品等への再利用が可能となった。
【0038】
そこで更に、100%回収しても、それを同用途に100%再利用する方法として、図3に示すような層構成にするもう1つの方法を見出した。すなわち、リサイクル塩化ビニールシート4bの二層間にガラス繊維不織布5を挟み、ラミネートされた多層のバッキングシート6と毛抜け止め層7を有するパイル繊維層3との間にホットメルト接着剤シート8を挟んだ層構成にした。
【0039】
この具体的な製造方法としては、ガラス繊維層5を有する塩化ビニール樹脂のバッキング層6を分離し、前述の方法と同様にバンバリーミキサーにより、溶融混練し、カレンダー圧延方式により炭酸カルシウム、可塑剤およびガラス粉体を含んだ塩化ビニールのリサイクルシート4bを作成する。
【0040】
このリサイクル塩化ビニールシート4bを2層にして、シート間にガラス繊維不織布5を挟み込み、ラミネーターにより、100℃〜160℃の温度で加熱圧着し、冷却固化することにより、塩化ビニール樹脂層とガラス繊維不織布の接着された塩化ビニール樹脂/ガラス繊維不織布/塩化ビニール樹脂の積層シートのバッキング層6を得ることができる。この加圧圧着温度が100℃より低いと塩化ビニール樹脂とガラス繊維不織布との接着力が弱く、160℃を越えるとラミネーターのロールへの塩化ビニールの融着等、作業性が悪い等の問題が生じる。このリサイクル積層シートからなるバッキング層6の上にホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め層7を有するパイル繊維の層を乗せた構成で積層し、加熱炉にて150〜200℃の温度で加熱して、塩化ビニールシートの融着、ホットメルト接着剤シートの接着・固化を行うことにより、図3に示すような異種材料からなる多層構造のリサイクルカーペットを製造する。
【0041】
この方式により、ホットメルト接着剤シートの融点以上に加熱することによりパイル繊維層とバッキング層6を分離することができ、カーペットとしての必要な特性である寸法安定性、外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ、塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルでき、かつ100%回収しても同一用途に100%再利用することもできるようになった。
【0042】
バッキング層6における塩化ビニール樹脂層の厚みについては全体で1mm〜4mmの範囲が好ましく、ガラス繊維不織布の上下の厚み構成はカーペットの品質に応じて適当に変えて良い。全体で1mmより薄いとカーペットのクッション性が悪く、4mmを越えると重量が重くなり作業性が悪く、コスト的に不利となる。
【0043】
ここで使用するホットメルト接着剤としては、エチレン−酢酸ビニール共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂等或いはこれらに粘着付与剤、ワックスその他の添加剤を添加したもの等で、融点が60℃〜100℃、好ましくは65℃〜90℃のものが有効である。これらの材料はその融点またはそれ以上の温度の雰囲気中または温水中で、ホットメルト接着剤を溶融することにより、上層パイル層とバッキング層を容易に分離することができるのである。このホットメルト接着剤をシートとして使用する場合の厚みは、接着性、コスト等の点から20〜300μのフィルムまたはシート、好ましくは50〜250μのフィルムまたはシートが好ましい。
【0044】
ここで使用する毛抜け止め層7としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、アクリル樹脂、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、MBR(メチルメタクリレート・ブタジエンゴム)、NBR(ニトリル・ブタジエンゴム)系の接着剤等が良い。
【0045】
なお、ここで使用するガラス繊維不織布5としては、ガラス繊維径が6〜20μ、好ましくは9〜13μで、目付けが15〜60g/m2の範囲のものが適している。目付けが15g/m2より少ないと塩化ビニールシートとのラミネート時に張力により破断したり、作業性が難しい等の問題がある。目付けが60g/m2を越えると、コスト的にも不利となる。また、塩化ビニールシートとガラス繊維不織布5との接着性を容易にするために、ガラス繊維不織布5を塩化ビニールゾルに浸漬して得られる塩化ビニール樹脂のコーティングされたガラス繊維不織布5aを用いても良く、接着性は更に良くなり、好ましい(図4参照)。また、ガラスメッシュは寸法安定性が悪く好ましくない。
【0046】
次に、本考案の実施例を説明する。
【実施例1】
(1)パイル繊維層の作成
先ず、目付120gのポリエステル不織布の基布2にナイロン100%のマルチフィラメント糸をタフティングにより植毛し、パイル長3mm、幅1100mmのパイル繊維層3、いわゆる生機を作成した。この生機をバッキング工程に供給して生機の裏面に、パイル糸1抜け止め用とするエチレン−酢酸ビニール共重合体樹脂性接着剤を毛抜け防止層7としてコーティングし、パイル繊維層3を作成した。
【0047】
(2)ホットメルト接着剤シート層を有するタイルカーペットの作成
次にタイルカーペット製造装置にて、炭酸カルシウム65%、DOP可塑剤15%、塩化ビニール樹脂20%を攪拌機により混錬撹拌してできたゾル状の塩化ビニール樹脂をスチールネットベルト上に1mm厚、幅1100mmにコートし、目付け35g/m2、幅1100mmのガラス繊維不織布5を挿入し、更に上記と同様にゾル状の塩化ビニール樹脂をコートして、ガラス繊維不織布5を中間に挟んだ多層のバッキング層6を形成する(図5参照)。該バッキング層6の上に厚さ200μ、幅1100mm、融点80℃のエチレン−酢酸ビニール系ホットメルト接着シート8を挿入し、上記構成のタフティングされたパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して、塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にガラス繊維不織布5との接着、およびホットメルト接着剤シート8のパイル繊維層3との接着等各層を接着・固化させて多層構造のリサイクル用タイルカーペットを製造した。
【0048】
(3)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成にすることにより、ホットメルト接着シートの融点以上に加熱して、パイル繊維層と塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を分離することが可能となり、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。尚、寸法安定性については、次の方法でテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が良好であった。
【0049】
<寸法安定性評価試験方法>
夏季と冬季の温度変化を想定し、この温度変化における寸法変化を測定する。具体的には、500mm×500mmのタイルカーペット試験片を初期寸法として23℃における雰囲気下に4時間放置後、ノギスで縦、横を測定する。この試験片を恒温槽にて、−20℃および50℃に4時間入れて、取り出して直ちにノギスで縦、横を測定する。
【0050】
【実施例2】
(1)リサイクル塩化ビニールシートの作成
実施例1のカーペットを85℃の雰囲気中で、ホットメルト接着剤を溶融することにより、パイル繊維層3とバッキング層6とを分離した。このガラス繊維不織布5を含んだ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層6をバンバリーミキサーにより150℃で加熱・撹拌を行い溶融して、カレンダー加工により厚さ1mm、幅1100mmの炭酸カルシウム、可塑剤、および粉砕されたガラス粉体を含有したリサイクル塩化ビニールシート4bを作成した。
