JP2005168497A - 抗trail−r抗体およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒトTRAIL-R1及び/又はヒトTRAIL-R2に結合でき、癌細胞に対して特異的にアポトーシスを誘導し、かつ、組換えヒトTRAILタンパク質では傷害を引き起こす可能性のあるヒト正常肝実質細胞に対して、傷害を誘発しない新規な抗体を有効成分として含有する、現在治療困難な固形腫瘍をはじめとした各種悪性腫瘍の予防又は治療剤の提供。
【解決手段】 ヒトTRAIL-R1及び/又はヒトTRAIL-R2に対する抗体および該抗体を含む腫瘍の予防又は治療剤。
【選択図】 なし

Description

本発明はアポトーシスに関与する細胞膜分子であるTRAIL受容体1(TRAIL-R1)又はTRAIL受容体2(TRAIL-R2)を認識する抗TRAIL受容体(TRAIL-R)抗体に関する。
さらに本発明は、抗TRAIL-R抗体を有効成分とする、TRAIL-Rを発現している細胞に起因する疾患に対する予防又は治療剤、特に悪性腫瘍治療剤に関する。
生体内において、正常な細胞交代のために生じる生理的な細胞死はアポトーシスと呼ばれ、病理的な細胞死である壊死(ネクローシス)とは区別される[Kerr, et al. (1972) Br. J. Cancer 26, 239 参照]。アポトーシスは、胚発生やリンパ球(T細胞及びB細胞)の選択などの過程において一般に見られる現象である[Itoh, S., et al. (1991) Cell 66, 233-243参照]。アポトーシスにより本来排除されるべき細胞が排除されないと、それが癌、ループス、ヘルペスウイルス感染などの原因になることがあると考えられている。また、本来生存すべき細胞がアポトーシスにより排除されてしまうと、AIDS、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、網膜色素変性症、再生不良性貧血、心筋梗塞、脳卒中、毒性物質による肝障害などの疾患や病態の原因となる場合がある[Kataoka, S., et al. (1996) The Oncologist 1, 399-401参照]。
アポトーシスにおいては細胞表面の湾曲、核クロマチンの凝縮、染色体DNAの断片化、ミトコンドリアの機能消滅等の現象が特徴的に観察される。内因性、外因性の様々なシグナルがこの様な細胞の変化を引き起こしていると考えられており、内因性のものとして、myc、bcl-2などの癌遺伝子や、p53などの癌抑制遺伝子がアポトーシスの誘導に関わっていることが報告されている[片岡之郎ら (1993) 実験医学 11, 17, 2324-2328参照]。外因性シグナルとしては、化学療法剤や放射線などが、アポトーシスを誘導することが知られている[片岡之郎ら (1994) 最新医学 49, 6, 1152-1157参照]。
このようなアポトーシスに関与する分子としては、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、腫瘍壊死因子-β(TNF-β)、Fasリガンドなどの腫瘍壊死因子ファミリー(TNFファミリー)に属する分子が同定されている。TNF-α及びTNF-βは癌細胞にアポトーシスを誘導するとの報告がある[Schmid, et al. (1986) Proc.Natl.Acad.Sci.83, 1881参照;Dealtry et al. (1987) Eur.J.Immunol. 17, 689参照]。マウスのFas又はFasリガンドの変異個体は自己免疫疾患の状態を呈することから、Fasリガンドが末梢における自己抗原反応性のリンパ球をアポトーシスにより排除する機能を担っていることが強く示唆されている[Krammer, et al.(1994) Curr.Op.Immunol. 6, 279-289参照;Nagata, et al. (1995) Science 267, 1449-1456参照]。Fasに特異的に結合するアゴニスティックなマウスモノクローナル抗体は、癌細胞に対してTNF-αと同程度のアポトーシス誘導活性を示すことが報告されている[Yonehara, et al. (1989) J.Exp.Med. 169, 1747-1756]。
これらのTNFファミリー分子は、細胞表面の特異的受容体に結合することで細胞内にシグナルを伝達している。TNFファミリー分子の受容体は複数知られており、TNFレセプターファミリー分子と呼称される。
TNFレセプターファミリーの分子は、細胞外ドメインのシステインリッチ反復の存在により定義されるが、その中でもFasリガンド及びTNF-αの受容体であるFas及びTNFR1は、ショウジョウバエ自殺遺伝子reaper[Golstein, P., et al. (1995) Cell 81, 185-186参照;White, K., et al. (1994) Science 264, 677-683参照]と相同性を示す領域である「デスドメイン」と呼ばれるアポトーシスのシグナル伝達に必須の領域を細胞内に持つ。Fasの活性化は、デスドメインを含むアダプター分子FADD/MORT1の会合を促し、FADD/MORT1に結合しているカスパーゼ(Caspase)-8の活性化を引き起こす。活性化したカスパーゼ-8により下流のカスパーゼ分子群を順次活性化し、最終的に細胞をアポトーシスへと導く [Nagata, S., (1997) Cell 88, 355-365参照]。
最近、新規のアポトーシスを誘導するTNFファミリー分子が発見された(非特許文献1参照)。Wileyらは、この分子を「TNF関連アポトーシス誘導リガンド」又は簡潔に「TRAIL」と命名した。この分子はまた、「Apo-2リガンド」又は「Apo-2L」とも呼ばれている(非特許文献2参照)。便宜上、この分子はTRAILとして本明細書中では呼ぶことにする。
Fasリガンドとは異なり、有意なレベルのTRAILは多くのヒトの組織中で検出される(例えば、脾臓、肺、前立腺、胸腺、卵巣、小腸、大腸、末梢血リンパ球、胎盤、腎臓)。そしていくつかの細胞株において恒常的に転写される。TRAILは、Fasによる死のシグナル伝達に類似する時間枠内で、TNF誘導性アポトーシスよりも非常に早くアポトーシスを急速に活性化させることも示されている(非特許文献3参照)。
TRAILの受容体として、現在すでに五つのタンパク質が同定されている。TRAIL-R1(DR4ともいう)及びTRAIL-R2(DR5ともいう)の二つの受容体は、ともにデスドメインを細胞内領域にもつことが報告されている。TRAIL-R1の転写産物は脾臓、末梢血白血球、小腸、胸腺を含むヒトの多くの組織中で認められる。TRAIL-R2の転写産物は脾臓、末梢血リンパ球、卵巣をはじめとした、多くの組織中で確認されている(非特許文献4から6を参照)。
TRAIL-R2には選択的スプライシング(alternative splicing)による2つの形態があり、癌細胞においては440アミノ酸から成るTRAIL-R2の発現量が多いことが報告されている(非特許文献7および8)。
組換え型ヒトTRAILは、TRAILの細胞外領域からなる組換えタンパク質であり、これまでに多種類の癌細胞にアポトーシスを誘導することが報告されている(非特許文献9参照)。
さらに、組換え型ヒトTRAILは、ヒトの大腸癌細胞及び乳癌細胞を用いた担癌マウスモデルで効果を示している(非特許文献10参照)。同じくTNFレセプターファミリーに属し、アポトーシス誘導活性を持つTNF-αやFasリガンドとは異なり、TRAILはマウス及びカニクイザルの正常組織に対して傷害を与えることはなかった(非特許文献11参照)。
これらの報告により、TRAILは腫瘍選択的に細胞死を誘導すると考えられたが、TRAILの受容体は正常細胞にも発現しており選択性の理論的裏付けは未だなされていない。さらに、最近組換えヒトTRAILがヒト正常肝実質細胞にアポトーシスを誘導することが報告され(非特許文献12参照)、また、ヒト脳細胞にもアポトーシスを誘導することが報告された(非特許文献13参照)。肝臓細胞にアポトーシスを誘導するアゴニスティックな抗Fas抗体は、非常に短時間で劇症肝炎を誘発しマウスやチンパンジーを死に至らしめる事から、TRAILの肝細胞に対する細胞死誘導は特に大きな問題として注目を浴び、TRAILをヒトに対し医薬品として使用する場合の安全性に疑問が投げかけられた(非特許文献14参照)。
TRAILの肝細胞に対する細胞死誘導活性の有無は、組換えTRAILタンパク質の種類に依存しているとの報告も出されている(非特許文献15参照)が、組換えTRAILタンパク質の安全性は未だ研究の途上である。
最近、マウスに投与した際に肝臓傷害を誘発しない抗Fas抗体が初めて報告された(非特許文献16参照)。肝臓傷害を誘発しないことが確認された組換え型Fasリガンドは知られていない。この事は、リガンドでは期待できない活性を持つ抗体を得ることが可能なことを示唆している。しかし、この抗体がT細胞にはアポトーシスを誘導するにもかかわらず、何故肝毒性を示さないのか理論的な背景は明らかになっておらず、例えばTRAILなど抗原が異なる場合に毒性のないアゴニスティック抗体を取得できるかどうかは定かではない。
TRAILは、TRAIL-R1若しくはTRAIL-R2又はこれらの両方に作用してアポトーシスを誘導するが、TRAILが肝細胞にアポトーシスを誘導する時どのレセプターを介してシグナルを入れるのかは明らかになっていない。また、アゴニスティック抗体にTRAIL-R1/R2選択性を付加することで肝毒性が回避できるかどうかという着想に立った研究は今だなされていない。
悪性腫瘍に対しては、癌細胞を除去し、正常組織又は細胞を保護することが有効な治療手段となる。組換え型ヒトTRAILによるアポトーシス誘導を作用機序とする薬物では、癌細胞を除去できても正常組織、特に肝臓、脳に傷害を起こす可能性がある。
現在、細胞膜上に存在するレセプターであるCD20を標的としたキメラ抗体、Her2/neuを標的としたヒト化抗体などのモノクローナル抗体が、悪性腫瘍を対象疾患として使用されており、その治療効果が認められている。抗体は、血中半減期が長く、抗原への特異性が高いという特徴を持ち、抗腫瘍剤として特に有用である。例えば、腫瘍特異的な抗原を標的とした抗体であれば、投与した抗体は腫瘍に集積することが推定されるので、補体依存的細胞傷害や抗体依存的細胞傷害による、免疫システムの癌細胞に対する攻撃が期待できる。また、その抗体に放射性核種や細胞毒性物質などの薬剤を結合しておくことにより、結合した薬剤を効率よく腫瘍部位に送達することが可能となり、同時に、非特異的な他組織への該薬剤到達量が減少することで、副作用の軽減も見込むことができる。腫瘍特異的抗原に細胞死を誘導するような活性がある場合はアゴニスティックな活性を持つ抗体を投与することで、また、腫瘍特異的抗原が細胞の増殖及び生存に関与する場合は中和活性を持つ抗体を投与することで、腫瘍特異的な抗体の集積と、抗体の活性による腫瘍の増殖抑制又は退縮が期待される。
抗体は、上記のようにその特徴から抗腫瘍剤として適用するのに適切であると考えられる。しかもTRAILの受容体に対する抗体であれば、組換え型ヒトTRAIL自体では回避できない肝臓への傷害を回避し、かつ、癌細胞に対しては同等のアポトーシス誘導活性をもつものが得られる可能性がある。
Wiley et al., Immunity (1995) 3, 673-682 Pitt, R. M., et al. (1996) J.Biol.Chem. 271, 12687-12690 Marsters, S. A., et al. (1996) Curr. Biol. 6, 750-752 Pan, G., et al. (1997) Science 276, 111-113 Pan, G., et al. (1997) Science 277, 815-818 Walczak, H., etal. (1997) EMBO J 16 (17) 5386-5397 Screaton, G. R., et al. (1997) Curr Biol 7 (9), 693-696 Arai, T., et al. (1998) Cancer Letters 133, 197-204 Griffith, T. S., et al. (1998) Curr.Opin.Immunol., 10, 559-563 Walczak, H., et al. (1999) Nature Medicine 5, 2, 157-163 Ashkenazi, A., et al. (1999) J.Clin.Invest. 104, 155-162 Jo, M., et al.(2000)Nature Medicine 6, No.5, 564-567 Nitsch, R., et al.(2000)The Lancet 356, 827-828 Nagata, S., (2000) Nature Medicine 6, 5, 502-503 Lawrence, D., et al. (2001) Nature Medicine 7, 4, 383-385 Ichikawa, K., et al.(2000) International Immunology 12, No.4, 555-562
本発明の第1の目的は、ヒトTRAIL-R1及び/又はヒトTRAIL-R2に結合でき、癌細胞に対して特異的にアポトーシスを誘導し、かつ、組換えヒトTRAILタンパク質では傷害を引き起こす可能性のあるヒト正常肝実質細胞に対して、傷害を誘発しない新規な抗体、又はそれに類似した分子を提供することにある。第2の目的は、上記抗体、又はそれに類似した分子を有効成分として含有する、現在治療困難な固形腫瘍をはじめとした各種悪性腫瘍の予防又は治療剤を提供することにある。
本発明者らは、ヒトTRAIL-R1及びR2に対する抗体の作製に関して鋭意研究した結果、遺伝子工学技術を用いてヒト由来の抗体を産生する能力を有するトランスジェニックマウスをヒトTRAIL-R1又はR2で免疫し、モノクローナル抗体の製造において慣用されているケーラー及びミルシュタインらの方法[(1975) Nature 256, 495参照]を用いることにより、新規TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作出し、その培養上清より該モノクローナル抗体を取得する事に成功した。そして、この新規モノクローナル抗体は、癌細胞の表面にあるTRAIL-R1及び/又はR2に結合して癌細胞特異的にアポトーシスを誘導することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2に結合する抗体又はその機能的断片。
上記抗体又はその機能的断片は、以下の(a)〜(c)から選ばれる少なくとも1つの性質を有するものである。
(a)TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2を発現している癌細胞にアポトーシスを誘導する活性を有する
(b)TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2を発現しているヒト正常細胞には影響を及ぼさない
(c)ヒト肝臓細胞傷害を誘発しない
本発明においては、上記の(a)〜(c)の全ての性質を有する抗体又はその機能的断片が好ましい。また、上記(a)〜(c)の少なくとも1つの性質を有する抗体又はその機能的断片であって、(1)TRAIL-R2には結合するがTRAIL-R1には結合しないもの、あるいは(2)TRAIL-R2及びTRAIL-R1の両者に結合するものも、本発明の抗体又はその機能的断片に含まれる。
(2) 上記抗体は、マウス−マウスハイブリドーマ、例えばE-11-13、H-48-2、L-30-10、N-18-12、W-40-5、X-14-4、X-51-12、F-4-8 、G-3-10、0304又はKMTR1により産生されるモノクローナル抗体であり、ヒト抗体であることが好ましい。E-11-13、H-48-2、L-30-10、N-18-12、W-40-5、X-14-4、X-51-12、F-4-8、0304又はKMTR1により産生されるモノクローナル抗体のタイプはイムノグロブリンG(IgG)型であり、G-3-10により産生されるモノクローナル抗体のタイプはイムノグロブリンM(IgM)型である。ここで、上記ハイブリドーマのうちH-48-2、E-11-13、F-4-8、L-30-10、0304及びKMTR1はそれぞれ国際寄託されており、その寄託情報は以下の通りである。
Figure 2005168497
癌細胞としては、大腸癌細胞Colo205、神経膠腫由来U251細胞又はT細胞リンパ腫由来Jurkat細胞が挙げられ、これらの細胞の中から適宜選ばれる。
(3) 本発明の抗体又はその機能的断片は、細胞数7.5x104及び反応時間24時間の条件において、ヒト肝細胞に対するLD50値が0.01μg/ml以上、好ましくは0.1μg/ml以上、さらに好ましくは2-10μg/ml、さらに好ましくは10-100μg/ml、最も好ましくは10μg/ml以上(例えば100μg/ml以上)である。一方、本発明の抗体又はその機能的断片は、細胞数2.5x103及び反応時間48時間の条件において、癌細胞(例えばColo205細胞、U251細胞又はJurkat細胞)に対するLD50値が100μg/ml以下、好ましくは10μg/ml以下、より好ましくは0.7μg/ml以下、さらに好ましくは0.02-0.11μg/ml、最も好ましくは0.02μg/ml以下である。そして、細胞数7.5x104及び反応時間24時間におけるヒト肝細胞に対するLD50値が2-100μg/mlであり、かつ、細胞数2.5x103及び反応時間48時間における癌細胞に対するLD50値が0.02-0.11μg/mlである組合せの抗体又はその機能的断片が本発明において特に好ましい。
ここで、本発明の抗体の上記肝細胞又は癌細胞に対するLD50は、1反応系あたり(1ウェルあたり)110〜120μlの反応容量で行われたときの測定値である。
(4) また、本発明の抗体又はその機能的断片は、細胞数7.5x104及び反応時間24時間におけるヒト肝細胞に対するLD50値が、細胞数2.5x103及び反応時間48時間における癌細胞に対するLD50値の2倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは50倍以上(例えば50倍-100倍)、さらに好ましくは100倍以上(例えば100倍-250倍)、さらに好ましくは250倍-1000倍、最も好ましくは1000倍以上である。
(5) さらに、本発明の抗体又はその機能的断片は、腫瘍(例えばヌードマウスに移植されたColo205細胞に由来するもの)の増殖を抑制し、又は腫瘍を退縮させることができる。この場合、本発明の抗体又はその機能的断片を投与したときに腫瘍細胞の増殖を抑制することができる期間、又は腫瘍を退縮させることができる期間は少なくとも9日、好ましくは少なくとも11日、さらに好ましくは少なくとも13日であり、以下少なくとも30日、少なくとも60日の順で好ましく、最も好ましくは少なくとも120日である。また、腫瘍を担持する被検動物(例えば担癌実験動物、体重20gとする)に本発明の抗体又はその機能的断片を投与する量は、0.1μg/body(5μg/kg)〜100μg/body(5mg/kg)である。例えば、投与量として100μg/body又は5mg/kg、好ましくは20μg/body又は1mg/kg、より好ましくは4μg/body又は200μg/kg、さらに好ましくは1μg/body又は50μg/kgである。また、0.5μg/body(25μg/kg)を投与してもよい。投与頻度としては、1週あたり1回-3回の頻度又は隔日投与などが挙げられる。
さらに、担癌マウスにおける本発明の抗体(例えば0304抗体又はE-11-13抗体)又はその機能的断片の抗腫瘍効果は以下の通りである。
(a)100mm3の腫瘍を有する4〜6週齢の担癌マウスに20μg/マウス個体の濃度で投与したときに、初回投与4日後に平均14%以上の腫瘍の縮小を引き起こすことができる。この場合、平均14%以上の腫瘍の縮小を少なくとも7日維持することができる。
(b)100mm3の腫瘍を有する4〜6週齢の担癌マウスに20μg/マウス個体の濃度で投与したときに、初回投与4日後に平均65%以上の腫瘍の縮小を引き起こすことができる。
(c)100mm3の腫瘍を有する4〜6週齢の担癌マウスに20μg/マウス個体の濃度で投与したときに、初回投与7日後に平均80%以上の腫瘍の縮小を引き起こすことができる。この場合、平均80%以上の腫瘍の縮小を少なくとも4日維持することができる。
(d)100mm3の腫瘍を有する12週齢の担癌マウスに25μg/マウス個体の濃度で投与したときに、初回投与3日後に平均45%以上の腫瘍の縮小を引き起こすことができる。
(e)100mm3の腫瘍を有する12週齢の担癌マウスに25μg/マウス個体の濃度で投与したときに、初回投与5日後に平均65%以上の腫瘍の縮小を引き起こすことができる。この場合、平均65%以上の腫瘍の縮小を少なくとも27日維持することができる。
(f)300mm3の腫瘍を有する4〜6週齢の担癌マウスに20μg/マウス個体の濃度で投与したときに、初回投与4日後に平均39%以上の腫瘍の縮小を引き起こすことができる。この場合、平均39%以上の腫瘍の縮小を少なくとも14日維持することができる。
腫瘍としては、大腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、脳腫瘍、黒色腫、腎細胞癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、胃癌、膵臓癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肝臓癌、頭頚部扁平上皮癌、皮膚癌、尿路癌、前立腺癌、絨毛癌、咽頭癌、喉頭癌、きょう膜腫、男性胚腫、子宮内膜過形成、子宮内膜症、胚芽腫、線維肉腫、カポジ肉腫、血管腫、海綿状血管腫、血管芽腫、網膜芽腫、星状細胞腫、神経線維腫、稀突起謬腫、髄芽腫、神経芽腫、神経膠腫、横紋筋肉腫、謬芽腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、甲状肉腫及びウィルムス腫瘍等からなる群から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
(6) 配列番号17及び19にそれぞれ示される、ハイブリドーマE-11-13の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号21及び23にそれぞれ示される、ハイブリドーマL-30-10の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号25及び27にそれぞれ示される、ハイブリドーマH-48-2の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号29及び31にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は配列番号33及び35にそれぞれ示される、ハイブリドーマKMTR1の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の、マチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体又はその機能的断片。
