JP2005160668A - 生体組織補填体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 微細な気孔にも、より容易に細胞を浸透させ、生体組織補填材の内部からも細胞を成長させる。
【解決手段】 密閉可能な容器2内に細胞を含む液体1を貯留し、該液体1内に多孔性の生体組織補填材3を浸漬し、容器2内を吸引して内部圧力を所定圧力まで低下させた後に、漸次大気圧まで上昇させる生体組織補填体の製造方法を提供する。
【選択図】 図3
【解決手段】 密閉可能な容器2内に細胞を含む液体1を貯留し、該液体1内に多孔性の生体組織補填材3を浸漬し、容器2内を吸引して内部圧力を所定圧力まで低下させた後に、漸次大気圧まで上昇させる生体組織補填体の製造方法を提供する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、生体組織補填体の製造方法に関するものである。
近年、いわゆる再生医療において、術後の生体組織における欠損部の修復速度を高めるために、患者から採取した骨髄細胞等から間葉系幹細胞を取り出して、βリン酸三カルシウム(β−TCP)やハイドロキシアパタイト(HAP)等の生体組織補填材とともに培養することにより、培養骨に代表される生体組織補填体を製造することが提案されている。生体組織補填体は、移植時に、すでに骨補填材を足場にして増殖した多くの間葉系幹細胞を含んでいるので、手術後に体内で細胞を増殖させる方法と比較すると、自家組織に置換されるまでの日数を大幅に短縮することができる(例えば、非特許文献1参照。)。
生体組織補填体を製造するには、一般に、まず、患者の骨髄細胞等から取り出した間葉系幹細胞を培養容器内で一次培養して必要細胞数まで増加させる。この過程において、成長した細胞は、少なくとも1回以上、培養容器から剥がされて、さらに大きな培養容器に移し替えられる。そして、最終的に必要細胞数まで増加したところで、再度、培養容器から剥離させられ、生体組織補填材に付着させられて、二次培養が行われる。これにより、生体組織補填体が製造される(例えば、非特許文献2参照。)。
この場合において、間葉系幹細胞は、生体組織補填材に付着して成長することにより、生体組織の形成が盛んに行われるように活性化させられるので、間葉系幹細胞を生体組織補填材に十分に付着させることが重要になる。また、生体組織補填材が比較的大きい場合には、生体組織補填材の表面だけではなく内部にまで細胞を浸透させ、生体組織補填材の内部から生体組織の形成を行うことが好ましい。
そこで、生体組織補填材として多孔性のものを採用し、各気孔内部にまで細胞を浸透させることで、生体組織補填材内部からの生体組織の形成を促進する技術が考えられている。従来、多孔性の生体組織補填材の気孔内にまで細胞を播種するには、細胞を含む液体(以下、細胞浮遊液という。)を所定の容器内に貯留しておき、その細胞浮遊液内に生体組織補填材を浸漬して、気孔内に細胞浮遊液を流入させることが行われている。この場合において、多孔性の生体組織補填材は、大気中から細胞浮遊液内に投入されるものであるため、各気孔内に空気が閉じこめられており、この気孔内に閉じこめられた気泡によって細胞浮遊液の気孔内への流入が阻害される。
そこで、細胞浮遊液内に生体組織補填材を浸漬した状態で、容器内を大気圧より低い圧力にして気孔内の空気を気孔外に放出させ、直後に容器内を大気圧に戻すことで、気孔周囲の細胞浮遊液を気孔内に吸引する技術が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
植村他2名,「生分解性β−TCP多孔材料を用いた骨におけるティッシュエンジニアリング−生体内で強度を増す新しい材料オスフェリオン−」,メディカル朝日,朝日新聞社,2001年10月1日,第30巻,第10号,p.46−49 吉川,「骨髄間葉系細胞による培養真皮、培養骨−骨髄間葉系細胞による再生医療−」,バイオインダストリー,株式会社シーエムシー出版,2001年,第18巻,第7号,p.46−53 Jian Dong他4名,「間葉系幹細胞の骨化をサポートするために低圧システムを用いた多孔性ハイドロキシアパタイトの長時間耐久(Long-term durability of porous hydroxyapatite with low-pressure system to support osteogenesis of mesenchymal stem cells)」,バイオメディカルマテリアルズアンドエンジニアリング(Bio-Medical Materials and Engineering),オランダ,アイオーエスプレス(IOS Press),2002年12月,p。203−209
