JP2005169389A - 環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置 - Google Patents

環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】環境汚染有機化合物、すなわち揮発性有機化合物、低揮発性有機塩素化合物を簡易且つ高効率で無害化して除去する方法及びそのための装置を得る。
【解決手段】環境汚染有機化合物の無害化処理法であって、環境汚染有機化合物を含む水溶液に、塩基性金属塩からなる触媒物質を添加して、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置。塩基性金属塩としては、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、カオリナイトなどが用いられ、ゼオライトとしては、天然ゼオライト、合成ゼオライトのほか、ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物の水性スラリーから水熱合成による合成途中の非晶質ないし低結晶性のゼオライトを含むスラリーを用いることもできる。
【選択図】図7

Description

本発明は、環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置に関し、より具体的には環境を汚染する揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物を特殊、特定の触媒物質の存在下、超音波により無害化して除去する方法及びそのための装置に関する。
近年、家庭やビル等からの一般廃棄物や半導体工場その他の各種工場等からの産業廃棄物の量は、年々増加の一途をたどっている。それらの廃棄物は、焼却等による最終処分施設や産業廃棄物埋立地に集積される。それらの施設や埋立地からの浸出水については、従来、pH、SS(浮遊物)、COD、BOD、T−N(総窒素量)、T−P(総燐量)、重金属などが問題視されてきたが、最近ではトリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物やPCBなどの低揮発性有機塩素化合物についても大きな社会問題としてクローズアップされ、法的規制が設けられている。
環境を汚染する揮発性有機化合物には、トリクロロエチレンのほか、テトラクロロエチレン、トリクロロエタン、クロロホルム、その他各種あり、これらは各種の優れた化学的性質をもつことから工業材料、溶剤、あるいは洗浄剤などとして大量に使用されている。このうち、トリクロロエチレンやパークロロエチレンなどは洗浄用溶剤として使用されていることから、特に脱脂洗浄施設を有する金属製品製造工場などからの排水中に多く含まれている。しかし、それら化合物による土壌汚染等の残留汚染、地下水汚染、あるいは浄水場の塩素処理過程で生成するトリハロメタンによる汚染の問題なども生じる。それら化合物は、中枢神経障害や肝機能障害をもたらす虞れも指摘され、現時点では一部、製造、使用中止の措置がとられている。
環境を汚染する低揮発性有機塩素化合物には、PCBやDDTやダイオキシン類などがある。このうち、PCBはトランス等の絶縁油に使用され、DDTは農薬や殺虫剤として使用されている。また、ダイオキシン類は、二つのベンゼン核が1,4の位置で二つの酸素で結合された構造の化合物で、ベンゼン核に異なる数の塩素が結合することで210種にものぼる数多くの種類があるが、農薬の製造過程やゴミ焼却炉等において人間の意図とは無関係に生成する猛毒物質であり、環境ホルモンとも称される。
上記のような環境汚染有機化合物は無害化して除去する必要があるが、そのための技術の研究、開発が進められており、これまで種々の方法が提案されている。具体的には、オゾン酸化法、湿式酸化法(酸化・還元法)、金属鉄を用いた還元法、酸化チタンを利用した紫外線照射による光触媒法、半導体光触媒による除去法、生物分解法、曝気などによる揮散法、活性炭を利用した吸着法、超音波処理法などが開発されており、これらは使用目的に応じて適宜選択して使用される。
しかし、そのうち、例えばオゾンもしくは過酸化水素等の酸化剤を利用して分解する方法、あるいは酸化チタン(アナターゼ型等)と紫外線照射による光触媒反応を利用して分解する方法は、いずれも設備が高価であり、かつ、工程が複雑である。また、それらのメンテナンスに多くの労力と経費を必要とするほか、対象となる有機化合物の濃度如何によって分解効率に差異が生じるという難点があることから、未だ確立された方法であるとは言えない。また、曝気などによる揮散法や活性炭を利用した吸着法などの方法では、低揮発性有機塩素化合物の回収率は30%程度であるのに加え、それらは非分解法であるため環境汚染の根本的な解決法とはなり得ない。
加えて、土壌中や地下水中では、大気環境に比較して物質移動が緩慢であるため、土壌や地下水が揮発性有機化合物や低揮発性有機塩素化合物などの環境汚染有機化合物によって汚染されると、その汚染は、長期にわたって継続し、ゆっくりと拡大していくという危惧がある。このため、特に発ガン性の疑いがあるトリクロロエチレン、その他の環境汚染有機化合物による土壌や地下水の汚染対策が緊急課題となっている。
また、超音波処理法については、従来から高い周波数特性と振動特性を利用した超音波洗浄法が各種分野で使用されているが、超音波処理法はそのような超音波を環境汚染有機化合物の除去に利用する方法である。しかし、超音波処理のみで揮発性有機化合物を除去しようとする場合には、通常200kHz程度以上の高周波数を必要とし、20〜100kHz程度の低周波数領域では揮発性有機化合物が殆ど除去されないという問題がある(月刊「地球環境」1999年9月号、38〜42頁)。
本発明者らは、従来技術における以上の問題点を解決するため、環境汚染有機化合物の無害化技術につき各種多方面から研究、検討を続けており、その一環として人工ゼオライトによるダイオキシンを主とした環境ホルモンなどの吸着除去、分解法を先に開発している(特開2000−70647号公報)。本発明者らは、さらに実験、研究、検討を進め、環境汚染有機化合物を特殊、特定の触媒物質の存在下、超音波により高効率で無害化し、除去できることを見い出した。
月刊「地球環境」1999年9月号、38〜42頁 特開2000−70647号公報
すなわち、本発明は、超音波と、触媒物質としてヒドロキシアパタイト、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、カオリナイト、その他の塩基性金属塩の少なくとも一種と、を併用することにより、環境汚染有機化合物、すなわち環境を汚染する揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物を高効率で無害化処理する方法及びそのための装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、環境汚染有機化合物の無害化処理法であって、環境汚染有機化合物を含む水溶液に、塩基性金属塩からなる触媒物質を添加して、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置を提供する。以下、本発明(A)とする。
また、本発明は、環境汚染有機化合物の無害化処理法であって、環境汚染有機化合物を含む水溶液を、塩基性金属塩からなる触媒物質に通しながら、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置を提供する。以下、本発明(B)とする。本発明(B)は、上記本発明(A)の環境汚染有機化合物を含む水溶液の無害化処理を連続的に行う場合に相当している。
