JP2005162892A - 水性硬化性樹脂組成物及びその硬化皮膜よりなる積層体 - Google Patents

水性硬化性樹脂組成物及びその硬化皮膜よりなる積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、塩化水素ガスやダイオキシンを発生させず、得られる塗膜を着色させることなく、ガスバリア性及び耐水性に優れた塗膜を形成しうる水性硬化性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)水分散液又は水溶液の存在下で、(メタ)アクリル系単量体(A2)を重合させて得られるポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)水分散液又は水溶液、及び、前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の有する水酸基と反応しうる官能基を有する硬化剤(B)を含有してなる水性硬化性樹脂組成物に関するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性硬化性樹脂組成物に関し、該水性硬化性樹脂組成物用いて得られるガスバリア用塗料に関する。
食品や医薬品等を包装するのに用いられる包装材料には、その内容物の鮮度を保持し、変質・酸化を防止するという性能が求められている。具体的には、酸素及び水蒸気などの各種気体のガスバリア性という性能であり、とりわけ、酸素に対するバリア性が最も重要である。
従来、前記包装材料としては、強度、耐熱性、透明性などに優れるポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂が用いられていたが、かかる熱可塑性樹脂では、ガスバリア性が不十分であり、アルミニウム(箔)等をラミネートして得られるフィルムを包装材料として使用している。しかし、該包装材料は、アルミニウムでラミネートされていることにより、得られるフィルムが不透明で内容物が見えず、また、ピンホールの発生によりガスバリア性が低下するという欠点がある。
そこで、ガスバリア性の良好な材料として、ポリ塩化ビニリデン(以下「PVDC」と略記する。)やポリビニルアルコールが知られているが、特に、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と略記する。)を用いて得られるフィルムが、ガスバリア性に優れ、透明性などに優れることが報告されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、包装材料としてPVDCを用いて得られるフィルムは、廃棄後、焼却処分される際に塩化水素ガスやダイオキシンを発生させる可能性があり、その他の包装材料への置換が強く望まれている。また、PVAを用いて得られるフィルムは、相対湿度が50%を超える高湿度環境下では、そのガスバリア性が著しく低下するという大きな欠点がある。
この問題を解決する方法として、PVAとアクリル酸−無水マレイン酸共重合体の混合物を含有してなるガスバリアコート剤によれば、高湿度環境下であってもガスバリア性に優れるフィルムを形成できることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、前記ガスバリアコート剤を用いて得られるフィルムにガスバリア性を発現させるためには、前記ガスバリアコート剤を基材に塗布後、約200℃という高温で加熱することで、PVA分子同士をアクリル酸−無水マレイン酸共重合体で架橋反応させる必要があるが、かかる高温下での熱処理をすることで、得られるフィルムが着色するという問題が発生する。
特開平6−32924号公報 特開2002−194265号公報
本発明の課題は、塩化水素ガスやダイオキシンを発生させず、得られる塗膜を着色させることのない、ガスバリア性及び耐水性に優れた塗膜を形成しうる水性硬化性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、主剤樹脂としてポリビニルアルコール系重合体が側鎖に有する重合性二重結合に、(メタ)アクリル系単量体を重合させて得られるポリビニルアルコール系グラフト共重合体を使用すると、塗膜形成過程で高温での熱処理をせずともガスバリア性に優れた塗膜を形成でき、得られる塗膜を着色させず、且つ、耐水性にも優れた塗膜を形成できることを見出した。
即ち、本発明は、側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)水分散液又は水溶液の存在下で、(メタ)アクリル系単量体(A2)を重合させて得られるポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)水分散液又は水溶液、及び、前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の有する水酸基と反応しうる官能基を有する硬化剤(B)を含有してなる水性硬化性樹脂組成物に関するものであり、好ましくは、前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)中における(メタ)アクリル系単量体由来のセグメントの重量割合が、15〜85重量%であり、好ましくは、前記(メタ)アクリル系単量体(A2)が、シアノ基を有するものであり、好ましくは、前記した硬化剤(B)が、ポリアルデヒド化合物、N−メチロール基含有化合物、ポリイソシアネート化合物およびブロックポリイソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、本発明は、前記した水性硬化性樹脂組成物を含んでなるガスバリア用塗料に関するものである。
また、本発明は、前記水性硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化皮膜を有する積層体に関するものである。
本発明の水性硬化性樹脂組成物によれば、優れたガスバリア性と優れた耐水性を有する塗膜を着色させることなく形成できる。
