JP2005166497A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 システムを複雑化することなく、冷却水経路に気泡が存在している場合にのみ冷却水経路中の気泡除去を行うことが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 ラジエータ13内の圧力とラジエータ13上部に接続されたリザーブタンク16側の圧力との差が所定値を超えた場合、ラジエータ13内の冷却水がリザーブタンク16内に排出される。ラジエータ13内の圧力がリザーブタンク16側の圧力より高くなるように、ラジエータ13内の圧力とリザーブタンク16側の圧力との差圧を形成することが可能な差圧形成手段18を設ける。燃料電池10から流出した冷却水温度Tfoから燃料電池10に流入する前の冷却水温度Tfiから引いた差が閾値を超えた場合に、差圧形成手段18にてラジエータ13内の圧力からリザーブタンク16側の圧力を引いた差圧を所定値以上とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素と酸素との電気化学反応により電気エネルギを発生させる燃料電池を備える燃料電池システムに関するもので、車両、船舶及びポータブル発電機等の移動体用発電機、或いは家庭用発電機に適用して有効である
燃料電池システムには通常、燃料電池に熱媒体として冷却水を循環させて燃料電池を冷却する冷却システムが設けられている。冷却水が循環する冷却水経路には、初期組み付け時に気泡抜きが行われ冷却水が充填される。しかしながら、燃料電池システムの冷却水流路は複雑であるため、初期組み付け時に気泡抜きを完全に行うことが困難であり、冷却水流路中に気泡が残留することがある。また、冷却水経路中に設けられたウォータポンプの吸引部では負圧となるため、組み付け後にもジョイント等から空気が混入することがある。
このように冷却水経路中に気泡が混入した場合、冷却システムの冷却性能が低下する。この結果、燃料電池が高温となり破壊されるおそれがある。さらに冷却水経路中に存在する機器の駆動部に気泡が入り込んで駆動部が破壊されるおそれがある。
これに対し、熱媒体経路中から気泡を除去するものとして、燃料電池の冷媒供給マニホールドに空気抜き口を設け、冷媒供給マニホールドに供給する冷媒を空気抜き口側に流すことで、冷媒供給マニホールドから空気を排出する燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、燃料電池に温水を循環させて燃料電池を昇温させる燃料電池システムにおいて、温水経路中に空気抜き弁を設け、温水経路中から気泡を排除するものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−151575号公報 特開2003−223913号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の燃料電池システムでは、気泡の混入を判定していないため、気泡抜き処理が常時必要となるとともに、気泡を抜くための新たな経路が必要であり、システムが大型化し複雑化するという問題がある。また、上記特許文献2の燃料電池システムにおいても、気泡の混入を判定していないため、常時気泡抜き処理が必要となるとともに、空気を抜くための空気弁が新たに必要となるため、システム構成の複雑化や圧力損失の増大を招くこととなる。
本発明は、上記点に鑑み、システムを複雑化することなく、冷却水経路に気泡が存在している場合にのみ冷却水経路中の気泡除去を行うことが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、酸素を主成分とする酸化ガスと水素を主成分とする燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池(10)と、燃料電池(10)に循環する冷却水が通過する冷却水経路(11)と、冷却水経路(11)に設けられた冷却水循環ポンプ(12)と、冷却水経路(12)に設けられ、冷却水の放熱を行うラジエータ(13)と、ラジエータ(13)の上部に接続されたリザーブタンク(16)と、ラジエータ(13)内の圧力がリザーブタンク(16)側の圧力より高くなるように、ラジエータ(13)内の圧力とリザーブタンク(16)側の圧力との差圧を形成することが可能な差圧形成手段(18、22)と、燃料電池に流入する前の冷却水温度(Tfi)を検出する第1温度センサ(19)と、燃料電池から流出した後の冷却水温度(Tfo)を検出する第2温度センサ(20)とを備え、ラジエータ(13)内の圧力とリザーブタンク(16)側の圧力との差が所定値を超えた場合、ラジエータ(13)内の冷却水がリザーブタンク(16)内に排出されるように構成されており、第2温度センサ(20)にて検出した冷却水温度から第1温度センサ(19)にて検出した冷却水温度(Tfo)から引いた差が閾値を超えた場合に、差圧形成手段(18、22)にてラジエータ(13)内の圧力からリザーブタンク(16)側の圧力を引いた差圧を所定値以上とすることを特徴としている。
