JP2005166752A - 半導体部品の冷却装置及び冷却装置付き半導体部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 半導体部品を一様にかつ効率よく冷却でき、かつ、ゴミ等の異物により流路の一部が塞がれた場合でも冷却ムラ等を生じにくい半導体部品の冷却装置を提供する。
【解決手段】 冷却装置4は、基板上に実装される半導体部品の、基板に実装されているのと反対側の主表面を被冷却側主表面として、該被冷却側主表面上に配置される冷却部本体4Mを有する。冷却部本体4Mは、3以上の流路が連通形態で結節される流路分岐点10J,10Kが、被冷却側主表面上への投影にて該主表面上に分散する形で複数形成され、それら流路分岐点10J,10Kを互いに結合する形で流路10が網目形態で形成されてなる。
【選択図】 図4
【解決手段】 冷却装置4は、基板上に実装される半導体部品の、基板に実装されているのと反対側の主表面を被冷却側主表面として、該被冷却側主表面上に配置される冷却部本体4Mを有する。冷却部本体4Mは、3以上の流路が連通形態で結節される流路分岐点10J,10Kが、被冷却側主表面上への投影にて該主表面上に分散する形で複数形成され、それら流路分岐点10J,10Kを互いに結合する形で流路10が網目形態で形成されてなる。
【選択図】 図4
Description
この発明は、半導体部品の冷却装置及び冷却装置付き半導体部品に関する。
コンピュータに代表される電子機器は、文字、音声、及び画像等のマルチメディア情報を処理するため、大規模集積回路にて構成された半導体部品を装備している。この種の半導体部品は、処理速度の高速化や多機能化に伴って消費電力が増加の一途をたどり、これに比例して発熱量が増大する傾向にある。半導体部品の安定した動作を保証する上では、半導体パッケージの放熱性を高めるための冷却装置が必要不可欠となる。特にCPUなどの場合、クロック周波数の増大に伴い発熱量の増加はますます著しくなり、静的な熱拡散層を介した自然放熱では冷却が追いつかなくなってきている。そこで、特許文献1〜9に開示されているごとく、熱拡散層を水冷式の冷却装置(水冷ジャケット)にて構成し、該装置の流路内に冷却用液体を循環させ、熱放散効率を高めることが行なわれている。
しかし、特許文献1〜7に開示された冷却装置は、冷却用液体の流路が間仕切りの少ない扁平な空間により形成されており、液体の流速も小さいので熱交換効率が低く、十分な冷却効果を得にくい欠点がある。また、特許文献8では蛇行形態の水路が形成されているが、水路の入口から出口に向けて長く微細な水路がひとつながりにて形成されているために、ゴミ等の異物により水路が塞がれると、長い水路の全体にわたって冷却用液体の流通が滞り、冷却ムラ等を極めて生じやすい問題がある。
本発明の課題は、半導体部品を一様にかつ効率よく冷却でき、かつ、ゴミ等の異物により流路の一部が塞がれた場合でも冷却ムラ等を生じにくい半導体部品の冷却装置と、それを用いた冷却装置付き半導体部品とを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の半導体部品の冷却装置は、基板上に実装される半導体部品の基板に実装されているのと反対側の主表面を被冷却側主表面として、該被冷却側主表面上に配置される板状の冷却部本体を有し、該冷却部本体の内部に冷却流体の流路が形成されてなる半導体部品の冷却装置であって、
冷却部本体が、3以上の流路が連通形態で結節される流路分岐点が、被冷却側主表面上への投影にて該主表面上に分散する形で複数形成され、それら流路分岐点を互いに結合する形で流路が網目形態で形成されてなることを特徴とする。
冷却部本体が、3以上の流路が連通形態で結節される流路分岐点が、被冷却側主表面上への投影にて該主表面上に分散する形で複数形成され、それら流路分岐点を互いに結合する形で流路が網目形態で形成されてなることを特徴とする。
また、本発明の冷却装置付き半導体部品は、基板上に実装される半導体部品と、上記本発明の冷却装置とを有することを特徴とする。