はじめに、本発明で使用するポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)について説明する。
ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)は、例えば、前記した側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)の水分散液又は水溶液中に、(メタ)アクリル系単量体(A2)を一括又は別々に添加し、該重合性二重結合にこれらを重合させることで製造できる。
かかる側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)は、公知慣用の方法で製造できるが、例えば、ポリビニルアルコール系重合体(a1)(側鎖に重合性二重結合を含まないポリビニルアルコール系重合体を示す。)の有する水酸基と、該水酸基と反応する官能基及び重合性二重結合を併有する化合物(a2)とを反応させることで製造できる。
前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)は、公知の方法で製造できるが、例えば、ビニルエステル系単量体を重合させることでビニルエステル系重合体を製造し、次いで、得られたビニルエステル系重合体をケン化する方法で製造できる。
かかるビニルエステル系重合体の製造に使用できるビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミルスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられ、工業的には酢酸ビニルを使用することが好ましい。
また、前記ビニルエステル系重合体を製造するにあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ビニルエステル系単量体と共重合可能なその他のモノマーを併用してもよい。
かかるその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類などが挙げられる。
前記したビニルエステル系単量体及び必要に応じてその他のモノマーを使用してビニルエステル系重合体を製造する方法としては、例えば、塊状ラジカル重合法、有機溶剤中での溶液ラジカル重合法、非水分散ラジカル重合法、水性媒体中での懸濁重合法、水性媒体中での乳化重合法等の公知慣用の種々の方法が挙げられる。これらのうち、特に有機溶剤中での溶液ラジカル重合法が、簡便であり好ましい。
かかる有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族系または脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルの如き、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネート等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤中での溶液ラジカル重合法を適用する際には、重合開始剤を使用しても良く、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物類;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物類等が挙げられる。
かくして得られるビニルエステル系重合体の有するエステル結合をアルカリ触媒存在下で加水分解(ケン化)することにより、ポリビニルアルコール系重合体(a1)を製造することができる。その際に使用できるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート等が挙げられる。ケン化の際の反応温度は、通常10〜100℃の温度範囲で行えばよい。
前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)のケン化度は、70モル%以上であることが好ましく、80〜95モル%であることがより好ましい。かかる範囲に調整することで、十分なガスバリア性を有し、且つ、十分な安定性を有するポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)を形成することができる。
前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)の重合度は、特に制限はないが、作業性や安定性を考慮すると、通常100〜3000の範囲が好ましく、100〜2000の範囲内がより好ましく、100〜1000の範囲内が更に好ましい。
また、前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)として使用できる市販品としては、例えば、PVA−203(重合度300、ケン化度87.0〜89.0)、PVA−205(重合度500、ケン化度86.5〜89.0)、PVA−210(重合度1000、ケン化度87.0〜89.0)、PVA−405(重合度500、ケン化度80.0〜83.0)[(株)クラレ製]、JT−05(重合度500 ケン化度93.5〜94.5)[日本酢ビ・ポバール(株)製]等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)の有する水酸基と反応する官能基及び重合性二重結合を併有する化合物(a2)(以下、化合物(a2)と省略する。)