JP2005168345A - 振盪装置 - Google Patents

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裕一 玉置
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弘樹 毒島
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慎次 大沢
Kiyoshi Watabe
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Abstract

【解決手段】 その設置場所の如何によらず、対象物を載置した振盪装置並びにその設置場所の振動を抑制して振盪装置の寿命を維持するようにした振盪装置を提供することに加えて、その設置場所の如何によらず、振盪装置の基準温度を超えた温度上昇を抑制・防止する振盪装置を提供すること。
【構成】 本体と、本体の上部に設けられ対象物を載置固定する振盪台と、駆動源により回転駆動される主偏心軸及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動され前記本体に設けられる補助偏心軸を有し前記振動台を回転させる回転機構と、前記駆動源の運転を制御する制御装置とを備えた振盪装置において、前記制御装置は、前記本体に設けられ本体の振動を検出する振動センサの信号に基づき前記駆動源の回転数を制御するもの。
【選択図】 図3

Description

本発明は、振盪培養、反応、溶解、混合などに利用される振盪装置、特に回転機構における振盪台の回転に伴い振盪装置が振動することがあっても危険な振動状態を避けるようにしたものに関する。
従来より、細菌や真菌等の微生物にて代表される対象物の培養、化学反応、対象物質の溶解や混合などを行う際に、一定の条件で対象物を振盪させる振盪装置が用いられている。例えば振盪培養機では、培養対象である細菌や真菌等の微生物試料(培養体)を付着させた液体培地を収容する試験管やフラスコなどの培養容器を振盪台に固定し、この振盪台を左右に振盪させたり旋回又は回転させたりすることによって培養容器を振盪させる。これにより、培養容器内即ち対象物質中への空気の取り込みが促進され、微生物試料の増殖が促進されるものである。
例えば振盪台を旋回運動させる振盪装置は、一般に、モータ等の駆動源により鉛直に立設された主軸を回転駆動し、その主軸の上部に該主軸の軸芯から所定距離だけ偏心させて配置した偏心軸を主軸の周りに偏心回転(公転)させ、その偏心軸を介して振盪台を旋回させる構成を採用している(例えば、特許文献1参照)。また、振盪台が主軸の周りに公転する際に振盪台自体を偏心軸を中心に自転させる力が作用するため、こうした自転運動を規制するために自転規制機構が設けられている。
特許文献1に記載の従来技術では、基台に回転支持された複数の鉛直状の従属軸の上部に、それぞれ主軸に対する偏心軸の偏心量及び偏心方向と同じように偏心して従属ピンが設けられた従属クランク機構を設け、その従属ピンを連結部材を介して振盪台に接続することで振盪台の自転を規制している。
特開平10−314568号公報 ところで、こうした従来から知られている振盪装置においては、振盪装置を設置する場所の載置台や培養庫の構造によってそれぞれ決まることとなるそれぞれに固有の振動数(固有振動)を有するが、振盪装置の振盪台の回転数によっては、設置台そのものが大きく揺れる(即ち、振動する)ことがある。これは、この回転数と前述の固有の振動数との関係で共振周波数に一致する場合に載置台が共振するためである。この共振現象が継続すると、載置台のみならず振盪装置にも少なからず影響が及び振盪装置の寿命を短くする危惧があった。
更にまた、設置場所における温度環境は不特定・不確定なため、所望とする温度領域での使用であれば振盪装置の耐久性能に支障をきたすことはないが、常温に比べてきわめて高い温度(60℃以上)での使用に際しては、装置そのものへの悪影響が懸念される。振盪装置を培養庫の中に入れて使用する場合には、培養庫の設定温度によってはこのような振盪装置に影響を及ぼすような温度になってしまうことが想定されるものの、特許文献1に記載の従来技術では、振盪装置の置かれる環境の温度によって振盪装置を保護するような構成にはなっておらず、振盪装置にも少なからず影響が及び、振盪装置の寿命を短くする危惧があり、設置される様々な環境に応じて、振盪装置が対応できない不具合があった。