植村他2名,「生分解性β−TCP多孔材料を用いた骨におけるティッシュエンジニアリング−生体内で強度を増す新しい材料オスフェリオン−」,メディカル朝日,朝日新聞社,2001年10月1日,第30巻,第10号,p.46−49 吉川,「骨髄間葉系細胞による培養真皮、培養骨−骨髄間葉系細胞による再生医療−」,バイオインダストリー,株式会社シーエムシー出版,2001年,第18巻,第7号,p.46−53 Jian Dong他4名,「間葉系幹細胞の骨化をサポートするために低圧システムを用いた多孔性ハイドロキシアパタイトの長時間耐久(Long-term durability of porous hydroxyapatite with low-pressure system to support osteogenesis of mesenchymal stem cells)」,バイオメディカルマテリアルズアンドエンジニアリング(Bio-Medical Materials and Engineering),オランダ,アイオーエスプレス(IOS Press),2002年12月,p。203−209
しかしながら、上記非特許文献3の方法によれば、容器内部を大気圧より低くすることにより、生体組織補填材の気孔内部に閉じこめられている空気は、気泡となって気孔外部に吸い出されるが、大気圧に戻すと同時に再度気孔内部に吸引されてしまい、気孔内への細胞浮遊液の導入を十分に行うことができないという不都合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、微細な気孔にも、より容易に細胞を浸透させ、生体組織補填材の内部からも細胞を成長させることができる生体組織補填体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、密閉可能な容器内に細胞を含む液体を貯留し、該液体内に多孔性の生体組織補填材を浸漬し、容器内を吸引して内部圧力を所定圧力まで低下させた後に、漸次大気圧まで上昇させる生体組織補填体の製造方法を提供する。
本発明は、密閉可能な容器内に細胞を含む液体を貯留し、該液体内に多孔性の生体組織補填材を浸漬し、容器内を吸引して内部圧力を所定圧力まで低下させた後に、漸次大気圧まで上昇させる生体組織補填体の製造方法を提供する。
この発明によれば、容器内に貯留されている細胞を含む液体、すなわち、細胞浮遊液内に多孔性の生体組織補填材を浸漬すると、生体組織補填材の気孔内に空気が閉じ込められたまま液体内に配置されるため、細胞が気泡によって気孔内に入ることを阻害されるが、容器内の内部圧力を所定圧力まで低下させることにより、気圧差によって気孔内から気泡が吸い出される。
そして、その後に急激に大気圧まで戻すのではなく、漸次緩やかに大気圧まで戻すことにより、気泡が気孔内に戻ることなく細胞浮遊液を気孔内に引き入れることが可能となる。その結果、気孔の内部にまで細胞が付着して、内側からも生体組織の再生を行うことが可能な生体組織補填体を製造することができる。
上記発明においては、前記容器内の内部圧力を、段階的に大気圧まで上昇させることが好ましい。
この発明によれば、内部圧力を段階的に上昇させると、急激な圧力上昇と圧力変動停止状態とが小刻みに繰り返され、全体的には漸次緩やかに圧力上昇させられる。その結果、圧力上昇時には気泡が気孔内に戻されるが、圧力変動停止状態では、気泡が、圧力差によって気孔外に吸い出される。したがって、気泡に振動的な挙動を与えることができ、気孔内壁から引き離されるようにして気孔内から脱泡することが可能となる。
この発明によれば、内部圧力を段階的に上昇させると、急激な圧力上昇と圧力変動停止状態とが小刻みに繰り返され、全体的には漸次緩やかに圧力上昇させられる。その結果、圧力上昇時には気泡が気孔内に戻されるが、圧力変動停止状態では、気泡が、圧力差によって気孔外に吸い出される。したがって、気泡に振動的な挙動を与えることができ、気孔内壁から引き離されるようにして気孔内から脱泡することが可能となる。
また、上記発明においては、前記容器内の内部圧力を、振動的に変動させることにしてもよい。
この発明によれば、容器の内部圧力が全体的には漸次緩やかに上昇させられながら、振動的に変動させられることによって、より積極的に、気泡に振動的な挙動を与え、気孔内に保持されようとする気泡を気孔内壁から引き剥がして気孔外に放出させることが可能となる。気孔内に残留する空気量を少なくすることができ、生体組織補填材の全領域に細胞を浸透させ、満遍なく生体組織の再生を行わせることができる。
