JP2005168108A - 保護継電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力系統の保護継電装置にあって、欠相時の系統動揺中に発生する保護区間内の事故に対しても、確実に事故点を除去し、電力系統の保護を可能とする。
【解決手段】電力系統の動揺を検出する動揺検出回路(PSB)11、欠相状態を検出する欠相状態検出回路(LOP)12、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係などから保護方向(前方方向)の事故を判別して動作する逆相変化分方向継電器(前方判別要素)(DI2-D(F))13Fの各出力をAND回路15に入力し、欠相状態下(LOP動作中)の系統動揺中(PSB動作中)に系統事故が発生し、その系統事故を自端子(変電所)よりも前方方向と判別した(DI2-D(F)動作)場合にのみ、相手端子へトリップ許容信号16tを送信すると共に、相手端子からのトリップ許容信号17rを受信して遮断器トリップ信号19を出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】電力系統の動揺を検出する動揺検出回路(PSB)11、欠相状態を検出する欠相状態検出回路(LOP)12、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係などから保護方向(前方方向)の事故を判別して動作する逆相変化分方向継電器(前方判別要素)(DI2-D(F))13Fの各出力をAND回路15に入力し、欠相状態下(LOP動作中)の系統動揺中(PSB動作中)に系統事故が発生し、その系統事故を自端子(変電所)よりも前方方向と判別した(DI2-D(F)動作)場合にのみ、相手端子へトリップ許容信号16tを送信すると共に、相手端子からのトリップ許容信号17rを受信して遮断器トリップ信号19を出力する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、電力系統の欠相を伴う動揺中の事故発生時においても、確実に事故点を除去し、電力系統の保護を可能とする保護継電装置に関する。
電力系統を保護する保護継電装置は、電力系統の保護対象範囲に発生した事故を判別し、遮断器を動作させてその事故部分を切り離す。この保護継電装置は、電力系統の変電設備において入力する電圧・電流から測距インピーダンスを計算し、その存在領域(負荷領域)から保護対象範囲内の事故か否かを判別する。そして、保護対象範囲内の事故の場合は遮断器にトリップ信号を送信する。
図27は電力系統の健全な負荷状態での潮流による測距インピーダンスZの存在域(負荷領域)と、事故方向検出要素(モー特性、オーム特性)との関係を示す図である。
このように健全な負荷状態では、潮流の測距インピーダンスの存在域(負荷領域)は、事故方向検出要素(モー特性、オーム特性)の動作域から離れた位置に存在する。このため、モー継電器、ブラインダ継電器は、不要に事故を検出する動作をしない。
しかし、電力系統の潮流が大きくなると、測距インピーダンスは事故方向検出要素の動作域に近づく。このため、電力系統に動揺が生じた場合、事故方向検出要素の動作域に入り、事故ではないにも拘わらず、継電器が不要に動作して遮断器トリップに至る場合がある。
従って、通常、電力系統の動揺時は、この動揺現象を検出し、事故方向検出要素を含めた距離継電器の動作出力をロックしている。
従来は、電力系統の動揺を一度検出すると、距離継電器の動作出力をロックし、その後に送電線の保護区間内事故が発生した場合でも、距離継電器の動作出力ロックを継続(前値保持)するのが基本的な構成である。しかしこのことは、系統動揺中の保護区間内事故に対し、誤って不動作となることを意味する。
この系統動揺中の事故発生により送電線保護継電装置を動作させて処置する場合は、事故発生より生じる零相電流,逆相電流などのレベルに応じて保護継電装置の動作出力ロックを解除する方式がある。しかしこの方式では、事故方向の選択性は考慮していないため、保護区間外部の事故に対し保護継電装置が過剰動作する可能性がある。
近年、系統動揺中においても保護区間内の事故だけを的確にトリップしたいという要求が強まっている。同一出願人が2001年8月27日に出願した「保護継電装置」にあるように、電力系統から測定した電圧および電流の不平衡成分を利用して、例えば逆相成分を抽出し、事故の方向を正しく判別する手法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このように測定電圧・電流の不平衡成分を利用して事故方向を判別する手法では、常時不平衡成分が存在しているような場合、その不平衡成分それ自体が誤差の原因となり、方向判別を誤るという問題があった。単相再閉路の無電圧時間中における1相欠相状態などは、常時不平衡成分が存在する代表的な例である。
このような場合に対し、同一出願人が2002年1月28日に出願した「ディジタル形方向継電器」にあるように、常時不平衡成分が存在する場合でも、事故方向の判別が可能な手法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−070151号公報
特開2003−224928号公報
このような従来の保護継電装置の現状において、欠相時の系統動揺中に発生する保護区間内の事故に対しても、速やかに事故除去を行いたいというユーザ側のニーズがある。
本発明の目的は、欠相時の系統動揺中に発生する保護区間内の事故に対しても、確実に事故点を除去し、電力系統の保護を可能とする保護継電装置を提供するものである。
本発明の請求項1に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、逆相(変化分)前方事故判別手段により前方の事故ありを判別した場合には通信手段により系統保護端子間の相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信し、加えて通信手段により相手端子側からの遮断器トリップ許容信号を受信した場合には電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の系統動揺中に事故が発生した場合でも、内部事故に対してのみ正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項2に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、逆相(変化分)前方事故判別手段により前方の事故ありを判別した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の系統動揺中に事故が発生した場合でも、前方事故に対してのみ正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項3に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、零相(変化分)前方事故判別手段により前方の事故ありを判別した場合には通信手段により系統保護端子間の相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信し、加えて通信手段により相手端子側からの遮断器トリップ許容信号を受信した場合には電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の系統動揺中に内部地絡事故が発生した場合でも、正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項4に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、零相(変化分)前方事故判別手段により前方の事故ありを判別した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の系統動揺中に前方地絡事故が発生した場合でも、正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項5に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、逆相(変化分)前方事故判別手段と零相(変化分)前方事故判別手段の少なくとも一方により前方の事故ありを判別した場合には通信手段により系統保護端子間の相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信し、加えて通信手段により相手端子側からの遮断器トリップ許容信号を受信した場合には電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の系統動揺中に内部事故が発生した場合に、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡内部事故に対してのみ正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項6に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、逆相(変化分)前方事故判別手段と零相(変化分)前方事故判別手段の少なくとも一方により前方の事故ありを判別した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の系統動揺中に前方事故が発生した場合に、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡前方事故に対してのみ正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項7に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、電流アンバランス検出手段により各相間電流値の整定値以上のアンバランスを検出した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の電力動揺検出中に事故が発生した場合、その事故により発生する電流のアンバランス分を検出し、確実に事故除去できることになる。