としては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン等のアルデヒド基と重合性二重結合を併有する化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等のカルボキシル基と重合性二重結合を併有する化合物;無水イタコン酸、無水マレイン酸、等のカルボン酸無水基と重合性二重結合を併有する化合物;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のN−メチロールカルボン酸アミド基と重合性二重結合を併有する化合物;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチルカルボン酸アミド基と重合性二重結合を併有する化合物;ビニルジイソプロポキシシラノール、ビニルジ−tert−ブトキシシラノール等のシラノール基と重合性二重結合を併有する化合物;ビニルトリメトキシシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基と重合性二重結合を併有する化合物;グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基と重合性二重結合を併有する化合物;アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、2−イソシアナートエチルメタクリレート等のイソシアネート基と重合性二重結合を併有する化合物が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用してもよい。
前記したポリビニルアルコール系重合体(a1)及び前記した化合物(a2)の反応割合は、ポリビニルアルコール系重合体(a1)100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲内が好ましく、0.1〜10重量部の範囲内がより好ましい。かかる範囲に調整することで、ゲル化による不溶化を起こすことなく重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)を得ることができる。
前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)と化合物(a2)とを反応させ、側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)を製造する方法としては、公知慣用の種々の合成方法を適用できるが、例えば、水、水とアルコールの混合溶液またはジメチルスルホキシド中に、前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)と化合物(a2)とを一括又は別々に滴下してこれらを反応させる方法が好ましく、特に水中でこれらを反応させる方法が簡便で好ましい。
このとき、前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)の有する水酸基と、該水酸基と反応しうる官能基を有する化合物(a2)との反応を促進させるために、触媒を使用することができる。
かかる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムエトキシド等の各種金属のアルコキシド類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の各種4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとしてアセテート、プロピオネート等の各種のカルボキシレートあるいはクロライド、ブロマイド、ハイドロオキサイドなどのアニオンを有する、いわゆる4級アンモニウム塩類;
テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、であって、対アニオンとして、例えばアセテート、プロピオネート等のカルボキシレートあるいはクロライド、ブロマイド、ハイドロオキサイド等のホスホニウム塩類;
メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、燐酸、硫酸、塩酸等の酸性化合物類;前記した酸性化合物とアンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の含窒素塩基性化合物との塩類等が挙げられ、これらを単独使用又は2種以上併用できる。
前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)と前記化合物(a2)との反応に於ける反応条件は、前記ポリビニルアルコール系重合体(a1)と化合物(a2)の種類に応じて適宜設定する必要があるが、反応温度は20℃〜100℃の範囲内が好ましく、反応時間は0.1時間〜3時間程度が好ましい。
本発明で使用する、ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)は、前記した側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)の水分散液又は水溶液中に、後述する(メタ)アクリル系単量体(A2)の1種又は2種以上を一括又は別々に添加し、該重合性二重結合にこれらを重合させることで製造できる。
かかる(メタ)アクリル系単量体(A2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル系単量体が挙げられ、これらを単独又は2種以上併用して使用できる。なかでも(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドあるいは(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体を使用することが好ましく、特にシアノ基を有する(メタ)アクリル系単量体を使用することが、ガスバリア性に優れた硬化皮膜を得ることができる観点からより好ましい。
かかるシアノ基を有する(メタ)アクリル系単量体を使用する場合、使用する全(メタ)アクリル系単量体(A2)中のシアノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の重量割合が、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましい。
また、本発明で使用するポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)は、前記したポリビニルアルコール系重合体(A1)の重合性二重結合に、(メタ)アクリル系単量体(A2)だけでなく、本発明の目的を達成する範囲内で、その他の各種単量体を共重合させても良い。