上記抗体又はその機能的断片は、例えば、配列番号16及び18にそれぞれ示される、ハイブリドーマE-11-13から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号20及び22にそれぞれ示される、ハイブリドーマL-30-10から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号24及び26にそれぞれ示される、ハイブリドーマH-48-2から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号28及び30にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は配列番号32及び34にそれぞれ示される、ハイブリドーマKMTR1から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の、マチュア部分のアミノ酸配列を有するものである。
(7) E-11-13、H-48-2、L-30-10、N-18-12、W-40-5、X-14-4、X-51-12、F-4-8
G-3-10、0304及びKMTR1からなる群から選ばれる、TRAIL-R2に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
(8) 前記ハイブリドーマを培養し、得られる培養物からTRAIL-R2に結合する抗体を採取することを特徴とする、抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の製造方法。
(9) 前記ハイブリドーマからモノクローナル抗体をコードする遺伝子を単離し、該遺伝子を有する発現ベクターを構築し、該発現ベクターを宿主に導入して前記モノクローナル抗体を発現せしめ、得られる宿主、宿主の培養上清又は宿主の分泌物から抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を採取することを特徴とする、抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の製造方法。
宿主としては、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞及び植物細胞並びに哺乳動物からなる群から選ばれるいずれかのものが挙げられる。
(10) 前記抗体又はその機能的断片を有効成分として含有する、腫瘍の予防又は治療剤。
ここで、腫瘍としては、大腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、脳腫瘍、黒色腫、腎細胞癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、胃癌、膵臓癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肝臓癌、頭頚部扁平上皮癌、皮膚癌、尿路癌、前立腺癌、絨毛癌、咽頭癌、喉頭癌、きょう膜腫、男性胚腫、子宮内膜過形成、子宮内膜症、胚芽腫、線維肉腫、カポジ肉腫、血管腫、海綿状血管腫、血管芽腫、網膜芽腫、星状細胞腫、神経線維腫、稀突起謬腫、髄芽腫、神経芽腫、神経膠腫、横紋筋肉腫、謬芽腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、甲状肉腫及びウィルムス腫瘍等からなる群から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
本発明により、TRAIL-R1及びR2を発現している細胞に起因する疾患に対する予防又は治療剤、特に悪性腫瘍治療薬として有用であり、かつ肝臓への傷害性が回避することができる、極めて安全性の高い分子が提供された。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願2001-150213号(2001年5月18日出願)、日本国特許出願2001-243040号(2001年8月9日出願)及び日本国特許出願2001-314489号(2001年10月11日出願)の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体に、癌細胞に対してアポトーシスを誘導する活性があることは報告がなされている[Griffith, T. S., et al. (1999) J.Immunol. 162, 2597-2605参照;Chuntharapai,A., et al. (2001) J.Immunol. 166, 4891-4898参照]。しかしながら、これらの抗体はマウス由来のものである。
また、組換えヒトTRAILタンパク質において問題となっている、ヒト正常肝実質細胞に対する傷害性について危惧される。
驚くべきことに、本発明の新規ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体は、ヒト正常組織由来の細胞に対してのみならず、組換えヒトTRAILタンパク質による細胞傷害性が危惧される正常肝実質細胞に対しても、傷害を誘発する副作用が無いことが判明した。本発明者らは、新規抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を取得することにより、安全性及び治療効果の向上の可能性という利点を備えた抗体を作製することに世界に先んじて初めて成功し、本発明を完成させた。該モノクローナル抗体は好ましくはヒト抗体であり、マウス由来の抗体では常に問題となる抗原性については、すでに回避されている。
該抗体としてはイムノグロブリンG(IgG)、同A(IgA)、同E(IgE)及び同M(IgM)のいずれの型も好適に用いられうるが、通常はIgGがより好適である。
以下、本発明で用いる語句の意味を明らかにすることにより、本発明を詳細に説明する。
1.TRAIL及びその抗体
本発明の抗体は、腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)の受容体(TRAIL-R)に対する抗体であり、(1)TRAIL-R1に反応する抗体、(2)TRAIL-R2に反応する抗体、及び(3)TRAIL-R1とTRAIL-R2の両者に反応する抗体が存在する。本発明では、(1)の抗体を「抗TRAIL-R1抗体」、(2)及び(3)の抗体を「抗TRAIL-R2抗体」ということもある。また、本明細書においてTRAIL-R1とTRAIL-R2の両方のTRAIL受容体を便宜的に合わせて説明する場合は、「TRAIL-R1及びR2」ということもある。従って、例えば「TRAIL-R1及びR2発現ベクター」のように記載した場合は(後述の実施例1参照)、TRAIL-R1の発現ベクターと、TRAIL-R2の発現ベクターの2つを説明することを意味する。
本発明における「抗体」とは、前記に定義したようなヒトTRAIL-R1及びR2又はその一部に反応性を有する抗体又は抗体の一部であり、これらの抗体の機能的断片も含む。「機能的断片」とは、抗体の一部分(部分断片)であって、抗体の抗原への作用を1つ以上保持するものを意味し、具体的にはF(ab')2、Fab'、Fab、Fv、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、及びこれらの重合体等が挙げられる(D.J.King., Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies.,1998 T.J.International Ltd)。
本発明で「ヒト抗体」とは、ヒト由来の抗体遺伝子の発現産物である抗体を意味する。
本発明の抗体としては、例えば、後述の実施例7に記載される、ヒトTRAIL-R1及びR2の発現する癌細胞にアポトーシスを誘導する特性を有する各種の抗体、を挙げることができる。
本発明の抗体には、抗体を構成する重鎖及び/又は軽鎖の各々のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する重鎖及び/又は軽鎖からなるモノクローナル抗体も包含される。本発明の抗体のアミノ酸配列中に、前記のようなアミノ酸の部分的改変(欠失、置換、挿入、付加)を施すには、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を部分的に改変することが方法として挙げられる。この塩基配列の部分的改変は、既知の部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)を用いて定法により導入することができる(Proc Natl Acad Sci USA., 1984 Vol81:5662)。ここで、抗体とは、イムノグロブリンを構成する重鎖可変領域及び重鎖定常領域、並びに軽鎖の可変領域及び軽鎖の定常領域を含む全ての領域が、イムノグロブリンをコードする遺伝子に由来するイムノグロブリンである。
本発明の抗体には、いずれのイムノグロブリンクラス及びアイソタイプを有する抗体をも包含する。
本発明の抗TRAIL-R1及びR2抗体は、下記のような製造方法によって製造することができる。即ち、例えば、前記で定義したようなヒトTRAIL-R1及びR2又はその一部と、抗原の抗原性を高めるための適当な物質(例えば、bovine serum albumin等)との結合物を、必要に応じて免疫賦活剤(フロインドの完全又は不完全アジュバント等)とともに、ヒト抗体産生トランスジェニックマウス等を含む非ヒト哺乳動物に免疫する。あるいは、ヒトTRAIL-R1をコードする遺伝子、又はヒトTRAIL-R2をコードする遺伝子を導入し、TRAIL-R1又はTRAIL-R2を細胞表面に過剰に発現している動物細胞を投与することにより、免疫感作を行うことができる。モノクローナル抗体は、免疫感作動物から得た抗体産生細胞と、自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)を融合することにより得られるハイブリドーマを培養し、免疫に用いた抗原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって取得することができる。
本発明の抗体は、当業者に周知である遺伝子工学的改変により異なるサブクラスのものに変換されたものも包含する。例えば、本発明の抗体のサブクラスをIgG2又はIgG4に変換することにより、Fcレセプターに対する結合度の低い抗体を取得することができる。逆に、本件発明の抗体のサブクラスをIgG1又はIgG3に変換することにより、Fcレセプターに対する結合度の高い抗体を取得することができる。さらに、本発明の抗体の定常領域のアミノ酸配列を人為的に改変すること、あるいはそのような配列を有する定常領域配列と結合することにより、Fcレセプターに対する結合度を変化させることも可能である。また、本発明の抗体に、ヨード、イットリウム、インジウム、テクネチウム等の放射性核種(J.W.Goding, Momoclonal Antibodies: principles and practice., 1993 AcademicPress)、緑膿菌毒素、ジフテリアトキシン、リシン等の細菌毒素、メトトレキセート、マイトマイシン、カリキアマイシン等の化学療法剤(D.J.King, Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies., 1998 T.J.International Ltd.; M.L.Grossbard., Monoclonal Antibody-BasedTherapy of Cancer., 1998 Marcel Dekker Inc)、さらに、Maytansinoid等のプロドラッグ(Chari et al., Cancer Res., 1992 Vol.52:127; Liu et al., Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 1996 Vol.93:8681)などを結合させることにより癌などの疾患の治療効果をさらに増強することも可能である。
また、発明者らは、本発明の抗体において、TRAIL-R2に結合し、TRAIL-R1には結合しない性質を有するものに、ヒト肝臓細胞に傷害を誘発しないものが含まれることを発見した。従って、本発明は、TRAIL-R2に結合する抗体の集団から、TRAIL-R1には結合しないものを選抜する工程を含むことを特徴とする、肝細胞傷害性を有しない抗TRAIL-R2抗体の製造方法をも提供する。しかしながら、肝細胞傷害性を有しない本発明の抗体は、TRAIL-R2に結合し、TRAIL-R1には結合しない性質を有するものに限定されるものではない。
本発明において、モノクローナル抗体の製造にあたっては、下記の作業工程を包含する。すなわち、(1)生体高分子の精製及び/又は抗原タンパク質を細胞表面に過剰に発現している細胞の作製(これらの生体高分子及び/又は細胞は免疫原として使用される)、(2)抗原を動物に注射することにより免疫した後、血液を採取しその抗体価を検定して脾臓等の摘出の時期を決定してから、抗体産生細胞を調製する工程、(3)骨髄腫細胞(以下「ミエローマ」という)の調製、(4)抗体産生細胞とミエローマとの細胞融合、(5)目的とする抗体を産生するハイブリドーマ群の選別、(6)単一細胞クローンへの分割(クローニング)、(7)場合によっては、モノクローナル抗体を大量に製造するためのハイブリドーマの培養、又はハイブリドーマを移植した動物の飼育、(8)このようにして製造されたモノクローナル抗体の生理活性及びその認識特異性の検討、あるいは標識試薬としての特性の検定、等である。
以下、抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体の作製法を上記工程に沿って詳述するが、該抗体の作製法はこれに制限されず、例えば脾細胞以外の抗体産生細胞及びミエローマを使用することもできる。
(1) 抗原の精製
抗原としては、ヒトTRAIL-R1及びR2の細胞外領域とヒトIgGのFc領域との融合タンパク質(以下TRAIL-R1-hFc及びTRAIL-R2-hFcという)を用いることができる。TRAIL-R1-hFc及びTRAIL-R2-hFcは、TRAIL-R1又はR2とヒトIgGのFc領域との融合タンパク質をコードするDNAを動物細胞用発現ベクターに組み込み、該発現ベクターを動物細胞に導入し、取得した形質転換株の培養上清から精製することにより取得できる。あるいは、ALEXIS社等から市販されているTRAIL-R1-hFc及びTRAIL-R2-hFcを用いる事もできる。また、ヒト細胞株の細胞膜上に存在するTRAIL-R1及びR2そのものを精製したものも、抗原として使用することができる。さらに、TRAIL-R1及びR2の一次構造は公知である[Pan,G., et al. (1997) Science 276, 111-113 及びScience 277, 815-818参照;Walczak, H., et al. (1997) EMBO J 16 (17) 5386-5397参照]ので、当業者に周知の方法により、TRAIL-R1及びR2のアミノ酸配列からペプチドを化学合成し、これを抗原として使用することもできる。
また、免疫原としては、ヒトTRAIL-R1及びR2の全長から細胞内領域のデスドメイン及びデスドメインよりC末端側のアミノ酸を除いたヒトTRAIL-R1及びR2(以下「TRAIL-R1及びR2delta」という)を有する発現ベクターpEF-TRAIL-R1delta及びpEF-TRAIL-R2deltaをL929細胞に導入し、細胞表面にTRAIL-R1及びR2deltaを過剰に発現している細胞も有効である。pEF-TRAIL-R1delta及びpEF-TRAIL-R2deltaは、それぞれ、ヒトTRAIL-R1deltaタンパク質をコードするDNA及びヒトTRAIL-R2deltaタンパク質をコードするDNAを、動物細胞用発現ベクターpEFneo[Ohashi. H., et al.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. 91, 158-162参照]に組み込むことにより作製できる。ただし、TRAIL-R1及びR2をコードするDNA、ベクター、宿主等はこれらに限定されない。
具体的には、pEF-TRAIL-R1及びR2deltaでL929細胞を形質転換して得られた形質転換株を培養し、pEFneoベクターが挿入された細胞に獲得されるネオマイシン耐性の形質、及びヤギ抗TRAIL-R1及びR2ポリクローナル抗体(DAKO社製)を用いたTRAIL-R1及びR2delta発現の確認を指標に、ヒトTRAIL-R1及びR2deltaをその細胞表面に過剰に発現しているL929細胞を作製することができる。
(2)抗体産生細胞の調製工程
(1)で得られた抗原と、フロインドの完全若しくは不完全アジュバント、又はカリミョウバンのような助剤とを混合し、免疫原として実験動物に免疫する。実験動物としては、ヒト由来の抗体を産生する能力を有するトランスジェニックマウスが最も好適に用いられるが、そのようなマウスは富塚らの文献[Tomizuka. et al., Proc Natl Acad Sci USA., 2000 Vol 97:722]に記載されている。
マウス免疫の際の免疫原投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射、足蹠注射などいずれでもよいが、皮下注射、腹腔内注射、足蹠注射又は静脈内注射が好ましい。
免疫は、一回、又は、適当な間隔で(好ましくは3日間から1週間あるいは2週間間隔で)複数回繰返し行なうことができる。その後、免疫した動物の血清中の抗原に対する抗体価を測定し、抗体価が十分高くなった動物を抗体産生細胞の供給原として用いれば、以後の操作の効果を高めることができる。一般的には、最終免疫後3〜5日後の動物由来の抗体産生細胞を、後の細胞融合に用いることが好ましい。
ここで用いられる抗体価の測定法としては、放射性同位元素免疫定量法(以下「RIA法」という)、固相酵素免疫定量法(以下「ELISA法」という)、蛍光抗体法、受身血球凝集反応法など種々の公知技術があげられるが、検出感度、迅速性、正確性、及び操作の自動化の可能性などの観点から、RIA法又はELISA法がより好適である。
本発明における抗体価の測定は、例えばELISA法によれば、以下に記載するような手順により行うことができる。まず、精製又は部分精製した組換えヒトTRAIL-R1及びR2をELISA用96穴プレート等の固相表面に吸着させ、さらに抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係なタンパク質、例えばウシ血清アルブミン(以下「BSA」という)により覆い、該表面を洗浄後、一次抗体として段階希釈した試料(例えばマウス血清)に接触させ、上記抗原に試料中の抗TRAIL-R1及びR2抗体を結合させる。さらに二次抗体として酵素標識されたヒト抗体に対する抗体を加えてヒト抗体に結合させ、洗浄後該酵素の基質を加え、基質分解に基づく発色による吸光度の変化等を測定することにより、抗体価を算出する。
(3)ミエローマの調製工程
ミエローマとしては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ又はヒト等の哺乳動物に由来する自己抗体産生能のない細胞を用いることが出来るが、一般的にはマウスから得られた株化細胞、例えば8-アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)ミエローマ株P3X63Ag8U.1(P3-U1)[Yelton, D.E. et al. Current Topics in Microbiology and Immunology, 81, 1-7(1978)]、P3/NSI/1-Ag4-1(NS-1) [Kohler, G. et al. European J. Immunology, 6, 511-519 (1976)]、Sp2/O-Ag14(SP-2)[Shulman, M. et al. Nature, 276, 269-270 (1978)]、P3X63Ag8.653(653)[Kearney, J. F. et al. J. Immunology, 123, 1548-1550(1979)]、P3X63Ag8(X63)[Horibata, K. and Harris, A. W. Nature, 256, 495-497 (1975)]などを用いることが好ましい。これらの細胞株は、適当な培地、例えば8-アザグアニン培地[グルタミン、2-メルカプトエタノール、ゲンタマイシン及びウシ胎児血清(以下「FCS」という)を加えたRPMI-1640培地に8-アザグアニンを加えた培地] 、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove's Modified Dulbecco's Medium;以下「IMDM」という)、又はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium;以下「DMEM」という)で継代培養するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地(例えば、10% FCSを含むDMEM培地)で継代培養し、融合当日に2×107以上の細胞数を確保しておく。
(4)細胞融合
抗体産生細胞は、形質細胞、及びその前駆細胞であるリンパ球であり、これは個体のいずれの部位から得てもよく、一般には脾、リンパ節、骨髄、扁桃、末梢血、又はこれらを適宜組み合わせたもの等から得ることができるが、脾細胞が最も一般的に用いられる。
最終免疫後、所定の抗体価が得られたマウスから抗体産生細胞が存在する部位、例えば脾臓を摘出し、抗体産生細胞である脾細胞を調製する。この脾細胞と工程(3)で得られたミエローマを融合させる手段として現在最も一般的に行われているのは、細胞毒性が比較的少なく融合操作も簡単な、ポリエチレングリコールを用いる方法である。この方法は、例えば以下の手順よりなる。
脾細胞とミエローマとを無血清培地(例えばDMEM)、又はリン酸緩衝生理食塩液(以下「PBS」という)でよく洗浄し、脾細胞とミエローマの細胞数の比が5:1〜10:1程度になるように混合し、遠心分離する。上清を除去し、沈澱した細胞群をよくほぐした後、撹拌しながら1mlの50%(w/v)ポリエチレングリコール(分子量1000〜4000)を含む無血清培地を滴下する。その後、10mlの無血清培地をゆっくりと加えた後遠心分離する。再び上清を捨て、沈澱した細胞を適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(以下「HAT」という)液及びヒトインターロイキン-6(以下「IL-6」という)を含む正常培地(以下「HAT培地」という)中に懸濁して培養用プレート(以下「プレート」という)の各ウェルに分注し、5%炭酸ガス存在下、37℃で2週間程度培養する。途中適宜HAT培地を補う。