本発明の請求項8に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、通信手段により保護対象対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に逆相(変化分)後方事故判別手段により系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の前方事故判別要素が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば逆相変化分による後方事故なしの判別を確認して遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項9に係る保護継電装置は、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、通信手段により保護対象対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に零相(変化分)後方事故判別手段により系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の前方事故判別要素が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば零相変化分による後方事故なしの判別を確認して遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項10に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、通信手段により保護対象対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に逆相(変化分)後方事故判別手段と零相(変化分)後方事故判別手段が何れも系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の前方事故判別要素が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば逆相変化分および零相変化分による後方事故なしの判別を確認して遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項11に係る保護継電装置は、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、不足電圧検出手段により電力系統の電圧が一定時間以上整定値以下となったことを検出した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の電力動揺検出中に事故が発生し、自端と相手端の前方事故判別要素が動作しなかった場合でも、電圧低下が継続すれば遮断器トリップ可能となり、確実に事故除去できることになる。
本発明の請求項12に係る保護継電装置では、動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、逆相(変化分)前方事故判別手段により系統保護方向の事故ありを判別した場合、又は電流アンバランス検出手段により各相間電流値の整定値以上のアンバランスを検出した場合、又は通信手段により保護対象対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に逆相(変化分)後方事故判別手段により系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合、又は不足電圧検出手段により電力系統の電圧が一定時間以上整定値以下となったことを検出した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に、相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信したときに電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する。
これによれば、欠相状態の電力動揺検出中に自端の逆相変化分の前方事故判別手段により保護方向の事故ありを判別した場合には、遮断器トリップ可能となり、また当該自端の逆相変化分の前方事故判別手段により保護方向の事故ありを判別できなかった場合でも、電流のアンバランス、相手端からのトリップ許容信号の受信、電圧低下の継続などが確認されれば、最終的に遮断器トリップ可能となり、正しく確実に事故除去できることになる。
本発明の請求項13に係る保護継電装置では、前記請求項2に係る保護継電装置にあって、逆相(変化分)後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を第1の時間遅延して出力すると共に、第1の時間経過後第2の時間まで継続して出力し、この系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を継続して出力する間、逆相(変化分)前方事故判別手段による系統保護方向の事故ありの判別出力を阻止する。
これによれば、後方事故の発生による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故ありが誤って判別された場合に、誤って遮断器トリップするのを第2の時間確実に阻止でき、しかも、前方事故発生の影響により後方事故ありが誤って判別された場合には、遮断器トリップの阻止を第1の時間はすることなく逆相(変化分)前方事故判別手段による前方事故ありの判別を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になり、前方事故および後方事故のあらゆる誤判別に対処して正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項14に係る保護継電装置では、前記請求項4に係る保護継電装置にあって、零相(変化分)後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を第1の時間遅延して出力すると共に、第1の時間経過後第2の時間まで継続して出力し、この系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を継続して出力する間、零相(変化分)前方事故判別手段による系統保護方向の事故ありの判別出力を阻止する。
これによれば、後方事故の発生による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故ありが誤って判別された場合に、誤って遮断器トリップするのを第2の時間確実に阻止でき、しかも、前方事故発生の影響により後方事故ありが誤って判別された場合には、遮断器トリップの阻止を第1の時間はすることなく零相(変化分)前方事故判別手段による前方事故ありの判別を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になり、前方事故および後方事故のあらゆる誤判別に対処して正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項15に係る保護継電装置は、前記請求項6に係る保護継電装置にあって、逆相(変化分)後方事故判別手段および零相(変化分)後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を第1の時間遅延して出力すると共に、第1の時間経過後第2の時間まで継続して出力し、この系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を継続して出力する間、逆相(変化分)前方事故判別手段および零相(変化分)前方事故判別手段による系統保護方向の事故ありの判別出力を阻止する。
これによれば、後方事故の発生による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故ありが誤って判別された場合に、誤って遮断器トリップするのを第2の時間確実に阻止でき、しかも、前方事故発生の影響により後方事故ありが誤って判別された場合には、遮断器トリップの阻止を第1の時間はすることなく逆相(変化分)前方事故判別手段および零相(変化分)前方事故判別手段による前方事故ありの判別を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になり、前方事故および後方事故のあらゆる誤検出に対処して正しく事故除去できることになる。
本発明の請求項1に係る保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に事故が発生した場合でも、内部事故に対してのみ正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項2に係る保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に事故が発生した場合でも、前方事故に対してのみ正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項3に係る保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に内部地絡事故が発生した場合でも、正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項4に係る保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に前方地絡事故が発生した場合でも、正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項5に係る保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に内部事故が発生した場合に、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡内部事故に対してのみ正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項6に係る保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に前方事故が発生した場合に、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡前方事故に対してのみ正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項7に係る保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に事故が発生した場合、その事故により発生する電流のアンバランス分を検出し、確実に事故除去できるようになる。
本発明の請求項8に係る保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の前方事故判別要素が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば逆相変化分による後方事故なしの判別を確認して遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項9に係る保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の前方事故判別要素が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば零相変化分による後方事故なしの判別を確認して遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項10に係る保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の前方事故判別要素が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば逆相変化分および零相変化分による後方事故なしの判別を確認して遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項11に係る保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に事故が発生し、自端と相手端の前方事故判別要素が動作しなかった場合でも、電圧低下が継続すれば遮断器トリップ可能となり、確実に事故除去できるようになる。
