JP2005169186A - エマルジョン消去方法、測定方法及び土壌試料浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 外周膜が土壌成分及び/又は有機成分で形成された粒子を有するエマルジョンを速やかに消去する。
【解決手段】 土壌成分及び/又は有機成分を含む汚水のような試料にフロンのような溶媒(液体)を混合して攪拌することにより生成されたエマルジョンに超音波を投射する。エマルジョンは、土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜Taの内部に溶媒をベースとした液体Tbを含む粒子Tを多数有し、超音波の投射により各粒子Tが衝突して外周膜Taが破壊され、内部の液体Tbが流出することで各粒子Tが消滅し、それに伴いエマルジョンも消去される。
【選択図】 図3
【解決手段】 土壌成分及び/又は有機成分を含む汚水のような試料にフロンのような溶媒(液体)を混合して攪拌することにより生成されたエマルジョンに超音波を投射する。エマルジョンは、土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜Taの内部に溶媒をベースとした液体Tbを含む粒子Tを多数有し、超音波の投射により各粒子Tが衝突して外周膜Taが破壊され、内部の液体Tbが流出することで各粒子Tが消滅し、それに伴いエマルジョンも消去される。
【選択図】 図3
Description
本発明は、汚水、土壌試料等の測定又は土壌の浄化に係る処理中に生成されるエマルジョンを迅速に消去するエマルジョン消去方法、測定方法及び土壌試料浄化方法に関する。
従来、汚水、土壌試料等の試料に含まれる油分のような被測定物を測定する場合、試料が液体のときは、試料にn−ヘキサン、フロン等の疎水性の溶媒を攪拌混合することで測定対象の成分を溶媒へ抽出し、測定成分を含むようになった溶媒を回収して測定していた。また、試料が気体のときは液体と同等な手順が採られており、さらに、試料が固体のときは予め試料に水等の液体を混合攪拌してから、前記溶媒と混合攪拌していた。
図6(a)は、汚水に含まれる油分測定時の処理手順の一部を図示したものである。測定においては、先ず汚水と溶媒を混合する。その結果、溶媒の方が汚水に比べ比重が大きいため、下方に溶媒の層、上方に汚水の層が夫々生成される。この状態で攪拌すると汚水に含まれる油分が溶媒へ抽出され、油分を含むようになった溶媒をベースとするA層と、油分が取り出された汚水をベースとするB層が生成されると共に、A層の上方には攪拌によりA層の液体が粒子となった乳濁状のエマルジョン層が生成される。
図6(b)は、エマルジョン層の拡大図であり、多数の粒子TがB層を形成する液体中に分散した状態になっている。粒子Tは、汚水に含まれるアルミナ及び酸化珪素等の土壌微粒子と、蛋白質及びセルロース等の有機物とのいずれか又は両方で形成された外周膜Taの内部にA層を形成する液体を含んでいる。エマルジョン層が生成されると測定対象のA層の容量が減少し、A層のみを分離させて回収することが困難になると共に土壌成分等が混入しやすくなり測定精度が大幅に低下する。このような事態を回避するため、生成されたエマルジョン層を消去する処理が必要となる。
従来のエマルジョン層の消去には主に3種類の方法があった。1番目の方法は、エマルジョン層を長時間放置して粒子Tの自然消滅を待つ方法である。2番目の方法は、図6(a)のB層に水を加えてエマルジョン層を洗浄する処理を繰り返す方法である。3番目の方法は、エマルジョン層に少量の希塩酸等を加えることでpHを低くする方法である。また、エマルジョン層の消去ではなくエマルジョン層の影響を低減する方法として、測定対象に混合する溶媒の量を増加させて、図6(a)に示すA層の量を大きくする処理が行われることもある。