【0051】
(2)リサイクルタイルカーペットの作成
タイルカーペット製造装置にて、スチールネットベルト上に、このリサイクル塩化ビニールシート4bを乗せ、その上に目付け35g/m2、幅1100mmのガラス繊維不織布5を挿入し、その上に炭酸カルシウム65%、DOP可塑剤15%、塩化ビニール樹脂20%のゾル状の塩化ビニール樹脂を1mm厚、幅1100mmにコートして、このガラス繊維不織布5を中間に挟んだ多層のバッキング層6を形成した(図6参照)。該バッキング層6の上に厚さ200μ、幅1100mm、融点80℃のエチレン−酢酸ビニール系ホットメルト接着シート8を挿入し、実施例1と同様のタフティングされたパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、ゾル状の塩化ビニール樹脂のゲル化と同時にガラス繊維不織布5との接着、およびホットメルト接着シート8のパイル繊維層3との接着等各層を接着・固化させ異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0052】
(3)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が良好であった。
【0053】
[比較例1]
実施例2と同様にして、ガラス繊維不織布の代わりに50g/m2、幅1100mmのガラスメッシュを用いた結果、外観、強度、柔軟性、クッション性等の特性は問題ないが、表1に示す通り、寸法安定性が悪かった。
【0054】
【実施例3】
実施例1に示すホットメルト接着剤シート8層を有するタイルカーペットから、実施例2と同様にリサイクル塩化ビニールシートを作成した。このリサイクル塩化ビニールシート層4bの上に、実施例1に示すペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cを厚さ0.2mmコートし、その上に実施例1と同様のガラス繊維不織布5、ホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め防止層7を有するパイル繊維層3の順番層構成で積層した(図9参照)。この素材を185℃の乾熱オーブンに通して加熱して、塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にリサイクル塩化ビニールシート層4b、塩化ビニール樹脂塗布層4c、ガラス繊維不織布5、およびパイル繊維層3との接着等、各層の接着・固化をすることにより、異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0055】
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、寸法安定性が良好であった。
【0056】
【実施例4】
実施例1に示すホットメルト接着剤シート8層を有するタイルカーペットから、実施例2と同様にリサイクル塩化ビニールシートを作成した。このリサイクル塩化ビニールシート層4bを2層にして、シート間に目付け35g/m2、幅1100mmのガラス繊維不織布5を挟み込み、ラミネーターにより、130℃の温度で加熱圧着することにより、リサイクル塩化ビニールシート層4bとガラス繊維不織布5の接着されたリサイクル塩化ビニールシート層4b/ガラス繊維不織布5/リサイクル塩化ビニールシート層4bの積層シートからなるバッキング層6を得た(図3参照)。
【0057】
このバッキング層6の上に、実施例1と同様のホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め防止層7を有するパイル繊維層3の順番層構成で積層し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱して、リサイクル塩化ビニールシート層4bとパイル繊維層3を接着・固化することにより、図3に示すような異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0058】
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。この方式であれば、100%回収しても同用途に100%再利用することもできるようになった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が良好であった。
【0059】
[比較例2]
(1)ホットメルト接着剤シート層を有するタイルカーペットの作成
実施例1と同様の塩化ビニールゾルをスチールネットベルト上に3mm厚、幅1100mmにコートし、作成したバッキング層の上に実施例1と同様のホットメルト接着シートを挿入し、更にその上に実施例1と同様に処理されたパイル繊維層を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して、塩化ビニール樹脂のゲル化と同時にパイル繊維層を接着・固化させ、異種材料による多層構造のタイルカーペットを製造した。
【0060】
(2)リサイクル塩化ビニールシートの作成
このカーペットを、実施例2と同様のバンバリーミキサー、カレンダー加工により、厚さ3mm、幅1100mmのリサイクルされた塩化ビニールシート4bを作成した。
【0061】
(3)リサイクルタイルカーペットの作成
タイルカーペット製造装置にて、スチールネットベルト上に、このゾル状の塩化ビニール樹脂を乗せ、その上に、実施例1と同様のホットメルト接着シート8を挿入し、更にその上に、実施例1と同様のパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、ゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にパイル繊維層を接着・固化させることにより、図8に示すような異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0062】
(4)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を100%リサイクルできるようになった。しかしながら、寸法安定性については、実施例1と同様にテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が悪く、タイルカーペットとしては不満足なものであった。
【0063】
[比較例3]
(1)パイル繊維層の作成
先ず、目付120gのポリエステル不織布の基布2にナイロン100%のマルチフィラメント糸をタフティングにより植毛し、パイル長3mm、幅1100mmのタフティングされたパイル繊維3を作成した。
【0064】
(2)タイルカーペットの作成
次にタイルカーペット製造装置にて、実施例1に示すゾル状の塩化ビニール樹脂塗をスチールネットベルト上に1mm厚、幅1100mmにコートし、目付け30g/m2、幅1100mmのガラスメッシュを挿入し、更に上記と同様にゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cを1mm厚、幅1100mmにコートして、ガラスメッシュを中間に挟んだ多層のバッキング層6の上に上記のタフティングされたパイル繊維3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にパイル繊維層等の各層を接着・固化させ、異種材料による多層構造のタイルカーペットを製造した。
【0065】
(3)リサイクル塩化ビニールシートの作成
このタイルカーペットをそのまま粉砕機により約10mm以下の粉粒体に粉砕した。この各種素材の混合粉粒体を[実施例1]に示す塩化ビニールバージンコンパウンドに80重量%混合し、実施例2と同様にバンバリーミキサー、カレンダー加工し、厚さ1mm、幅1100mmの炭酸カルシウム、可塑剤、および粉砕されたガラス粉体等を含有したリサイクルされた塩化ビニールシート4bを作成した。
【0066】
(4)リサイクルタイルカーペットの作成