本発明の請求項12に係る保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に自端の逆相変化分の前方事故判別手段により保護方向の事故ありを判別した場合には、遮断器トリップ可能となり、また当該自端の逆相変化分の前方事故判別手段により保護方向の事故ありを判別できなかった場合でも、電流のアンバランス、相手端からのトリップ許容信号の受信、電圧低下の継続などが確認されれば、最終的に遮断器トリップ可能となり、正しく確実に事故除去できるようになる。
本発明の請求項13に係る保護継電装置によれば、前記請求項2に係る保護継電装置において、さらに、後方事故の発生による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故ありが誤って判別された場合に、誤って遮断器トリップするのを第2の時間確実に阻止でき、しかも、前方事故発生の影響により後方事故ありが誤って判別された場合には、遮断器トリップの阻止を第1の時間はすることなく逆相(変化分)前方事故判別手段による前方事故ありの判別を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤判別に対処して正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項14に係る保護継電装置によれば、前記請求項4に係る保護継電装置において、さらに、後方事故の発生による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故ありが誤って判別された場合に、誤って遮断器トリップするのを第2の時間確実に阻止でき、しかも、前方事故発生の影響により後方事故ありが誤って判別された場合には、遮断器トリップの阻止を第1の時間はすることなく零相(変化分)前方事故判別手段による前方事故ありの判別を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤判別に対処して正しく事故除去できるようになる。
本発明の請求項15に係る保護継電装置によれば、前記請求項6に係る保護継電装置において、さらに、後方事故の発生による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故ありが誤って判別された場合に、誤って遮断器トリップするのを第2の時間確実に阻止でき、しかも、前方事故発生の影響により後方事故ありが誤って判別された場合には、遮断器トリップの阻止を第1の時間はすることなく逆相(変化分)前方事故判別手段および零相(変化分)前方事故判別手段による前方事故ありの判別を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤検出に対処して正しく事故除去できるようになる。
したがって、本発明によれば、欠相時の系統動揺中に発生する保護区間内の事故に対しても、確実に事故点を除去し、電力系統の保護を可能とする保護継電装置を提供できる。
以下、本発明の保護継電装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の保護継電装置について、図1から図5を参照して説明する。
第1実施形態の保護継電装置について、図1から図5を参照して説明する。
図1は、保護継電装置を設けた電力系統の構成を示す図である。
図1において、TLは電力系統のA変電所,B変電所を連係する保護対象としての送電線である。各変電所A,Bにはそれぞれ電流変成器CT,電圧変成器PTにより電流(I),電圧(V)を取り込んで保護演算する保護継電装置Ry−A,Ry−Bを設置する。これらの各保護継電装置Ry−A,Ry−Bでは、相手遮断器CB−B,CB−Aへの遮断命令を許容するためのトリップ許容信号を通信手段A,Bを使用してお互いにやり取りする。
保護継電装置Ry−A,Ry−Bは同一構成であるので、その内部構成については保護継電装置Ry−Aで代表して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
11は動揺検出回路(PSB)である。
系統動揺の検出方法については、電気協同研究第37巻1号P65に記載されている。これによれば、系統動揺の検出は、インピーダンス軌跡の推移を、動作ゾーンの異なる方向検出要素のモー継電器(Mho)とオフセットモー継電器(O−Mho)との動作時間差、あるいは2つのブラインダ継電器の動作時間差として捉えることで行っている。
図3は、系統動揺をモー継電器(Mho)22とオフセットモー継電器(O−Mho)21の動作時間差により検出する場合のインピーダンス特性を示す図である。
系統動揺によりインピーダンスZの軌跡が矢印aのように移動した場合、t1でオフセットモー継電器(O−Mho)21が動作し、t2でモー継電器(Mho)22が動作する。t2−t1の時間差が整定値以上の場合には、系統動揺(脱調)と判別し、距離継電器の動作をロックする。また、距離継電器のロックの解除は、ミストリップを防ぐため、インピーダンスZの軌跡がオフセットモー継電器(O−Mho)21の動作領域外になってから一定時間経過後に行う。
図4は、動揺検出回路(PSB)11の構成を示す図である。
図4において、21はオフセットモー継電器(O−Mho)、22はモー継電器(Mho)、23はNOT回路、24はAND回路である。AND回路24は、オフセットモー継電器(O−Mho)21の動作およびモー継電器(Mho)22の不動作を動作条件として成立する。
25は確認タイマとしてのオンディレイタイマ(TDE)である。オンディレイタイマ(TDE)25は、AND回路24の出力“1”がディレイ時間T20以上継続した場合に“1”を出力する。
すなわち、動揺検出回路(PSB)11は、系統インピーダンスZがオフセットモー継電器(O−Mho)21の動作域に入ってからモー継電器(Mho)22の動作域に入るまでの時間差t2−t1が、オンディレイタイマ(TDE)25の整定時間T20よりも長い場合に、電力系統に動揺が生じたと判別し、当該オンディレイタイマ(TDE)25から系統動揺検出信号“1”を出力する。
なお、このオンディレイタイマ(TDE)25により系統動揺を検出した場合は、引き延ばしタイマとしてのオフディレイタイマ26により系統動揺検出信号“1”をT21時間継続させる。
これにより、動揺検出回路(PSB)11のPSB(Power Swing Block)出力が得られる。
図2において、12は欠相状態検出回路(LOP)である。
この欠相状態検出回路(LOP)12では、例えば電力系統の各相における遮断器の状態などを取り込むことにより欠相状態を検出することができる。
前記遮断器の状態が取り込めない場合は、過電流継電器などを利用して、欠相状態の検出が可能である。
図5は、過電流継電器(OC−High)31H,(OC−Low)31Lを利用した欠相状態検出回路(LOP)12の内部ロジックを示す図である。
図5において、31H,31Lは何れも過電流継電器である。過電流継電器(OC−High)31Hの動作値は、過電流継電器(OC−Low)31Lの動作値よりも高い。32a,32b,32cは何れもAND回路である。各AND回路32a,32b,32cは、電力系統の3相(A,B,C)のうち、何れか2相の過電流継電器(OC−High)31Hが動作しており、残りの1相の過電流継電器(OC−Low)31Lが動作していない場合に成立する。
すなわち、各AND回路32a,32b,32cは、電力系統の3相のうち2相にはある程度電流が流れており(OC−High)、1相だけはある一定値以下の電流しか流れていない(OC−Low)場合に成立することとなり、欠相を検出することが可能となる。33はOR回路であり、前記AND回路32a,32b,32cの何れかのアンド条件が成立した場合に最終的に欠相検出となり、欠相状態検出回路12のLOP出力が得られる。
図2において、13Fは逆相変化分方向継電器(前方判別要素)(以下、逆相前方継電器13Fという)であり、逆相変化分を用いて保護方向(前方方向)の事故を判別して動作する。この逆相前方継電器13Fは、事故時に生じた逆相成分のみを抽出するもので、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2を求め、この逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係等から事故方向を判別する。
まず、電圧の逆相分は、例えば以下の式(1)によって求める。
3V2m=VAm+VB(m−8)+VC(m−4) (1)
ここでmは現時点のサンプルを示す。以下30°ごとにデータがあるものとする。従って、m−4は120°前のデータを意味する。
ここでmは現時点のサンプルを示す。以下30°ごとにデータがあるものとする。従って、m−4は120°前のデータを意味する。
また、電流の逆相分は、例えば以下の式(2)によってを求める。
3I2m=IAm+IB(m−8)+IC(m−4) (2)
次に、例えば1サイクル前の逆相電圧値と現時点の逆相電圧値との不平衡成分電圧の変化分を、以下の式(3)によって求める。
次に、例えば1サイクル前の逆相電圧値と現時点の逆相電圧値との不平衡成分電圧の変化分を、以下の式(3)によって求める。
ΔV2m=V2m−V2(m−12) (3)
また、例えば1サイクル前の逆相電流値と現時点の逆相電流値との不平衡成分電流の変化分を、以下の式(4)によって求める。
また、例えば1サイクル前の逆相電流値と現時点の逆相電流値との不平衡成分電流の変化分を、以下の式(4)によって求める。
ΔI2m=I2m−I2(m−12) (4)
この実施形態では、先に逆相成分を求め、次に変化分を求めているが、先に変化分を求め、次に逆相分を求めても全く同じである。
この実施形態では、先に逆相成分を求め、次に変化分を求めているが、先に変化分を求め、次に逆相分を求めても全く同じである。
そして、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係から前方事故を判定する。逆相のインピーダンスはほぼ順方向リアクタンスであることを考慮入れると、前方事故の場合は、ΔI2mは−ΔV2mに対して約90°遅れる。従ってΔI2mを90°移相し、−ΔV2mとの内積をとることで、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係を見ることができる。これを式で表すと例えば以下の式(5)のようになる。