上記のような網目状の流路により半導体部品の被冷却側主表面を被覆することで、半導体部品をより一様に冷却することができる。また、蛇行形態の流路と異なり、異なる2地点をつなぐ流路が並列形態で複数生じるので、流路断面積を実質的に増加させることができ、摩擦による流量損失も低減できるから、効率的な冷却が可能である。さらに、分散配置された流路分岐点の間に位置する流路部分に、仮に異物などによる詰まりを生じても、他の流路分岐点を経由した迂回(バイパス)流路が多数生ずるため、冷却ムラ等を招きにくい。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の冷却装置付き半導体部品の一例を示す断面模式図であり、図2はその要部の拡大図である。半導体部品1は部品側端子パッド101を有し、配線基板2側の端子接続パッドアレイ155にこれら部品側端子パッド101が半田接続部102を介してフリップチップ接続されることにより面実装されている。本実施形態において半導体部品1は、CPU等のシリコン集積回路部品である。また、層や基板の主表面は、図1のごとく、半導体部品1の部品側端子パッド101を下側にした状態を正置状態として、該正置状態における図面上側に表れる面を第一主表面、下側に表れる面を第二主表面として統一的に記載する。
配線基板2は、セラミックないし高分子材料よりなる誘電体層と、配線部を有する金属導体層とが交互に積層された構造を有する。その積層体の第一主表面には上記端子接続パッドアレイ155が形成されている。配線基板2の第二主表面には、該基板2自身をマザーボード等の接続先基板61に実装するためのパッドアレイ156(例えばBGAパッドあるいはPGAパッドからなる)が形成されている。
図2に示すように、半導体部品1は第一主表面が被冷却側主表面CPとされ、冷却装置4により該被冷却側主表面CPが冷却されるようになっている。冷却装置4は、該被冷却側主表面CP上に配置される冷却部本体4Mと、該冷却部本体4Mの第一主表面に接して配置される放熱部5と、冷却部本体4Mを基板2に固定するための固定部3とを有する。冷却部本体4Mは、本実施形態では、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウムあるいはガラス材料等のセラミック材料からなるが、シリコン等の半導体材料、シリコンとガラスの接合体、あるいは銅やアルミニウムなどの金属にて構成してもよい(以下、セラミック材料を採用する場合で代表させて説明する)。また、放熱部5は全体が銅ないしアルミニウムなどの金属にて構成され、第一主表面から突出する形で複数のフィン6が一体化されている。他方、固定部3は、セラミックないし金属により半導体部品1を取り囲むリング状に形成されており、ねじ止め、接着ないしろう付け等により基板2側に固着されている。他方、冷却部本体4Mは、第二主表面側が半導体部品1の被冷却側主表面CPに圧接された状態で、固定部3にねじ止め、接着ないしろう付け等により固定されている。なお、半導体部品1の被冷却側主表面CPと、冷却部本体4Mの第二主表面との間にはグリース層20(例えば熱伝導性の良好なシリコーングリースを主体とし、熱伝導性を改善するために、必要に応じて適量のセラミックフィラーを配合したもの)が配置されている。なお、グリース層20に代えて、図3に示すように、熱硬化性の合成樹脂(シリコン系)接着剤や金属ろう材ないしガラス等の無機接着剤からなる接着層21により、半導体部品1と冷却部本体4Mとを接着・固定してもよい。
図4は、図2の冷却部本体4Mに形成された流路パターンの一例を、断面構造にて示す平面模式図である。冷却部本体4Mは、その外周縁に沿って配置される外壁部11と、該外壁部11の内側空間を流路10に仕切る仕切り壁部12とを有する流路形成層15と、該流路形成層15の第一主表面側と第二主表面側とにそれぞれ配置され、流路形成層15内の流路10を第一主表面側及び第二主表面側にてそれぞれ塞ぐ遮蔽層13,14との積層構造を有する。図4に示すように、冷却部本体4Mは、3以上の流路10が連通形態で結節される流路分岐点10K,10Jが、被冷却側主表面CP上への投影にて該主表面上に分散する形で複数形成され、それら流路分岐点10K,10Jを互いに結合する形で流路10が網目形態で形成されてなる。このような網目状の流路10により半導体部品1の被冷却側主表面CPを被覆することで、被冷却側主表面CPを一様に冷却することができる。また、分散した流路分岐点10K,10J同士をつなぐ網目状に流路が形成されていることで、例えば図4中に示すような異なる2位置A,B間をつなぐ流路は並列形態で多数生じるので、流路断面積を実質的に増加させることができ、効率的な冷却が可能となる。さらに、隣接する2つの流路分岐点10J1,10J2の間に位置する流路部分に、仮に異物APなどによる詰まりを生じても、図中矢印にて示すように、他の流路分岐点を経由した迂回(バイパス)流路が多数存在するので、冷却ムラ等を招きにくい。