この発明によれば、容器の内部圧力が全体的には漸次緩やかに上昇させられながら、振動的に変動させられることによって、より積極的に、気泡に振動的な挙動を与え、気孔内に保持されようとする気泡を気孔内壁から引き剥がして気孔外に放出させることが可能となる。気孔内に残留する空気量を少なくすることができ、生体組織補填材の全領域に細胞を浸透させ、満遍なく生体組織の再生を行わせることができる。
本発明によれば、生体組織補填材への細胞の浸透性を高めることができる。したがって、細胞を生体組織補填材の内部においても活性化させて、十分に成長させた生体組織補填体を製造することができ、生体組織欠損部に補填された後には、早期に自家組織に置換され、欠損部を迅速に修復することが可能な生体組織補填体を製造することができるという効果を奏する。
以下に、本発明に係る生体組織補填体の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
この製造方法は、図1に示されるように、まず、例えば、骨髄細胞から取り出した間葉系幹細胞を、培養容器内に所定の培養液とともに投入し、一定の培養条件に維持することにより培養する(ステップS1)。
この製造方法は、図1に示されるように、まず、例えば、骨髄細胞から取り出した間葉系幹細胞を、培養容器内に所定の培養液とともに投入し、一定の培養条件に維持することにより培養する(ステップS1)。
培養液は、例えば、MEM(Minimal Essential Medium:最小必須培地)、FBS(Fetal Bovine Serum:ウシ胎児血清)、抗生剤を84:15:1の配合比率で混合したものである。なお、この配合比率は任意であり、また、ウシ胎児血清に代えてヒト血清を用いてもよい。また、また、FBSがなくてもよい。さらに、培養条件は、例えば、温度37℃±0.5℃、湿度100%、CO2濃度5%である。
この培養の過程(ステップS1)においては、定期的にあるいは必要に応じて培養液を交換し(ステップS2,S3)、細胞の成長に合わせて、培養容器も大きいものへと変更していく(ステップS4,S5)。
また、少なくとも1回の培養容器の変更を行いつつ培養された細胞が、必要な細胞数まで増殖させられると(ステップS6)、再度、培養容器から剥離されるとともに、細胞どうしの結合も切り離されてバラバラに分離される(ステップS7)。その後、バラバラに分離された細胞は、所定の溶液と混合された後に、β―TCP多孔体ブロックからなる生体組織補填材に播種される(ステップS8)。
図中、符号S9は分化ステップであり、ある程度増殖した間葉系幹細胞に、デキサメタゾンのような分化誘導因子を添加する。これにより、間葉系幹細胞が、所望の生体組織、例えば、骨芽細胞に分化され、生体組織補填体が製造される。分化ステップS9は、図1のように細胞の生体組織補填材への播種の前に、培養中に行うことにより、ある程度、生体組織へ分化誘導された細胞を生体組織補填材に播種することにしてもよく、また、生体組織補填材への播種後に行うことにより、生体組織補填材を足場として生体組織細胞を成長させることにしてもよい。また、符号S10は、製造された生体組織補填体に含まれている細胞の状態を評価する評価ステップである。
上記播種ステップS8においては、図2に示されるように、バラバラに分離された細胞が、まず、培養液と混合されることにより、所定濃度の細胞浮遊液1が構成される(ステップS81)。培養液は、上述した培養に使用される培養液と同様でよい。細胞浮遊液1は、密閉可能な容器2内に貯留される。この状態で、図3(a)に示されるように、細胞浮遊液1内に多孔性の生体組織補填材3が投入される(ステップS82)。このとき、多孔性の生体組織補填材3は大気中から細胞浮遊液1中に浸漬されるため、生体組織補填材3の各気孔内には空気Aが充満している。ある程度の空気は、投入時に気泡となって生体組織補填材3の外部に放出されるが、気孔が微細であるため、図4に示されるように、表面張力によって気孔内に閉じこめられた状態に保持されている。
次いで、図3(b)に示されるように、容器2の蓋4が気密状態に閉鎖される。容器2の蓋4には負圧ポンプ5が接続されており、該負圧ポンプ5を作動させることにより、容器2内部の空気が吸引される(ステップS83)。図中符号6は、内部圧力調整用のバルブである。