(5)ハイブリドーマ群の選択
上記ミエローマ細胞が、8-アザグアニン耐性株である場合、すなわち、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損株である場合、融合しなかった該ミエローマ細胞、及びミエローマ細胞どうしの融合細胞は、HAT含有培地中では生存できない。一方、抗体産生細胞どうしの融合細胞、あるいは、抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマは生存することができるが、抗体産生細胞どうしの融合細胞には寿命がある。従って、HAT含有培地中での培養を続けることによって、抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマのみが生き残り、結果的にハイブリドーマを選択することができる。
コロニー状に生育してきたハイブリドーマについて、HAT培地からアミノプテリンを除いた培地(以下「HT培地」という)への培地交換を行う。以後、培養上清の一部を採取し、例えば、ELISA法により抗TRAIL-R1及びR2抗体価を測定する。ただし、ELISA用の抗原として上記融合タンパク質を用いる場合は、ヒトIgGのFc領域に特異的に結合する抗体を産生するクローンを選択しないように、該クローンを除外する操作が必要である。そのようなクローンの有無は、例えばヒトIgGのFc領域を抗原としたELISA等により確認することができる。
以上、8-アザグアニン耐性の細胞株を用いる方法を例示したが、その他の細胞株もハイブリドーマの選択方法に応じて使用することができ、その場合使用する培地組成も変化する。
(6)クローニング工程
(2)の記載と同様の方法で抗体価を測定することにより、特異的抗体を産生することが判明したハイブリドーマを、別のプレートに移しクローニングを行う。このクローニング法としては、プレートの1ウェルに1個のハイブリドーマが含まれるように希釈して培養する限界希釈法、軟寒天培地中で培養しコロニーを回収する軟寒天法、マイクロマニュピレーターによって1個ずつの細胞を取り出し培養する方法、セルソーターによって1個の細胞を分離する「ソータクローン」などが挙げられるが、限界希釈法が簡便であり、よく用いられる。
抗体価の認められたウェルについて、例えば限界希釈法によるクローニングを2〜4回繰返し、安定して抗体価の認められたものを抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
なお、本発明のヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の産生細胞であるマウス−マウスハイブリドーマH-48-2は、平成13年(2001年)5月18日付けで独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に国際寄託されている。国際寄託番号は、FERM BP-7599である。また、ハイブリドーマE-11-13は受託番号がFERM BP-7698として、ハイブリドーマF-4-8は受託番号がFERM BP-7699として、ハイブリドーマL-30-10は受託番号がFERM BP-7700として、平成13年(2001年)8月8日付けで国際寄託されている。また、ハイブリドーマ0304は受託番号がFERM BP-8037として、ハイブリドーマKMTR1は受託番号がFERM BP-8038として、平成14年(2002年)5月10日付けで国際寄託されている。したがって、例えばマウス-マウスハイブリドーマを用いて抗体を調製する場合は、工程(6)までを省略して、以下に記載する工程(7)から抗体の調製を行うことができる。また、マウスの腹水中等でのインビボで培養し、腹水から単離することもできる。
(7)ハイブリドーマ培養によるモノクローナル抗体の調製
クローニングを完了したハイブリドーマは、培地をHT培地から正常培地に換えて培養される。大量培養は、大型培養瓶を用いた回転培養、あるいはスピナー培養で行われる。この大量培養における上清を、ゲル濾過等、当業者に周知の方法を用いて精製することにより、本発明の予防又は治療剤を有効成分として含有する抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を得ることができる。また、同系統のマウス(例えばBALB/c)若しくはNu/Nuマウス、ラット、モルモット、ハムスター又はウサギ等の腹腔内で該ハイブリドーマを増殖させることにより、本発明の予防又は治療剤を有効成分として含有する抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることができる。精製の簡便な方法としては、市販のモノクローナル抗体精製キット(例えば、MAbTrap GIIキット;アマシャムファルマシアバイオテク社製)等を利用することもできる。
かくして得られるモノクローナル抗体は、ヒトTRAIL-R1及びR2に対して高い抗原特異性を有する。
(8)モノクローナル抗体の検定
かくして得られたモノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブクラスの決定は以下のように行うことができる。まず、同定法としてはオクテルロニー(Ouchterlony)法、ELISA法、又はRIA法が挙げられる。オクテルロニー法は簡便ではあるが、モノクローナル抗体の濃度が低い場合には濃縮操作が必要である。
一方、ELISA法又はRIA法を用いた場合は、培養上清をそのまま抗原吸着固相と反応させ、さらに二次抗体として各種イムノグロブリンアイソタイプ、サブクラスに対応する抗体を用いることにより、モノクローナル抗体のアイソタイプ、サブクラスを同定することが可能である。
さらに、タンパク質の定量は、フォーリンロウリー法、及び280nmにおける吸光度[1.4(OD280)=イムノグロブリン1mg/ml]より算出する方法により行うことができる。
モノクローナル抗体の認識エピトープの同定は以下のようにして行なうことができる。まず、モノクローナル抗体の認識する分子の様々な部分構造を作製する。部分構造の作製にあたっては、公知のオリゴペプチド合成技術を用いてその分子の様々な部分ペプチドを作成する方法、遺伝子組換え技術を用いて目的の部分ペプチドをコードするDNA配列を好適な発現プラスミドに組み込み、大腸菌等の宿主内外で生産する方法等があるが、上記目的のためには両者を組み合わせて用いるのが一般的である。例えば、抗原タンパク質のC末端又はN末端から適当な長さで順次短くした一連のポリペプチドを当業者に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製した後、それらに対するモノクローナル抗体の反応性を検討し、大まかな認識部位を決定する。
その後、さらに細かく、その対応部分のオリゴペプチド、又は該ペプチドの変異体等を、当業者に周知のオリゴペプチド合成技術を用いて種々合成し、本発明の予防又は治療剤が有効成分として含有するモノクローナル抗体のそれらペプチドに対する結合性を調べるか、又は該モノクローナル抗体と抗原との結合に対するペプチドの競合阻害活性を調べることによりエピトープを限定する。多種のオリゴペプチドを得るための簡便な方法として、市販のキット(例えば、SPOTsキット(ジェノシス・バイオテクノロジーズ社製)、マルチピン合成法を用いた一連のマルチピン・ペプチド合成キット(カイロン社製)等)を利用することもできる。
また、ハイブリドーマ等の抗体産生細胞からヒトモノクローナル抗体をコードする遺伝子をクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主(例えば哺乳類細胞細胞株、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞など)に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を調製することもできる(P.J.Delves., ANTIBODY PRODUCTION ESSENTIAL TECHNIQUES., 1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean., Monoclonal Antibodies., 2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS, J.W.Goding., Monoclonal Antibodies:principles and practice., 1993 ACADEMIC PRESS)。
ハイブリドーマからモノクローナル抗体をコードする遺伝子を調製するには、モノクローナル抗体の軽鎖可変領域、軽鎖定常領域、重鎖可変領域及び重鎖定常領域をそれぞれコードするDNAをPCR法等により調製する方法が採用される。プライマーは、抗TRAIL-R抗体遺伝子又はアミノ酸配列から設計したオリゴDNAを、鋳型としてはハイブリドーマから調製したDNAを使用することができる。これらのDNAを1つの適当なベクターに組み込み、これを宿主に導入して発現させるか、あるいはこれらのDNAをそれぞれ適当なベクターに組み込み、共発現させる。
ベクターには、宿主微生物で自律的に増殖し得るファージ又はプラスミドが使用される。プラスミドDNAとしては、大腸菌、枯草菌又は酵母由来のプラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージが挙げられる。
形質転換に使用する宿主としては、目的の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。
宿主への遺伝子の導入方法は公知であり、任意の方法(例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等)が挙げられる。また、後述の動物に遺伝子を導入する方法としては、マイクロインジェクション法、ES細胞にエレクトロポレーションやリポフェクション法を使用して遺伝子を導入する方法、核移植法などが挙げられる。
本発明において、抗TRAIL-R抗体は、形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、(a)培養上清、(b)培養細胞若しくは培養菌体又はその破砕物、(c)形質転換体の分泌物のいずれをも意味するものである。形質転換体を培養するには、使用する宿主に適した培地を用い、静置培養法、ローラーボトルによる培養法などが採用される。
培養後、目的タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより抗体を採取する。また、目的抗体が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる各種クロマトグラフィーを用いた一般的な生化学的方法を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から目的の抗体を単離精製することができる。
さらに、 トランスジェニック動物作製技術を用いて、目的抗体の遺伝子が内在性遺伝子に組み込まれた動物宿主、例えばトランスジェニックウシ、トランスジェニックヤギ、トランスジェニックヒツジ又はトランスジェニックブタを作製し、そのトランスジェニック動物から分泌されるミルク中からその抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可能である(Wright, G., et al. (1991) Bio/Technology 9, 830-834)。ハイブリドーマをインビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地、あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。
(9) 抗体の性質
本発明の抗体は下記のa)乃至c)の機能的特性を有し、それぞれの特性は例えば各項目に記載の方法により確認することができる:
a) ヒト癌細胞を培養し、本発明の抗体を培地に含有せしめた時の該細胞の生存率を調べた結果、TRAIL-R1及び/又はR2を発現している癌細胞にアポトーシスを誘導する活性を有する。
b) ヒト正常組織由来細胞を培養し、本発明の抗体を培地に含有せしめた時の該細胞の生存率を調べた結果、TRAIL-R1及び/又はR2を発現している正常細胞には影響を及ぼさない。
c) ヒト肝実質細胞を培養し、本発明の抗体を培地に含有せしめた時の該細胞の生存率を調べた結果、肝臓細胞傷害を誘発しない。
本発明の抗体のアポトーシス誘導活性は、LD50値(所定の実験条件において、細胞の半分に死をもたらす抗体の濃度)を指標として表すことができる。LD50値は、後述する実験条件において100μg/ml以下、好ましくは10μg/ml以下、より好ましくは0.7μg/ml以下、さらに好ましくは0.02-0.11μg/ml、最も好ましくは0.02μg/ml以下である。
また、「正常細胞に影響を及ぼさない」又は「肝臓細胞傷害を誘発しない」とは、本発明の抗体の正常細胞(ヒト肝細胞)に対するアポトーシス誘導活性が顕著に高くないことを意味する。LD50値を指標とした場合、後述する実験条件において0.01μg/ml以上、好ましくは0.1μg/ml以上、より好ましくは2-10μg/ml、さらに好ましくは10-24μg/ml、最も好ましくは24μg/ml以上である。
本発明の抗体は、上記a)〜c)のいずれかの活性を有するものであるが、好ましくは上記a)記載の活性、すなわち癌細胞に対してアポトーシスを誘導する活性と、上記b)及びc)記載の活性、すなわち正常細胞、特に正常肝実質細胞には傷害を誘発しない活性とを併せ持つ、新規な特性を有する物質である。従って、本発明の抗体は悪性腫瘍に対する予防又は治療剤に含有させるための成分として有用である。
正常細胞又は癌細胞に対するアポトーシス誘導活性はLD50値を指標として表すことができる。本発明におけるLD50値は以下のように算出できる。正常細胞(例えばヒト肝細胞)又は癌細胞(例えばヒト大腸癌細胞株Colo205; ATCC CCL-222)を培養し、本発明の抗体を培地に添加し、一定時間経過後の該細胞の生存率をMTTアッセイ(Green, L.M. et al., J.Immunological Methods, 70:257-268(1984))又はLDHアッセイなどにより測定する。
生存率と添加された抗体の濃度をプロットしたグラフから、生存率50%に相当する抗体濃度をLD50値とする。
LD50値はグラフから読み取ることも、回帰計算によりグラフ曲線の式を求めることにより算出することもできる。
癌細胞Colo205に対する試験では、96穴平底プレートの1穴あたり100μlの培地に2.5x103の細胞を播種し、37℃、5% CO2存在下で培養し、抗体を翌日添加し、前記環境下に48時間置いた後に細胞の生存率を測定した(反応液の全量:110〜120μl)。本発明においては、前記条件を「細胞数2.5x103及び反応時間48時間」と記載する。
正常細胞(肝細胞)に対する試験では、96穴平底プレートの1穴あたり100μlの培地に7.5x104の細胞を播種し、37℃、5% CO2存在下で培養し、抗体を翌日添加し、前記環境下に24時間置いた後に細胞の生存率を測定した(反応液の全量:110〜120μl)。本発明においては、前記条件を「細胞数7.5x104及び反応時間24時間」と記載する。
本発明の抗体には、上記の条件でLD50を測定したときに、正常細胞(ヒト肝細胞)に対してLD50値が例えば0.01μg/ml(10ng/ml)以上、好ましくは0.1μg/ml以上の性質を有するものが含まれる。正常細胞に対するLD50は高いほど安全性が高いといえるため、2-100μg/mlのLD50値を有する抗体がさらに好ましい。また、本発明の抗体には、上記の条件でLD50を測定したときに、癌細胞に対してLD50値が例えば100μg/ml以下、好ましくは0.7μg/ml以下の性質を有するものが含まれる。癌細胞に対するLD50は低いほど殺腫瘍細胞活性が強いといえるため、0.02-0.11μg/mlのLD50を有するものがさらに好ましい。特に、本発明のE-11-13抗体、L-30-10抗体及びKMTR1抗体は、そのヒト肝細胞に対するLD50値が2-100μg/ml 以上(例えば2-24μg/ml、好ましくは100μg/ml)、かつ、癌細胞に対するLD50値が0.02-0.11μg/mlの性質を有しており、正常細胞に対する安全性と腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導効果を併せ持っている。さらに驚くべきことに、本件発明の抗体は、マウス担癌モデルにおける腫瘍細胞の増殖を顕著に抑制した。
ここで、「細胞数7.5x104及び反応時間24時間」の条件で測定したときの正常細胞に対するLD50値と、「細胞数2.5x103及び反応時間48時間」の条件で測定したときの癌細胞に対するLD50値との比について検討してみる。前記の通り、正常細胞に対するLD50は高いほど安全性が高く、癌細胞に対するLD50は低いほど殺腫瘍細胞活性が強いため、正常細胞に対するLD50値は、癌細胞に対するLD50と比較して、その比は大きいほど有用であるといえる(安全性が高く、癌細胞に対するアポトーシス誘導活性が強い)。癌細胞に対する正常細胞のLD50の比(正常細胞に対するLD50が癌細胞に対するLD50の何倍あるか)をN/C比とすると、本発明の抗体は、N/C=2以上、すなわち正常細胞に対するLD50が癌細胞に対するLD50の2倍以上の性質を有するものである。好ましくは、正常細胞に対するLD50が癌細胞に対するLD50の10倍以上(N/C=10以上)、より好ましくはN/C=10-25であり、以下、順に好ましい範囲がN/C=50、N/C=50以上、N/C=50から100、N/C=100以上、N/C=100から1000となり、さらに好ましくはN/C=250から1000であり、そして最も好ましくはN/C=1000以上である。
医薬組成物
本発明のヒト抗TRAIL-R1及びR2抗体の精製された製剤を含有する製剤もまた、本発明の範囲内に含まれる。このような製剤は、好ましくは、抗体に加えて、生理学的に許容され得る希釈剤又はキャリアを含んでおり、他の抗体又は抗生物質のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、及び緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、抗体は凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要とされるときに上記のような緩衝水溶液を添加することにより再構成して使用してもよい。かかる予防又は治療剤は、種々の形態で投与することができ、それらの投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、又は、注射剤、点滴剤、坐薬等による非経口投与を挙げることができる。
その投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、通常、経口投与では、成人に対して、1日約0.01mg乃至1000mgであり、これらを1回、又は数回に分けて投与することができる。また、非経口投与では、1回約0.01mg乃至1000mgを皮下注射、筋肉注射又は静脈注射によって投与することができる。
本発明の抗体又は医薬組成物は、TRAIL-R1及びR2を発現している細胞に起因する可能性を有する種々の疾患又は症状の治療又は予防への適用が可能である。その疾患又は症状としては、各種悪性腫瘍が挙げられる。
腫瘍の種類は、大腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、脳腫瘍、黒色腫、腎細胞癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、胃癌、膵臓癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肝臓癌、頭頚部扁平上皮癌、皮膚癌、尿路癌、前立腺癌、絨毛癌、咽頭癌、喉頭癌、きょう膜腫、男性胚腫、子宮内膜過形成、子宮内膜症、胚芽腫、線維肉腫、カポジ肉腫、血管腫、海綿状血管腫、血管芽腫、網膜芽腫、星状細胞腫、神経線維腫、稀突起謬腫、髄芽腫、神経芽腫、神経膠腫、横紋筋肉腫、謬芽腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、甲状肉腫又はウィルムス腫瘍等であり、本発明の抗体を適用する際の腫瘍は1種類に限られず、複数種類の腫瘍が併発したものでもよい。
製剤例
本発明の分子は、水又はそれ以外の薬理学的に許容し得る溶液に溶解した無菌性溶液又は懸濁液のアンプルとして使用に供される。また、無菌粉末製剤(本発明の分子を凍結乾燥するのが好ましい)をアンプルに充填しておき、使用時に薬理学的に許容し得る溶液で希釈してもよい。
以下、実施例を以て本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がその実施例に記載される態様のみに限定されるものではない。
実施例1 抗原の調製
ヒトTRAIL-R1及びR2が細胞膜上に過剰発現している細胞を得るため、ヒトTRAIL-R1及びR2の全長アミノ酸から細胞内領域のデスドメイン及びデスドメインよりC末端側のアミノ酸を除いたヒトTRAIL-R1及びヒトTRAIL-R2(以下「TRAIL-R1及びR2delta」という)発現プラスミドベクターを作製した。TRAIL-R1及びR2deltaをコードするDNAは、PCR法により作製した。
a)全長ヒトTRAIL-R1及びR2発現ベクターの調製
鋳型PCRを行うにあたり、鋳型として用いたのは、ヒトTRAIL-R1及びR2をコードするcDNAを保持するプラスミドベクターpcDNA3-TRAIL-R1及びpcDNA3-TRAIL-R2である。pcDNA3-TRAIL-R1及びpcDNA3-TRAIL-R2は以下の方法で作製された。完全長ヒトTRAIL-R1 DNA及びTRAIL-R2 DNAを、その5’末端にEcoRI配列を、その3’末端にNotI配列と終止コドンを付加する為のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い修飾した。ヒト胎盤由来cDNA(Clontech社製)を鋳型として、TRAIL-R1についてはプライマーとして:5'-CACGAATTCACCATGGCGCCACCACCAGCT-3'(配列番号1)及び5'-TTTCTCGAGGCGGCCGCTTATCACTCCAAGGACACGGCAGAGCCTGTG-3'(配列番号2)を、TRAIL-R2についてはプライマーとして:5'-CACGAATTCGCCACCATGGAACAACGGGGACAG-3'(配列番号3)及び5'-TTTCTCGAGGCGGCCGCTCATTAGGACATGGCAGAGTCTGCATTACCT-3'(配列番号4)を合成し、プラチナPfxDNAポリメラーゼ(ギブコ・ビーアールエル社製)を使用して、(94℃、20秒;60℃、30秒;68℃、90秒間)×30サイクルのPCR反応を行った。修飾されたTRAIL-R1及びTRAIL-R2配列を、EcoRI-NotI断片として単離し、同一酵素で解裂されていたpcDNA3(Invitrogen社製)ベクターに連結した。得られたプラスミドをpcDNA3-TRAIL-R1及びpcDNA3-TRAIL-R2と命名した。pcDNA3-TRAIL-R2に組み込まれたTRAIL-R2は、選択的スプライシングにより形成された2つの断片の中で、1320bpのcDNAにコードされる440アミノ酸から成るものである。以下、実施例中のすべてのPCRの反応温度調節は、ジーンアンプPCRシステム9700;(株)パーキンエルマー・ジャパン社製を使用した。