なお、エマルジョン層は、汚水、土壌試料等と溶媒とを攪拌混合する場合以外にも、アルミナ及び酸化珪素等の土壌微粒子、蛋白質及びセルロース等の有機物等の物質が含まれない比重の異なる2種類の液体を混ぜ合わせることでも生成される。例えば、図7に示すようにY液、及びY液に比べて比重が大きいX液を混ぜ合わせてもエマルジョン層が生成され、また、混ぜ合わせる際に超音波を投射すれば、エマルジョン層の生成が促進されることが知られている(特許文献1参照)。
これは、X液の液面Kが超音波の投射により振動して泡立つ状態になり、多数の粒子tが形成されるためと考えられる。なお、X液及びY液には土壌微粒子、有機物等が含まれていないのでエマルジョン層の粒子tには、図6(b)に示すような外周膜Taが形成されない。そのため、図6(a)(b)に示すエマルジョン層と図7に示すエマルジョン層との物性は相異したものになる。
特開昭63−70163号公報
上述した従来の1番目の方法は、一昼夜以上の長時間を要する場合が多く迅速な測定を行えないと云う問題がある。また、従来の2番目の方法は、A層に抽出した油分がA層から離脱する量が多くなり、測定精度が低下すると云う問題がある。さらに、従来の3番目の方法は、エマルジョン層の生成に界面活性剤が影響している場合は有効であるが、界面活性剤が影響していない場合はエマルジョン層を消去できない場合が多いと云う問題がある。さらに、また、エマルジョン層の影響を低減する方法は、溶媒の量の増加のため油分濃度が薄くなり、測定を困難にさせると云う問題がある。
また、上述した汚水、土壌等の測定以外に、油分を含んだ土壌を浄化すると云う処理においてもエマルジョンは発生し、このように発生したエマルジョンは上記測定の場合と同様に、土壌の浄化処理を妨げると云う問題がある。
本発明は、斯かる問題に鑑みて鋭意研究を経て行われたものであり、従来、エマルジョンの生成促進にのみ利用できると考えられていた超音波処理を、外周膜が土壌成分及び/又は有機成分で形成された粒子を有するエマルジョンに行うことで、迅速にエマルジョンを消去可能にしたエマルジョン消去方法、測定方法及び土壌試料浄化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1発明に係るエマルジョン消去方法は、土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜の内部に水と比べて比重が大きい疎水性の液体を含む粒子を有するエマルジョンを消去するエマルジョン消去方法において、エマルジョンに超音波を投射することで外周膜を破壊し粒子を消滅させてエマルジョンを消去することを特徴とする。
第2発明に係るエマルジョン消去方法は、超音波は、断続的に複数回投射することを特徴とする。
第3発明に係るエマルジョン消去方法は、エマルジョンを加熱することを特徴とする。
第2発明に係るエマルジョン消去方法は、超音波は、断続的に複数回投射することを特徴とする。
第3発明に係るエマルジョン消去方法は、エマルジョンを加熱することを特徴とする。
第4発明に係る測定方法は、被測定物並びに土壌成分及び/又は有機成分を有する試料と、水に比べて比重が大きい疎水性の液体とを攪拌することで、試料から抽出された被測定物を有する液体層並びに土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜の内部に液体を含む粒子を有するエマルジョンの層を生成し、エマルジョンを前記エマルジョン消去方法により消去して、外周膜の内部の液体を液体層へ流出させ、液体層から被測定物を測定することを特徴とする。
第5発明に係る測定方法は、被測定物並びに土壌成分及び/又は有機成分を有する試料と、水に比べて比重が大きい疎水性の液体と、食塩又は飽和食塩水とを攪拌することで、試料から抽出された被測定物を有する液体層並びに土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜の内部に液体を含む粒子を有するエマルジョンの層を生成し、エマルジョンを前記エマルジョン消去方法により消去して、外周膜の内部の液体を液体層へ流出させ、液体層から被測定物を測定することを特徴とする。