ΔI2m∠90°*(−ΔV2m)≧k1|ΔV2m| (5)
この式(5)によればΔI2mの90°進み分を−ΔV2mに掛けて得られた成分が、k1以上になった場合に判定動作となる。
この式(5)によればΔI2mの90°進み分を−ΔV2mに掛けて得られた成分が、k1以上になった場合に判定動作となる。
この判定動作域を図に示したものが図6である。
図6は、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係に応じた事故判別動作範囲を示す図である。
内積演算[ΔI2m∠90°*(−ΔV2m)]は次の式(6)で求める。
−ΔV2m*ΔI2m∠90°
=−ΔV2m・ΔJ2m−ΔV2(m−3)・ΔJ2(m−3) (6)
ここでΔJ2mは、ΔI2mを90°進めたもので、例えば次式(7)により求める。
=−ΔV2m・ΔJ2m−ΔV2(m−3)・ΔJ2(m−3) (6)
ここでΔJ2mは、ΔI2mを90°進めたもので、例えば次式(7)により求める。
ΔJ2m=(ΔI2m−2ΔI2m(m−2)/√3 (7)
絶対値|ΔV2m|は、例えば次式(8)により求める。
絶対値|ΔV2m|は、例えば次式(8)により求める。
事故判定式(5)中のk1は、判定感度を決める要素であり、電力系統の条件に合せて決める。
逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2という不平衡成分電気量の変化分を使用することで、常時存在する逆相分の電気量の影響を受けにくくすることが可能である。また、事故の方向判別の精度を上げることが出来る。
なお、自明であるが、電流を移相する代りに電圧を移相して事故判定する場合も全く同じである。また、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2との位相関係を求めるのに、どちらかの電気量を90°移相して内積演算を行うようにしたが、外積演算を行ってもよい。
(変形例1)
第1実施形態の逆相前方継電器13Fにおける事故判定の変形例として、単純に位相差だけから事故判定をするものを挙げる。
第1実施形態の逆相前方継電器13Fにおける事故判定の変形例として、単純に位相差だけから事故判定をするものを挙げる。
既に述べたように、前方事故では−ΔV2mとΔJ2mはほぼ同位相となることから、その位相差をφとすれば次の式(9)で判定が可能となる。
図7は、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係に応じた変形例1の事故判別動作範囲を示す図である。
(変形例2)
この変形例2では、事故判定の動作領域をオフセットする。例えば図7で示した判定動作領域の−ΔV2mに−(ΔV2m−αΔV2m)を代入すれば、図8に示すようにαΔV2mだけオフセットした特性が得られる。なお、αは例えば定数である。
この変形例2では、事故判定の動作領域をオフセットする。例えば図7で示した判定動作領域の−ΔV2mに−(ΔV2m−αΔV2m)を代入すれば、図8に示すようにαΔV2mだけオフセットした特性が得られる。なお、αは例えば定数である。
図8は、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2の位相関係に応じた変形例2の事故判別動作範囲を示す図である。
ここでは、判定動作領域のオフセットを電圧の方向にとったが、系統動揺の計算を電流に対して行えば、電流の方向にオフセットすることも可能である。
このような、第1実施形態の逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fによる判別手法と変形例1、変形例2による判別手法とは、基本的に逆相電流の変化分と逆相電圧の変化分の位相差に着目するという点で共通する。
14はワンショットタイマである。前記逆相前方継電器13Fは、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2という逆相成分電圧3V2と逆相成分電流I2の変化分に基づいて演算するために、事故継続中であっても時間が経てば動作復帰してしまう。従ってこのワンショットタイマ14は、前記逆相前方継電器13Fが前方方向の事故を判別した際に、その前方事故の判別信号を安定して動作出力するための引き延ばしタイマである。
15はAND回路(&)である。このAND回路15は、前記動揺検出回路(PSB)11、欠相状態検出回路(LOP)12、逆相前方継電器13Fの各出力信号を入力し、欠相状態下(LOP動作中)の系統動揺中(PSB動作中)に系統事故が発生し、その系統事故を自端子(変電所)よりも前方方向と判別した(DI2-D(F)動作)場合にのみアンド条件が成立する。
このAND回路15のアンド条件が成立することにより、送信装置16から相手端子(変電所)Bに対して遮断器トリップ許容信号16tを送信する。
17は受信装置であり、相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rを受信すると信号“1”を出力する。なお、前記送信装置16および受信装置17によりキャリア電送手段を構成する。
18はAND回路(&)である。AND回路18は、前記受信装置17、AND回路15からそれぞれ信号“1”が出力されている状態、すなわち、相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rを受信中であること、および逆相前方継電器13Fが自端子(変電所)Aよりも前方方向事故と判別したことを条件として自端子(変電所)Aの遮断器CB−Aにトリップ信号19を出力する。
従って、保護区間A−Bの両端にある保護継電装置Ry−A,Ry−Bが何れも前方事故と判定した場合にのみ、遮断器トリップ可能となる。
以上のように、第1実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に事故が発生した場合でも、内部事故に対してのみ正しく事故除去できるようになる。
(第1実施形態の別の構成例)
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出された場合(DI2-D(F)動作)には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出された場合(DI2-D(F)動作)には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
この場合には、図9および図10に示すように、各保護継電装置Ry−A,Ry−Bの相互間で、相手遮断器CB−B,CB−Aの動作を許容するトリップ許容信号をやり取りするための通信手段A,Bを設ける必要はない。
図9は、通信手段A,Bを備えない保護継電装置を設けた電力系統の構成を示す図である。
図10は、本発明の第1実施形態において通信手段A,Bを備えない保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
これによれば、AND回路(&)15において、動揺検出回路(PSB)11、欠相状態検出回路(LOP)12、逆相前方継電器13Fの各出力信号を入力することで、欠相状態下(LOP動作中)の系統動揺中(PSB動作中)に系統事故が発生し、その系統事故を自端子(変電所)よりも前方方向と判別した(DI2-D(F)動作)場合にのみアンド条件が成立し、自端子(変電所)Aの遮断器CB−Aにトリップ信号19を出力する。
したがって、欠相状態の系統動揺中に前方事故が発生した場合には、当該前方事故のみを正しく且つ直ちに事故除去できるようになる。
(第2実施形態)
第2実施形態の保護継電装置について、図11を参照して説明する。
第2実施形態の保護継電装置について、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図11で示す第2実施形態の保護継電装置では、図2で示した第1実施形態の保護継電装置における逆相前方継電器13Fを零相前方継電器(零相変化分方向継電器(前方判別要素))41Fに置き換える。
零相前方継電器41Fは、零相変化分を用いて保護方向(前方方向)の事故を判別して動作する。この零相前方継電器41Fは、事故時に生じた零相成分のみを抽出するもので、零相変化分電圧ΔV0と零相変化分電流ΔI0を求め、この零相変化分電圧ΔV0と零相変化分電流ΔI0の位相関係等から事故方向を判別する。
まず、電圧零相分と電流零相分は、例えば次式(10)と(11)に従い演算する。
3V0m=Vam+Vbm+Vcm (10)
3I0m=Iam+Ibm+Icm (11)
そして、電圧零相変化分と電流零相変化分とは以下の式(12)と(13)に従い、例えば1サイクル前の値との不平衡成分電圧および不平衡成分電流の変化分として求める。
3I0m=Iam+Ibm+Icm (11)
そして、電圧零相変化分と電流零相変化分とは以下の式(12)と(13)に従い、例えば1サイクル前の値との不平衡成分電圧および不平衡成分電流の変化分として求める。
ΔI0m=I0m−I0(m−12) (12)
ΔV0m=V0m−I0(m−12) (13)
この第2実施形態の零相前方継電器41Fおける事故判別の手法については、逆相分電気量に代えて零相分電気量を使用すること以外、図2の第1実施形態の逆相前方継電器13Fと全く同じであるので説明を省略する。
ΔV0m=V0m−I0(m−12) (13)
この第2実施形態の零相前方継電器41Fおける事故判別の手法については、逆相分電気量に代えて零相分電気量を使用すること以外、図2の第1実施形態の逆相前方継電器13Fと全く同じであるので説明を省略する。
図12は、零相変化分電圧ΔV0と零相変化分電流ΔI0の位相関係に応じた事故判別動作範囲を示す図である。
このように、零相変化分の電気量を使用することで常時存在する零相分電気量の影響を受けにくくすることが可能である。単に零相分を使用するのに比べ、事故方向の判別精度を上げることが可能となる。例えば地絡事故が発生した場合には、零相を用いた方が感度を高く検出できる場合がある。また、事故の影響が逆相よりも零相に現れやすい電力系統などでは、この第2実施形態で示した、零相の変化分を使用する保護継電装置が適する。他の利点として、零相分の演算には時間遅れがない。このため周波数変動の影響を受けにくい。
以上のように、第2実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に内部地絡事故が発生した場合でも、正しく事故除去できるようになる。
(第2実施形態の別の構成例)
