JP2005161315A - 汚染物質の処理方法 - Google Patents

汚染物質の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005161315A
JP2005161315A JP2005023686A JP2005023686A JP2005161315A JP 2005161315 A JP2005161315 A JP 2005161315A JP 2005023686 A JP2005023686 A JP 2005023686A JP 2005023686 A JP2005023686 A JP 2005023686A JP 2005161315 A JP2005161315 A JP 2005161315A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
contaminant
gas
carbon particles
pollutants
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005023686A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Gotanda
武志 五反田
Tomoko Yoshikawa
智子 吉川
Tomohiro Todoroki
朋浩 轟木
Hajime Nako
肇 名古
Yoshio Hanakada
佳男 羽中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2005023686A priority Critical patent/JP2005161315A/ja
Publication of JP2005161315A publication Critical patent/JP2005161315A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

【課題】 汚染物質を漏洩させることなく、費用及び労力が低減され、効率よく汚染土壌を浄化できる土壌の汚染物質の処理方法を提供する。
【解決手段】 土壌を加熱して土壌に含まれる汚染物質及び有機炭素化合物を気化する気化し、気化した汚染物質及び有機炭素化合物を含むガスを低酸素雰囲気中で加熱して有機炭素化合物を炭化し炭素粒子を生成して、炭素粒子を収集して炭素に吸着される汚染物質を回収する。あるいは、土壌を加熱して土壌に含まれる汚染物質を気化し、気化した汚染物質を冷却して凝縮液を得、凝縮液から汚染物質を除去する。汚染物質の除去では、凝縮液の親水性相と親油性相とを分液し、分液した親水性相に含まれるダストを分離し、親水性相を分離膜を通して親水性相から汚染物質を除去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、土壌を汚染する汚染物質の処理方法に関し、特に、汚染物質の回収不完全や処理システムからの漏出等を防止して高い確度で汚染物質の回収・処理を行うことができる土壌の汚染物質の処理方法に関する。
近年、有害物質による土壌汚染が深刻な問題となっている。汚染物質の例としては、カドミウム、全シアン、有機隣、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、PCB、銅、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、ダイオキシン(DXN)類等の生体に有害な物質や、油などの毒性は低くても土壌の利用を困難にする物質などがある。特に、低濃度でも有害性の高いDXN類やPCB類による土壌汚染が数多く発見され、深刻な問題となっている。
従来、汚染物質を土壌から除去するには、焼却炉やセメントキルンなどを利用して高温によって土壌の汚染物質をガス化すると同時に燃焼分解してしまうことが多かった。この場合、燃焼分解後の燃焼ガスはそのまま煙突から排気する。燃焼による分解は安価に実施できる方法であるが、安定的に分解能力を維持することは非常に困難であるため、安定した分解能力を得るためには大量に燃料を投入して燃焼状態を安定させる必要が生じ、かえって安価であるというメリットを損なう。
そこで、土壌を加熱してガス化した汚染物質を燃焼分解せずに、土壌から分離した後一旦回収する方法が提案されており、土壌から回収される汚染物質は、回収状況に応じて種々の公知分解技術を用いて分解処理することになる。