また、本発明は、環境汚染有機化合物を含む無機系廃棄物の無害化処理法であって、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物を原料とするゼオライトの水熱合成用水性スラリーに超音波を照射することにより、ゼオライトを合成しながら、それら無機系廃棄物中の環境汚染有機化合物を無害化することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置を提供する。以下、本発明(C)とする。
さらに、本発明は、環境汚染有機化合物を含む排ガスの無害化処理法であって、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物の水性スラリーから水熱合成によりゼオライトを合成するに際して、生成途中のゼオライトを含む水性スラリーに超音波を照射しながら環境汚染有機化合物を含有する排ガスを吹き込むことにより環境汚染有機化合物を除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法及びそのための装置を提供する。以下、本発明(D)とする。
本発明(A)〜(B)によれば、環境汚染有機化合物を含む水溶液に塩基性金属塩からなる触媒物質を添加して超音波を照射するか、環境汚染有機化合物を含む水溶液を塩基性金属塩からなる触媒物質に通しながら超音波を照射することにより、短時間で環境汚染有機化合物を効率的に無害化処理することができる。また、超音波処理のみで環境汚染有機化合物を除去する場合には、200kHz程度以上の高周波数が必要であるが、本発明においては超音波としてそのような高周波数は不要であり、20〜100kHzという低周波数領域で環境汚染有機化合物を有効に無害化し除去することができる。
さらに、本発明による環境汚染有機化合物の除去率は、例えば従来の曝気などによる揮散法や活性炭を利用した吸着法等に比べても、格段に高い。また、本発明の無害化処理装置は、その構造自体シンプルであり、無害化処理工程が簡易なことから、例えば従来のオゾン等の酸化剤を利用する方法、あるいは酸化チタンと紫外線照射による光触媒反応を利用して分解する方法のように高価な設備は必要とせず、メンテナンスにかかる費用などの維持管理費についても格段に低減できるなど、実用上も非常に有用である。
〈本発明(A)〜(B)の態様〉
本発明(A)は、環境汚染有機化合物、すなわち揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物を含む水溶液中に塩基性金属塩からなる触媒物質を添加してから超音波を照射す
ることにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを基本的特徴とする。また、
本発明(B)は、環境汚染有機化合物を含む水溶液を、塩基性金属塩からなる触媒物質に通しながら、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを基本的特徴とする。環境汚染有機化合物を含む水溶液としては、廃棄物の最終処分施設や産業廃棄物埋立地その他の土壌からの浸出水、下水道の放流水、汚染地下水、工場排水、その他各種あるが、本発明はそれらのいずれに対しても適用することができる。
揮発性有機化合物の例としては、1,1−ジクロロエチレン、ジクロロメタン、トリハロメタン、トランス−1,2−ジクロロエタン、シス−1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロペン、ブロモジクロロメタン、シス−1,3−ジクロロプロペン、トルエン、トランス−1,3−ジクロロプロペン、1,1,2−トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジブロモジクロロメタン、m−キシレン、p−キシレン、o−キシレン、ブロモホルム、ベンゼン、ブロモベンゼン、1−フロロ−4−ブロモベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらは大部分がハロゲン元素を含む揮発性有機化合物であるが、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族化合物も含まれる。また、低揮発性有機塩素化合物の例としては、DDT、PCB、ダイオキシン類などが挙げられる。
塩基性金属塩の例としては、塩基性リン酸カルシウム〔ヒドロキシアパタイト(以下適宜“HAP”と略称している)、等〕、塩基性リン酸マグネシウム、塩基性リン酸鉄、塩基性リン酸アルミニウム、塩基性リン酸銅、塩基性ケイ酸カルシウム、塩基性ケイ酸マグネシウム、塩基性ケイ酸鉄、塩基性ケイ酸アルミニウム〔アロフェン、ゼオライト(OHを含む)、イモゴライト、カオリナイト、等〕、塩基性ケイ酸銅、塩基性炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸鉄、塩基性炭酸アルミニウム、塩基性炭酸銅(緑青)、などを挙げることができる。塩基性金属塩は、非晶質(すなわちアモルファス)ないし低結晶性の塩基性金属塩であるのが好ましい。これらは一種とは限らず、二種以上を併用してもよい。また、塩基性金属塩は、好ましくは粒状、粉末状等の形で使用されるが、ペレット状その他適宜の形状に成形して用いてもよい。
ここで“低結晶性”とは、結晶の発達程度が低い状態を意味する。HAPを例にすると、その結晶化度が90%以下であり、望ましくは60%より小さい値を示すものを言う。このようなHAPは、結晶子が小さく、構成原子配列の規則性が低くなっており、こうした状態を本明細書及び特許請求の範囲において“低結晶性”と称している。なお、低結晶性でもその結晶の発達程度が極めて低いときには厳密には非晶質と区別できない場合もあるが、本発明で用いる塩基性金属塩は非晶質でも低結晶性でも触媒物質として有効であることから、本明細書及び特許請求の範囲ではそのような場合を含む意味で“非晶質ないし低結晶性”と称している。
本発明においては、それらの環境汚染有機化合物を、超音波と塩基性金属塩とにより、高効率で除去する。塩基性金属塩は、それ自体は変化せず、環境汚染有機化合物を無害化する機能を有することから一種の触媒と言える。この意味で、本発明で用いる塩基性金属塩を、本明細書及び特許請求の範囲中“触媒物質”とも言う。本発明によれば、超音波と塩基性金属塩からなる触媒物質により、環境汚染有機化合物を水、二酸化炭素、ハロゲンイオン(環境汚染有機化合物中のハロゲン元素に対応したハロゲンイオン)などに変えて無害化するが、その無害化には触媒物質である塩基性金属塩における水酸基あるいは触媒物質に接する(及び触媒物質の近傍の)水分子のOHラジカルが環境汚染有機化合物の酸化に寄与するものと解される。
しかし、この無害化効果が、環境汚染有機化合物のそのような水、二酸化炭素、ハロゲンイオンへの完全な分解によるのか、一部、環境汚染有機化合物の触媒物質への吸着作用が関与するのか、あるいは環境汚染有機化合物の種類によっては、主として吸着作用により除去されて無害化するのか、等についての詳細は不明であり、今後の学術的な究明をまつほかはないが、いずれにしても、本発明によれば、超音波と塩基性金属塩からなる触媒物質により、環境汚染有機化合物を高効率で除去することができるものである。
以下、塩基性金属塩のうち、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト(OHを含む)、アロフェン、イモゴライト及びカオリナイトを例に説明するが、他の塩基性金属塩についても同様である。ヒドロキシアパタイトは、アパタイト(燐灰石)のうち、一般式Ca10(PO46(OH)2で示される組成をもつ鉱物であり、Caは部分的にSr、Mn、希土類元素で置換されている場合もあるが、いずれも使用される。
