JP2005163956A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 トロイダル型無段変速機の超長寿命疲労破壊強度を向上させる。
【解決手段】 トロイダル型無段変速機の入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5の少なくとも一つを以下の構成とした。まず、Cの含有率が0.15〜0.5質量%、Siの含有率が0.1〜1.5質量%、Mnの含有率が0.1〜1.5質量%、Crの含有率が0.5〜3.0質量%、Mo及びNiの合計含有率が0.1〜3.0質量%、残部がFe及び不可避不純物であり、Oの含有率が9ppm以下、Hの含有率が0.03ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した。次に、真空浸炭処理を含む熱処理を施して、動力伝達面2a,3a,5aの表面のCの含有率を0.8〜1.2質量%、表面の硬さをHv680以上、表面の残留応力を−200〜−1500MPa、表面の結晶粒度を10以上、芯部の結晶粒度を8以上、粒界酸化層の厚みを5μm以下とした。
【選択図】 図1
【解決手段】 トロイダル型無段変速機の入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5の少なくとも一つを以下の構成とした。まず、Cの含有率が0.15〜0.5質量%、Siの含有率が0.1〜1.5質量%、Mnの含有率が0.1〜1.5質量%、Crの含有率が0.5〜3.0質量%、Mo及びNiの合計含有率が0.1〜3.0質量%、残部がFe及び不可避不純物であり、Oの含有率が9ppm以下、Hの含有率が0.03ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した。次に、真空浸炭処理を含む熱処理を施して、動力伝達面2a,3a,5aの表面のCの含有率を0.8〜1.2質量%、表面の硬さをHv680以上、表面の残留応力を−200〜−1500MPa、表面の結晶粒度を10以上、芯部の結晶粒度を8以上、粒界酸化層の厚みを5μm以下とした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、トロイダル型無段変速機に関する。
自動車用の変速機等として適用されるトロイダル型無段変速機は、入力軸と連動して回転する入力ディスクと、出力軸と連動して回転する出力ディスクと、これら両ディスクの対向する内側面に設けられた両動力伝達面に摺接する動力伝達面を有するパワーローラと、を備えた無段変速機構(バリエータ)を有している。
このトロイダル型無段変速機は、入力軸の回転が、入力ディスク、パワーローラ及び出力ディスクを介して出力軸に伝達されるようになっており、パワーローラと入力ディスク及びパワーローラと出力ディスクの接触点回転半径を変化させることにより、変速比を無段階で変えることができる。
このトロイダル型無段変速機は、入力軸の回転が、入力ディスク、パワーローラ及び出力ディスクを介して出力軸に伝達されるようになっており、パワーローラと入力ディスク及びパワーローラと出力ディスクの接触点回転半径を変化させることにより、変速比を無段階で変えることができる。
このようなトロイダル型無段変速機の駆動時においては、パワーローラを介して入力ディスクから出力ディスクに高いトルクが伝達されるため、トルク伝達面となる各動力伝達面は、歯車式有段変速機等と比較して、非常に高い剪断応力や曲げ応力を受ける。したがって、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラには、特に高い疲労割れ強度が必要となる。
下記特許文献1では、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラを構成する鋼材に浸炭処理又は浸炭窒化処理を施し、鋼材の表面から2〜4mmの範囲内にHv550以上の硬化層を形成することで、疲労割れ強度を向上させる技術が提案されている。
また、下記特許文献1には、鋼材中に含まれるSi及びMnの含有率を少なくすることで、浸炭処理又は浸炭窒化処理時に鋼材中に形成される粒界酸化層を浅くでき、疲労割れ強度をより高くできると記載されている。
下記特許文献1では、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラを構成する鋼材に浸炭処理又は浸炭窒化処理を施し、鋼材の表面から2〜4mmの範囲内にHv550以上の硬化層を形成することで、疲労割れ強度を向上させる技術が提案されている。
また、下記特許文献1には、鋼材中に含まれるSi及びMnの含有率を少なくすることで、浸炭処理又は浸炭窒化処理時に鋼材中に形成される粒界酸化層を浅くでき、疲労割れ強度をより高くできると記載されている。
ところで、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラ等の繰り返し応力を受ける部材については、どの程度の繰り返し応力に耐え得るかを把握するため、応力繰り返し数が107 回である疲労試験を行っている。そして、この試験で破壊が生じない応力を疲労限度とし、この疲労限度以下の応力であれば疲労破壊が生じないと考えられていた。
