JP2005165135A - マイクロデバイス及びその製造方法 - Google Patents

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徹 平田
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Abstract

【課題】 本発明は複合構造を有したマイクロデバイス及びその製造方法に関し、容易かつ高精度に装着溝を形成できると共に被装着部材の位置決めを高精度に行なうことを課題とする。
【解決手段】 シリコン等により構成されるベース部15Aと、PMMAよりなる支持部14Aと、装着される光ファイバー17A,17Bと共に所定の機能を実現するミラー21とを設けており、支持部14Aとベース部15Aとが積層された複合構造(本体部11A)を有するマイクロデバイスであって、ベース部15AにPMMAよりなるミラー21を形成し、支持部14Aに光ファイバー17A,17Bが装着されるファイバー装着溝18A〜18Cを形成し、かつ、光ファイバー17A,17Bの硬さに対し支持部14Aの硬さを小さくする。
【選択図】 図1

Description

本発明はマイクロデバイス及びその製造方法に係り、特に無機材料(例えばシリコン等)と有機材料(樹脂)との複合構造を有したマイクロデバイス及びその製造方法に関する。
近年、光通信の分野では、マイクロマシン技術を用いたマイクロデバイスの応用が進められている。その中でも、シリコン製のミラーを有したマイクロデバイス(光スイッチ)を各種光路切替え装置に使用する試みが実用化されようとしている。この光スイッチは、具体的には光通信ネットワークにおける光交換機等として使用される。
この光スイッチは、大略すると光反射面となるミラーと、このミラーを駆動するためのアクチュエータとにより構成される。このミラーは、半導体プロセスを利用することにより−括形成されることが多く、よって加工に高い精度が要求されるとは言え、その形成はそれ程困難ではない。
一方、外部伝送光とのやり取りには必ず、光ファイバーを光スイッチに結合させる必要があるが、この結合部分は光スイッチの製造工程の後工程で作り込まれるのが一般的である。また、この結合部分は結合効率を高めるためにファイバーの高い位置決め精度が要求され、一般的に労働集約型の非常にコストの高いプロセスとなっている。
また、光ファイバーを光スイッチに結合する結合方式としては、理想的には光スイッチに光ファイバーを装着するファイバー装着溝を精度良く形成し、そこに光ファイバーを装着するだけで結合が完了する、いわゆるパッシブアライメント方式が望まれる。しかしながら実際には、光ファイバーをファイバー装着溝に嵌めこむのに必要な公差や製作誤差の影響で、精度要求を満たすファイバー装着溝を形成することが困難であるのが現実である。
従って実際には、光ファイバーに実際に光を通してモニターしながら最終的なファイバー位置決めを行なう、いわゆるアクティブアライメント方式を採用している。これは時間並びに手間の掛かる手法であり、これにより光スイッチ及びその取り付けコストが上昇してしまう。以下、従来行なわれていた具体的な結合方法について説明する。
光ファイバーを光スイッチに結合する一般的な方法の一つとしては、シリンドリカルレンズを利用し、伝送光を100μm径程度の平行光として自由空間を飛ばす構成とされたものがある(以下、第1の従来技術という)。
また他の方法としては、光スイッチのシリコン製の基台部分に微細加工溝を製作し、この溝に光ファイバーを結合するよう構成したものがある(以下、第2の従来技術という)。この溝(ファイバー装着溝)はシリコンマイクロマシニング技術を用いて加工される。
更に、他の方法としては、非特許文献1に開示されているものがある(以下、第3の従来技術という)。この第3の従来技術の方法においても、シリコンマイクロマシン技術を用いてミラー及びファイバー溝を形成する。また、ファイバー装着時の嵌め込み用公差設定を目的として、板ばね状の押さえ構造が作り込まれている。
C.Marxer, N.F.de Roolj et.al.,"Vertical Mirrore Fabricated byReactive Ion Etching for Fiber Optical Switching Applications,"Proc.MEMS97,2994,pp49-54.
しかしながら第1の従来技術では、実際に光ファイバーに光を入れながらシリンドリカルレンズの位置を調整する必要があるため、調整処理が面倒であるという問題点がある。また、シリンドリカルレンズを小さくできないため、微細加工ミラーなどとの結合には適さないという問題点もある。
また、第2の従来技術では、ミラー反射後の受光に関しては、受光ファイバー位置姿勢が5軸で調整できるように大きなスペースを取った構成とされている。これは、ファイバー装着溝及び反射面の形成精度に限界があり(これについては、後述する)、これによる伝送光方向のずれを最終的に受光側ファイバー位置、姿勢で吸収してやろうという考え方に基づいている。このため、第2の従来技術では、ミラー反射後の光を光ファイバーに適正に受光させる調整が面倒であると共に、光スイッチが大型化してしまうという問題点が生じる。
更に、第3の従来技術では、板ばね状の押さえ込み構造によって、ファイバー溝に対する光ファイバーの装着精度を高める構成としているが、光スイッチにこのような板ばね状の押さえ込み構造を製作することは製造プロセスを複雑化するという問題点がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、容易かつ高精度に装着溝を形成できると共に被装着部材の位置決めを高精度に行ないうるマイクロデバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、
第1の構造体と、被装着部材が装着される第2の構造体とが積層された複合構造を有するマイクロデバイスであって、
前記被装着部材の硬さに対し、前記第2の構造体の硬さを小さくしたことを特徴とするものである。
上記発明によれば、第2の構造体の硬さを被装着部材の硬さより小さく設定したことにより、被装着部材が装着される際、被装着部材に損傷が発生することを防止できると共に装着性の向上を図ることができる。
また、請求項2記載の発明は、
第1の構造体と、被装着部材が装着される第2の構造体とが積層された複合構造を有するマイクロデバイスであって、
前記第2の構造体に前記被装着部材が装着される装着溝を形成し、
かつ、前記被装着部材の硬さに対し、前記第2の構造体の硬さを小さくしたことを特徴とするものである。