しかし、上記の汚染物質を回収する方法においては、土壌から分離した汚染物質ガスを処理装置外に漏洩させないために、汚染物質を確実に回収する必要がある。このため、活性炭及びその他の特殊な捕集剤や添加剤(以下、薬剤と総称する)が用いられている。しかし、これらの薬剤等の使用による処理は費用の増大を招いている。また、これらの薬剤の吸着効率等は、汚染物質との接触時間が長いほど向上するため、実際の処理装置は、薬剤を有効に作用させるために必然的に大きくなり、装置構造も複雑になる。更に、処理装置から放出する排気または排水の汚染物質濃度を環境基準以下にするために十分な処理が必要となるが、処理労力や費用の増大が問題となり、処理手順を効率的に構成して処理労力や費用を低減することが強く望まれていた。
また、DXN類及びPCB類は土壌汚染の問題以前から有害物質として注目され、数多くの分解技術が提案されているが、汚染物質を分離・回収する際に従来使用されているキレート剤などの捕集剤は、汚染物質の分解を阻害することが多い。従って、分解技術を土壌浄化に適用する場合には、回収した汚染物質から分解を阻害する捕集剤を分離する必要があり、手間がかかる。このため、分解を阻害するような捕集剤を外部から添加することなく汚染物質を回収できる土壌の汚染物質の処理方法が望まれている。
本発明は、処理装置から汚染物質を漏洩させることなく効率よく汚染土壌の浄化処理ができ、浄化処理の費用及び労力の低減が可能な効率的な汚染物質の処理が行える土壌の汚染物質の処理方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様によれば、汚染物質の処理方法は、土壌に含まれる汚染物質及び有機炭素化合物を気化する気化工程と、気化した前記汚染物質及び前記有機炭素化合物を含むガスを低酸素雰囲気中で加熱して前記有機炭素化合物を炭化し炭素粒子を生成する炭化工程と、前記炭素粒子と共に前記炭素粒子に吸着される前記汚染物質を回収する回収工程とを有することを要旨とする。
本発明は土壌を加熱することによって汚染物質をガス化分離する土壌の浄化において、土壌が含む有機物を利用して炭素粉末を製造することにより、簡便で安価、さらに効率の高い汚染物質の捕集方法を提供できる。
本発明は土壌を加熱することによって汚染物質をガス化分離する土壌の浄化方法において、発生する水蒸気と汚染物質が混在するガスを凝縮回収した凝縮液に含む汚染物質を、捕集剤を用いずに分離回収濃縮できるため、汚染物質の分解手段にそのまま供することが可能となる。
汚染土壌の加熱によって土壌から汚染物質を気化分離すると、これと共に土壌中の有機炭素化合物も気化する。気化したガスを有機炭素化合物が炭化するような条件下で加熱すると炭素粒子が生じて汚染物質の吸着剤として作用し、炭素粒子を回収することによって吸着された汚染物質がいっしょに回収される。加熱温度に応じて汚染物質の分解が進行し、炭素粒子は分解の触媒として作用して分解を促進するので、処理後の排気及び排水から汚染物質を十分に除去することができる。汚染物質及び有機炭素化合物の気化において、汚染土壌は好ましくは約400℃以上且つ約600℃以下に加熱し、有機炭素化合物の炭化では、発生した汚染物質及び有機炭素化合物を含むガスを低酸素環境下で約700℃以上、好ましくは約800℃以上且つ約1200℃以下の温度に加熱し、有機炭素化合物の炭化により炭素粒子を生じる。この炭素粒子を約200℃以下に冷却して収集することにより、雰囲気中の汚染物質を十分に取り込んだ炭素粒子が回収される。このようにして、汚染物質の漏洩・再排出が最大限に防止された土壌浄化が安価な費用で実施できる。
以下、本発明の土壌処理を詳細に説明する。
本発明の土壌処理における被処理対象となる汚染物質は、加熱又は減圧によって気化(または昇華)する生体または環境上有害な有機化合物及び金属類であり、特に、実用の点から、400℃の加熱または真空によって蒸発する物質が被処理対象として適している。有機化合物としては、例えば、PCB、ダイオキシン(DXN)類、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの人体に有害な化合物が挙げられ、金属類としては、例えば、カドミウム、燐、鉛、クロム、砒素、水銀、セレンなどが挙げられるが、特にこれらの物質に限定するものではなく、上述のような気化可能な汚染物質を含んだ土壌について浄化つまり汚染物質の除去を行うことができる。