b)ヒトTRAIL-R1及びR2delta発現ベクターの調製
ヒトTRAIL-R1及びR2delta発現ベクターを以下の方法にて調製した。1-351のアミノ酸配列を持つTRAIL-R1部分ペプチド、及び、1-348のアミノ酸配列を持つTRAIL-R2部分ペプチドからなる発現プラスミドを作製するために、TRAIL-R1及びR2部分ペプチドの5’末端にEcoRI配列、3’末端にNotI配列と終止コドンを付加する為のPCR反応を行った。PCRは、TRAIL-R1についてはオリゴヌクレオチドプライマー5'-CACGAATTCACCATGGCGCCACCACCAGCT-3'(配列番号1)及び5'-TTCTACGAGCGGCCGCTTATCACAGCCTCCTCCTCTGAGA-3'(配列番号5)を、TRAIL-R2についてはオリゴヌクレオチドプライマー5'-CACGAATTCGCCACCATGGAACAACGGGGACAG-3'(配列番号3)及び5'-TTCTACGAGCGGCCGCTTATCACAAGTCTGCAAAGTCATC-3'(配列番号6)を、プラチナPfxDNAポリメラーゼ(ギブコビーアールエル社製)、及びpcDNA3-TRAIL-R1、pcDNA3-TRAIL-R2を使用して、(94℃、20秒;65℃、30秒;及び68℃、75秒間)× 25サイクルの条件で行った。修飾されたTRAIL-R1及びR2の部分ペプチドを、EcoRI-NotI断片として単離した。そしてこのEcoRI-NotI断片をEcoRIとNotI酵素で解裂したpEFneoベクターに連結した。得られたプラスミドをpEF-TRAIL-R1delta及びpEF-TRAIL-R2deltaと命名した。
c)ヒトTRAIL-R1及びR2delta発現細胞の作製
b)で作製したpEF-TRAIL-R1delta及びpEF-TRAIL-R2deltaを、LipofectAMINE Plus(ギブコビーアールエル社製)を用いて、L929細胞(American Type Culture Collection No.CCL-1)に導入した。遺伝子導入はマニュアルの方法にて行った。細胞培養用フラスコ(培養面積75cm2)中で37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、G418(ギブコビーアールエル社製)を1mg/mlになるように加え、1週間培養した。次いで、ヤギ抗ヒトTRAIL-R1ポリクローナル抗体及びヤギ抗ヒトTRAIL-R2ポリクローナル抗体(DAKO社製)を用いたFACS解析を行い、遺伝子導入された細胞でG418耐性の形質を獲得したものは、351アミノ酸からなるTRAIL-R1delta及び348アミノ酸からなるTRAIL-R2deltaを細胞膜表面上に発現していることを確認した。
PCR用プライマー等のオリゴヌクレオチドの合成は、全てDNA自動合成機(モデル3948;(株)パーキンエルマー・ジャパン・アプライドバイオシステムズ事業部製)を用いて、そのマニュアルに従って行った[Matteucci,M.D. and Caruthers,M.H.(1981) J.Am.Chem.Soc.103,3185-3191 参照]。各オリゴヌクレオチドは合成終了後、支持体から開裂させ脱保護を行い、得られた溶液を乾固した後蒸留水に溶解し、使用するまで-20℃で凍結保存した。
実施例2 ヒト抗体産生マウスの作製
免疫に用いたマウスは、内因性Ig重鎖及びκ軽鎖破壊の両者についてホモ接合体の遺伝的背景を有しており、かつ、ヒトIg重鎖遺伝子座を含む14番染色体断片(SC20)及びヒトIgκ鎖トランスジーン(KCo5)を同時に保持する。このマウスはヒトIg重鎖遺伝子座を持つ系統Aのマウスと、ヒトIgκ鎖トランスジーンを持つ系統Bのマウスとの交配により作製した。系統Aは、内因性Ig重鎖及びκ軽鎖破壊の両者についてホモ接合体であり、子孫伝達可能な14番染色体断片 (SC20)を保持するマウス系統であり、例えば富塚らの報告(Tomizuka. et al., Proc Natl Acad Sci USA., 2000 Vol97:722)に記載されている。また、系統Bは内因性Ig重鎖及びκ軽鎖破壊の両者についてホモ接合体であり、ヒトIgκ鎖トランスジーン(KCo5)を保持するマウス系統(トランスジェニックマウス)であり、例えばFishwildらの報告(Nat Biotechnol., 1996 Vol14:845)に記載されている。
系統Aの雄マウスと系統Bの雌マウス、あるいは系統Aの雌マウスと系統Bの雄マウスの交配により得られる子マウスを富塚らの報告(Tomizuka et al., Proc Natl Acad Sci USA., 2000 Vol97:722)に記載された方法で解析し、血清中にヒトIg重鎖及びκ軽鎖が同時に検出される個体(ヒト抗体産生マウス)を選抜し(Ishida&Lonberg, IBC's 11th Antibody Engineering, Abstract 2000;Ishida, I. et al., Cloning & Stem Cells 4, 85-96 (2002))、以下の免疫実験に用いた。免疫実験には、上記マウスの遺伝的背景を改変したマウスなど(石田 功 (2002) 実験医学 20, 6, 846-851)も用いた。なお、前記ヒト抗体産生マウスは、契約を結ぶことによって、麒麟麦酒株式会社より入手可能である。
実施例3 ヒトTRAIL-R1及びR2に対するヒトモノクローナル抗体の調製
本実施例におけるモノクローナル抗体の作製は、単クローン抗体実験操作入門(安東民衛ら著作、講談社発行 1991)等に記載されるような一般的方法に従って調製した。免疫原としてのヒトTRAIL-R1及びR2は、実施例1で調製したTRAIL-R1及びR2delta発現L929細胞、又はヒトTRAIL-R1及びR2の細胞外領域とヒトIgG1のFc領域とが融合したタンパク質を用いた。被免疫動物は、実施例2で作製したヒト免疫グロブリンを産生するヒト抗体産生マウスを用いた。
ヒトTRAIL-R1に対するヒトモノクローナル抗体の調製を目的として、ヒト抗体産生マウスに、実施例1で作製したTRAIL-R1delta発現L929細胞(3×106細胞/匹)を右足蹠に初回免疫した。初回免疫から以降、同細胞を左右足蹠交互に、3日間毎に10回免疫した。さらに以下に述べる脾臓及びリンパ節の取得3日前に同細胞を両足蹠に免疫した。ヒトTRAIL-R2に対するヒトモノクローナル抗体の調製を目的として、ヒト抗体産生マウスに、実施例1で作製したTRAIL-R2delta発現L929細胞(1×107細胞/匹)を腹腔内に初回免疫した。初回免疫から以降、同細胞を腹腔内に、1週間毎に5回または6回免疫した。さらに以下に述べる脾臓の取得3日前に同細胞、またはヒトTRAIL-R2の細胞外領域とヒトIgG1のFc領域とが融合したタンパク質を尾静脈に免疫した。また、ヒト抗体産生マウスにヒトTRAIL-R2の細胞外領域とヒトIgG1のFc領域とが融合したタンパク質を完全フロイントアジュバンドと混合して皮下に初回免疫し、以降同タンパク質を不完全フロイントアジュバンドと混合して皮下に2週間毎に2回免疫し、さらに以下に述べる脾臓の取得3日前に同タンパク質を尾静脈に免疫した。
免疫されたマウスから脾臓及び/又はリンパ節を外科的に取得し、350mg/ml 炭酸水素ナトリウム、50単位/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシンを含む無血清DMEM培地(ギブコビーアールエル社製)(以下「無血清DMEM培地」という)10ml中に入れ、メッシュ(セルストレイナー:ファルコン社製)上でスパーテルを用いてつぶした。メッシュを通過した細胞懸濁液を遠心して細胞を沈澱させた後、この細胞を無血清DMEM培地で2回洗浄してから、無血清DMEM培地に懸濁して細胞数を測定した。一方、10% FCS(シグマ社製)を含むDMEM培地(ギブコ・ビーアールエル社製)(以下「血清入りDMEM培地」という)にて、37℃、5%炭酸ガス存在下で細胞濃度が1×108細胞/mlを越えないように培養したミエローマ細胞 SP2/0(ATCC No.CRL-1581)を同様に無血清DMEM培地で洗浄し、無血清DMEM培地に懸濁して細胞数を測定した。回収した細胞の懸濁液とマウスミエローマ懸濁液とを細胞数5:1で混合し、遠心後、上清を完全に除去した。このぺレットに、融合剤として50%(w/v) ポリエチレングリコール1500(ベーリンガーマンハイム社製)1mlを、ピペットの先でぺレットを撹拌しながらゆっくり添加した後、予め37℃に加温しておいた無血清DMEM培地1mlを2回に分けてゆっくり添加し、さらに7mlの無血清DMEM培地を添加した。遠心後、上清を除去して得られた融合細胞を、以下に記載する限界希釈法によるスクリーニングに供した。ハイブリドーマの選択は、10%のウシ胎児血清(Fetal Calf Serum、FCS)とヒポキサンチン(H)、アミノプテリン(A)、チミジン(T)(以下「HAT」という。:シグマ社製)を含有するDMEM培地中で培養することにより行った。さらに、10% FCSとHT(シグマ社製)とを含有するDMEM培地を用いて限界希釈法によりシングルクローンにした。培養は、96穴マイクロタイタープレート(ベクトンディッキンソン社製)中で行った。抗ヒトTRAIL-R1及びR2ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンの選択(スクリーニング)及び各々のハイブリドーマが産生するヒトモノクローナル抗体の特徴付けは、後述する酵素標識免疫吸着アッセイ(ELISA)及び蛍光活性化セルソーター(FACS)、あるいは癌細胞に対する細胞死誘導活性を測定することにより行った。
実施例4及び実施例5に述べるELISA、並びに実施例6で記載するFACS解析により、ヒト免疫グロブリンγ鎖(hIgγ)及びヒト免疫グロブリン軽鎖κを有し、かつヒトTRAIL-R1及び/又はR2に特異的な反応性を有するヒトモノクローナル抗体を産生する多数のハイブリドーマを得た。なお、本実施例を含め以下のいずれの実施例中、並びに実施例における試験結果として示した表又は図中においては、各々の本発明のヒト抗ヒトTRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンは記号を用いて命名した。また、当該記号の前後に「抗体」を付したものは、それぞれのハイブリドーマにより産生される抗体、または当該ハイブリドーマから単離された抗体遺伝子(全長あるいは可変領域)を保持する宿主細胞により生産された組換え抗体を意味する。また文脈上明らかな範囲において、ハイブリドーマクローンの名称が抗体の名称をあらわす場合がある。以下のハイブリドーマクローンはシングルクローンを表す:1-13、1-18、1-32、1-40、1-43、2-6、2-11、2-12、2-18、2-47、2-52、3-1、3-7、3-10、3-23、3-33、3-42、3-53、1-13-6、1-32-9、1-40-4、1-43-43、2-6-48、2-11-5、2-12-10、2-47-11、2-52-12、3-10-19、3-23-8、3-33-7、3-42-3、3-53-15、2-18-2、3-1-7、E-11、E-14、L-30、N-18、X-14、E-11-13、E-14-4、F-4-2、F-4-8、H-48-2、L-30-10、N-18-12、W-40-5、X-14-4、X-51-4、X-51-12、A-11、G-3、H-34、I-22、I-35、J-21、J-26、K-8、K-16、K-57、L-4、P-28、P-36、W-42、X-13、X-60、Z-23、1-39、A-4-27、A-4-29、G-3-10、H-34-2、K-57-12 W-42-2、0304、0322、KMTR1及びD1M。それらのうちH-48-2は、平成13年(2001年)5月18日付けで独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に国際寄託した。国際寄託番号は、FERM BP-7599である。また、E-11-13、 F-4-8及びL-30-10は、平成13年(2001年)8月8日付けで上記寄託センターに国際寄託した。国際寄託番号は、E-11-13がFERM BP-7698であり、F-4-8がFERM BP-7699であり、L-30-10がFERM BP-7700である。また、E-11-13、F-4-8およびL-30-10は、平成13年(2001年)10月11日付けで上記寄託センターに国際寄託した。国際寄託番号は、E-11-13がFERM BP-7770であり、F-4-8がFERM BP-7768であり、L-30-10がFERM BP-7769である。また、0304およびKMTR1は、平成14年(2002年)5月10日付けで上記寄託センターに国際寄託した。国際寄託番号は、0304がFERM BP-8037であり、KMTR1がFERM BP-8038である。
実施例4 ヒト免疫グロブリン軽鎖κ(Igκ)を有する、ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体又はヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の検出
ヒトTRAIL-R1及びR2の細胞外領域とヒトIgG1のFc領域とが融合したタンパク質(以下、それぞれ「TRAIL-R1-hFc」、「TRAIL-R2-hFc」という。(ALEXIS社製。TRAIL-R2-hFcに関しては、TRAIL-R2の細胞外領域として1-183アミノ酸からなるものも使用))を0.5μg/ml リン酸緩衝生理食塩水(以下「PBS」という。)に調製したものを50μlずつ、ELISA用96穴マイクロプレート(Maxisorp、ヌンク社製)の各ウェルに加え、室温で1時間あるいは4℃で一晩インキュベートし、TRAIL-R1-hFc又はTRAIL-R2-hFcをマイクロプレートに吸着させた。次いで、上清を捨て、各ウェルにブロッキング試薬(SuperBlock(登録商標) Blocking Buffer、PIERCE社製)を加え、室温で30分間インキュベートし、TRAIL-R1-hFc又はTRAIL-R2-hFcが結合していない部位をブロックした。このようにして、各ウェルをTRAIL-R1-hFc又はTRAIL-R2-hFcでコーティングしたマイクロプレートを作製した。
各ウェルに、各々のハイブリドーマの培養上清(50μl)を加え、室温下で1時間反応させた後、各ウェルを0.1% Tween20含有PBS(PBS-T)で2回洗浄した。次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたヤギ抗ヒトIgκ抗体(50μl/ウェル、Biosource International社製)を10%ブロックエース (大日本製薬株式会社製)含有PBS-Tで2000倍に希釈した溶液を、各ウェルに50μl加え、室温下30分インキュベートした。マイクロプレートを、PBS-Tで3回洗浄後、TMB発色基質液(DAKO社製)を各ウェルに100μlずつ加え、室温下で20分間インキュベートした。各ウェルに0.5M硫酸(100μl/ウェル)を加え、反応を止めた。波長450nm(参照波長570nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(MTP-300、コロナ電気社製)で測定した。また、ハイブリドーマ0304、0322、KMTR1及びD1Mの作製する抗体は、実施例10に記載の方法を用いて取得した精製抗体により上記実験を行った。その結果、得られた抗ヒトTRAIL-R1及びR2抗体のうち一部の抗体の性質を表1及び表2に示す。表1は、取得したヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体のサブクラス及び交差反応性を示す表である。表2は、取得したヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体のサブクラス及び交差反応性を示す表である。
Figure 2005168497
Figure 2005168497
実施例5 各モノクローナル抗体のサブクラス同定
実施例4と同様の方法により、各ウェルをTRAIL-R1-hFc又はTRAIL-R2-hFcでコーティングしたマイクロプレートを作製した後に、各ウェルをPBS-Tで2回洗浄した。TRAIL-R1-hFc又はTRAIL-R2-hFcをコーティングしたマイクロプレートの各ウェルに、実施例4で取得した各々のハイブリドーマの培養上清(50μl)を加え、1時間反応させた後、各ウェルをPBS-Tで2回洗浄した。次いで、各ウェルにそれぞれ西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたヒツジ抗ヒトIgG1抗体、ヒツジ抗ヒトIgG2抗体、ヒツジ抗ヒトIgG3抗体又はヒツジ抗ヒトIgG4抗体(各2000倍希釈、50μl/ウェル、The Binding Site社製)を加え、室温下で1時間インキュベートした。PBS-Tで3回洗浄後、基質緩衝液(TMB、100μl/ウェル、DAKO社製)を各ウェルに加え、室温下で20分間インキュベートした。次いで、0.5M硫酸(100μl/ウェル)を加え、反応を止めた。波長450nm(参照波長570nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(MTP-300,コロナ電気社製)で測定した。また、ハイブリドーマ0304、0322、KMTR1及びD1Mの作製する抗体は、実施例10に記載の方法を用いて取得した精製抗体により上記実験を行った。その結果を前記表1及び表2に示す。
実施例6 TRAIL-R1及びR2発現細胞に対する各モノクローナル抗体の反応試験
実施例1で調製したTRAIL-R1delta発現L929細胞及びTRAIL-R2delta発現L929細胞に対する、実施例4で取得した各モノクローナル抗体の反応性の検討を、FACS解析で行った。2×106/mlの濃度で、L929細胞、TRAIL-R1delta発現L929細胞、TRAIL-R2delta発現L929細胞を、1%ウサギ血清入り、0.1%NaN3、1%FCS含有PBSのStaining Buffer(SB)に浮遊させた。細胞浮遊液(100μl/ウェル)を96穴丸底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。遠心分離(2000rpm、4℃、2分)した後、上清を除去し、実施例3で培養したハイブリドーマの培養上清(50μl)を加えて撹拌し、氷温下30分間静置してから、遠心分離(2000rpm、4℃、2分)して上清を除去した。ペレットを100μl/ウェルのSBで2回洗浄した後、0.0125mg/mlのRPE蛍光標識ウサギ抗ヒトIgκ F(ab')2抗体(DAKO社製)30μlを加え、氷温下30分間インキュベートした。SBで2回洗浄した後、300μlのSBに懸濁し、FACS(FACScan、ベクトンディッキンソン社製)で各細胞の蛍光強度を測定した。その結果、いずれの抗体もTRAIL-R1delta発現L929細胞又はTRAIL-R2delta発現L929細胞にのみ強い結合活性を有し、L929細胞への結合活性は認められなかったことから、TRAIL-R1及びTRAIL-R2と特異的に結合する抗体であることがわかった。
実施例7 癌細胞に対する細胞死誘導活性
実施例3または実施例4乃至実施例6から得られたヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体又はヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清を用いて、大腸癌細胞であるColo205(ATCC No. CCL-222)に対する細胞死誘導活性を測定した。10%FCSを含むRPMI培地で培養していたColo205細胞を2.5×104/mlの濃度に調製し、各ウェル100μlずつを96穴平底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、ハイブリドーマ培養上清を50μl/ウェルで加え、さらに、ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体又はヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体がIgGの場合、終濃度5μg/mlになるようにヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体(シグマ社製)を各ウェルに10μlずつ加えた。取得したハイブリドーマの一部について、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加しないウェルも作製した。陽性コントロールとして、ヒト組換えTRAILタンパク質(DAKO社製)を終濃度100ng/mlで使用した。陰性コントロールとして、ヒトIgG(Biogenesis社製)を使用した。37℃、5.0%炭酸ガス下で48時間培養した後、MTS試薬(Cell Titer 96 AQUEOUS Non-Radioactive Cell Proliferation Assay:プロメガ社製)を説明書の方法に従い調製し、各ウェルに20μlずつ添加した。さらに37℃、5.0%炭酸ガス下で2時間培養した後、波長490nm(参照波長630nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(1420 ARVO マルチラベルカウンター:WALLAC社製)で測定し、ミトコンドリアの還元能を指標として、細胞の生存率を算定した。各ウェルの細胞の生存率を、下記式により算出した:生存率(%)=100×(a-b)/(c-b)(式中、aは被検ウエルの測定値を、bは無細胞ウエルの測定値を、cは陰性コントロールのウエルの測定値をそれぞれ表わす)。結果を図1〜3並びに表3及び4に示す。表3は、ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中の、Colo205及びヒト正常肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す表であり、表4は、ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中の、Colo205及びヒト正常肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す表である。