しかし、近年、応力繰り返し数が107 回までの疲労試験に耐えたものであっても、疲労限度以下の応力を107 回を超えて繰り返し加えた時に破壊する現象(以下、「超長寿命疲労破壊」と称す。)が発表され、注目されている。
しかし、近年、応力繰り返し数が107 回までの疲労試験に耐えたものであっても、疲労限度以下の応力を107 回を超えて繰り返し加えた時に破壊する現象(以下、「超長寿命疲労破壊」と称す。)が発表され、注目されている。
この超長寿命疲労破壊には、鋼材中に形成される粒界酸化層や、鋼材中の非金属介在物の周囲に水素をトラップして形成される粗い疲労面が影響を及ぼしていることが分かっている。なお、この介在物周囲の領域は、金属顕微鏡で観察すると黒く見えることから、ODA(Optically Dark Area)と呼ばれている。また、ODAの寸法は、破壊までの応力繰り返し数が多くなるにつれて、大きくなることが分かっている。そのため、ODAの寸法拡大を考慮して超長寿命疲労破壊強度を決定することにより、耐用年数の使用に耐え得る機械部品を設計することが提案されている(特許文献2参照)。
特開平7−71555号公報
特開2002−286607号公報
ところで、近年、トロイダル型無段変速機の使用期間がさらに長くなるにつれて、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラに、超長寿命疲労破壊が起こりやすくなってきている。そのため、超長寿命疲労破壊に及ぼす粒界酸化層の厚さや疲労面の影響について、再検討する必要がある。
しかし、上記特許文献1の技術では、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラに超長寿命破壊耐性を付与するという点で未だ改善の余地がある。
また、上記特許文献2では、トロイダル型無段変速機に超長寿命破壊耐性を付与するための具体的な条件については言及されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トロイダル型無段変速機の超長寿命疲労破壊強度を向上させることを課題としている。
しかし、上記特許文献1の技術では、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラに超長寿命破壊耐性を付与するという点で未だ改善の余地がある。
また、上記特許文献2では、トロイダル型無段変速機に超長寿命破壊耐性を付与するための具体的な条件については言及されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トロイダル型無段変速機の超長寿命疲労破壊強度を向上させることを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、対向する内側面にそれぞれ断面円弧状の動力伝達面を有する入力ディスク及び出力ディスクと、前記入力ディスク及び出力ディスクの間に配置されて、前記動力伝達面に摺接する動力伝達面を有するパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、前記入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラの少なくとも一つは、Cの含有率が0.15〜0.5質量%、Siの含有率が0.1〜1.5質量%、Mnの含有率が0.1〜1.5質量%、Crの含有率が0.5〜3.0質量%、Mo及びNiの合計含有率が0.1〜3.0質量%、残部がFe及び不可避不純物であり、Oの含有率が9ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、真空浸炭処理を含む熱処理を施して得られ、前記動力伝達面の表面のCの含有率が0.8〜1.2質量%で、前記表面の硬さがHv680以上で、前記表面の残留応力が−200〜−1500MPaで、前記表面の結晶粒度が10以上で、芯部(真空浸炭処理による影響を受けていない部分)の結晶粒度が8以上で、粒界酸化層の厚みが5μm以下で、Hの含有率が0.03ppm以下となっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機を提供する。
本発明はまた、対向する内側面にそれぞれ断面円弧状の動力伝達面を有する入力ディスク及び出力ディスクと、前記入力ディスク及び出力ディスクの間に配置されて、前記動力伝達面に摺接する動力伝達面を有するパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、前記入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラの少なくとも一つは、Cの含有率が0.15〜0.5質量%、Siの含有率が0.1〜1.5質量%、Mnの含有率が0.1〜1.5質量%、Crの含有率が0.5〜3.0質量%、Mo及びNiの合計含有率が0.1〜3.0質量%、残部がFe及び不可避不純物であり、Oの含有率が9ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、真空浸炭窒化処理を含む熱処理を施して得られ、前記動力伝達面の表面のCの含有率が0.8〜1.2質量%で、前記表面のNの含有率が0.05〜0.4質量%で、前記表面の硬さがHv680以上で、前記表面の残留応力が−200〜−1500MPaで、前記表面の結晶粒度が10以上で、芯部(真空浸炭窒化処理による影響を受けていない部分)の結晶粒度が8以上で、粒界酸化層の厚みが5μm以下で、Hの含有率が0.03ppm以下となっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機を提供する。