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出された場合(DI0-D(F)動作)には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出された場合(DI0-D(F)動作)には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
この場合には、図9および図13に示すように、各保護継電装置Ry−A,Ry−Bの相互間で、相手遮断器CB−B,CB−Aの動作を許容するトリップ許容信号をやり取りするための通信手段A,Bを設ける必要はない。
図13は、本発明の第2実施形態において通信手段A,Bを備えない保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
これによれば、AND回路(&)15において、動揺検出回路(PSB)11、欠相状態検出回路(LOP)12、零相前方継電器41Fの各出力信号を入力することで、欠相状態下(LOP動作中)の系統動揺中(PSB動作中)に系統事故が発生し、その系統事故を自端子(変電所)よりも前方方向と判別した(DI0-D(F)動作)場合にのみアンド条件が成立し、自端子(変電所)Aの遮断器CB−Aにトリップ信号19を出力する。
したがって、欠相状態の系統動揺中に前方地絡事故が発生した場合には、当該前方地絡事故のみを正しく且つ直ちに事故除去できるようになる。
(第3実施形態)
第3実施形態の保護継電装置について、図14を参照して説明する。
第3実施形態の保護継電装置について、図14を参照して説明する。
図14は、本発明の第3実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図14で示す第3実施形態の保護継電装置では、図11で示した第2実施形態における保護継電装置の零相前方継電器41Fに対し、逆相前方継電器13FをOR回路42によって並列に加える。
すなわち、欠相状態(LOP動作中)での系統動揺中(PSB動作中)に、零相前方継電器(DI0-D(F))41Fか逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fの何れかが動作することにより、遮断器トリップが可能となる。
零相前方継電器41Fによる零相変化分での方向判別のみでは、地絡を伴わない短絡事故に対し方向判別ができないが、逆相変化分で方向判別する逆相前方継電器13FをOR条件にして加えることにより、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡事故に対し、感度良く判別可能となる。
以上のように、第3実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に内部事故が発生した場合に、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡内部事故に対してのみ正しく事故除去できるようになる。
(第3実施形態の別の構成例)
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出された場合(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出された場合(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
この場合には、図9および図15に示すように、各保護継電装置Ry−A,Ry−Bの相互間で、相手遮断器CB−B,CB−Aの動作を許容するトリップ許容信号をやり取りするための通信手段A,Bを設ける必要はない。
図15は、本発明の第3実施形態において通信手段A,Bを備えない保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
これによれば、AND回路(&)15において、動揺検出回路(PSB)11、欠相状態検出回路(LOP)12の各出力信号、および逆相前方継電器13Fと零相前方継電器41FとのOR出力信号を入力することで、欠相状態下(LOP動作中)の系統動揺中(PSB動作中)に系統事故が発生し、その系統事故を自端子(変電所)よりも前方方向と判別した(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)場合にのみアンド条件が成立し、自端子(変電所)Aの遮断器CB−Aにトリップ信号19を出力する。
したがって、欠相状態の系統動揺中に前方事故が発生した場合には、地絡事故および短絡事故の全ての不平衡前方事故のみを正しく且つ直ちに事故除去できるようになる。
(第4実施形態)
第4実施形態の保護継電装置について、図16を参照して説明する。
第4実施形態の保護継電装置について、図16を参照して説明する。
図16は、本発明の第4実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
この第4実施形態の保護継電装置では、図2で示した第1実施形態の保護継電装置における逆相前方継電器13Fを電流アンバランス検出継電器(OC−UNB)43に置き換える。
図17は、電流アンバランス検出器(OC−UNB)43にて行う欠相時における欠相していない相の電流差(アンバランス)の検出手順を示すフローチャートである。
まず、電流3相分の実効値を求める(ステップS1)。
この3相電流の実効値の内、最も大きいものと2番目のものを求める(ステップS2)。
3相電流の最大値と2番目の値の差を求め、この値が整定値Kよりも大きければ“1”を出力し(ステップS3→S4)、整定値K以下であれば“0”を出力する。
3相分の電流実効値の内、最小値の相は、欠相中であればほとんど“0”であると判断され、残り2相の差が大きいということは系統に事故が発生し、アンバランスが生じていることを意味している。その他の部分については図2と同じであるので説明を省略する。
これによれば、欠相状態(LOP動作中)で動揺を検出(PSB動作)した場合は、電流のアンバランス検出(OC−UNB動作)により、遮断器トリップすることになる。
以上のように、第4実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に事故が発生した場合、その事故により発生する電流のアンバランス分を検出し、確実に事故除去できるようになる。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、電流のアンバランスが検出された場合(OC−UNB動作)には、極めて高い確率で事故が発生していると判断できるので、受信装置17を設けずに、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態の保護継電装置について、図18を参照して説明する。
第5実施形態の保護継電装置について、図18を参照して説明する。
図18は、本発明の第5実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
この第5実施形態の保護継電装置では、図2で示した第1実施形態の保護継電装置の構成に加えて、逆相変化分方向継電器(後方判別要素)(以下、逆相後方継電器13Rという)、ワンショットタイマ44、NOT回路45、AND回路(&)46、OR回路47を使用する。
逆相後方継電器13Rは、逆相前方継電器13Fと同様に、逆相変化分電圧ΔV2と逆相変化分電流ΔI2との位相関係に基づいて電力系統の保護方向(前方)と反対の後方の事故を判別する。
ただし、前方事故と反対方向の判定であるので、以下の式(14)によって判定する。
ΔI2m∠90°*(−ΔV2m)<k2|ΔV2m| (14)
この式(14)によればΔI2mの90°進み分を−ΔV2mに掛けて得られた成分が、k2未満になった場合に判定動作となる。
この式(14)によればΔI2mの90°進み分を−ΔV2mに掛けて得られた成分が、k2未満になった場合に判定動作となる。
この判定動作域を図に示したものが図6である。
具体的な演算方法の説明は、前方事故の判定の場合と全く同じであるため省略する。
事故判定式(14)中のk2は、判定感度を決める要素であり、電力系統の条件に合せて決める。
ワンショットタイマ44は、前記逆相後方継電器13Rが後方事故を判別した際に、その後方事故の判別信号を安定して動作出力するための引き延ばしタイマである。このワンショットタイマ44の出力は、NOT回路45を介してAND回路46に入力する。
このAND回路46には、さらに、受信装置17により受信した相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rを入力する。
これによりAND回路46は、前記逆相後方継電器13Rが後方事故を判別していない状態(DI2-D(R)不動作)で、受信装置17が相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rを入力した場合に、信号“1”を出力する。
このAND回路46の出力は、前記逆相前方継電器13Fの前方事故判別動作を延長するワンショットタイマ14からの出力と並列にして、前記OR回路47に入力する。そして、このOR回路47からの出力は、前記動揺検出回路(PSB)11からの系統動揺検出出力と、前記欠相状態検出回路(LOP)12からの欠相状態検出出力とに並列にして前記AND回路15に入力する。
すなわち、欠相状態(LOP動作中)での系統動揺中(PSB動作)にあって、自端子(変電所)B側の逆相前方継電器13Fが前方事故を判別しなくても(DI2-D(F)不動作)、相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rが受信されれば、逆相後方継電器13Rが後方事故を判別していない(DI2-D(R)不動作)ことを確認して、遮断器トリップする。
以上のように、第5実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の逆相変化分の方向継電器(DI2-D(F))が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できるようになる。
(第6実施形態)
第6実施形態の保護継電装置について、図19を参照して説明する。
第6実施形態の保護継電装置について、図19を参照して説明する。
図19は、本発明の第6実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
この第6実施形態の保護継電装置では、図18で示した第5実施形態の保護継電装置における逆相前方継電器13Fと逆相後方継電器13Rを、零相前方継電器41Fと零相後方継電器41Rに置き換える。
これ以外の構成については、前記第5実施形態の保護継電装置と全く同じであるので、説明は省略する。
すなわち、欠相状態(LOP動作中)での系統動揺中(PSB動作)にあって、自端子(変電所)B側の零相前方継電器41Fが前方事故を判別しなくても(DI0-D(F)不動作)、相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rが受信されれば、零相後方継電器41Rが後方事故を判別していない(DI0-D(R)不動作)ことを確認して、遮断器トリップする。
