以下、添付図面を参照して、この発明にかかる超音波診断装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。図1において、この超音波診断装置1は、体腔内に挿入される挿入部3と挿入部3を操作する操作部4とを備えたプローブ2と、超音波観測装置5と、受信アンテナ6bと、位置データ算出装置7と、入力装置8と、モニタ9と、プリンタ10と、画像処理装置11とを有する。挿入部3の先端には、超音波振動子3aが回転自在に組み込まれ、挿入部3の後端には、操作部4が配置される。超音波振動子3aの近傍には、送信コイル6aが着脱可能に配置される。操作部4は、モータ4aを有し、モータ4aは、シャフト3bを介して超音波振動子3aと接続される。超音波観測装置5は、操作部4に設けられた電源スイッチ(図示せず)およびケーブル等を介して、超音波振動子3aおよびモータ4aと電気的に接続される。位置データ算出装置7は、ケーブル等を介して、送信コイル6aおよび受信アンテナ6bと電気的に接続される。画像処理装置11は、ケーブル等を介して、超音波観測装置5、位置データ算出装置7、入力装置8、モニタ9、およびプリンタ10と電気的に接続される。
プローブ2は、上述したように、先端に超音波振動子3aが配置された挿入部3とモータ4aが組み込まれた操作部4とを用いて構成され、体腔内を放射状に走査(ラジアルスキャン)するように機能する。また、プローブ2には、内視鏡等の光学系が設けられてもよく、この場合、プローブ2は、この光学系による体腔内の光学画像に関するデータを画像処理装置11に送出し、画像処理装置11は、受信した光学画像に関するデータをもとに、該データに対応する光学画像をモニタ9に画面表示させる。挿入部3は、可撓性部材を用いて実現され、体腔内への挿入に好適な細長い筒形状を有する。超音波振動子3aは、チタン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックを用いて実現され、印加されたパルス状の電圧を逆圧電効果によって超音波に変換する機能と、この超音波の反射波(エコー)を圧電効果によって電気的なエコー信号に変換する機能とを有する。シャフト3bは、フレキシブルなシャフトであり、モータ4aによる回転駆動を超音波振動子3aに伝達する可撓自在な駆動軸として機能する。
操作部4は、操作者の操作に応じ、超音波振動子3aおよび送信コイル6aが配置される部位を含む挿入部3の先端を湾曲させる機能を有する。また、操作部4は、操作者が操作部4の電源スイッチをオン状態にした場合、超音波振動子3aおよびモータ4aと超音波観測装置5とを電気的に接続し、超音波観測装置5は、超音波振動子3aに、たとえば100[V]程度のパルス状の電圧(パルス電圧)を印加するとともに、モータ4aに、たとえば12[V]程度の直流駆動電圧を印加する。この場合、超音波振動子3aは、超音波観測装置5から印加されたパルス電圧を用いて超音波を出力するとともに該超音波のエコーを受波し、受波したエコーに対応するエコー信号を超音波観測装置5に送出する。これと同時に、モータ4aは、超音波観測装置5から印加された直流駆動電圧を用いて回転駆動を行うとともに、シャフト3bを介して該回転駆動を超音波振動子3aに伝達する。これによって、モータ4aは、シャフト3bを駆動軸として、超音波振動子3aを回転させる。
ここで、操作者が、体腔内に挿入部3を挿入した状態で操作部4の電源スイッチをオン状態にした場合、超音波振動子3aは、シャフト3bを駆動軸として回転駆動するとともに、体腔内に対する超音波の出力および該超音波のエコーの受波を繰り返す。この場合、超音波振動子3aは、挿入部3の挿入軸方向に垂直な平面について、ラジアルスキャンを行い、これによって、プローブ2は、一回のラジアルスキャンを達成する。その後、超音波振動子3aは、操作部4の電源スイッチがオフ状態に切り換えられるまで、このラジアルスキャンを繰り返すとともに、ラジアルスキャン毎に得られたエコー信号を順次超音波観測装置5に送出する。また、ラジアルスキャンを実行しているプローブ2が操作者によって手引きされた場合、超音波振動子3aは、この手引きによる移動経路に沿って、このラジアルスキャンを3次元的に行い、体腔内を3次元的に走査(3次元走査)する。
超音波観測装置5は、検波回路(図示せず)、増幅回路(図示せず)、A/D変換回路(図示せず)、および座標変換回路(図示せず)等を用いて構成され、超音波振動子3aから順次受信したエコー信号に対して、包絡線検波処理、対数増幅処理、A/D変換処理、および極座標系から直交座標系への座標変換処理等の周知の各処理をそれぞれ行い、順次受信したエコー信号毎に一つの2次元画像データを順次作成する。その後、超音波観測装置5は、作成した2次元画像データを画像処理装置11に順次送出する。また、超音波観測装置5は、操作者が操作部4の電源スイッチをオン状態にした場合、上述したように、超音波振動子3aに100[V]程度のパルス電圧を印加するとともに、モータ4aに12[V]程度の駆動電圧を印加する。
送信コイル6aは、挿入部3の体腔内への挿入軸方向に関する第1コイルと該挿入軸方向に垂直な方向に関する第2コイルとを用いて実現され、上述したように、超音波振動子3aの近傍、たとえば、超音波振動子3aから0.5〜1[cm]程度離れた位置に着脱可能に配置され、さらに、ケーブル(図示せず)等を介して位置データ算出装置7と電気的に接続される。この場合、送信コイル6aは、超音波振動子3aに対する距離および方向がほぼ一定になるように固定され、これによって、第1コイルおよび第2コイルの各位置と各方向とが、超音波振動子3aに対してほぼ一定に設定される。また、送信コイル6aは、位置データ算出装置7が第1コイルおよび第2コイルに電流を供給した場合、送信コイル6aの周囲空間に磁場を発生させる。なお、送信コイル6aは、超音波振動子3aの近傍に配置される場合、挿入部3の外壁に着脱可能に配置されてもよいが、挿入部3内部に着脱可能に挿入されることが望ましい。
受信アンテナ6bは、複数のコイルを用いて実現され、送信コイル6aが発生させた磁場を感知するとともに該磁場を電流に変換し、その後、この電流に対応する電気的な信号(磁場信号)を位置データ算出装置7に送出する。
位置データ算出装置7は、操作者が位置データ算出装置7に設けられた電源スイッチ(図示せず)をオン状態にした場合、ケーブル等を介して送信コイル6aに電流を供給するとともに、受信アンテナ6bが送出した磁場信号を受信する。さらに、位置データ算出装置7は、受信アンテナ6bから順次受信した磁場信号をもとに、送信コイル6aの位置ベクトルr、単位長の軸方向ベクトルVa、および単位長の面平行ベクトルVbを算出し、得られた位置ベクトルr、軸方向ベクトルVa、および面平行ベクトルVbを送信コイル6aに関する位置データとして画像処理装置11に順次送出する。
ここで、位置データ算出装置7には、所定位置、たとえば受信アンテナ6bの中心位置を原点Oとし、x軸、y軸、およびz軸からなる空間座標系xyzが予め設定され、位置ベクトルrは、空間座標系xyz上における送信コイル6aの位置を決定するベクトルである。なお、位置ベクトルrは、送信コイル6aが超音波振動子3aの近傍に配置されていることに起因し、超音波振動子3aの回転駆動の中心位置を決定するベクトルとして近似できる。一方、軸方向ベクトルVaは、送信コイル6aの第1コイルから出力された磁場に対応する磁場信号をもとに算出され、空間座標系xyz上のベクトルであって、挿入部3の体腔内への挿入軸方向を示す単位長の方向ベクトルである。したがって、軸方向ベクトルVaは、超音波振動子3aがラジアルスキャンを行う体腔内の平面に垂直な方向を示す。また、面平行ベクトルVbは、送信コイル6aの第2コイルから出力された磁場に対応する磁場信号をもとに算出され、空間座標系xyz上のベクトルであって、この挿入軸方向に垂直な所定方向を示す単位長の方向ベクトルである。したがって、面平行ベクトルVbは、超音波振動子3aがラジアルスキャンを行う体腔内の平面に平行である所定方向を示す。なお、面平行ベクトルVbによって示される所定方向は、軸方向ベクトルVaによって示される垂直方向に対して常時一定方向に設定される。このことは、第1コイルおよび第2コイルの各位置と各方向とが、上述したように、超音波振動子3aに対してほぼ一定に設定されることに起因する。
入力装置8は、キーボード、タッチパネル、トラックボール、マウス、またはジョイスティック等を用いてまたはこれらの組み合わせによって実現され、超音波観測装置5によって作成された2次元画像データ上に指定される点(指定点)の座標情報に関する指定点情報、画面表示された各種縦断像または各種断層像の回転角度を指定する角度情報、画面表示された各種縦断像上または各種断層像上の長さ、面積、または体積等の幾何学的な数量を計測する領域(計測領域)を指定する点(計測点)の座標情報に関する計測点情報、モニタ9に対する画面表示処理に関する各種指示情報、あるいはプリンタ10が各種計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力処理に関する各種指示情報等を画像処理装置11に入力する。
たとえば、キーボードまたはタッチパネルを用いる場合には、各情報の入力受付状態において、指定点情報、角度情報、または計測点情報に対応する数値を入力しまたは選択し、あるいは、モニタ9またはタッチパネルに画面表示された座標位置を直接入力することによって、指定点情報、角度情報、または計測点情報の入力が行われる。一方、トラックボール、マウス、またはジョイスティックを用いる場合には、各情報の入力受付状態において、指定点情報または計測点情報に対応する数値を選択し、あるいはモニタ9に画面表示された座標位置を直接入力することによって、指定点情報または計測点情報の入力が行われ、また、角度情報に対応する数値を選択し、あるいはモニタ9に画面表示されたカーソル等をマウスボタンを押し下げながら所定方向に移動させる操作(以下、ドラッグ操作)を行うことによって、カーソル等の移動量に応じた角度値に対応する角度情報の入力が行われる。たとえば、操作者がこのドラッグ操作を行い、カーソルが画面の上方向に所定量移動した場合に該所定量に応じた角度だけ縦断像または断層像を正方向に回転する角度情報が入力され、カーソルが画面の下方向に所定量移動した場合に該所定量に応じた角度だけ縦断像または断層像を負方向に回転する角度情報が入力される。あるいは、カーソルが画面の右方向に所定量移動した場合に該所定量に応じた角度だけ縦断像または断層像を正方向に回転する角度情報が入力され、カーソルが画面の左方向に所定量移動した場合に該所定量に応じた角度だけ縦断像または断層像を負方向に回転する角度情報が入力される。
画像処理装置11は、RAM、ROM、またはハードディスク等の各種記憶媒体とCPUとを備えた周知のコンピュータを用いて実現され、画像データ記憶部12と表示回路13と制御部14とを有する。画像データ記憶部12は、RAM、EEPROM、またはフラッシュメモリ等の各種ICメモリ、ハードディスクドライブ、あるいは光磁気ディスクドライブ等のデータの書き込みおよび読み出しが可能な各種記憶装置を用いて実現される。画像データ記憶部12は、制御部14の制御のもと、制御部14から送出された各種画像データを記憶する。また、画像データ記憶部12は、制御部14が各種縦断像データまたは各種断層像データを作成した場合、制御部14の制御のもと、この各種縦断像データまたは各種断層像データを記憶する。
制御部14は、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現され、記憶部14a、画像データ演算部14b、切断面演算部14c、更新処理部14d、3次元画像処理部14e、および距離演算部14fを有する。記憶部14aは、このROMおよびRAMを用いて構成され、この処理プログラムや演算パラメータの他に、制御部14が位置データ算出装置7から順次受信した位置データを記憶する。制御部14には、上述した空間座標系xyzが予め設定され、記憶部14aは、この空間座標系xyzに関する設定情報を記憶する。また、制御部14には、空間座標系xyzに配列された各2次元画像データの初期の縦断位置が予め設定され、記憶部14aは、この初期の縦断位置に関する初期縦断情報を記憶する。
また、超音波振動子3aがn回(n=1,2,3,…)のラジアルスキャンによって得られたn個のエコー信号を超音波観測装置5に順次送出した場合、制御部14は、超音波観測装置5がn個のエコー信号をもとにn個の2次元画像データをそれぞれ作成した各タイミングを把握するとともに、位置データ算出装置7から順次受信した位置データを該タイミング毎に把握する。その後、制御部14は、超音波観測装置5からn個の2次元画像データを順次受信するとともに、該2次元画像データ毎に、このタイミングにおいて作成された2次元画像データと該タイミングにおいて受信した位置データとの対応付けを行う。これによって、制御部14は、ラジアルスキャンが行われた位置に対応する位置データと、このラジアルスキャンによるエコー信号をもとに作成された2次元画像データとの対応付けを確実に行う。
図2は、制御部14が超音波観測装置5からn個の2次元画像データを順次受信した場合に、制御部14によって位置データとの対応付けが行われたn個目の2次元画像データを例示する図である。なお、以下では、操作者が、被検体の十二指腸内に挿入部3を挿入し、その後、超音波振動子3aによるラジアルスキャンを行うとともに挿入部3を挿入軸方向に徐々に手引きし、これによって、この被検体に対する3次元走査が行われた場合について説明するが、このことは、この発明を限定するものではない。
図2に示すように、このn個目の2次元画像データDnには、十二指腸の横断面である十二指腸像Enと膵管の横断面である膵管像fnが含まれている。制御部14は、上述したように、2次元画像データDnと2次元画像データDnが作成されたタイミングで受信した位置データとの対応付けを行う。この場合、制御部14は、2次元画像データDnに対応する平面の法線ベクトルとして軸方向ベクトルVanを設定し、この平面に平行であって、軸方向ベクトルVanに対して所定方向、たとえば、この平面における12時方向を示す方向ベクトルとして面平行ベクトルVbnを設定する。また、制御部14は、2次元画像データDnの画像中心Cnを示す位置ベクトルとして位置ベクトルrnを設定する。これによって、制御部14は、2次元画像データDnに対して、画像中心Cnを原点とし、面平行ベクトルVbnに平行な軸と外積ベクトル(Vbn×Van)に平行な軸とによる直交座標系を設定できる。なお、外積ベクトル(Vbn×Van)は、面平行ベクトルVbnと軸方向ベクトルVanとの外積によって求められる。
制御部14は、超音波観測装置5から順次受信した残り(n−1)個の2次元画像データD1,D2,…,Dn-1についても、上述した2次元画像データDnの場合と同様に位置データの対応付けを行う。これによって、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnには、軸方向ベクトルVa1,Va2,…,Vanと、面平行ベクトルVb1,Vb2,…,Vbnと、位置ベクトルr1,r2,…,rnとがそれぞれ設定される。
図3は、制御部14が、位置データとの対応付けが行われたn個の2次元画像データを空間座標系xyzに配列する動作を説明する図である。図3に示すように、制御部14は、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnと位置データとの対応付けをそれぞれ行った場合、記憶部14aから読み出した空間座標系xyzと各2次元画像データに対応付けられた位置データとをもとに、このn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを空間座標系xyzに配列する。ここで、この位置データを構成する軸方向ベクトルVa1,Va2,…,Van、面平行ベクトルVb1,Vb2,…,Vbn、および位置ベクトルr1,r2,…,rnは、空間座標系xyzに配列される2次元画像データD1,D2,…,Dnの各位置と各方向を決定するので、制御部14は、超音波振動子3aが3次元的にラジアルスキャンを行った実際の位置関係とほぼ同じになるように、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを空間座標系xyzに配列できる。その後、制御部14は、空間座標系xyzにおける配列関係が設定されたn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを画像データ記憶部12に記憶する。
図4は、制御部14が、n回のラジアルスキャンによるn個のエコー信号をもとに作成されたn個の2次元画像データと、このラジアルスキャンが行われた各位置に対応する位置データとを取得してから、予め設定された初期の縦断位置における縦断像を含む3次元縦断像データを作成するとともに該3次元縦断像データに対応する3次元縦断像をモニタ9に画面表示させ、その後、この3次元縦断像上に指定された2つの計測点間の距離(計測点間距離)を計測するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図5は、3次元縦断像と2次元超音波断層像とがモニタ9に画面表示された状態を例示する図である。
図4において、超音波観測装置5が、上述したエコー信号をもとに2次元画像データを作成し、かつ、位置データ算出装置7が、このエコー信号が得られた位置に関する位置データを算出した場合、制御部14は、上述したように、このエコー信号をもとに2次元画像データが作成されたタイミングを把握するとともに、超音波観測装置5から送出された該2次元画像データと位置データ算出装置7から送出された位置データとを取得する(ステップS101)。この場合、制御部14は、この2次元画像データが作成されたタイミングと、位置データ算出装置7から取得した位置データとを関連付ける。