タイルカーペット製造装置にて、スチールネットベルト上に、このリサイクル塩化ビニールシート4bを乗せ、その上に目付け30g/m2、幅1100mmのガラスメッシュを挿入し、その上に、実施例1に示すバージンの塩化ビニール樹脂層4a(ゾル)をコートして、ガラスメッシュを中間に挟んだ多層のバッキング層6の上に上記のタフティングされたパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、塩化ビニール樹脂層4aのゲル化と同時にパイル繊維層3等の各層を接着・固化させることにより、異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0067】
(5)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成のリサイクルタイルカーペットは各種の異質材料が多量混在するため、バッキング層の外観、強度、柔軟性、クッション性等の品質上の問題が発生した。かつ、更なる再利用などを考慮すると100%リサイクルできないだけでなく、リサイクル品の添加量の制限が厳しいものであることがわかった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、表1に示す通り、この構造のリサイクルカーペットにおいても、ガラスメッシュでは寸法安定性が悪く、タイルカーペットとしては不満足なものであった。
【0068】
【表1】
【0069】
【考案の効果】
以上のように、本考案リサイクルカーペットによると、品質、寸法安定性が良好になった。
【0070】
また、本考案のリサイクル可能なカーペットの製造方法により、表層パイル繊維層とバッキング層とが異質の熱可塑性樹脂構成のカーペットでも、層分離をしてリサイクルでき、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性および寸法安定性が良好で、かつ、塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。すなわち、従来できなかった寸法安定性などの品質と同一用途に100%リサイクルするというリサイクル性の両者を満足するリサイクルカーペットを得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のリサイクルカーペットの一実施例を示す積層構造。
【図2】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペットの積層構造。
【図3】本考案のリサイクルカーペット用素材の一実施例を示す積層構造。
【図4】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図5】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図6】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図7】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図8】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図9】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【符号の説明】
1 パイル糸
2 基布
3 パイル繊維層
4a 塩化ビニール樹脂層
4b リサイクル塩化ビニールシート層
4c 塩化ビニール樹脂塗布層
5 ガラス繊維不織布
5a 浸漬処理したガラス繊維不織布層
6 バッキング層
7 毛抜け止め防止層
8 ホットメルト接着剤シート
【考案の属する技術分野】
本考案はリサイクル可能なカーペットおよびその素材に関するもので、特に表層パイル繊維層とバッキング層とが異質の熱可塑性樹脂で構成されるリサイクルカーペットおよびリサイクルカーペット用素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題がクロ−ズアップされているが、カーペットについては、従来、廃棄されたカーペットは埋め立てや焼却処理により廃棄されており、埋め立て場所の不足や、資源ロス等の問題が生じている。リサイクル法の施行に伴いカーペットについても、リサイクルしやすい製品を製造すること、およびリサイクルシステムの構築が急務とされている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002‐191488号公報
【特許文献2】
特開平7‐32520号公報
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
従来の一般的なカーペットは図1に示すような構造であり、図示の不織布や平織布等からなる基布2に、フィラメントや紡績糸などのパイル糸1をタフティングしたパイル繊維層3と炭酸カルシウム、可塑剤等を含有する塩化ビニール樹脂層4aの2層の間にガラス繊維の不織布5またはメッシュ5mを挟んだバッキング層6からなる構成になっている。また、その一般的な製法は、タフティング法により作成された、ナイロン繊維製やポリプロピレン繊維製の表面パイル繊維層3と、塩化ビニール樹脂を主成分とするバッキング層6を接合一体化して作成する方法であり、バッキング層は特殊グレードのペースト用塩化ビニールポリマーをベースに50〜150部のDOP(フタル酸ジオクチル)等のフタル酸エステル系可塑剤を使用し、200〜450部の粒状炭酸カルシウムを混合したペースト状の樹脂をゾルコートし、加熱炉による加熱を施し、ゲル化して作成される。このバッカー剤の作成と表層パイル繊維層の接着加工は一工程で連続的に製造されるのが一般的である。加工機を流れるスチールネットベルトの上に、上記組成のバッキング層用ペーストゾルをコートし、ガラス繊維の不織布またはメッシュを挿入し、更にバッキング層用ペーストゾルをコートして、ガラス繊維不織布等を中間に挟んだ多層のバッキング層6にタフティングされたパイル繊維を挿入し、加熱炉に通してゲル化と同時にパイル繊維層等の各層を接着・固化させ、シート状のカーペットを製造する。この際、ガラス繊維を挟んだ塩化ビニール樹脂を主成分とするバッキング層6の二層は同じ組成でも良いが、目的に応じて変更する場合が多い。
【0005】
しかし、これらのカーペットをリサイクルする場合は、ペーストゾルにリサイクル品の粉砕品などを混入するリサイクル化は品質的に安定したシートをつくることが困難で、この方式ではリサイクル化が生産技術上不可能な状況にある。近年、この対策として、塩化ビニール樹脂を主成分とするバッキング層をシート成形して、このシートにリサイクル物を混入する方法が検討されている。しかしながら、カーペットは前述の通り、表層のパイル繊維層3とバッキング層6とが異質の材料であり、かつ、バッキング層6にはガラス繊維の不織布等が構成の一部になっているため、各種の異質材料が混在し、バッキング層やパイル繊維層に戻すことができない等の問題があった。また、各々を分離して再利用することは、通常の商業ベースにはコストがかかり過ぎるため、リサイクルの実用化には至らず、廃カーペットを埋め立て又は焼却しているのが現状である。
【0006】
このような状況の中、本考案者等はカーペットのリサイクル化の検討を行い、特許文献1において、バッキング層とパイル繊維層の間にホットメルト接着剤層を設けて、ホットメルト接着剤の融点以上の温度にすることによりバッキング層とパイル繊維層を容易に分離できる再生用カーペットおよびその再生方法などを提案した。
【0007】
しかし、これらの方法で作られたカーペットは、夏季と冬季等、環境温度変化による寸法変化が大きく、施工時に適正に敷き詰めても経時的に隙間ができたり、カーペット端部の浮き上がり等、種々の問題の生じることがわかった。
【0008】