上記発明によれば、装着溝が形成された第2の構造体の硬さを、装着溝に装着される被装着部材の硬さより小さく設定したことにより、被装着部材が装着溝に装着される際、被装着部材に損傷が発生することを防止できると共に、装着溝に対する被装着部材の装着性を高めることができる。
また、請求項3記載の発明は、
請求項2記載のマイクロデバイスにおいて、
前記第1の構造体は前記装着溝の底部に露出しており、前記被装着部材と当接することにより前記装着溝の壁面と共に前記被装着部材の位置決めを行なう構成としてなることを特徴とするものである。
上記発明によれば、被装着部材は装着溝の壁部により溝幅方向の位置決めされ、装着溝の底部に露出した第1の構造体により高さ方向の位置決めがされるため、第1及び第2の構造体に対し高精度に位置決めがされる。
また、請求項4記載の発明は、
第1の構造体と第2の構造体とが積層された複合構造を有するマイクロデバイスの製造方法であって、
第1の材料よりなる基板を、異方性エッチングを用いて加工して前記第1の構造体を形成する工程と、
前記第1の構造体上に第2の材料を配設する工程と、
前記第2の材料に対してX線を用いた微細加工処理を実施することにより前記第2の構造体を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
上記発明によれば、異方性エッチングを用いてた加工と、X線を用いた微細加工を被加工物となる第1の材料と第2の材料とで使い分けているため、高精度の加工を行なうことができる。
また、請求項5記載の発明は、
請求項4記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記第2の材料に対して前記第1の構造体をエッチストップ層としてX線を用いた微細加工を行なうことにより、前記第2の構造体に被装着部材が装着される装着溝を形成することを特徴とするものである。
上記発明によれば、X線を用いた微細加工処理により被装着部材が装着される装着溝を形成するため、高さ方向及び溝幅方向の双方に対し高精度を有した装着溝を形成することができる。
また、請求項6記載の発明は、
請求項4または5記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記X線を用いた微細加工処理により前記第2の構造体を形成する際、前記被装着部材と協働して所定の機能を奏する機能素子を同時形成することを特徴とするものである。
上記発明によれば、第2の構造体の形成時に機能素子を同時形成することにより、製造工程を複雑化することなく機能素子を形成することができる。
また、請求項7記載の発明は、
請求項4乃至6のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記X線は0.2nm〜0.6nmの範囲の波長を含むことを特徴とするものである。
上記発明によれば、X線が0.2nm〜0.6nmの範囲の波長を含むため、第2の構造体に対する透過性が向上し、いわゆる深堀りが可能となり、第2の構造体が厚くても確実に第1の構造体の位置まで露光することができる。このため、エッチストップ材として機能する第1の構造体まで確実に装着溝を形成することができ、装着溝の深さ精度及び底部の平坦性を確保することができる。
本発明によれば、容易かつ高精度に装着溝を形成できると共に、被装着部材の位置決めを高精度に行なうことが可能となる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施例であるマイクロデバイスを示している。本実施例では、マイクロデバイスとして光スイッチ10Aを用いた例について説明するが、本発明の適用はこれに限定されものではなく、光ファイバーを装着する装着溝を有する各種マイクロデバイス、また溝構造を構成に含むマイクロポンプ,スキャナー,ディジタルミラーデバイス,圧力センサ,加速度センサ,ジャイロ等の種々のマイクロデバイスに適用できるものである。また、光スイッチも1×2タイプの光スイッチに対しても、また2×2タイプの光スイッチに対しても適用可能なものである。
光スイッチ10Aは可動ミラー切り換え式の光スイッチであり、例えば光ネットワーク関連機器内に配設されて信号光の光路の切り換え処理を行なうものである。この光スイッチ10Aは、大略すると本体部11A及び基台部12A等により構成されている。
本体部11Aは、支持部14A(請求項に記載の第2の構造体に相当する)とベース部15A(請求項に記載の第1の構造体に相当する)とを積層した複合構造とされている。支持部14Aは、有機材料であるポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)により形成されている。このPMMAは、X線に反応して高分子の主鎖を分解する光分解反応機能を有した熱可塑性樹脂である。これに対し、ベース部15Aは、無機材料であるシリコンにより形成されている。
支持部14Aは、本実施例では3本のファイバー装着溝18A〜18Cが形成されている。また、その中央には矩形の空間部19が形成されている。ファイバー装着溝18Aとファイバー装着溝18Cは一直線状に形成されており、ファイバー装着溝18Bは各ファイバー装着溝18A,18Bを結ぶ直線に対して直交する方向に配設されている。また、各ファイバー装着溝18A〜18Cの底面23は、ベース部15Aの表面が露出した状態となっている。
後述するように、ファイバー装着溝18A〜18Cは、X線微細加工を用いて加工されるため高精度に形成することができる。具体的には、ファイバー装着溝18A〜18Cの側面22の壁面性状(表面粗さ)や垂直度はX線微細加工を適用することにより高精度に形成する方法が採られている。
一方、ベース部15Aは、ステージ13及びばね部16等を有した構成とされている。ステージ13は、板形状を有しており、その中央にミラー21(請求項記載の機能部に相当する)が立設した構成とされている。また、前記のようにベース部15Aは、半導体であるシリコンよりなるため導電性を有する。よって、ステージ13は導電性を有した構成とされている。
ミラー21は支持部14Aの形成時に同時形成されるものであり、よってPMMAにより形成されている。本実施例では、このミラー21もX線微細加工を用いて形成される構成とされている。このため、ミラー21の表面性状は良好(表面粗さが小)で、かつその垂直度は略直角となっている。よって、ミラー21は、光を反射する機能を有するミラーに要求される全ての特性において良好である。このミラー21は、本実施例ではファイバー装着溝18Aとファイバー装着溝18Cを結ぶ直線に対して45°傾けられた構成とされている。