ゼオライトは、弱く保持された水を含む三次元網目状構造をもつテクトアルミノ珪酸塩鉱物で、天然のもののほか、合成によるものもあり、その組成や結晶構造についても各種あるが、本発明においては、OH基を含むことが必要である。本明細書及び特許請求の範囲では、OH基を含むゼオライトをゼオライトと称している。ゼオライトは、その由来や種類に限定はなく、いずれも使用することができる。その例としてはシャバサイト、ソーダライト(ヒドロキシソーダライトを含む)、フィリップサイト、ホージャサイト、モルデナイト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、β型ゼオライト、ZMS−5、USY型ゼオライトなどが挙げられる。また、ゼオライトとしては、後述のとおり、ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物を原料として合成途中のゼオライトないし合成されたゼオライトを使用することもできる。ゼオライトの場合にも特に非晶質ないし低結晶性であるのが好ましい。このことから、合成途中のゼオライト、すなわちゼオライトの前駆的物質(つまりゼオライトの前駆体)を触媒物質として用いることができる。
アロフェンは、ガラス状塊、粉末塊、微粉体などの形で火山灰層などから得られるアルミニウムの含水ケイ酸塩であり、微小中空(ナノボール)状の化学構造を有する組成:nSiO2/Al23・mH2O(n=1〜2、m=1〜2)で示される。イモゴライト(imogolite)は、オルトケイ酸アルミニウム類の粘土鉱物の一種で、中空管状構造の非晶質ないし準晶質の含水珪酸塩鉱物であり、組成:SiO2・Al23・2H2Oで示される。中空管状構造の単位胞は管壁の外から内側へ向かって“(OH)6Al46Si2(OH)2”の構造を備え、アロフェンとともに火山灰土などに存在している。カオリナイト(kaolinite)は、カオリン鉱物の一種で、層状珪酸塩鉱物であり、組成:Al2Si25(OH)4で示される。わが国では、木節粘土、蛙目粘土などの主要構成鉱物として産出するが、若干のFe含有している場合が多い。本発明で使用するこれらアロフェン、イモゴライト、カオリナイトは、天然のものでも、合成によるものでもよい。
本発明で用いる超音波の周波数には特に限定はなく、低周波領域の超音波も使用することができる。前述のとおり、従来、環境汚染有機化合物の除去に超音波を利用することが試みられいているが、その周波数は200kHz程度以上と高く、低周波数領域では揮発性有機化合物は殆ど除去されない。これに対して、本発明においては、塩基性金属塩の触媒作用により、20〜100kHzという範囲の低周波領域の超音波により環境汚染有機化合物をきわめて有効に除去することができる。もちろん、本発明においては、20〜100kHzの範囲とは限らず、100kHzを超え400kHz程度までの範囲の超音波を使用してもよく、この場合にも、塩基性金属塩のうちの少なくとも一種の触媒物質を併用することが必須である。
本発明を実施する装置は、基本的に、反応槽と超音波発振器とで構成される。より詳しくは、本発明(A)では、(1)反応槽と、(2)該反応槽に超音波発振器を配置し、(3)該反応槽に環境汚染有機化合物を含む水溶液に塩基性金属塩からなる触媒物質、例えばヒドロキシアパタイト、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、カオリナイト等の触媒物質を添加して導入するようにすることで構成される。本発明(B)では、そのうち(3)に代えて、(4)該反応槽に塩基性金属塩からなる触媒物質を充填し、これに環境汚染有機化合物を含む水溶液を導入するようにすることで構成される。このように、本発明の無害化処理装置は、それら(1)〜(3)、または(1)〜(2)、(4)の構成を備えていれば足りるので、その装置の構成自体簡単であり、廉価で且つメンテナンスも容易である。また、その操作についても簡易で、複雑な操作は必要でない。
超音波は、周波数可聴周波領域を超える弾性波で、周波数18〜20kHz(1秒間に18,000〜20,000回振動)以上の人の耳で聞き取れない音であり、従来からその高い周波数と振動を利用し、超音波洗浄、超音波溶着、魚群探知機、深傷機等のほか、最近では、超音波加湿器、吸入器、風呂などにも用いられている。本発明において、低周波領域での超音波を用いる場合、これらに用いられている超音波発振器と同様の超音波発振器を低周波領域での超音波発振器として用いることができる。本発明において、100kHzを超える周波数の超音波を利用する場合には、それに対応した超音波発振器を使用する。本発明の無害化処理装置はバッチ式でも連続式でもよい。図1〜4はそれらの態様例を説明する図である。
図1はバッチ式の無害化処理装置の態様例を模式的に示す図である。図1のとおり、反応容器すなわち反応槽に超音波発振器を配置し、反応槽内に塩基性金属塩からなる触媒物質のうちの少なくとも一種を充填する。触媒物質の充填量は、触媒物質が、導入水溶液中、充填状態(浮遊せず)となる量でも、浮遊状態となるような量でもよい。この反応槽内に環境汚染有機化合物を含む水溶液を導入する。これに代えて、被処理液である環境汚染有機化合物を含む水溶液に予め触媒物質を添加した状態で反応槽に導入するようにしてもよい。そして、超音波発振器を作動して超音波を照射する。
図1に示す無害化処理装置では、反応槽内の低壁近傍に配置した超音波発振器の振動子の振動によって被処理液中に超音波、すなわち粗密の圧力波を交互に発振する。その粗密の圧力波により、被処理液中に無数の微小な泡が発生し、膨張してキャビテーションを形成し、密圧力波の時にキャビテーションが圧縮されて破裂する衝撃力と水溶液中に浮遊する触媒物質の触媒作用により、短時間で環境汚染有機化合物、すなわち揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物を無害化して除去することができる。
図2は連続式の無害化処理装置の態様例を模式的に示す図である。図2のとおり、反応容器すなわち反応槽に超音波発振器を配置し、反応槽内の左右の多孔板あるいは網目体間に塩基性金属塩からなる触媒物質のうちの少なくとも一種を充填する。連続式の場合には、被処理液が多孔板あるいは網目体間の触媒物質中を流通するので、触媒物質は多孔板あるいは網目体から逸出しない粒状、ペレット状等の形状であるのが好ましい。操作に際しては、被処理液導入管から反応槽内に揮発性有機化合物、低揮発性有機塩素化合物、あるいはその両者を含む水溶液を導入しながら無害化除去し、処理済み液導出管から導出する。触媒物質は、操作中、充填状態(浮遊せず)でも、浮遊状態となるようにしてもよい。触媒物質及び超音波の作用は、前述バッチ式無害化処理装置の場合と同様である。
図3は連続式無害化処理装置の他の態様例を模式的に示す図である。図3のとおり、反応容器すなわち反応槽を水槽内に配置する。水槽に超音波発振器を配置し、反応槽内の左右の多孔板あるいは網目体間に塩基性金属塩からなる触媒物質のうちの少なくとも一種を充填する。そして、被処理液導入管から反応槽内に揮発性有機化合物、低揮発性有機塩素化合物、あるいはその両者を含む水溶液を導入しながら無害化除去し、処理済み液導出管から導出する。超音波は、水等の液体中でよく伝搬するので、反応槽を水槽内に収容して置くことにより、反応槽内全体に超音波発振器からの超音波をより均等に伝搬させることができる。触媒物質の形状、操作中の触媒物質の状態については、前述図2の場合と同様であり、触媒物質及び超音波の作用は、前述図1〜2の無害化処理装置の場合と同様である。
図4は、図3に示す態様の連続式無害化処理装置を組み込んでシステム化した態様例を示す図である。本無害化処理装置は塩基性金属塩からなる触媒物質のうちの少なくとも一種を充填した反応槽と、該反応槽に超音波発振器を配置するとともに、該反応槽に被処理液の循環槽を付設する。そして、反応槽内に流入する環境汚染有機化合物を含む水溶液を塩基性金属塩からなる触媒物質のうちの少なくとも一種と超音波との併用によって処理しながら反応槽と循環槽との間で循環させることにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去するようにしてなる無害化処理装置である。