この対策として、施工の際にバッキング層の裏面または床面に対するフィット性を付与し、寸法変化による敷き詰め後の問題を緩和する方法がある。しかしながら、これらはバッキング層を汚染し、再利用する際の問題になり、かつ、床面を汚染する原因となる等の問題があった。
【0009】
また、特許文献2において、異質の材料であるナイロン繊維製パイル繊維層と塩化ビニール樹脂製バッキング層を分離することなく一括粉砕し、これを溶融混錬して、圧延した再生シートのバッキング材をハードバック層とし、ガラスメッシュを中間層として、塩化ビニール樹脂のペーストゾルをコートする方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、この方法は異質材料の樹脂を混合したままリサイクルするため塩化ビニール樹脂製バッキング層として利用することは、外観、強度、柔軟性、その他の問題から廃材の混合比率に制限があり、全量をリサイクルすることができない等の問題があった。また、寸法安定性のためにガラスメッシュを塩化ビニールシートと塩化ビニールゾルの間に挟み、接着させているが、このガラスメッシュでは寸法安定性が不十分であることがわかった。
【0011】
また、カーペットの用済み後の廃材処理は従来から異種材料の構成であるため現状ではバッキング層や表層パイル繊維層に戻すことができない問題があった。また、各々を分離して再利用することができても、ガラス繊維不織布が塩化ビニール樹脂層中に存在するため、塩化ビニール樹脂層のバッキング層は同一用途への100%リサイクルはできないと考えられていた。しかしながら、本考案者等が鋭意検討した結果、ガラス繊維不織布層を有する塩化ビニール樹脂をバンバリーミキサーで加熱混錬することにより、ガラス繊維の不織布が破壊され、ほぼガラスの粉体になることがわかった。
【0012】
本考案の目的は、これらの問題を解決するために、カーペットの材料構成、組成を適切なものとしてリサイクルカーペットの品質、寸法安定性が良好であり、かつ、塩化ビニール樹脂製バッキング層を同一用途に全量リサイクルすることが可能なリサイクルカーペットおよびリサイクルカーペット用素材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本考案者等は上記問題の解決を図るため、本考案に係わるカーペット、およびその素材を以下のようにすることが有効であることを見出した。
【0014】
第1の手段は、異種材料から構成されるリサイクルカーペットにおいて、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けたパイル繊維層と、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層を介してパイル繊維層と分離自在に設けられたバッキング層とからなり、該バッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着される塩化ビニール樹脂層と、該塩化ビニール樹脂層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面の塩化ビニール樹脂層とが順次積層され、バッキング層のみをリサイクル自在に設けたことにある。
【0015】
第2の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に接合される塩化ビニール樹脂層とが積層されたバッキング層とする。
【0016】
第3の手段は、異種材料から構成され加熱炉で加熱することによって熱硬化樹脂剤を接着硬化するリサイクルカーペット素材において、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けたパイル繊維層と、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層に接合されると共に、ホットメルト接着シート層から分離してリサイクル自在に設けられるバッキング層とからなり、該バッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とし、リサイクル塩化ビニールシート層は、使用済みのパイル繊維層から分離されたバッキング層をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートからなる。
【0017】
第4の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面の塩化ビニールペースト浸漬処理を施したガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とし、リサイクル塩化ビニールシート層は、使用済みのパイル繊維層から分離されたバッキング層をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートが表面温度100℃〜160℃で加熱圧着されたリサイクル塩化ビニールシートからなる。
【0018】
第5の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層と、該塩化ビニール樹脂塗布層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とが順次積層されたことにある。
【0019】
第6の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されたリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とが順次積層されたバッキング層とする。
【0020】
第7の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層と、該塩化ビニール樹脂塗布層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とする。
【0021】
第8の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とからなる。
【0022】
第9の手段のバッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂層塗布層と、該塩化ビニール樹脂層塗布層下面の塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とする。
【0023】
【考案の実施の形態】
以下に本考案の実施の形態を詳細に説明する。本考案リサイクルカーペット及びリサイクルカーペット素材は、異種材料から構成されたパイル繊維層3と、バッキング層6とからなる。パイル繊維層3は、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けた構成を成す。
【0024】
一方、バッキング層6は、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層8を介してパイル繊維層と分離自在に設けられる。図1に示すバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着される塩化ビニール樹脂層4aと、該塩化ビニール樹脂層4a下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面の塩化ビニール樹脂層4aとが順次積層され、バッキング層のみをリサイクル自在に設けている。
【0025】
図2に示すバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着されるガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に接合される塩化ビニール樹脂層4aとが積層されたバッキング層6としている。
【0026】