ばね部16は、一端がステージ13に接続され、他端がベース部15Aの本体部分(枠状の部分)に接続されている。よって、ステージ13は、ばね部16によりベース部15Aの本体部分に対して移動可能に支持された構成となる。このため、ステージ13はばね部16が可撓することにより、図1(B)に矢印Z1,Z2で示す方向に変位しうる構成となる。また、ステージ13にはミラー21が立設されているため、ステージ13の
変位に伴いミラー21も矢印Z1,Z2で示す方向に変位する。
基台部12Aは、ガラス基板に窪んだキャビティ部(図に現れず)を形成した構成とされている。このキャビティ部内において、ステージ13と対向する位置には駆動電極20(図1(A)に現れる)が形成されている。この駆動電極20と、導電性を有したステージ13との間には、図示しない電圧印加装置が接続されている。そして、この電圧印加装置により駆動電極20とステージ13との間に所定の電圧を印加させることにより、ステージ13は駆動電極20に静電的に吸引される。
これにより、図2に示すようにステージ13は図中矢印Z2方向に変位し、これに伴いミラー21も矢印Z2方向に移動する。図1に示すステージ13が変位していない状態では、ミラー21は上動した位置にある(このタイプの光スイッチをノーマリクローズ型という)。この上動状態では、光ファイバー17Aから発射された光はミラー21で反射され、光路を変更されて光ファイバー17Bに入射する。
これに対し、上記のように駆動電圧を印加することによりステージ13が矢印Z2方向に変位すると、光ファイバー17Aから発射された光はミラー21に入射することなく、ファイバー装着溝18Cを通過して光スイッチ10Aの外部に出射される。ばね部16の変形可能量、ミラー21の高さ、及び駆動電圧の大きさは、ステージ13が矢印Z2方向に変位した際、ミラー21が光ファイバー17Aの光軸の位置よりも下方位置となるよう構成されている。
よって、光スイッチ10Aは、駆動電圧をON/OFFすることにより、光ファイバー17Aから出射される光を光ファイバー17Bに入射させる態様と、入射させない対応の2態様で選択的に切り換えることができる。
ここで、本実施例における本体部11Aの材質に注目する。前記したように本実施例では、本体部11Aを有機材料(PMMA)よりなる支持部14Aと無機材料(シリコン)よりなるベース部15Aとを積層した複合構造としている。また、支持部14Aに形成されたファイバー装着溝18A,18Bに装着される光ファイバー17A,17Bは、石英よりなるコアと、このコアを覆うように配設されたクラッドとにより構成されている。このクラッドも石英により形成されているが、コアを構成する石英に対して屈折率の異なるものが選定されている。
本実施例では、光ファイバー17A,17Bの硬さに対し、支持部14Aの硬さが小さくなるよう構成している。即ち、光ファイバー17A,17Bは石英により形成され、また支持部14Aは樹脂であるPMMAにより形成されているため、光ファイバー17A,17Bの硬さに対し、支持部14Aの硬さは小さくなる。
ここで、本特許請求の範囲及び本明細書における「硬さ」とは、JIS K 6900に述べられている、「押し込みまたは引っかきに対する材料の抵抗」と等価のものと定義できる(尚、JIS
K 6900は、プラスチック用語である)。この硬さの具体的な評価、即ち光ファイバー17A,17Bの硬さと、支持部14Aの硬さの評価は、例えばJIS Z 2243のブリネル硬さ試験、JIS Z
2244のビッカース硬さ試験等で評価することができる。
上記構成とすることにより、光ファイバー17A,17Bをファイバー装着溝18A,18Bに装着する際、光ファイバー17A,17Bに損傷が発生することを防止できる。即ち、光ファイバー17A,17Bをファイバー装着溝18A,18Bに装着する際、光ファイバー17A,17Bより硬さが小さい支持部14Aに装着されるため、これにより光ファイバー17A,17Bに損傷が発生することを防止できると共に装着性を高めることができる。
また、本実施例では支持部14Aの形成時にミラー21も同時に一括的に形成されるため、ファイバー装着溝18A〜18Cとミラー21との位置精度は非常に高いものとなる。このため、ファイバー装着溝18A,18Bに装着される光ファイバー17A,17Bとミラー21との位置決め精度も高くなり、よって光ファイバー17Aから出射される光を確実にミラー21で光ファイバー17Bに向け反射させることができ、光スイッチ10Aの信頼性を高めることができる。
図3は、第2実施例に係る光スイッチ10Bを示している。図3(A)はミラー21が上動した状態を示しており、図3(B)はミラー21が下動した状態を示している。尚、図3において、第1実施例に係る光スイッチ10Aの説明に用いた図1及び図2に示した構成同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。また、以後の説明に用いる各図においても同様とする。
図1及び図2に示した光スイッチ10Aでは、支持部14Aに3本のファイバー装着溝18A〜18Cを形成すると共に、ファイバー装着溝18Aとファイバー装着溝18Cとが直線状に配設された構成とした。これに対して本実施例に係る光スイッチ10Bは、第1実施例では設けられていたファイバー装着溝18Cをなくしたことを特徴とするものである。
この構成とすることにより、光ファイバー17Aに入射した光を遮断する際、光が光スイッチ10Aから外部に漏洩することを防止できる。即ち、第1実施例に係る光スイッチ10Aでは、ミラー21が下動した際に光ファイバー17Aから出射した光はファイバー装着溝18Cから装置外部に漏洩する構成とされていた。これに対して本実施例に係る光スイッチ10Bは、図3(B)に示すように、ミラー21の下動時に光ファイバー17Aから出射した光は、ミラー21上を通過した後に支持部14Aに照射され、これにより装置外部に対して遮光される。よって、漏洩光により光スイッチ10B近傍に配設された光デバイスに悪影響を及ぼすことを防止できる。
続いて、図4及び図5を参照して、光スイッチの製造方法について説明する。図4及び図5に示す各図は、図1におけるA1−A1線に相当する位置における断面を示している。尚、以下の説明においては図1及び図2に示した第1実施例に係る光スイッチ10Aの製造方法を例に挙げて説明するものとする。また、本実施例に係る光スイッチの製造方法は、光スイッチ10Aを構成する本体部11Aの製造方法に特徴を有し、基台部12Aの製造方法は周知の技術を用いている。このため、以下の説明では本体部11Aの製造方法についてのみ説明するものとし、基台部12Aの製造方法の説明は省略する。