本発明は、このような振盪装置にあって、その設置場所の如何によらず、対象物を載置した振盪装置並びにその設置場所の振動を抑制して振盪装置の寿命を維持するようにした振盪装置を提供することを目的とする。また、これに加えて、本発明は、その設置場所の如何によらず、振盪装置の基準温度を超えた温度上昇を抑制・防止する振盪装置を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明の振盪装置(1)は、本体(2)と、本体の上部に設けられ対象物(6)を載置固定する振盪台(3)と、駆動源(13)により回転駆動される主偏心軸(12)及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動される補助偏心軸(14,15,16)を有し前記本体に設けられ前記振盪台を回転させる回転機構(8)と、前記駆動源の運転を制御する制御装置(32)とを備え、前記制御装置(32)は、前記本体に設けられ本体の振動を検出する振動センサ(33)の信号に基づき前記駆動源(13)の回転数を制御するものである。
請求項2の発明の振盪装置(1)は、前記振動センサ(33)で検出された振動が予め定めた基準振動値(A)を超えた場合には、駆動源の回転数を低下させるものである。
請求項3の発明の振盪装置(1)は、前記基準振動値(A)は、本体前面に設けたコントロールパネル(4)にて設定できるものである。
請求項4の発明の振盪装置(1)は、前記制御装置(32)は、前記振動センサ(33)で検出された振動が基準振動値(A)を超えた場合には、基準振動値(A)を超えた旨を報知する報知手段(38)を作動させるものである。
請求項5の発明の振盪装置(1)は、前記報知手段(38)が、表示手段であるものである。
請求項6の発明の振盪装置(1)は、前記制御装置(32)は、前記報知にあたり通信を利用して振盪装置(1)から離れた場所に基準振動値(A)を超えた旨を通知するものである。
請求項7の発明の振盪装置(1)は、本体(2)と、本体の上部に設けられ対象物(6)を載置固定する振盪台(3)と、駆動源(13)により回転駆動される主偏心軸(12)及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動される補助偏心軸(14,15,16)を有し前記本体に設けられ前記振盪台を回転させる回転機構(8)と、前記駆動源(13)の運転を制御する制御装置(32)とを備えた、前記制御装置(32)は、前記本体に設けられ本体の温度を検出する温度センサ(36)の信号に基づき前記駆動源(13)の回転数を制御するものである。
請求項8の発明の振盪装置(1)は、前記制御装置(32)は、前記温度センサ(36)で検出された温度が予め定めた第二の基準値(基準温度T)を超えた場合には、基準温度(T)を超えた旨を報知するものである。
請求項9の発明の振盪装置(1)は、前記制御装置(32)は、前記報知にあたり通信を利用して振盪装置(1)から離れた場所に温度が基準温度(T)を超えた旨を通知するものである。
請求項10の発明の振盪装置(1)は、前記振動センサ(33)を金属ケース(34)に収納したものである。
請求項11の発明の振盪装置(1)は、前記金属ケース(34)を加熱する加熱手段(35)を備えたものである。
請求項12の発明の振盪装置(1)は、前記制御装置(32)は、前記金属ケース(34)の温度を結露しない温度に維持するものである。
請求項13の発明の振盪装置(1)は、本体(2)と、本体の上部に設けられ対象物(6)を載置固定する振盪台(3)と、駆動源(13)により回転駆動される主偏心軸(12)及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動される補助偏心軸(14,15,16)を有し前記本体に設けられ前記振盪台を回転させる回転機構(8)と、前記駆動源(13)の運転を制御する制御装置(32)とを備えた、前記制御装置(32)は、前記本体に設けられ本体の振動を検出する振動センサ(33)と、前記本体に設けられ本体の温度を検出する温度センサ(36)とからの信号に基づき、振動優先で前記駆動源(13)の回転数を制御するものである。
以上詳述した如く請求項1の発明によれば、振動センサ(33)の信号に基づき前記駆動源(13)の回転数を制御することで、振盪装置(1)が振盪台の回転に伴う振動により、共振作用が発生しないように共振の抑制防止を図ることができることに加え、共振現象による悪影響を抑制・防止して、短命化を抑制できる。