ガラス繊維不織布層を有する塩化ビニール樹脂をバンバリーミキサーで加熱混錬することにより、ガラス繊維の不織布が破壊され、ほぼガラスの粉体になることは、前述のとおりである。もともと塩化ビニール樹脂のバッキング基材は、炭酸カルシウム、可塑剤等を多量含有しており、このガラス粉体の混入は含有率を約10%以下に限定することにより、外観、強度、柔軟性、クッション性、その他、品質的に何ら悪影響を及ぼさず、かつ、シート成形も容易にできることがわかった。ただし、ガラス繊維状の形態から粉体化されることにより、このガラス粉体含有の塩化ビニールリサイクルシートをバッキング層として再利用をすると、カーペットの夏季、冬季等の温度変化等に対する寸法安定性が不十分となり、リサイクルカーペットの寸法安定化対策としてガラス繊維不織布層が必須であることがわかった。
【0027】
このため、リサイクルカーペットを図5に示すようなパイル繊維層3と、バッキング層6としている。すなわち、該バッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cと、該塩化ビニール樹脂塗布層3c下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cとが順次積層されたリサイクルカーペット素材を開発した。このカーペットをホットメルト接着剤の融点以上に加熱することにより、パイル繊維層3とバッキング層6を分離することができるようになった。
【0028】
また、この構成では、パイル繊維層3とホットメルト接着シート層8との接着力が弱く、切断時、加工時および施工時等でパイルが抜ける等の問題が発生することがわかった。このため、パイル糸1をタフティングした基布2にパイル糸1の抜け防止としてエチレン−酢酸ビニール共重合体樹脂等をコーティングした毛抜け止め防止層7を設ける必要のあることがわかった。
【0029】
本考案の具体的な製造方法として、次の方法を見出した。すなわち、リサイクル塩化ビニール樹脂のバッキング層6からなるリサイクルカーペットを製造するためには、初期カーペットの製造方法として、タフティングされたパイル繊維層3とバッキング層6の分離を可能とする層構成のカーペットを製造する必要がある。
【0030】
この製造方法としては、加工機を流れるスチールネットベルトの上に、炭酸カルシウム、可塑剤等を含有する塩化ビニールペースト4a(ゾル)をコートし、ガラス繊維不織布5を挿入し、更に同様の塩化ビニールペーストゾル4a(ゾル)をコートして、このガラス繊維不織布を中間に挟んだ多層のバッキング層6、ホットメルト接着剤シート層8、毛抜け止め層7を有するパイル繊維層の各層を、加熱炉にて150℃〜200℃の温度で加熱し、ガラス繊維不織布との接着、およびホットメルト接着剤のパイル繊維層との接着等各層の接着と同時に塩化ビニールゾルのゲル化(硬化)を行うことにより、リサイクルカーペットを得るための初期カーペットを製造する方法を見出した。
【0031】
この層構成のカーペットはホットメルト接着剤の融点以上に加熱して、パイル繊維層とバッキング層を分離することができると伴に、カーペットとして必要な寸法安定性、外観、強度、柔軟性、クッション性等の品質特性を有している。
【0032】
また、実際のリサイクルカーペットを製造する方法として、次の方法を見出した。上記のようなパイル繊維層3と塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層6との分離可能なカーペットを、ホットメルト接着剤シート8の融点以上に加熱しガラス繊維層5を有する塩化ビニール樹脂のバッキング層6を分離した後、バンバリーミキサーにより120℃〜170℃好ましくは140℃〜165℃の温度で加熱撹拌を行い溶融混錬し、塩化ビニールの樹脂温度を140℃〜165℃でカレンダー成形することにより、炭酸カルシウム、可塑剤およびガラス粉体を含んだ塩化ビニール樹脂のリサイクルシート4bを作成する。このリサイクル塩化ビニールシート4bの上にガラス繊維不織布5を乗せ、その上にバージンの塩化ビニールペースト4a(ゾル)をコートしたバッキング層6に、ホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め層7を有するパイル繊維層の層構成で順次積層し、加熱炉にて150℃〜200℃の温度で加熱して、塩化ビニールシートの融着、ホットメルト接着剤シートの接着による各層の接着と同時に塩化ビニールゾルのゲル化(硬化)を行うことにより、図6、図7に示すような層構成のリサイクルカーペットを製造する。
【0033】
すなわち、図6に示す構成のバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cと、該塩化ビニール樹脂塗布層4c下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面のリサイクル塩化ビニールシート層4bとが順次積層されたバッキング層6としている。また、リサイクル塩化ビニールシート層4bは、前記パイル繊維層3から分離されたバッキング層6をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートを使用する。
【0034】
一方、図7に示す構成のバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着されたリサイクル塩化ビニールシート層4bと、該リサイクル塩化ビニールシート層4b下面のガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cとが順次積層されたバッキング層としている。尚、リサイクル塩化ビニールシート層4bは、使用済みのパイル繊維層3から分離されたバッキング層6をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートを使用する。
【0035】
更に、上記塩化ビニール樹脂のリサイクルシート4bの上に、塩化ビニールペーストゾル、ガラス繊維不織布5、ホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め7を有するパイル繊維層の層構成で順次積層し、加熱炉にて150℃〜200℃の温度で加熱して、塩化ビニールシートの融着、ガラス繊維の接着、ホットメルト接着剤シートの接着等、各層の接着と同時に塩化ビニールゾルのゲル化(硬化)を行う。図9に示すリサイクルカーペット素材のバッキング層6は、ホットメルト接着シート層8の下面に接着されるガラス繊維不織布層5と、該ガラス繊維不織布層5下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂層塗布層4cと、該塩化ビニール樹脂層塗布層4c下面の塩化ビニールシート4b層とが順次積層されている。該塩化ビニールシート層4bは、使用済みのパイル繊維層3から分離されたバッキング層6をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートで形成されている。なお、この塩化ビニール樹脂層の層構成で、リサイクル塩化ビニールシートと塩化ビニールゾルとの厚み構成比率は適宜変えられるが、塩化ビニールゾルの厚み比を小さくする方が同用途への再利用率を高くできるため好ましい。
【0036】
これらの方式により、ホットメルト接着剤シートの融点以上に加熱することにより、パイル繊維層3とバッキング層6を分離することができ、カーペットとしての必要な特性である寸法安定性、外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ、塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。ただし、バージンの塩化ビニール樹脂を使用するため、このカーペットを100%回収すると同用途に100%再利用することはできないことになる。
【0037】
また、パイル繊維層についても、層分離されるため不純物が少なく、少なくともナイロン、ポリプロピレン等のプラスチック成形品等への再利用が可能となった。
【0038】