本発明では、樹木、草花、動植物の死骸や糞などの土壌に含まれる有機物を炭素源として利用して汚染物質の処理を行うことができる。従って、処理を施す土壌は、炭化条件で炭素を生じる有機炭素化合物を含んだ土壌であればよい。つまり、陸地を構成する岩石が砕けて細粒となったものに生物遺体またはその分解物などが混じった土壌を特に限定することなく処理することができる。例えば、農耕地、園芸場や山間部に多い有機物(腐植土)を多く含む土壌;道路、宅地、工場などの比較的腐植土の少ない土壌などが挙げられ、また、湖、海、川などの水底の構成物質である底質や、前述のいずれかのものが混入した汚泥なども含まれる。また、有機炭素化合物は、上記のような土壌に天然に含まれるものに限らず、人為的に土壌に加えられたものでもよく、例えば、土壌の汚染物質が人体に特に有害ではない油脂類等の有機化合物を含む場合には、このような有機化合物が炭化における炭素源となる。尚、水分を含む土壌は、汚染物質の気化において水蒸気を発生し、有機化合物の炭化において生じる炭素粒子表面において残留する炭化水素を水蒸気により除去して炭素粒子を付活して吸着能の高い活性炭を生成するので、本発明において有利である。
土壌から汚染物質を気化分離するための気化手段は、土壌を加熱することにより汚染物質を気化して土壌から除去可能な手段であれば特に限定されず、例えば、キルン炉、流動床炉、真空加熱炉などのような加熱炉が挙げられる。このような加熱炉を気化手段として汚染土壌を投入し加熱して汚染物質を気化することにより、土壌中の有機炭素化合物及び水分も共に気化する。汚染物質の気化に必要な加熱温度は雰囲気圧によって変化し、常圧においては概して400℃程度以上であればよい。
汚染物質の気化自体は有酸素雰囲気中で行うことができるが、この段階において、低酸素雰囲気中で高温に加熱すると、汚染物質等のガス化と同時に有機物の熱分解反応が起こって分子量100〜3000程度の高分子量の成分が発生する。つまり、吸着剤として利用する炭素粒子の生成に好適な分子量の高い成分を発生させることができる。このような熱分解を起こすには、加熱する温度は150℃以上、好ましくは400℃以上とし、温度が高い程熱分解が進行するが、600℃を越えると高分子量成分の発生量が著しく低下し、エネルギー効率上からも好ましくない。また、発生した高分子量ガスは酸素によって分解するので、上記のような高分子量成分を得るためには、雰囲気の酸素濃度は低いことが必要であり、気化手段の出口における酸素濃度は5vol%(容積比)以下、好ましくは0%であることが重要である。
土壌から気化した汚染物質及び有機炭素化合物を含んだ被処理ガスは、前述のように気化条件によって高分子量成分を含み、更に、土壌の状態に依って、土壌に含まれる水分、及び、ガス流にのって土壌の一部が飛散した細粒分(約75μm未満)を主とした鉱物粒子を含む。このような被処理ガスは低酸素雰囲気(酸素濃度:5vol%以下)中でさらに高温に加熱して有機炭素化合物を炭化する。炭化を進行させるための加熱温度は800℃以上、好ましくは1000℃以上が好適である。但し、これより高温になると炭素粒子の生成効率が低下するので、具体的には1200℃以下が好ましい。この温度においては汚染物質の分解反応も進行する。また、生成した炭素粒子は、汚染物質の分解反応、特にハロゲン化合物の脱ハロゲン反応に対して触媒作用を有し、汚染物質の分解が進行する。土壌の汚染物質に対する有機炭素化合物の割合が約1/1以上であれば、炭素粒子による効果は顕著に得られる。
ガスを高温に加熱する方法には、ヒーターによって加熱する方式、バーナーを用いた間接加熱方式、熱交換器を利用した高温の熱媒体によって被処理ガスを間接加熱する方式や、あらかじめ高温に加熱した気体媒体を被処理ガスと混合して加熱する方式、被処理ガスまたはこれに含まれる成分との接触により発熱反応を起こす反応剤を用いる方式などがあるが、被処理ガスを高温に加熱できる手段であれば特に限定されない。但し、余熱した高温水蒸気を投入する方式は、土壌由来の水の効果を補うことができる点で特に有効である。つまり、加熱した被処理ガス中の高分子量成分が熱分解により低分子化して固体炭素が析出するときに、水蒸気が炭素表面に残留した炭化水素を除去し、炭素粒子を付加して有害物質を捕集する能力を高める。土壌に含有する水分量だけで十分な場合には、水蒸気による加熱方式を用いる必要はなく、間接加熱等の前述した方式によって好適に実施することができ、必要に応じて被処理ガスに加水すればよい。
加熱による炭化終了後の被処理ガスは冷却し、炭素粒子の収集は約200℃以下の温度で行う。冷却過程中に、炭素粒子が汚染物質を吸着・捕集するのに適した温度に達し、被処理ガス中に残存する汚染物質を十分に吸着する。被処理ガスの冷却温度が水の沸点以上であれば、炭素粒子の収集は乾式で行うことができ、水の沸点未満であれば、水分が凝縮するので湿式での収集となる。