つぎに、制御部14は、上述したように、取得した2次元画像データと位置データとを用いて、把握したタイミングにおいて作成された2次元画像データと該タイミングにおいて取得した位置データとの対応付けを行い(ステップS102)、その後、この位置データとの対応付けがなされた2次元画像データを空間座標系xyz上に配列するとともに、該2次元画像データに対し、該2次元画像データに対応付けられた軸方向ベクトルと面平行ベクトルとをもとに直交座標系を設定する(ステップS103)。この場合、制御部14は、図2に示したように、2次元画像データDn(n=1,2,3,…)に対し、画像中心Cnを原点とし、面平行ベクトルVbnに平行な軸(Bn軸)と外積ベクトル(Vbn×Van)に平行な軸(An軸)とによる直交座標系AnBnをそれぞれ設定する。
その後、制御部14は、直交座標系が設定された2次元画像データを空間座標系xyz上に配列した状態で画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この2次元画像データをモニタ9に送出し、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS104)。
つぎに、制御部14は、予め設定された初期縦断情報をもとに、空間座標系xyzに配列された2次元画像データの各直交座標系上に、上述した初期の縦断位置に対応する直線(切断線)を設定するとともに、該直線によって切断された2次元画像データの断片によって形成される曲面を初期の縦断面として設定する。さらに、制御部14は、設定した切断線上に1列画像データを作成し、該1列画像データを並べて該1列画像データ間を補間し、初期の縦断面の縦断像を含む画像データ(3次元縦断像データ)を作成する(ステップS105)。その後、制御部14は、作成した3次元縦断像データを画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この3次元縦断像データをモニタ9に送出し、この3次元縦断像データに対応する帯状の3次元縦断像をモニタ9に画面表示させる(ステップS106)。
なお、制御部14は、プローブ2がラジアルスキャンを行っている場合、すなわち、操作部4の電源スイッチがオン状態である場合、プローブ2の電源オフ状態に対応する電源オフ情報を受信しない(ステップS107,No)。この場合、制御部14は、上述したステップS101以降の処理工程を繰り返す。すなわち、制御部14は、プローブ2が電源オフ状態になるまでにn回のラジアルスキャンを行った場合、上述したステップS101以降の処理工程をn回繰り返し、これによって、制御部14は、位置データとの対応付けがなされたn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを得るとともに、これらの各2次元画像データに上述した直交座標系を対応付け、さらに、図3に示したように、得られたn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを空間座標系xyz上に配列した状態で画像データ記憶部12に記憶する。
また、制御部14は、画像データ記憶部12に記憶したn個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に切断線をそれぞれ設定するとともに、各切断線上に1列画像データをそれぞれ設定し、n個の該1列画像データをもとに、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnに設定された初期の縦断面の縦断像を含む3次元縦断像データを作成し、表示回路13を介して、この3次元縦断像データをモニタ9に画面表示させる。この場合、制御部14は、図5に示すように、曲面またはねじれ等を有する帯状の3次元縦断像U0をモニタ9に画面表示させる。
ここで、3次元縦断像U0は、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnの各直交座標系上に設定された切断線を含む縦断面の縦断像として作成されているので、3次元走査が行われた場合に体腔内を移動したプローブ2の実際の移動経路または移動方向等に応じた曲面またはねじれ等を有する帯状の縦断像になる。したがって、3次元縦断像U0は、プローブ2が3次元走査を行った体腔内の被検体に比して形状の歪み等が少なく、実際の被検体とほぼ同じ形状の縦断像を呈する。たとえば、n個の2次元画像データのうちの一つの2次元画像データDm上の切断線Tmが、2次元画像データDmに対応する2次元超音波断層像Gmに捉えられた十二指腸像Emと膵管像fmとを通過するように設定された場合、3次元縦断像U0は、実際の十二指腸とほぼ同じ形状の十二指腸断層像Eと、実際の膵管とほぼ同じ形状の膵管断層像fとを呈することができる。
なお、制御部14は、操作者が入力装置8を用いて画像表示に関する指示情報を入力した場合、この指示情報による指示に基づき、図5に示すように、3次元縦断像U0と2次元超音波断層像Gmとを同一画面内に表示出力してもよい。この場合、2次元超音波断層像Gmには、十二指腸像Em、膵管像fm、画像中心Cm、および切断線Tmが表示され、この切断線Tmは、同一画面内に表示された3次元縦断像U0の縦断面位置に対応する。また、この3次元縦断像U0には、同一画面内に表示された2次元超音波断層像Gmの3次元縦断像U0上の位置を示す直線LGmが表示される。ただし、直線LGmは、この2次元超音波断層像Gmに対応しているので、2次元超音波断層像Gmが別の2次元超音波断層像に切り換えられた場合、直線LGmは、この別の2次元超音波画像に対応する位置に移動する。
つぎに、操作者が、n回のラジアルスキャンを行った後に操作部4の電源スイッチをオフ状態にした場合、制御部14は、プローブ2の電源オフ情報を受信し(ステップS107,Yes)、2次元超音波断層像の切り換え指示、3次元縦断像の回転角度を指定する角度情報、または計測点情報の受付待機状態になる。その後、操作者が、入力装置8を操作して、画面表示された2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に切り換える指示情報(切り換え指示情報)を入力した場合、制御部14は、切り換え指示情報に対応する2次元超音波断層像の切り換え指示を受け付ける(ステップS108,Yes)。この場合、制御部14は、入力受付した切り換え指示情報による切り換え指示に基づき、画像データ記憶部12に記憶された2次元画像データを読み出すとともに、表示回路13を介して、この2次元画像データをモニタ9に送出する。表示回路13は、この2次元画像データに対してD/A変換等の各処理を行い、更新処理部14dは、既に画面表示されている2次元断層像に代えて、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS109)。その後、制御部14は、上述したステップS108以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者が、入力装置8を用いて、画面表示された3次元縦断像の回転角度を指定する角度情報の入力操作を行った場合、制御部14は、切り換え指示情報を受け付けずに(ステップS108,No)、この角度情報を受け付ける(ステップS110,Yes)。この場合、制御部14は、この受け付けた角度情報に対応する角度を3次元縦断像の回転角度として設定するとともに、空間座標系xyzに予め設定された所望直線、たとえば2次元画像データの画像中心を通過する直線を回転軸とし、画面表示されている3次元縦断像に対応する3次元縦断像データをこの回転角度だけ回転する(ステップS111)。これによって、制御部14は、回転前の3次元縦断像データの縦断面をこの回転角度だけ回転するとともに、該回転によって得られた縦断面が含まれた回転後の3次元縦断像データを作成し、更新処理部14dは、この回転前の3次元縦断像データをこの回転後の3次元縦断像データに更新する。
3次元縦断像データが回転後の3次元縦断像データに更新された場合、制御部14は、表示回路13を介して、この回転後の3次元縦断像データをモニタ9に送出し、これと同時に、更新処理部14dは、既に画面表示されている3次元縦断像に代えて、この回転後の3次元縦断像データに対応する3次元縦断像をモニタ9に画面表示させる。これによって、制御部14は、操作者による角度情報の入力操作に応じ、回転前の3次元縦断像を回転後の3次元縦断像に逐次更新する(ステップS112)。その後、制御部14は、上述したステップS108以降の各処理工程を繰り返す。
たとえば、図5に示すように、操作者が、入力装置8を用いてドラッグ操作を行い、画面表示されたカーソルKを上方に所定量移動させた場合、3次元縦断像U0は、この所定量に応じた角度だけ、所定の正方向、たとえば回転軸について反時計回りに回転する。すなわち、画面表示された3次元縦断像U0は、操作者が入力装置8を用いて角度情報を入力した場合、この角度情報に対応する角度に応じて所定方向に回転するので、操作者は、3次元縦断像U0に曲面またはねじれ等があっても、この曲面またはねじれによって隠れた箇所を含めて、3次元縦断像U0に捉えられた全ての縦断像を容易に観察することができる。また、制御部14は、操作者が入力装置8を用いて画像拡大または画像縮小の指示情報を入力した場合、この指示情報による指示に基づき、入力装置8による入力量に応じた大きさに、3次元縦断像U0を拡大または縮小する。
他方、操作者が、入力装置8を用いて、画面表示された3次元縦断像上に所望の計測点を指定する計測点情報の入力操作を行った場合、制御部14は、切り換え指示を受け付けず(ステップS108,No)、かつ、角度情報を受け付けず(ステップS110,No)、この計測点情報を受け付ける(ステップS113,Yes)。この場合、制御部14は、操作者が入力装置8を操作して入力した計測点情報を用いて、3次元縦断像データ上に2つの計測点を設定するとともに、該2つの計測点間のユークリッド距離(計測点間距離)を演算出力し、得られた演算結果を計測点間距離の計測結果として表示出力またはプリンタ出力する(ステップS114)。なお、この計測点が3次元縦断像データ上に設定されてから、計測点間距離の計測結果が表示出力またはプリンタ出力されるまでの処理(計測点間距離計測処理)の詳細については、後述する。
なお、操作者が、入力装置8を用いて、上述した切り換え指示情報、角度情報、および計測点情報の入力操作を行わなかった場合、制御部14は、切り換え指示を受け付けず(ステップS108,No)、かつ、角度情報を受け付けず(ステップS110,No)、かつ、計測点情報を受け付けず(ステップS113,No)、上述したステップS108以降の処理工程を繰り返す。
つぎに、制御部14が、上述したステップS105において、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データに対して初期の縦断面を設定してから、該縦断面の縦断像を含む3次元縦断像データを作成するまでの処理(3次元縦断像データ作成処理)について詳細に説明する。図6は、制御部14が、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データと予め設定された初期縦断情報とをもとに、3次元縦断像作成処理を達成するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図7は、制御部14が、予め設定された初期縦断情報をもとに、n個の2次元画像データの各直交座標系上に初期の縦断位置を設定するとともに、該縦断位置による初期の縦断面を設定する処理(縦断面設定処理)を説明する図である。図8は、画像データ演算部14bが、n個の2次元画像データ上に作成された1列画像データを用い、各隣接1列画像データ間を補間して、縦断面設定処理による縦断面の縦断像を作成する処理(縦断像画像処理)を説明する図である。なお、図8では、紙面での説明の都合上、1列画像データd1,d2,…,dnが同一平面上にあり、かつ互いに平行に描かれているが、実際には同一の平面上に存在するとは限らず、また、互いに平行になるとも限らない。
図6において、軸方向ベクトルと面平行ベクトルとに基づく直交座標系が、上述したステップS103の処理によって、n個の2次元画像データにそれぞれ設定された場合、制御部14は、記憶部14aに予め記憶された初期縦断情報を読み出すとともに、n個の2次元画像データの各直交座標系上に、この初期縦断情報に基づく縦断位置に対応する切断線を設定する。たとえば、この初期縦断情報として設定される縦断位置の座標情報が、2次元画像データの直交座標系上の座標(a1,b1)と画像中心とに対応する場合、制御部14は、図7に示すように、2次元画像データDmの直交座標系AmBm上の座標(a1,b1)の点Qmと、直交座標系AmBm上の原点である画像中心Cmとを縦断位置に対応する点として設定するとともに点Qmと画像中心Cmとを通過する直線を演算出力し、得られた直線を縦断位置に対応する切断線Tmとして設定する。ただし、整数mは、1≦m≦(n−1)を満足する整数であり、直交座標系AmBmは、上述したように、画像中心Cmを原点とし、面平行ベクトルVbmに平行なBm軸と外積ベクトル(Vbm×Vam)に平行なAm軸とからなる直交座標系である。
制御部14は、切断線Tmが2次元画像データDmの直交座標系AmBm上に設定された場合、2次元画像データDmに隣接する2次元画像データDm+1の直交座標系Am+1Bm+1上に、切断線Tm+1を設定する。この場合、制御部14は、切断線Tmの場合と同様に、直交座標系Am+1Bm+1上の座標(a1,b1)の点Qm+1と、直交座標系Am+1Bm+1上の原点である画像中心Cm+1とを縦断位置に対応する点として設定するとともに点Qm+1と画像中心Cm+1とを通過する直線を演算出力し、得られた直線を縦断位置に対応する切断線Tm+1として設定する。このような切断線の設定方法に基づき、制御部14は、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnについて、各直交座標系の座標(a1,b1)の点Q1,Q2,…,Qnと、各直交座標系の原点である画像中心C1,C2,…,Cnとを縦断位置に対応する点としてそれぞれ設定するとともに、点Q1,Q2,…,Qnと画像中心C1,C2,…,Cnとをそれぞれ通過する各切断線T1,T2,…,Tnを設定する。その後、切断面演算部14cは、画像中心C1,C2,…,Cnに対する座標が相対的に同様である各点間を結ぶように、切断線T1,T2,…,Tn上の各点を結び、これによって、切断線T1,T2,…,Tnを含む曲面を演算出力し、制御部14は、この切断面演算部14cが演算出力した曲面を上述した初期の縦断面として設定する(ステップS201)。
制御部14が、n個の2次元画像データについて、切断線T1,T2,…,Tnをそれぞれ設定した場合、画像データ演算部14bは、切断線T1,T2,…,Tnに1列j行(j=1,2,3,…)の画素群をそれぞれ設定するとともに、該画素群の各画素(ボクセルまたはピクセル)の輝度を求めて、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnに対し、1列j行の画素群を有する1列画像データd1,d2,…,dnをそれぞれ作成する(ステップS202)。この場合、1列画像データd1,d2,…,dnは、切断線T1,T2,…,Tnにそれぞれ対応しているので、画像データ演算部14bは、1列画像データd1,d2,…,dnの各画素の位置を空間座標系xyz内の画素位置ベクトルとして求めることができる。
たとえば、2次元画像データDmの直交座標系AmBm上の座標(a1,b1)の点Qmは、画像中心Cmおよび直交座標系AmBmが空間座標系xyz上に存在するので、空間座標系xyzにおける点Qmの位置ベクトルOQmは、この座標(a1,b1)と画像中心Cmの位置ベクトルrmとを用いて、次式(1)によって求められる。
OQm=rm+a1(Vbm×Vam)+b1Vbm ・・・(1)
この場合、切断線Tm上の各点の位置ベクトルは、点Qmとの距離および画像中心Cmとの距離と、式(1)とを用い、切断線Tmに線形に内挿または外挿することによって演算出力される。すなわち、画像データ演算部14bは、画素位置と点Qmとの距離および画素位置と画像中心Cmとの距離と、式(1)とを用いれば、1列画像データdmの各画素の位置を空間座標系xyz内の位置ベクトルとして求めることができる。画像データ演算部14bは、1列画像データd1,d2,…,dnについて、これと同様の演算処理を行った場合、1列画像データd1,d2,…,dnの各画素の画素位置ベクトルを設定することができる。
なお、制御部14が、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnについて、各直交座標系の2つの任意点を縦断位置に対応する点としてそれぞれ設定するとともに、該2つの任意点をそれぞれ通過する直線を切断線として設定した場合、切断面演算部14cは、上述した切断線T1,T2,…,Tnの場合と同様に、初期の縦断面に対応する曲面を演算出力する。この場合、画像データ演算部14bは、画素位置と2つの任意点との各距離と、該2つの任意点の位置ベクトルとを用いれば、上述した1列画像データd1,d2,…,dnの場合と同様に、n個の2次元画像データ上に作成された各1列画像データの各画素の位置を空間座標系xyz内の位置ベクトルとして求めることができる。