このように、燃料電池流入前と燃料電池流出後の冷却水温度の温度差と閾値とを比較することで冷却水経路(11)中における気泡の存在を検出でき、冷却水経路(11)中に気泡が存在している場合にのみ気泡除去を行うことができる。また、冷却水経路(11)中から気泡を除去する際、従来から燃料電池システムに備えられているラジエータ(13)とリザーブタンク(16)を用いることで、システムを複雑化することなく、また圧力損失を増大させることなく気泡除去を行うことができる。なお、「リザーブタンク(16)側の圧力」には、リザーブタンク(16)内の圧力に加えて、ラジエータ(13)とリザーブタンク(16)とがパイプ等で接続されている場合にはパイプ内の圧力をも含んでいる。
また、請求項2に記載の発明のように、差圧形成手段を、冷却水経路(11)におけるラジエータ(13)の下流側であって冷却水循環ポンプ(12)の上流側に設けられ、冷却水経路(11)の流路断面積を調整可能な圧力調整弁(18)から構成し、冷却水循環ポンプ(12)が作動している際に、圧力調整弁(18)で冷却水経路(11)の流路断面積を小さくすることで、ラジエータ(13)内の圧力からリザーブタンク(16)側の圧力を引いた差圧を所定値以上とすることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、差圧形成手段を、ラジエータ(13)とリザーブタンク(16)とを接続するパイプ(15)に設けられ、ラジエータ(13)側を吸引可能な吸引ポンプ(22)から構成することもできる。
また、請求項4に記載の発明のように、閾値を少なくとも燃料電池の発電量と冷却水循環ポンプの回転数とを用いて設定することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1、図2に基づいて説明する。図1は本第1実施形態に係る燃料電池システムを示す模式図であり、この燃料電池システムは例えば電気自動車に適用することができる。
図1に示すように、本第1実施形態の燃料電池システムは、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。この燃料電池10は、図示しない電気負荷や2次電池等の電気機器に電力を供給するものである。因みに、電気自動車の場合、車両走行駆動源としての電動モータが電気負荷に相当する。
本第1実施形態では燃料電池10として固体高分子電解質型燃料電池を用いており、基本単位となる燃料電池セル10aが複数個積層され、且つ電気的に直列接続されている。燃料電池10では、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
(負極側)H2→2H++2e-
(正極側)2H++1/2O2+2e-→H2
燃料電池10は発電に伴い発熱を生じる。固体高分子型燃料電池では、電解質膜の耐熱温度や効率の点から80℃前後で運転する必要がある。このため、燃料電池システムには、燃料電池10を冷却するための冷却システムが設けられている。
冷却システムは、燃料電池10に熱媒体としての冷却水を循環させる冷却水経路(熱媒体経路)11、冷却水を圧送する冷却水循環ポンプ12、冷却水の放熱を行うラジエータ(放熱器)13等から構成されている。ラジエータ13はラジエータファン13aを備える一般的なものであり、本体上部にアッパータンク14が一体的に設けられている。アッパータンク14には図示しないラジエータキャップが設けられ、ラジエータキャップにはパイプ15を介してラジエータ13と別体のリザーブタンク16が接続されている。ラジエータキャップは一般的な加圧式であり、圧力弁と負圧弁を備えている。
ラジエータ13内の圧力とリザーブタンク16内の圧力との差が所定値以上となった場合にはラジエータキャップの圧力弁が開き、ラジエータ13内の冷却水がアッパータンク13aからリザーブタンク16に排出される。本第1実施形態では、アッパータンク14にかかる圧力が所定開放圧力(本例では108kPa)以上となった場合にラジエータキャップが開放する。また、ラジエータ13内が負圧となった場合にはラジエータキャップの負圧弁が開き、リザーブタンク16内の冷却水がアッパータンク14内に吸引される。