第6発明に係る土壌試料浄化方法は、油分を有する土壌試料と、水と、水に比べて比重が大きい疎水性の液体とを攪拌することで、土壌試料成分で形成された外周膜の内部に液体を含む粒子を有するエマルジョンの層と、土壌試料から抽出された油分を有する液体層と、油分を取り出した土壌試料の層とを形成し、エマルジョンを前記エマルジョン消去方法で消去して、外周膜の内部の液体を液体層へ流出させ、液体層を除去することで、土壌試料を浄化することを特徴とする。
第1発明、第4発明及び第6発明にあっては、土壌成分等で外周膜が形成された粒子を有するエマルジョンに超音波を投射することで、エマルジョンの各粒子が振動する。このように振動すると、隣接する粒子同士が相互に衝突して外周膜が破壊されて外周膜の内部の液体が外部へ流出する。その結果、多数の粒子が消滅しエマルジョンも迅速に消去される。
このようなエマルジョンの消去方法を汚水、土壌試料等の測定方法に用いると、外周膜の内部の液体が比重の関係から測定対象となる液体層へ流出するため、測定対象となる液体容量を多く確保でき測定が容易化されると共に、疎水性の液体の総量及び混合比等も変化しないので測定精度も維持できる。また、エマルジョンの消去にかかる時間は、従来のいずれの方法に比べて迅速である。さらに、上述したエマルジョンの消去方法を土壌の浄化処理に用いた場合も、エマルジョンを迅速に消去して粒子の液体が油分を含む液体層へ流出するため、この液体層を除去すれば油分が取り除かれた土壌を得ることができ、エマルジョンの影響による浄化処理の妨げを防止できる。なお、土壌試料浄化方法では、土壌試料に液体を加えて土壌試料を懸濁液の状態にする方が処理を行いやすく、該液体には飽和食塩水が好適であるが、水のみ又は水と食塩とを別々に加えるようにしてもよい。
なお、投射する超音波の方向を制御できる場合は、超音波を垂直方向から投射するのではなく、水平方向から超音波を投射した方が好ましい。その理由は、水平方向から超音波を投射した場合、垂直方向の振動成分が垂直方向から投射した場合に比べて小さくなり、垂直方向の振動により液体層と混じり合って新たな粒子が生成されるのを確実に防止できるためである。
第2発明にあっては、超音波を時間を隔てて複数回投射するので、超音波を投射していない間は振動がなくなり落ち着いた状態になり、外周膜の破壊により内部の液体が比重差により外部へスムーズに流れやすくなって粒子が効率的に消滅される。
第3発明にあっては、エマルジョンを加熱することで、外周膜の内部に存在する液体の体積が増加して外周膜の内圧が高まり、外周膜の破壊を促進することになる。その結果、超音波の投射のみを行う場合に比べて一段とエマルジョンの消去を迅速に行えるようになる。
第3発明にあっては、エマルジョンを加熱することで、外周膜の内部に存在する液体の体積が増加して外周膜の内圧が高まり、外周膜の破壊を促進することになる。その結果、超音波の投射のみを行う場合に比べて一段とエマルジョンの消去を迅速に行えるようになる。
第5発明にあっては、試料と、疎水性の液体に加えて食塩又は飽和食塩水を混合して攪拌するので、液体に塩化ナトリウムと云う電解質が溶解することになり、攪拌により生成されるエマルジョン自体の量が低減する。そのため、超音波で消去させる量も少ないため全体的な処理流れの中でエマルジョンにより影響を低減できる。また、電解質の存在により被測定物の疎水性の液体への移動が促進されて抽出が完全に行われ、さらに、上述した従来の2番目の方法を併用した場合では電解質の効果により疎水性の液体に抽出された被測定物が疎水性の液体から離脱するような事態も防止できる。なお、試料が固体、気体の場合は飽和食塩水を混合することが好適であり、試料が液体の場合は食塩を混合することが好適である。
第1発明、第4発明及び第6発明にあっては、エマルジョンに超音波を投射することで、エマルジョンの各粒子が振動して隣接する粒子同士が相互に衝突するため、各粒子の土壌成分等で形成された外周膜を破壊して粒子を消滅させ、エマルジョンを従来より迅速に消去すると共に測定精度及び浄化処理へのエマルジョンによる影響を回避できる。