つぎに、画像データ演算部14bは、画素位置ベクトルが設定された1列画像データd1,d2,…,dnを用い、各隣接1列画像データ間を補間する。ここで、1列画像データd1,d2,…,dnは、上述したように、2次元画像データD1,D2,…,Dnの各軸方向ベクトルと各面平行ベクトルとに基づき、空間座標系xyz内に配列されるので、縦断位置に対応する点として設定された2つの任意点、たとえば、画像中心C1,C2,…,Cnは、2次元画像データD1,D2,…,Dn上の各直交座標系について同じ座標成分を有し、指定点Q1,Q2,…,Qnは、2次元画像データD1,D2,…,Dn上の各直交座標系について同じ座標成分を有する。したがって、画像データ演算部14bは、1列画像データd1,d2,…,dnの各隣接1列画像データ間を補間する場合、この2つの任意点を基点とし、各基点からの行数によって決定される画素位置が同じ隣接画素間を線形補間する。
たとえば、画像データ演算部14bは、図8に示すように、画像中心C1,C2,…,Cnと同一画素位置の各隣接画素間および点Q1,Q2,…,Qnと同一画素位置の各隣接画素間を線形補間する。また、画像データ演算部14bは、画像中心Cmを基点にi行(i=1,2,…,j)に位置し、かつ、点Qmを基点にk行(k=1,2,…,j)に位置する画素と、画像中心Cm+1を基点にi行(i=1,2,…,j)に位置し、かつ、点Qm+1を基点にk行(k=1,2,…,j)に位置する画素とを線形補間し、1列画像データd1,d2,…,dnの上に設定された全画素について、これと同様の処理を行う。これによって、画像データ演算部14bは、1列画像データd1,d2,…,dnの各隣接1列画像データ間を全て補間することができ、切断線T1,T2,…,Tnを含む縦断面の帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データを作成することができる(ステップS203)。なお、画像データ演算部14bは、隣接する1列画像データdm,dm+1(m=1,2,…,n−1)の各隣接画素間を線形補間する場合、上述した画素位置が各直交座標系について相対的に同じ隣接画素間において、1列画像データdm,dm+1上の各画素の輝度を内挿して、この各隣接画素間の輝度を決定する。
一方、3次元画像処理部14eは、画像データ演算部14bの縦断像画像処理によって作成された帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データと、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データとを用いて、この帯状の縦断像を含む立体的な縦断像に対応する3次元縦断像データを作成する。図9は、制御部14が空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データの縦断面と該縦断面の帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データとを作成した場合に、3次元画像処理部14eが、この帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データと、このn個の2次元画像データとを用いて、この帯状の縦断像を含む立体的な縦断像に対応する3次元縦断像データを作成するまでの処理を説明するフローチャートである。図10は、3次元画像処理部14eが、このn個の2次元画像データの上端部、下端部、および側端部について、隣接する2次元画像データ間を線形補間し、上部表面画像データ、下部表面画像データ、および側部表面画像データを作成する処理(表面画像作成処理)を説明する図である。なお、図10には、縦断面を示す切断線が設定されたn個の2次元画像データが、空間座標系xyzに配列された状態を模式的に示している。
図9および図10において、軸方向ベクトルと面平行ベクトルとに基づく直交座標系が、上述したステップS103の処理によって、n個の2次元画像データにそれぞれ設定された場合、制御部14は、上述したステップS201〜S203と同様の処理を行い、このn個の2次元画像データの縦断位置に対応する各切断線と縦断面とを設定し、さらに、該各切断線上に1列画像データをそれぞれ作成するとともに、これらの1列画像データを用いて、この縦断面の帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データを作成する(ステップS301〜S303)。
つぎに、3次元画像処理部14eは、図10に示すように、切断線T1,T2,…,Tnが設定された2次元画像データD1,D2,…,Dnの上端部について、隣接する2次元画像データ間を線形補間して上部表面画像データI1を作成し、この2次元画像データD1,D2,…,Dnの下端部について、隣接する2次元画像データ間を線形補間して下部表面画像データI2を作成し、この2次元画像データD1,D2,…,Dnの側端部について、隣接する2次元画像データ間を線形補間して側部表面画像データI3を作成する(ステップS304)。
その後、3次元画像処理部14eは、ステップS303において作成された帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データと、ステップS304において作成された上部表面画像データI1、下部表面画像データI2、および側部表面画像データI3と、ステップS301において設定された縦断面によって切断された2次元画像データD1,Dnとを用い、帯状の縦断像、たとえば、3次元縦断像U0を含む立体的な3次元縦断像に対応する3次元縦断像データを作成する(ステップS305)。なお、3次元画像処理部14eは、この立体的な3次元縦断像に対応する3次元縦断像データを作成する場合、上部表面画像データI1、下部表面画像データI2、側部表面画像データI3、帯状の縦断像に対応する3次元縦断像データ、および2次元画像データD1,Dnにおいて、空間座標系xyz内の同じ座標に対応する各部を接続する。
制御部14は、上述したステップS106と同様に、3次元画像処理部14eがステップS305の処理によって作成した3次元縦断像データをモニタ9に送出すれば、この3次元縦断像データに対応する立体的な3次元縦断像をモニタ9に画面表示できる。すなわち、制御部14は、上述したステップS105の処理として、上述したステップS201〜S203の各処理工程に代えてステップS301〜S305の各処理工程を行えば、帯状の縦断像を含む立体的な3次元縦断像に対応する3次元縦断像データを作成できる。図11は、帯状の縦断像を含む立体的な3次元縦断像がモニタ9に画面表示された状態を例示する図である。なお、図11には、図5に示した帯状の3次元縦断像U0に代えて該3次元縦断像U0を含む立体的な3次元縦断像U1が例示され、さらに、図5に示した場合と同様に、2次元超音波断層像Gmが同一画面内に表示された場合を例示している。
図11において、3次元縦断像U1は、帯状の3次元縦断像U1と、上部表面画像データI1に対応する上部表面画像J1と、下部表面画像データI2に対応する下部表面画像J2と、側部表面画像データI3に対応する側部表面画像J3と、2次元画像データD1,Dnに各々対応する2次元画像データG1,Gnとが、空間座標系xyz内の同じ座標に対応する各部にて接続された構成を有するので、たとえば、この2次元超音波断層像G1の十二指腸像E1と3次元縦断像U0の十二指腸断層像Eとが3次元的に接続され、これによって、3次元縦断像U1は、実際の十二指腸の形状に近似した立体的な十二指腸像を呈する。すなわち、3次元縦断像U1は、3次元走査が行われた場合に体腔内を移動したプローブ2の実際の移動経路または移動方向等に応じた曲面またはねじれ等を含む縦断面を有し、プローブ2が3次元走査を行った体腔内の被検体に比して形状の歪み等が少なく、実際の被検体とほぼ同じ形状の縦断像を立体的に呈する。
なお、画面表示された3次元縦断像U1は、操作者が入力装置8を用いて角度情報を入力すれば、上述した3次元縦断像U0の場合と同様に、この角度情報に対応する角度に応じて所定方向に回転するので、操作者は、3次元縦断像U1に曲面またはねじれ等があっても、この曲面またはねじれによって隠れた箇所を含めて、3次元縦断像U1に捉えられた全ての縦断像または断層像を容易に観察することができる。また、制御部14は、操作者が入力装置8を用いて画像拡大または画像縮小の指示情報を入力すれば、上述した3次元縦断像U0の場合と同様に、入力装置8による入力量に応じた大きさに、3次元縦断像U1を拡大または縮小する。
つぎに、制御部14が、上述したステップS114の計測点間距離計測処理を達成するまでの各処理工程について詳細に説明する。図12は、制御部14が計測点間距離計測処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図13は、制御部14が、3次元縦断像U1上に2つの計測点を設定し、該2つの計測点による計測点間距離を計測した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。なお、制御部14が計測点間距離計測処理を開始する前に、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元縦断像を観察し、該3次元縦断像が所望の計測領域を表示していない場合に、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を用いてドラッグ操作を行い、所望の計測領域が表示されるように、この3次元縦断像を回転する角度に関する角度情報の入力操作を行う。この場合、制御部14は、上述したステップS110〜ステップS112の各処理を行い、このドラッグ操作によるカーソルの移動方向に対応する所定方向に、該カーソルの移動量に応じた角度だけ、この3次元縦断像を回転する。
図12および図13において、操作者が、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を操作して、モニタ9に表示されたカーソルKを3次元縦断像U1上の所望位置に移動させるとともに該所望位置を指定し、該所望位置に対応する計測点情報を入力した場合、制御部14は、上述したように、この計測点情報を受け付けるとともに、3次元縦断像U1に対応する3次元縦断像データ上に、この計測点情報による座標成分を有する計測点S1を第1の計測点として設定する(ステップS401)。この場合、制御部14は、空間座標系xyz上に存在する3次元縦断像データ上の点として、計測点S1を設定するので、空間座標系xyzにおける計測点S1の位置ベクトルOS1のベクトル成分は、空間座標系xyzのx成分、y成分、およびz成分を用い、次式(2)によって表される。
OS1=(x1,y1,z1) ・・・(2)
つぎに、制御部14は、計測点S1が設定された3次元縦断像データ上の座標に計測点S1を示すマーカ(第1計測マーカ)を付するとともに、この3次元縦断像データに対応する3次元縦断像U1に重畳した状態で、この第1計測マーカをモニタ9に画面表示させる(ステップS402)。その後、制御部14は、次に指定される計測点の計測点情報の入力受付を待機する状態になり(ステップS403)、操作者が入力装置8を操作して次の計測点情報を入力しない場合、制御部14は、次の計測点情報を受け付けず(ステップS404,No)、操作者の入力操作によって、次の計測点情報が入力されるまで、この待機状態を維持する。
操作者が、上述した計測点S1の場合と同様に、入力装置8を操作して、次の計測点情報を入力した場合、制御部14は、入力された次の計測点情報を受け付けるとともに(ステップS404,Yes)、上述したステップS401と同様に、3次元縦断像U1に対応する3次元縦断像データ上に、この計測点情報による座標成分を有する計測点S2を第2の計測点として設定する(ステップS405)。この場合、空間座標系xyzにおける計測点S2の位置ベクトルOS2のベクトル成分は、上述した計測点S1の場合と同様に、空間座標系xyzのx成分、y成分、およびz成分を用いて、次式(3)によって表される。
OS2=(x2,y2,z2) ・・・(3)
つぎに、制御部14は、上述したステップS402と同様に、計測点S2が設定された3次元縦断像データ上の座標に計測点S2を示すマーカ(第2計測マーカ)を付するとともに、この3次元縦断像データに対応する3次元縦断像U1上に重畳した状態で、この第2計測マーカをモニタ9に画面表示させる(ステップS406)。
その後、制御部14は、3次元縦断像データ上に設定した計測点S1,S2の位置ベクトルOS1,OS2の各ベクトル成分をもとに、計測点S1,S2を結ぶ線分を演算出力し(ステップS407)、得られた線分(S1S2)を3次元縦断像データ上に設定するとともに、該3次元縦断像データに対応する3次元縦断像U1上に重畳した状態で、線分(S1S2)を示す補助線をモニタ9に画面表示させる(ステップS408)。
また、距離演算部14fは、3次元縦断像データ上に設定した計測点S1,S2の位置ベクトルOS1,OS2の各ベクトル成分をもとに、計測点S1,S2間の計測点間距離を演算出力する(ステップS409)。なお、距離演算部14fは、計測点S1,S2が3次元縦断像データ上に設定されれば、この計測点S1,S2の計測点間距離を演算出力できるので、この計測点間距離の演算処理を上述したステップS407による線分(S1S2)の演算処理の前に行ってもよい。ここで、この計測点間距離は、計測点S1,S2間のユークリッド距離であり、計測点S1,S2による線分(S1S2)の長さに該当する。したがって、距離演算部14は、上述した式(2),(3)によって表される計測点S1,S2の位置ベクトルOS1,OS2の各ベクトル成分をもとに、この計測点間距離|S1S2|を次式(4)によって演算出力する。
|S1S2|={(x1−x2)2+(y1−y2)2+(z1−z2)2}1/2・・・(4)
つぎに、制御部14は、ステップS409によって演算出力された計測点間距離を計測結果として所望の単位に換算してモニタ9に画面表示させる(ステップS410)。この場合、制御部14は、図13に示すように、計測点間距離を計測した3次元縦断像U1と同一画面内に計測結果を表示する。その後、操作者が、入力装置8を操作して、この計測点間距離の計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力指示の指示情報を入力した場合、制御部14は、この指示情報に基づくプリンタ出力指示を受け付けるとともに(ステップS411,Yes)、この計測点間距離の計測結果情報をプリンタ10に送出し、プリンタ10に対して、送出した計測結果情報に対応する計測結果を出力する制御を行う(ステップS412)。この場合、プリンタ10は、制御部14の制御のもと、受信した計測結果情報に対応する計測結果を紙面等にプリントする。一方、操作者が、入力装置8を操作して、このプリンタ出力指示の指示情報を入力しない場合、制御部14は、プリンタ出力指示を受け付けず(ステップS411,No)、すなわち、プリンタ10に計測結果をプリントさせずに、この計測点間距離計測処理を達成する。
なお、制御部14は、上述した第1計測マーカと第2計測マーカとを異なる態様で3次元縦断像データ上に付することが望ましい。この場合、制御部14は、図13に示すように、計測点S1を示すマーカとして、たとえば丸形で黄色の第1計測マーカを3次元縦断像データ上に付するとともに、この3次元縦断像データに対応する3次元縦断像U1上に重畳した状態で、この第1計測マーカをモニタ9に画面表示させる。これと同様に、制御部14は、計測点S2を示すマーカとして、たとえば三角形で橙色の第2計測マーカを3次元縦断像データ上に付するとともに、この3次元縦断像データに対応する3次元縦断像U1上に重畳した状態で、この第2計測マーカをモニタ9に画面表示させる。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された第1計測マーカと第2計測マーカとを容易に判別できる。
一方、操作者が、図13に例示する2次元超音波断層像Gmのように、3次元縦断像と同一画面内に表示された2次元超音波断層像を所望の2次元超音波断層像に切り換える操作を行うとともに、順次画面表示された所望の複数の2次元超音波断層像の各々の上に計測点をそれぞれ指定した場合、制御部14は、計測点が指定された各2次元超音波断層像に対応する各2次元画像データ上に計測点をそれぞれ設定し、距離演算部14fは、各2次元画像データ上に設定された計測点の各位置ベクトルのベクトル成分をもとに、異なる2次元超音波断層像間に跨る計測点間距離を演算出力する。図14は、n個の2次元画像データのうちの2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像Gm1上に計測点S1を指定する動作を説明する図である。図15は、n個の2次元画像データのうちの2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像Gm2上に計測点S2を指定する動作を説明する図である。図16は、2次元画像データDm1上に設定された計測点S1と2次元画像データDm2上に設定された計測点S1とによる計測点間距離を演算出力する処理を説明する図である。
図14、図15、および図16において、操作者が、入力装置8を操作して、2次元超音波断層像Gm1を画面表示させる切り換え指示情報を入力した場合、制御部14は、上述したステップS109と同様の処理を行って、モニタ9に2次元超音波断層像Gm1を画面表示させる。つぎに、操作者が、入力装置8を操作して、画面上のカーソルKを2次元超音波断層像Gm1上の所望位置に移動させるとともに、該所望位置に第1の計測点を指定する計測点情報を入力した場合、制御部14は、上述したステップS401およびステップS402の各処理を行って、この所望位置に計測点S1を示す第1計測マーカを表示させる。この場合、制御部14は、この所望位置に対応する2次元画像データDm1の直交座標系Am1Bm1上の座標(a1,b1)に計測点S1を設定するとともに、図14に示すように、この所望位置、たとえば、膵管像fm1上に計測点S1を示す第1計測マーカを表示させる。