以上のように、第6実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の零相変化分の方向継電器(DI0-D(F))が動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できるようになる。
(第7実施形態)
第7実施形態の保護継電装置について、図20を参照して説明する。
第7実施形態の保護継電装置について、図20を参照して説明する。
図20は、本発明の第7実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図20で示す第7実施形態の保護継電装置では、図19で示した第6実施形態における保護継電装置の零相前方継電器41Fに対し、逆相前方継電器13FをOR回路42Fによって並列に加え、また、零相後方継電器41Rに対し、逆相後方継電器13RをOR回路42Rによって並列に加える。
これ以外の構成については、前記第6実施形態の保護継電装置と全く同じであるので、説明は省略する。
すなわち、欠相状態(LOP動作中)での系統動揺中(PSB動作)にあって、自端子(変電所)B側の零相前方継電器41Fか逆相前方継電器13Fが前方事故を判別しなくても(DI0-D(F)+DI2-D(F)不動作)、相手端子(変電所)Bからの遮断器トリップ許容信号17rが受信されれば、零相後方継電器41Rと逆相後方継電器13Rが何れも後方事故を判別していない(DI0-D(R)+DI2-D(R)不動作)ことを確認して、遮断器トリップする。
以上のように、第7実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に相手端付近で事故が発生し、自端の零相変化分の方向継電器(DI0-D(F))と逆相変化分の方向継電器(DI2-D(F))が共に動作できなかった場合でも、相手端からトリップ許容信号の受信があれば遮断器トリップ可能となり、正しく事故除去できるようになる。
(第8実施形態)
第8実施形態の保護継電装置について、図21を参照して説明する。
第8実施形態の保護継電装置について、図21を参照して説明する。
図21は、本発明の第8実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図21で示す第8実施形態の保護継電装置では、不足電圧継電器(UV2相)48を、動揺検出回路(PSB)11と欠相状態検出回路(LOP)12に並列にAND回路15のAND条件として加える。
不足電圧継電器(UV2相)48は、電力系統の3相のうち欠相している1相の不足電圧継電器が既に動作していることを前提として、残り1相の相電圧が整定値以下となるか、その線間電圧が整定値以下となったことを検出する。この不足電圧継電器(UV2相)48の出力は、確認タイマ49を介して前記AND回路15に入力する。
確認タイマ49は、不足電圧継電器(UV2相)48の検出出力“1”がT4時間以上継続した場合に信号“1”を出力するもので、系統動揺中は健全相の電圧も変動して低下するため、一時的な電圧低下による誤動作を防止する。なお、確認タイマ49による確認時間T4の目安は、300ms程度以上とする。
そして、この第7実施形態の保護継電装置では、相手端(変電所)Bからのトリップ許容信号の受信装置17を備えない。
すなわち、欠相状態(LOP動作中)での系統動揺中(PSB動作)にあって、前記不足電圧継電器(UV2相)48からの不足電圧検出信号が確認タイマ49を介して確認出力されれば、相手端(変電所)Bからのトリップ許容信号の受信がなくても、遮断器トリップする。
つまり、電力系統3相のうち1相が既に欠相している状態にあって、残り1相の電圧不足が確認されれば、極めて高い確率で事故が発生していると判断して、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする。
以上のように、第8実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に事故が発生し、自端と相手端の逆相変化分方向継電器や零相変化分方向継電器などによる事故方向判別要素が動作しなかった場合でも、電圧低下(UV2相動作)が継続すれば遮断器トリップ可能となり、確実に事故除去できるようになる。
上記は、系統の電圧取り込み(PT)が遮断機に対して送電線側にある場合であるが、母線側にある場合は、不足電圧継電器の動作相は1相を条件としても良い。
また、CB条件、あるいは電流から、欠相相以外が限定できる場合も、動作相を1相としても良い。
(第9実施形態)
第9実施形態の保護継電装置について、図22を参照して説明する。
第9実施形態の保護継電装置について、図22を参照して説明する。
図22は、本発明の第9実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図22で示す第9実施形態の保護継電装置では、図2で示した第1実施形態における保護継電装置の逆相前方継電器13Fおよびワンショットタイマ(T2)14からなる前方事故判別要素に対し、図16の第4実施形態で示した電流アンバランス検出器(OC−UNB)43による事故判別要素、図18の第5実施形態で示した逆相後方継電器13Rおよびそのワンショットタイマ(T3),NOT回路45とトリップ許容信号受信装置17とのAND回路46からなる事故判別要素、図21の第8実施形態で示した不足電圧継電器(UV2相)48および確認タイマ49からなる事故判別要素を、OR回路52により何れもバックアップとして並列に加える。
この場合、不足電圧継電器(UV2相)48の確認タイマ(T4)49と同様にして、電流アンバランス検出器(OC−UNB)43の出力には確認タイマ(T5)50を付加し、AND回路46の出力には確認タイマ(T6)51を付加する。
これにより、電流アンバランス検出器(OC−UNB)43が電流のアンバランスを検出した場合でもT5時間、逆相後方継電器(DI2-D(R))13Rの不動作が確認される状態でトリップ許容信号17rが受信された場合でもT6時間、不足電圧継電器(UV2相)48が電圧低下を検出した場合でもT4時間、それぞれ遮断器トリップのタイミングを遅らせることができる。
この確認タイマT4、T5、T6による各事故の検出確認時間の間に、逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fにより内部事故を判別した場合には直ちに遮断器トリップ可能になり、外部事故がある場合にはその除去を期待できる。このため、内部事故が発生したにも関わらず、万が一、逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fが判別動作しなかった場合、あるいは外部事故で事故除去が遅れた場合には、電流アンバランス検出器(OC−UNB)43、AND回路46、不足電圧継電器(UV2相)48の何れかのバックアップ用の事故判別要素にて確認タイマT4、T5、T6のタイマ時間後に遮断器トリップ可能になる。
なお、前記第8実施形態にて既に述べたとおり、不足電圧継電器48は、条件によっては1相動作でよく、確認タイマ49のタイマ時間T4については、300ms程度以上に設定すればよい。電流アンバランス検出器(OC−UNB)43の確認タイマ50のタイマ時間T4については同程度に設定するか、あるいは当該電流アンバランス検出器(OC−UNB)43の方が前記不足電圧継電器(UV2相)48より事故に対する確認時間を短縮できることを考慮して、200ms程度に設定する。AND回路46の確認タイマ51のタイマ時間T6については、外部事故が無い(DI2-D(R)不動作)ことを確認しているので、外部事故で遮断器トリップする可能性は極めて低く、100ms程度に短く設定してもよい。
すなわち、欠相状態(LOP動作中)での系統動揺中(PSB動作)にあって、自端子(変電所)B側の逆相前方継電器13Fが前方事故を判別しなくても(DI2-D(F)不動作)、電流アンバランス検出器(OC−UNB)43による事故判別が確認されるか、またはトリップ許容信号17rの受信と共に逆相後方継電器(DI2-D(R))13Rによる後方事故の判別がないことが確認されるか、または不足電圧継電器(UV2相)48による事故判別が確認されれば、遮断器トリップする。
以上のように、第9実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に自端の逆相変化分の方向継電器(DI2-D(F))が動作した場合には、遮断器トリップ可能となり、また事故発生のタイミングなどにより当該自端の逆相変化分の方向継電器(DI2-D(F))が動作できなかった場合でも、電流のアンバランス、相手端からのトリップ許容信号の受信、電圧低下の継続などが確認されれば、最終的に遮断器トリップ可能となり、正しく確実に事故除去できるようになる。
(第10実施形態)
第10実施形態の保護継電装置について、図23を参照して説明する。
第10実施形態の保護継電装置について、図23を参照して説明する。
図23は、本発明の第10実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図23で示す第10実施形態の保護継電装置では、図2で示した第1実施形態における保護継電装置の逆相前方継電器13Fに対し、逆相後方継電器13Rの不動作確認回路(逆相後方事故なし確認回路)53をAND回路54によって並列に加える。
逆相後方事故なし確認回路53は、逆相後方継電器13Rと、この逆相後方継電器13Rの後方判別出力をT11時間延長継続するワンショットタイマ55、このワンショットタイマ55の出力をT12時間(T11>T12)遅延する遅延タイマ56、この遅延タイマ56の出力を反転して前記逆相前方継電器(DI2-D(F))13FとのAND回路54へ出力するNOT回路45により構成する。
これにより、逆相後方継電器(DI2-D(R))13Rが後方事故を判別動作してワンショットタイマ55から延長時間T11の信号出力が開始されても、遅延タイマ56による遅延時間T12はNOT回路45からの後方事故なしの確認信号の出力が継続される。このため、遅延時間T12以内に逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fが前方事故を判別すれば、遮断器トリップ可能となる。そして、遅延時間T12の経過後は、少なくとも延長時間T11の間、前記逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fによる前方事故の判別に基づく遮断器トリップは阻止される。従って、逆相後方継電器(DI2-D(R))13Rが一時的に後方事故を誤判別した場合でも、遅延時間T12以内であれば逆相前方継電器(DI2-D(F))13Fによる前方事故の判別動作が有効に作用し、遮断器トリップ可能となる。