第2発明にあっては、超音波を時間を隔てて複数回投射するので、超音波を投射していない間に、外周膜内部の液体が外部へスムーズに流れやすくなり、より効率的に粒子を消滅させてエマルジョンの消去を促進できる。
第3発明にあっては、エマルジョンを加熱することで、外周膜の内部に存在する液体の体積が増加し外周膜内部の内圧を高めて、外周膜の破壊を一段と促進しエマルジョンをより迅速に消去できる。
第3発明にあっては、エマルジョンを加熱することで、外周膜の内部に存在する液体の体積が増加し外周膜内部の内圧を高めて、外周膜の破壊を一段と促進しエマルジョンをより迅速に消去できる。
第5発明にあっては、試料と、疎水性の液体に加えて食塩又は飽和食塩水を混合して攪拌するので、試料が電解質水溶液中に浸潤されることになり、親水性有機物等の妨害が軽減され、攪拌により生成されるエマルジョン自体の量を低減できる。
図1は本発明の実施形態に係るエマルジョン消去方法に用いられるエマルジョン消去装置1の概略図である。エマルジョン消去装置1は、筐体1aの内部に超音波槽2を配置しており、超音波槽2の底部2aの外面には超音波発生部3を設けると共に超音波槽2の側壁部2bの外面にはヒータ部4を設けている。超音波発生部3及びヒータ部4は制御部5と電気的に接続されており、制御部5は複数のボタン及びスイッチ等を有する操作部6と電気的に接続されている。また、超音波槽2の上部を覆うようにホルダー8が取り付けられており、このホルダー8で消去対象となるエマルジョンが入った容器7を保持するようにしている。
エマルジョン消去装置1の操作部6は、電源のオン/オフを切り替えるボタン、ヒータ部4の作動用スイッチ、超音波の発生を開始する開始スイッチ、超音波を発生する時間の調節スイッチ、超音波の発生状態を連続的又は断続的にするかを切り替える切替スイッチ等が設けてある。また、制御部5は操作部6の各スイッチで設定された状況に応じて超音波発生部3及びヒータ部4の作動を制御している。超音波槽2には所要量の水Wを入れており、この水を通じて超音波発生部3から投射した超音波を容器7の内部のエマルジョンに投射すると共にヒータ部4で発生した熱をエマルジョンに伝えてエマルジョンを加熱するようにしている。
なお、エマルジョン消去装置1は、図6(b)に示すように、土壌成分及び/又は有機成分で外周膜Taが形成された粒子Tを有するエマルジョンを消去対象にしている。
次に、汚水に含まれる油分を被測定物として測定する測定方法において、上述したエマルジョン消去装置1によるエマルジョン消去方法を適用した場合の処理手順を図2に基づいて説明する。
先ず、容器7に溶媒と、試料に相当する汚水とを入れて混合する。なお、汚水には被測定物の油分以外に様々な成分が含まれており、例えば、アルミナ及び酸化珪素等の土壌微粒子並びに蛋白質及びセルロース等の有機物のいずれか又は両方の成分が含まれている。また、本実施形態には、溶媒として水と比べて比重が大きい疎水性の液体であるフロン(S−316)を用いている。なお、溶媒には四塩化炭素を用いることも可能である。
次に、容器7内の汚水及び溶媒を攪拌する。なお、攪拌には所要の攪拌機を用いると効率的に攪拌処理を行える。攪拌することにより汚水の油分が溶媒に抽出され、比重が大きい溶媒をベースとしたA層が下方に生成されると共に、油分が取り出された汚水をベースとするB層が上方に生成される。また、A層の境界面の上方にはエマルジョン層も生成される。生成されたエマルジョン層は、図3に示すように、土壌成分と有機成分とのいずれか又は両方で形成された外周膜Taの内部に油分を取り込んだ液体(溶媒)Tbを含む粒子Tを有している。
このようにA層、エマルジョン層及びB層が生成された容器7を、図1に示すようにホルダー8で保持して超音波槽2の水Wの中に入れる。なお、容器7は、内容物が溢れないように蓋7aで開口部を塞ぐ。この状態でエマルジョン消去装置1を作動させて、ヒータ部7で加熱を行うと共に、超音波発生部3より超音波を投射して超音波処理を行う。