図4(A)は、光スイッチ10Aを製造する基材となるSOI(Silicon On Insulator)基板30を示している。このSOI基板30は、第1のバルク層31,中間層33,第2のバルク層32が積層された構成とされている。第1のバルク層31及び第2のバルク層32は単結晶シリコン(Si)のバルクであり、中間層33は二酸化シリコン(SiO)である。
このSOI基板30は、周知のSOI技術を用いて形成される。具体的には、SOI基板30はSIMOX(Silicon IMplanted OXide)法、或いは貼り合わせ法を用いて形成することができる。SIMOX法とは、シリコン基板(Si)に酸素(O2)をイオン注入し、その後に熱処理を行なうことによりシリコンと結合させ、基板表面より内部位置にシリコンの酸化膜(SiO)を形成することによりSOI基板30を製造する方法である。
また、貼り合わせ法は、表面に酸化膜を形成した第1のシリコン基板と、これとは別個の第2のシリコン基板を高熱・高圧力で接着し、その後に第2のシリコン基板を所定の厚さまで研削することにより、SOI基板30を製造する方法である。
上記構成とされたSOI基板30には、図4(B)に示すように、先ず第1のフォトレジスト35が塗布される。この第1のフォトレジスト35は、例えばスピナーを用いて第2のバルク層32上に塗布される。この第1のフォトレジスト35は、ポジ型,ネガ型のいずれであってもよい。
続いて、この第1のフォトレジスト35には露光・現像処理が行なわれ、ベース部15Aとなる部位の上部を残し、他の部分の第1のフォトレジスト35が除去される。図4(C)は、第1のフォトレジスト35の不要部分が除去された状態を示している。同図に示すように、第1のフォトレジスト35が除去された部分は、第2のバルク層32が露出した状態となっている。
上記のように第1のフォトレジスト35のパターニングが終了すると、続いてSOI基板30に対して異方性エッチングが実施される。本実施例では、異方性エッチングとして誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を用いてる。具体的な異方性エッチング方法としては、反応性イオンエッチングを行なうエッチング装置にSOI基板30を装着し、第1のフォトレジスト35をマスクとして第2のバルク層32に対し誘導プラズマ型反応性イオンエッチングを実施する。
本実施例では、SFガスを用いた反応性イオンエッチングを用いている。この反応性イオンエッチングは、シリコン(Si)と二酸化シリコン(SiO)との間に高いエッチレートの選択比を持つことを大きな特徴の一つとしている。このエッチレートの選択比は、条件によって異なるが、Si:SiO2=(100〜300):1である。この反応性イオンエッチング処理により、図4(D)に示すように開口部34が形成される。
この際、開口部34の底面部は中間層33が完全に露出した状態となっている。即ち、第2のバルク層32が中間層33上に部分的に残存するようなことはない。この開口部34の底面部は、後にステージ13となる部位である。この部位に第2のバルク層32が残存した場合、ステージ13の厚さにバラツキが発生し、ステージ13の変位動作が不安定となり、ミラー21を応答性よく移動させることができなくなる。
これに対して本実施例では、反応性イオンエッチングのエッチング速度が、シリコン(Si)に対して極めて遅い二酸化シリコン(SiO)よりなる中間層33を第1のバルク層31と第2のバルク層32との間に設けている。このため、第2のバルク層32に対する反応性イオンエッチングは、この中間層33が露出するまで行なわれ、また中間層33が露出した後は第1のバルク層31までエッチングが及ぶのを防止する。
即ち、第2のバルク層32に対してエッチング処理を行なう際、中間層33は第2のバルク層32に対するエッチング量を規制するエッチストップ材として機能する。よって、中間層33を設けることにより、開口部34の底部に厚みムラが発生するのを確実に防止することができる。
上記のように開口部34が形成されると、続いて図4(E)に示すように、SOI基板30の上部にPMMA層36が設けられる。このPMMA層36は、例えばキャスト等の手法を用いてSOI基板30の上面を完全に覆うよう形成される。この際、PMMA層36は、開口部34を完全に覆うよう形成される。
上記のようにPMMA層36が設けられると、続いてシンクロトロン放射光を用いた微細加工が実施される。本実施例ではX線微細加工処理が実施され、このX線微細加工処理では、先ずPMMA層36が設けられたSOI基板30の上部にマスク37が配設される。このマスク37は、X線透過率の良好なメンブレンシートに、X線を遮断する重金属が所定のパターンで形成された構成とされている。図4(F)では、重金属よりなるパターンのみを示している(以下の説明では、この重金属パターンをマスク37というものとする)。本実施例では、マスク37を開口部34と対応する位置と、ファイバー装着溝18A〜18Cの形成位置を除いた位置に配設した構成としている。
上記のようにSOI基板30上にマスク37が配設されると、続いてSOI基板30に対してX線の照射が行なわれる。図4(F)は、マスク37が配設されたSOI基板30に対し、X線が照射されている状態を示している。このX線は、PMMA層36に向け照射される。X線として波長が0.2nm〜0.6nmであるものを含むことが望ましい。これにより、PMMA層36に対する透過性が向上し、いわゆる深堀りが可能となる。このため、PMMA層36が厚くても、第2のバルク層32の位置までPMMA層36をX線により確実に露光することができる。
上記のようにマスク37を介してPMMA層36にX線露光処理が行なわれると、X線が照射された部位におけるPMMA層36はポリマ鎖が解かれた状態となる。このため、PMMA層36のX線が照射された位置、即ち開口部34と対応する位置及びファイバー装着溝18A〜18Cの形成位置は、現像処理を行なうことにより除去される。これに対し、X線の照射がマスク37により阻止された位置、即ち開口部34と対応する位置及びファイバー装着溝18A〜18Cの形成位置を除く位置では、現像処理を実施してもポリマ鎖が解かれていないため除去することはできない。
図5(A)は、現像処理が終了した状態を示している。この現像処理が終了することにより、SOI基板30の上部にファイバー装着溝18A〜18C及び空間部19を有する支持部14Aが積層状態で形成される。この現像処理が終了状態において、形成されたファイバー装着溝18A〜18Bの底面23は、第2のバルク層32の表面が露出した状態となっている。また、支持部14Aの形成と同時に、ミラー21も形成される。このミラー21は、SOI基板30(具体的には、中間層33)の上部に立設した状態で形成される。