その後、操作者が、入力装置8を操作して、2次元超音波断層像Gm2を画面表示させる切り換え指示情報を入力した場合、制御部14は、上述したステップS109と同様の処理を行って、モニタ9に2次元超音波断層像Gm2を画面表示させる。つぎに、操作者が、入力装置8を操作して、画面上のカーソルKを2次元超音波断層像Gm2上の所望位置に移動させるとともに、該所望位置に第2の計測点を指定する計測点情報を入力した場合、制御部14は、上述したステップS405およびステップS406の各処理を行って、この所望位置に計測点S2を示す第2計測マーカを表示させる。この場合、制御部14は、この所望位置に対応する2次元画像データDm2の直交座標系Am2Bm2上の座標(a2,b2)に計測点S2を設定するとともに、図15に示すように、この所望位置、たとえば、十二指腸像Em2上に計測点S2を示す第2計測マーカを表示させる。
制御部14が、2次元画像データDm1の直交座標系Am1Bm1上の座標(a1,b1)に計測点S1を設定し、かつ、2次元画像データDm2の直交座標系Am2Bm2上の座標(a2,b2)に計測点S2を設定した場合、距離演算部14fは、上述したステップS409と同様の処理を行って、図16に示す線分(S1S2)の長さ、すなわち、この計測点S1,S2間の計測点間距離を演算出力する。ただし、2次元画像データDm1,Dm2の各直交座標系Am1Bm1,Am2Bm2は、空間座標系xyz上に存在するので、この直交座標系Am1Bm1上の座標(a1,b1)および直交座標系Am2Bm2上の座標(a2,b2)は、上述した式(1)に基づき、空間座標系xyzのx成分、y成分、およびz成分を用いて表すことができる。
その後、制御部14は、上述したステップS410以降の各処理を行い、この計測点間距離の計測結果をモニタ9に画面表示させ、または、プリンタ10に対して、この計測点間距離の計測結果を紙面等に出力する制御を行う。したがって、制御部14は、このように各処理工程を行えば、異なる2次元超音波断層像間に跨る計測点間距離の計測処理を達成できる。
また、操作者が、入力装置8を操作して、画面上のカーソルKを2次元超音波断層像Gm2上の所望位置に移動させている時に、制御部14が、カーソルKの位置を仮想の計測点S2と捉えて線分(S1S2)の長さを演算し、この結果をモニタ9に画面表示させた場合には、操作者は、計測点S1と計測点S2との距離をリアルタイムで認識することができる。
なお、操作者が、上述したステップS109、ステップS112、またはステップS114に続いて、超音波振動子3aにラジアルスキャンを行わせるとともに、プローブ2を手引きすれば、超音波振動子3aによる3次元走査が再開され、制御部14は、上述したステップS101以降の各処理工程を繰り返す。この場合、制御部14は、モニタ9に既に画面表示された3次元縦断像に対して、この操作者によるプローブ2の手引きに応じて作成された3次元縦断像を追加表示し、これによって、制御部14は、3次元走査における操作者によるプローブ2の手引き操作に応じて逐次、3次元縦断像を延長する。
また、この実施の形態1では、プローブの先端に組み込まれた超音波振動子の近傍に送信コイルが配置され、位置データ算出装置が、この送信コイルから出力された磁場を用いて、この超音波振動子によるラジアルスキャンの位置データを算出していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、操作者がこのプローブを手引きする場合の超音波振動子の移動加速度を検出するとともに該移動加速度の積分処理等を行って、この超音波振動子によるラジアルスキャンの位置データを算出してもよい。
さらに、この実施の形態1では、磁場を発生する送信コイルがプローブ内の超音波振動子の近傍に配置され、該送信コイルによる発生磁場が受信アンテナに検出された場合に、この送信コイルの位置を検出していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、送信コイルを受信アンテナの位置に代わって設け、超音波振動子の挿入方向と該挿入方向に垂直な方向との各指向性が設けられた受信コイルをプローブ内の超音波振動子の近傍に配置し、この受信コイルの位置を検出してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態1では、3次元走査によって得られた複数の2次元画像データと、該3次元走査が行われた位置および方向に関する位置データとを対応付けるとともに、この位置データとの対応付けがなされた複数の2次元画像データを所定の空間座標系内に配列し、その後、この複数の2次元画像データの縦断面として、この3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に対応する曲面を設定するとともに、この縦断面に被検体の縦断像を表示するように構成し、さらに、表示出力された被検体の縦断像上に設定された各計測点の座標情報をもとに、この計測点間距離を演算出力するように構成したので、プローブが体腔内を曲がりながら移動するとともに3次元走査を行った場合であっても、あるいは、プローブが操作者による挿入または手引き等の動作に依存してねじれながら移動するとともに3次元走査を行った場合であっても、この3次元走査におけるプローブの移動経路または移動方向を正確にトレースした縦断像を作成して、実際の被検体とほぼ同じ形状の縦断像を容易に表示出力できるとともに、この縦断像上の特徴的部位または疾患部位等の所望の関心領域について、該関心領域の直径または距離等の所望の長さを正確に計測できる超音波診断装置を実現することができる。
操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、プローブを体腔内に挿入また引き出す駆動装置等を用いることなく、ラジアルスキャン実行中の体腔内のプローブを人為的に挿入または手引きすれば、被検体とほぼ同じ形状の縦断像を容易に得ることができ、さらに、この縦断像上の関心領域に指定した計測点間の正確な長さを容易に計測することができる。これによって、操作者は、手術前に疾患部位の大きさまたは位置を正確に把握でき、手術方針または切除範囲の決定に有用である。また、操作者は、抗癌剤または放射線等による疾患部位の経時的な治療効果を一層正確かつ客観的に判定できる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。上述した実施の形態1では、3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に応じた曲面に被検体の縦断像を作成し、その後、この縦断像上に指定された2つの計測点を空間座標系上に設定するとともに、この2つの計測点による計測点間距離を計測するように構成していたが、この実施の形態2では、空間座標系上に配列した複数の2次元画像データの各隣接2次元画像データ間を補間して3次元画像データを作成し、その後、この3次元画像データ上に指定された平面を切断面として設定するとともに、該切断面の断層像上に指定された2つの計測点の間の距離を計測するように構成している。
図17は、この発明の実施の形態2である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置21は、画像処理装置11に代えて画像処理装置22が配置され、画像処理装置22には、制御部14に代えて制御部23が設けられる。制御部23は、切断面演算部14cに代えて切断面演算部23aを備え、距離演算部14fに代えて距離演算部23bを備える。また、制御部23は、制御部14と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図18は、制御部23が、帯状または立体的な3次元縦断像をモニタ9に画面表示させてから、空間座標系xyz上のn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成し、その後、この3次元画像データをもとに作成した断層像上に2つの計測点を設定し、該2つの計測点による計測点間距離を計測するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図18において、超音波観測装置5が、上述したエコー信号をもとに2次元画像データを作成し、かつ、位置データ算出装置7が、このエコー信号が得られた位置に関する位置データを算出した場合、制御部23は、上述したステップS101〜S106の各処理工程を行い、2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させるとともに、帯状の3次元縦断像または該帯状の3次元縦断像を含む立体的な3次元縦断像をモニタ9に画面表示させる(ステップS501)。
その後、制御部23は、上述したステップS107と同様に、プローブ2の電源オフ情報を受信しない場合(ステップS502,No)、このステップS501以降の処理工程を繰り返す。一方、制御部23がプローブ2の電源オフ情報を受信した場合(ステップS502,Yes)、画像データ演算部14bは、この電源オフ情報が受信されるまでに空間座標系xyzに配列したn個の2次元画像データを用い、各2次元画像データ間の補間および重複部分の平均化等の公知の画像処理を行って、空間座標系xyz上に3次元画像データを作成する(ステップS503)。制御部23は、画像データ演算部14bが作成した3次元画像データを画像データ記憶部12に記憶させる。なお、この3次元画像データは、各軸方向ベクトルVa1,Va2,…,Vanに垂直な平面の断層像データとして、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを有し、空間座標系xyz上の3次元座標に対応する多数のセル(ボクセル)によって構成される。また、各ボクセルには、輝度値に対応する画像データ値が設定される。
つぎに、制御部23は、入力装置8から入力された画面表示処理に関する指示情報のもと、画像データ記憶部12から所望の2次元画像データを読み出すとともに、表示回路13を介して、この2次元画像データをモニタ9に送出し、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる。操作者は、所望の2次元超音波断層像がモニタ9に画面表示された場合、入力装置8を操作して、たとえば、モニタ9に画面表示されたカーソル等を用いて2次元超音波断層像上の所望位置を指定し、この所望位置に対応する指定点情報を入力する。制御部23は、入力装置8から入力された指定点情報をもとに、この2次元超音波断層像に対応する2次元画像データ上に指定点を設定する。操作者は、この指定点情報の入力動作を少なくとも2回行い、これによって、制御部23は、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に、入力された各指定点情報に対応する少なくとも2つの指定点を設定する(ステップS504)。
制御部23がn個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に少なくとも2つの指定点を設定した場合、切断面演算部23aは、設定された2つの指定点を通過する直線を演算出力するとともに、この2つの指定点と記憶部14aから読み出された基準設定点とを含む平面を演算出力する。制御部23は、この平面を回転基準平面である基準切断面として設定するとともに、この直線を該基準切断面の回転軸として設定する。なお、切断面演算部23aは、この2つの指定点が含まれ、かつ、記憶部14aから読み出された基準法線ベクトルを有する平面を演算出力してもよい。
その後、画像データ演算部14bは、制御部23が画像データ記憶部12から読み出した3次元画像データを用いて、この基準切断面の2次元断層像データを含む3次元的な断層像データ(3次元基準断層像データ)を作成する。制御部23は、画像データ演算部14bが作成した3次元基準断層像データを画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この3次元基準断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部23は、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS505)。
つぎに、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、入力装置8を操作して、制御部23に角度情報を入力する。たとえば、操作者が、マウスを用いてカーソルを画面上の所定位置に移動させ、その後、マウスのボタンを押した場合に、制御部23は、角度情報の入力受付状態に切り換えられ、さらに、操作者が、ドラッグ操作等を行って、入力装置8から角度情報を入力した場合、制御部23は、入力装置8から入力された角度情報を受け付ける(ステップS506,Yes)。この場合、切断面演算部23aは、入力装置8から入力された角度情報に対応する角度と上述した指定点情報とをもとに、基準切断面が該角度だけ回転した平面を演算出力し、制御部23は、この平面を指定切断面として設定する。画像データ演算部14bは、制御部23が画像データ記憶部12から読み出した3次元画像データを用いて、この指定切断面の2次元断層像データを含む3次元的な断層像データ(3次元指定断層像データ)を作成する。制御部23は、画像データ演算部14bが作成した3次元指定断層像データを画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部23は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS507)。
その後、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部23に角度情報を入力する。制御部23は、入力装置8から入力された角度情報を受け付けるとともに、ステップS506以降の処理工程を繰り返す。すなわち、制御部23は、操作者が所望の関心領域の画面表示を確認するまで、上述したステップS506以降の各処理工程を繰り返す。
一方、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部23に角度情報を入力する操作を行わず、画面表示された各種断層像上に指定する計測点に関する計測点情報の入力操作を行う。この場合、制御部23は、角度情報を受け付けずに(ステップS506,No)、計測点情報を受け付け(ステップS508,Yes)、その後、制御部23は、上述したステップS114と同様に、各種断層像上に設定した2つの計測点による計測点間距離計測処理を達成する。
なお、操作者が、入力装置8を用いて、上述した角度情報および計測点情報の入力操作を行わなかった場合、制御部23は、角度情報を受け付けず(ステップS506,No)、かつ、計測点情報を受け付けず(ステップS508,No)、上述したステップS506以降の処理工程を繰り返す。この場合、制御部23は、操作者の入力操作によって入力された角度情報または計測点情報を受け付けるまで、モニタ9に対し、画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像の状態を維持する制御を行う。
ここで、制御部23が2次元画像データ上に2つの指定点を設定した場合に、切断面演算部23aが、2つの指定点を通過する直線と、2つの指定点と予め設定された基準設定点とを含む基準切断面とを演算出力する処理について詳細に説明する。図19は、2次元画像データ上に設定された2つの指定点を通過する直線と基準切断面との設定を説明する図である。図19に示すように、制御部23は、入力装置8から入力された指定点情報をもとに、n個の2次元画像データに含まれる2次元画像データDm1,Dm2上に、指定点P1,P2をそれぞれ設定している。なお、2次元画像データDm1は、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データのm1個目の2次元画像データであり、2次元画像データDm2は、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データのm2個目の2次元画像データである。また、整数m1,m2は、整数n以下の正の整数であり、整数m1は整数m2より小さい。
切断面演算部23aは、指定点P1の座標情報と指定点P2の座標情報とをもとに、指定点P1,P2を通過する直線Lを演算出力する。また、切断面演算部23aは、指定点P1,P2の各座標情報と予め設定された基準設定点(図示せず)の座標情報とをもとに、指定点P1,P2および基準設定点を含む平面を演算出力する。この場合、制御部23は、図19に示すように、この平面を基準切断面H0として設定するとともに、直線Lを基準切断面H0の回転軸として設定する。すなわち、基準切断面H0は、直線Lを回転軸として含み、上述したステップS503において作成された3次元画像データを切断する切断面の回転基準面である。したがって、制御部23が入力装置8から入力された角度情報を受け付けた場合、切断面演算部23aは、この角度情報に対応する角度θを用いて、基準切断面H0を角度θだけ回転させた平面を演算出力し、制御部23は、この平面を指定切断面Hとして設定する。
なお、切断面演算部23aは、指定点P1,P2の各座標情報と予め設定された基準法線ベクトル(図示せず)とをもとに、指定点P1,P2を含む平面を演算出力してもよく、この場合、制御部23は、上述した基準設定点を用いた場合と同様に、基準切断面H0を設定できる。この基準設定点、基準法線ベクトル、および基準切断面H0の設定方法の詳細については、後述する。