図3は、超音波処理によりエマルジョン層の各粒子Tが変化する状態を示した概略の拡大図である。各粒子Tは超音波が投射されることで振動して相互に衝突し、この衝突により外周膜Taが破壊される。なお、ヒータ部7でエマルジョン層が加熱することで、外周膜Taの内部の液体Tbの体積が増加する方向へ変化し外周膜Taの内圧が高まっているので、外周膜Taが破壊されやすい状況で粒子同士の衝突が生じている。また、外周膜Taが破壊された粒子Tは内部の液体Tbが外部へ流出するが、粒子Tの周囲に存在するB層に比べて液体Tbの方が比重大きいため液体TbはA層へ流れ込む。
このように外周膜Taが破壊されることで粒子Tは消滅し、エマルジョン層も大部分が速やかに消去されると共に、内部の液体TbがA層へ流れ込むことでA層の量も多くなる。例えば、図2に示すように、超音波処理前のA層の高さL1が、超音波処理後は高さL2(L1<L2)になり、測定対象の液量を多く確保できる。
エマルジョン層の大部分を消去させた後は、A層を回収して所要の測定機器(図示せず)を用いてA層に含まれる油分を測定する。この際、A層は測定に充分な量を回収できると共に、A層は薄められていないため所要の測定精度が維持される。
なお、本実施形態に係るエマルジョン消去方法及び測定方法は、上述した形態に限定されるものでなく種々の変形例の適用が可能である。例えば、図4(a)に示すように、エマルジョン消去に係る処理時間中、連続して超音波を発生させる以外に、図4(b)に示すように、処理時間中、時間a1、a2を隔てて断続的に複数回の超音波を発生させてエマルジョンに投射するようにしてもよい。図4(b)の断続的な超音波発生では、超音波が発生していない時間a1、a2で各粒子Tの超音波による振動が減少又は停止するため、外周膜Taが破壊された粒子Tの液体Tbが揺すられることなくスムーズに下方のA層へ流れやすくなり、エマルジョン層の消去が促進される。
断続的に超音波を発生させる回数は複数であれば特に限定されるものではなく、処理対象の試料の特性及び量等に応じて適宜設定する。さらに、超音波を発生しない各時間a1、a2は全て同じ時間にしてもよく、また、時間毎に相異させてもよい。なお、連続的な超音波発生と断続的な超音波発生の切替、断続的な超音波発生に設定した場合の超音波発生回数及び発生間隔の時間設定等は図1に示す操作部6で設定できるようにする。
また、図1に示す超音波発生部3を超音波槽2の側壁部2bの外周面に設けると共に、発生した超音波の投射方向を水平方向に規制する規制部を設けることで、エマルジョンに水平方向から超音波が投射される構成にしてもよい。この場合、超音波投射による各粒子Tの振動方向は、上下方向より水平方向の方が大きくなるためA層と各粒子Tとが新たに混ざり合う程度が軽減されて、振動により新たな粒子Tが生成されるのを防止できる。
さらに、本実施形態に係るエマルジョン消去方法及び測定方法は、必ずしも消去対象のエマルジョンを加熱する必要はなく、加熱する処理を行わず超音波の投射のみでエマルジョンを消去するようにしてもよい。このような場合は、図1に示すヒータ部4を省略してもよい。また、試料が汚水のような液体の場合、食塩、飽和食塩水等の電解質を試料に混合するようにしてもよい。このような電解質の混合により試料がイオン化され、生成するエマルジョンの量自体を低減できる。なお、電解質は食塩、飽和食塩水に限定されるものではなく、他の電解質を適用することも可能である。
さらに、試料が油分を含む土壌試料のように固体の場合は、図5に示すように、先ず容器7に入れた土壌試料に水及び食塩を成分とした飽和食塩水を混合して攪拌し懸濁液を生成し、この懸濁液にフロン又は四塩化炭素のような溶媒を混合して攪拌する。その結果、懸濁液から油分が溶媒へ抽出され、容器7の下方から順番に、油分が取り出された浄化土壌の層、油分を含む溶媒をベースとするA層、図3に示すようなエマルジョン層、及び水をベースとしたB層が夫々生成される。なお、固体の試料には、油分以外に土壌成分と有機成分といずれか又は両方が含まれているものとする。