以上詳述した如く請求項2の発明によれば、制御装置(32)が、振動センサ(33)からの信号に基づき基準振動値を超えたことを判断して、回転数を低下させるので、振盪装置(1)としての振動状態が安全なうちにより安全な回転数にて運転を継続することが可能となり、振盪装置としての安全性を向上できる。
以上詳述した如く請求項3の発明によれば、第一の基準値(即ち、基準振動値A)をコントロールパネル(4)にて任意に設定できることから、使用者が経験的に熟知している危険な振動(共振)を避けて振盪装置(1)を駆動することが可能となり、回転数の指定だけでなく、振盪装置をより安全なものにできる。
以上詳述した如く請求項4の発明によれば、制御装置(32)が基準振動値(A)を超えた旨を報知手段(38)を通じて報知することにより、使用者に振動による危険性を事前に告知することに加え使用者の設定した回転数が機器にとっては危険な回転数であることの報知が可能となり、使用者に対して振盪装置の振動に関する安全性をアピールできる。
以上詳述した如く請求項5の発明によれば、報知手段(38)として表示手段を採用することにより、使用者に対して、振動に伴う騒音の上昇による事態の変化を通知することに加えて視覚的にもその変化(危険の発生)を通知することができ、聴覚・視覚の両面からの危険度のアピールが図れる。。
以上詳述した如く請求項6の発明によれば、制御装置(32)が、通信を利用して振盪装置(1)から離れた場所に基準振動値(A)を超えた旨を通知することにより、使用者が振盪装置の設置場所を離れていても、また、振盪装置を別の培養機に収納して使用する場合でも、視覚・聴覚に訴えられない状況にあっても、例えば携帯電話や固定電話等に通信することで、振動による危険が発生していることを告知することが可能となり、装置としての安全性を向上できる。
以上詳述した如く請求項7の発明によれば、温度センサ(36)の信号に基づき前記駆動源(13)の回転数を制御することで、設置される様々な環境、特に設置場所の温度環境に応じて、振盪装置の運転を制御することが可能となり、装置としての使用性が向上する。
以上詳述した如く請求項8の発明によれば、制御装置(32)が温度センサ(36)からの信号に基づき基準温度(T)を超えたことを判断する一方、その旨を報知することにより、使用者に振盪装置の設置環境の温度が所望していない温度になっていることに伴う危険性を、事前に告知できることに加え、使用者の設定した回転数がその悪環境下では機器にとって危険な回転数であることの報知が可能となり、使用者に対して振盪装置の安全性をアピールできる。
以上詳述した如く請求項9の発明によれば、制御装置(32)が、通信を利用して振盪装置(1)から離れた場所に基準温度(T)を超えた旨を通知することにより、使用者が振盪装置の設置場所を離れていても、また、振盪装置を別の培養機に収納して使用する場合等振盪装置の周囲が覆われて、振盪装置として視覚・聴覚に訴えられない状況にあっても、例えば携帯電話や固定電話等に通信することで、振盪装置にとっては環境温度による危険が発生していることを告知することが可能となり、振盪装置としての温度に関する安全性を向上できる。
以上詳述した如く請求項10の発明によれば、振動センサ(33)を金属ケース(34)に収納することにより、振盪装置の内部に水分が侵入し振動センサ付近に伝達されたとしても、金属ケース(34)にて直接振動センサに水分が付着しないように防水保護を図ることが可能となり、水分付着によるセンサとしての検出精度の悪化を抑制・防止することができる。
以上詳述した如く請求項11の発明によれば、振盪台(3)に載置されるフラスコやビーカ等の対象物(6)に入れられる液体が、振盪台の回転に伴い対象物より零れ、振盪台を伝わって本体内部の金属ケースに付着したとしても、金属ケース(34)を加熱する加熱手段(35)により加熱・蒸発させることができ、振動センサを水分による悪影響から保護することができる。
以上詳述した如く請求項12の発明によれば、振盪装置(1)を湿度制御可能な培養庫に収納して使用するに際し、振盪装置の本体内部に湿気が侵入するが、制御装置(32)が、金属ケース(34)の温度を結露しない温度に維持することから、振盪装置がいかなる環境下に置かれても振動センサを水分による悪影響から保護することができ、振盪装置としての使用性の向上及び使用可能環境を拡大することが可能となる。