つぎに、切断面演算部23aが、制御部23に入力された角度情報に対応する角度θを用いて、基準切断面H0を角度θだけ回転させた平面、すなわち指定切断面Hを演算出力する処理について詳細に説明する。図20は、切断面演算部23aが、直線Lを回転軸として基準切断面H0から角度θだけ回転した指定切断面Hを演算出力する処理を説明する図である。図20に示すように、基準切断面H0は、指定点P1,P2と基準設定点とを用いて、または基準法線ベクトルを用いて決定される単位法線ベクトルe0を有する。また、指定切断面Hは、直線Lを回転軸として、基準切断面H0を角度θだけ回転した平面であるため、切断面演算部23aは、直線Lを回転軸として、単位法線ベクトルe0を角度θだけ回転して得られる単位法線ベクトルeと指定点P1,P2とを用いれば、指定切断面Hを演算出力できる。
ここで、図20に示すように、点P3が、指定点P1と指定点P2とを結ぶ線分の中点として仮定され、基準設定点R0が、直線Lに垂直であって、点P3と基準設定点R0とを結ぶ単位長の線分を構成する基準切断面H0上の点として仮定され、さらに、点Rが、直線Lを回転軸として基準設定点R0を角度θだけ回転して得られる指定切断面H上の点として仮定された場合、指定切断面Hの単位法線ベクトルeは、指定点P1,P2の各位置ベクトルOP1,OP2と点Rの位置ベクトルORとを用いて、次式(5)によって求められる。
e=(OP2−OP1)×(OR−OP1)
/|(OP2−OP1)×(OR−OP1)| ・・・(5)
また、点P3は、指定点P1と指定点P2とを結ぶ線分の中点として仮定されているので、点P3の位置ベクトルOP3は、次式(6)によって求められる。
OP3=(OP1+OP2)/2 ・・・(6)
また、ベクトルP1P2の単位ベクトルtが仮定された場合、単位ベクトルtは、次式(7)によって求められる。
t=(OP2−OP1)/|OP2−OP1| ・・・(7)
この場合、ベクトルP3Rは、位置ベクトルOP1,OP2と単位ベクトルtと角度θとを用いて、次式(8)によって求められる。
P3R={(OP1×OP2)/|OP1×OP2|}cosθ
+{t×(OP1×OP2)/|t×(OP1×OP2)|}sinθ
・・・(8)
したがって、位置ベクトルORは、式(6)〜(8)を用いて、次式(9)によって求められる。
OR=OP3+P3R
=(OP1+OP2)/2+{(OP1×OP2)/|OP1×OP 2|}cosθ+{(OP2−OP1)/|OP2−OP1|}
×{(OP1×OP2)/|OP1×OP2|}sinθ ・・・(9)
この式(5),(9)によれば、切断面演算部23aは、指定点P1,P2の各位置ベクトルOP1,OP2と基準切断面H0の回転角度である角度θとを用いて、単位法線ベクトルeを演算出力できる。すなわち、切断面演算部23aは、制御部23が受信した指定点情報と角度情報とを用いて単位法線ベクトルeを演算出力するとともに、該指定点情報と単位法線ベクトルeとを用いて指定切断面Hを演算出力できる。ただし、切断面演算部23aは、この角度θが零である場合、基準切断面H0を演算出力する。すなわち、基準設定点R0の位置ベクトルOR0は、式(9)の角度θとして零を代入すれば求めることができ、基準法線ベクトルe0は、角度θが零の場合の位置ベクトルOR(すなわち位置ベクトルOR0)と位置ベクトルOP1,OP2とを用い、式(5)に基づいて求めることができ、基準切断面H0は、指定点P1,P2と基準設定点R0とを含み、基準法線ベクトルe0を法線とする平面として演算出力され、この方法によって、基準設定点R0、基準法線ベクトルe0、および基準切断面H0が設定される。この場合、基準切断面H0は、幾何学的に、原点Oと指定点P1,P2とを含む面に対して垂直に交わる面になる。
なお、3次元画像を作成するための一般的なライブラリソフトウェアが制御部23に搭載されている場合、制御部23は、単位法線ベクトルeと、原点Oと指定切断面Hとの距離とが入力されれば、空間座標系xyz上の3次元画像データを指定切断面Hにて切断するとともに、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成できる。この原点Oと指定切断面Hとの距離は、単位法線ベクトルeと位置ベクトルOP1との内積または単位法線ベクトルeと位置ベクトルOP2との内積を用いて求められるので、制御部23は、上述した式(5),(9)に基づき、入力装置8から入力された指定点情報と角度情報とを用いて指定切断面Hを求めるとともに、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成できる。この場合、操作者が入力装置8を用いてドラッグ操作等を行う毎に、制御部23は、このドラッグ操作等によるカーソルの移動量に応じた角度情報を順次受け付けるとともに、順次受け付けた角度情報に応じて基準切断面を回転させ、これによって、指定切断面を順次求めるとともに、求めた指定切断面における3次元指定断層像データを作成または更新し、該3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる。
つぎに、上述したステップS504において、制御部23が、入力装置8から入力された指定点情報を用いて2次元画像データ上に指定点を設定する処理(指定点設定処理)について詳細に説明する。図21は、制御部23が指定点設定処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図22は、2次元画像データDm1上に指定点P1を設定する処理(第1指定点設定処理)を説明する図である。図23は、2次元画像データDm2上に指定点P2を設定する処理(第2指定点設定処理)を説明する図である。
図21、図22、および図23において、制御部23は、操作者が画面表示処理に関する指示情報として入力した2次元超音波断層像の切り換え指示情報のもと、上述したステップS109と同様に、画像データ記憶部12から所望の2次元画像データ、たとえば2次元画像データDm1を読み出す(ステップS601)とともに、表示回路13を介して、2次元画像データDm1をモニタ9に送出し、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS602)。
操作者は、この2次元超音波断層像に所望の関心領域が画面表示されているか否かを確認し、所望の関心領域が画面表示されていない場合、入力装置8を操作して2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に切り換える指示情報を制御部23に入力する。この場合、制御部23は、指定点情報を受け付けずに(ステップS603,No)、上述したステップS601以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者が、所望の関心領域として、たとえば、図22に示す膵管像fm1の画面表示を確認した場合、操作者は、入力装置8を操作して、たとえば、モニタ9に画面表示されたカーソルKを膵管像fm1に移動させるとともに、膵管像fm1上に指定点P1を指定する指定点情報を入力する。この場合、制御部23は、この操作者の入力操作によって入力された指定点情報を受け付けるとともに(ステップS603,Yes)、この指定点情報をもとに、2次元画像データDm1上の膵管像fm1に対応する座標に指定点P1を設定する(ステップS604)。その後、制御部23は、指定点P1として設定された座標上に指定点P1を示すマーカ(第1マーカ)を付するとともに、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、第1マーカをモニタ9に画面表示させる。
ここで、制御部23は、上述したように、2次元画像データDnに対して、画像中心Cnを原点とし、面平行ベクトルVbnに平行な軸と外積ベクトル(Vbn×Van)に平行な軸とによる直交座標系を設定できるので、2次元画像データDm1上には、図22に示すように、画像中心Cm1を原点とし、面平行ベクトルVbm1に平行な軸Bm1と外積ベクトル(Vbm1×Vam1)に平行な軸Am1とによる直交座標系Am1Bm1が設定される。この場合、制御部23は、2次元画像データDm1上の膵管像fm1に対応する座標(a1,b1)に指定点P1を設定する。したがって、指定点P1の位置ベクトルOP1は、この座標(a1,b1)と画像中心Cm1の位置ベクトルrm1とを用い、かつ、軸方向ベクトルVam1および面平行ベクトルVbm1が単位長であることに基づき、次式(10)によって求められる。
OP1=rm1+a1(Vbm1×Vam1)+b1Vbm1 ・・・(10)
ただし、外積ベクトル(Vbm1×Vam1)は、軸Am1の方向ベクトルに相当し、面平行ベクトルVbm1は、軸Bm1の方向ベクトルに相当する。このように、指定点P1に対応する座標(a1,b1)は、式(10)に基づき、空間座標系xyz上の3つの成分からなる座標で表現できる。すなわち、制御部23は、空間座標系xyz上の点として、2次元画像データDm1上に指定点P1を設定する。
つぎに、操作者は、入力装置8を操作して2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に切り換える指示情報を制御部23に入力する。制御部23は、この指示情報に基づき、上述したステップS109と同様に、画像データ記憶部12から所望の2次元画像データ、たとえば2次元画像データDm2を読み出す(ステップS605)とともに、表示回路13を介して、2次元画像データDm2をモニタ9に送出し、2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS606)。操作者は、この2次元超音波断層像に所望の関心領域が画面表示されているか否かを確認し、所望の関心領域が画面表示されていない場合、入力装置8を操作して2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に切り換える指示情報を制御部23に入力する。この場合、制御部13は、指定点情報を受け付けずに(ステップS607,No)、上述したステップS605以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者が、所望の関心領域として、たとえば、図23に示す胆管像gm2の画面表示を確認した場合、操作者は、入力装置8を操作して、たとえば、モニタ9に画面表示されたカーソルKを胆管像gm2に移動させるとともに、胆管像gm2上に指定点P2を指定する指定点情報を入力する。この場合、制御部23は、この操作者の入力操作によって、この指定点情報を受け付けるとともに(ステップS607,Yes)、この指定点情報をもとに、2次元画像データDm2上の胆管像gm2に対応する座標に指定点P2を設定する(ステップS608)。
なお、2次元画像データDm2上には、上述した指定点P1の場合と同様に、画像中心Cm2を原点とし、面平行ベクトルVbm2に平行な軸Bm2と外積ベクトル(Vbm2×Vam2)に平行な軸Am2とによる直交座標系Am2Bm2が設定され、指定点P2は、図23に示すように、2次元画像データDm2上の胆管像gm2に対応する座標(a3,b3)に設定される。したがって、指定点P2の位置ベクトルOP2は、この座標(a3,b3)と画像中心Cm2の位置ベクトルrm2とを用い、かつ、軸方向ベクトルVam2および面平行ベクトルVbm2が単位長であることに基づき、次式(11)によって求められる。
OP2=rm2+a2(Vbm2×Vam2)+b2Vbm2 ・・・(11)
すなわち、制御部23は、空間座標系xyz上の点として、2次元画像データDm2上に指定点P2を設定する。その後、制御部23は、指定点P2として設定された座標上に指定点P2を示すマーカ(第2マーカ)を付するとともに、2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、第2マーカをモニタ9に画面表示させる。
なお、制御部23は、上述した第1計測マーカおよび第2計測マーカの場合と同様に、この第1マーカと第2マーカとを異なる態様で2次元画像データ上に付することが望ましい。たとえば、制御部23は、図22に示すように、指定点P1を示すマーカとして、+形で赤色の第1マーカを2次元画像データDm1上に付するとともに、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、この第1マーカをモニタ9に画面表示させる。また、制御部23は、図23に示すように、指定点P2を示すマーカとして、たとえば×形で緑色の第2マーカを2次元画像データDm2上に付するとともに、2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、この第2マーカをモニタ9に画面表示させる。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された第1マーカと第2マーカとを容易に判別できる。
つぎに、上述したステップS505において、制御部23が、設定した2つの指定点を用いて基準切断面と該基準切断面の回転軸とを設定し、その後、設定した基準切断面における3次元基準断層像データを作成するとともに、該3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させるまでの処理(3次元基準断層像表示処理)について詳細に説明する。図24は、制御部23が3次元基準断層像表示処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図25は、制御部23が3次元基準断層像を画面表示した状態を説明する図である。
図24および図25において、制御部23が、上述したステップS504の処理を行って、たとえば、2次元画像データDm1上および2次元画像データDm2上に指定点P1,P2をそれぞれ設定した場合、切断面演算部23aは、図19に示したように、指定点情報を用いて指定点P1,P2を通過する直線Lを演算出力するとともに、記憶部14aから読み出された基準設定点と指定点P1,P2とを含む平面、または記憶部14aから読み出された基準法線ベクトルと指定点P1,P2とを有する平面を演算出力する。この場合、制御部23は、切断面演算部23aによって演算出力された平面を基準切断面H0として設定するとともに、直線Lを基準切断面H0の回転軸として設定する(ステップS701)。
つぎに、制御部23は、上述したステップS503において作成した3次元画像データを画像データ記憶部12から読み出し(ステップS702)、その後、画像データ演算部14bは、この3次元画像データを用いて、基準切断面H0における3次元基準断層像データを作成する(ステップS703)。制御部23は、画像データ演算部14bが作成した3次元基準断層像データを画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この3次元基準断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部23は、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像W0をモニタ9に画面表示させる(ステップS704)。
この場合、制御部23は、図25に示すように、3次元基準断層像W0上に、2次元画像データの膵管像に対応する膵管断層像f0と、2次元画像データの胆管像に対応する胆管断層像g0とを表示するとともに、第1マーカによって表示された指定点P1、第2マーカによって表示された指定点P2、および直線Lに対応する補助線L1を膵管断層像f0上または胆管断層像g0上に重畳的に表示する。ただし、制御部23は、上述したように、第1マーカと第2マーカとを異なる態様で画面表示させることが望ましく、制御部23は、たとえば、+形で赤色の第1マーカを膵管断層像f0に重畳して画面表示させるとともに、×形で緑色の第2マーカを胆管断層像g0に重畳して画面表示させる。さらに、制御部23は、図25に示すように、3次元基準断層像W0と所望の2次元超音波断層像とを同一画面に出力するようにモニタ9を制御する。これによって、モニタ9には、3次元基準断層像W0と、所望の2次元超音波断層像、たとえば、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像Gm1とが、相互に重畳しないように、同一画面上に出力表示される。
このように、制御部23は、2次元超音波断層像Gm1上の第1マーカと3次元基準断層像W0上の第1マーカとを同じ態様にし、第1マーカと第2マーカとの態様を変えてモニタ9に画面表示させたので、たとえば、図25に示すように、膵管を示す+形で赤色の第1マーカが表示された2次元超音波断層像Gm1がモニタ9に表示されている場合には、この第1マーカと、3次元基準断層像W0の膵管断層像f0上に表示された同様の+形で赤色の第1マーカとの位置の対応がつけ易く、第2マーカが示す胆管との混同を避けることができる。
つぎに、上述したステップS507において、制御部23が、指定点情報と角度情報とを用いて指定切断面を設定し、その後、設定した指定切断面における3次元指定断層像データを作成するとともに、該3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させるまでの処理(3次元指定断層像表示処理)について詳細に説明する。図26は、制御部23が3次元指定断層像表示処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図27は、制御部23が3次元指定断層像を画面表示した状態を説明する図である。