冷却水経路11には冷却水をラジエータ13をバイパスさせるためのバイパス経路17が設けられている。冷却水経路11とバイパス経路17との分岐点には圧力調整弁18が設けられている。圧力調整弁18は、冷却水経路11におけるラジエータ13の下流側であって、冷却水循環ポンプ12の上流側に設けられている。
圧力調整弁18は、冷却水の温調機能と冷却水経路11の流路断面積調整機能とを有している。圧力調整弁18は、冷却水の温度調整を行うために、ラジエータ13側に流れる冷却水流量とバイパス経路17側に流れる冷却水流量とを調整可能に構成されている。さらに圧力調整弁18は開度を調整することで、冷却水経路11の流路断面積を調整することが可能に構成されている。冷却水循環ポンプ12が作動している際に、圧力調整弁18により冷却水経路11の流路断面積を小さく、あるいは閉鎖することで、ラジエータ13内の圧力を高くすることができる。なお、圧力調整弁18は本発明の差圧形成手段を構成している。
冷却水経路11における燃料電池10の入口近傍には、燃料電池10に流入する前の冷却水温度Tfiを検出するための第1温度センサ19が設けられている。冷却水経路11における燃料電池10の出口近傍には、燃料電池10から流出した後の冷却水温度Tfoを検出するための第2温度センサ20が設けられている。
燃料電池システムには制御部30が設けられており、第1温度センサ19および第2温度センサ20のセンサ信号は制御部30に入力される。制御部30は、温度センサ19、20のセンサ信号、燃料電池10の発電量、冷却水循環ポンプ12の回転数等に基づいて冷却水経路11中に気泡が混入している否かの判定を行い、その結果に基づいて圧力制御弁18に制御信号を出力するように構成されている。
冷却水経路11中に気泡が混入している否かの判定は、燃料電池流出後の冷却水温度Tfoから燃料電池流入前の冷却水温度Tfiを引いた温度差(Tfo−Tfi)の理論値と実測値とを比較して行う。冷却水が燃料電池10を通過する前後の温度差(Tfo−Tfi)の理論値は、燃料電池の発電量をQFC、冷却水循環ポンプ12の回転数から得られる冷却水流量をVW、冷却水の密度をρ、冷却水の比熱をCpとした場合、下記数式1で求めることができる。
(数1)
(Tfo−Tfi)=QFC/(VW・ρ・Cp)
本第1実施形態では、上記数式1から冷却水経路11中に気泡が混入したか否かを判定する際の閾値をQFC/(VW・ρ・Cp)+αと設定し、(Tfo−Tfi)の実測値が閾値を上回っている場合に冷却水経路11中に気泡が混入したと判定する。ただしαは許容値である。
次に、本第1実施形態の制御部30が行う冷却水経路11からの気泡除去制御について図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、温度センサ19、20にて燃料電池流入前の冷却水温度Tfiと燃料電池流出後の冷却水温度Tfoを測定する(S10)。次に、(Tfo−Tfi)の実測値が閾値を上回っているか否かを判定する(S11)。この結果、(Tfo−Tfi)の実測値が閾値を上回っていない場合には気泡除去制御を終了する。
一方、(Tfo−Tfi)の実測値が閾値を上回っている場合には、(Tfo−Tfi)>閾値の状態が所定時間T1維持されたか否かを確認する(S12)。(Tfo−Tfi)>閾値の状態が所定時間T1維持された場合は、冷却水循環ポンプ12が作動していることを確認し(S13)、圧力調整弁18の開度を調整する(S14)。圧力調整弁18の開度を小さくして冷却水流路11の流路断面積が小さくなるように調整し、ラジエータ13のアッパータンク14にかかる圧力を所定開放圧力以上とする。
圧力調整弁18にてラジエータ13のアッパータンク14にかかる圧力を所定開放圧力以上にした状態を所定時間T2だけ継続する(S15)。その後、圧力調整弁18の開度を元に戻す(S16)。その後、上記ステップS11に戻る。
以上のように、燃料電池流入前の冷却水温度Tfiと燃料電池流出後の冷却水温度Tfoとの温度差と閾値とを比較することで冷却水経路11中における気泡の存在を検出でき、冷却水経路11中に気泡が存在している場合にのみ気泡除去を行うことができる。また、冷却水経路11中から気泡を除去する際、従来から燃料電池システムに備えられているラジエータ13とリザーブタンク16を用いることで、システムを複雑化することなく、また圧力損失を増大させることなく気泡除去を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3、図4に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態に比較して、ラジエータ13内の圧力とリザーブタンク16内の圧力との差圧を形成する差圧形成手段が異なるものである。