かかるその他の単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸あるいはクロトン酸等の(メタ)アクリル酸以外のカルボキシル基含有モノマーと各種の1価アルコール類とのエステル;クロトノニトリル、クロトン酸アミドあるいはそのN−置換誘導体等のクロトン酸の誘導体;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;前記ビニルエステル系重合体を製造する際に使用できるものとして記載した各種のビニルエステル単量体、ブタジエン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、イソプレン、前記した化合物(a2)等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)中における、前記(メタ)アクリル系単量体(A2)由来のセグメントの割合は、15〜85重量%の範囲が好ましく、25〜75重量%の範囲がより好ましい。かかる範囲に調整することで、十分なガスバリア性及び耐水性を有する硬化皮膜を形成することができる。
本発明で使用するポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)は、例えば、前記した側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)の水分散液又は水溶液中に、(メタ)アクリル系単量体(A2)の1種又は2種以上を一括又は別々に添加し、該重合性二重結合にこれらを重合させることで製造できるが、その際の重合方法としては、例えば、懸濁重合法または乳化重合法等を適用でき、乳化重合法を適用することが好ましい。
前記乳化重合法としては、例えば、前記した側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)の水分散液又は水溶液中に、乳化剤及び前記した(メタ)アクリル系単量体(A2)の1種又は2種以上を一括又は別々に添加する方法が挙げられる。
かかる乳化剤としては、公知慣用の乳化剤を使用することができ、例えば、ラウリル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ等の陰イオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン性乳化剤;ラウリルピリジニウムクロライド等の陽イオン性乳化剤;エチレン性不飽和二重結合を有する乳化剤;さらにはヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子物質等が挙げられる。
また、前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)を製造する際には、重合開始剤を使用しても良く、かかる重合開始剤としては、例えば、前記ビニルエステル系重合体を製造する際に使用できるものとして例示した各種のアゾ系および有機過酸化物系化合物と同様のものを使用することができ、更には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等も使用することができる。
前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)を製造する際の反応条件は、側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)、(メタ)アクリル系単量体(A2)および重合開始剤の種類に応じて適宜設定する必要があるが、反応温度は20℃〜100℃であることが好ましく、反応時間は1時間〜10時間程度が好ましい。
次に本発明で使用する硬化剤(B)について説明する。
本発明で使用する硬化剤は、前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の有する水酸基と反応しうる官能基を有する硬化剤(B)(以下、硬化剤(B)と省略する。)であり、例えば、ポリカルボキシ化合物、カルボン酸無水基含有化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、ポリアセタール化合物、ポリケタール化合物、ポリケトン化合物、ポリアルデヒド化合物、N−アルコキシメチルアミノ基を含有する化合物、N−メチロール基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上併用しても良い。これらのうち、得られる塗膜の硬化性の観点からポリアルデヒド化合物、N−メチロール基含有化合物およびポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
前記ポリアルデヒド化合物とは、1分子中に2個以上のアルデヒド基を有する化合物を指称し、その具体例としてはグリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。
ポリアルデヒド化合物を硬化剤(B)として使用する場合は、[ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の有する水酸基]/(アルデヒド基)のモル比が、1/5〜5/1の範囲が好ましく、1/3〜3/1の範囲内がより好ましく、1/2〜2/1なる範囲内がさらに好ましい。かかる範囲に調整することで、十分なガスバリア性及び耐水性を有する硬化皮膜を得ることができる。
また、前記N−メチロール基含有化合物としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、または、これらの共縮合物が挙げられ、N−メチロール基の一部分がメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等のアルコール類によりアルキルエーテル化したものも使用できる。