収集手段としては、バグフィルターや湿式分離膜などの、炭素粒子を被処理ガスから分離できる濾材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ガスから濾別される炭素粒子を濾材表面に堆積させて層を形成すると、炭素粒子自体もフィルタを構成し、よりいっそうの収集効果が望める。また、被処理ガスが炭素粒子と接触する時間が長いほど、汚染物質の分解、なかでも有機塩素化合物の脱塩素が進行するため、濾材表面に炭素粒子を堆積するのは汚染物質の分解無害化を促進する効果がある。
図1は、上記の処理を行う装置の一例を示す。土壌加熱炉1に汚染土壌を投入して加熱し、汚染物質、有機炭素化合物及び水分が気化する。土壌から気化した被処理ガスは、ガス加熱炉2において更に加熱して有機炭素化合物を炭化する。必要に応じて水蒸気供給部2aからガス加熱炉2に水蒸気が供給され、ガス加熱炉2の加熱温度は温度制御部2bによって制御される。炭化後の被処理ガスは、冷却器3によって冷却する。冷却温度が水の沸点以上であれば、図2(a)の乾式処理に従って、フィルタを備える炭素回収装置4に通して炭素粒子をガスから分離した後、ガスを水分捕集装置5において常温まで冷却して水蒸気を凝縮し排水として分離する。被処理ガスの冷却温度が水の沸点未満であれば、図2(b)の湿式処理に従って、冷却器3での冷却によって凝縮分離し炭素粒子を含む水を水分捕集装置5によって分離収集し、凝縮水をフィルタを備える炭素回収装置4’に通過させて炭素粒子と排水とに分離し回収する。
自然界の土壌は、一般に、種々の有機化合物を含んでいるので、汚染土壌を加熱した際に生じるガスは、高温加熱による炭化処理をしなければ、高分子量成分がそのまま活性炭などの捕集剤や添加剤等の薬剤に接触し、特にタール状のものは薬剤表面を覆うため、目的とする汚染物質の捕集妨害を起こしたり、薬剤が充填塔タイプであると充填塔自体の圧力損失を増大させてしまい、正常な運転操作そのものを妨害してしまう。しかし、本発明ではタール状となるような高分子量成分は炭化して炭素粒子として利用するので、薬剤や処理施設の損傷、処理費用の増大を回避することができる。
また、PCB等の汚染物質の分解技術として紫外線照射による方式があるが、汚染物質と共にタール分が存在すると、タール分中の芳香族化合物のエネルギー吸収によって汚染物質の分解がぼうがいする。本実施形態では、タール分を炭素粒子の原料とするため、炭素粒子の製造と同時にPCB分解の妨害となるタール分を除去する効果が得られる。
汚染土壌を加熱して土壌から汚染物質を除去する土壌の浄化において、土壌から発生する汚染物質、水蒸気及び有機物が混在するガスをそれ以上加熱することなく凝縮回収すると、汚染物質及び土壌中有機物の分解生成物が混在した凝縮液となる。この凝縮液から汚染物質、特にPCBやDXN等の有機化合物系の汚染物質を回収する場合、排気及び排水の汚染物質濃度が低くなるように効率よく回収するには、処理手順に工夫が必要となる。本発明では、処理工程として、相分離(自発的に分かれる複数の液相を分液する)、固体分離(液体と固体とを分離する)及び膜分離(液相中の物質を分子レベルで分離する)を主に適用し、必要に応じて油水分離(分散液の分散相を外部刺激によって強制的に集合させて個別の液相に分離させて分液する)または液液抽出が組み込まれる。
以下、図3〜8を参照して説明する。
土壌加熱炉1で加熱される汚染土壌から得られるガスをスクラバ6で凝縮した凝縮液は、分液槽7において比重差によって上相、中相、下相の3つの液相にわかれる。中相は水に微量の汚染物質が溶解または顕濁した親水性の液相である。上相及び下相は水に難溶性の液相で、比重の軽いものと重いもので各々に分離する。なお、上相は土壌中の有機物の分解生成物に汚染物質が溶解したものが、下相は汚染物質が主成分となることが多い。相分離は、これらの液相を相毎に取り出すことにより凝縮液から汚染物質を分離する工程であり、上相及び下相から汚染物質が回収される。なお、下相には、比較的粒径が大きく沈降しやすいダストも含まれる。相分離は特別な装置を用いなくとも可能である。例えば、土壌を加熱したときに発生するガス及びミストの大気放出を防止するために設けられたスクラバーに付属する水槽と兼用することも可能である。