以下、本発明の数値限定の臨界的意義について詳細に説明する。
〔Cの含有率:0.15〜0.5質量%〕
C(炭素)は、浸炭処理又は浸炭窒化処理で表面硬さと芯部硬さを確保するために必要な元素である。浸炭処理又は浸炭窒化処理の時間を短縮させるためには、Cの含有率を0.15質量%以上とする必要がある。しかし、Cの含有率が0.5質量%を超えると、芯部での割れ強度及び鍛造性が低下するため、その上限値を0.5質量%とした。
〔Siの含有率:0.1〜1.5質量%〕
Si(ケイ素)は、転がり疲労時に生じる白色組織変化を遅延させるとともに、焼入れ性を向上させるために有効な元素である。十分な焼き戻し軟化抵抗性を確保するためには、Siの含有率を0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Siの含有率が1.5質量%を超えると、加工性が著しく低下するため、その上限を1.5質量%とした。
〔Cの含有率:0.15〜0.5質量%〕
C(炭素)は、浸炭処理又は浸炭窒化処理で表面硬さと芯部硬さを確保するために必要な元素である。浸炭処理又は浸炭窒化処理の時間を短縮させるためには、Cの含有率を0.15質量%以上とする必要がある。しかし、Cの含有率が0.5質量%を超えると、芯部での割れ強度及び鍛造性が低下するため、その上限値を0.5質量%とした。
〔Siの含有率:0.1〜1.5質量%〕
Si(ケイ素)は、転がり疲労時に生じる白色組織変化を遅延させるとともに、焼入れ性を向上させるために有効な元素である。十分な焼き戻し軟化抵抗性を確保するためには、Siの含有率を0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Siの含有率が1.5質量%を超えると、加工性が著しく低下するため、その上限を1.5質量%とした。
〔Mnの含有率:0.1〜1.5質量%〕
Mn(マンガン)は、鋼の焼入れ性を向上させるために有効な元素である。この効果を得るためには、Mnの含有率を0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Mnの含有率が1.5質量%を超えると、加工性が著しく低下するため、その上限を1.5質量%とした。
〔Crの含有率:0.5〜3.0質量%〕
Cr(クロム)は、鋼の焼入れ性を向上させるとともに、炭化物球状化を促進させるために有効な元素である。この効果を得るためには、Crの含有率を0.5質量%以上とする必要がある。しかし、Crの含有率が3.0質量%を超えると、加工性が著しく低下するため、その上限を3.0質量%とした。
Mn(マンガン)は、鋼の焼入れ性を向上させるために有効な元素である。この効果を得るためには、Mnの含有率を0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Mnの含有率が1.5質量%を超えると、加工性が著しく低下するため、その上限を1.5質量%とした。
〔Crの含有率:0.5〜3.0質量%〕
Cr(クロム)は、鋼の焼入れ性を向上させるとともに、炭化物球状化を促進させるために有効な元素である。この効果を得るためには、Crの含有率を0.5質量%以上とする必要がある。しかし、Crの含有率が3.0質量%を超えると、加工性が著しく低下するため、その上限を3.0質量%とした。
〔Moの含有率:0.1〜3.0質量%〕
Mo(モリブデン)は、焼き戻し軟化抵抗性を向上させ、且つ、微細な炭化物を分散させるため、軸受硬さを向上させるために有効な元素である。Moを添加することによりマトリックスに溶け込むC量を減少させて、微細なMo系炭化物を析出させるためには、Moの含有率を0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Moの含有率が3.0を超えると、Moの溶解が不十分となって炭化物が微細化しなくなるとともに、加工性が劣化するため、その上限を3.0質量%とした。
Mo(モリブデン)は、焼き戻し軟化抵抗性を向上させ、且つ、微細な炭化物を分散させるため、軸受硬さを向上させるために有効な元素である。Moを添加することによりマトリックスに溶け込むC量を減少させて、微細なMo系炭化物を析出させるためには、Moの含有率を0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Moの含有率が3.0を超えると、Moの溶解が不十分となって炭化物が微細化しなくなるとともに、加工性が劣化するため、その上限を3.0質量%とした。
〔Niの含有率:0.1〜3.0質量%〕
Ni(ニッケル)は、鋼の靱性を向上させるために有効な元素である。この効果を得るために、Niの含有率は0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Niの含有率が3.0質量%を超えると、被削性が低下するため、その上限を3.0質量%とした。
〔Oの含有率:9ppm以下〕
O(酸素)は、鋼材中で酸化物系介在物を生成し、これを起点とした割れを発生させたり、転がり疲労寿命を低下させる原因となるため、Oの含有率はその上限を9ppmとする必要がある。