図26および図27において、操作者が、入力装置8を用いてドラッグ操作等を行って、モニタ9上のカーソルKを所定方向、たとえば画面の上下方向に移動させ、このカーソルKの移動量および移動方向に応じた角度θを角度情報として入力するとともに、制御部23が、この角度情報を受け付けた場合、切断面演算部23aは、この角度情報に対応する角度θと上述した指定点情報とをもとに、基準切断面H0が直線Lを回転軸として角度θだけ回転した平面を演算出力し、制御部23は、この演算出力された平面を指定切断面Hとして設定する(ステップS801)。この場合、切断面演算部23aは、上述した式(5)および式(9)に基づき、角度θと指定点P1,P2の各座標に関する情報とを用いて指定切断面Hを演算出力する。
つぎに、制御部23は、指定切断面Hが設定された場合、上述したステップS503において作成した3次元画像データを画像データ記憶部12から読み出し(ステップS802)、その後、画像データ演算部14bは、この3次元画像データを用いて、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成する(ステップS803)。制御部23は、画像データ演算部14bが作成した3次元指定断層像データを画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部23は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像Wをモニタ9に画面表示させる(ステップS804)。
この場合、制御部23は、図27に示すように、3次元指定断層像W上に、2次元画像データの膵管像に対応する膵管断層像f、2次元画像データの胆管像に対応する胆管断層像g、および胆管と膵管との合流部(胆管膵管合流部)の断層像である胆管膵管合流部像fgを表示するとともに、第1マーカによって表示された指定点P1、第2マーカによって表示された指定点P2、および直線Lに対応する補助線L1を膵管断層像f上または胆管断層像g上に重畳的に表示する。ただし、制御部23は、上述した3次元基準断層像W0の場合と同様に、第1マーカと第2マーカとを異なる態様で画面表示させることが望ましく、制御部23は、たとえば、+形で赤色の第1マーカを膵管断層像fに重畳して画面表示させるとともに、×形で緑色の第2マーカを胆管断層像gに重畳して画面表示させる。さらに、制御部23は、図27に示すように、3次元指定断層像Wと所望の2次元超音波断層像とを同一画面に出力するようにモニタ9を制御する。これによって、モニタ9には、3次元基準断層像Wと、所望の2次元超音波断層像、たとえば、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像Gm1とが、相互に重畳しないように、同一画面上に出力表示される。
したがって、操作者は、入力装置8を用いてドラッグ操作等を行って、膵管および胆管の各断層像がともに表示された3次元基準断層像W0の基準切断面H0を回転する指示情報、すなわち、直線Lを回転軸として基準切断面H0を回転する角度θの角度情報を入力すれば、図27に示すように、特徴的部位である胆管膵管合流部像fgまたは疾患部位である腫瘍断層像h等の関心領域の実際の形状に近似した断層像を容易に得ることができる。また、上述したステップS801〜S804において、制御部23の処理速度が十分速い場合、このドラッグ操作による入力量に応じて変化する回転角度の指定切断面の3次元指定断層像データが、このドラッグ操作に同期して、逐次モニタ9に出力される。このため、操作者は、胆管膵管合流部像fgまたは腫瘍断層像h等の関心領域の断層像を一層容易に得ることができる。
つぎに、制御部23が、上述したステップS509の計測点間距離計測処理を達成するまでの各処理工程について詳細に説明する。図28は、制御部23が3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に指定された2つの計測点に関する計測点間距離計測処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図29は、制御部23が、関心領域の断層像である腫瘍断層像hが表示された3次元指定断層像W上に2つの計測点を設定し、該2つの計測点による計測点間距離を計測した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。
図28および図29において、操作者が、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を操作して、モニタ9に表示されたカーソルを3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の所望位置に移動させるとともに該所望位置を指定し、該所望位置に対応する計測点情報を入力した場合、制御部23は、この計測点情報を受け付けるとともに、上述したステップS401〜S403と同様の処理を行い、この計測点情報に基づく計測点S1を第1の計測点として設定するとともに、この所望位置に計測点S1を示す第1計測マーカを画面表示し、その後、制御部23は、次の計測点情報の受付待機状態になる(ステップS901〜S903)。この場合、制御部23は、たとえば、この所望位置として指定された3次元指定断層像W上の胆管膵管合流部像fgの位置に計測点S1を示す第1計測マーカを重畳的に表示させる。なお、操作者が入力装置8を操作して次の計測点情報を入力しない場合、制御部23は、次の計測点情報を受け付けず(ステップS904,No)、この受付待機状態を維持する。
操作者が、上述した計測点S1の場合と同様に、入力装置8を操作して、別の所望位置に計測点を指定する次の計測点情報を入力した場合、制御部23は、入力された次の計測点情報を受け付けるとともに(ステップS904,Yes)、上述したステップS405〜S408と同様の処理を行い、この次の計測点情報に基づく計測点S2を第2の計測点として設定するとともに、この別の所望位置に計測点S2を示す第2計測マーカを画面表示し、さらに、計測点S1,S2を結ぶ線分(S1S2)を演算出力するとともに、求めた線分(S1S2)を示す補助線を画面表示する(ステップS905〜S908)。この場合、制御部23は、たとえば、この別の所望位置として指定された3次元指定断層像W上の腫瘍断層像hの位置に計測点S2を示す第2計測マーカを重畳的に表示させるとともに、線分(S1S2)を示す補助線を3次元指定断層像W上に重畳的に表示させる。
つぎに、距離演算部23bは、上述したステップS409およびS410と同様の処理を行い、制御部23が設定した計測点S1,S2による計測点間距離を演算出力するとともに、図29に示すように、得られた計測点間距離を計測結果として所望の単位に換算してモニタ9に画面表示させる(ステップS909,S910)。その後、操作者が、入力装置8を操作して、この計測点間距離の計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力指示の指示情報を入力した場合、制御部23は、この指示情報に基づくプリンタ出力指示を受け付けるとともに(ステップS911,Yes)、上述したステップS412と同様の処理を行い、プリンタ10に対して、この計測点間距離の計測結果を出力する制御を行う(ステップS912)。一方、操作者が、入力装置8を操作して、このプリンタ出力指示の指示情報を入力しない場合、制御部23は、プリンタ出力指示を受け付けず(ステップS911,No)、すなわち、プリンタ10に計測結果をプリントさせずに、この計測点間距離計測処理を達成する。これによって、操作者は、たとえば、図29に示すように、関心領域としての腫瘍断層像hを容易に探し出せるとともに、特徴的部位である胆管膵管合流部像fgと腫瘍断層像hとの距離を正確に計測することができ、被検体の超音波診断を効率的に行うことができる。
また、操作者が、入力装置8を操作して、画面上のカーソルKを2次元超音波断層像Gm2上の所望位置に移動させている時に、制御部14が、カーソルKの位置を仮想の計測点S2と捉えて線分(S1S2)の長さを演算し、この結果をモニタ9に画面表示させた場合には、操作者は、計測点S1と計測点S2との距離をリアルタイムで認識することができる。
なお、操作者が、入力装置8を用いて、第1マーカ、第2マーカ、補助線、第1計測マーカ、第2計測マーカ、または2次元超音波断層像の画面表示を消去する指示情報を入力した場合、制御部23は、この指示情報による指示のもと、モニタ9に対して、画面表示された第1マーカ、第2マーカ、補助線、第1計測マーカ、第2計測マーカ、または2次元超音波断層像を消去する制御を行ってもよい。また、操作者が、入力装置8を用いて、第1マーカ、第2マーカ、補助線、第1計測マーカ、第2計測マーカ、または2次元超音波断層像の画面表示を再表示する指示情報を入力した場合、制御部23は、この指示情報による指示のもと、モニタ9に対して、消去された第1マーカ、第2マーカ、補助線、第1計測マーカ、第2計測マーカ、または2次元超音波断層像を再表示する制御を行ってもよい。さらに、操作者が、入力装置8を用いて、3次元基準断層像または3次元指定断層像と同一画面に表示された2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に切り換える指示情報を入力した場合、制御部23は、この指示情報による指示のもと、モニタ9に対して、画面表示された2次元超音波断層像を切り換える制御を行ってもよい。
また、この実施の形態2では、3次元指定断層像上の所望位置に2つの計測点を設定した場合を例示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、3次元基準断層像上の所望位置に2つの計測点を設定し、該2つの計測点の計測点間距離を演算出力してもよいし、2次元超音波断層像上の所望位置に2つの計測点を設定し、該2つの計測点の計測点間距離を演算出力してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態2では、3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に関する位置データが対応付けられた複数の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成し、所望の2次元超音波断層像上に指定点を2つ指定する指定点情報が入力された場合、該2次元超音波断層像に対応する各2次元画像データ上に該指定点情報に対応する指定点をそれぞれ設定するとともに、これら2つの指定点を含む基準切断面と、これら2つの指定点を通過する該基準切断面の回転軸とを演算出力し、その後、この3次元画像データと該基準切断面とをもとに、該基準切断面における3次元基準断層像を画面表示するように構成している。また、この基準切断面の所望の回転角度に関する角度情報が入力された場合、この角度情報と上述した指定点情報とをもとに、この基準切断面を該角度情報に対応する角度だけ回転した指定切断面を演算出力し、その後、この3次元画像データと該指定切断面とをもとに、該指定切断面における3次元指定断層像を画面表示するように構成している。さらに、画面表示された3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の所望位置に2つの計測点が指定された場合、この所望位置に対応する座標情報をもとに、この2つの計測点間のユークリッド距離である計測点間距離を演算出力するように構成している。したがって、胆管と膵管との合流部等の体腔内の特徴的部位または腫瘍等の疾患部位等の関心領域の断層像を一つの画面内に容易に表示出力できるとともに、この関心領域についての長さを正確に計測できる超音波診断装置を実現することができ、操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、この関心領域の断層像を容易に探し出すことができるとともに、探し出した関心領域について、その長さまたは生体内における位置関係を正確に把握でき、これによって、生体内の超音波診断を迅速かつ的確に行うことができる。したがって、操作者が3次元指定断層像と計測点とを適切に選べば、操作者は、たとえば胆管膵管合流部から何mmの位置に疾患部位が存在するか、また、胆管や膵管等の脈管に沿って何mmの長さで疾患部位が広がっているか、また、疾患部位の最大径が何mmかの情報をより正確かつ客観的に得ることができ、手術前の手術方針または切除範囲の決定に有用である。また、抗癌剤または放射線等による疾患部位の経時的な治療効果を一層正確かつ客観的に判定できる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。上述した実施の形態2では、所望の断層像上の所望位置に2つの計測点が指定された場合に、この所望位置に対応する各座標上に計測点をそれぞれ設定するとともに、この2つの計測点による計測点間距離を演算出力するように構成していたが、この実施の形態3では、所望の断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合に、この所望位置に対応する各座標上に計測点をそれぞれ設定するとともに、この少なくとも3つの計測点によって決定される計測範囲の周囲長等の長さを演算出力するように構成している。
図30は、この発明の実施の形態3である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置31は、画像処理装置22に代えて画像処理装置32が配置され、画像処理装置32には、制御部23に代えて制御部33が設けられる。制御部33は、制御部23に周囲長演算部33aが追加された構成を有し、制御部23と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図31は、制御部33が、帯状または立体的な3次元縦断像をモニタ9に画面表示させてから、空間座標系xyz上のn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成し、その後、この3次元画像データをもとに作成した3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に少なくとも3つの計測点を設定し、該少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測範囲の周囲長を計測するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図31において、超音波観測装置5が、上述したエコー信号をもとに2次元画像データを作成し、かつ、位置データ算出装置7が、このエコー信号が得られた位置に関する位置データを算出した場合、制御部33は、上述したステップS501〜S507と同様に、ステップS1001〜S1007の各処理工程を行う。
つぎに、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部33に角度情報を入力する操作を行わず、画面表示された各種断層像上に指定する計測点に関する計測点情報の入力操作を行う。この場合、制御部33は、角度情報を受け付けずに(ステップS1006,No)、計測点情報を受け付け(ステップS1008,Yes)、その後、制御部33は、操作者が入力装置8を操作して入力した計測点情報を用いて、3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に少なくとも3つの計測点を設定するとともに、該少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測領域の周囲長を演算出力し、得られた演算結果を該周囲長の計測結果として表示出力またはプリンタ出力する(ステップS1009)。なお、この計測点が3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に設定されてから、周囲長の計測結果が表示出力またはプリンタ出力されるまでの処理(周囲長計測処理)の詳細については、後述する。
一方、操作者が、入力装置8を用いて、上述した角度情報および計測点情報の入力操作を行わなかった場合、制御部33は、角度情報を受け付けず(ステップS1006,No)、かつ、計測点情報を受け付けず(ステップS1008,No)、上述したステップS1006以降の処理工程を繰り返す。この場合、制御部33は、操作者の入力操作によって入力された角度情報または計測点情報を受け付けるまで、モニタ9に対し、画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像の状態を維持する制御を行う。
つぎに、制御部33が、上述したステップS1009の周囲長計測処理を達成するまでの各処理工程について詳細に説明する。図32は、制御部33が3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に指定された計測範囲の周囲長に関する周囲長計測処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図33は、制御部33が、関心領域の断層像である腫瘍断層像hが表示された3次元指定断層像W上に所望数、たとえば5つの計測点を設定し、この5つの計測点によって囲まれる計測範囲の周囲長を計測した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。