前記したように、X線微細加工(X線露光及び現像処理)を用いることにより、加工された壁面性状(表面粗さ)を良好にできると共に、高い垂直度を有した壁面を形成することができる。よって、ファイバー装着溝18A〜18Cは、その側面22の壁面性状が良好で、かつ高い垂直度を有しており、よって装着される光ファイバー17A,17Bを高精度に位置決めすることができる。
また、前記のように支持部14Aは有機材料(PMMA)で形成されており、光ファイバー17A,17Bより硬さが小さい材質であるため、光ファイバー17A,17Bのファイバー装着溝18A,18Bへの装着(挿入)時に光ファイバー17A,17Bに損傷が発生することを防止できる。
また、光ファイバー17A,17Bは、上記の如く高精度に形成されたファイバー装着溝18A,18Bの側面22により溝幅方向の位置決めされ、底面23である第2のバルク層32により高さ方向の位置決めがされる。これにより本実施例では、光損失のない高い信頼性を有した光スイッチ10Aを実現することができる。また、前記した第3の従来例のように板ばね状の押さえ構造を設ける必要はなく、光スイッチ10Aの製造工程の簡単化を図ることができる。
更に、本実施例では、ミラー21もX線微細加工(X線露光及び現像処理)を用いて形成される。このため、ミラー21の表面もX線微細加工のみの処理で良好な反射面とすることができ、かつ高い垂直度を有していることにより、反射精度を高めることができる。また、同一のマスク37を用いることにより、ミラー21はファイバー装着溝18A〜18Cと同時一括的に形成される。このため、ファイバー装着溝18A,18Bとミラー21は高精度に位置決めされており、これによっても反射精度を高めることができる。
上記のように支持部14A及びミラー21が形成されると、支持部14A及び第2のバルク層32をマスクとして中間層33の除去処理を実施する。これにより、図5(B)に示すように空間部19の底部は、第1のバルク層31が露出した状態となる。続いて、第1のバルク層31でのミラー21の配設面と反対側の面に、第2のフォトレジスト38が塗布される。この第2のフォトレジスト38は、例えばスピナーを用いて塗布される。図5(C)は、第2のフォトレジスト38が塗布された状態を示している。尚、この第2のフォトレジスト38もポジ型,ネガ型のいずれであってもよい。
続いて、この第2のフォトレジスト38には露光・現像処理が行なわれ、ステージ13及びばね部16となる部位を残し他の部分が除去される。図5(D)は、第2のフォトレジスト38の不要部分が除去された状態を示している。同図に示すように、第2のフォトレジスト38が除去された部分は、第1のバルク層31が露出した状態となっている。
上記のように第2のフォトレジスト38のパターニングが終了すると、続いて第1のバルク層31に対し誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を用いてエッチング処理が実施される。これにより、図5(D)に示すように、ステージ13及びばね部16が形成される。続いて、図5(E)に示すように第2のフォトレジスト38の除去処理が実施されると共に、図5(F)に示すように表面全体にアルミニウム蒸着が実施され、以上の工程を経ることにより光スイッチ10Aが製造される。
次に、本発明の第3実施例である光スイッチ10Cについて説明する。図6乃至図9は、第3実施例である光スイッチ10Cを説明するための図である。図1乃至図3を用いて説明した第1及び第2実施例に係る10A,10Bは、駆動電極20に電圧を印加しない状態においてミラー21が光ファイバー17Aから照射される光を反射する、いわゆるノーマリクローズ型の光スイッチであった。これに対して本実施例に係る光スイッチ10Cは、駆動電極20に電圧を印加してミラー21を変位させた時にミラー21が光ファイバー17Aから照射される光を反射する、いわゆるノーマリオープン型の光スイッチとしたことを特徴とするものである。
図6は、光スイッチ10Cの全体構造を示す平面図である。光スイッチ10Cは、大略すると本体部11Bと基台部12Bとにより構成されている。図7(A)は本体部11Bを示す平面図であり、図7(B)は基台部12Bを示す平面図である。また、図8は図6におけるA2−A2線に沿う断面を示し、図9は図6におけるA3−A3線に沿う断面を示している。
本体部11Bは、シリコンにより形成されており、第1及び第2実施例に係る本体部11Aと異なりPMMA等の高分子材料は用いられていない。本体部11Bは、ステージ13、ばね部16、ミラー21、及びファイバーカバー溝27A,27B等が形成されている。ステージ13は本体部11Bの略中央に形成された開口部34内に設けられており、ばね部16によりZ1,Z2方向に移動可能な構成とされている。
また、ステージ13の図中左端部には、ミラー21が立設した状態となるよう形成されている。本実施例では、ミラー21は本体部11Bに一体的に形成されており、よってシリコンにより形成されている。ファイバーカバー溝27A,27Bは、本体部11Bの基台部12Bと対向する面に形成されている(図8,図19参照)。
基台部12Bは、支持部14B(請求項に記載の第2の構造体に相当する)とベース部15B(請求項に記載の第1の構造体に相当する)とを積層した複合構造とされている(図9に詳しい)。支持部14は、光分解反応機能を有した熱可塑性樹脂であるPMMAにより形成されている。これに対し、ベース部15Bは、無機材料であるシリコンとガラスとにより形成されている。
支持部14Bは、本実施例では図7(B)に示されるように、2本のファイバー装着溝18A,18Bが直線状に形成されている。またその中央には、後述するようにするように21が下動した際に、このミラー21が進入するミラー移動溝25が形成されている。この各ファイバー装着溝18A,18Bの底面23は、ベース部15Bの表面が露出した状態となっている。
更に、支持部14Bの中央部分には開口部44が形成されている。この開口部44は矩形状に比較的広く形成されおり、この開口部44の形成部分は下部に位置するベース部15Bが露出した状態となっている。
一方、ベース部15Bは、ガラス基板40とシリコン層41を積層した構造とされている(図9参照)。シリコン層41は、支持部14Bに形成された開口部44を介して外部に露出するよう構成されており駆動電極20として機能する。この駆動電極20は、本体部11Bに形成され、電極としても機能するステージ13に対向するよう構成されている。