Ni(ニッケル)は、鋼の靱性を向上させるために有効な元素である。この効果を得るために、Niの含有率は0.1質量%以上とする必要がある。しかし、Niの含有率が3.0質量%を超えると、被削性が低下するため、その上限を3.0質量%とした。
〔Oの含有率:9ppm以下〕
O(酸素)は、鋼材中で酸化物系介在物を生成し、これを起点とした割れを発生させたり、転がり疲労寿命を低下させる原因となるため、Oの含有率はその上限を9ppmとする必要がある。
〔真空浸炭処理又は真空浸炭窒化処理について〕
真空浸炭処理とは、大気圧未満に減圧した状態で浸炭を行うことを指し、真空浸炭窒化処理とは、大気圧未満に減圧した状態で浸炭窒化を行うことを指す。浸炭処理や浸炭窒化処理を減圧下で行うことにより、熱処理後のHの含有率を0.03ppm以下にすることができる。
〔表面のCの含有率:0.8〜1.2質量%〕
転がり疲労寿命を向上させるためには、表面のCの含有率を0.8質量%以上とする必要がある。しかし、表面のCの含有率が1.2質量%を超えると、巨大炭化物が生成し、転がり疲労寿命を低下させるため、その上限を1.2質量%とした。
真空浸炭処理とは、大気圧未満に減圧した状態で浸炭を行うことを指し、真空浸炭窒化処理とは、大気圧未満に減圧した状態で浸炭窒化を行うことを指す。浸炭処理や浸炭窒化処理を減圧下で行うことにより、熱処理後のHの含有率を0.03ppm以下にすることができる。
〔表面のCの含有率:0.8〜1.2質量%〕
転がり疲労寿命を向上させるためには、表面のCの含有率を0.8質量%以上とする必要がある。しかし、表面のCの含有率が1.2質量%を超えると、巨大炭化物が生成し、転がり疲労寿命を低下させるため、その上限を1.2質量%とした。
〔表面のNの含有率:0.05〜0.4質量%〕
焼き戻し軟化抵抗性を向上させ、且つ、微細炭窒化物を分散・析出させる効果をより向上させるためには、表面のNの含有率を0.05質量%以上とする必要がある。しかし、表面のNの含有率が0.4質量%を超えると、研磨加工が困難になるため、その上限を0.4質量%とした。
〔表面の硬さ:Hv680以上〕
転がり疲労寿命を向上させるためには、表面の硬さをビッカース硬さでHv680以上とする必要がある。
〔表面の残留応力:−200〜−1500MPa〕
トロイダル型無段変速機の入出力ディスクとパワーローラとの動力伝達面では、接線力が表面損傷を引き起こす場合がある。この接線力疲労寿命を向上させるためには、表面の残留応力が−200MPa以上である必要がある。しかし、表面の残留応力が−1500MPaを超えると寿命が低下するため、その上限を−1500MPaとした。
焼き戻し軟化抵抗性を向上させ、且つ、微細炭窒化物を分散・析出させる効果をより向上させるためには、表面のNの含有率を0.05質量%以上とする必要がある。しかし、表面のNの含有率が0.4質量%を超えると、研磨加工が困難になるため、その上限を0.4質量%とした。
〔表面の硬さ:Hv680以上〕
転がり疲労寿命を向上させるためには、表面の硬さをビッカース硬さでHv680以上とする必要がある。
〔表面の残留応力:−200〜−1500MPa〕
トロイダル型無段変速機の入出力ディスクとパワーローラとの動力伝達面では、接線力が表面損傷を引き起こす場合がある。この接線力疲労寿命を向上させるためには、表面の残留応力が−200MPa以上である必要がある。しかし、表面の残留応力が−1500MPaを超えると寿命が低下するため、その上限を−1500MPaとした。
〔表面の結晶粒度:10以上〕
転がり疲労寿命を向上させるためには、表面の結晶粒度は10以上とする必要がある。表面の結晶粒度が10未満であると、転がり疲労寿命が低下する。なお、本発明において、「結晶粒度」とは、JIS G0551に規定された「鋼のオーステナイト結晶粒度測定方法」で測定した旧オーステナイト結晶粒度を指す。
〔芯部の結晶粒度:8以上〕
衝撃割れ強度を向上させるために、芯部の結晶粒度は8以上とする必要がある。芯部の結晶粒度が8未満であると、割れ強度が低下する。
転がり疲労寿命を向上させるためには、表面の結晶粒度は10以上とする必要がある。表面の結晶粒度が10未満であると、転がり疲労寿命が低下する。なお、本発明において、「結晶粒度」とは、JIS G0551に規定された「鋼のオーステナイト結晶粒度測定方法」で測定した旧オーステナイト結晶粒度を指す。
〔芯部の結晶粒度:8以上〕
衝撃割れ強度を向上させるために、芯部の結晶粒度は8以上とする必要がある。芯部の結晶粒度が8未満であると、割れ強度が低下する。
〔粒界酸化層の厚み:5μm以下〕
疲労限度以下の応力を107 回を超えて繰り返し加えた場合、粒界酸化層の厚みが10μm程度であると、粒界酸化層を起点として亀裂が生じ易いが、粒界酸化層の厚みを5μm以下とすると、粒界酸化層を起点とする亀裂の発生を抑制できる。
〔Hの含有率:0.03ppm以下〕
H(水素)は、鋼材中に存在する非金属介在物の周囲にODAを生成し、これを起点とした疲労割れ破壊を発生させるため、熱処理後のHの含有率はその上限を0.03ppmとする必要がある。
疲労限度以下の応力を107 回を超えて繰り返し加えた場合、粒界酸化層の厚みが10μm程度であると、粒界酸化層を起点として亀裂が生じ易いが、粒界酸化層の厚みを5μm以下とすると、粒界酸化層を起点とする亀裂の発生を抑制できる。