相分離で上相及び下相を除去して得た中相は、濾材8によって液中に存在するダスト(スラッジ)を分離する(ダスト除去)。濾材には通常の濾過膜や砂濾過などが利用できる。分離したダストには汚染物質が吸着している。濾材8を透過した透過液は、その一部を前術のスクラバーにおいて噴霧水等に利用するように構成してもよい。
土壌の汚染が比較的軽度で相分離によって得られる中相に含まれる有機成分が少ない場合は、中相に含まれる汚染物質の除去は分離膜9を用いた膜分離によって行うことができる(図3参照)が、中相の有機成分が比較的多い場合や有機成分の組成が複雑なために分散液状である場合には、膜分離による処理では機能不全を起こし易いので、油水分離を行う(図4又は図5参照)のが効率的である。
油水分離は、微細な流路を有する透過膜を備えた分液槽10を用いて行う。微小油滴が分散した水相液を透過させると、油滴は透過膜を透過しながら膜に補足され、他の油滴との合体を繰り返して粗粒化する。この結果、比重差によって親油性液相を水から分別形成することができる。透過膜の材料は親油性のものが好ましい。油水分離によって、前述の相分離の行程と同様に、上相、中相、下相の3つの液相に分けることができる。前述と同様に、汚染物質を含む親油性相を取り除いた親水性相は膜分離によって無害化処理する。
膜分離は、油水分離を経た水を主成分とする水相液から汚染物質を除去して環境基準、排水基準を満たす濃度まで低下させる行程であり、分離膜を備えた膜分離器9で除去を行う。利用できる分離膜には、逆浸透膜(RO)、限外濾過膜(UF)、精密濾過(MF)などがある。このような膜処理によって汚染物質が除去された透過水と、汚染物質が濃縮した濃縮水を得ることができる。複数の膜の種類を組み合わせて利用してもよい。複数の膜を組み合わせて使う場合は、図6のように、下流側の膜MLで濃縮された液を上流側の膜MUへ循環させて再処理するように膜分離器9を構成すると有効である。膜分離による透過水は、環境基準や排水基準を満たす濃度まで除去できていれば排水として放流できる。あるいは、加熱によって水分を失った浄化処理後の土壌に加えて土壌の再生に利用してもよい。濃縮水は、油水分離又は相分離の行程へ再循環させて汚染物質を分離することができる。
あるいは、図7のように、前述の油水分離に代えて、溶剤を用いた液液抽出を行うように処理プロセスを構成することもできる。この場合、相分離によって得た中相は、ダスト除去を行う前に抽出槽11において液液抽出すると好ましい。これにより、液液抽出後に濾材8によって分離されるダストに含まれる汚染物質が極めて少なくなるので、ダストの直接廃棄が可能になる。液液抽出では、水に難溶性で凝縮液から汚染物質を抽出できる溶媒を親水性相(中相)に接触させて汚染物質を抽出分離する。ただし、ここで用いる溶媒は汚染物質の分解を妨害しない溶媒を用いる必要がある。例えば、n−ヘキサンは水に難溶性でPCBとDXNを溶解し易い。また、直鎖構造なので、汚染物質をUV分解法で分解する際に共存してもなんら問題ない。
上記のような処理プロセスによって回収される汚染物質は、分解装置12において分解処理する。汚染物質の分解は、例えば、UV照射による光分解法、触媒を利用した触媒分解法、金属ナトリウムを用いるSD法などによって可能である。また、ダイオキシンの場合は、燃焼分解も利用可能である。
図4の処理プロセスは、相分離、ダスト分離、油水分離、膜分離の順に処理することにより、相分離及び油水分離で発生する上下の液相と、ダスト除去で発生するスラッジとを回収することにより汚染物質をそのまま分解手段に供給することができる。なお、例えば図8のように工程の順番を変更すると処理効率が低下するので、高濃度汚染に対する処理が難しくなる。
相分離及び油水分離では、汚染物質の初期濃度が高いほど分離できる汚染物質の総量が増加し分離効率が向上する。他方、膜分離の行程では透過水に対して濃縮水の比率を大きくとることにより、分離率を向上できる。そこで、図5の処理プロセスは、土壌の加熱の初期に発生するガスに汚染物質が少ないことを考慮し、土壌の加熱初期に発生する汚染物質の少ないガスと加熱後期の汚染物質の多いガスとを異なる経路によって処理する(以下、初期のガス由来の凝縮液を凝縮液A、後期のものを凝縮液Bとする)。加熱初期の凝縮液Aはほとんどが水であるので、凝縮液Bは、加熱初期に水が除去される分だけ汚染物質の濃度が高くなるため、相分離、油水分離での効率を向上することができる。従って、必要に応じて濾材13によりダスト除去した凝縮液Aを、油水分離後の水相に混合して膜分離により無害化処理を行うことにより、汚染物質の除去効率を長時間に渡って高く維持し、処理システムのメンテナンス頻度を抑えることができる。また、汚染土壌の加熱処理するための掘削時や降雨等によって発生する浸出水についても無害化処理を施す必要があるが、この場合には、浸出水に溶解しているSi、Na、Ca等の鉱物質が膜分離時に膜表面に析出して膜の透過性を妨害する問題がある。これに対し、凝縮水Aを混合してこれらの成分の濃度を低下させてから無害化処理することによって、上記問題を解決することができる。尚、凝縮水Aと凝縮水Bとを効果的に分けるには、土壌の加熱温度を初期においては300℃以下、好ましくは200℃以下までとして凝縮水Aを分取し、その後温度を上げて凝縮水Bを取ればよい。