図4において、1は反応槽であり、反応槽1の底壁近傍に超音波発振器2が配置されている。反応槽1中には水3が収容され、ゼオライト等の触媒物質を収容した容器4が水3中に浸漬、配置されている。容器4はフィルター付きとしてもよい。5は架台14上に載置された原水すなわち被処理液の循環槽であり、循環槽5の上壁を貫通してコック6a付きの原水注入管6が連結され、循環槽5の上壁には空気抜き弁7が取り付けてある。
また、循環槽5から原水を導出する配管8には三方コック8aが取り付けられ、この三方コック8aに連結した一方の配管9は、コントローラーシリンジポンプ10を介して、反応槽1中の容器4に連通されており、三方コック8aに連結した他方の配管11は浄水槽12に連なっている。また、反応槽1中の容器4から導出された配管13の他端側が循環槽5に連結されている。15は、無害化処理装置の運転をコントロールするための超音波発振器用電源、タイマー、スタート、ストップスイッチ等を備えた操作盤である。
本無害化処理装置の操作に際しては、容器4中に触媒物質として塩基性金属塩、例えばゼオライトを収容する。環境汚染有機化合物を含有している原水を注入管6から循環槽5内に流入させて一定量を貯留する。次に、操作盤15を操作して循環槽5内に貯留された原水を三方コック8aの一方側から配管9とコントローラーシリンジポンプ10を介して反応槽1中の容器4に流入させながら、反応槽1の底壁近傍に配置された超音波発振器2から水3中に連続的に超音波を照射することにより、その作用と容器4中の触媒物質の作用により短時間で環境汚染有機化合物を無害化して除去する。
そして、原水を配管13を経由して循環槽5に環流して同様な操作を繰り返し行い、所定の処理時間経過後に、三方コック8aを切り換えて配管11から浄水層12内に流入させて操作を終了する。図4に示すシステムでは、反応槽1内の低壁近傍に配置した超音波発振器2の振動子の振動によって水3中に粗密の圧力波を交互に発生させ、原水中に無数の微小な泡が発生し、膨張してキャビテーションを形成し、密圧力波の時に該キャビテーションが圧縮されて破裂する衝撃力を利用し、原水が流通する触媒物質の触媒作用により短時間で環境汚染有機化合物を無害化し除去することができる。
本発明によれば、環境汚染有機化合物を含む地下水、環境汚染有機化合物を含む土壌や焼却によるゴミの最終処分施設や産業廃棄物埋立地からの浸出水、または、環境汚染有機化合物を含む土壌やフライアッシュ等の洗浄水、ダイオキシン類等の環境汚染有機化合物を含む土壌やフライアッシュ等からの浸出水中の、すなわちそれらの水中に含まれる環境汚染有機化合物を無害化することができる。
各種工場、例えば半導体工場や金属製品製造工場等からの排水などに起因して地下水や土壌にはテトラクロロエチレン、トリクロロエタン、クロロホルム、パークロロエチレン、その他の揮発性有機化合物やPCBなどの低揮発性有機塩素化合物が含まれている場合がある。また、雨水などによりゴミの最終処分施設や産業廃棄物埋立地からはそれら物質を含む浸出水が生じる場合がある。さらには、例えば旧式のゴミ焼却炉の撤去に際しては、施設内や煙突内を水洗して付着しているダイオキシン類を除去しており、このため、洗浄水にはダイオキシン類を含むフライアッシュが分散されている。また、旧式のゴミ焼却炉からはダイオキシン類を含むフライアッシュが発生する。
そこで、本発明により、そのように揮発性有機化合物や低揮発性有機塩素化合物を含む地下水や浸出水や洗浄水を触媒物質と超音波とにより無害化して除去する。このための装置として前述図1〜4に示すような装置を使用することができる。図1の無害化処理装置では、上記地下水や浸出水や洗浄水が被処理液として反応容器に収容されて無害化処理される。図2〜3の無害化処理装置では、上記地下水や浸出水や洗浄水が被処理液導入管から導入されて無害化処理される。図4の無害化処理装置では、上記地下水や浸出水や洗浄水が原水として原水注入管6から導入されて無害化処理される。
ここで、超音波によるキャビテーションは、核形成、気泡の拡大、気泡の圧壊の3段階からなり、先ず水溶液中に無数のキャビティ核が形成され、この核が成長しながら気体を取り込んで気泡となり、この気泡が超音波からのエネルギーを吸収して急速に成長する。そして、成長した気泡が圧縮力によって圧壊する瞬間に気泡が断熱圧縮状態となって気泡内が高温高圧となって消滅するが、この時に大きな破壊力のある衝撃波を発生する。この衝撃波による環境汚染有機化合物の無害化、除去作用により環境汚染有機化合物が除去される。そして、この無害化、除去作用はゼオライト等の触媒物質による触媒効果によりさらに促進される。
前述のとおり、超音波照射のみで環境汚染有機化合物を除去するには200kHz程度の高周波数を必要とする。これに対して、本発明の無害化処理装置においては、被処理液に対する超音波照射と併せて、バッチ式では被処理液中にゼオライト等の触媒物質を添加し、連続式ではゼオライト等の触媒物質に被処理液を通すことにより、キャビテーション効果とゼオライト等の触媒物質による触媒効果によって、例えば超音波洗浄機などで通常使用されている40kHz程度の低周波超音波でも環境汚染有機化合物を有効に除去することができる。このため、本発明においては、前記反応槽1のような無害化処理装置で市販の超音波洗浄機を用いても環境汚染有機化合物の無害化処理を行うことができる。
本発明で用いる触媒物質のうち、例えばヒドロキシアパタイトは、その一般的な応用例としては、その生体適合性の面から人工歯根、人工骨など医療材料としての採用が試みられているが、いずれも開発途上にある。特に、工業材料としては、その応用面の確立が不十分であり、一部で歯磨剤(アパガード等)として実用化されて話題を提供している程度である。本発明によれば、ヒドロキシアパタイトの効果的な使用方法を確立することにより、その用途の拡大を図ることができる。ヒドロキシアパタイトには結晶性のものと低結晶性のものとがあるが、非晶質のヒドロキシアパタイトを徐々に昇温して適正な温度で焼成することによって低結晶性のヒドロキシアパタイトが得られる。本発明においては、特に低結晶性のヒドロキシアパタイトと超音波発振器との組み合わせにより良好な除去効果が得られる。
〈本発明(C)〜(D)の態様〉
本発明(C)は、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物を原料とするゼオライトの水熱合成用水性スラリーに超音波を照射することにより、ゼオライトを合成しながら、それら無機系廃棄物中の環境汚染有機化合物を無害化することを特徴とする。また、本発明(D)は、それらの無機系廃棄物を原料とするゼオライト合成用水性スラリーから水熱合成によりゼオライトを合成するに際して、生成途中のゼオライトを含む該スラリーに超音波を照射しながら環境汚染有機化合物を含む排ガスを吹き込むことで環境汚染有機化合物を無害化除去することを特徴とする。
合成途中のゼオライトは、合成過程の途中のゼオライトであり、未だ非晶質あるいは結晶性は低いが、本発明においては、その非晶質ないし低結晶性のゼオライトにより触媒作用を十分発揮させることができる。合成途中のゼオライトは、それ自体は変化せずに、環境汚染有機化合物、すなわち揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物を分解、除去する作用をすることから一種の触媒と言える。この触媒物質は、合成が進んだ結晶性でもよいが、合成の途中の低結晶性でも、合成開始初期の非晶質でもよい。このうち特に合成途中の非晶質ないし低結晶性のゼオライトであるのが好ましい。