そこで更に、100%回収しても、それを同用途に100%再利用する方法として、図3に示すような層構成にするもう1つの方法を見出した。すなわち、リサイクル塩化ビニールシート4bの二層間にガラス繊維不織布5を挟み、ラミネートされた多層のバッキングシート6と毛抜け止め層7を有するパイル繊維層3との間にホットメルト接着剤シート8を挟んだ層構成にした。
【0039】
この具体的な製造方法としては、ガラス繊維層5を有する塩化ビニール樹脂のバッキング層6を分離し、前述の方法と同様にバンバリーミキサーにより、溶融混練し、カレンダー圧延方式により炭酸カルシウム、可塑剤およびガラス粉体を含んだ塩化ビニールのリサイクルシート4bを作成する。
【0040】
このリサイクル塩化ビニールシート4bを2層にして、シート間にガラス繊維不織布5を挟み込み、ラミネーターにより、100℃〜160℃の温度で加熱圧着し、冷却固化することにより、塩化ビニール樹脂層とガラス繊維不織布の接着された塩化ビニール樹脂/ガラス繊維不織布/塩化ビニール樹脂の積層シートのバッキング層6を得ることができる。この加圧圧着温度が100℃より低いと塩化ビニール樹脂とガラス繊維不織布との接着力が弱く、160℃を越えるとラミネーターのロールへの塩化ビニールの融着等、作業性が悪い等の問題が生じる。このリサイクル積層シートからなるバッキング層6の上にホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め層7を有するパイル繊維の層を乗せた構成で積層し、加熱炉にて150〜200℃の温度で加熱して、塩化ビニールシートの融着、ホットメルト接着剤シートの接着・固化を行うことにより、図3に示すような異種材料からなる多層構造のリサイクルカーペットを製造する。
【0041】
この方式により、ホットメルト接着剤シートの融点以上に加熱することによりパイル繊維層とバッキング層6を分離することができ、カーペットとしての必要な特性である寸法安定性、外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ、塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルでき、かつ100%回収しても同一用途に100%再利用することもできるようになった。
【0042】
バッキング層6における塩化ビニール樹脂層の厚みについては全体で1mm〜4mmの範囲が好ましく、ガラス繊維不織布の上下の厚み構成はカーペットの品質に応じて適当に変えて良い。全体で1mmより薄いとカーペットのクッション性が悪く、4mmを越えると重量が重くなり作業性が悪く、コスト的に不利となる。
【0043】
ここで使用するホットメルト接着剤としては、エチレン−酢酸ビニール共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂等或いはこれらに粘着付与剤、ワックスその他の添加剤を添加したもの等で、融点が60℃〜100℃、好ましくは65℃〜90℃のものが有効である。これらの材料はその融点またはそれ以上の温度の雰囲気中または温水中で、ホットメルト接着剤を溶融することにより、上層パイル層とバッキング層を容易に分離することができるのである。このホットメルト接着剤をシートとして使用する場合の厚みは、接着性、コスト等の点から20〜300μのフィルムまたはシート、好ましくは50〜250μのフィルムまたはシートが好ましい。
【0044】
ここで使用する毛抜け止め層7としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、アクリル樹脂、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、MBR(メチルメタクリレート・ブタジエンゴム)、NBR(ニトリル・ブタジエンゴム)系の接着剤等が良い。
【0045】
なお、ここで使用するガラス繊維不織布5としては、ガラス繊維径が6〜20μ、好ましくは9〜13μで、目付けが15〜60g/m2の範囲のものが適している。目付けが15g/m2より少ないと塩化ビニールシートとのラミネート時に張力により破断したり、作業性が難しい等の問題がある。目付けが60g/m2を越えると、コスト的にも不利となる。また、塩化ビニールシートとガラス繊維不織布5との接着性を容易にするために、ガラス繊維不織布5を塩化ビニールゾルに浸漬して得られる塩化ビニール樹脂のコーティングされたガラス繊維不織布5aを用いても良く、接着性は更に良くなり、好ましい(図4参照)。また、ガラスメッシュは寸法安定性が悪く好ましくない。
【0046】
次に、本考案の実施例を説明する。
【実施例1】
(1)パイル繊維層の作成
先ず、目付120gのポリエステル不織布の基布2にナイロン100%のマルチフィラメント糸をタフティングにより植毛し、パイル長3mm、幅1100mmのパイル繊維層3、いわゆる生機を作成した。この生機をバッキング工程に供給して生機の裏面に、パイル糸1抜け止め用とするエチレン−酢酸ビニール共重合体樹脂性接着剤を毛抜け防止層7としてコーティングし、パイル繊維層3を作成した。
【0047】
(2)ホットメルト接着剤シート層を有するタイルカーペットの作成
次にタイルカーペット製造装置にて、炭酸カルシウム65%、DOP可塑剤15%、塩化ビニール樹脂20%を攪拌機により混錬撹拌してできたゾル状の塩化ビニール樹脂をスチールネットベルト上に1mm厚、幅1100mmにコートし、目付け35g/m2、幅1100mmのガラス繊維不織布5を挿入し、更に上記と同様にゾル状の塩化ビニール樹脂をコートして、ガラス繊維不織布5を中間に挟んだ多層のバッキング層6を形成する(図5参照)。該バッキング層6の上に厚さ200μ、幅1100mm、融点80℃のエチレン−酢酸ビニール系ホットメルト接着シート8を挿入し、上記構成のタフティングされたパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して、塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にガラス繊維不織布5との接着、およびホットメルト接着剤シート8のパイル繊維層3との接着等各層を接着・固化させて多層構造のリサイクル用タイルカーペットを製造した。
【0048】
(3)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成にすることにより、ホットメルト接着シートの融点以上に加熱して、パイル繊維層と塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を分離することが可能となり、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。尚、寸法安定性については、次の方法でテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が良好であった。
【0049】
<寸法安定性評価試験方法>
夏季と冬季の温度変化を想定し、この温度変化における寸法変化を測定する。具体的には、500mm×500mmのタイルカーペット試験片を初期寸法として23℃における雰囲気下に4時間放置後、ノギスで縦、横を測定する。この試験片を恒温槽にて、−20℃および50℃に4時間入れて、取り出して直ちにノギスで縦、横を測定する。
【0050】
【実施例2】
(1)リサイクル塩化ビニールシートの作成
実施例1のカーペットを85℃の雰囲気中で、ホットメルト接着剤を溶融することにより、パイル繊維層3とバッキング層6とを分離した。このガラス繊維不織布5を含んだ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層6をバンバリーミキサーにより150℃で加熱・撹拌を行い溶融して、カレンダー加工により厚さ1mm、幅1100mmの炭酸カルシウム、可塑剤、および粉砕されたガラス粉体を含有したリサイクル塩化ビニールシート4bを作成した。
【0051】
(2)リサイクルタイルカーペットの作成