図7では、相分離とダスト除去の間に液液抽出を行って、相分離から取り入れるダストを含んだ中相液をそのまま抽出処理している。これにより、水中の微量の汚染物質を抽出すると共にダストに吸着している汚染物質も抽出される。従って、ダストの汚染物質は除去できているので、ダスト除去で回収されるスラッジを土壌に戻して利用することができる。このプロセスにおいて油水分離は必要ない。
本発明では、外部から捕集剤を添加して使う必要がないため、処理費用が安価にできる。
(実施例1)
図1の装置を用い、表1に記載する処理条件に従って、汚染物質を含んだ各種土質の土壌に対して土壌の浄化処理(実験番号1〜20)を行い、浄化処理による排水及び排ガスの汚染物質濃度の測定によって評価を行った。その結果を表1に示す。処理手順及び結果の評価については、以下の通りである。
汚染土壌を所定の処理割合で土壌加熱炉に投入して加熱し、発生したガスをガス加熱炉に導入した後に、ガスを冷却器3で冷却し、ガス中の炭素粒子を収集した。炭素粒子の収集を乾式で行う場合には、冷却器3の冷却温度は170℃、湿式の場合には冷却温度は大気温度とした。乾式収集の場合は、図2(a)のように、冷却ガスを炭素回収装置4のフィルタに通して炭素粒子をガスから分離した後、ガスを水分捕集装置5において常温まで冷却して水蒸気を凝縮し排水として分離した。湿式収集の場合は、冷却器3での冷却によって凝縮分離し炭素粒子を含む水を水分捕集装置5によって収集し、凝縮水を炭素回収装置4’のフィルタを通過させて炭素粒子と排水とに分離し回収した。
上記の処理によって得られた排水及び排ガスの汚染物質濃度を測定し、法定基準(PCB:[排水]0.0005mg/L以下、[排ガス]0.1mg/m以下、ダイオキシン:[排水]10pg−TEQ/L以下、[排ガス]0.1ng−TEQ/m以下)に適合するか否かによって評価した。
尚、表1において、土質は土の工学的分類方法(JGS M111)に準じ、土壌の処理量は、時間あたりに処理した土壌の量(湿重量)を示す。土壌の汚染物質濃度の単位は、PCBについてはmg/kg単位、ダイオキシンについてはng−TEQ/gである。有機物量は、熱しゃく減量として湿重量あたりの含有量に換算している。
Figure 2005161315
表1の結果において、土質が同じであっても重量減少量に違いが生じているが、これは、土壌の採取場所が異なるためと考えられる。
実験1からわかるように、炭素粒子を生成することにより、汚染物質が炭素粒子で捕集できるので、排水、排ガス中の汚染物質濃度が法規制を満たすように汚染物質の処理をすることができる。実験2では、比較のために、被処理ガスの加熱による炭化を行っていない。この場合、炭素粒子が生成せず、排水、排ガス中の汚染物質濃度が極めて高く、法規制を満たさなかった。実験3〜20は処理条件を変更した例であり、これらにおいても炭化が好適に進行し汚染物質の処理に有効に作用していることが示されている。
(実施例2)
表2に示す各種土質の土壌を土壌加熱炉で加熱して生じたガスをスクラバにより冷却し、得られた凝縮液に対して図3〜5及び図7〜8のいずれかに示す手順に従って実験21〜41の処理を行い、排水の汚染物質濃度を測定して、排水中の汚染物質濃度が法定基準(PCB:[排水]0.0005mg/L以下、[排ガス]0.1mg/m以下、ダイオキシン:[排水]10pg−TEQ/L以下、[排ガス]0.1ng−TEQ/m以下)に適合するか否かにより汚染物質の除去効率を評価した。結果を表2に示す。
尚、表2において、土質は土の工学的分類方法(JGS M111)に準じ、土壌の処理量は、時間当りに処理した土壌の量(湿重量)を示す。また、水分は土壌の湿重量あたりの水分重量の割合で示す。土壌加熱温度は土壌から汚染物質を気化分離するために土壌加熱炉で加熱した温度を示す。土壌の汚染物質濃度の単位は、PCBについてはmg/kg単位、ダイオキシンについてはng−TEQ/gである。
Figure 2005161315