ここで、前記ワンショットタイマ55による延長時間T11は、逆相後方継電器(DI2-D(R))13Rによって後方事故を検出した場合に遮断器トリップをロックする時間を意味するので、遮断器の動作時間などを考慮して200ms〜1s程度に設定する。遅延タイマ56による遅延時間T12は、例えば前方事故(保護範囲内事故)の影響によって逆相後方継電器(DI2-D(R))13Rが誤って事故判別動作した場合に、保護対象の遮断器トリップを誤ってロックしてしまうのを阻止する時間を意味するので、20〜40ms程度に設定する。
以上のように、第10実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に前方事故が検出(DI2-D(F)動作)され後方事故なし(DI2-D(R)不動作)が確認された場合には、確実に遮断器トリップが可能になるばかりでなく、後方事故の発生(DI2-D(R)動作)による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故が誤検出(DI2-D(F)動作)された場合に、誤って遮断器トリップするのをT11時間確実にロックでき、しかも、前方事故発生(DI2-D(F)動作)の影響により後方事故が誤検出(DI2-D(R)動作)された場合には、遮断器トリップのロックをT12時間することなく前方事故の検出(DI2-D(F)動作)を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤検出に対処して正しく事故除去できるようになる。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出(DI2-D(F)動作)されると共に背後方向(後方)の事故なし(DI2-D(R)不動作)が確認された場合には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
図24は、本発明の第10実施形態の保護継電装置における逆相後方事故なし確認回路53を図22で示した第9実施形態の保護継電装置に適用した場合の構成を示す図である。
この図24で示す保護継電装置において、前記図22および図23で示したそれぞれの保護継電装置と同一の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図24で示す保護継電装置によれば、欠相状態の電力動揺検出中に自端の逆相変化分の方向継電器(DI2-D(F))が動作した場合には、遮断器トリップ可能となり、また事故発生のタイミングなどにより当該自端の逆相変化分の方向継電器(DI2-D(F))が動作できなかった場合でも、電流のアンバランス(OC−UNB動作)、相手端からのトリップ許容信号の受信(17r)、電圧低下の継続(UV2相動作)などが確認されれば、最終的に遮断器トリップ可能となり、正しく確実に事故除去できるようになる。
しかも、後方事故の発生(DI2-D(R)動作)による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故が誤検出(DI2-D(F)動作)された場合には、誤って遮断器トリップするのをT11時間確実にロックできるだけでなく、前方事故発生(DI2-D(F)動作)の影響により後方事故が誤検出(DI2-D(R)動作)された場合には、遮断器トリップのロックをT12時間することなく前方事故の検出(DI2-D(F)動作)を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤検出に対処して正しく事故除去できるようになる。
(第11実施形態)
第11実施形態の保護継電装置について、図25を参照して説明する。
第11実施形態の保護継電装置について、図25を参照して説明する。
図25は、本発明の第11実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図25で示す第11実施形態の保護継電装置では、図11で示した第2実施形態における保護継電装置の零相前方継電器41Fに対し、零相後方継電器41Rの不動作確認回路(零相後方事故なし確認回路)57をAND回路54によって並列に加える。
この零相後方事故なし確認回路57は、前記図23および図24で示した第10実施形態の保護継電装置における逆相後方事故なし確認回路53の逆相後方継電器13Rを零相後方継電器41Rに置き換えたものである。この零相後方継電器41による後方事故判別出力を延長するワンショットタイマ55、このワンショットタイマ55による延長出力を遅延する遅延タイマ56、この遅延タイマ56の出力を反転して零相前方継電器(DI0-D(F))41FとのAND回路54に入力するNOT回路45については、前記第10実施形態における逆相後方事故なし確認回路53の構成と全く同一であり、詳細な動作説明は省略する。
したがって、第11実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に前方事故が検出(DI0-D(F)動作)され後方事故なし(DI0-D(R)不動作)が確認された場合には、確実に遮断器トリップが可能になるばかりでなく、後方事故の発生(DI0-D(R)動作)による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故が誤検出(DI0-D(F)動作)された場合に、誤って遮断器トリップするのをT11時間確実にロックでき、しかも、前方事故発生(DI0-D(F)動作)の影響により後方事故が誤検出(DI0-D(R)動作)された場合には、遮断器トリップのロックをT12時間することなく前方事故の検出(DI0-D(F)動作)を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤検出に対処して正しく事故除去できるようになる。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出(DI0-D(F)動作)されると共に背後方向(後方)の事故なし(DI0-D(R)不動作)が確認された場合には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
(第12実施形態)
第12実施形態の保護継電装置について、図26を参照して説明する。
第12実施形態の保護継電装置について、図26を参照して説明する。
図26は、本発明の第12実施形態の保護継電装置Ry−Aの内部ロジックを示す図である。
図26で示す第12実施形態の保護継電装置では、図14で示した第3実施形態における保護継電装置の逆相前方継電器13Fと零相前方継電器41FのOR回路42Fからなる前方事故判別要素に対し、逆相後方継電器13Rと零相後方継電器41RのOR回路42Rからなる後方事故判別要素の不動作確認回路(後方事故なし確認回路)58をAND回路54によって並列に加える。
この後方事故なし確認回路58は、図25で示した第11実施形態の保護継電装置の零相後方事故なし確認回路57における零相後方継電器41Rに対し、逆相後方継電器13RをOR回路42Rによって並列に加えたものである。この逆相後方継電器13Rと零相後方継電器41RのOR回路42Rからなる後方事故判別要素による後方事故判別出力を延長するワンショットタイマ55、このワンショットタイマ55による延長出力を遅延する遅延タイマ56、この遅延タイマ56の出力を反転して前記前方事故判別要素(13F,41F,42F)とのAND回路54に入力するNOT回路45については、前記第10,第11実施形態における各後方事故なし確認回路53,57の構成と全く同一であり、詳細な動作説明は省略する。
したがって、第12実施形態の保護継電装置によれば、欠相状態の系統動揺中に前方事故が検出(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)され後方事故なし(DI2-D(R)不動作又はDI0-D(R)不動作)が確認された場合には、確実に遮断器トリップが可能になるばかりでなく、後方事故の発生(DI2-D(R)動作又はDI0-D(R)動作)による事故除去に伴う潮流反転によって前方事故が誤検出(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)された場合に、誤って遮断器トリップするのをT11時間確実にロックでき、しかも、前方事故発生(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)の影響により後方事故が誤検出(DI2-D(R)動作又はDI0-D(R)動作)された場合には、遮断器トリップのロックをT12時間することなく前方事故の検出(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)を有効にし、確実に遮断器トリップが可能になる。よって、前方事故および後方事故のあらゆる誤検出に対処して正しく事故除去できるようになる。
なお、電力系統の欠相状態(LOP動作中)の動揺検出中(PSB動作中)にあって、保護方向(前方)の事故が検出(DI2-D(F)動作又はDI0-D(F)動作)されると共に背後方向(後方)の事故なし(DI2-D(R)不動作又はDI0-D(R)不動作)が確認された場合には、相手端からのトリップ許容信号17rを待つことなく遮断器トリップする構成としてもよい。
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
TL …送電線
CT …電流変成器
PT …電圧変成器
Ry …保護継電装置
CB …遮断器
11 …動揺検出回路(PSB)
12 …欠相状態検出回路(LOP)
13F…逆相(変化分)前方継電器(DI2-D(F))
13R…逆相(変化分)後方継電器(DI2-D(R))
14、44、55…ワンショットタイマ(T2)(T3)(T11)
15、18、24、32a、32b、32c…AND回路
16 …送信装置
16t…トリップ許容送信信号
17 …受信装置
17r…トリップ許容受信信号
19 …遮断器トリップ信号
21 …オフセットモー継電器(O−Mho)
22 …モー継電器(Mho)
23、45…NOT回路
24、46、54…AND回路
25 …オンディレイタイマ
26 …オフディレイタイマ
31H…過電流継電器(OC−High)
31L…過電流継電器(OC−Low)
33、42、42F、42R、47、52…OR回路
41F…零相(変化分)前方継電器(DI0-D(F))
41R…零相(変化分)後方継電器(DI0-D(R))
43 …電流アンバランス検出器(OC−UNB)
48 …不足電圧継電器(UV2相)
49、50、51…確認タイマ(T4)(T5)(T6)
53 …逆相(変化分)後方事故なし確認回路
56 …遅延タイマ(T12)
57 …零相(変化分)後方事故なし確認回路
58 …逆相(変化分)+零相(変化分)後方事故なし確認回路
CT …電流変成器
PT …電圧変成器
Ry …保護継電装置
CB …遮断器
11 …動揺検出回路(PSB)