N−メチロール基含有化合物を硬化剤(B)として使用する場合は、[ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)]/(N−メチロール基含有化合物)なる重量比が、97/3〜60/40の範囲の範囲が好ましく、95/5〜70/30の範囲内がより好ましい。かかる範囲に調整することで、十分なガスバリア性及び耐水性を有する硬化皮膜を得ることができる。
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類;4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水素化MDI)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、前記したジイソシアネート類を変性したもの等が挙げられる。
前記したジイソシアネート類を変性したものとしては、例えば、イソシアネート化合物をトリメチロールプロパン等のポリオールで変性したアダクト型;ポリイソシアネートを水と反応させて得られるビュレット型;イソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート型等が挙げられる。
また、前記したポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基をアルコール類、フェノール類、オキシム類、活性メチレン化合物等のブロック剤でブロックして得られる各種のブロックポリイソシアネート化合物も、硬化剤(B)として使用することができる。
前記したポリイソシアネート化合物やブロックポリイソシアネート化合物を硬化剤(B)として使用する場合は、[ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の有する水酸基]/(イソシアネート基またはブロックイソシアネート基)なるモル比が、1/5〜5/1の範囲が好ましく、1/3〜3/1の範囲内がより好ましく、1/2〜2/1の範囲内が更に好ましい。かかる範囲に調整することで、十分なガスバリア性及び耐水性を有する硬化皮膜を得ることができる。
次に、本発明の水性硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明の水性硬化性樹脂組成物は、水性媒体中に前記したポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)及び前記した硬化剤(B)が分散又は溶解したものである。
かかる水性媒体としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンやこれらと水との混合物が挙げられるが、水が60重量%以上であることが好ましい。
本発明の水性硬化性樹脂組成物は、例えば、ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の水分散液又は水溶液と、前記硬化剤(B)の水分散液又は水溶液とを混合し撹拌する方法や、ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の水分散液又は水溶液に、前記硬化剤(B)の固形分を添加し撹拌する方法で製造することができる。
本発明の水性硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を達成する範囲内において、公知慣用のその他の各種樹脂を混合して使用でき、例えば、本発明で使用できるポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)以外のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等が挙げられる。
また、本発明の水性硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤等を添加することができる。
前期粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト、等が挙げられる。
本発明の水性硬化性樹脂組成物は、主に優れたガスバリア性を要求される用途において、ガスバリア用塗料として好適に使用できる。前記水性硬化性樹脂組成物を含んでなるガスバリア用塗料を塗布できる基材としては、例えば、プラスチック基材が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ナイロン1、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンMX−Dなどのポリアミド類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系重合体;ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体等のアクリル系重合体;さらには、ポリカーボネート等が挙げられる。
これらのプラスチック基材は単層でもよいし、2層以上の積層であってもよい。また、これらのプラスチック基材が、未延伸、一軸延伸、二軸延伸されているものであってもよい。
前記プラスチック基材の形状としては、特に制限がなく、例えば、シート状、板状、または、ボトル状やカップ状にあらかじめ成型されたものでもよい。
また、前記したプラスチック基材には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、公知の帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤等の公知の添加剤を配合してもよい。
前記プラスチック基材には、本発明の水性硬化性樹脂組成物との密着性を更に向上させるために、基材表面に公知の表面処理を施してもよく、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせた処理を行ってもよい。