表2の結果において、土壌の土質が同じであっても重量減少量に違いが生じているのは、採取場所が異なるためと考えられる。
実験21、22、23からわかるように図4、5、7に示す処理手順は汚染物質の除去効率が良く、排水の汚染物質濃度が法規制を満たすように凝縮液を好適に処理できることが解る。処理行程の順番が異なる場合(実験24)や油水分離を行わない場合(実験26)には、除去効率が低下する。実験24ではダスト除去の行程でタール状の物質が濾材に付着し、濾材の洗浄を行っても透過能力が復元できず、凝縮水の処理を継続することができなかった。実験26では微細な油滴が分散した凝縮水を無害化処理工程で直接処理するため膜表面を油滴が覆い、膜の洗浄を行っても透過能力が復元できず、凝縮水の処理を継続することができなかった。但し、実験24及び26の手順は、汚染濃度が低い場合には対応可能である(例えば、実験25)。更に、実験27〜41に示すような諸条件においても好適に汚染物質の除去を行うことができる。
本発明に係る土壌処理装置の一実施例を示す概略構成図。 本発明に係る土壌処理における炭素粒子の乾式収集(a)及び湿式収集(b)を示す図。 本発明に係る土壌処理における凝縮液の処理を実施する装置の第1の実施形態を示す概略構成図。 本発明に係る土壌処理における凝縮液の処理を実施する装置の第2の実施形態を示す概略構成図。 本発明に係る土壌処理における凝縮液の処理を実施する装置の第3の実施形態を示す概略構成図。 本発明に係る土壌処理における凝縮液の処理で用いる膜分離器の一実施形態を示す概略構成図。 本発明に係る土壌処理における凝縮液の処理を実施する装置の第4の実施形態を示す概略構成図。 本発明に係る土壌処理における凝縮液の処理を実施する装置の第5の実施形態を示す概略構成図。
符号の説明
1 土壌加熱炉、 2 ガス加熱炉、 3 冷却器
4、4’ 炭素回収装置
5 水分捕集装置、 6 スクラバ、 7 分液槽
8,13 濾材、 9 膜分離器、 10 分液槽
11 抽出槽、 12 分解装置

Claims (2)

  1. 土壌に含まれる汚染物質及び有機炭素化合物を気化する気化工程と、気化した前記汚染物質及び前記有機炭素化合物を含むガスを低酸素雰囲気中で加熱して前記有機炭素化合物を炭化し炭素粒子を生成する炭化工程と、前記炭素粒子と共に前記炭素粒子に吸着される前記汚染物質を回収する回収工程とを有することを特徴とする汚染物質の処理方法。
  2. 前記気化工程は、前記土壌を400℃以上且つ600℃以下に加熱する工程であり、前記炭化工程における前記ガスの加熱温度は800℃以上且つ1200℃以下であり、前記回収工程は、前記炭素粒子を200℃以下に冷却して収集する工程であることを特徴とする請求項1記載の処理方法。
JP2005023686A 2005-01-31 2005-01-31 汚染物質の処理方法 Pending JP2005161315A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005023686A JP2005161315A (ja) 2005-01-31 2005-01-31 汚染物質の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005023686A JP2005161315A (ja) 2005-01-31 2005-01-31 汚染物質の処理方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002084150A Division JP3751572B2 (ja) 2002-03-25 2002-03-25 汚染物質の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005161315A true JP2005161315A (ja) 2005-06-23

Family

ID=34737613

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005023686A Pending JP2005161315A (ja) 2005-01-31 2005-01-31 汚染物質の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005161315A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008110291A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Nishimatsu Constr Co Ltd 汚染物の処理方法