また、この駆動電極20と導電性を有したステージ13との間には、図示しない電圧印加装置が接続されている。そして、この電圧印加装置により駆動電極20とステージ13との間に所定の電圧を印加させることにより、ステージ13は駆動電極20に静電的に吸引される。
図8及び図9(A)は、電圧を印加していない状態を示している。この状態では、ミラー21は光ファイバー17A,17Bの光軸P(図8に二点鎖線で示す)に対し、上方に離間した位置にある。よって、光ファイバー17Aから出射した光は、光ファイバー17Bに進入する状態となっている。このように、光スイッチ10Cは、通常時(電圧を印加していない状態)では光が遮断されないノーマリオープン型の光スイッチとされている。
一方、駆動電極20と導電性を有したステージ13との間に電圧印加されると、図9(B)に示すようにステージ13は図中矢印Z2方向に変位し、これに伴いミラー21も矢印Z2方向に移動しミラー移動溝25内に進入する。これにより、光ファイバー17Aと光ファイバー17Bとの間にミラー21が位置する構成となるため、光ファイバー17Aから発射された光は遮光され、光ファイバー17Bに入射することない。ばね部16の変形可能量、ミラー21の高さ、及び駆動電圧の大きさは、ステージ13が矢印Z2方向に変位した際、ミラー21が光ファイバー17Aの光軸Pよりも下方位置となるよう構成されている。
よって、本実施例に係る光スイッチ10Bにおいても、駆動電圧をON/OFFすることにより、光ファイバー17Aから出射される光を光ファイバー17Bに入射させる態様と、入射させない対応の2態様で選択的に切り換えることができる。
ここで、本実施例における基台部12Bの材質に注目する。前記したように本実施例では、基台部12Bを有機材料(PMMA)よりなる支持部14Bと無機材料(シリコン及びガラス)よりなるベース部15Bとを積層した複合構造としており、また支持部14Bは光ファイバー17A,17Bより硬さが小さく設定されている。この構成とすることにより、光ファイバー17A,17Bをファイバー装着溝18A,18Bに装着する際、光ファイバー17A,17Bに損傷が発生することを防止できると共に装着性を高めることができる。
続いて、図10乃至図25を参照して、光スイッチの製造方法について説明する。図10乃至図19は本体部11Bの製造方法を示しており、図20乃至図25は基台部12Bの製造方法を示している。先ず、図10乃至図19を用いて本体部11Bの製造方法について説明する。尚、各図において(A)で示す図面は、図10及び図11の(B)に矢印A4−A4線に沿う断面図である。また各図において(B)で示すのは上方からみた斜視図であり、(C)で示すのは下方からみた斜視図である。
図10は、光スイッチ10Cを製造する基材となるSOI基板30を示している。このSOI基板30も第1のバルク層31,中間層33,第2のバルク層32が積層された構成であり、第1のバルク層31及び第2のバルク層32は単結晶シリコン(Si)のバルクにより、また中間層33は二酸化シリコン(SiO)により形成されている。また、上記構成とされたSOI基板30の表面には、予め第1のフォトレジスト35が塗布されている。
続いて、この第1のフォトレジスト35に対し露光・現像処理を実施し、支持部14A及びミラー21の形成位置を除き、他の部分の第1のフォトレジスト35を除去する。図11は、第1のフォトレジスト35の不要部分が除去された状態を示している。同図に示すように、第1のフォトレジスト35が除去された部分は、第2のバルク層32が露出した状態となっている。
上記のように第1のフォトレジスト35のパターニングが終了すると、続いてSOI基板30に対して誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)が行なわれる。これにより、第1のフォトレジスト35に覆われていない第2のバルク層32が除去され、よって図12に示すようにミラー21及び開口部34が形成される。このミラー21及び開口部34の形成の際、中間層33は第2のバルク層32に対するエッチング量を規制するエッチストップ材として機能する。
よって、中間層33をエッチストップ材とした反応性イオンエッチングを実施することにより、ミラー21及び開口部34を高精度に形成することができる。また、本実施例では、反応性イオンエッチングを用いて開口部34とミラー21を同時形成しているため、ミラー21と開口部34を別個に形成する方法に比べ、加工時間の短縮を図ることができる。
上記のようにミラー21及び開口部34が形成されると、第1のフォトレジスト35及び外部に露出している中間層33の除去処理を実施する。これにより、図13に示すように第2のバルク層32の表面は露出し、また開口部34の底部は第1のバルク層31が露出した状態となる。
第1のフォトレジスト35が除去されると、続いて第1のバルク層31の背面(ミラー21の形成面と反対側の面)に第2のフォトレジスト38が塗布される。この第2のフォトレジスト38は、例えばスピナーを用いて塗布される。続いて、この第2のフォトレジスト38には露光・現像処理が行なわれ、ファイバーカバー溝27A,27Bとなる部位における第2のフォトレジスト38が除去される。
図14は、第2のフォトレジスト38の不要部分が除去された状態を示している。同図に示すように、第2のフォトレジスト38が除去された部分は、第1のバルク層31が露出した状態となっている。
上記のように第2のフォトレジスト38のパターニングが終了すると、続いて第1のバルク層31に対して誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を用いてファイバーカバー溝27A,27Bの形成位置に露出した第1のバルク層31を除去する。これにより、ファイバーカバー溝27A,27Bの形成位置には、図15に示されるように、中間層33が露出した状態となる。更に、この露出した中間層33に対してもエッチング処理(例えば、ウエットエッチング)が実施され中間層33も除去される。
図16は、中間層33が除去された状態を示している。この状態において、ファイバーカバー溝27A,27Bの形成位置には第2のバルク層32が露出した状態となっている。
続いて、ファイバーカバー溝27A,27Bの形成位置に露出した第2のバルク層32に対し、誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)が実施される。これにより、図17に示すように、第2のバルク層32の背面側にファイバーカバー溝27A,27Bが形成される。