本発明の水性硬化性樹脂組成物を含んでなるガスバリア用塗料を前記基材の表面に塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ブラシ塗布法、ローラ塗布法、静電塗布法、遠心塗布法等の公知の方法が挙げられる。塗布は、一回で行っても、或いは二回以上の多段階塗布で行ってもよい。さらに、基材の片面、あるいは両面のどちらでもよい。塗布後、例えば、室温で1日〜10日間程度、あるいは、80℃〜200℃の温度で1秒〜2時間程度乾燥させることにより、着色することなく、硬化皮膜を得ることができる。
本発明の水性硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化皮膜の膜厚は特に制限はないが、通常、0.1〜40μmの範囲内が好ましい。
上述のように、本発明の水性硬化性樹脂組成物を含んでなるガスバリア用塗料を前記したプラスチック基材表面上に塗布した後、常温乾燥あるいは加熱硬化することにより、本発明の積層体を得ることができる。
本発明の水性硬化性樹脂組成物は、前記したガスバリア性を求められる用途以外であっても塗料として使用することができ、また、接着剤、シーリング剤、含浸処理剤等の各種の用途に使用することもできる。かかる場合に使用できる基材としては、前記した各種のプラスチック基材に加えて各種の金属基材、無機質基材、紙あるいは木質系基材等が挙げられる。
かかる金属基材としては、例えば、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛等の金属類;ステンレススチール等の合金類;前記した各種の金属類であって、メッキや化成処理が施された各種の表面処理金属類が挙げられる。
また、無機質基材としては、セメント系、珪酸カルシウム等の珪酸塩系、石膏系あるいはセラミックス系等で代表される無機質の材料を主とするものであり、例えば、現場施工(湿式)基材として、打放しコンクリート、セメントモルタル、石膏プラスター、ドロマイトプラスターあるいは漆喰等が挙げられ、現場生産品(乾式)基材として、軽量気泡コンクリート(ALC)、石綿セメント、ガラス繊維強化の珪酸カルシウム、石膏ボード、タイル等の各種の粘土の焼成物あるいはガラス等が挙げられる。
上述のように、本発明の水性硬化性樹脂組成物を前記した各種基材表面上に塗布した後、常温乾燥あるいは加熱硬化させることにより、本発明の積層体を得ることができる。
以下本発明の理解を容易にするため、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、各例中の部及び%は重量基準によるものである。
(参考合成例1)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管および窒素ガス導入口を備えた反応容器に脱イオン水757.5部、ポリビニルアルコール[(株)クラレ製:PVA−205 重合度500 ケン化度88.0%]100部を仕込んで、窒素ガス気流下に攪拌しながら90℃に昇温し2時間保持した。室温まで冷却した後、10%リン酸水溶液20部を添加し、次いで、N−メチロールアクリルアミド(N−MAM)3部を添加し40℃に昇温し1時間保持した。窒素ガスを10分間液面下に吹き込んだ後、予め調製したアクリロニトリル(AN)87.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)9.8部から成るモノマー混合物の38.8部を添加し70℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム(APS)の2%水溶液20部を4時間で滴下し、滴下開始1時間後からモノマー混合物の残り全量を2時間で並行して添加した。APSの2%水溶液の滴下終了後、直ちにAPSの10%水溶液2.5部を添加し、されに2時間攪拌してポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−1)の水分散体(不揮発分は19.4%)を得た。
(参考合成例2)
モノマー混合物として、ANの87.2部、HEMAの9.8部に代えてメチルメタクリレート(MMA)の48.5部、ANの48.5部を使用する以外は参考合成例1と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−2)の水分散体(不揮発分は19.8%)を得た。
(参考合成例3)
参考合成例1と同様の反応容器に脱イオン水757.5部、ポリビニルアルコール[(株)クラレ製:PVA−205 重合度500 ケン化度88.0%]100部を仕込んで、窒素ガス気流下に攪拌しながら90℃に昇温し2時間保持した。室温まで冷却した後、10%リン酸水溶液20部を添加し、次いで、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)5部を添加し40℃に昇温し1時間保持した。窒素ガスを10分間液面下に吹き込んだ後、予め調製したMMA85.5部、HEMA9.5部から成るモノマー混合物の38部を添加し70℃に昇温した。次いで、APSの2%水溶液20部を4時間で滴下し、滴下開始1時間後からモノマー混合物の残り全量を2時間で並行して添加した。APSの2%水溶液の滴下終了後、直ちにAPSの10%水溶液2.5部を添加し、さらに2時間攪拌しポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−3)の水分散体(不揮発分は19.5%)を得た。
(参考合成例4)
モノマー混合物として、MMAの85.5部、HEMAの9.5部に代えてANの80部、アクリル酸(AA)の15部を使用する以外は参考合成例3と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−4)の水分散体(不揮発分は19.6%)を得た。
(参考合成例5)