ゼオライトは、いわゆる水熱合成により合成される。ゼオライトの合成には、シリカ、アルミナのほか、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどの成分が必要であるが、ゴミ焼却灰、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰、石炭フライアッシュ、石炭クリンカーアッシュなどには既にそれらの成分が含まれているので、ゼオライトの合成に際してそれら無機系廃棄物をそのまま利用することができる。表1に幾つかの清掃工場でのゴミ焼却炉で生成したゴミ焼却灰の分析結果例を示している。
表1のとおり、ゴミ焼却灰には、ゼオライトの合成に必要なシリカ、アルミナのほか、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどの成分が含まれているので、これを原料として水熱合成によりゼオライトを合成することができる。なお、ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物だけでは、ゼオライトの合成に必要な成分のうちの一部が不足する場合があるが、この場合にはその不足分を補うことで合成用原料とする。
Figure 2005169389
ゼオライトは、水熱合成に際し90〜100℃というような温度でも生成するが、温度を上げることで生成速度を速めることができる。この水熱合成に必要な熱は、ゴミ焼却炉、製紙スラッジ焼却炉、活性汚泥焼却炉などで発生する廃熱が利用できるので、別途熱源を必要とせずにゼオライトを合成することができる。これにより、(1)例えば、ゴミ焼却炉でのゴミの燃焼、(2)その廃熱のゼオライト合成への利用、(3)合成ゼオライトないし合成途中のゼオライトによるゴミ焼却炉からの排ガス中の環境汚染有機化合物の無害化処理というように、総合的なシステム化を図ることができる。
本発明(C)〜(D)で用いる超音波についても、その周波数が低周波数領域の超音波でよく、超音波洗浄機等で一般的に利用されている20〜100kHzという低周波領域でよい。前述のとおり、従来、環境汚染有機化合物の除去に超音波を利用することが試みられいているが、その除去を有効に行うには周波数200kHz程度以上の超音波が必要である。これに対して、本発明においては、合成途中のゼオライトの触媒作用により20〜100kHzという低周波の超音波で環境汚染有機化合物をきわめて有効に除去することができる。本発明(C)〜(D)においても、20〜100kHzの範囲とは限らず、100kHzを超え400kHz程度までの範囲の超音波を使用してもよく、この場合にも、触媒物質として合成途中のゼオライトを併用することが必須である。
本発明(C)を実施する装置は、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物を原料とするゼオライトの水熱合成用水性スラリーに超音波を照射することにより、ゼオライトを合成しながら、それら無機系廃棄物中の環境汚染有機化合物を無害化する装置である。具体的には、環境汚染有機化合物を含む無機系廃棄物を原料とするゼオライトの水熱合成用水性スラリーを収容する反応槽と、該反応槽に超音波発振器を付設することで構成される。
その操作は、反応槽にゼオライト合成用水性スラリーを収容し、超音波発振器を作動させることにより、ゼオライトを合成しながら、それら無機系廃棄物中の環境汚染有機化合物を無害化することで行われる。このように、本無害化処理装置は、基本的に、反応槽に超音波発振器を付設するだけで足りるので、その装置の構成自体簡単であり、廉価で且つメンテナンスも容易である。また、その操作についても複雑な操作は不要である。
本発明(D)を実施する装置は、ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物からのゼオライト合成用の反応槽と、反応槽に付設した超音波発振器と、反応槽に環境汚染有機化合物を含む排煙等の排ガスを供給する手段とで構成される。より詳しくは、(1)反応槽に超音波発振器を付設し、(2)反応槽に反応途中のゼオライトを含む水性スラリーを収容し、(3)この反応槽内に環境汚染有機化合物を含む排煙等の排ガスを導入する手段を配置することで構成される。このように、本無害化処理装置は基本的にそれら(1)〜(3)の構成を備えていれば足りるので、その装置の構成自体簡単であり、廉価で且つメンテナンスも容易である。また、その操作についても複雑な操作は不要である。図5〜6はその態様例を説明する図である。
図5のとおり、反応槽に超音波発振器が付設される。反応槽は、環境汚染有機化合物を含む排煙等の排ガスを分散状態で導入するディストリビュータと攪拌機と無機系廃棄物を原料とするゼオライト合成用スラリーあるいは合成途中のゼオライト含有スラリーの導入管と導出管を備えている。操作に際しては、反応槽に無機系廃棄物を原料とするゼオライト合成用スラリーあるいは合成途中の低結晶性のゼオライトを含むスラリーを合成途中の非晶質ないし低結晶性のゼオライトを含むスラリーを導入し、収容する。
次いで、超音波発振器と攪拌機を起動し運転しながら、ディストリビュータによりゴミ焼却炉等からの排煙等の排ガスをスラリーに分散状態で導入する。すると、排煙等の排ガス中の環境汚染有機化合物は合成途中の非晶質ないし低結晶性のゼオライトの触媒作用と超音波の作用により無害化され除去される。ここで、ゼオライトの水熱合成には排煙等の排ガスの熱を利用するが、その熱では不足する場合には、補足的に他の熱源で加熱するようにしてもよい。その熱源としてゴミ焼却炉等で発生する廃熱が利用できるので、別途熱源を必要とせずにゼオライトを合成することができる。
ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物は各種処理を施して有効利用することができる。図6はその例を示す図で、本発明(D)のようにゴミ焼却灰等の無機系廃棄物からの合成途中のゼオライトを排煙等の排ガス中の環境汚染有機化合物の無害化除去に利用することをメインとする場合を示している。図6のとおり、ゴミ焼却炉等からのゴミ焼却灰等の無機系廃棄物を水濁してスラリーとする。ここで、無機系廃棄物が塊状等になっている場合には、撹拌機等により適宜粉砕しながらスラリー化し、またゼオライトの合成に必要な成分のうちの一部(例えばNa成分)が不足する場合には、その不足分を補う。こうして得られたスラリーを加熱して水熱合成により非晶質ないし低結晶性のゼオライトを生成する。
そのスラリー加熱用の熱源として、ゴミ焼却炉等で発生する廃熱を利用する。図5のような装置の場合には、スラリー中にゴミ焼却炉等からの排煙を吹き込めばよく、ゴミ焼却炉等に付設した熱回収用熱交換器からの熱媒体(高温水等)により間接的に加熱してもよい。本発明においては、こうして得られた非晶質ないし低結晶性のゼオライトを含むスラリーを用い、その非晶質ないし低結晶性のゼオライトの触媒作用と超音波の作用により排煙中の環境汚染有機化合物を無害化して除去するものである。この場合、合成途中の非晶質ないし低結晶性のゼオライトには多量のOH基が含まれ、これが超音波照射によりラジカル化し、環境汚染有機化合物の無害化に寄与するものと推認される。
環境汚染有機化合物の無害化除去に使用した後のスラリーは、図6中、反応槽の導出管から導出され、水洗、分級される。粗粒は埋立地に蓄積され、埋立地は埋立終了後閉鎖される。分級された微粉分はさらに水熱合成にかけられる。ここで、さらに合成反応が進み、結晶性ゼオライトが合成される。その際、反応促進のために必要に応じて超音波を照射してもよい。こうして得られた結晶性ゼオライトは、肥料、土壌改良剤、脱臭剤等として利用される。分級により分離された水には、前記環境汚染有機化合物の無害化除去時に生成した塩素イオン等のハロゲンイオンが含まれているので、例えばNaOHにより処理した後、施設内の冷却水等として利用される。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。本実施例では触媒物質としてヒドロキシアパタイト(HAP)の粉末を使用して、各種揮発性有機化合物(以下、適宜“VOC”と略称する)の無害化除去処理実験を実施した。