図2に示すように、冷却部本体4Mには、網目形態の流路10への冷却流体の入口22と出口23とを設けることができる。この場合、図5に示すように、冷却部本体4と、その外部に設けられた凝縮器52と循環管路53でつなぎ、該管路53上に設けられたポンプ51により冷却流体を両者の間で循環させるようにする。冷却流体としては、常温常圧で液体となる流体、例えば水やアルコールが用いられ、冷却部本体4M内の流路内で半導体部品1からの発熱を吸収して気化し、管路53を経て凝縮器52に戻される。凝縮器52の表面には多数のフィン52fが形成され、必要に応じて図示しないファンにより強制冷却され、ここに導かれた冷却流体を冷却して再び液体に戻す。該液体はポンプ51により再び冷却部本体4に送られ、循環する。図2の実施形態では、入口22と出口23とは上面側の遮蔽層14に形成されているが、形成位置はこれに限らず、該壁部11や底面側の遮蔽層13に形成してもよい。この場合、図3に示すように、入口22と出口23とは、入口22から出口に至る冷却流体の経路が複数パターン生ずるように開口形成され、異物APなどによる詰まりを生じたときの迂回流路形成効果が高められている。また、実施形態では冷却流体の気化による吸熱効果を利用してより大きな放熱効果を得ているが、冷却流体が気化しない状態で冷却流体を循環させて使用させても構わない。
なお、図6に示すように、冷却部本体4Mに網目形態の流路10を密閉空間として形成し、常温常圧にて液体となる冷却流体を該流路10内に減圧封入することもできる。この場合、常温において流路10内の空間の一部のみが液体状態の冷却流体151により満たされるようにしておく。半導体部品1の一部で発熱が生ずると、その発熱領域で液体状態の冷却流体151が蒸発し、冷却部本体4M内にてそれよりも低温領域(冷却領域)との間で蒸気圧差を生ずる。この蒸気圧差が駆動力となって上記低温の流路空間に該蒸気が移動し、そこで凝結して液体に戻る。このように、冷却流体151は、冷却部本体4M内で自己循環しながら半導体部品の冷却を行なうので、図5のように外部に凝結器52を設ける場合と比較して、流体の冷却効率の点では一歩譲るが、ポンプ51、凝結器52及び循環管路53を省略できるので、装置全体の小型化に大きく寄与する。この場合、図2のごとき入口22及び出口23は形成されない。
上記自己循環型の冷却部本体4Mは、例えば図6に示す工程にて製造可能である。流路形成層15と底面側の遮蔽層13とが一体化され、流路10が開放した第一部材4Aと、上面側の遮蔽層13を形成する第二部材4Bとを別体に構成する。そして、減圧チャンバー内にて開放した流路10内に冷却流体(チャンバー内の蒸気と平衡する液体である)51を注ぎ入れ、その状態で流路10を塞ぎつつ第二部材4Bを第一部材4Aに接着剤等を用いて貼り合わせ、冷却流体51の封入を行なうようにすればよい。
図4に戻り、冷却部本体4Mの内部において複数の流路分岐点10K,10Jは、被冷却側主表面CPと平行な平面上に複数分散配置され、それら流路分岐点10K,10Jを互いに結合する形で平面に沿う二次元網目流路10Nが形成されてなる。二次元網目流路10は、セラミックグリーンシートの積層・焼成により極めて簡単に形成でき、被冷却側主表面CPの面内における流路レイアウトの適正化も容易である。
図4においては、流路分岐点10K,10Jが平面上に格子状に配列されてなり、配列の外周縁に位置する流路分岐点10Jには3つの流路10が、配列内部に位置する流路分岐点10Kには4つの流路10がそれぞれ結合されるように、平面上に格子状の二次元網目流路10Nが形成されている。このような流路10のレイアウトによると、被冷却側主表面CPに沿う2方向の交絡流を生じさせやすく、冷却効率及び均一性に優れる。また、図6のように、流路10内に冷却流体51を封入する自己循環型の冷却部本体4Mを採用する場合、被冷却側主表面CP上の発熱領域と冷却領域との分布は、半導体部品1の動作状況に応じて変化するので、流路10内の冷却流体の流れ方向も一定しない。しかし、上記のように、幾何学的な対称性の高い格子状の二次元網目流路10Nを形成しておくと、発熱領域と冷却領域との分布によらず流路10内に常にスムーズな流体の流れを作ることができ、安定した冷却効果を発揮することができる。