JP2009208053A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Toshiba Corp 土壌の処理方法
JP2009274004A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Toshiba Corp 土壌の処理方法
JP2010005574A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Cosmo Oil Lubricants Co Ltd 有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008110291A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Nishimatsu Constr Co Ltd 汚染物の処理方法
JP2009208053A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Toshiba Corp 土壌の処理方法
JP2009274004A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Toshiba Corp 土壌の処理方法
JP2010005574A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Cosmo Oil Lubricants Co Ltd 有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101721614B1 (ko) 시멘트 킬른 배기가스의 처리장치 및 처리 방법
KR102061828B1 (ko) 수은 및 잔류성유기오염물에 오염된 오염토양 정화방법
JP6242761B2 (ja) 排水の処理装置及び処理方法
JP2007181784A (ja) 廃棄物処理装置
JP2005161315A (ja) 汚染物質の処理方法
JP3626459B2 (ja) 有機ハロゲン化合物処理装置及びその処理方法
JP2007075740A (ja) 土壌又は汚泥に含まれる有機砒素化合物の処理方法及び処理装置
JP3751572B2 (ja) 汚染物質の処理方法
JP3049527U (ja) 燃焼炉等における排ガス等の有害物質の除去装置
RU2250123C2 (ru) Способ обезвреживания ила, в частности отложений морей и лагун, или земли, содержащих органические и/или неорганические микрозагрязнители
JP3959506B1 (ja) 土壌処理方法及び土壌処理装置
JP2010064033A (ja) 油分回収システム
JP3811705B2 (ja) 排ガスの処理方法およびその設備
JP2004290862A (ja) 窒素及びリンの回収方法及び装置
JP2007000853A (ja) Pcb汚染土壌浄化処理方法
CN209829843U (zh) 一种土壤重金属超积累植物体处置装置
JP3692325B2 (ja) 土壌浄化装置
JP4431025B2 (ja) 有機ハロゲン化合物処理装置及びその処理方法
JP4119631B2 (ja) 有害物質含有土壌の処理システム
JP6127113B1 (ja) 放射性汚染物の処理方法、ならびに放射性汚染物の処理設備
JPH11188352A (ja) 排油水の処理方法および排油水の処理装置
JP3626456B2 (ja) 有機塩素化合物処理装置及び処理方法
Wang Site remediation and groundwater decontamination
JP4202802B2 (ja) 浄化装置及び浄化方法
JPH0757358B2 (ja) 廃水処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060601

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080108

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080509