以上詳述した如く請求項13の発明によれば、制御装置(32)が、本体の振動を検出する振動センサ(33)と、本体の温度を検出する温度センサ(36)とからの信号に基づき、振動を優先として、駆動源(13)の回転数を制御することから、振動と温度の両面での駆動源(13)の回転数制御を実現することができ、振盪台(3)の回転が最も重要な振盪装置(1)としての使用性の向上及び使用可能環境を拡大することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施例を詳述する。図1はフラスコ等の対象物を載置した状態の本発明の振盪装置の斜視図、図2は本発明の振盪装置の一部切欠き状態の斜視図、図3は本発明の振盪装置の前後方向における断面図、図4は本発明の振盪装置の左右方向における断面図、図5は本発明の制御装置への信号の入出力関係を示すブロック図、図6は本発明の制御装置における駆動源の回転数制御の一形態を示すフローチャート図である。
本発明の振盪装置1は、図1に示すように、上面が開放した本体としての外装ケース2の上面に平板状の振盪台3が設けられるとともに、前面上部には斜め上方を指向して旋回速度(即ち、駆動源の回転数)、振盪運転時間、基準振動値、基準温度などを設定するためのコントロールパネル4が設けられている。また、外装ケース2の下面には複数個(本実施例では4個)のゴム等の弾性部材から成る防振用の脚部5が突出しており、この4本の脚部5により振盪装置1を起立支持している。6は、振盪装置の振盪台3に載置・固定されるフラスコや試験管、ビーカー等の試料を収納する対象物である。この対象物6は、振盪台3の旋回運動により、移動することがないように、図示しない固定手段により振盪台3に固定される。
図2乃至図4に示すように、振盪台3は、固定手段を固定するための複数のビス穴を設けた断面コ字状の載置板3Aと、後述する回転機構8における一つの主偏心軸と複数(ここでは3つ)の補助偏心軸を固定する振盪基板3Bとからなる。
この振盪装置1において、振盪台3を旋回運動させるための機構系の構成、即ち回転機構8は、図2乃至図4に示すように、真鍮等の金属材料で形成された基台11と、この基台11の上面に設けられる主偏心軸12と、回転伝達機構を介してこの主偏心軸12を回転させる駆動源としてのモータ13と、前記主偏心軸12の周囲に対称関係に配置される複数(ここでは3つ)の補助偏心軸14,15,16とで構成される。前述の回転伝達機構は、モータ13の回転軸13Bに取付けられる小プーリ17と、前記主偏心軸12の中心軸に取付けられる大プーリ18と、この両プーリ17,18を連結してモータ13の回転を大プーリに伝達する回転ベルト19と、やはり前述の主偏心軸12の中心軸に取付けられ、回転機構のバランスを取るバランサ20とからなる。
尚、主偏心軸12の周囲に対称関係になるように配置される補助偏心軸14,15,16は略正三角形状に配置され、各偏心軸12,14,15,16の上端は、固定装置により振盪基板3Bに固定されている。
図3及び図5において、31は振盪装置1のモータ13等の電装部品に電気信号を供給するための電装基板であり、32はこの電装基板31に設けられた制御装置、33は振盪装置1の振動を検出する振動センサ、34はこの振動センサ33を覆う金属製のケース、35はこの金属製のケース34を加熱する加熱素子、36は振盪装置の内部温度を検出すべくモータ13近傍に設けられた温度センサ、38は制御装置32からの信号に基づき報知する報知手段である。振動センサ33としては、加速度センサや角速度センサがあり前者を、加熱素子としては正特性サーミスタをそれぞれ考慮している。
振動センサ33を金属ケース34に収納することにより、振盪装置の内部に水分が侵入し振動センサ付近に伝達されたとしても、金属ケース34にて直接振動センサに水分が付着しないように防水保護を図ることが可能となり、水分付着によるセンサとしての検出精度の悪化を抑制・防止することができる。
報知手段38としては、LEDの点灯・点滅や7セグメントにて数字を示す液晶等により視覚に訴えて報知する表示手段や、ブザー等警報音を発して聴覚に訴えて報知する警報手段があり、振盪装置1とすれば、コントロールパネル4の部分に配置される。
報知手段38として表示手段を採用することにより、使用者に対して、振動に伴う騒音の上昇による事態の変化を通知することに加えて視覚的にもその変化(危険の発生)を通知することができ、聴覚・視覚の両面からの危険度のアピールが図れる。