一方、図10に示すように、流路分岐点10Jが平面上に千鳥状に配列されてなり、該千鳥配列される複数の流路分岐点10Jに、それぞれ3つの流路10が結合されるように、平面上に千鳥状の二次元網目流路10Nを形成することもできる。図4のような格子状の二次元網目流路10Nの場合、個々の流路10は、外壁部11による終端部を除いて、比較的長い距離を障害物に衝突することなく流通するので、流れの分散効果においては多少劣る。しかし、上記のような千鳥状の二次元網目流路10Nを形成すれば、流路分岐点10Jにおいて、仕切り壁部12の一部が流体の流れに対して邪魔板の機能を果たし、流体の分散効果を高めることができる。特に、図4に示すように、流体の入口22と出口23とが形成され、流体の流れの向きが概ね一定している場合は、その流れの向きが、仕切り壁部12への衝突を生ずるものとなるように、入口22と出口23と位置を調整しておけば、流体分散効果を一層高めることができる。
なお、上記二次元網目流路の形態には位相幾何学的に等価な種々の変形を加えることができる。例えば、図4及び図10においては、仕切り壁部12をいずれも方形に形成していたが、例えば図11に示すように、仕切り壁部12を円形に形成することもできる。図11においても、格子状ないし千鳥状の二次元網目流路が形成されている点に関しては、図4及び図10と位相幾何学的には何ら変わりはない。
図2においては、冷却部本体4Mの外周縁に沿って配置される外壁部11と、該外壁部11の内側空間を二次元網目流路10Nに仕切る仕切り壁部12とを有する流路形成層15が形成され、その流路形成層15がの第一主表面側と第二主表面側とに、流路10を該第一主表面側及び第二主表面側にてそれぞれ塞ぐ遮蔽層13,14が積層されている。この構造の具体的な製法について、以下に説明する。工程の概略は、図7に示すごとく、外壁部11と仕切り壁部12とに対応する形状にパターニングされた流路形成層15用のセラミック粉末層115と、遮蔽層13,14用のセラミック粉末層113,114とを積層して積層体104を作り、該積層体104を焼成することにより冷却部本体4Mを得る、というものである。
セラミックグリーンシートは、冷却部本体4Mを構成するセラミック材料の原料セラミック粉末に、溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、ブロムクロロメタン、エタノール、ブタノール、プロパノール、トルエン、キシレンなど)、結合剤(アクリル系樹脂(例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート)、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなど)、可塑剤(ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ジメチルフタレート、フタル酸エステル、ポリエチレングリコール誘導体、トリクレゾールホスフェートなど)、解膠剤(脂肪酸(グリセリントリオレートなど)、界面活性剤(ベンゼンスルホン酸など)、湿潤剤(アルキルアリルポリエーテルアルコール、ポチエチレングリコールエチルエーテル、ニチルフェニルグリコール、ポリオキシエチレンエステルなど)などの添加剤を配合して混練し、周知のドクターブレード法等によりシート状に成形したものである。
特に、遮蔽層13,14用のセラミック粉末層を該セラミックグリーンシートにて構成すると、該層は流路等のパターニングが不要であることから、可撓性が大きい未焼成の積層体において、強度の要部を担ういわば基材としてこれを有効に活用することができる。一方、図7では、流路形成層15用のセラミック粉末層もセラミックグリーンシート115にて構成している。外壁部11と仕切り壁部12とのパターニングは、該セラミックグリーンシート115への金型打抜加工等により行なうことができる。
図8は、上記の工程をより詳細に示すものである。まず、工程1に示すように、遮蔽層13用のセラミックグリーンシート113上に、流路10の背景形状をなす外壁部11と仕切り壁部12とをパターニングしたセラミックグリーンシート115を重ね合わせて接着する。該セラミックグリーンシート115が流路形成層15用のセラミック粉末層をなす。次に、工程3に示すように、この上にさらに遮蔽層14用のセラミックグリーンシート114を重ね合わせて接着し、積層体104とする。そして工程4に示すごとく、この積層体104を焼成し、冷却部本体4Mとする。