上記のようにファイバーカバー溝27A,27Bが形成されると、第2のフォトレジスト38が除去されると共に、第1のバルク層31上に新たに第3のフォトレジスト39を塗布する。この第3のフォトレジスト39は、第2のフォトレジスト38と同一材料である。この第3のフォトレジスト39は、露光・現像処理が行なわれることにより所定のパターンに成形される。図18は、第3のフォトレジスト39が所定のパターンに形成された状態を示している。この第3のフォトレジスト39のパターンは、ステージ13及びばね部16の形状に対応した形状とされている。
続いて、この第3のフォトレジスト39をマスクとして誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)が実施される。これにより、第1のバルク層31の第3のフォトレジスト39から露出した部分が除去され、第1のバルク層31にステージ13及びばね部16が形成される。このようにしてステージ13及びばね部16が形成されると、第3のフォトレジスト39は除去され、よって図19に示す本体部11Bが完成する。
続いて、図20乃至図25を参照し、基台部12Bの製造方法について説明する。基台部12Bを製造するには、先ず図20に示すようにガラス基板40を用意する。このガラス基板40の上面全面には、シリコン層41が例えば陽極接合を用いて接合される。このシリコン層41は半導体であり、電極として機能しうるものである。本実施例では、このシリコン層41を駆動電極20として使用する構成としている。
上記のようにガラス基板40上にシリコン層41が配設されると、続いてシリコン層41の上面にフォトレジスト材がスピンコート等により皮膜形成される。このフォトレジスト材は露光・現像処理が実施され、所定パターンを有したレジスト層42が形成される。図21は、レジスト層42が形成された状態を示している。レジスト層42は、駆動電極20の形成領域を含む部分を覆うよう、またミラー21の移動領域を含む部分はシリコン層41が露出するようなパターン形状とされている。
上記のようにレジスト層42のパターニングが終了すると、続いてシリコン層41に対して誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)処理が行なわれる。この際、ガラス基板40はシリコン層41に対するエッチング量を規制するエッチストップ材として機能する。よって、レジスト層42から露出したシリコン層41を確実に除去することができ、このエッチング領域にシリコン層41が残存するようなことはない。図22は、シリコン層41の所定部分がICP−RIEにより除去された状態を示している。
続いて、図23に示すように、レジスト層42の除去処理が実施された後、図24に示すように、ガラス基板40及びシリコン層41の上部にPMMA層43が設けられる。このPMMA層43は、例えばキャスト等の手法を用いてガラス基板40及びシリコン層41の上面を完全に覆うよう形成される。
上記のようにPMMA層36が設けられると、続いてX線微細加工処理が実施される。このX線微細加工処理は、先に図4(F)及び図5(A)を用いて説明したと略同様の手順で実施される。即ち、先ずPMMA層43の上部に、X線透過率の良好なメンブレンシートにX線を遮断する重金属が所定のパターンで形成された構成のマスク(図示せず)を配設する。
上記のようにマスクが配設されると、続いてPMMA層43に対しX線の照射(露光)が実施される。本実施例においても、照射されるX線の波長は0.2nm〜0.6nmとされている。これにより、PMMA層43に対する透過性が向上し、いわゆる深堀りが可能となる。このため、PMMA層43が厚くても、ガラス基板40或いはシリコン層41の位置までPMMA層36を確実に露光することができる。
上記のようにX線露光処理が行なわれると、続いて現像処理が実施される。この現像処理により、PMMA層43のX線が照射された位置、即ちファイバー装着溝18A,18Bの形成位置、駆動電極20の形成位置、及びミラー移動溝25の形成位置は除去される。図25は、現像処理が終了した状態を示している。
この現像処理が終了することにより、シリコン層41が形成されたガラス基板40の上部に、ファイバー装着溝18A,18B及び開口部44を有する支持部14Bが積層状態で形成される。この現像処理が終了状態において、形成されたファイバー装着溝18A,18Bの底面23は、ガラス基板40の表面が露出した状態となっている。
前記したように、X線微細加工(X線露光及び現像処理)を用いることにより、加工された壁面性状(表面粗さ)を良好にできると共に、高い垂直度を有した壁面を形成することができる。よって本実施例においても、ファイバー装着溝18A,18Bは、その側面22の壁面性状が良好で、かつ高い垂直度を有している。よって、装着される光ファイバー17A,17Bを光スイッチ10C(基台部12B)に対し、高精度に位置決めした状態で装着することができる。
また、前記のように支持部14Bは有機材料(PMMA)で形成されており、光ファイバー17A,17Bより硬さの小さい材質である。このため、光ファイバー17A,17Bのファイバー装着溝18A,18Bへの装着(挿入)時においては、支持部14Bが弾性変形するため、光ファイバー17A,17Bに損傷が発生することを防止できると共にファイバー装着溝18A,18Bに確実かつ高精度に保持される。
具体的には、光ファイバー17A,17Bの溝幅方向の位置決めは、X線微細加工により高い垂直度を有すると共に壁面性状の良好なファイバー装着溝18A,18Bの側面22により行なわれるため、高い位置決め精度を実現できる。また、高さ方向の位置決めは、反応性インオエッチング(ICP−RIE)によりシリコン層41をエッチングする際にエッチストップ層として機能した底面23により行われる。この底面23は高い平坦性を有した面であり、かつエッチストップ面としてシリコン層41から露出した面であるため、ファイバー装着溝18A,18Bの高さ(深さ)も一定となる。よって、光ファイバー17A,17Bの高さ方向の位置決めも高精度に行なわれる。
このように本実施例によれば、光スイッチ10Cに対して光ファイバー17A,17Bは、高精度に位置決めすることができる。よって、従来(前記した第3の従来例)のように板ばね状の押さえ構造を設ける必要はなく、光スイッチ10Cの製造工程の簡単化を図ることができる。
また、上記したように、本実施例による光スイッチ10Cの製造では、ファイバー装着溝18A,18Bの形成に誘導プラズマ型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)とX線微細加工の双方を用いている。このため、上記の如く形成されるファイバー装着溝18A,18Bの精度を高めることができ、光スイッチ10Cの信頼性を高めることができる。また本実施例に係る光スイッチ10AC、光ファイバー17A,17Bを光スイッチ10Cに高精度に装着するために、ファイバー装着溝18A,18B以外の構成を必要としないため、製造工程の簡単化を図ることができる。