尚、使用者が振盪装置1の近辺にいて作業を継続できる場合には、この報知手段38にて異常状態等の報知が使用者に伝達されるが、使用者が振盪装置1の設置場所を離れて別室や別の建物等に移動してしまった場合には、異常状態等の報知を使用者に伝達することができない。このため、本発明では、使用者が振盪装置1の設置場所を離れても異常状態を使用者に伝達することができるように、携帯電話やPHS等の無線や固定電話や通信線等の有線による通信設備を利用して、制御装置32からの信号を伝達している。
制御装置32が、通信を利用して振盪装置1から離れた場所に基準振動値Aを超えた旨を通知することにより、使用者が振盪装置の設置場所を離れていても、また、振盪装置を別の培養機に収納して使用する場合でも、視覚・聴覚に訴えられない状況にあっても、例えば携帯電話や固定電話等に通信することで、振動による危険が発生していることを告知することが可能となり、装置としての安全性を向上できる。
次に、図6に基づき、制御装置32におけるモータの回転数制御の実態について説明する。図6において、まずステップS1にて電源が投入されると、制御装置32は、ステップS2において、所望の回転数、運転時間、基準振動値、基準温度等の運転指示要素がコントロールパネル4において入力され、運転開始スイッチが押されたか否かを確認するための運転待機状態となる。
第一の基準値(即ち、基準振動値A)をコントロールパネル4にて任意に設定できることから、使用者が経験的に熟知している危険な振動(共振)を避けて振盪装置1を駆動することが可能となり、回転数の指定だけでなく、振盪装置をより安全なものにできる。
次のステップS3にて、運転開始スイッチが押されたか否かが判断され、スイッチが押されなければステップS2に戻り、運転開始スイッチが押されればステップS4にて、振動センサ33からの振動を検出してから第1の一定時間(ここでは、例えば30秒間)が経過したか否かが判断され、一定時間が経過していなければステップS8へ移行する。
一定時間が経過していれば、ステップS5にて振動センサ33により検出された振動が予め設定された基準振動値A(例えば、加速度センサであれば1.5m/s)より大きいか否かが判断され、検出値が基準振動値A以下であればステップS8へ移行し、基準振動値Aを超えていれば次のステップS6で、回転数を一定数(例えば50rpm)だけ低下させる信号を出力し、ステップS7にて報知手段38を動作させる一方、無線や有線等の通信を利用して振盪装置1とは離れた場所に当該基準振動値Aを超えた旨を出力しステップS4へ復帰する。
制御装置32が、振動センサ33からの信号に基づき基準振動値を超えたことを判断して、回転数を低下させるので、振盪装置1としての振動状態が安全なうちにより安全な回転数にて運転を継続することが可能となり、振盪装置としての安全性を向上できる。また、制御装置32が基準振動値Aを超えた旨を報知手段38を通じて報知することにより、使用者に振動による危険性を事前に告知することに加え使用者の設定した回転数が機器にとっては危険な回転数であることの報知が可能となり、使用者に対して振盪装置の振動に関する安全性をアピールできる。
ステップS8では、温度センサ36からの温度を検出してから第2の一定時間(ここでは、例えば第1の一定時間よりも長い60秒間)が経過したか否かが判断され、第2の一定時間が経過していなければステップS12へ移行する。第2の一定時間が経過していれば、次の次のステップS9で、温度センサ36により検出された振盪装置の温度が予め設定された基準温度T(例えば、60℃)より高いか否かが判断され、検出値が基準温度T以下であればステップS12へ移行し、基準温度Tを超えていれば次のステップS10で、回転数を一定数X(例えば100rpm)だけ低下させる信号を出力し、ステップS11にて報知手段38を動作させる一方、無線や有線等の通信を利用して振盪装置1とは離れた場所に当該基準温度Tを超えた旨を出力し、ステップS4へ復帰する。