この際、工程3に先立って工程2に示すように、流路10として予定された領域には、焼成時に燃焼ないし分解する材質の粉末ペーストにより補助支持パターン130を形成することができる。遮蔽層14用のセラミックグリーンシート114を積層した際に、補助支持パターン130による補強効果に基づき、流路10用の空間が潰れることが防止ないし抑制される。該補助支持パターン130は、焼成により燃焼ないし分解して消失するから、流路10を精度よく、しかも極めて簡単に形成することができる。補助支持パターン130は、例えば主にカーボン粉末で構成されたペーストを用いて形成することができる。
なお、流路形成層15用のセラミック粉末層は、図8を援用して示すように、流路10の背景形状にパターニングされたセラミック粉末ペーストの塗付層111P,112Pにより形成してもよい。この場合、セラミック粉末ペースト塗付層111P,112Pの剛性はセラミックグリーンシートよりも小さいので、流路10の領域に補助支持パターン130を形成しておくと、遮蔽層14用のセラミックグリーンシート114を積層した際に、流路10の空間だけでなく、その周囲をなすセラミック粉末ペースト塗付層111P,112P(外壁部11や仕切り壁部12となる)のつぶれも同時に防止ないし抑制できる。しかも、流路10、外壁部11及び仕切り壁部12を全て簡単なペースト印刷により形成することができ、工程の大幅な簡略化を図ることができる。
以上の工程では、流路形成層15と、遮蔽層13,14とは個別のセラミック粉末層(セラミックグリーンシート又はセラミック粉末ペースト層)により形成していた。該工程は、流路10の空間がつぶれにくいので、流路10の深さを大きくしたり、あるいは流路10の幅を狭くしたり、さらには流路10の配列間隔を縮小したりする上で有利である。他方、流路10をそれほど深く形成する必要がなく、また、流路10の配列間隔を比較的大きく設定できる場合は、より簡便な工程として図9に示すような工程を採用することもできる。
すなわち、工程1に示すごとく、第一のセラミックグリーンシート113の第一主表面に、焼成時に燃焼ないし分解する材質の前記の粉末ペーストにより流路パターン130を形成し、工程2に示すごとく、これに第二のセラミックグリーンシート114の第二主表面を重ね合わせ、流路パターン130の非形成領域にて第一のセラミックグリーンシート113の第一主表面部と第二のセラミックグリーンシート114の第二主表面部とを結合する。そして、工程3に示すごとく、これを焼成することにより、第一のセラミックグリーンシート113と第二のセラミックグリーンシート114との結合部分が外壁部11と仕切り壁部12(流路形成層15)を形成することができる。粉末ペーストによる流路パターン130は焼成時に蒸発し、流路10の空間を形成する。この方法によると、流路形成層15用のセラミック粉末層をパターニング形成する必要がなくなり、工程が大幅に簡略化される。
以上説明した実施形態においては、被冷却側主表面CPに沿う同一面内に二次元網目流路を形成していたが、被冷却側主表面CPから法線方向に遠ざかる向きにも流路の分布が生ずるよう、三次元的に流路を形成することもできる。これにより、流路の延長を増加することができ、冷却部本体の冷却能力をさらに高めることができる。また、図6に示すような自己循環型の冷却部本体4Mの場合、加熱により蒸発した流体が被冷却側主表面CPから法線方向に遠ざかる側(つまり、冷却部本体4Mの第一主表面側)にも移動できるようになり、該側にて気化した流体を冷却・凝縮することができる。特に、図1に示す放熱部5を設けておくと、冷却部本体4Mの第一主表面側での流体の冷却・凝縮を促進できる。
具体的には、図12に示す冷却装置154(斜視図及びA−A及びB−Bの各断面図)のごとく、冷却部本体1544Mの内部において複数の流路分岐点10K,10J,10Lを、該冷却部本体4Mの面内方向と厚さ方向との双方に複数分布する形で配置し、それら流路分岐点10K,10J,10Lをつなぐ形で三次元網目流路を形成することができる。このうち、流路分岐点10Lは、被冷却側主表面CPの法線方向への流路分岐点を形成している。この構成によると、バイパス流路形成効果が三次元的に拡張され、異物等による流路詰まりを生じた際の冷却ムラ等をより効果的に防止することができる。