本実施例では所定量のVOCを含む標準液と実試料(下水道排水、製紙工場排水等)について、HAP添加処理、超音波単独処理、超音波とHAPの組み合わせ、超音波とHAP以外の物質の組み合わせによってVOCの無害化処理実験を行い、処理済液中のVOC残存量をJIS K0125に準じて測定した。処理済液中のVOC残存量をガスクロマトグラフ/質量分析計(以下“GC/MS”と略称する)で分析し、無害化処理効果を確認した。一例として、詳細は後述する製紙工場排水中の高濃度VOC(ジクロロメタン:約1.4wt%)の場合では、超音波単独及びHAP以外の物質との組み合わせで殆ど不可能であったVOCの除去が、微量のHAP添加と超音波照射の併用によって排水基準を十分にクリヤする良好な結果を示した。以下において、除去率(%)とは、下記式(1)により算出したものである。
Figure 2005169389
〈実施例1〉
表2に示す全22種の各種VOCを混合して水に添加し、それら各標準物質(=各VOCすなわち各揮発性有機化合物)の濃度を7ng/mLとした水溶液(=標準液)を得た。得られた水溶液の10mLを気密性を有するバイアル瓶(ガラス製)に採り、その中にHAPを0.05g/10mL(約0.5wt%)を加えてキャップをした。次いで、卓上型超音波洗浄器内に水を充填し、その中にバイアル瓶を浸して45分間だけ超音波(周波数40kHz)を照射した。その後、超音波洗浄器を開封してバイアル瓶に内部標準物質(1−フロロ−4−ブロモベンゼン)の1(μ1)を加えて密栓し、GC/MSにより残存VOC濃度を分析した。なお、内部標準物質は、JIS K0125で規定された、VOCの定量分析で検量線作成のために加えられる物質であり、それ自体は変化しない。
本実験の効果を確認するため、(1)HAP添加のみ(超音波処理なし)、(2)超音波による単独処理、(3)超音波処理+HAP添加処理(=上記実験、本発明の実施例)、(4)超音波処理+消石灰添加処理について同様の実験を実施した。このうち(1)、(2)、(4)が比較例に相当している。表2中には、(2)超音波による単独処理と(3)超音波処理+HAP添加処理による除去率を示している。図7は、表2に示す全物質22種の夫々について上記(1)〜(4)の試験によりVOC濃度(ng/mL)を測定した値をプロットしたグラフである。なお、図7の横軸には表2に示すVOC名に対応する数を物質名に代えて示し、その数は一つ置きに記載しているが、表1における1〜22の順と同じ並びである。この点、後述図8〜9についても同様である。また、表2、図7中、「超:無」はHAPの添加のみで、超音波照射なしの処理を示し、「超:有」は超音波照射のみの処理を示し、「超:消」は、消石灰:Ca(OH)2を添加し、超音波照射ありの処理を示している。
Figure 2005169389
表2、図7のとおり、(4)超音波処理+消石灰添加処理の処理ではVOC除去効果は殆ど見られない。また、(2)の超音波による単独処理によれば、(1)のHAP処理のみに比べて、僅かにVOC除去効果が高くなっている。これに対して、(3)の超音波処理+HAP添加処理の処理によれば、全標準物質の平均として、除去率が97.9%という良好な結果が得られた。これは(2)の超音波による単独処理の除去率平均が14.0%であったのに比べて約7倍という大きな除去効果が得られたことを示している。これらの事実から、超音波照射の条件下で、HAPが著しい触媒効果、すなわち揮発性有機化合物の酸化・還元効果を発揮しているものと考えられる。
〈実施例2〉
表3に示す全22種の各種VOCを水に混合して添加し、それら各標準物質(=各VOCすなわち各揮発性有機化合物)の濃度を7ng/mLから100ng/mLに変えて、各標準液の10mLを気密性を有するバイアル瓶に採り、以下実施例1と同一の操作により各標準液中の残存VOC濃度をGC/MSにより分析した。こうして、本発明の効果を確認するため、(1)HAP添加のみ(超音波処理なし)、(2)超音波による単独処理、(3)超音波処理+HAP添加処理(=本発明の実施例)、(4)超音波処理+消石灰添加処理について同様の実験を実施した。このうち(1)、(2)、(4)が比較例に相当している。
表3、図8はその結果である。表3中、除去率については、(2)超音波による単独処理と(3)超音波処理+HAP添加処理による除去率を示している。図8は、表3の全標準物質22種のそれぞれについて、前記(1)〜(4)の試験によりVOC濃度(ng/mL)の測定値をプロットしたグラフである。
Figure 2005169389
表3、図8のとおり、各標準物質の濃度を、実施例1の7ng/mLから、本実施例2のように100ng/mLと約14倍にした場合でも、(4)の超音波処理+消石灰添加処理の処理ではVOC除去効果が殆ど見られず、また(1)のHAP添加のみに比べて、(2)の超音波による単独処理の方が僅かにVOC除去効果が高くなっている。これに対して、(3)の超音波処理+HAP添加処理の処理によれば、全標準物質の平均として、除去率が77.2%という結果が得られた。これは(2)の超音波による単独処理の除去率平均が11.1%であったのに較べて約7倍という大きな除去効果が得られている。このように本実施例2でも実施例1と同様な結果が得られた。
〈実施例3〉
超音波処理の照射時間の影響をみるために、実施例1と同様、表4に示す全22種の各種VOCを混合して水に添加し、それら各標準物質(=各VOCすなわち各揮発性有機化合物)の濃度を100ng/mLとし、各標準液の10mLを気密性を有するバイアル瓶に採り、その中にHAPの0.05g/10mL(約0.5wt%)を加えてキャップをし、卓上型超音波洗浄器内に水を充填してバイアル瓶を浸してから、照射時間を実施例2での45分から60分に延長して、超音波(40kHz)を照射した。その後は、実施例1と同一の操作により、各標準液中の残存VOC濃度をGC/MSにより分析した。本実験の効果を確認するためと、他の酸化・還元剤の効果をみるために、過酸化水素(H22、含有量30wt%、1mL/10mL)を用いた実験も実施した。こうして、(1)HAP添加のみ(超音波処理なし)、(2)過酸化水素による単独処理、(3)超音波処理+過酸化水素処理、(4)超音波処理+HAP添加処理(=上記実験、本発明の実施例)について同様の実験を実施した。このうち(1)〜(3)が比較例に相当している。
表4、図9はその結果である。表4中、除去率については、(2)過酸化水素による単独処理と、(3)超音波処理+過酸化水素処理と、(4)超音波処理+HAP添加処理による除去率を示している。表4中の「過」は過酸化水素単独による処理である。図9は、表4の全標準物質22種のそれぞれについてVOC濃度(ng/mL)の測定値をプロットしたグラフである。
Figure 2005169389
表4、図9のとおり、超音波の照射時間を45分から60分にすることによって、(4)超音波処理+HAP添加処理によるVOC除去率は、全標準物質の平均として実施例2の77.2%から96.6%に向上した。一方、過酸化水素の添加単独によるVOC除去率は、全標準物質の平均で5.1%であり、また過酸化水素添加に加え、超音波を60分照射しても、VOC除去率は全標準物質の平均で24.8%にしかならなかった。この値(差)は超音波単独による照射効果と考えられる。
〈実施例4〉
実試料として3次処理後の下水道排水中に残存するVOCについて同様の除去処理実験を行った。下水道排水中に含まれるVOCはクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、ブロモホルムである。この実試料の10mLを気密性を有するバイアル瓶に採り、これにHAPの0.05g/10mL(約0.5wt%)を加えてキャップをし、卓上型超音波洗浄器内に水を充填して、これにバイアル瓶を浸し、45分間、超音波(40kHz)を照射した。その後、超音波洗浄器を開封して内部標準物質(1−フロロ−4−ブロモベンゼン)の1(μ1)を加えて密栓し、GC/MSにより残存VOC濃度を分析した。また、比較例として、この実試料にHAPを加えず超音波照射のみによる処理実験を同様にして行った。