〔Hの含有率:0.03ppm以下〕
H(水素)は、鋼材中に存在する非金属介在物の周囲にODAを生成し、これを起点とした疲労割れ破壊を発生させるため、熱処理後のHの含有率はその上限を0.03ppmとする必要がある。
本発明によれば、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラの少なくとも一つを、特定の鋼で形成するとともに、その動力伝達面の表面のCの含有率(又はCとNの含有率)、前記表面の硬さ、前記表面の残留応力、前記表面と芯部の結晶粒度及び粒界酸化層の厚みを特定したことによって、超長寿命疲労破壊強度を高くすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。図2は、本発明のトロイダル型無段変速機の一例を示し、図1のA−A線断面図である。なお、図1は、トロイダル型無段変速機の入力軸の軸方向に沿った断面である。
本実施形態におけるトロイダル型無段変速機のバリエータは、図1及び図2に示すように、入力軸1と連動して回転する入力ディスク2と、出力軸と連動して回転する出力ディスク3と、これら両ディスク2,3間に配置されたパワーローラ5と、を備えている。両ディスク2,3の対向する内側面には、それぞれ断面円弧状(ハーフトロイド状)の動力伝達面2a,3aが形成されている。パワーローラ5は、両ディスク2,3の動力伝達面2a、3aに摺接する動力伝達面5aを有する。
図1は、本発明のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。図2は、本発明のトロイダル型無段変速機の一例を示し、図1のA−A線断面図である。なお、図1は、トロイダル型無段変速機の入力軸の軸方向に沿った断面である。
本実施形態におけるトロイダル型無段変速機のバリエータは、図1及び図2に示すように、入力軸1と連動して回転する入力ディスク2と、出力軸と連動して回転する出力ディスク3と、これら両ディスク2,3間に配置されたパワーローラ5と、を備えている。両ディスク2,3の対向する内側面には、それぞれ断面円弧状(ハーフトロイド状)の動力伝達面2a,3aが形成されている。パワーローラ5は、両ディスク2,3の動力伝達面2a、3aに摺接する動力伝達面5aを有する。
このバリエータは、さらに、パワーローラ5を回転自在に支持する変位軸8と、この変位軸8を枢軸6を中心として入力軸1の軸方向(図1における左右方向)に揺動可能に支持するトラニオン7と、パワーローラ5に加わるスラスト方向の荷重を支承するスラスト軸受20と、を備えている。
スラスト軸受20の内輪軌道面5bはパワーローラ5に形成され、外輪9はトラニオン7側に取り付けられている。そして、このスラスト軸受20は、内輪軌道面5b及び外輪軌道面9aの間に複数の玉10が転動自在に配設され、この玉10を転動自在に保持する保持器11を備えている。
スラスト軸受20の内輪軌道面5bはパワーローラ5に形成され、外輪9はトラニオン7側に取り付けられている。そして、このスラスト軸受20は、内輪軌道面5b及び外輪軌道面9aの間に複数の玉10が転動自在に配設され、この玉10を転動自在に保持する保持器11を備えている。
このトロイダル型無段変速機では、入力軸1の回転がローディングカム1A、入力ディスク2、パワーローラ5、出力ディスク3及び出力歯車4を介して、出力軸に伝達されるようになっている。
そして、枢軸6を中心にトラニオン7を揺動させ、パワーローラ5の動力伝達面5aを入力ディスク2の中心寄り部分と出力ディスク3の外周寄り部分とに変位させると、入力軸1の回転が出力軸に減速されて伝わり、逆にパワーローラ5の動力伝達面5aを入力ディスク2の外周寄り部分と出力ディスク3の中心寄り部分とに変位させると、入力軸1の回転が出力軸に増速されて伝わるようになっている。
そして、枢軸6を中心にトラニオン7を揺動させ、パワーローラ5の動力伝達面5aを入力ディスク2の中心寄り部分と出力ディスク3の外周寄り部分とに変位させると、入力軸1の回転が出力軸に減速されて伝わり、逆にパワーローラ5の動力伝達面5aを入力ディスク2の外周寄り部分と出力ディスク3の中心寄り部分とに変位させると、入力軸1の回転が出力軸に増速されて伝わるようになっている。
本実施形態においては、まず、表1の条件(鋼、熱処理)で、図1に示すトロイダル型無段変速機の入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5を作製した。そして、各部材について、熱処理後の表面のCの含有率及びNの含有率と、表面の硬さと、表面の結晶粒度と、芯部の結晶粒度と、表面の残留応力と、粒界酸化層の厚さと、を測定した。その結果を表1に併せて示す。
なお、表面のCの含有率及びNの含有率は、発光分光分析装置(株式会社島津製作所製)で表面から10μmの深さまでの表面層において測定した。また、表面及び芯部の硬さは、JIS Z 2244に規定された「ビッカース硬さ試験方法」で測定した。また、表面及び芯部の結晶粒度は、JIS G0551に規定された「鋼のオーステナイト結晶粒度測定方法」で測定した。さらに、表面の残留応力は、X線回折装置(理学電機株式会社製)で測定した。