図12の構成では、冷却部本体4Mの内部において複数の流路分岐点10K,10Jが、被冷却側主表面CPと平行な平面上に複数分散配置され、それら流路分岐点10K,10Jを互いに結合する形で平面に沿う二次元網目流路10N(図4、図10及び図11に開示したものと同様の構成のものである)が、冷却部本体4Mの厚さ方向に予め定められた間隔で複数配列し、それら二次元網目流路10Nが厚さ方向に厚さ方向連結流路25により互いに連結されてなる構造を有する。この構成によると、複数の二次元網目流路10Nを積層することで、被冷却側主表面CPの面内方向の流体の流れをよりスムーズかつ均一にすることができ、冷却効率の向上を図ることができる。
この場合、冷却部本体4Mは、該冷却部本体4Mの外周縁に沿って配置される外壁部11と、該外壁部11の内側空間を二次元網目流路10Nに仕切る仕切り壁部12とをそれぞれ有する複数の流路形成層15と、該流路形成層15の第一主表面側と第二主表面側とにそれぞれ配置され、流路形成層15内の流路10を第一主表面側及び第二主表面側にてそれぞれ塞ぐ複数の遮蔽層16とが交互に積層された積層構造を有するものとして構成できる。この方法によると、交互に積層される流路形成層用のセラミック粉末層115と、遮蔽層用のセラミック粉末層113,114との積層数を増加する以外は、図8ないし図9と全く同様の工程を採用でき、三次元網目流路を有した冷却部本体4Mの構造を簡単に形成することができる。この場合、積層厚さ方向連結流路25は、隣接する二次元網目流路10N(流路形成層15)間に位置する遮蔽層16を貫く形で形成することができる。この積層厚さ方向連結流路25は、セラミックグリーンシートの段階で孔設しておけばよい。
図12においては、隣接する二次元網目流路10N間の流体移動をスムーズにするために、遮蔽層16において流路10の形成領域に複数の積層厚さ方向連結流路25を分散形成している。また、流体分散効果を高めるために、隣接する遮蔽層16間での積層厚さ方向連結流路25の形成位置を互いに異ならせている。
また、図13は、より簡単に三次元網目流路を形成できる冷却装置164の構成を示している。該冷却装置164では、冷却部本体164Mの外周縁に沿って配置される外壁部11と、該外壁部11の内側空間を線状の流路10A,10Bに仕切る仕切り壁部12A,12Bとをそれぞれ有する複数の流路形成層15A,15Bが互いに接して積層配置され、隣接する流路形成層15A,15Bの流路パターンを、被冷却側主表面CP上への投影にて互いに交差点10Lを生ずるように各々定め、該交差点10Lにて両流路形成層15A,15Bの流路10A,10Bを互いに連通させることができる。この構成によると、複数の流路形成層15A,15Bが互いに接して積層配置されるから中間の遮蔽層を省略でき、冷却部本体4Mの低背化に寄与する。また、該中間の遮蔽層が省略されることで、隣接する流路形成層15A,15Bの流路同士は、積層厚さ方向連結流路25を介することなく直接連通するので、流量損失も少なくなり、より効率のよい冷却が可能となる。
その製造工程は、図8又は図9と略同様であるが、相違点は、図14に示すごとく、中間の遮蔽層を形成するセラミックグリーンシートが省略され、各流路形成層15A,15B,15Aを形成するためのセラミックグリーンシート115A,115B,115Aが直接積層・貼り合わされる点である。
図14の構造では、冷却部本体164Mの全体として網目構造の流路が形成されればよいから、流路形成層15毎に二次元網目流路が形成されている必要は必ずしもない。図3(外観斜視図とA−A、B−B及びC−Cの各断面を示す)においては、流路形成層15毎に直線状の流路10を一定間隔で並列配置し、隣接する流路形成層15A,15B間で直線状の流路10の配置方向を異ならせている(具体的には両層の流路10は互いに直交している)。その結果、被冷却側主表面CP上への投影では両流路10は格子状に配列することとなり、流路間の連通部を与える交差点も格子状に発生する。
また、三次元網目流路を形成するさらに別の態様として、図15に示す冷却装置174ように、その冷却部本体174Mの内部を、連通気孔91を有する多孔質セラミック材料部90として構成することができる。多孔質セラミック材料は、セラミックの緻密化が完全には進まず、連通気孔91が残留する状態となるように、セラミック粉末の成形体の焼成条件を調整することにより得られる(例えば、焼成温度を低温化したり、あるいは焼成時間を短くするなど)。この場合、上記の連通気孔91が三次元網目流路を形成することとなる。なお、流体の漏洩を防止するため、流体の入口22及び出口23を除いて、多孔質セラミック材料部90の周囲を、液通性を有さないセラミック層211で覆っておく必要がある。なお、多孔質セラミック材料部を多孔質の焼結金属部で置き換えてもよい。