表5はその結果である。表5中の「下水」、「下」は下水道放流水(下水道排水)を示している。本実験の結果、3次処理後の下水道放流水に存在するVOC(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、ブロモホルム)について、超音波処理のみでは除去するのが難しいが、超音波照射とHAPの添加により有効なVOCの除去効果を発揮することがわかった。
Figure 2005169389
〈実施例5〉
実試料として製紙工場排水中に残存する高濃度VOCについて実施例1と同様の除去処理実験を実施した。製紙工場排水中に含まれるVOCはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、1,1,2−トリクロロエチレンの4種である。この実試料の原液10mLを気密性を有するバイアル瓶に採り、以下、実施例1と同一の操作により製紙工場排水中の各物質の残存VOC濃度をGC/MSで分析した。表6はその結果である。実試料すなわち原液中には上記4種以外は含まれず、表6中3〜6として例示すように濃度0.0mg/Lであるので、全標準物質22種のうち14種のVOCの記載は省略している。また、表6中の排水基準値は環境庁告示第64号に準じている。
表6のとおり、本実験の結果、製紙工場排水の原液中のVOC濃度が、例えばジクロロメタン=1379.9mg/L、クロロホルム=228.6mg/L、トルエン=295.2mg/Lときわめて高いにもかかわらず、除去処理後にそれらのVOC量が排水基準値をクリヤしていることが判明した。全VOCの除去率は99.9%であった。また、その原液中の1,1,2−トリクロロエチレン濃度は408.2mg/Lときわめて高いが、1.185mg/Lにまで除去されおり(除去率=99.7%)、例えば超音波の照射時間を本実施例5での45分より長くすることにより排水基準値をクリヤすることができる。
Figure 2005169389
〈実施例6〉
低結晶性のHAPは、カルシウム塩とリン酸塩の水溶液、あるいは骨灰の塩酸溶液などの原料を用いて、pH調整などによる生成条件を制御することにより、アモルファス状のHAPを析出させ、それら析出物の洗浄、熟成を行い、乾燥、焼成する方法や凍結、乾燥を行う方法などの種々の方法で合成することができる。
本実施例では、触媒物質として以下のようにして得た低結晶性のHAPを用いた。塩化カルシウムとリン酸二ナトリウムの水溶液を撹拌しながら、アルカリ(KOH)水を徐々に加えて、pH制御を行い、熟成することで、アモルファス状のHAPを析出させた。その後、析出物の洗浄と凍結、乾燥することにより低結晶性のHAPを得た。
図10中の下部に示す全22種の各種物質(VOC)を混合して水に添加し、各VOCの濃度を5ng/mLとした水溶液を得た。得られた水溶液の10mLを気密性を有するバイアル瓶(ガラス製)に採り、その中に上記低結晶性のHAPを0.05g/10mL(約0.5wt%)を加えてキャップをした。次いで、卓上型超音波洗浄器内に水を充填し、その中にバイアル瓶を浸して60分間、超音波(周波数45kHz)を照射した。その後、超音波洗浄器を開封してバイアル瓶に内部標準物質(1−フロロ−4−ブロモベンゼン)の1(μ1)を加えて密栓し、GC/MSにより残存VOC濃度を分析した。また、低結晶性のHAPを0.10g/10mL(約1.0wt%)を加えて、同様にして実施した。
図10はその結果である。図10のとおり、触媒物質として低結晶性のHAPを用いることにより、各物質(VOC)がきわめて有効に分解、除去されていることが分かる。約0.5wt%の低結晶性のHAPでは、それらVOCの殆どが0.5ng/mL以下となり、約1.0wt%の低結晶性のHAPでは、さらに有効に分解、除去されている。
前記のようにして得た低結晶性のHAP(すなわち、実施例6で用いたものと同じ低結晶性のHAP)を段階的に焼成することで結晶化を進め、X線回折図により結晶性を調べたところ、結晶性のHAPになっていることを確認した。
〈実施例7〉
本実施例では、触媒物質として以下のようにして得たアモルファス状の牛骨HAPを用いた。牛骨を焼成し、その焼成牛骨を塩酸に溶解し、その後メンブランフィルターで精密ろ過を行い、ろ液を徐々にアンモニア水に滴下することでアルカリ性を維持したHAPの前駆体を析出させた。次に、この前駆体について水洗、熟成を繰り返した後、さらに乾燥してアモルファス状の牛骨HAPを得た。
図11中の下部に示す全22種の各種物質(VOC)を混合して水に添加し、各VOCの濃度を5ng/mLとした水溶液を得た。得られた水溶液の10mLを気密性を有するバイアル瓶(ガラス製)に採り、その中に上記アモルファス状の牛骨HAPを0.05g/10mL(約0.5wt%)を加えてキャップをした。次いで、卓上型超音波洗浄器内に水を充填し、その中にバイアル瓶を浸して60分間、超音波(周波数45kHz)を照射した。その後、超音波洗浄器を開封してバイアル瓶に内部標準物質(1−フロロ−4−ブロモベンゼン)の1(μ1)を加えて密栓し、GC/MSにより残存VOC濃度を分析した。
図11はその結果である。図11のとおり、触媒物質としてアモルファス状の牛骨HAPを用いることにより、各物質(VOC)がきわめて有効に分解、除去されていることが分かる。約0.5wt%のアモルファス状の牛骨HAPにより、それらVOCの殆どが2ng/mL前後となり、有効に分解、除去されている。
前記のようにして得たアモルファス状の牛骨HAP(すなわち、実施例7で用いたものと同じアモルファス状の牛骨HAP)を段階的に焼成することで結晶化を進め、X線回折図により結晶性を調べたところ、結晶性のHAPになっていることを確認した。
本発明のバッチ式無害化処理装置の態様例を模式的に示す図 本発明の連続式無害化処理装置の態様例を模式的に示す図 本発明の連続式無害化処理装置の他の態様例を模式的に示す図 図3に示す無害化処理装置を組み込んでシステム化した態様例を示す図 ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物からの合成途中のゼオライトと超音波とにより環境汚染有機化合物を無害化除去する装置の態様例を模式的に示す図 ゴミ焼却灰等の無機系廃棄物からの合成途中のゼオライトと超音波とにより環境汚染有機化合物を無害化除去する装置の態様例を模式的に示す図 実施例1の結果を示す図 実施例2の結果を示す図 実施例3の結果を示す図 実施例6の結果を示す図 実施例7の結果を示す図
符号の説明
1 反応槽
2 超音波発振器
3 水
4 ゼオライト等の触媒物質容器
5 循環槽
6 原水注入管
7 空気抜き弁
8、9、11、13 配管
10 コントローラシリンジポンプ
12 浄水槽
14 架台
15 操作盤

Claims (22)