図3は、本第2実施形態の燃料電池システムを示す模式図である。本第2実施形態では、上記第1実施形態の圧力調整弁18に代え、冷却水の温調機能のみを有する温調弁21を用いている。また、図3に示すように、本第2実施形態では、ラジエータ13とリザーブタンク16の間にラジエータ13側を吸引可能な吸引ポンプ22が設けられている。吸引ポンプ22は、ラジエータ13のアッパータンク14とリザーブタンク16とを接続するパイプ15に設けられている。本第2実施形態では、吸引ポンプ22を作動させることで、ラジエータ13内の圧力とリザーブタンク16側の圧力との差圧を、アッパータンク14のラジエータキャップが開放する所定値以上にすることができる。なお、本第2実施形態において、「リザーブタンク16側の圧力」は、ラジエータ13のアッパータンク14と吸引ポンプ22との間のパイプ15内の圧力を意味している。
図4は、本第2実施形態の制御部30が行う冷却水経路11からの気泡除去制御を示している。図4に示すように、本第2実施形態では上記第1実施形態と比較して、ステップS24で吸引ポンプを作動させる点と、ステップS26で吸引ポンプ22を停止させる点が異なっている。
以上のような構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
第1実施形態の燃料電池システムの模式図である。 第1実施形態の気泡除去制御を示すフローチャートである。 第2実施形態の燃料電池システムの模式図である。 第2実施形態の気泡除去制御を示すフローチャートである。
符号の説明
10…燃料電池、11…冷却水経路、12…冷却水循環ポンプ、13…ラジエータ、14…アッパータンク、16…リザーブタンク、18…圧力調整弁、19…第1温度センサ、20…第2温度センサ、22…吸引ポンプ。

Claims (4)

  1. 酸素を主成分とする酸化ガスと水素を主成分とする燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池(10)と、
    前記燃料電池(10)に循環する冷却水が通過する冷却水経路(11)と、
    前記冷却水経路(11)に設けられた冷却水循環ポンプ(12)と、
    前記冷却水経路(12)に設けられ、冷却水の放熱を行うラジエータ(13)と、
    前記ラジエータ(13)の上部に接続されたリザーブタンク(16)と、
    前記ラジエータ(13)内の圧力が前記リザーブタンク(16)側の圧力より高くなるように、前記ラジエータ(13)内の圧力と前記リザーブタンク(16)側の圧力との差圧を形成することが可能な差圧形成手段(18、22)と、
    前記燃料電池に流入する前の冷却水温度(Tfi)を検出する第1温度センサ(19)と、
    前記燃料電池から流出した後の冷却水温度(Tfo)を検出する第2温度センサ(20)とを備え、
    前記ラジエータ(13)内の圧力と前記リザーブタンク(16)側の圧力との差が所定値を超えた場合、前記ラジエータ(13)内の冷却水が前記リザーブタンク(16)内に排出されるように構成されており、
    前記第2温度センサ(20)にて検出した冷却水温度(Tfo)から前記第1温度センサ(19)にて検出した冷却水温度(Tfi)から引いた差が閾値を超えた場合に、前記差圧形成手段(18、22)にて前記ラジエータ(13)内の圧力から前記リザーブタンク(16)側の圧力を引いた差圧を前記所定値以上とすることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記差圧形成手段は、前記冷却水経路(11)における前記ラジエータ(13)の下流側であって前記冷却水循環ポンプ(12)の上流側に設けられ、前記冷却水経路(11)の流路断面積を調整可能な圧力調整弁(18)であり、
    前記冷却水循環ポンプ(12)が作動している際に、前記圧力調整弁(18)で前記冷却水経路(11)の流路断面積を小さくすることで、前記ラジエータ(13)内の圧力から前記リザーブタンク(16)側の圧力を引いた差圧を所定値以上とすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記差圧形成手段は、前記ラジエータ(13)と前記リザーブタンク(16)とを接続するパイプ(15)に設けられ、前記ラジエータ(13)側を吸引可能な吸引ポンプ(22)であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記閾値は、少なくとも前記燃料電池の発電量と冷却水循環ポンプの回転数とを用いて設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
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