1 半導体部品
2 セラミック配線基板
4,154,164,174 冷却装置
4M,154M,164M,174M 冷却部本体
CP 被冷却側主表面
10 流路
10K,10J 流路分岐点
10N 二次元網目流路
11 外壁部
12 仕切り壁部
15 流路形成層
13,14,16 遮蔽層
22 入口
23 出口
25 厚さ方向連結流路
115,113,114 セラミック粉末層
130 補助支持パターン
2 セラミック配線基板
4,154,164,174 冷却装置
4M,154M,164M,174M 冷却部本体
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10 流路
10K,10J 流路分岐点
10N 二次元網目流路
11 外壁部
12 仕切り壁部
15 流路形成層
13,14,16 遮蔽層
22 入口
23 出口
25 厚さ方向連結流路
115,113,114 セラミック粉末層
130 補助支持パターン
Claims (8)
- 基板上に実装される半導体部品の前記基板に実装されているのと反対側の主表面を被冷却側主表面として、該被冷却側主表面上に配置される板状の冷却部本体を有し、該冷却部本体の内部に冷却流体の流路が形成されてなる半導体部品の冷却装置であって、
前記冷却部本体は、3以上の流路が連通形態で結節される流路分岐点が、前記被冷却側主表面上への投影にて該主表面上に分散する形で複数形成され、それら流路分岐点を互いに結合する形で前記流路が網目形態で形成されてなることを特徴とする半導体部品の冷却装置。 - 前記冷却部本体の内部において複数の前記流路分岐点が、前記被冷却側主表面と平行な仮想平面上に複数分散配置され、それら流路分岐点を互いに結合する形で前記仮想平面に沿う二次元網目流路が形成されてなる請求項1記載の半導体部品の冷却装置。
- 前記冷却部本体の内部において複数の前記流路分岐点が、該冷却部本体の面内方向と厚さ方向との双方に複数分布する形で配置され、それら流路分岐点をつなぐ形で三次元網目流路が形成されてなる請求項1又は請求項2に記載の半導体部品の冷却装置。
- 前記冷却部本体の内部において複数の前記流路分岐点が、前記被冷却側主表面と平行な仮想平面上に複数分散配置され、それら流路分岐点を互いに結合する形で前記仮想平面に沿う二次元網目流路が形成されてなり、該二次元網目流路が前記冷却部本体の厚さ方向に予め定められた間隔で複数配列し、それら二次元網目流路が前記厚さ方向に厚さ方向連結流路により互いに連結されてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体部品の冷却装置。
- 前記冷却部本体の内部において、前記被冷却側主表面と平行な仮想平面上に二次元流路が形成され、該二次元流路が前記冷却部本体の厚さ方向に互いに隣接する形で複数配列するとともに、隣接する二次元流路の形成パターンを、前記被冷却側主表面上への投影にて互いに交差点を生ずるように各々定め、該交差点にて両二次元流路を互いに連通させた請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体部品の冷却装置。
- 前記冷却部本体には、網目形態の前記流路への前記冷却流体の入口と出口とが、該入口から出口に至る前記冷却流体の経路が複数パターン生ずるように開口形成されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の半導体部品の冷却装置。
- 前記冷却部本体には、網目形態の前記流路が密閉空間として形成され、常温常圧にて液体となる冷却流体が該流路内に減圧封入されてなる請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の半導体部品の冷却装置。
- 基板上に実装される半導体部品と、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の冷却装置とを有する冷却装置付き半導体部品。
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JP2003400429A JP2005166752A (ja) | 2003-11-28 | 2003-11-28 | 半導体部品の冷却装置及び冷却装置付き半導体部品 |
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