吸引は、容器2の内部圧力が、例えば、6×103〜6×104Paとなるまで行われる。その結果、生体組織補填材3の気孔内に閉じこめられている空気Aと、生体組織補填材3の外部空間との間に圧力差が生じ、気孔内の空気Aは、図5に示されるように、生体組織補填材3の外部に放出されるように移動され、生体組織補填材3の外表面に気泡Bとなって付着する。
本実施形態に係る製造方法は、この後の処理において従来の製造方法と相違している。すなわち、本実施形態に係る製造方法は、図6に示されるように、一旦、大気圧よりも低圧に設定された容器2内部の圧力を、段階的に大気圧まで上昇させる(ステップS84)。具体的には、例えば、1段階で7×103〜7×104Pa程度、容器2内圧が上昇するように、バルブ6を開閉する。そして、1×104〜2×104Pa/min程度の速度で圧力が上昇するようにする。各段階は等間隔であっても異なっていてもよい。
このように、本実施形態に係る生体組織補填体の製造方法によれば、各段階において変動する圧力差を低く抑えることにより、一旦生体組織補填材3の外部に放出された気泡Bが気孔内に引き戻されることを防止することができる。また、生体組織補填材3の外部の圧力を気孔内部の圧力より低い状態に維持しながら、気泡Bに、気孔の内外に出入りするような振動的な挙動を行わせることにより、気孔内部に残留している空気Aを、気孔内から放出する方向に強制することができる。
これにより、気孔内に存在していた空気Aをできるだけ多く生体組織補填材3の外部に放出させ、その代わりに、気孔内に細胞浮遊液1を浸透させることができる。その結果、内部まで細胞を浸透させた生体組織補填体を製造することができる。
なお、上記実施形態においては、容器内部の圧力変動を図6に示されるように段階的に変化させる方法を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、図7に示されるように、容器2内部の圧力を段階的にではなく、漸次滑らかに上昇させる方法を採用してもよい。この場合においても、全体として1×104〜2×104Pa/min程度の速度で圧力が上昇するようにすればよい。
また、図8に示されるように、容器2内圧をさらに振動的に変動させることにしてもよい。このようにすることで、気孔内部に残留している空気Aに、さらに強く振動的な挙動を行わせることが可能となり、気孔内部の空気Aをさらに効率よく除去することが可能となる。
また、圧力変動による気孔内の空気Aの放出に加えて、細胞の気孔内壁への付着性を高めることにより、細胞を気孔内部まで浸透させる方法を併用してもよい。付着性を高める方法としては、例えば、細胞浮遊液1に、PRPおよび塩化カルシウム溶液を添加した状態で、上述した容器2内部の圧力変動を生じさせる方法が考えられる。
PRPに含まれるフィブリノーゲンの添加量は、おおよそ2〜45mg/mlの濃度の細胞浮遊液1が構成される程度の量でよい。また、塩化カルシウム溶液は、PRPに対して、おおよそ0.01mol/l〜0.1mol/lの濃度となるように塩化カルシウムを溶解させたものである。
PRPにはクエン酸ナトリウムが含まれているので、添加された塩化カルシウムとクエン酸ナトリウムとが反応してゲル化が開始される。ゲル化の反応は一般に緩やかであり、粘性が高まるまでに数分程度かかるので、塩化カルシウム添加直後であれば、ゲル化は進行しておらず、細胞浮遊液1の粘性は低い状態に維持されている。したがって、細胞は、比較的容易に生体組織補填材3の気孔内に浸透していくことが可能となる。そして、細胞が生体組織補填材3の中心まで浸透する頃には、クエン酸ナトリウムと塩化カルシウムとのゲル化反応が進行し、細胞浮遊液1はゲル化させられて粘性が急激に上昇する。
すなわち、圧力変動による気泡の放出と、細胞浮遊液1のゲル化とのタイミングを調整することにより、気泡B放出により気孔内に進入した細胞浮遊液1が、気孔内に戻ろうとする気泡Bによって追い出されることなく気孔内に滞留して付着することができ、さらに効率液に細胞を気孔内に浸透させることができるという効果がある。
この場合において、ゲル化可能材料としてPRPを採用しているので、PRPに含まれているTGF−β、PDGF、IGF等の成長因子の作用により、生体組織補填材に付着した細胞の活性化を促進することができる。したがって、簡易に気孔の内部に付着させて、内部から細胞を3次元的に成長させることができるとともに、細胞の活性化を促進して、組織再生を効率的に行うことができる生体組織補填体を製造することができる。