図1は、本発明の第1実施例である光スイッチがミラーを上動させた状態を示しており、図1(A)は平面図、図1(B)は斜視図である。 図2は、本発明の第1実施例である光スイッチがミラーを下動させた状態を示しており、図2(A)は平面図、図2(B)は斜視図である。 図3は、本発明の第2実施例である光スイッチを示しており、(A)はミラーが上動した状態を示す平面図、(B)はミラーが下動した状態を示す平面図である。 図4は、図1及び図2に示した光スイッチの製造方法を説明するための図である(その1)。 図5は、図1及び図2に示した光スイッチの製造方法を説明するための図である(その2)。 図6は、本発明の第3実施例である光スイッチがミラーを示す平面図である。 図7(A)は本発明の第3実施例である光スイッチを構成する本体部を示す平面図であり、図7(B)は本発明の第3実施例である光スイッチを構成する基台部を示す平面図である。 図8は、図6おけるA2−A2線に沿う断面図である。 図9は、ミラーの動作を説明するための図である。 図10は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その1)。 図11は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その2)。 図12は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その3)。 図13は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その4)。 図14は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その5)。 図15は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その6)。 図16は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その7)。 図17は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その8)。 図18は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その9)。 図19は、図6に示した光スイッチを構成する本体部の製造方法を説明するための図である(その10)。 図20は、図6に示した光スイッチを構成する基台部の製造方法を説明するための図である(その1)。 図21は、図6に示した光スイッチを構成する基台部の製造方法を説明するための図である(その2)。 図22は、図6に示した光スイッチを構成する基台部の製造方法を説明するための図である(その3)。 図23は、図6に示した光スイッチを構成する基台部の製造方法を説明するための図である(その4)。 図24は、図6に示した光スイッチを構成する基台部の製造方法を説明するための図である(その5)。 図25は、図6に示した光スイッチを構成する基台部の製造方法を説明するための図である(その6)。
符号の説明
10A〜10C 光スイッチ
11A,11B 本体部
12A,12B 基台部
13 ステージ
14A,14B 支持部
15A,15B ベース部
17A,17B 光ファイバー
18A〜18C ファイバー装着溝
20 駆動電極
21 ミラー
30 SOI基板
31 第1のバルク層
32 第2のバルク層
33 中間層
35 第1のフォトレジスト
36,43 PMMA層
37 マスク
38 第2のフォトレジスト
39 第3のフォトレジスト
40 ガラス基板
41 シリコン層
42 レジスト層

Claims (7)

  1. 第1の構造体と、被装着部材が装着される第2の構造体とが積層された複合構造を有するマイクロデバイスであって、
    前記被装着部材の硬さに対し、前記第2の構造体の硬さを小さくしたことを特徴とするマイクロデバイス。
  2. 第1の構造体と、被装着部材が装着される第2の構造体とが積層された複合構造を有するマイクロデバイスであって、
    前記第2の構造体に前記被装着部材が装着される装着溝を形成し、
    かつ、前記被装着部材の硬さに対し、前記第2の構造体の硬さを小さくしたことを特徴とするマイクロデバイス。
  3. 請求項2記載のマイクロデバイスにおいて、
    前記第1の構造体は前記装着溝の底部に露出しており、前記被装着部材と当接することにより前記装着溝の壁面と共に前記被装着部材の位置決めを行なう構成としてなることを特徴とするマイクロデバイス。
  4. 第1の構造体と第2の構造体とが積層された複合構造を有するマイクロデバイスの製造方法であって、
    第1の材料よりなる基板を、異方性エッチングを用いて加工して前記第1の構造体を形成する工程と、
    前記第1の構造体上に第2の材料を配設する工程と、
    前記第2の材料に対してX線を用いた微細加工処理を実施することにより前記第2の構造体を形成する工程とを有することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  5. 請求項4記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記第2の材料に対して前記第1の構造体をエッチストップ層としてX線を用いた微細加工を行なうことにより、前記第2の構造体に被装着部材が装着される装着溝を形成することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  6. 請求項4または5記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記X線を用いた微細加工処理により前記第2の構造体を形成する際、前記被装着部材と協働して所定の機能を奏する機能素子を同時形成することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  7. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記X線は0.2nm〜0.6nmの範囲の波長を含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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