タイルカーペット製造装置にて、スチールネットベルト上に、このリサイクル塩化ビニールシート4bを乗せ、その上に目付け35g/m2、幅1100mmのガラス繊維不織布5を挿入し、その上に炭酸カルシウム65%、DOP可塑剤15%、塩化ビニール樹脂20%のゾル状の塩化ビニール樹脂を1mm厚、幅1100mmにコートして、このガラス繊維不織布5を中間に挟んだ多層のバッキング層6を形成した(図6参照)。該バッキング層6の上に厚さ200μ、幅1100mm、融点80℃のエチレン−酢酸ビニール系ホットメルト接着シート8を挿入し、実施例1と同様のタフティングされたパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、ゾル状の塩化ビニール樹脂のゲル化と同時にガラス繊維不織布5との接着、およびホットメルト接着シート8のパイル繊維層3との接着等各層を接着・固化させ異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0052】
(3)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が良好であった。
【0053】
[比較例1]
実施例2と同様にして、ガラス繊維不織布の代わりに50g/m2、幅1100mmのガラスメッシュを用いた結果、外観、強度、柔軟性、クッション性等の特性は問題ないが、表1に示す通り、寸法安定性が悪かった。
【0054】
【実施例3】
実施例1に示すホットメルト接着剤シート8層を有するタイルカーペットから、実施例2と同様にリサイクル塩化ビニールシートを作成した。このリサイクル塩化ビニールシート層4bの上に、実施例1に示すペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cを厚さ0.2mmコートし、その上に実施例1と同様のガラス繊維不織布5、ホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め防止層7を有するパイル繊維層3の順番層構成で積層した(図9参照)。この素材を185℃の乾熱オーブンに通して加熱して、塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にリサイクル塩化ビニールシート層4b、塩化ビニール樹脂塗布層4c、ガラス繊維不織布5、およびパイル繊維層3との接着等、各層の接着・固化をすることにより、異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0055】
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、寸法安定性が良好であった。
【0056】
【実施例4】
実施例1に示すホットメルト接着剤シート8層を有するタイルカーペットから、実施例2と同様にリサイクル塩化ビニールシートを作成した。このリサイクル塩化ビニールシート層4bを2層にして、シート間に目付け35g/m2、幅1100mmのガラス繊維不織布5を挟み込み、ラミネーターにより、130℃の温度で加熱圧着することにより、リサイクル塩化ビニールシート層4bとガラス繊維不織布5の接着されたリサイクル塩化ビニールシート層4b/ガラス繊維不織布5/リサイクル塩化ビニールシート層4bの積層シートからなるバッキング層6を得た(図3参照)。
【0057】
このバッキング層6の上に、実施例1と同様のホットメルト接着剤シート8、毛抜け止め防止層7を有するパイル繊維層3の順番層構成で積層し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱して、リサイクル塩化ビニールシート層4bとパイル繊維層3を接着・固化することにより、図3に示すような異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0058】
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。この方式であれば、100%回収しても同用途に100%再利用することもできるようになった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が良好であった。
【0059】
[比較例2]
(1)ホットメルト接着剤シート層を有するタイルカーペットの作成
実施例1と同様の塩化ビニールゾルをスチールネットベルト上に3mm厚、幅1100mmにコートし、作成したバッキング層の上に実施例1と同様のホットメルト接着シートを挿入し、更にその上に実施例1と同様に処理されたパイル繊維層を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して、塩化ビニール樹脂のゲル化と同時にパイル繊維層を接着・固化させ、異種材料による多層構造のタイルカーペットを製造した。
【0060】
(2)リサイクル塩化ビニールシートの作成
このカーペットを、実施例2と同様のバンバリーミキサー、カレンダー加工により、厚さ3mm、幅1100mmのリサイクルされた塩化ビニールシート4bを作成した。
【0061】
(3)リサイクルタイルカーペットの作成
タイルカーペット製造装置にて、スチールネットベルト上に、このゾル状の塩化ビニール樹脂を乗せ、その上に、実施例1と同様のホットメルト接着シート8を挿入し、更にその上に、実施例1と同様のパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、ゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にパイル繊維層を接着・固化させることにより、図8に示すような異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0062】
(4)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成にすることにより、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性等を保持して、かつ塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を100%リサイクルできるようになった。しかしながら、寸法安定性については、実施例1と同様にテストした結果、表1に示す通り、寸法安定性が悪く、タイルカーペットとしては不満足なものであった。
【0063】
[比較例3]
(1)パイル繊維層の作成
先ず、目付120gのポリエステル不織布の基布2にナイロン100%のマルチフィラメント糸をタフティングにより植毛し、パイル長3mm、幅1100mmのタフティングされたパイル繊維3を作成した。
【0064】
(2)タイルカーペットの作成
次にタイルカーペット製造装置にて、実施例1に示すゾル状の塩化ビニール樹脂塗をスチールネットベルト上に1mm厚、幅1100mmにコートし、目付け30g/m2、幅1100mmのガラスメッシュを挿入し、更に上記と同様にゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層4cを1mm厚、幅1100mmにコートして、ガラスメッシュを中間に挟んだ多層のバッキング層6の上に上記のタフティングされたパイル繊維3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、塩化ビニール樹脂塗布層4cのゲル化と同時にパイル繊維層等の各層を接着・固化させ、異種材料による多層構造のタイルカーペットを製造した。
【0065】
(3)リサイクル塩化ビニールシートの作成
このタイルカーペットをそのまま粉砕機により約10mm以下の粉粒体に粉砕した。この各種素材の混合粉粒体を[実施例1]に示す塩化ビニールバージンコンパウンドに80重量%混合し、実施例2と同様にバンバリーミキサー、カレンダー加工し、厚さ1mm、幅1100mmの炭酸カルシウム、可塑剤、および粉砕されたガラス粉体等を含有したリサイクルされた塩化ビニールシート4bを作成した。
【0066】
(4)リサイクルタイルカーペットの作成