Figure 2005168497
Figure 2005168497
その結果、ヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体は、陰性コントロールと比較して明らかにColo205細胞に細胞死を誘導する活性があることが明らかとなった。さらに、IgGである一部のヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体では、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体非存在下(ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体のクロスリンクが無い状態)においても細胞死を誘導する活性があることが示された。
実施例8 正常細胞に対する細胞死誘導活性
実施例4乃至6から得られた、ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清を用いて、正常ヒト臍帯静脈内皮細胞であるHUVEC(Biowhittaker社製)に対する細胞死誘導活性を測定した。EGM-2培地(Biowhittaker社製)で培養していたHUVEC細胞を5×104/mlの濃度に調製し、各ウェル100μlずつを96穴平底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、ハイブリドーマ培養上清を50μl/ウェルで加え、さらに、ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体又はヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体がIgGの場合、終濃度5μg/mlになるようにヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体(シグマ社製)を各ウェルに10μlずつ加えた。陰性コントロールとして、ヒトIgG(Biogenesis社製)を使用した。37℃、5.0%炭酸ガス下で48時間培養した後、MTS試薬(Cell Titer 96 AQUEOUS Non-Radioactive Cell Proliferation Assay:プロメガ社製)を説明書の方法に従い調製し、各ウェルに20μlずつ添加した。さらに37℃、5.0%炭酸ガス下で2時間培養した後、波長490nm(参照波長630nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(1420 ARVO マルチラベルカウンター:WALLAC社製)で測定し、ミトコンドリアの還元能を指標として、細胞の生存率を算定した。各ウェルの細胞の生存率は実施例7と同様な式により算出した。
結果を図4に示す。ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体と陰性コントロールとの結果はほぼ同一となり、ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体がHUVEC細胞に対して傷害性を示さないことが明らかとなった。
実施例9 ヒト正常肝実質細胞に対する細胞死誘導活性
実施例4乃至6から得られたヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清を用いて、正常ヒト肝実質細胞Human Hepatocyte(以下「HH細胞」という)(Tissue Transformation Technologies社製)に対する細胞死誘導活性を測定した。まず凍結HH細胞を37℃で融解し、CM5300培地(CEDRA社製)を用いて7.5×105/mlの濃度に調製した後に、各ウェル100μlずつをコラーゲンタイプIがコートされている96穴平底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。37℃、5.0%炭酸ガス下で4.5時間培養した後、培地の交換を行った。さらに37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養し、再度培地の交換を行った。その後、ハイブリドーマ培養上清を50μl/ウェルで加え、さらに、終濃度5μg/mlになるようにヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体(シグマ社製)を各ウェルに10μlずつ加えた。陰性コントロールとして、ヒトIgG(Biogenesis社製)を使用した。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、顕微鏡下でHH細胞の形態的変化を観察した。その結果、ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体と陰性コントロールとの結果はほぼ変わりないことから、ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体がHH細胞に対しても傷害性を示さないことが明らかとなった。
実施例10 各抗体の調製
実施例4または実施例6乃至7から得られたハイブリドーマの培養上清からのヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体の精製は以下の方法で行った。ヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を含む培養上清をrmp Protein A(アマシャムファルマシアバイオテク社製)及び0.8×40cm カラム(バイオラッド社製)を用い、吸着緩衝液としてPBS、溶出緩衝液として0.02M グリシン緩衝液(pH 3)を用いてアフィニティー精製した。溶出画分は1M Tris (pH 9.0)を添加してpH7.2付近に調整した。調製された抗体溶液は、透析膜(10000カット、Spectrum Laboratories社製)を用いてPBSに置換し、孔径0.22μm のメンブランフィルターMILLEX-GV(ミリポア社製)でろ過滅菌し、精製ヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を得た。精製抗体の濃度は280nmの吸光度を測定し、1mg/ml を1.4 OD として算出した。
ヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体を含む培養上清の調製は以下の方法にて行った。まず、ヒト抗TRAIL-R1及びR2モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを10ng/ml Recombinant Human IL-6(R&D Systems社製)、10% Low IgG Fetal Bovine Serum(HyClone社製)含有eRDF培地(極東製薬社製)に馴化した。この馴化したハイブリドーマを凍結保存した。次に、その一部を抗体精製を目的として、ウシインシュリン(5μg/ml、ギブコビーアールエル社製)、ヒトトランスフェリン(5μg/ml、ギブコビーアールエル社製)、エタノールアミン(0.01mM、シグマ社製)、亜セレン酸ナトリウム(2.5x10-5mM、シグマ社製)、10ng/ml Recombinant Human IL-6(R&D Systems社製)、1% Low IgG Fetal Bovine Serum(HyClone社製)含有eRDF培地(極東製薬社製)に馴化した。フラスコにて培養し、ハイブリドーマの生細胞率が90%になった時点で培養上清を回収した。回収した上清は、10μm と0.2μmのフィルター(ゲルマンサイエンス社製)に供し、ハイブリドーマ等の雑排物を除去した。
実施例11 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体による、癌細胞及びヒト正常肝実質細胞に対する細胞死誘導活性
実施例10から得られた精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を用いて、大腸癌細胞であるColo205(ATCC No. CCL-222)に対する細胞死誘導活性を測定した。10% FCSを含むRPMI培地で培養していたColo205細胞を2.5×104/mlの濃度に調製し、各ウェル100μlずつを96穴平底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、精製抗体を終濃度10、100、1000ng/mlになるように10μl/ウェルで加え、さらにヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体(シグマ社製)を終濃度10μg/mlになるように、各ウェルに10μlずつ加えた。取得したハイブリドーマの一部について、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加しないウェルを作製した。陽性コントロールとして、ヒト組換えTRAILタンパク質(R&D SYSTEMS社製)を終濃度0.1、1、10ng/mlで使用した。陰性コントロールとして、ヒト抗HSA抗体を使用した。37℃、5.0%炭酸ガス下で48時間培養し、抗体と細胞表面の受容体を反応させた。ひとつの反応系あたりの容量は120μlであった。なお、0304とKMTR1については、クロスリンカーであるヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的モノクローナル抗体を加えない実験(表5において(単独)と記載)も行った。この場合のひとつの反応系あたりの容量は110μlであった。培養の後、MTS試薬(Cell Titer 96 AQUEOUS Non-Radioactive Cell Proliferation Assay:プロメガ社製)を説明書の方法に従い調製し、各ウェルに20μlずつ添加した。さらに37℃、5.0%炭酸ガス下で2時間培養した後、波長490nm(参照波長630nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(1420 ARVO マルチラベルカウンター:WALLAC社製)で測定し、ミトコンドリアの還元能を指標として、細胞の生存率を算定した。各ウェルの細胞の生存率は実施例7と同様な式により算出した。
次に、実施例10から得られたヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を用いて、HH細胞(Tissue Transformation Technologies社製、In Vitro Technologies社製)に対する細胞死誘導活性を測定した。まず凍結HH細胞を37℃で融解し、CM5300培地(CEDRA社製)を用いて7.5×105/mlの濃度に調製した後に、各ウェル100μlずつをコラーゲンタイプIがコートされている96穴平底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。37℃、5.0%炭酸ガス下で4.5時間培養した後、培地の交換を行った。さらに37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養し、培地を無血清培地(インシュリン(20μg/ml、シグマ社製)、グルカゴン(7ng/ml、シグマ社製)、ハイドロコルチゾン(7.5μg/ml、シグマ社製)、ヒトEGF(20ng/ml、ベクトンディッキンソン社製)含有DMEM培地(シグマ社製))又はCM5300培地へ交換した。その後、精製抗体を終濃度0.1、1、10μg/mlになるように10μl/ウェルで加え、さらにヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体(シグマ社製)を終濃度10、100μg/mlになるように各ウェルに10μlずつ加えた。取得したハイブリドーマの一部について、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加しないウェルを作製した。陰性コントロールとしてヒト抗HSA抗体を使用した。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養し、抗体と細胞表面の受容体を反応させた。ひとつの反応系あたりの容量は120μlであった。なお、0304とKMTR1については、クロスリンカーであるヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的モノクローナル抗体を加えない実験(表5において(単独)と記載)も行った。この場合のひとつの反応系あたりの容量は110μlであった。培養の後、PBSでHH細胞を2回洗浄し、各ウェルにPBSを100μl加え、さらにTriton X-100を終濃度0.8%になるように10μl/ウェルで加えた。37℃で1時間静置し生きているHH細胞を溶解させ、可溶化液50μl/ウェルを異なる96穴平底プレートへ移しLDHアッセイに供した。LDHアッセイ用試薬(CytoTox 96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay:プロメガ社製)を説明書の方法に従い調製し、各ウェルに50μlずつ添加した。プレートを遮光し、室温で30分間静置した後、反応停止液(1M 酢酸:プロメガ社製)を50μl/ウェルで加え、波長492nmでの吸光度をマイクロプレートリーダー(1420 ARVO マルチラベルカウンター:WALLAC社製)にて測定した。LDHの酵素活性を指標として、細胞の生存率を算定した。各ウェルの細胞の生存率は実施例7と同様な式により算出した。
さらに、算出した生存率を用いて以下の方法でLD50値を計算した。算出した生存率を縦軸、細胞に添加した抗体の濃度を横軸にとったグラフに、各抗体濃度における生存率をプロットし、プロットした点で隣り合うものを結び曲線を引いた。この曲線を表す式を回帰計算により求め、その式から生存率が50%に該当する抗体濃度を計算し、LD50値とした。
結果を図5a〜l並びに表5に示す。図5において、黒丸で実線(−●−)は正常ヒト肝実質細胞を、ひし形で点線(--◆--)はColo205細胞を表わす。また、図5k、図5lはヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加しない実験の結果を示す。表5は、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の大腸癌細胞Colo205、及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性(LD50値)を示す表である。大腸癌細胞Colo205に対するLD50値は、96穴平底プレートの1穴当たり100μlの培地に2.5×103の細胞を播種し、翌日精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を細胞に加え、該抗体との反応時間が48時間を経過した時のLD50値である。正常ヒト肝実質細胞に対するLD50値は、96穴平底プレートの1穴当たり100μlの培地に7.5×104の正常細胞(ヒト肝細胞)を播種し、翌日精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を正常細胞(ヒト肝細胞)に加え、該抗体との反応時間が24時間を経過した時のLD50値である。精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体は、陰性コントロールと比較して明らかにColo205細胞に細胞死を誘導する活性があることが明らかとなった。さらに、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体E-11-13、L-30-10、KMTR1は、ヒト組換え型TRAILや精製抗体H-48-2と比較して、ヒト正常肝実質細胞に対する毒性が低いことが明らかとなった。
また、KMTR1は実施例4の結果よりTRAIL-R1とTRAIL-R2との両レセプターに結合することが明らかとなっており、この抗体はTRAIL-R1とTRAIL-R2とのどちらのレセプターを介しても細胞死誘導のシグナルを入れることが期待できる。
ここで、L-30-10は10μg/mlを肝細胞に添加しても生存率50%以上を示したことから、L-30-10のLD50は10μg/ml以上である。抗体濃度及び生存率をプロットしたグラフから回帰計算によりLD50を求めたところ、24μg/mlと算出された。また、F-4-8は0.1μg/mlを肝細胞に添加した時点で生存率が50%以下であったことから、F-4-8のLD50は0.1μg/ml以下である。L-30-10と同様に回帰計算に基づいてLD50を計算した結果、0.002μg/mlと算出された。KMTR1及びD1MのLD50は、ともに10μg/ml以上であることを確認した。また、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加していない時(以下「単独の時」とする)、KMTR1は100μg/mlの抗体量を添加しても肝臓細胞の生存率が50%を下回ることは無かったことから、単独の時のLD50は100μg/ml以上であることを確認した。
次に、正常ヒト肝細胞のLD50がColo205細胞のLD50の何倍であるか、その比(N/C比)を求めた。その結果、精製抗体E-11-3はN/C=25.45(10倍以上)、D1MはN/C=67以上(10倍以上)、0304単独の時はN/C=50(10倍以上)、L-30-10はN/C=240(100倍以上)、KMTR1単独の時はN/C=1000倍以上であり、いずれの抗体も有効性及び安全性に優れていることが分かった(表5)。
Figure 2005168497
同様の方法で、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体による細胞死誘導活性を、U251細胞(神経膠腫由来、理研ジーンバンク No.RCB0461)、Jurkat細胞(T細胞リンパ腫由来、大日本製薬株式会社製)について検討した。U251細胞に対する試験では、96穴平底プレートの1穴あたり100μlの培地に1.0x104の細胞を播種し、37℃、5% CO2存在下で培養し、抗体を翌日添加し、前記環境下に48時間置いた後に細胞の生存率を測定した。Jurkat細胞に対する試験では、96穴平底プレートの1穴あたり100μlの培地に4.0x104の細胞を播種し、抗体を添加し、37℃、5% CO2存在下で48時間培養した後に細胞の生存率を測定した。以下、各抗体のLD50値(単位はμg/ml)を示す。
E-11-13のU251細胞に対するLD50:0.3、Jurkat細胞に対するLD50:0.1。
L-30-10のU251細胞に対するLD50:0.17、Jurkat細胞に対するLD50:0.13。
H-48-2のU251細胞に対するLD50:0.24、Jurkat細胞に対するLD50:0.07。
F-4-8のU251細胞に対するLD50:0.03、Jurkat細胞に対するLD50:0.004。
W-40-5のU251細胞に対するLD50:1.0、Jurkat細胞に対するLD50:0.48。
なお、U251細胞に対しては終濃度 4μg/mlのシスプラチン注射液(日本化薬株式会社製)を抗体と同時に添加した系でアッセイを行った。
実施例12 マウス担癌モデルに対する精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の効果
実施例10から得られたヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の効果を、以下に記載する方法に従ってマウス担癌モデルを用いて検討した。
4〜6週令のBalb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞Colo205を5×106/マウス個体で移植した。移植1週間〜10日後に、生着した腫瘍の大きさを測定し、平均して腫瘍の大きさが約100mm3又は300mm3となる担癌マウス5あるいは7匹を1群として群分けした。担癌マウスの腹腔内に、精製抗体 1、4、20、25、100μg/マウス個体(200μlのPBSに溶解したもの)を投与し、腫瘍の大きさを測定した。抗体の陰性コントロール(Control)として、同量のヒト抗HSA抗体を使用した。
以上の実験の結果を図6〜10に示す。精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体E-11-13、F-4-8、H-48-2、L-30-10、W-40-5を1μg/マウス個体で投与した群では、H-48-2に退縮効果が見られ、E-11-13、L-30-10、F-4-8、W-40-5の順で抗腫瘍効果が弱くなっていた(図6)。図6において、3回隔日投与した時に、初回投与時から計算して少なくとも13日間は増殖抑制〜退縮効果が観察された(H-48-2クローン)。
E-11-13を4、20、100μg/マウス個体で投与した群では、投与したマウス全てにおいて抗腫瘍効果が確認された。20μg/マウス個体の投与量において最も腫瘍退縮効果が見られた(図7)。図7において、4回隔日投与した時に、初回投与時から計算して少なくとも11日間は増殖抑制〜退縮効果が観察された。20μg/マウス個体で4回隔日投与(移植7日後、9日後、11日後、13日後に投与)した群における腫瘍体積の経時変化は以下の通りであった。
初回投与2日後(図7の9日に該当)の腫瘍体積の平均は109.5mm3
初回投与4日後(図7の11日に該当)の腫瘍体積の平均は85.1mm3
初回投与6日後(図7の13日に該当)の腫瘍体積の平均は64.3mm3
初回投与8日後(図7の15日に該当)の腫瘍体積の平均は61.8mm3、
初回投与11日後(図7の18日に該当)の腫瘍体積の平均は78.9mm3
投与開始4日後の腫瘍体積は約85.1mm3であり、14%以上の腫瘍の縮小が認められた。この縮小は投与11日後でも維持されており、本発明の抗体は高い抗腫瘍効果を有することが示された。
さらに、平均して約300mm3となる担癌マウス7匹を1群として、E-11-13を20μg/マウス個体で投与した結果、顕著な腫瘍退縮が観察された(図8)。図8において、3回隔日投与した時に、初回投与時から計算して少なくとも18日間は増殖抑制〜退縮効果が観察された。20μg/マウス個体で3回隔日投与(移植9日後、11日後、13日後に投与)した群における腫瘍体積の経時変化は以下の通りであった。
初回投与2日後(図8の11日に該当)の腫瘍体積の平均は246.9mm3
初回投与4日後(図8の13日に該当)の腫瘍体積の平均は181.8mm3
初回投与5日後(図8の14日に該当)の腫瘍体積の平均は146.2mm3
初回投与6日後(図8の15日に該当)の腫瘍体積の平均は110.8mm3、