なお、表1中の「熱処理1」とは、図3(a)に示す熱処理を指す。まず、真空炉内に部材を入れて均熱後、アセチレンガスを導入して500〜3000Pa程度に圧力制御を行いながら950〜1000℃に保持する(浸炭期)。その後、アセチレンを排気して真空(真空度:300Pa以下)にした炉内でさらに部材を保持し(拡散期)、浸炭期と合わせて20〜30時間の浸炭処理を行う。次に、放冷(又は焼入れ)を行う。次に、真空(真空度:300Pa以下)にした炉内で840〜860℃に0.5〜1時間保持した後に、オイルクエンチを行う。次に、焼き戻し処理として、大気中で160〜180℃に2時間保持した後、冷却する。
また、表1中の「熱処理2」とは、図3(b)で示す熱処理を指す。この処理は、図3(a)で示した「熱処理1」と、840〜860℃で0.5〜1時間保持する処理を真空中ではなくRXガスを導入して行う点のみが異なる。
さらに、表1中の「熱処理3」とは、図3(c)で示す熱処理を指す。まず、炉内に部材を入れて、RXガス及びエンリッチガスを導入して930〜960℃に保持することにより、浸炭処理を行う。すなわち、この処理では、浸炭期も拡散期も同じ雰囲気内で処理する。次に、放冷(又は焼入れ)を行う。次に、RXガスを導入して840〜860℃で0.5〜1時間保持した後に、オイルクエンチを行う。次に、焼き戻し処理として、大気中で160〜180℃に2時間保持した後、冷却する。
さらに、表1中の「熱処理3」とは、図3(c)で示す熱処理を指す。まず、炉内に部材を入れて、RXガス及びエンリッチガスを導入して930〜960℃に保持することにより、浸炭処理を行う。すなわち、この処理では、浸炭期も拡散期も同じ雰囲気内で処理する。次に、放冷(又は焼入れ)を行う。次に、RXガスを導入して840〜860℃で0.5〜1時間保持した後に、オイルクエンチを行う。次に、焼き戻し処理として、大気中で160〜180℃に2時間保持した後、冷却する。
なお、熱処理1〜3は、いずれも浸炭処理を行う場合について説明したものであるが、浸炭窒化処理を行う場合には、熱処理1、2では、拡散期の前の処理をアセチレン及びアンモニアを炉内に導入して浸炭窒化を行い、熱処理3では、RXガス、エンリッチガス及びアンモニアを炉内に導入して浸炭窒化を行う。
そして、同じ条件で作製した入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5を用いて完成させた各トロイダル型無段変速機を試験装置内に組み込み、以下に示す試験条件下で耐久試験を行った。なお、入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5以外の部材は全サンプルで同じものとした。特に、外輪9と転動体10の材料は、実施例1と同じにした。この耐久試験の結果は、入力ディスク2、出力ディスク3、パワーローラ5のいずれかに損傷(剥離又は疲労割れ)が発生するまでの時間で評価した。また、耐久試験は、1000時間で打ち切りとした。その結果を、表1に併せて示す。
そして、同じ条件で作製した入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5を用いて完成させた各トロイダル型無段変速機を試験装置内に組み込み、以下に示す試験条件下で耐久試験を行った。なお、入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5以外の部材は全サンプルで同じものとした。特に、外輪9と転動体10の材料は、実施例1と同じにした。この耐久試験の結果は、入力ディスク2、出力ディスク3、パワーローラ5のいずれかに損傷(剥離又は疲労割れ)が発生するまでの時間で評価した。また、耐久試験は、1000時間で打ち切りとした。その結果を、表1に併せて示す。
なお、この試験は、疲労限度以下の応力を加えて行っており、この試験で1000時間以上の寿命が得られれば、十分な超長寿命疲労破壊強度が得られると判断できる。また、表1中の破損状態を示す「A」は入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5のいずれにも破損が生じなかったものを示し、「B」はパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じたものを示し、「C」はパワーローラ5に割れが生じたものを示し、「D」は入力ディスク2に割れが生じたものを示す。
(試験条件)
試験機:ダイナモ耐久試験機
入力軸の回転速度:5000min-1
入力トルク:230Nm
使用オイル:トラクションオイル(入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5の各動力伝達面2a,3a、5aに対して供給)
供給油温:110℃
(試験条件)
試験機:ダイナモ耐久試験機
入力軸の回転速度:5000min-1
入力トルク:230Nm
使用オイル:トラクションオイル(入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5の各動力伝達面2a,3a、5aに対して供給)
供給油温:110℃
表1から分かるように、本発明の構成要件を全て満たす実施例1〜10では、いずれも1000時間以上の長寿命が得られた。
特に、熱処理後のHの含有率を0.01ppm以下とした実施例1〜5では、粒界酸化層が形成されず、熱処理後のHの含有率を0.03ppm以下とした実施例6〜10では、厚み5μm以下の粒界酸化層が形成されていた。