タイルカーペット製造装置にて、スチールネットベルト上に、このリサイクル塩化ビニールシート4bを乗せ、その上に目付け30g/m2、幅1100mmのガラスメッシュを挿入し、その上に、実施例1に示すバージンの塩化ビニール樹脂層4a(ゾル)をコートして、ガラスメッシュを中間に挟んだ多層のバッキング層6の上に上記のタフティングされたパイル繊維層3を挿入し、185℃の乾熱オーブンに通して加熱し、塩化ビニール樹脂層4aのゲル化と同時にパイル繊維層3等の各層を接着・固化させることにより、異種材料からなる多層構成のリサイクルタイルカーペットを製造した。
【0067】
(5)上記構成のリサイクルタイルカーペットの評価
これらの層構成のリサイクルタイルカーペットは各種の異質材料が多量混在するため、バッキング層の外観、強度、柔軟性、クッション性等の品質上の問題が発生した。かつ、更なる再利用などを考慮すると100%リサイクルできないだけでなく、リサイクル品の添加量の制限が厳しいものであることがわかった。尚、寸法安定性については、実施例1と同様の方法でテストした結果、表1に示す通り、この構造のリサイクルカーペットにおいても、ガラスメッシュでは寸法安定性が悪く、タイルカーペットとしては不満足なものであった。
【0068】
【表1】
【0069】
【考案の効果】
以上のように、本考案リサイクルカーペットによると、品質、寸法安定性が良好になった。
【0070】
また、本考案のリサイクル可能なカーペットの製造方法により、表層パイル繊維層とバッキング層とが異質の熱可塑性樹脂構成のカーペットでも、層分離をしてリサイクルでき、カーペットとしての必要な特性である外観、強度、柔軟性、クッション性および寸法安定性が良好で、かつ、塩化ビニール樹脂等からなるバッキング層を同一用途に100%リサイクルできるようになった。すなわち、従来できなかった寸法安定性などの品質と同一用途に100%リサイクルするというリサイクル性の両者を満足するリサイクルカーペットを得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のリサイクルカーペットの一実施例を示す積層構造。
【図2】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペットの積層構造。
【図3】本考案のリサイクルカーペット用素材の一実施例を示す積層構造。
【図4】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図5】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図6】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図7】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図8】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【図9】本考案の他の実施例を示すリサイクルカーペット用素材の積層構造。
【符号の説明】
1 パイル糸
2 基布
3 パイル繊維層
4a 塩化ビニール樹脂層
4b リサイクル塩化ビニールシート層
4c 塩化ビニール樹脂塗布層
5 ガラス繊維不織布
5a 浸漬処理したガラス繊維不織布層
6 バッキング層
7 毛抜け止め防止層
8 ホットメルト接着剤シート
Claims (9)
- 異種材料から構成されるリサイクルカーペットにおいて、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けたパイル繊維層と、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層を介してパイル繊維層と分離自在に設けられたバッキング層とからなり、該バッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着される塩化ビニール樹脂層と、該塩化ビニール樹脂層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面の塩化ビニール樹脂層とが順次積層され、バッキング層のみをリサイクル自在に設けたことを特徴とするリサイクルカーペット。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に接合される塩化ビニール樹脂層とが積層されたバッキング層とする請求項1記載のリサイクルカーペット。
- 異種材料から構成され加熱炉で加熱することによって熱硬化樹脂剤を接着硬化するリサイクルカーペット素材において、パイル糸がタフティングされた基布に毛抜け止め層を設けたパイル繊維層と、該パイル繊維層の下面に配されたホットメルト接着シート層に接合されると共に、ホットメルト接着シート層から分離してリサイクル自在に設けられるバッキング層とからなり、該バッキング層は、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とし、リサイクル塩化ビニールシート層は、使用済みのパイル繊維層から分離されたバッキング層をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートからなるリサイクルカーペット用素材。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面の塩化ビニールペースト浸漬処理を施したガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とし、前記リサイクル塩化ビニールシート層は、使用済みのパイル繊維層から分離されたバッキング層をバンバリーミキサーにより溶融混錬した後、カレンダー圧延方式により再製したリサイクル塩化ビニールシートが表面温度100℃〜160℃で加熱圧着されたリサイクル塩化ビニールシートからなる請求項3記載のリサイクルカーペット用素材。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層と、該塩化ビニール樹脂塗布層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とが順次積層されたバッキング層とした請求項3記載のリサイクルカーペット用素材。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に接着されたリサイクル塩化ビニールシート層と、該リサイクル塩化ビニールシート層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とが順次積層されたバッキング層とした請求項3記載のリサイクルカーペット用素材。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に塗布されたペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層と、該塩化ビニール樹脂塗布層下面のガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面のリサイクル塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とした請求項3記載のリサイクルカーペット用素材。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂塗布層とからなるバッキング層とした請求項3記載のリサイクルカーペット用素材。
- 前記バッキング層に代えて、ホットメルト接着シート層の下面に接着されるガラス繊維不織布層と、該ガラス繊維不織布層下面に塗布されるペーストゾル状の塩化ビニール樹脂層塗布層と、該塩化ビニール樹脂層塗布層下面の塩化ビニールシート層とが順次積層されたバッキング層とした請求項3記載のリサイクルカーペット用素材。
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