初回投与7日後(図8の16日に該当)の腫瘍体積の平均は82.7mm3、
初回投与9日後(図8の18日に該当)の腫瘍体積の平均は57.5mm3、
初回投与11日後(図8の20日に該当)の腫瘍体積の平均は81.3mm3、
初回投与13日後(図8の22日に該当)の腫瘍体積の平均は108.1mm3、
初回投与15日後(図8の24日に該当)の腫瘍体積の平均は127.8mm3、
初回投与18日後(図8の27日に該当)の腫瘍体積の平均は163.3mm3
投与開始4日後の腫瘍体積は約181.8mm3であり、39%以上の腫瘍の縮小が認められた。この縮小は投与18日後でも維持されており、本発明の抗体は高い抗腫瘍効果を有することが示された。
0304抗体の活性評価は以下の様に行った。6週令のBalb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞Colo205を5×106/マウス個体で移植した。移植8日後に、生着した腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の大きさが平均して約100mm3になるように担癌マウス5匹を1群として群分けした。担癌マウスの腹腔内に、精製抗体 20μg/マウス個体(200μlのPBSに溶解したもの)を投与し、腫瘍の大きさを測定した。0304を20μg/マウス個体で3回隔日投与(移植8日後、10日後、12日後に投与)した群では、投与したマウス全てにおいて抗腫瘍効果が確認された(図9)。腫瘍体積の経時変化は以下の通りであった。
初回投与2日後(図9の10日に該当)の腫瘍体積の平均は142.092mm3
初回投与4日後(図9の12日に該当)の腫瘍体積の平均は34.138mm3
初回投与7日後(図9の15日に該当)の腫瘍体積の平均は18.641mm3
初回投与11日後(図9の19日に該当)の腫瘍体積の平均は9.339mm3
投与開始4日後の腫瘍体積は約34.138mm3であり、65%以上の腫瘍の縮小が認められた。この縮小は投与11日後でも維持されており、本発明の抗体は極めて高い抗腫瘍効果を有することが示された。
次いで、12週令のBalb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞Colo205を5×106/マウス個体で移植した。移植10日後に生着した腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の大きさが平均して約100mm3になるように担癌マウス5匹を1群として群分けした。担癌マウスの腹腔内に、精製抗体 25μg/マウス個体(200μlのPBSに溶解したもの)を投与し、腫瘍の大きさを測定した。抗体の陰性コントロール(Control)として、同量のヒト抗HSA抗体を使用した。0304を25μg/マウス個体で3回投与(移植10日後、13日後、15日後に投与)した群では、投与したマウス全てにおいて抗腫瘍効果が確認された(図10)。腫瘍体積の経時変化は以下の通りであった。
初回投与3日後(図10の13日に該当)の腫瘍体積の平均は54.626mm3
初回投与5日後(図10の15日に該当)の腫瘍体積の平均は32.357mm3
初回投与8日後(図10の18日に該当)の腫瘍体積の平均は15.895mm3
初回投与12日後(図10の22日に該当)の腫瘍体積の平均は14.377mm3
初回投与15日後(図10の25日に該当)の腫瘍体積の平均は26.654mm3
初回投与19日後(図10の29日に該当)の腫瘍体積の平均は27.565mm3
初回投与25日後(図10の35日に該当)の腫瘍体積の平均は30.802mm3
初回投与29日後(図10の39日に該当)の腫瘍体積の平均は27.092mm3
初回投与32日後(図10の42日に該当)の腫瘍体積の平均は32.921mm3
初回投与12日後(図10の22日に該当)に、5匹中3匹で腫瘍の消失が確認された。
初回投与3日後の腫瘍体積は平均54.626mm3であり、45%以上の腫瘍の縮小が認められた。さらに、投与5日後の腫瘍体積の平均は32.357mm3であり、65%以上の腫瘍の縮小が認められた。この縮小は投与32日後でも維持されており、少なくとも27日は65%以上の縮小が維持されていた。したがって、本発明の抗体は極めて高い抗腫瘍効果を有することが示された。
さらに、図10において、初回投与時から計算して少なくとも32日間は増殖抑制〜退縮効果が観察された。
なお、図9及び10において、「Vehicle」は 抗体を投与するにあたり溶解する為の媒体として使用したPBS(200μl)を示す。
0304、KMTR1は実施例11において示されているように、抗体単独の時においても細胞死誘導活性を示す抗体であり、さらに0304は本実施例で示されるようにマウス担癌モデルにおいても顕著な抗腫瘍効果が確認されている。この様に単独で細胞死誘導活性及び抗腫瘍活性を示す抗体は、TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2を発現している細胞に起因する疾患に対する予防又は治療剤、特に悪性腫瘍治療薬を投与する対象となる患者の生理的状況(例えば免疫細胞の種類、数など)に依存することなく抗腫瘍活性を示す可能性が期待される。
実施例13 精製ヒト抗TRAIL-R1及びTRAIL-R2モノクローナル抗体のTRAIL-R1及びTRAIL-R2に対する結合親和性
実施例10から得られた精製ヒト抗TRAIL-Rモノクローナル抗体のTRAIL-Rに対する結合親和性を、以下に記載する方法に従ってBIACORE 2000(ビアコア株式会社製)を用いて検討した。
1)TRAIL-R1-hFc、TRAIL-R2-hFcの固定化
TRAIL-R1-hFc又はTRAIL-R2-hFcを10mM Acetic Acid(pH4.0)で終濃度10μg/mlになるよう希釈し、アミンカップリング法でセンサーチップCM5に固定化した。固定化条件は下記の通りであり、NHS活性化、エタノールアミンブロッキングは取扱説明書記載の方法に従った。TRAIL-R1-hFc及びTRAIL-R2-hFcのカップリングは、取扱説明書に記載のあるマニュアルインジェクションにより実施した。
(固定化条件)
流速 5μl/分
NHS活性化 7分間
カップリング マニュアルインジェクション
エタノールアミンブロッキング 7分間
上記条件により、センサーチップ上にTRAIL-R1-hFcが377.4RUが固定化され、TRAIL-R2-hFcが495.4RUが固定化されたことが確認された。
2)再生条件及び再現性の確認
20μg/mlの精製ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体 2-6を、TRAIL-R1-hFc を固定化したセンサーチップ上に2分間添加し、抗体がTRAIL-R1-hFcと結合したことを確認した。その後、50 mM NaOHを15秒間添加し、結合した抗体がTRAIL-R1-hFcから完全に解離した(以下、完全に解離したことを「再生」という)ことを確認した。次いで、再生したTRAIL-R1-hFcに対し、流速20μl/分で精製ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体 2-6をKINJECT法(1分間結合、1分間解離)で添加した後に50 mM NaOHを15秒間添加し、TRAIL-R1-hFcを再生させる、というサイクルを9回繰返した。前記サイクルを9回繰返した後も、センサーチップ上に固定化したTRAIL-R1-hFc量および抗体の結合量に変化は認められかったことから、50 mM NaOHの15秒間添加で、TRAIL-R1-hFcが失活することなく再生されることが明らかとなった。同様の検討を、TRAIL-R2-hFc を固定化したセンサーチップと20μg/mlの精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体 E-11-13を用いて行い、同じ再生条件でTRAIL-R2-hFcが再生可能であることを確認した。
3)相互作用検討
精製ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体 1-13、2-6、2-12をそれぞれHBS-EP(ビアコア株式会社製)で、2.1、4.2、8.4、16.8、33.5、67.0、134.0nMに段階希釈し、各抗体の希釈系列を流速20μl/分でKINJECT法(2分間結合、6分間解離)を用いて順に添加し、センサーグラムを取得した。同様に、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体 E-11-13、L-30-10、H-48-2、F-4-8、W-40-6、X-14-4をそれぞれHBS-EP(ビアコア株式会社製)で、0.52、1.05、2.1、2.09、4.19、8.38nMに段階希釈し、各抗体の希釈系列を流速20μl/分でKINJECT法(2分間結合、2分間解離)を用いて順に添加し、センサーグラムを取得した。各抗体について、それぞれのセンサーグラムを用いて、BIAevaluationソフト ver3.2(ビアコア株式会社製)によりkinetics解析を行った。Fitting modelとしてBivalent modelを用いてGlobal fittingを行い、結合速度定数、解離速度定数を求めた。また、この二つの定数から算出される解離定数(Kd値)を算出した。なお、fittingに用いたセンサーグラムはコントロールセルを差し引き、さらにbuffer補正したものである。結果を表6及び表7に示す。表中のkassは結合速度定数を、kdissは解離速度定数を、KDは解離定数を示す。
Figure 2005168497
Figure 2005168497
実施例14 モノクローナル抗体をコードする遺伝子の調製及び組換え抗体発現ベクターの構築
(1)E-11-13、L-30-10、H-48-2抗体遺伝子のcDNAクローニングと発現ベクター作製
ハイブリドーマE-11-13、L-30-10、H-48-2を10ng/ml Recombinant Human IL-6(R&D Systems社製)、10% Low IgG Fetal Bovine Serum(HyClone社製)含有eRDF培地(極東製薬社製)で培養し、遠心分離により細胞を集めた後TRIZOL(ギブコビーアールエル社製)を添加し、取扱説明書にしたがってTotal RNAを抽出した。抗体cDNAの可変領域のクローニングは、SMART RACE cDNA amplification Kit(クローンテック社製)を用い、添付の説明書にしたがって行った。
5μgのtotal RNAを鋳型として、1st strand cDNAを作製した。
1) 1st strand cDNA の合成
Total RNA 5μg/3μl
5’CDS 1μl
SMART oligo 1μl
上記組成の反応液を70℃で2分間インキュベートした後、
5×Buffer 2μl
DTT 1μl
DNTP mix 1μl
Superscript II 1μl
を加え42℃で1.5時間インキュベートした。
さらに、100μlのTricine Bufferを加えた後、72℃で7分間インキュベートし、1st strand cDNAを取得した。
2) PCRによる重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の増幅及び組換え抗体発現ベクターの構築
cDNAの増幅には、Takara社のZ-Taqを用いた。
cDNA 2μl
10xZ-Taq Buffer 5μl
dNTP mix 4μl
Z-Taq 1μl
プライマー1
プライマー2
上記組成の反応液を再蒸留水にて最終容量50μlとし、PCRに供した。
重鎖の増幅には、UMP(SMART RACE cDNA amplification Kit;クローンテック社製)とhh-6プライマー(5’-GGT CCG GGA GAT CAT GAG GGT GTC CTT-3’)(配列番号7)を用い、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返した。さらに、この反応液1μlを鋳型とし、NUMP(SMART RACE cDNA amplification Kit;クローンテック社製)とhh-3 プライマー(5’-GTG CAC GCC GCT GGT CAG GGC GCC TG-3’)(配列番号8)を用いて、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを20回繰り返した。この後、増幅したPCR産物をPCR purification kit(キアゲン社製)により精製し,hh-4(5’-GGT GCC AGG GGG AAG ACC GAT GG-3’)(配列番号9)をプライマーとして、塩基配列の決定を行った。配列情報から、E-11-13、L-30-10、H-48-2の3クローンはN末領域の配列が一致していることが分かったため、サブクローニング及び塩基配列決定には共通のプライマーを使用した。配列情報を基に、tnH48Hsal (5’-ATA TGT CGA CTA CGG GGG GGC TTT CTG AGA GTC-3’) (配列番号14)を合成し、このプライマーを用いて反対方向からも配列を決定した。特異的プライマーとtnCHNhe(5’-GAT GGG CCC TTG GTG CTA GCT GAG GAG ACG G-3’)(配列番号11)を用いてPCRを行い(98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒)、重鎖増幅cDNA断片をSalI、NheIで消化し、同一酵素で解裂されていたN5KG1-Val Larkベクター(IDEC Pharmaceuticals, N5KG1(US patent 6001358)の改変ベクター)に導入した。挿入された配列がdirect sequenceによって決定されたものと同一であることを、ベクターを鋳型として配列を決定することにより確認した。
軽鎖は、UMP(SMART RACE cDNA amplification Kit;クローンテック社製)とhk-2(5’- GTT GAA GCT CTT TGT GAC GGG CGA GC -3’)(配列番号12)プライマーを使って、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返して増幅した。さらに、この反応液1μlを鋳型とし、NUMP(SMART RACE cDNA amplification Kit;クローンテック社製)とhk-6(5’- T GGC GGG AAG ATG AAG ACA GAT GGT G-3’)(配列番号13)を用いて、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを20回繰り返した。この後、増幅したPCR産物をPCR purification kit(キアゲン社製)により精製し、hk-6(5’-tggc ggg aag atg aag aca gat ggt g-3’)プライマーを用いて塩基配列を決定した。配列情報から、3クローン全てにおいてN末領域の配列が一致していることがわかったため、サブクローニングには共通のプライマーを使用した。配列情報を基に、tnH48KBgl(5’-ATA TAG ATC TCT CAG TTA GGA CCC AGA GGG AAC C-3’) (配列番号10)を合成し、このプライマーを用いて、反対方向からも配列を決定した。特異的プライマーとtnCkBsi(5’-AAG ACA GAT GGT GCA GCC ACC GTA CGT TTG AT-3’)(配列番号15)を用いてPCRを行い(98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒)、軽鎖増幅cDNA断片をBglII、BsiWIで消化し、同一酵素で解裂されていたN5KG1-Val Larkベクターに導入した。挿入された配列がdirect sequenceによって決定されたものと同一であることを、ベクターを鋳型として配列を決定することにより確認した。
E-11-13重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
<E-11-13 重鎖可変領域>(配列番号16)
GTCGACTACGGGGGGGCTTTCTGAGAGTCATGGATCTCATGTGCAAGAAAATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGCTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCATCAGTAAAAGTTCCTACTGGGGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGAGTATCTATTATAGTGGGAGTACCTTCTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCCGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCAGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGACTGACAGTGGCTGAGTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGC
<E-11-13 重鎖可変領域>(配列番号17)
MDLMCKKMKHLWFFLLLVAAPRWVLSQLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSIISKSSYWGWIRQPPGKGLEWIGSIYYSGSTFYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARLTVAEFDYWGQGTLVTVSSAS
<E-11-13 軽鎖可変領域>(配列番号18)
TCACAGATCTCTCAGTTAGGACCCAGAGGGAACCATGGAAGCCCCAGCTCAGCTTCTCTTCCTCCTGCTACTCTGGCTCCCAGATACCACCGGAGAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTTCTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGCGTAGCAACTGGCCTCTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAACGTACG
<E-11-13 軽鎖可変領域>(配列番号19)
MEAPAQLLFLLLLWLPDTTGEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGPGTKVDIKRT
重鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号16の5'末端から30番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンであり、抗体可変領域と定常領域の境界は5'末端から461番目のアデニン(A)と462番目のグアニン(G)間に位置する。アミノ酸配列において、重鎖可変領域は配列番号17のN末端から144番目のセリン(S)残基までであり、145番目のアラニン(A)以降が定常領域である。精製された重鎖蛋白質のN末端分析により、重鎖のシグナル配列は配列番号17のN末端より26番目のセリン(S)までであり、成熟体のN末端は配列番号17の27番目のグルタミン(Q)であることが明らかとなった。
軽鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号18の5'末端から35番目のAからはじまるATGコドンであり、可変領域は5'末端から415番目のアデニン(A)までである。アミノ酸配列において、可変領域は配列番号19のN末端から127番目のリジン(K)までである。精製された軽鎖蛋白質のN末端分析により、軽鎖のシグナル配列は配列番号19のN末端より20番目のグリシン(G)までであり、成熟体のN末端は配列番号19の21番目のグルタミン酸(E)であることが明らかとなった。
L-30-10重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
<L-30-10重鎖可変領域>(配列番号20)
GTCGACTACGGGGGGGCTTTCTGAGAGTCATGGATCTCATGTGCAAGAAAATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGTTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCCTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGCAGTAGGAGTAACTACTGGGGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGAATGTCTATTATAGAGGGAGCACCTACTACAATTCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCCGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGTCGCAGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGACTGTCAGTGGCTGAGTTTGACTACTGGGGCCAGGGAATCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGC
<L-30-10重鎖可変領域>(配列番号21)
MDLMCKKMKHLWFFLLLVAAPRWVLSQLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSRSNYWGWIRQPPGKGLEWIGNVYYRGSTYYNSSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTVADTAVYYCARLSVAEFDYWGQGILVTVSSAS
<L-30-10軽鎖可変領域>(配列番号22)
AGATCTCTCAGTTAGGACCCAGAGGGAACCATGGAAGCCCCAGCTCAGCTTCTCTTCCTCCTGCTACTCTGGCTCCCAGATACCACCGGAGAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCTTGTAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTTCTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCACTGGCAGCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGCGTAGCGACTGGCCTCTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAACGTACG
<L-30-10軽鎖可変領域>(配列番号23)
MEAPAQLLFLLLLWLPDTTGEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGSPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSDWPLTFGPGTKVDIKRT
重鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号20の5'末端から30番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンであり、抗体可変領域と定常領域の境界は5'末端から461番目のアデニン(A)と462番目のグアニン(G)間に位置する。アミノ酸配列において、重鎖可変領域は配列番号21のN末端から144番目のセリン(S)残基までであり、145番目のアラニン(A)以降が定常領域である。遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)により、重鎖のシグナル配列は配列番号21のN末端より26番目のセリン(S)までと予測された。精製された重鎖蛋白質のN末端分析により、重鎖のシグナル配列は配列番号21のN末端より26番目のセリン(S)までであり、成熟体のN末端は配列番号21の27番目のグルタミン(Q)であることが明らかとなった。
軽鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号22の5'末端から31番目のAからはじまるATGコドンであり、可変領域は5'末端から411番目のアデニン(A)までである。アミノ酸配列において、可変領域は配列番号23のN末端から127番目のリジン(K)までである。精製された軽鎖蛋白質のN末端分析により、軽鎖のシグナル配列は配列番号23のN末端より20番目のグリシン(G)までであり、成熟体のN末端は配列番号23の21番目のグルタミン酸(E)であることが明らかとなった。
H-48-2重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
<H-48-2重鎖可変領域>(配列番号24)
TCGACTACGGGGGGGCTTTCTGAGAGTCATGGATCTCATGTGCAAGAAAATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGCTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGCAGTAGTAGTTACTACTGGGGCTGGGTCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGAGTATCCATTATAGTGGGAGTACTTTCTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATTTCCGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCAGACACGACTGTGTATTACTGTGCGAGACAGGGGTCTACTGTGGTTCGGGGAGTTTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGC
<H-48-2重鎖可変領域>(配列番号25)
MDLMCKKMKHLWFFLLLVAAPRWVLSQLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSSSYYWGWVRQPPGKGLEWIGSIHYSGSTFYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTTVYYCARQGSTVVRGVYYYGMDVWGQGTTVTVSSAS
<H-48-2軽鎖可変領域>(配列番号26)
AGATCTCTCAGTTAGGACCCAGAGGGAACCATGGAAACCCCAGCGCAGCTTCTCTTCCTCCTGCTACTCTGGCTCCCAGATACCACCGGAGAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGTATGGTAGCTCACCTCTGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAACGTACG
<H-48-2軽鎖可変領域>(配列番号27)
METPAQLLFLLLLWLPDTTGEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPLYTFGQGTKLEIKRT
重鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号24の5'末端から29番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンであり、抗体可変領域と定常領域の境界は5'末端から484番目のアデニン(A)と485番目のグアニン(G)間に位置する。アミノ酸配列において、重鎖可変領域は配列番号25のN末端から152番目のセリン(S)残基までであり、153番目のアラニン(A)以降が定常領域である。遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)により、重鎖のシグナル配列は配列番号25のN末端より26番目のセリン(S)までと予測された。精製された重鎖蛋白質のN末端分析により、重鎖のシグナル配列は配列番号25のN末端より26番目のセリン(S)までであり、成熟体のN末端は配列番号25の27番目のグルタミン(Q)であることが明らかとなった。
軽鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号26の5'末端から31番目のAからはじまるATGコドンであり、可変領域は5'末端から417番目のアデニン(A)までである。アミノ酸配列において、可変領域は配列番号27のN末端から129番目のリジン(K)までである。精製された軽鎖蛋白質のN末端分析により、軽鎖のシグナル配列は配列番号27のN末端より20番目のグリシン(G)までであり、成熟体のN末端は配列番号27の21番目のグルタミン酸(E)であることが明らかとなった。
(2)0304抗体遺伝子のcDNAクローニングと発現ベクター作製
ハイブリドーマ0304を遠心によって集め、RNA抽出試薬ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてプロトコールに従い、約900μgのRNAを精製した。次に、300μgのRNAからOligotexTM-dT30<Super> (宝酒造社製)により13μgのpolyA+RNAを得た。得られたpolyA+RNAを材料としてSMART RACE cDNA Amplification Kit (クローンテックカンパニー社製)を用いて、その添付の説明書に従ってクローニング実験を実施して、抗体遺伝子の可変領域のcDNAを取得した。具体的には、精製したpolyA+RNA1.0μgを材料として、逆転写酵素によるファーストストランドcDNA合成を行った。得られたcDNAを鋳型として、ヒト抗体の重鎖(以下、重鎖はH鎖とも称す)定常領域、および軽鎖(以下、軽鎖はL鎖とも称す)定常領域DNA各々に特異的なPCR用プライマー(H鎖用:IgG1p、L鎖用:hk-2)とSMART RACE cDNA Amplification Kit付属のUMPプライマー(合成したcDNAの5’末端に作製される共通配列に相補的なオリゴヌクレオチド)をプライマーセットとして使用しPCRによるH鎖リーダ配列と可変領域(以下、HVとも称す)及びL鎖リーダ配列と可変領域(以下、LVとも称す)の増幅を行った。PCRは、LA PCR用Taq DNA Polymerase であるTaKaRa LA TaqTM(宝酒造社製)を使用した。テンプレートDNAを1 × LA PCR Buffer II(Mg2+plus)、dNTP Mixture各400μM(最終濃度)、プライマー2種各0.2μM、TaKaRa LA Taq 2.5 U/50 μlを含む溶液に添加して、タッチダウンPCR(94℃ 5 秒及び72℃ 3 分(5サイクル)→94℃ 5 秒、70℃ 10 秒 及び72℃ 3 分(5サイクル)→94℃ 5 秒、68℃ 10 秒 及び、72℃ 3 分(20サイクル))で反応した。増幅したPCR断片は、エタノール沈殿で回収した後、アガロースゲル電気泳動で回収し、メンブランを用いるDNA精製キットであるQIAquick Gel Extraction Kit (キアゲン社製)にて精製した。精製したHVおよびLV断片について、ABI PRISM(登録商標) 3700 DNA Analyzer(Applied Biosystems社製)を使用してDNA塩基配列を決定した。また、HV及びLVの増幅断片は、それぞれTAクローニング法を用いるpGEM(登録商標)-T Easy Vector System(プロメガ社製)にサブクローニングを行い、得られたクローンのプラスミドDNAについてインサートDNAの塩基配列を解析してPCR産物の直接シーケンス解析結果と比較した。DNA塩基配列決定のために用いたプライマーの配列(H鎖: hh-4、L鎖:hk-5及びhk-6、及びpGEM(登録商標)-T Easy Vector用:SP6とT7)は表8に示した。HV及びLVの各PCR断片の直接シーケンス解析結果とサブクローニングされた複数のクローンのDNA塩基配列解析結果は完全に一致した。
0304抗体L鎖のDNAを鋳型として、同L鎖のリーダー配列と可変領域を、末端に連結のための制限酵素部位を付加するようにデザインしたプライマーを用いてPCRで増幅した。用いたプライマーセットは、表8(C23LBCL及びC23LBsi)に配列を示した。得られたPCR断片は、エタノール沈殿で回収した後、制限酵素Bgl IIで消化処理し、更にBsiW Iでの切断処理を行い、アガロースゲル電気泳動で約400bpの断片を回収し、メンブランを用いるDNA精製キットであるQIAquick Gel Extraction Kit (キアゲン社製)にて精製した。他方、ベクターであるN5KG4-Val Lark(IDEC Pharmaceuticals, N5KG1(US patent 6001358)の改変ベクター)については同様に制限酵素Bgl II、BsiW I処理を順次行った後、脱リン酸化処理としてAlkaline Phosphatase (E. coli C75) (宝酒造社製)にて処理した後に、アガロースゲル電気泳動とDNA精製キットで約9kb弱のDNAを回収した。これら2つの断片をT4 DNA ligase を用いてライゲーションして、大腸菌DH5αへ導入して形質転換体を得た。N5KG4-Val Lark に0304抗体L鎖のリーダー+可変領域が挿入されたプラスミドDNA、N5KG4-0304Lを選択して挿入断片周辺のDNA塩基配列を決定してDNA塩基配列に変異等がないことを確認した。こうして得られたN5KG4-0304LにH鎖可変領域等を挿入するため、本プラスミドDNAを制限酵素Nhe I、及び、Sal Iで順次切断し、さらに脱リン酸化を行った後、約9.3 kbのベクターDNAを精製した。一方、抗体のH鎖のプラスミドDNAを鋳型として、0304抗体H鎖遺伝子のリーダー配列と可変領域をPCRで増幅した。増幅のためのプライマーセット(T0304Sal及びT0304Nhe)の配列を表8に示した。
得られたPCR断片について制限酵素Nhe IとSal Iによる切断処理を行い、アガロースゲル電気泳動で約450 bpの断片を精製した。これら2種のDNAをライゲーションして大腸菌へ導入して形質転換体を得て、目的とするH鎖のリーダー配列と可変領域が挿入されたクローンを選択した。挿入部分のDNA塩基配列を決定して、PCR増幅して挿入された配列に鋳型とした遺伝子配列と相違がないことを確認した。
0304重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
<0304重鎖可変領域>(配列番号28)
CTCAACAACC ACATCTGTCC TCTAGAGAAA ACCCTGTGAG CACAGCTCCT CACCATGGAC TGGACCTGGA GGATCCTCTT CTTGGTGGCA GCAGCTACAA GTGCCCACTC CCAGGTGCAG CTGGTGCAGT CTGGGGCTGA GATGAAGAAG CCTGGGGCCT CAGTCAAGGT CTCCTGCAAG ACTTCTGGAT ACACCTTCAC CAATTATAAG ATCAACTGGG TGCGACAGGC CCCTGGACAA GGACTTGAGT GGATGGGATG GATGAACCCT GACACTGATA GCACAGGCTA TCCACAGAAG
TTCCAGGGCA GAGTCACCAT GACCAGGAAC ACCTCCATAA GCACAGCCTA CATGGAGCTG AGCAGCCTGA GATCTGAGGA CACGGCCGTG TATTACTGTG CGAGATCCTA TGGTTCGGGG AGTTATTATA GAGACTATTA CTACGGTATG GACGTCTGGG GCCAAGGGAC CACGGTCACC GTCTCCTCA
<0304重鎖可変領域>(配列番号29)
MDWTWRILFL VAAATSAHSQ VQLVQSGAEM KKPGASVKVS CKTSGYTFTN YKINWVRQAP GQGLEWMGWM NPDTDSTGYP QKFQGRVTMT RNTSISTAYM ELSSLRSEDT AVYYCARSYG SGSYYRDYYY GMDVWGQGTT VTVSS
<0304軽鎖可変領域>(配列番号30)
GAGGAACTGC TCAGTTAGGA CCCAGAGGGA ACCATGGAAG CCCCAGCTCA GCTTCTCTTC CTCCTGCTAC TCTGGCTCCC AGATACCACC GGAGAAATTG TGTTGACACA GTCTCCAGCC ACCCTGTCTT TGTCTCCAGG GGAAAGAGCC ACCCTCTCCT GCAGGGCCAG TCAGAGTGTT AGCAGCTACT TAGCCTGGTA CCAACAGAAA CCTGGCCAGG CTCCCAGGCT CCTCATCTAT GATGCATCCA ACAGGGCCAC TGGCATCCCA GCCAGGTTCA GTGGCAGTGG GTCTGGGACA GACTTCACTC TCACCATCAG CAGCCTAGAG CCTGAAGATT TTGCAGTTTA TTACTGTCAG CAGCGTAGCA ACTGGCCGCT CACTTTCGGC GGAGGGACCA AGGTGGAGAT CAAACGA
<0304軽鎖可変領域>(配列番号31)
MEAPAQLLFL LLLWLPDTTG EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASQSVS SYLAWYQQKP GQAPRLLIYD ASNRATGIPA RFSGSGSGTD FTLTISSLEP EDFAVYYCQQ RSNWPLTFGG GTKVEIKR
重鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号28の5'末端から55番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンであり、5'末端から489番目のアデニン(A)までが抗体可変領域である。アミノ酸配列において、重鎖可変領域は配列番号29のN末端から145番目のセリン(S)残基までである。遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)により、重鎖のシグナル配列は配列番号29のN末端より19番目のセリン(S)までと予測された。成熟体のN末端は配列番号29の20番目のグルタミン(Q)であるものと考えられる。
軽鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号30の5'末端から34番目のAからはじまるATGコドンであり、可変領域は5'末端から414番目のアデニン(A)までである。アミノ酸配列において、可変領域は配列番号31のN末端から127番目のリジン(K)までである。遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)により、軽鎖のシグナル配列は配列番号31のN末端より20番目のグリシン(G)までと予測された。成熟体のN末端は配列番号31の21番目のグルタミン酸(E)であるものと考えられる。
Figure 2005168497
(3)KMTR1抗体遺伝子のcDNAクローニング
ハイブリドーマKMTR1細胞を遠心によって集め、RNA抽出試薬ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてプロトコールに従い、約900μgのRNAを精製した。次に、300μgのRNAからOligotexTM-dT30<Super> (宝酒造社製)により13μgのpolyA+RNAを得た。得られたpolyA+RNAを材料としてSMART RACE cDNA Amplification Kit (クローンテックカンパニー社製)を用いて、その添付の説明書に従ってクローニング実験を実施して、抗体遺伝子の可変領域のcDNAを取得した。具体的には、精製したpolyA+RNA1.0μgを材料として、逆転写酵素によるファーストストランドcDNA合成を行った。得られたcDNAを鋳型として、ヒト抗体の重鎖(以下、重鎖はH鎖とも称す)定常領域、および軽鎖(以下、軽鎖はL鎖とも称す)定常領域DNA各々に特異的なPCR用プライマー(H鎖用:IgG1p、L鎖用:hk-2)とSMART RACE cDNA Amplification Kit付属のUMPプライマー(合成したcDNAの5’末端に作製される共通配列に相補的なオリゴヌクレオチド)をプライマーセットとして使用しPCRによるH鎖リーダ配列と可変領域(以下、HVとも称す)及びL鎖リーダ配列と可変領域(以下、LVとも称す)の増幅を行った。PCRは、LA PCR用Taq DNA Polymerase であるTaKaRa LA TaqTM(宝酒造社製)を使用した。テンプレートDNAを1 × LA PCR Buffer II(Mg2+ plus)、dNTP Mixture各400μM(最終濃度)、プライマー2種各0.2μM、TaKaRa LA Taq 2.5 U/50 μlを含む溶液に添加して、タッチダウンPCR(94℃ 5 秒及び72℃ 3 分(5サイクル)→94℃ 5 秒、70℃ 10 秒 及び72℃ 3 分(5サイクル)→94℃ 5 秒、68℃ 10 秒 及び、72℃ 3 分(20サイクル))で反応した。増幅したPCR断片は、エタノール沈殿で回収した後、アガロースゲル電気泳動で回収し、メンブランを用いるDNA精製キットであるQIAquick Gel Extraction Kit (キアゲン社製)にて精製した。精製したHVおよびLV断片について、ABI PRISM (登録商標) 3700 DNA Analyzer(Applied Biosystems社製)を使用してDNA塩基配列を決定した。また、HV及びLVの増幅断片は、それぞれTAクローニング法を用いるpGEM(登録商標)-T Easy Vector System(プロメガ社製)にサブクローニングを行い、得られたクローンのプラスミドDNAについてインサートDNAの塩基配列を解析してPCR産物の直接シーケンス解析結果と比較した。DNA塩基配列決定のために用いたプライマーの配列(H鎖: hh-4、L鎖:hk-5及びhk-6、及びpGEM(登録商標)-T Easy Vector用:SP6とT7)は前記表8に示した。HV及びLVの各PCR断片の直接シーケンス解析結果とサブクローニングされた複数のクローンのDNA塩基配列解析結果は完全に一致した。決定できたKMTR1細胞に発現するヒト抗体遺伝子のH鎖及びL鎖のDNA塩基配列並びにKMTR1細胞に発現するヒト抗体遺伝子のH鎖及びL鎖を含むアミノ酸配列を示す。
<KMTR1重鎖可変領域> (配列番号32)
GAGCTCTGAG AGAGGAGCCC AGCCCTGGGA TTTTCAGGTG TTTTCATTTG GTGATCAGGA
CTGAACAGAG AGAACTCACC ATGGAGTTTG GGCTGAGCTG GCTTTTTCTT GTGGCTATTT
TAAAAGGTGT CCAGTGTGAG GTACAGCTGT TGGAGTCTGG GGGAGGCTTG GTACAGCCTG
GGAGGTCCCT GAGACTCTCC TGTGCAGCCT CTGGATTCAC CTTTAGCAGC TATGCCATGA
GCTGGGTCCG CCAGGCTCCA GGGAAGGGGC TGGAGTGGGT CTCAGCTATT AGTGGTAGTG
GTGGTAGCAG ATACTACGCA GACTCCGTGA AGGGCCGGTT CACCATCTCC AGAGACAATT
CCAAGAACAC GCTGTATCTG CAAATGAACA GCCTGAGAGC CGAGGACACG GCCGTATATT
ACTGTGCGAA AGAGAGCAGT GGCTGGTTCG GGGCCTTTGA CTACTGGGGC CAGGGAACCC
TGGTCACCGT CTCCTCA
<KMTR1重鎖可変領域> (配列番号33)
MEFGLSWLFL VAILKGVQCE VQLLESGGGL VQPGRSLRLS CAASGFTFSS YAMSWVRQAP
GKGLEWVSAI SGSGGSRYYA DSVKGRFTIS RDNSKNTLYL QMNSLRAEDT AVYYCAKESS
GWFGAFDYWG QGTLVTVSS
<KMTR1軽鎖可変領域> (配列番号34)
GATCTTAAAA GAGGTTCTTT CTCTGGGATG TGGCATGAGC AAAACTGACA AGTCAAGGCA
GGAAGATGTC GCCATCACAA CTCATTGGGT TTCTGCTGCT CTGGGTTCCA GCCTCCAGGG
GTGAAATTGT GCTGACTCAG TCTCCAGACT TTCAGTCTGT GACTCCAAAG GAGAAAGTCA
CCATCACCTG CCGGGCCAGT CAGAGCATTG GTAGTAGCTT ACACTGGTAC CAGCAGAAAC
CAGATCAGTC TCCAAAGCTC CTCATCAAGT ATGCTTCCCA GTCCTTCTCA GGGGTCCCCT
CGAGGTTCAG TGGCAGTGGA TCTGGGACAG ATTTCACCCT CACCATCAAT AGCCTGGAAG
CTGAAGATGC TGCAGCGTAT TACTGTCATC AGAGTAGTAG TTTACCGATC ACCTTCGGCC