参考合成例1と同様の反応容器に脱イオン水756.3部、ポリビニルアルコール[(株)クラレ製:PVA−205 重合度500 ケン化度88.0%]50部を仕込んで、窒素ガス気流下に攪拌しながら90℃に昇温し2時間保持した。室温まで冷却した後、10%リン酸水溶液10部を添加し、次いで、N−MAM2部を添加し40℃に昇温し1時間保持した。窒素ガスを10分間液面下に吹き込んだ後、予め調製したMMA74部、AN74部から成るモノマー混合物の59.2部を添加し、70℃に昇温した。APSの2%水溶液30部を4時間で滴下し、滴下開始1時間後からモノマー混合物の残り全量を2時間で並行して添加した。APSの2%水溶液の滴下終了後、直ちにAPSの10%水溶液3.7部を添加し、さらに2時間攪拌しポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−5)の水分散体(不揮発分は19.8%)を得た。
(参考合成例6)
参考合成例1と同様の反応容器に脱イオン水758.7部、ポリビニルアルコール[(株)クラレ製:PVA−205 重合度500 ケン化度88.0%]150部を仕込んで、窒素ガス気流下に攪拌しながら90℃に昇温し2時間保持した。室温まで冷却した後、10%リン酸水溶液30部を添加し、次いで、N−MAM6部を添加し40℃に昇温し1時間保持した。窒素ガスを10分間液面下に吹き込んだ後、予め調製したMMA22部、HEMA22部から成るモノマー混合物の17.6部を添加し、70℃に昇温した。APSの2%水溶液10部を4時間で滴下し、滴下開始1時間後からモノマー混合物の残り全量を2時間で並行して添加した。APSの2%水溶液の滴下終了後、直ちにAPSの10%水溶液1.7部を添加し、さらに2時間攪拌しポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−6)の水分散体(不揮発分は19.2%)を得た。
(参考合成例7)
モノマー混合物として、MMAの74部、ANの74部に代えてANの134部、HEMAの14部を使用する以外は参考合成例5と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−7)の水分散体(不揮発分は19.9%)を得た。
(参考合成例8)
モノマー混合物として、MMAの22部、HEMAの22部に代えてMMAの35部、AAの9部を使用する以外は参考合成例6と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−8)の水分散体(不揮発分は19.6%)を得た。
(参考合成例9)
ポリビニルアルコールとして、(株)クラレ製PVA−205(重合度500 ケン化度88.0%)の100部に代えて(株)クラレ製PVA−203(重合度300 ケン化度88.0%)の100部を使用する以外は参考合成例1と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−9)の水分散体(不揮発分は19.7%)を得た。
(参考合成例10)
ポリビニルアルコールとして、(株)クラレ製PVA−205(重合度500 ケン化度88.0%)の100部に代えて(株)クラレ製PVA−210(重合度1000 ケン化度88.0%)の100部を使用する以外は参考合成例1と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−10)の水分散体(不揮発分は19.6%)を得た。
(参考合成例11)
ポリビニルアルコールとして、(株)クラレ製PVA−205(重合度500 ケン化度88.0%)の100部に代えて(株)クラレ製PVA−405(重合度500 ケン化度82.0%)の100部を使用する以外は参考合成例1と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−11)の水分散体(不揮発分は19.7%)を得た。
(参考合成例12)
ポリビニルアルコールとして、(株)クラレ製PVA−205(重合度500 ケン化度88.0%)の100部に代えて日本酢ビ・ポバール(株)製JT−05(重合度500 ケン化度94.0%)の100部を使用する以外は参考合成例1と同様に重合操作を行ってポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−12)の水分散体(不揮発分は19.5%)を得た。
参考合成例1〜12について、表1にまとめる。
Figure 2005162892
重量割合1:[ポリビニルアルコール系重合体(a1)]/[水酸基と反応しうる官能基及び重合性二重結合を併有する化合物(a2)+(メタ)アクリル系単量体(A2)]の重量割合を示す。
第1表に於ける、略号は以下を表す。
N−MAM:N−メチロールアクリルアミド
AN:アクリロニトリル
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MPTS:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
AA:アクリル酸
(実施例1)
参考合成例1で得たポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−1)の水分散体100部、グリオキザールの40重量%水溶液13部、1N塩酸水溶液2部、シリコーン系添加剤(ポリシロキサン系消泡剤 BYK−020 ビックケミー・ジャパン(株)製)0.1部、イオン交換水10部を混合後、よく撹拌し、ガスバリア用塗料組成物を得た。このガスバリア用塗料組成物を2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み25μm)に塗布し、100℃の5分で乾燥し、硬化皮膜を有するPETフィルムを得た。このときの硬化皮膜の厚みは4μmであった。
得られた硬化皮膜の評価は、以下の方法により実施した。
酸素バリア性(JIS K7126 プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法に準拠):酸素透過率測定装置 OX−TRAN 2/20(MOCON社製)を用いて測定した。(温度20℃、相対湿度85%) 硬化皮膜の酸素透過係数は以下の式により算出した。
1/P=1/P+d/P
:硬化皮膜を有するPETフィルムの酸素透過度
(ml/m・day・MPa)
:基材フィルム(2軸延伸PETフィルム)の酸素透過度
(ml/m・day・MPa)
:硬化皮膜の酸素透過度係数(ml・μm/m・day・MPa)