次に、上述した状態で超音波をエマルジョン層に投射することで、図3に示すように粒子Tが消滅し内部の液体TbがA層に流れ込んでエマルジョン層の大部分が消滅する。よって図5に示すように、A層の高さは超音波処理の前後でL3からL4(L3<L4)になってA層の量が増加し、増加したA層を回収して測定を行う。このようにすることで、固体の試料においても生成したエマルジョンを速やかに消去して精度の高い測定を行うことができる。
さらに、また、上述した図5に示す処理手順は、油分を有する土壌試料から油分を取り出して浄化すると云う土壌試料浄化方法に適用することも可能である。土壌試料浄化方法では、浄化対象の土壌試料に飽和食塩水又は水を混合して攪拌することで懸濁液を生成し、以降、図5と同様な処理を順次行うことにより、油分が取り出された浄化土壌を容器7の最下方に得ることができ、土壌試料を浄化できる。
この土壌試料浄化方法においてもエマルジョンを迅速に消去できるため、浄化処理をスムーズに進めることができる。なお、土壌試料の浄化においては、処理対象の試料の量が測定の場合に比べて大量になるため、図1に示すエマルジョン消去装置1を大量の試料に対して超音波を投射できる構成に適宜変更することが好ましい。
1 エマルジョン消去装置
2 超音波槽
3 超音波発生部
4 ヒータ部
6 操作部
7 容器
T 粒子
Ta 外周膜
Tb 液体
2 超音波槽
3 超音波発生部
4 ヒータ部
6 操作部
7 容器
T 粒子
Ta 外周膜
Tb 液体
Claims (6)
- 土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜の内部に水と比べて比重が大きい疎水性の液体を含む粒子を有するエマルジョンを消去するエマルジョン消去方法において、
エマルジョンに超音波を投射することで外周膜を破壊し粒子を消滅させてエマルジョンを消去することを特徴とするエマルジョン消去方法。 - 超音波は、断続的に複数回投射することを特徴とする請求項1に記載のエマルジョン消去方法。
- エマルジョンを加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン消去方法。
- 被測定物並びに土壌成分及び/又は有機成分を有する試料と、水に比べて比重が大きい疎水性の液体とを攪拌することで、試料から抽出された被測定物を有する液体層並びに土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜の内部に液体を含む粒子を有するエマルジョンの層を生成し、
エマルジョンを前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載したエマルジョン消去方法により消去して、外周膜の内部の液体を液体層へ流出させ、
液体層から被測定物を測定することを特徴とする測定方法。 - 被測定物並びに土壌成分及び/又は有機成分を有する試料と、水に比べて比重が大きい疎水性の液体と、食塩又は飽和食塩水とを攪拌することで、試料から抽出された被測定物を有する液体層並びに土壌成分及び/又は有機成分で形成された外周膜の内部に液体を含む粒子を有するエマルジョンの層を生成し、
エマルジョンを前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載したエマルジョン消去方法により消去して、外周膜の内部の液体を液体層へ流出させ、
液体層から被測定物を測定することを特徴とする測定方法。 - 油分を有する土壌試料と、水と、水に比べて比重が大きい疎水性の液体とを攪拌することで、土壌試料成分で形成された外周膜の内部に液体を含む粒子を有するエマルジョンの層と、土壌試料から抽出された油分を有する液体層と、油分を取り出した土壌試料の層とを形成し、
エマルジョンを前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載したエマルジョン消去方法で消去して、外周膜の内部の液体を液体層へ流出させ、
液体層を除去することで、土壌試料を浄化することを特徴とする土壌試料浄化方法。
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