温度センサ36の信号に基づき駆動源13の回転数を制御することで、設置される様々な環境、特に設置場所の温度環境に応じて、振盪装置の運転を制御することが可能となり、装置としての使用性が向上する。また、制御装置32が温度センサ36からの信号に基づき基準温度Tを超えたことを判断する一方、その旨を報知することにより、使用者に振盪装置の設置環境の温度が所望していない温度になっていることに伴う危険性を、事前に告知できることに加え、使用者の設定した回転数がその悪環境下では機器にとって危険な回転数であることの報知が可能となり、使用者に対して振盪装置の安全性をアピールできる。さらに、制御装置32が、通信を利用して振盪装置1から離れた場所に基準温度Tを超えた旨を通知することにより、使用者が振盪装置の設置場所を離れていても、また、振盪装置を別の培養機に収納して使用する場合等振盪装置の周囲が覆われて、振盪装置として視覚・聴覚に訴えられない状況にあっても、例えば携帯電話や固定電話等に通信することで、振盪装置にとっては環境温度による危険が発生していることを告知することが可能となり、振盪装置としての温度に関する安全性を向上できる。
ステップS12では、運転が終了したか否か、即ち、運転停止スイッチが押されたか否かが判断され、運転停止スイッチが押されなければステップS4へ復帰し、運転停止スイッチが押されていればステップS2へ戻って運転待機状態となる。
さて、振動センサ33は金属製のケース34で覆われているが、周囲環境(特に湿度)が変化するとその表面に結露が生じることがある。この湿気による振動センサ33への悪影響を防止する上で、この金属製のケース34を結露しない温度に維持するために、加熱素子(正特性サーミスタ)35を配置している。この正特性サーミスタは、一定電圧の電源に接続されている。一般的にこの正特性サーミスタは、温度が高くなるとその抵抗値が正方向即ち増加する方向に変化して、電流を小さくするように作用する所謂正特性を示すサーミスタである。電流が小さくなれば、電流の2乗×抵抗値(=IR)で定まるサーミスタにおける発熱量は、小さくなり、温度がこの温度よりも高くなるのを抑制するように作用する。逆に、温度が低くなると、その抵抗値が変化して電流を大きくするように作用するため、発熱量が大きくなり、金属製のケース34の温度をある温度、即ち動作点付近で安定維持することができる。この正特性サーミスタの抵抗が急激に変化する点(温度)を動作点Tsと呼ぶが、この動作点Tsを先の基準温度Tよりも若干高い温度(例えば65℃)に設定したと仮定すれば、金属ケース34の温度はこの動作点付近の温度に維持され、勿論、結露しない温度に保温することができる。
振盪台3に載置されるフラスコやビーカ等の対象物6に入れられる液体が、振盪台の回転に伴い対象物より零れ、振盪台を伝わって本体内部の金属ケースに付着したとしても、金属ケース34を加熱する加熱素子35により加熱・蒸発させることができ、振動センサを水分による悪影響から保護することができる。また、振盪装置1を湿度制御可能な培養庫に収納して使用するに際し、振盪装置の本体内部に湿気が侵入するが、制御装置32が、金属ケース34の温度を結露しない温度に維持することから、振盪装置がいかなる環境下に置かれても振動センサを水分による悪影響から保護することができ、振盪装置としての使用性の向上及び使用可能環境を拡大することが可能となる。
制御装置32において、振動センサ33で検出された振動により、対象物を含む本体2、及びこの本体が設置される机や載置台等の物体の固有振動(共振点)を検出するように構成すれば、どこに設置されいかなる対象物が振盪台に対してどのように載置されるか(即ち振盪装置が設置される場所の環境)に応じて決定されるであろう、「運転中の固有振動数」を検出することが可能となり、そのTPO(時と場所と場合)に応じて振動に関する学習機能を備えた振盪装置を提供することができる。
また、制御装置32において、検出された共振点を避けるように、駆動源13の回転数を自動調整するように構成すれば、TPOに応じた共振点の検出に加えて、自動的にこの共振点を避ける回転数を判断して安全な回転数に推移させて運転を継続することが可能となるため、振盪装置1の共振による危険を回避した連続運転が可能となり、その信頼性・安全性を向上できる。
上述の実施形態によれば、振動センサ33の信号に基づき駆動源13の回転数を制御することで、振盪装置1が振盪台の回転に伴う振動により、共振作用が発生しないように共振の抑制防止を図ることができることに加え、共振現象による悪影響を抑制・防止して、短命化を抑制できる。
以上詳述した如く本発明によれば、制御装置32が、本体の振動を検出する振動センサ33と、本体の温度を検出する温度センサ36とからの信号に基づき、振動を優先として、駆動源13の回転数を制御することから、振動と温度の両面での駆動源13の回転数制御を実現することができ、振盪台3の回転が最も重要な振盪装置1としての使用性の向上及び使用可能環境を拡大することができる。