  1. 環境汚染有機化合物の無害化処理法であって、環境汚染有機化合物を含む水溶液に、塩基性金属塩からなる触媒物質を添加して、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  2. 環境汚染有機化合物の無害化処理法であって、環境汚染有機化合物を含む水溶液を、塩基性金属塩からなる触媒物質に通しながら、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  3. 請求項1または2に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記塩基性金属塩からなる触媒物質が、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト及びカオリナイトのうちの少なくとも一種の触媒物質であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記塩基性金属塩からなる触媒物質が、非晶質ないし低結晶性の塩基性金属塩からなる触媒物質あることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記水溶液に含まれる環境汚染有機化合物が、揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物のうちの少なくとも一種の環境汚染有機化合物であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  6. 請求項5に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記低揮発性有機塩素化合物が、DDT、PCB、ダイオキシン類等の低揮発性有機塩素化合物であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記環境汚染有機化合物を含む水溶液が、環境汚染有機化合物を含む地下水、環境汚染有機化合物を含む土壌や焼却によるゴミの最終処分施設や産業廃棄物埋立地からの浸出水、または、環境汚染有機化合物を含む土壌やフライアッシュ等の洗浄水であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記超音波が20〜100kHzの範囲の低周波数領域の超音波であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  9. 環境汚染有機化合物の無害化処理装置であって、反応槽と、該反応槽に超音波発振器を配置してなり、該反応槽内に導入した環境汚染有機化合物を含む水溶液に、塩基性金属塩からなる触媒物質を添加してから超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去するようにしてなることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  10. 環境汚染有機化合物の無害化処理装置であって、反応槽と、該反応槽に超音波発振器を配置するとともに、塩基性金属塩からなる触媒物質を充填してなり、該反応槽内に環境汚染有機化合物を含む水溶液を流通させながら、超音波を照射することにより、環境汚染有機化合物を高効率で除去するようにしてなることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  11. 請求項9または10に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記塩基性金属塩からなる触媒物質が、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト及びカオリナイトのうちの少なくとも一種の触媒物質であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記塩基性金属塩からなる触媒物質が、非晶質ないしい低結晶性の塩基性金属塩からなる触媒物質であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記水溶液に含まれる環境汚染有機化合物が、揮発性有機化合物及び低揮発性有機塩素化合物のうちの少なくとも一種の環境汚染有機化合物であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  14. 請求項13に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記低揮発性有機塩素化合物が、DDT、PCB、ダイオキシン類等の低揮発性有機塩素化合物であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  15. 請求項9〜14のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記環境汚染有機化合物を含む水溶液が、環境汚染有機化合物を含む地下水、環境汚染有機化合物を含む土壌や焼却によるゴミの最終処分施設や産業廃棄物埋立地からの浸出水、または、環境汚染有機化合物を含む土壌やフライアッシュ等の洗浄水であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  16. 請求項9〜15のいずれか1項に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記超音波が20〜100kHzの範囲の低周波数領域の超音波であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  17. 環境汚染有機化合物を含む無機系廃棄物の無害化処理法であって、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物を原料とするゼオライトの水熱合成用水性スラリーに超音波を照射することにより、ゼオライトを合成しながら、それら無機系廃棄物中の環境汚染有機化合物を無害化することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  18. 環境汚染有機化合物を含む排ガスの無害化処理法であって、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物の水性スラリーから水熱合成によりゼオライトを合成するに際して、生成途中のゼオライトを含む水性スラリーに超音波を照射しながら環境汚染有機化合物を含有する排ガスを吹き込むことにより環境汚染有機化合物を除去することを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  19. 請求項17または18に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理法において、前記超音波が20〜100kHzの範囲の低周波数領域の超音波であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理法。
  20. 環境汚染有機化合物を含む無機系廃棄物の無害化処理装置であって、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物を原料とするゼオライトの水熱合成用水性スラリーに超音波を照射することにより、ゼオライトを合成しながら、それら無機系廃棄物中の環境汚染有機化合物を無害化するようにしてなることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  21. 環境汚染有機化合物を含む排ガスの無害化処理装置であって、ゴミ焼却灰、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、活性汚泥焼却灰等の無機系廃棄物の水性スラリーから水熱合成によりゼオライトを合成するに際して、生成途中のゼオライトを含む水性スラリーに超音波を照射しながら環境汚染有機化合物を含有する排ガスを吹き込むことにより環境汚染有機化合物を除去するようにしてなることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
  22. 請求項20または21に記載の環境汚染有機化合物の無害化処理装置において、前記超音波が20〜100kHzの範囲の低周波数領域の超音波であることを特徴とする環境汚染有機化合物の無害化処理装置。
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