d:硬化皮膜の厚み(μm)
尚、基材として用いた2軸延伸PETフィルム(厚み25μm)の酸素透過度(P)は438ml/m・day・MPaであった。
塗膜外観:硬化皮膜の状態を観察し、着色していないものを(○)、着色のみられるものを(×)として判定した。
耐水性評価:硬化皮膜を有するPETフィルムを100℃の10分で煮沸処理した後、硬化皮膜の状態を観察し、異常の無いものを(○)、剥離のみられるものを(×)として判定した。
(実施例2〜12)
第2表に示した配合にてガスバリア用塗料組成物を調製し、実施例1と同様にして硬化皮膜を得た。
(実施例13)
参考合成例2で得たポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−2)の水分散体100部、メラミン樹脂[商品名;ウォーターゾールS−695 大日本インキ化学工業(株)製]10部、シリコーン系添加剤[ポリシロキサン系消泡剤 BYK−020 ビックケミー・ジャパン(株)製]0.1部、イオン交換水10部を混合後、よく撹拌しガスバリア用塗料組成物を得た。このガスバリア用塗料組成物を2軸延伸PETフィルム(厚み25μm)に塗布し、150℃の5分で乾燥し、硬化皮膜を得た。
(実施例14〜15)
第2表に示した配合にてガスバリア用塗料組成物を調製し、実施例13と同様にして硬化皮膜を得た。
(実施例16)
参考合成例1で得たポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A−1)の水分散体100部、水分散型ポリイソシアネート樹脂[商品名;バーノックDNW−5100 大日本インキ化学工業(株)製 不揮発分80.0%、イソシアネート含有率13.5%]10部、シリコーン系添加剤[ポリシロキサン系消泡剤 BYK−020 ビックケミー・ジャパン(株)製]0.1部、イオン交換水10部を混合後、よく撹拌しガスバリア用塗料組成物を得た。このガスバリア用塗料組成物を2軸延伸PETフィルム(厚み25μm)に塗布し、110℃の5分で乾燥した後、25℃で24時間エージングして硬化皮膜を得た。
(実施例17〜18)
第2表に示した配合にてガスバリア用塗料組成物を調製し、実施例16と同様にして硬化皮膜を得た。
(比較例1)
ポリビニルアルコール[商品名;PVA−205 (株)クラレ製 重合度500 ケン化度88.0モル%:表2中で「X−1」と表示]の15重量%水溶液100部、グリオキザールの40重量%水溶液25部、1N塩酸水溶液2部、シリコーン系添加剤[ポリシロキサン系消泡剤 BYK−020 ビックケミー・ジャパン(株)製]0.1部を混合後、よく撹拌しコーティング液を得た。このコーティング液を2軸延伸PETフィルム(厚み25μm)に塗布し、100℃の5分で乾燥し、硬化皮膜を得た。
(比較例2)
ポリビニルアルコール[商品名;PVA−205 (株)クラレ製 重合度500 ケン化度88.0モル%]の20重量%水溶液100部に、予めアクリル酸−マレイン酸共重合体(Aldrich製、樹脂濃度50重量%、重量平均分子量3000)の20重量%水溶液233部と水酸化ナトリウムの20重量%水溶液13部を混合したものを加えて、よく撹拌し塗料組成物を得た。この塗料組成物を2軸延伸PETフィルム(厚み25μm)に塗布し、110℃の5分で乾燥した後、205℃の1分で乾燥し、硬化皮膜を得た。
上記実施例、及び比較例の配合を表2に、硬化皮膜を有するPETフィルムの酸素透過度、硬化皮膜の酸素透過度係数、硬化皮膜の外観及び耐水性の測定結果を表3に示す。
Figure 2005162892
第2表における「配合割合1」は、(A−1〜12、X−1の水分散体又は水溶液)/[硬化剤(B)]の重量比を示す。
Figure 2005162892
第3表に於ける略号は以下を示す。
d:硬化皮膜の厚み(μm)
:硬化皮膜を有するPETフィルムの酸素透過度
(ml/m・day・MPa)
:硬化皮膜の酸素透過度係数(ml・μm/m・day・MPa)


Claims (7)

  1. 側鎖に重合性二重結合を有するポリビニルアルコール系重合体(A1)水分散液又は水溶液の存在下で、(メタ)アクリル系単量体(A2)を重合させて得られるポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)水分散液又は水溶液、及び、前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)の有する水酸基と反応しうる官能基を有する硬化剤(B)を含有してなる水性硬化性樹脂組成物。
  2. 前記ポリビニルアルコール系グラフト共重合体(A)中における前記(メタ)アクリル系単量体(A2)由来のセグメントの重量割合が、15〜85重量%である請求項1に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系単量体(A2)が、シアノ基を有するものである請求項1又は2に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  4. 前記した硬化剤(B)が、ポリアルデヒド化合物、N−メチロール基含有化合物、ポリイソシアネート化合物およびブロックポリイソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の水性硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ポリアルデヒド化合物が、グリオキザールである、請求項4に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水性硬化性樹脂組成物を含んでなるガスバリア用塗料。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の水性硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化皮膜を有する積層体。
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