図32および図33において、操作者が、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を操作して、モニタ9に表示されたカーソルを3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の所望位置に移動させるとともに該所望位置を指定し、該所望位置に対応する計測点情報を入力した場合、制御部33は、この計測点情報を受け付けるとともに、上述したステップS901〜S903と同様の処理を行い、この計測点情報に基づく計測点S1を初期の計測点として設定するとともに、この所望位置に計測点S1を示す第1計測マーカを画面表示し、その後、制御部33は、次の計測点情報の受付待機状態になる(ステップS1101〜S1103)。たとえば、制御部33は、図33に示すように、この所望位置として指定された3次元指定断層像W上の腫瘍断層像hと膵管断層像fとの境界近傍の位置に計測点S1を示す第1計測マーカを重畳的に表示させる。なお、操作者が入力装置8を操作して次の計測点情報を入力しない場合、制御部33は、次の計測点情報を受け付けず(ステップS1104,No)、この受付待機状態を維持する。
操作者が、上述した計測点S1の場合と同様に、入力装置8を操作して、別の所望位置に計測点を指定する次の計測点情報を入力した場合、制御部33は、入力された次の計測点情報を受け付けるとともに(ステップS1104,Yes)、上述したステップS905〜S908と同様の処理を行い、この次の計測点情報に基づく計測点S2を第2の計測点として設定するとともに、この別の所望位置に計測点S2を示す第2計測マーカを画面表示し、さらに、計測点S1,S2を結ぶ線分(S1S2)を演算出力するとともに、求めた線分(S1S2)を示す補助線を画面表示する(ステップS1105〜S1108)。たとえば、制御部33は、図33に示すように、この別の所望位置として指定された3次元指定断層像W上の腫瘍断層像hの周囲近傍の位置に計測点S2を示す第2計測マーカを重畳的に表示させるとともに、線分(S1S2)を示す補助線を3次元指定断層像W上に重畳的に表示させる。その後、制御部33は、次の計測点情報の受付待機状態になる(ステップS1109)。
つぎに、操作者が入力装置8を操作して次の計測点情報を入力した場合、制御部33は、この次の計測点情報を受け付けるとともに(ステップS1110,Yes)、上述したステップS1105以降の各処理工程を繰り返す。すなわち、制御部33は、操作者の入力操作によって逐次入力される計測点情報毎に、上述したステップS1105〜S1109の各処理工程を繰り返し、これによって、制御部33は、3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上の所望位置に、操作者の入力操作の回数に応じた数量の計測点を設定する。また、制御部33は、ステップS1107の処理を行う場合、新規に設定した計測点と該新規の計測点の一つ前に設定した計測点とを結ぶ線分を演算出力する。
たとえば、操作者が、入力装置8を操作して、腫瘍断層像hと膵管断層像fとの境界近傍の位置に計測点S1を指定し、その後、腫瘍断層像hを囲むように計測点S2〜S5を指定した場合、制御部33は、この操作者による各指定位置に対応する3次元指定断層像データ上に計測点S1〜S5を設定するとともに、図33に示すように、腫瘍断層像hを囲むように、計測点S1〜S5にそれぞれ対応する第1計測マーカ〜第5計測マーカを3次元指定断層像W上に重畳して表示する。また、制御部33は、計測点S2を新規に設定した場合、上述したように、計測点S2と計測点S2の一つ前の計測点S1との線分(S1S2)を演算出力するとともに線分(S1S2)に対応する補助線を3次元指定断層像W上に重畳して表示し、計測点S3を新規に設定した場合、線分(S1S2)の場合と同様に、計測点S3と計測点S3の一つ前の計測点S2との線分(S2S3)を演算出力するとともに線分(S2S3)に対応する補助線を3次元指定断層像W上に重畳して表示し、計測点S4を新規に設定した場合、線分(S1S2)の場合と同様に、計測点S4と計測点S4の一つ前の計測点S3との線分(S3S4)を演算出力するとともに線分(S3S4)に対応する補助線を3次元指定断層像W上に重畳して表示し、計測点S5を新規に設定した場合、線分(S1S2)の場合と同様に、計測点S5と計測点S5の一つ前の計測点S4との線分(S4S5)を演算出力するとともに線分(S4S5)に対応する補助線を3次元指定断層像W上に重畳して表示する。
一方、操作者が、入力装置8を操作して、次の計測点情報の入力操作を行わず、かつ、少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測範囲の周囲長を演算出力する指示情報(周囲長演算指示情報)の入力操作を行わない場合、制御部33は、次の計測点情報を受け付けず(ステップS1110,No)、かつ、周囲長演算指示を受け付けない(ステップS1111,No)。この場合、制御部33は、上述したステップS1109以降の各処理工程を繰り返す。
他方、操作者が、入力装置8を操作して、次の計測点情報の入力操作を行わずに、周囲長演算指示情報の入力操作を行った場合、制御部33は、次の計測点情報を受け付けずに(ステップS1110,No)、この周囲長演算指示情報による周囲長演算指示を受け付け(ステップS1111,Yes)、その後、制御部33は、ステップS1101において設定した初期の計測点と、周囲長演算指示を受け付ける前に設定した最新の計測点、すなわち最後の計測点とを結ぶ終始点線分を演算出力するとともに、得られた終始点線分に対応する補助線を画面表示する(ステップS1112)。たとえば、合計5つの計測点S1〜S5が操作者の入力操作によって逐次入力された場合、制御部33は、ステップS1112において、計測点S1と計測点S5とを結ぶ線分(S1S5)を演算出力するとともに、得られた線分(S1S5)に対応する補助線を画面表示する。
つぎに、距離演算部23bは、制御部33が設定した複数の計測点の各座標情報をもとに、各計測点間のユークリッド距離、すなわち、上述したステップS1107による各線分の長さと、上述したステップS1112による終始点線分の長さとを演算出力する。ここで、制御部33が3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に設定した計測点は、この3次元基準断層像データおよび3次元指定断層像データが空間座標系xyz上に存在することに起因し、上述した3次元縦断像データ上に設定された計測点と同様に、空間座標系xyz上の位置ベクトルによって表すことができる。したがって、距離演算部23bは、上述した式(2),(3)によって例示される各計測点の位置ベクトルのベクトル成分を用い、上述した式(4)に基づき、これら各線分の長さおよび終始点線分の長さを演算出力できる。
距離演算部23bが、これらの各線分の長さおよび終始点線分の長さを演算出力した場合、周囲長演算部33aは、距離演算部23bが演算出力した各線分の長さおよび終始点線分の長さを全て加算して、制御部33が設定した計測点によって囲まれた計測範囲の周囲長を演算出力する(ステップS1113)。たとえば、制御部33が、図33に示すように、腫瘍断層像hを囲むように計測点S1〜S5を設定した場合、周囲長演算部33aは、距離演算部23bが演算出力した線分(S1S2)の長さ、線分(S2S3)の長さ、線分(S3S4)の長さ、線分(S4S5)の長さ、および終始点線分(S1S5)の長さを全て加算し、計測点S1〜S5によって囲まれた計測範囲、すなわち腫瘍断層像hの周囲長を演算出力する。その後、制御部33は、周囲長演算部33aが演算出力した周囲長を計測結果として所望の単位に換算してモニタ9に画面表示させる(ステップS1114)。
なお、制御部33が計測点を2点だけ設定した状態で周囲長演算指示を受け付けた場合、距離演算部23bは、この2点の計測点によるユークリッド距離を演算出力し、周囲長演算部33aは、距離演算部23bが演算出力したユークリッド距離を周囲長として演算出力する。すなわち、距離演算部23bまたは周囲長演算部33aは、制御部33が計測点を2点だけ設定した状態で周囲長演算指示を受け付けた場合、上述した計測点間距離と同様の距離を演算出力する。
つぎに、操作者が、入力装置8を操作して、この周囲長の計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力指示の指示情報を入力した場合、制御部33は、この指示情報に基づくプリンタ出力指示を受け付けるとともに(ステップS1115,Yes)、上述したステップS912と同様の処理を行い、プリンタ10に対して、この周囲長の計測結果を出力する制御を行う(ステップS1116)。一方、操作者が、入力装置8を操作して、このプリンタ出力指示の指示情報を入力しない場合、制御部33は、プリンタ出力指示を受け付けず(ステップS1115,No)、すなわち、プリンタ10に計測結果をプリントさせずに、この周囲長計測処理を達成する。操作者は、この周囲長計測処理が達成されれば、たとえば、図33に示すように、関心領域として探し出した腫瘍断層像hの周囲長を正確に計測することができ、これによって、手術前等に腫瘍等の疾患部位の大きさを高精度に推定できる。
なお、この実施の形態3では、3次元指定断層像データ上に設定した計測点の各座標情報をもとに、これらの計測点によって囲まれた計測範囲の周囲長を計測していたが、これに限らず、これらの計測点によって決定される道のりを計測してもよい。図34は、この発明の実施の形態3の変形例である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置35は、画像処理装置32に代えて画像処理装置36が配置され、画像処理装置36には、制御部33に代えて制御部37が設けられる。制御部37は、制御部33に道のり演算部37aを追加した構成を有し、制御部33と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
制御部37は、3次元指定断層像データ上に設定した計測点の各座標情報をもとに、これらの計測点によって決定される道のりを演算出力し、その後、得られた道のりの計測結果を表示出力またはプリンタ出力するまでの処理(道のり計測処理)を達成する場合、図31に例示した周囲長計測処理が達成されるまでの各処理工程(ステップS1001〜S1009)の周囲長計測処理(ステップS1009)に代えて道のり計測処理を行う。
図35は、制御部37が、この道のり計測処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図36は、制御部37が、関心領域の断層像である腫瘍断層像hが表示された3次元指定断層像W上に所望数、たとえば5つの計測点を設定し、この5つの計測点によって決定される道のりを計測した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。図35および図36において、操作者が、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を操作して、モニタ9に表示されたカーソルを3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の各所望位置に移動させるとともに該各所望位置を逐次指定し、該各所望位置に対応する各計測点情報を逐次入力した場合、制御部37は、上述したステップS1101〜S1110と同様の処理を行い、3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上の所望位置に、操作者の入力操作の回数に応じた数量の計測点を設定するとともに該計測点を示す各マーカを表示し、その後、設定した計測点間を順次結ぶ各線分を演算出力するとともに該各線分を示す補助線を表示する(ステップS1201〜S1210)。
たとえば、操作者が、入力装置8を操作して、腫瘍断層像h近傍の膵管断層像f上に計測点S1を指定し、その後、胆管膵管合流部像fgに向けて順次計測点S2〜S5を指定した場合、制御部37は、この操作者による各指定位置に対応する3次元指定断層像データ上に計測点S1〜S5を設定するとともに、図36に示すように、腫瘍断層像h近傍の膵管断層像f上の位置から胆管膵管合流部像fg上の位置に向けて一連の折れ線を形成するように、計測点S1〜S5にそれぞれ対応する第1計測マーカ〜第5計測マーカを3次元指定断層像W上に重畳して表示する。また、制御部37は、上述した周囲長計測処理の場合と同様に、線分(S1S2)、線分(S2S3)、線分(S3S4)、および線分(S4S5)を演算出力するとともに、線分(S1S2)、線分(S2S3)、線分(S3S4)、および線分(S4S5)に対応する各補助線を3次元指定断層像W上に重畳してそれぞれ表示する。
一方、操作者が、入力装置8を操作して、次の計測点情報の入力操作を行わず、かつ、少なくとも3つの計測点によって決定される道のりを演算出力する指示情報(道のり演算指示情報)の入力操作を行わない場合、制御部37は、次の計測点情報を受け付けず(ステップS1210,No)、かつ、道のり演算指示を受け付けない(ステップS1211,No)。この場合、制御部37は、計測点情報の受付待機状態になり(ステップS1209)、その後、ステップS1210以降の各処理工程を繰り返す。
他方、操作者が、入力装置8を操作して、次の計測点情報の入力操作を行わずに、道のり演算指示情報の入力操作を行った場合、制御部37は、次の計測点情報を受け付けずに(ステップS1210,No)、この道のり演算指示情報による道のり演算指示を受け付け(ステップS1211,Yes)、その後、距離演算部23bは、上述したステップS1113と同様に、制御部37が設定した複数の計測点の各座標情報を用いて、各計測点間のユークリッド距離、すなわち、このステップS1207による各線分の長さを演算出力する。ただし、制御部37が道のり演算指示を受け付けた場合、制御部37は、上述したステップS1112の場合と同様の終始点線分の演算処理および表示出力処理を行わず、したがって、距離演算部23bは、上述したステップS1113の場合と同様の終始点線分の長さを演算出力しない。
なお、この道のり演算指示情報は、操作者の入力操作によって、たとえば図36に示すように、操作者が、マウス等を操作して、道のり演算指示に対応する「道のり」アイコンにカーソルKを移動させるとともに、この「道のり」アイコンをクリックする、すなわち選択すれば、情報入力がなされる。
距離演算部23bが、これらの各線分の長さを演算出力した場合、道のり演算部37aは、距離演算部23bが演算出力した各線分の長さを全て加算して、制御部37が設定した計測点によって決定される道のりを演算出力する(ステップS1212)。たとえば、制御部37が、図36に示すように、腫瘍断層像h近傍の膵管断層像f上の位置から胆管膵管合流部像fg上の位置に向けて一連の折れ線を形成するように計測点S1〜S5を設定した場合、道のり演算部37aは、距離演算部23bが演算出力した線分(S1S2)の長さ、線分(S2S3)の長さ、線分(S3S4)の長さ、および線分(S4S5)の長さを全て加算し、計測点S1〜S5によって決定される道のり、すなわち腫瘍断層像h近傍から胆管膵管合流部像fgまでの膵管内の道のりを演算出力する。その後、制御部37は、道のり演算部37aが演算出力した道のりを計測結果として所望の単位に換算してモニタ9に画面表示させる(ステップS1213)。
なお、制御部37が計測点を2点だけ設定した状態で周囲長演算指示を受け付けた場合、距離演算部23bは、この2点の計測点によるユークリッド距離を演算出力し、道のり演算部37aは、距離演算部23bが演算出力したユークリッド距離を道のりとして演算出力する。すなわち、距離演算部23bまたは道のり演算部37aは、制御部37が計測点を2点だけ設定した状態で周囲長演算指示を受け付けた場合、上述した計測点間距離と同様の距離を演算出力する。
つぎに、操作者が、入力装置8を操作して、この道のりの計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力指示の指示情報を入力した場合、制御部37は、この指示情報に基づくプリンタ出力指示を受け付けるとともに(ステップS1214,Yes)、上述したステップS1116と同様の処理を行い、プリンタ10に対して、この道のりの計測結果を出力する制御を行う(ステップS1215)。一方、操作者が、入力装置8を操作して、このプリンタ出力指示の指示情報を入力しない場合、制御部37は、プリンタ出力指示を受け付けず(ステップS1214,No)、すなわち、プリンタ10に計測結果をプリントさせずに、この道のり計測処理を達成する。操作者は、この道のり計測処理が達成されれば、たとえば、図36に示すように、関心領域として探し出した腫瘍断層像hから胆管膵管合流部像fgまでの膵管内の道のりを正確に計測することができ、これによって、腫瘍等の疾患部位ついて、生体内の正確な位置関係等を推定できる。
なお、制御部37は、上述したステップS1001にて位置データとの対応付けを行ったn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnの各画像中心C1,C2,…,Cnの間のユークリッド距離を演算出力すれば、2次元画像データD1,D2,…,Dn間の道のり、すなわち、プローブ2が体腔内の3次元走査を行った場合の移動経路長を求めることができる。図37は、制御部37が、3次元走査におけるプローブ2の移動経路長を求める処理を説明する図である。図37において、2次元画像データD1,D2,…,Dnは、上述したように、空間座標系xyz上に配置される。また、画像中心C1,C2,…,Cnには、上述したように、位置ベクトルr1,r2,…,rnが設定される。ここで、位置ベクトルr1,r2,…,rnは空間座標系xyz上に存在するベクトルなので、距離演算部23bは、上述したステップS1212と同様の処理を行って、各画像中心C1,C2,…,Cnの間のユークリッド距離を演算出力でき、道のり演算部37aは、この演算出力結果を用いて、2次元画像データD1,D2,…,Dn間の道のり、すなわち、上述したプローブ2の移動経路長を演算出力できる。