一方、比較例1では、鋼中のCの含有率が少なく、十分な表面硬さが得られていないため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例2では、鋼中のCの含有率が多く、且つ、真空浸炭窒化処理後の表面のNの含有率が多いことにより、パワーローラ5の動力伝達面5aの表面に巨大な炭窒化物が析出するため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
特に、熱処理後のHの含有率を0.01ppm以下とした実施例1〜5では、粒界酸化層が形成されず、熱処理後のHの含有率を0.03ppm以下とした実施例6〜10では、厚み5μm以下の粒界酸化層が形成されていた。
一方、比較例1では、鋼中のCの含有率が少なく、十分な表面硬さが得られていないため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例2では、鋼中のCの含有率が多く、且つ、真空浸炭窒化処理後の表面のNの含有率が多いことにより、パワーローラ5の動力伝達面5aの表面に巨大な炭窒化物が析出するため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例3では、鋼中のSiの含有率、Moの含有率及びNiの含有率が少なく、表面硬さが低いため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例4では、鋼中のMnの含有率が少なく、芯部の硬さが低いため、鋼材中の介在物を起点とする亀裂が発生し、短時間で入力ディスク2に割れが発生した。なお、割れの起点となった介在物の観察を行ったところ、介在物の周囲にはODAは観察されなかった。
比較例5では、鋼中のCrの含有率及びNiの含有率が少なく、表面硬さが低いため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例6では、鋼中のMoの含有率が多く、巨大なMo系炭化物が析出したため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例4では、鋼中のMnの含有率が少なく、芯部の硬さが低いため、鋼材中の介在物を起点とする亀裂が発生し、短時間で入力ディスク2に割れが発生した。なお、割れの起点となった介在物の観察を行ったところ、介在物の周囲にはODAは観察されなかった。
比較例5では、鋼中のCrの含有率及びNiの含有率が少なく、表面硬さが低いため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例6では、鋼中のMoの含有率が多く、巨大なMo系炭化物が析出したため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例7〜10では、鋼中のHの含有率が多く、粒界酸化層が15〜25μmとなっているため、短時間でパワーローラ5や入力ディスク2に割れが発生した。なお、割れの発生後、破断面を観察したところ、介在物の欠陥を起点とした内部破壊、いわゆるフィッシュアイが観察された。このフィッシュアイの中心部には、介在物が観察され且つ介在物の周囲にはODAが観察された。
比較例11では、表面の結晶粒度が小さいため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例12では、芯部の結晶粒度が小さいため、短時間でパワーローラ5に割れが発生した。
比較例13及び14では、表面の残留応力が大きすぎたり小さすぎたりするため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例11では、表面の結晶粒度が小さいため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
比較例12では、芯部の結晶粒度が小さいため、短時間でパワーローラ5に割れが発生した。
比較例13及び14では、表面の残留応力が大きすぎたり小さすぎたりするため、短時間でパワーローラ5の動力伝達面5aに剥離が生じた。
以上の結果より、トロイダル型無段変速機の入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ5を本発明の範囲を満たすものとすることにより、超長寿命疲労破壊強度を高くできることが分かった。
なお、本実施形態で示したハーフトロイダル型無段変速機の場合には、スラスト軸受20にも大きな力が加わるため、内輪として機能するパワーローラ5だけでなく、スラスト軸受20の外輪9及び転動体10についても、使用する鋼の組成、その転がり面の表面のCの含有率(又はCとNの含有率)、前記表面の硬さ、前記表面の残留応力、前記表面と芯部の結晶粒度、及び粒界酸化層の厚みを、本発明の入力ディスク等と同じ構成とすることが好ましい。
なお、本実施形態で示したハーフトロイダル型無段変速機の場合には、スラスト軸受20にも大きな力が加わるため、内輪として機能するパワーローラ5だけでなく、スラスト軸受20の外輪9及び転動体10についても、使用する鋼の組成、その転がり面の表面のCの含有率(又はCとNの含有率)、前記表面の硬さ、前記表面の残留応力、前記表面と芯部の結晶粒度、及び粒界酸化層の厚みを、本発明の入力ディスク等と同じ構成とすることが好ましい。