フラスコ等の対象物を載置した状態の本発明の振盪装置の斜視図である。 本発明の振盪装置の一部切欠き状態の斜視図である。 本発明の振盪装置の前後方向における断面図である。 本発明の振盪装置の左右方向における断面図である。 本発明の制御装置への信号の入出力関係を示すブロック図である。 本発明の制御装置における駆動源の回転数制御の一形態を示すフローチャート図である。
符号の説明
1 振盪装置
2 外装ケース(本体)
3 振盪台
3A 載置板
3B 振盪基板
4 コントロールパネル
5 脚部
6 フラスコ(対象物)
11 基台
12 主偏心軸
13 モータ(駆動源)
14,15,16 補助偏心軸
17 小プーリ
18 大プーリ
19 回転ベルト
20 バランサ
31 電装基板
32 制御装置
33 振動センサ
34 金属製のケース
35 加熱素子
36 温度センサ

Claims (13)

  1. 本体と、本体の上部に設けられ対象物を載置固定する振盪台と、駆動源により回転駆動される主偏心軸及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動され前記本体に設けられる補助偏心軸を有し前記振動台を回転させる回転機構と、前記駆動源の運転を制御する制御装置とを備えた振盪装置において、前記制御装置は、前記本体に設けられ本体の振動を検出する振動センサの信号に基づき前記駆動源の回転数を制御することを特徴とする振盪装置。
  2. 前記制御装置は、前記振動センサで検出された振動が予め定めた第一の基準(基準振動)値を超えた場合には、駆動源の回転数を低下させることを特徴とする請求項1に記載の振盪装置。
  3. 前記第一の基準値は、本体前面に設けたコントロールパネルにて設定できることを特徴とする請求項2に記載の振盪装置。
  4. 前記制御装置は、前記振動センサで検出された振動が予め定めた第一の基準(基準振動)値を超えた場合には、基準振動を超えた旨を報知する報知手段を作動させることを特徴とする請求項1に記載の振盪装置。
  5. 前記報知手段が、表示手段であることを特徴とする請求項4に記載の振盪装置。
  6. 前記制御装置は、前記報知にあたり通信を利用して振盪装置から離れた場所に振動が基準振動値を超えた旨を通知することを特徴とする請求項4に記載の振盪装置。
  7. 本体と、本体の上部に設けられ対象物を載置固定する振盪台と、駆動源により回転駆動される主偏心軸及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動され前記本体に設けられる補助偏心軸を有し前記振盪台を回転させる回転機構と、前記駆動源の運転を制御する制御装置とを備えた振盪装置において、前記制御装置は、前記本体に設けられ本体の温度を検出する温度センサの信号に基づき前記駆動源の回転数を制御することを特徴とする振盪装置。
  8. 前記制御装置は、前記温度センサで検出された温度が予め定めた第二の基準値(基準温度)を超えた場合には、基準温度を超えた旨を報知することを特徴とする請求項7記載の振盪装置。
  9. 前記制御装置は、前記報知にあたり通信を利用して振盪装置から離れた場所に温度が基準温度を超えた旨を通知することを特徴とする請求項8に記載の振盪装置。
  10. 前記振動センサを金属ケースに収納したことを特徴とする請求項1に記載の振盪装置。
  11. 前記金属ケースを加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載の振盪装置。
  12. 前記制御装置は、前記金属ケースの温度を結露しない温度に維持することを特徴とする請求項11に記載の振盪装置。
  13. 本体と、本体の上部に設けられ対象物を載置固定する振盪台と、駆動源により回転駆動される主偏心軸及びこの主偏心軸の回転に同期して回転駆動され前記本体に設けられる補助偏心軸を有し前記振盪台を回転させる回転機構と、前記駆動源の運転を制御する制御装置とを備えた振盪装置において、前記制御装置は、前記本体に設けられ本体の振動を検出する振動センサと、前記本体に設けられ本体の温度を検出する温度センサとを備え、各センサからの信号に基づき前記駆動源の回転数を制御することを特徴とする振盪装置。
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