AAGGGACACG ACTGGAGATT AAACGA
<KMTR1軽鎖可変領域> (配列番号35)
MSPSQLIGFL LLWVPASRGE IVLTQSPDFQ SVTPKEKVTI TCRASQSIGS SLHWYQQKPD
QSPKLLIKYA SQSFSGVPSR FSGSGSGTDF TLTINSLEAE DAAAYYCHQS SSLPITFGQG
TRLEIKR
重鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号32の5'末端から81番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンであり、5'末端から497番目のアデニン(A)までが抗体可変領域である。アミノ酸配列において、重鎖可変領域は配列番号33のN末端から139番目のセリン(S)残基までである。遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)により、重鎖のシグナル配列は配列番号33のN末端より19番目のシステイン(C)までと予測された。成熟体のN末端は配列番号33の20番目のグルタミン酸(E)であるものと考えられる。
軽鎖DNAの翻訳開始点は、配列番号34の5'末端から66番目のAからはじまるATGコドンであり、可変領域は5'末端から443番目のアデニン(A)までである。アミノ酸配列において、可変領域は配列番号35のN末端から126番目のリジン(K)までである。遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)により、軽鎖のシグナル配列は配列番号35のN末端より19番目のグリシン(G)までと予測された。成熟体のN末端は配列番号35の20番目のグルタミン酸(E)であるものと考えられる。
実施例15 組換え型抗体の作製
実施例14で構築した組換え型抗体発現ベクターを宿主細胞に導入し、組換え型抗体発現細胞を作製した。発現のための宿主細胞には、例えばCHO細胞の dhfr欠損株(ATCC CRL-9096)を用いた。宿主細胞へのベクターの導入はエレクトロポレーションにより実施した。抗体発現ベクター約2μgを制限酵素で線状化し、Bio-Rad electrophoreterをもちいて350V、500μFの条件で、4x106個のCHO細胞に遺伝子を導入し、96well culture plateに播種した。発現ベクターの選択マーカーに対応した薬剤を添加して培養を継続した。コロニーを確認した後、実施例4に示した方法によって、抗体発現株を選別した。選別した細胞からの抗体精製は、実施例10にしたがって行った。
実施例16 組換え型抗体による癌細胞に対する細胞死誘導活性
実施例15から得られた組換え型ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を用いて、大腸癌細胞であるColo205(ATCC No. CCL-222)に対する細胞死誘導活性を測定した。10% FCSを含むRPMI培地で培養していたColo205細胞を1.0×105/mlの濃度に調製し、各ウェル100μlずつを96穴平底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、精製抗体E11(CHO-3)、H48(CHO-3)を終濃度10、100、1000、10000ng/mlになるように10μl/ウェルで加え、さらにヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体(シグマ社製)を終濃度10、100μg/mlになるように、各ウェルに10μlずつ加えた。取得したハイブリドーマについて、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加しないウェルも作製した。陽性コントロールとして、ヒト組換えTRAILタンパク質(R&D SYSTEMS社製)を終濃度1、10ng/mlで使用した。陰性コントロールとして、ヒト抗HSA抗体を使用した。37℃、5.0%炭酸ガス下で48時間培養した後、MTS試薬(Cell Titer 96 AQUEOUSNon-Radioactive Cell Proliferation Assay:プロメガ社製)を説明書の方法に従い調製し、各ウェルに20μlずつ添加した。さらに37℃、5.0%炭酸ガス下で2時間培養した後、波長490nm(参照波長630nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(1420 ARVO マルチラベルカウンター:WALLAC社製)で測定し、ミトコンドリアの還元能を指標として、細胞の生存率を算定した。各ウェルの細胞の生存率は実施例7と同様な式により算出した。
結果を図11a、11bに示す。図11aはヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加していない実験の結果を、図11bはヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加した実験の結果を、それぞれ示す。
図11aより、組換え型抗体であるE11(CHO-3)、H48(CHO-3)は抗体単独の時でもColo205細胞に細胞死を誘導する活性があることが明らかとなった。また、図11bより、ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体を添加した場合、ハイブリドーマの培養上清から精製した抗体と同等の細胞死誘導活性を示すことが明らかとなった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願は、そのまま参考として本明細書に取り入れるものとする。
ヒト抗TRAIL-R1モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中のColo205に対する細胞死誘導活性を示す図である。 ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中のColo205に対する細胞死誘導活性を示す図である。 ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中のColo205に対する細胞死誘導活性を示す図(ヤギ抗ヒトIgG(γ)特異的ポリクローナル抗体 無添加)である。 ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中のHUVECに対する細胞死誘導活性を示す図である。 ヒト組換え型TRAIL(陽性コントロール)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(H-48-2)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(E-11-13)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(L-30-10)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(F-4-8)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(W-40-5)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(0304)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(0322)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(KMTR1)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(D1M)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(0304、ヤギ抗ヒトIgG抗体無添加)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体(KMTR1、ヤギ抗ヒトIgG抗体無添加)のColo205及び正常ヒト肝実質細胞に対する細胞死誘導活性を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体E-11-13、F-4-8、H-48-2、L-30-10、W-40-5を、1μg/マウス個体で3回隔日投与したときの腫瘍の大きさを測定した結果を示す図である。 精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体E-11-13を4、20、100μg/マウス個体で4回投与したときの腫瘍の大きさを測定した結果を示す図である。 300mm3の担癌マウスに対し、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体E-11-13を20μg/マウス個体で3回隔日投与したときの腫瘍の大きさを測定した結果を示す図である。 100mm3の担癌マウスに対し、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体0304を20μg/マウス個体で3回隔日投与したときの腫瘍の大きさを測定した結果を示す図である。 100mm3の担癌マウスに対し、精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体0304を25μg/マウス個体で3回投与したときの腫瘍の大きさを測定した結果を示す図である。 組換え型精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体のColo205細胞に対する細胞死誘導活性(ヤギ抗ヒトIgG抗体無添加)を示す図である。 組換え型精製ヒト抗TRAIL-R2モノクローナル抗体のColo205細胞に対する細胞死誘導活性(ヤギ抗ヒトIgG抗体添加)を示す図である。
配列番号1:合成DNA
配列番号2:合成DNA
配列番号3:合成DNA
配列番号4:合成DNA
配列番号5:合成DNA
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA
配列番号9:合成DNA
配列番号10:合成DNA
配列番号11:合成DNA
配列番号12:合成DNA
配列番号13:合成DNA
配列番号14:合成DNA
配列番号15:合成DNA
配列番号36:合成DNA
配列番号37:合成DNA
配列番号38:合成DNA
配列番号39:合成DNA
配列番号40:合成DNA
配列番号41:合成DNA
配列番号42:合成DNA
配列番号43:合成DNA
配列番号44:合成DNA
配列番号45:合成DNA

Claims (13)

  1. E-11-13、H-48-2、L-30-10、N-18-12、W-40-5、X-14-4、X-51-12、F-4-8、G-3-10、0304及びKMTR1からなる群から選ばれる、TRAIL-R2に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  2. 受託番号がFERM BP-7599であるハイブリドーマH-48-2、受託番号がFERM BP-7698若しくはFERM BP-7770であるハイブリドーマE-11-13、受託番号がFERM BP-7699若しくはFERM BP-7768であるハイブリドーマF-4-8、受託番号がFERM BP-7700若しくはFERM BP-7769であるハイブリドーマL-30-10、受託番号がFERM BP-8037であるハイブリドーマ0304又は受託番号がFERM BP-8038であるハイブリドーマKMTR1から選ばれる、TRAIL-R2に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  3. 請求項1又は2に記載のハイブリドーマを培養し、得られる培養物からTRAIL-R2に結合する抗体を採取することを特徴とする、抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のハイブリドーマから抗TRAIL-R2モノクローナル抗体をコードする遺伝子を単離し、該遺伝子を有する発現ベクターを構築し、該発現ベクターを宿主に導入して前記モノクローナル抗体を発現せしめ、得られる宿主、宿主の培養上清又は宿主の分泌物から抗TRAIL-R2モノクローナル抗体を採取することを特徴とする、抗TRAIL-R2モノクローナル抗体の製造方法。
  5. 宿主が、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞及び植物細胞並びに哺乳動物からなる群から選ばれるいずれかのものである請求項4記載の製造方法。
  6. 以下の(1)から(8)の抗体又はその機能的断片を有効成分として含有する、腫瘍の予防又は治療剤。
    (1) 受託番号がFERM BP-7599であるハイブリドーマH-48-2、受託番号がFERM BP-7698若しくはFERM BP-7770であるハイブリドーマE-11-13、受託番号がFERM BP-7699若しくはFERM BP-7768であるハイブリドーマF-4-8、受託番号がFERM BP-7700若しくはFERM BP-7769であるハイブリドーマL-30-10、受託番号がFERM BP-8037であるハイブリドーマ0304又は受託番号がFERM BP-8038であるハイブリドーマKMTR1により産生される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する、TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2に結合する抗体又はその機能的断片
    (2) 受託番号がFERM BP-8037であるハイブリドーマ0304であるハイブリドーマ0304により産生される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する、上記(1)のTRAIL-R2に結合する抗体又はその機能的断片
    (3) 配列番号17及び19にそれぞれ示される、ハイブリドーマE-11-13の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号21及び23にそれぞれ示される、ハイブリドーマL-30-10の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号25及び27にそれぞれ示される、ハイブリドーマH-48-2の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号29及び31にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は配列番号33及び35にそれぞれ示される、ハイブリドーマKMTR1の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の、マチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体又はその機能的断片
    (4) 配列番号29及び31にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のマチュア部分のアミノ酸配列を有する、上記(3)の抗体又はその機能的断片
    (5) 配列番号16及び18にそれぞれ示される、ハイブリドーマE-11-13から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号20及び22にそれぞれ示される、ハイブリドーマL-30-10から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号24及び26にそれぞれ示される、ハイブリドーマH-48-2から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号28及び30にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は配列番号32及び34にそれぞれ示される、ハイブリドーマKMTR1から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の、マチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体又はその機能的断片
    (6) 配列番号28及び30にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のマチュア部分のアミノ酸配列を有する、上記(5)の抗体又はその機能的断片
    (7) 抗体のサブクラスがIgGである上記(1)〜(6)のいずれかの抗体又はその機能的断片
    (8) IgGがIgG1である上記(7)の抗体又はその機能的断片
  7. 腫瘍が、大腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、脳腫瘍、黒色腫、腎細胞癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、胃癌、膵臓癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肝臓癌、頭頚部扁平上皮癌、皮膚癌、尿路癌、前立腺癌、絨毛癌、咽頭癌、喉頭癌、きょう膜腫、男性胚腫、子宮内膜過形成、子宮内膜症、胚芽腫、線維肉腫、カポジ肉腫、血管腫、海綿状血管腫、血管芽腫、網膜芽腫、星状細胞腫、神経線維腫、稀突起謬腫、髄芽腫、神経芽腫、神経膠腫、横紋筋肉腫、謬芽腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、甲状肉腫及びウィルムス腫瘍等からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項6記載の予防又は治療剤。
  8. クロスリンクが無い状態で、癌細胞に細胞死誘導活性を有するTRAIL-R2に結合する抗体又はその機能的断片。
  9. クロスリンクが無い状態で、癌細胞に対するLD50値が0.7μg/ml以下である請求項8記載の抗体又はその機能的断片。
  10. クロスリンクが無い状態で、細胞数104及び反応時間48時間において癌細胞に細胞死誘導活性を有する請求項8記載の抗体又はその機能的断片。
  11. クロスリンクが無い状態で、細胞数2.5×103及び反応時間24時間における癌細胞に対するLD50値が0.02-0.11μg/mlである請求項8記載の抗体又はその機能的断片。
  12. クロスリンクが無い状態で、細胞数7.5x104及び反応時間24時間におけるヒト肝細胞に対するLD50値が、細胞数2.5x103及び反応時間48時間における癌細胞に対するLD50値の10倍以上である請求項8記載の抗体又はその機能的断片。
  13. 下記の(1)から(6)のいずれかの抗体の重鎖および軽鎖可変領域をコードする核酸。
    (1) 受託番号がFERM BP-7599であるハイブリドーマH-48-2、受託番号がFERM BP-7698若しくはFERM BP-7770であるハイブリドーマE-11-13、受託番号がFERM BP-7699若しくはFERM BP-7768であるハイブリドーマF-4-8、受託番号がFERM BP-7700若しくはFERM BP-7769であるハイブリドーマL-30-10、受託番号がFERM BP-8037であるハイブリドーマ0304又は受託番号がFERM BP-8038であるハイブリドーマKMTR1により産生される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する、TRAIL-R1及び/又はTRAIL-R2に結合する抗体
    (2) 受託番号がFERM BP-8037であるハイブリドーマ0304であるハイブリドーマ0304により産生される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する、上記(1)のTRAIL-R2に結合する抗体
    (3) 配列番号17及び19にそれぞれ示される、ハイブリドーマE-11-13の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号21及び23にそれぞれ示される、ハイブリドーマL-30-10の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号25及び27にそれぞれ示される、ハイブリドーマH-48-2の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号29及び31にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は配列番号33及び35にそれぞれ示される、ハイブリドーマKMTR1の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の、マチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体
    (4) 配列番号29及び31にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304の産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のマチュア部分のアミノ酸配列を有する、上記(3)の抗体
    (5) 配列番号16及び18にそれぞれ示される、ハイブリドーマE-11-13から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号20及び22にそれぞれ示される、ハイブリドーマL-30-10から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号24及び26にそれぞれ示される、ハイブリドーマH-48-2から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、配列番号28及び30にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は配列番号32及び34にそれぞれ示される、ハイブリドーマKMTR1から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の、マチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体
    (6) 配列番号28及び30にそれぞれ示される、ハイブリドーマ0304から単離された核酸配列にコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のマチュア部分のアミノ酸配列を有する、上記(5)の抗体
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