また、本実施形態では、トロイダル型無段変速機の一例として、シングルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限らず、その他のトロイダル型無段変速機に適用してもよい。例えば、図4に示すように、出力軸と連動する出力歯車4を介して二つのバリエータを備えた、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機に本発明を適用してもよい。
また、本発明は、入力ディスク及び出力ディスクの対向する内側面に形成される動力伝達面がフルトロイド状である、フルトロイダル型無段変速機に適用してもよい。
また、本発明は、入力ディスク及び出力ディスクの対向する内側面に形成される動力伝達面がフルトロイド状である、フルトロイダル型無段変速機に適用してもよい。
2 入力ディスク
3 出力ディスク
5 パワーローラ
3 出力ディスク
5 パワーローラ
Claims (2)
- 対向する内側面にそれぞれ断面円弧状の動力伝達面を有する入力ディスク及び出力ディスクと、前記入力ディスク及び出力ディスクの間に配置されて、前記動力伝達面に摺接する動力伝達面を有するパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラの少なくとも一つは、
Cの含有率が0.15〜0.5質量%、Siの含有率が0.1〜1.5質量%、Mnの含有率が0.1〜1.5質量%、Crの含有率が0.5〜3.0質量%、Mo及びNiの合計含有率が0.1〜3.0質量%、残部がFe及び不可避不純物であり、Oの含有率が9ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、真空浸炭処理を含む熱処理を施して得られ、前記動力伝達面の表面のCの含有率が0.8〜1.2質量%で、前記表面の硬さがHv680以上で、前記表面の残留応力が−200〜−1500MPaで、前記表面の結晶粒度が10以上で、芯部の結晶粒度が8以上で、粒界酸化層の厚みが5μm以下で、Hの含有率が0.03ppm以下となっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 対向する内側面にそれぞれ断面円弧状の動力伝達面を有する入力ディスク及び出力ディスクと、前記入力ディスク及び出力ディスクの間に配置されて、前記動力伝達面に摺接する動力伝達面を有するパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラの少なくとも一つは、
Cの含有率が0.15〜0.5質量%、Siの含有率が0.1〜1.5質量%、Mnの含有率が0.1〜1.5質量%、Crの含有率が0.5〜3.0質量%、Mo及びNiの合計含有率が0.1〜3.0質量%、残部がFe及び不可避不純物であり、Oの含有率が9ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、真空浸炭窒化処理を含む熱処理を施して得られ、前記動力伝達面の表面のCの含有率が0.8〜1.2質量%で、前記表面のNの含有率が0.05〜0.4質量%で、前記表面の硬さがHv680以上で、前記表面の残留応力が−200〜−1500MPaで、前記表面の結晶粒度が10以上で、芯部の結晶粒度が8以上で、粒界酸化層の厚みが5μm以下で、Hの含有率が0.03ppm以下となっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003405667A JP2005163956A (ja) | 2003-12-04 | 2003-12-04 | トロイダル型無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003405667A JP2005163956A (ja) | 2003-12-04 | 2003-12-04 | トロイダル型無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005163956A true JP2005163956A (ja) | 2005-06-23 |
Family
ID=34728271
Family Applications (1)
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JP2003405667A Pending JP2005163956A (ja) | 2003-12-04 | 2003-12-04 | トロイダル型無段変速機 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005163956A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102010052596B4 (de) * | 2009-11-25 | 2016-02-25 | Nsk Ltd. | Stufenloses Toroidgetriebe |
-
2003
- 2003-12-04 JP JP2003405667A patent/JP2005163956A/ja active Pending
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