12 …欠相状態検出回路(LOP)
13F…逆相(変化分)前方継電器(DI2-D(F))
13R…逆相(変化分)後方継電器(DI2-D(R))
14、44、55…ワンショットタイマ(T2)(T3)(T11)
15、18、24、32a、32b、32c…AND回路
16 …送信装置
16t…トリップ許容送信信号
17 …受信装置
17r…トリップ許容受信信号
19 …遮断器トリップ信号
21 …オフセットモー継電器(O−Mho)
22 …モー継電器(Mho)
23、45…NOT回路
24、46、54…AND回路
25 …オンディレイタイマ
26 …オフディレイタイマ
31H…過電流継電器(OC−High)
31L…過電流継電器(OC−Low)
33、42、42F、42R、47、52…OR回路
41F…零相(変化分)前方継電器(DI0-D(F))
41R…零相(変化分)後方継電器(DI0-D(R))
43 …電流アンバランス検出器(OC−UNB)
48 …不足電圧継電器(UV2相)
49、50、51…確認タイマ(T4)(T5)(T6)
53 …逆相(変化分)後方事故なし確認回路
56 …遅延タイマ(T12)
57 …零相(変化分)後方事故なし確認回路
58 …逆相(変化分)+零相(変化分)後方事故なし確認回路
Claims (15)
- 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する逆相前方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記逆相前方事故判別手段により系統保護方向の事故ありを判別した場合には前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信し、加えて前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信した場合には電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する逆相前方事故判別手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記逆相前方事故判別手段により系統保護方向の事故ありを判別した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する零相前方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記零相前方事故判別手段により系統保護方向の事故ありを判別した場合には前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信し、加えて前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信した場合には電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する零相前方事故判別手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記零相前方事故判別手段により系統保護方向の事故ありを判別した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する逆相前方事故判別手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する零相前方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記逆相前方事故判別手段と前記零相前方事故判別手段の少なくとも一方により系統保護方向の事故ありを判別した場合には前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信し、加えて前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信した場合には電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する逆相前方事故判別手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する零相前方事故判別手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記逆相前方事故判別手段と前記零相前方事故判別手段の少なくとも一方により系統保護方向の事故ありを判別した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の各相の電流から各相間の電流値の整定値以上のアンバランスを検出する電流アンバランス検出手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記電流アンバランス検出手段により各相間電流値の整定値以上のアンバランスを検出した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する逆相後方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に前記逆相後方事故判別手段により系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する零相後方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に前記零相後方事故判別手段により系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する逆相後方事故判別手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する零相後方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に前記逆相後方事故判別手段と前記零相後方事故判別手段が何れも系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧が一定時間以上整定値以下となったことを検出する不足電圧検出手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記不足電圧検出手段により電力系統の電圧が一定時間以上整定値以下となったことを検出した場合には、電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 電力系統の動揺を検出する動揺検出手段と、
電力系統の欠相を検出する欠相検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向の事故を判別する逆相前方事故判別手段と、
電力系統の各相の電流から各相間の電流値の整定値以上のアンバランスを検出する電流アンバランス検出手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する逆相後方事故判別手段と、
系統保護の対向端子間で遮断器トリップ許容信号を送受信する通信手段と、
電力系統の電圧が一定時間以上整定値以下となったことを検出する不足電圧検出手段と、
前記動揺検出手段により電力系統の動揺を検出すると共に前記欠相検出手段により電力系統の欠相を検出した状態で、前記逆相前方事故判別手段により系統保護方向の事故ありを判別した場合、又は前記電流アンバランス検出手段により各相間電流値の整定値以上のアンバランスを検出した場合、又は前記通信手段により前記対向端子間の相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信すると共に前記逆相後方事故判別手段により系統保護方向と反対方向の事故なしを判別した場合、又は前記不足電圧検出手段により電力系統の電圧が一定時間以上整定値以下となったことを検出した場合には、前記通信手段により前記対向端子間の自端子側から相手端子側へ遮断器トリップ許容信号を送信すると共に、相手端子側から自端子側への遮断器トリップ許容信号を受信したときに電力系統の遮断器にトリップ信号を出力する回路手段と、
を備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 請求項2に記載の保護継電装置において、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する逆相後方事故判別手段と、
この逆相後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を第1の時間遅延して出力すると共に、第1の時間経過後第2の時間まで継続して出力するタイマ手段と、
このタイマ手段により前記逆相後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を継続して出力する間、前記逆相前方事故判別手段による系統保護方向の事故ありの判別出力を阻止する前方事故判別阻止手段と、
を備えたことを特徴とする。 - 請求項4に記載の保護継電装置において、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する零相後方事故判別手段と、
この零相後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を第1の時間遅延して出力すると共に、第1の時間経過後第2の時間まで継続して出力するタイマ手段と、
このタイマ手段により前記零相後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を継続して出力する間、前記零相前方事故判別手段による系統保護方向の事故ありの判別出力を阻止する前方事故判別阻止手段と、
を備えたことを特徴とする。 - 請求項6記載の保護継電装置において、
電力系統の電圧,電流から算出した逆相電圧の変化分と逆相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する逆相後方事故判別手段と、
電力系統の電圧,電流から算出した零相電圧の変化分と零相電流の変化分との位相関係に基づいて系統保護方向と反対方向の事故を判別する零相後方事故判別手段と、
前記逆相後方事故判別手段および前記零相後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を第1の時間遅延して出力すると共に、第1の時間経過後第2の時間まで継続して出力するタイマ手段と、
このタイマ手段により前記逆相後方事故判別手段および前記零相後方事故判別手段による系統保護方向と反対方向の事故ありの判別出力を継続して出力する間、前記逆相前方事故判別手段および前記零相前方事故判別手段による系統保護方向の事故ありの判別出力を阻止する前方事故判別阻止手段と、
を備えたことを特徴とする。
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