また、気孔内に浸透させられた細胞が、ゲル化した細胞浮遊液1によって気孔内に保持されるので、従来必要であった、細胞を生体組織補填材3に付着させるための培養工程を省略することができるという効果もある。すなわち、導入直後の細胞は生体組織補填材3の気孔内壁に付着するまでに時間がかかるため、培養容器内に静置して、所定時間培養する必要があった。しかし、上記のようにして製造された生体組織補填体は、ゲル化した細胞浮遊液1によって細胞が気孔内から流出することが禁止されるので、静置する必要がない。したがって、細胞を生体組織補填材3に付着させるための静置培養工程を不要とし、あるいは短縮することができるので、製造効率を高め、製造時間を短縮することができる。
なお、上記においては、細胞浮遊液1にPRPに含まれる適切なフィブリノーゲンと塩化カルシウム溶液とを添加することによりゲル化させる方法を採用した。添加するPRP、塩化カルシウムの量を適宜調節することにより、ゲル化の程度、すなわち、ゲル化した後の粘性の大小、ゲル化する速度の大小を調節することができる。また、塩化カルシウムに加えて、トロンビンのような血液凝固剤を併用してもよい。すなわち、トロンビンを塩化カルシウム溶液とともに細胞浮遊液1に添加することにより、塩化カルシウムとクエン酸ナトリウムとの反応によってゲル化が行われるとともに、細胞浮遊液1内部の血液成分がトロンビンによって凝固させられることによって、細胞浮遊液1の粘性がさらに高められることになる。
添加する塩化カルシウムやトロンビンの量は、細胞を播種すべき生体組織補填材3の形態に応じて設定することにしてもよい。すなわち、気孔が大きく細胞が流出しやすい生体組織補填材3に対しては、比較的早期にゲル化が開始され、かつ、より高い粘性のゲル状になるように塩化カルシウムやトロンビン量を増やすことが考えられる。また、気孔が細密で粘性が高いと細胞浮遊液1が浸透して行きにくい生体組織補填材3に対しては、比較的ゆっくりしたゲル化速度でよく、最終的なゲルの粘性も低く設定してよい。したがって、このような場合には、塩化カルシウムやトロンビンの添加量は少なくてよい。
また、PRP自体は患者から採取するものであるため、ゲル化速度にも個人差がある。したがって、採取されたPRPの成分分析により、添加する塩化カルシウム等の量を決定してもよい。
また、ゲル化可能材料として、PRPを例に挙げて説明した。PRPはTGF−βのような成長因子を多く含んでいるためにゲル化可能材料として適しているが、これに限定されるものではなく、他の材料、例えば、フィブリン、ゼラチン、コラーゲンのような生体吸収性のゲル化可能材料を採用することにしてもよい。
また、播種する細胞として、骨髄細胞から集めた間葉系幹細胞を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、ES細胞、体性幹細胞、骨細胞、軟骨細胞、神経細胞等の他の体細胞を採用することにしてもよい。また、間葉系幹細胞を骨髄から採取することとしたが、これに代えて、抹消血や臍帯血から採取することにしてもよい。
また、細胞を播種する生体組織補填材3としては、β―TCP多孔体に代えて、生体適合性を有する多孔性のセラミックスや、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒアルロン酸、またはこれらの組み合わせを用いてもよい。また、チタンのような金属であってもよい。また、形態もブロック状、顆粒状等任意の形態を採用してよい。
1 細胞浮遊液(細胞をs含む液体)
2 容器
3 生体組織補填材
2 容器
3 生体組織補填材
Claims (3)
- 密閉可能な容器内に細胞を含む液体を貯留し、
該液体内に多孔性の生体組織補填材を浸漬し、
容器内を吸引して内部圧力を所定圧力まで低下させた後に、漸次大気圧まで上昇させる生体組織補填体の製造方法。 - 前記容器内の内部圧力を、段階的に大気圧まで上昇させる請求項1に記載の生体組織補填体の製造方法。
- 前記容器内の内部圧力を、振動的に変動させる請求項1または請求項2に記載の生体組織補填体の製造方法。
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KR101796723B1 (ko) * | 2017-03-23 | 2017-11-10 | 주식회사 에스엔메디컬 | 압축강도편차제어를 통한 해면골 유사구조 골이식재의 제조방법 |
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2003
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