また、この実施の形態3およびその変形例では、3次元指定断層像上の所望位置に指定された複数の計測点の座標情報を用いて、周囲長計測処理または道のり計測処理を行った場合を例示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、3次元基準断層像上または2次元超音波断層像上の所望位置に指定された複数の計測点の座標情報を用いて、周囲長計測処理または道のり計測処理を行った場合に適用してもよい。
さらに、この実施の形態3およびその変形例では、操作者が入力装置8を用い、3次元指定断層像データ上に計測点を設定し、この計測点の各座標情報をもとに、これらの計測点によって決定される計測範囲の周囲長または道のりを計測していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、入力装置8を用いたドラッグ操作によって描かれるドラッグ経路をもとに決定される計測範囲の周囲長または道のりを計測してもよい。図38は、制御部37がドラッグ経路をもとに決定される計測範囲の周囲長または道のりを計測する動作を説明する模式図である。
図38に示すように、まず、操作者が入力装置8として、たとえばマウスを操作し、モニタ9に画面表示された腫瘍断層像hと膵管断層像fとの境界近傍の位置に第1の計測点S1を指定する。その後、操作者は、腫瘍断層像hを囲むように、マウスのボタンを押し下げながらカーソルKを所望の方向に移動させるドラッグ操作を行う。この場合、制御部37は、操作者がマウスをドラッグしている最中に、このドラッグ操作によって描かれるドラッグ経路に対応する断層像データの画素数を計数する。つぎに、制御部37は、この計数処理によって得られた計数値に1画素あたりの実寸を乗じて、このドラッグ経路に対応する道のりを演算出力する。その後、制御部37は、上述した道のり計測処理の場合と同様に、この演算出力した道のりを所定の単位に換算してモニタ9に画面表示させる。これと同時に、制御部37は、このドラッグ操作によるドラッグ経路を曲線で3次元指定断層像W上に重畳してモニタ9に画面表示させる。ここで、この断層像データの画素は、縦横の実寸を同じとする正方形として設定され、その1画素あたりの実寸は、2次元超音波断層像上に写る領域の横方向(または縦方向)の体腔内での長さを2次元超音波断層像データの横方向(または縦方向)の画素数で除して求められる。
また、制御部37には、指定された計測点S1からの半径が予め設定され、操作者が、この半径以内にカーソルKを移動させるとともに、このドラッグ操作におけるマウスのボタンの押し下げを止めると、制御部37は、この計測点S1と、このマウスのボタンの押し下げを止めた点とを結ぶ。この場合、制御部37は、このドラッグ経路を自動的に閉じて閉曲線にし、該閉曲線に対応する断層像データの画素数を計数する。つぎに、制御部37は、この計数処理によって得られた計数値に1画素あたりの実寸を乗じて、このドラッグ経路に対応する閉曲線の周囲長を演算出力する。その後、制御部37は、上述した周囲長計測処理の場合と同様に、この演算出力した周囲長を所定の単位に換算してモニタ9に画面表示させる。これと同時に、制御部37は、このドラッグ経路による閉曲線を3次元指定断層像W上に重畳してモニタ9に画面表示させる。
以上に説明したように、この実施の形態3では、3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に関する位置データが対応付けられた複数の2次元画像データを用いて作成された3次元画像データをもとに、3次元基準断層像または3次元指定断層像を画面表示し、画面表示された3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合、この所望位置に対応する各座標情報をもとに、この少なくとも3つ計測点によって囲まれた計測範囲の周囲長を演算出力するように構成しているので、胆管と膵管との合流部等の体腔内の特徴的部位または腫瘍等の疾患部位等の関心領域の断層像を一つの画面内に容易に表示出力できるとともに、この関心領域の周囲長を正確に計測できる超音波診断装置を実現することができる。操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、この関心領域の断層像を容易に探し出すことができるとともに、探し出した関心領域の周囲長を正確に把握でき、手術前に該関心領域の大きさを高精度に推定することができる。
したがって、操作者が胆管および膵管と胆管膵管合流部とが同時に写っている3次元指定断層像を適切に選べば、操作者は、この胆管膵管合流部から何mmの位置に疾患部位が存在するか、また、胆管または膵管等の脈管に対してどの程度の大きさで疾患部位が広がっているかの情報を一層正確かつ客観的に得ることができ、手術前の手術方針または切除範囲の決定に有用である。
また、この実施の形態3の変形例では、画面表示された3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合に、この所望位置に対応する各座標情報をもとに、この少なくとも3つ計測点によって決定される道のりを演算出力するように構成しているので、体腔内の特徴的部位または疾患部位等の関心領域に至るまでの体腔内の所望の道のりを正確に計測できる超音波診断装置を実現することができる。操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、たとえば、特徴的部位から疾患部位に至る体腔内の道のりを正確に計測でき、これによって、生体内の所望の関心領域の位置関係を正確に把握することができ、生体内の超音波診断を迅速かつ的確に行うことができる。したがって、操作者が3次元指定断層像と計測点とを適切に選べば、操作者は、たとえば胆管膵管合流部から胆管または膵管に沿って何mmの位置に疾患部位が存在するか、また、胆管または膵管等の脈管に沿って何mmの長さで疾患部位が広がっているかの情報を一層正確かつ客観的に得ることができ、手術前の手術方針または切除範囲の決定に有用である。
さらに、3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に関する位置データが対応付けられた複数の2次元画像データの各画像中心間の道のりを演算出力するように構成したので、プローブが体腔内を曲がりながら、あるいは、ねじれながら移動するとともに体腔内の3次元走査を行った場合であっても、このプローブの移動経路長を正確に計測することができる。
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。上述した実施の形態3では、所望の断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合に、この所望位置に対応する各座標上に計測点をそれぞれ設定するとともに、この少なくとも3つの計測点によって決定される計測範囲の周囲長等の長さを演算出力するように構成していたが、この実施の形態4では、この少なくとも3つの計測点によって決定される計測範囲の面積を演算出力するように構成している。
図39は、この発明の実施の形態4である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置41は、画像処理装置32に代えて画像処理装置42が配置され、画像処理装置42には、制御部33に代えて制御部43が設けられる。制御部43は、制御部33に面積演算部43aが追加された構成を有し、制御部33と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図40は、制御部43が、帯状または立体的な3次元縦断像をモニタ9に画面表示させてから、空間座標系xyz上のn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成し、その後、この3次元画像データをもとに作成した3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に少なくとも3つの計測点を設定し、該少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測範囲の面積を計測するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図40において、超音波観測装置5が、上述したエコー信号をもとに2次元画像データを作成し、かつ、位置データ算出装置7が、このエコー信号が得られた位置に関する位置データを算出した場合、制御部43は、上述したステップS1001〜S1007と同様に、ステップS1301〜S1307の各処理工程を行う。
つぎに、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部43に角度情報を入力する操作を行わず、画面表示された各種断層像上に指定する計測点に関する計測点情報の入力操作を行う。この場合、制御部43は、角度情報を受け付けずに(ステップS1306,No)、計測点情報を受け付け(ステップS1308,Yes)、その後、制御部43は、操作者が入力装置8を操作して入力した計測点情報を用いて、3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に少なくとも3つの計測点を設定するとともに、該少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測領域の面積を演算出力し、得られた演算結果を該面積の計測結果として表示出力またはプリンタ出力する(ステップS1309)。なお、この計測点が3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に設定されてから、面積の計測結果が表示出力またはプリンタ出力されるまでの処理(面積計測処理)の詳細については、後述する。
一方、操作者が、入力装置8を用いて、上述した角度情報および計測点情報の入力操作を行わなかった場合、制御部43は、角度情報を受け付けず(ステップS1306,No)、かつ、計測点情報を受け付けず(ステップS1308,No)、上述したステップS1306以降の処理工程を繰り返す。この場合、制御部43は、操作者の入力操作によって入力された角度情報または計測点情報を受け付けるまで、モニタ9に対し、画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像の状態を維持する制御を行う。
つぎに、制御部43が、上述したステップS1309の面積計測処理を達成するまでの各処理工程について詳細に説明する。図41は、制御部43が3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に指定された計測範囲の面積に関する面積計測処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図42は、制御部43が、関心領域の断層像である腫瘍断層像hが表示された3次元指定断層像W上に所望数、たとえば5つの計測点を設定し、この5つの計測点によって囲まれる計測範囲の面積を計測した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。
図41および図42において、操作者が、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を操作して、モニタ9に表示されたカーソルを3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の各所望位置に移動させるとともに該各所望位置を逐次指定し、該各所望位置に対応する各計測点情報を逐次入力した場合、制御部43は、上述したステップS1101〜S1110と同様の処理を行い、3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上の所望位置に、操作者の入力操作の回数に応じた数量の計測点を設定するとともに該計測点を示す各マーカを表示し、その後、設定した計測点間を順次結ぶ各線分を演算出力するとともに該各線分を示す補助線を表示する(ステップS1401〜S1410)。
たとえば、操作者が、入力装置8を操作して、腫瘍断層像hと膵管断層像fとの境界近傍の位置に計測点S1を指定し、その後、腫瘍断層像hを囲むように計測点S2〜S5を指定した場合、制御部43は、この操作者による各指定位置に対応する3次元指定断層像データ上に計測点S1〜S5を設定するとともに、図42に示すように、腫瘍断層像hを囲むように、計測点S1〜S5にそれぞれ対応する第1計測マーカ〜第5計測マーカを3次元指定断層像W上に重畳して表示する。また、制御部43は、上述した周囲長計測処理の場合と同様に、線分(S1S2)、線分(S2S3)、線分(S3S4)、および線分(S4S5)を演算出力するとともに、線分(S1S2)、線分(S2S3)、線分(S3S4)、および線分(S4S5)に対応する各補助線を3次元指定断層像W上に重畳してそれぞれ表示する。
一方、操作者が、入力装置8を操作して、次の計測点情報の入力操作を行わず、かつ、少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測範囲の面積を演算出力する指示情報(面積演算指示情報)の入力操作を行わない場合、制御部43は、次の計測点情報を受け付けず(ステップS1410,No)、かつ、面積演算指示を受け付けない(ステップS1411,No)。この場合、制御部43は、上述したステップS1409以降の各処理工程を繰り返す。
他方、操作者が、入力装置8を操作して、次の計測点情報の入力操作を行わずに、面積演算指示情報の入力操作を行った場合、制御部43は、次の計測点情報を受け付けずに(ステップS1410,No)、この面積演算指示情報による面積演算指示を受け付け(ステップS1411,Yes)、その後、制御部43は、上述したステップS1112と同様の処理を行って、ステップS1401にて設定した初期の計測点と、面積演算指示を受け付ける前に設定した最新の計測点、すなわち最後の計測点とを結ぶ終始点線分を演算出力するとともに、得られた終始点線分に対応する補助線を画面表示する(ステップS1412)。たとえば、合計5つの計測点S1〜S5が操作者の入力操作によって逐次入力された場合、制御部43は、ステップS1412において、計測点S1と計測点S5とを結ぶ線分(S1S5)を演算出力するとともに、得られた線分(S1S5)に対応する補助線を画面表示する。
つぎに、面積演算部43aは、制御部43が面積演算指示を受け付けた場合、上述したステップS1401〜S1410において設定された少なくとも3つの計測点の各座標情報をもとに、この少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測範囲(多角形)の面積を演算出力し(ステップS1413)、その後、制御部43は、面積演算部43aが演算出力したこの計測範囲の面積を計測結果として所望の単位に換算してモニタ9に画面表示させる(ステップS1414)。ただし、この多角形が少なくとも4つの計測点によって形成されている場合、制御部43は、この少なくとも4つの計測点のうちの3点を用い、この多角形の内部を複数の三角形に分割する。この場合、面積演算部43aは、この複数の三角形を形成する各計測点の座標情報をもとに、制御部43が分割した各三角形の面積をそれぞれ演算出力するとともに、得られた各三角形の面積を全て加算し、この多角形の面積を演算出力する。なお、制御部43が、この少なくとも4つの計測点によって形成された多角形の内部を複数の三角形に分割する処理の詳細については、後述する。
ここで、制御部43が3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に設定した計測点は、この3次元基準断層像データおよび3次元指定断層像データが空間座標系xyz上に存在することに起因し、上述した3次元縦断像データ上に設定された計測点と同様に、空間座標系xyz上の位置ベクトルによって表すことができる。したがって、面積演算部43aは、上述した式(2),(3)によって例示される各計測点の位置ベクトルのベクトル成分を用い、三角形の面積を求める公式および余弦定理、またはヘロンの公式等の周知の面積演算方法に基づき、この少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測範囲の面積を演算出力できる。
なお、この面積演算指示情報は、操作者の入力操作によって、たとえば図42に示すように、操作者が、マウス等を操作して、面積演算指示に対応する「面積」アイコンにカーソルKを移動させるとともに、この「面積」アイコンをクリックする、すなわち選択すれば、情報入力がなされる。同様に、上述した周囲長演算指示情報は、操作者の入力操作によって、たとえば、周囲長演算指示に対応する「周囲長」アイコンにカーソルKを移動させるとともに、この「周囲長」アイコンをクリックする、すなわち選択すれば、情報入力がなされる。なお、この周囲長演算指示情報が入力された場合、制御部43は、上述したステップS1111以降の各処理を行って、所望の周囲長を演算出力してもよい。
その後、操作者が、入力装置8を操作して、この面積の計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力指示の指示情報を入力した場合、制御部43は、この指示情報に基づくプリンタ出力指示を受け付けるとともに(ステップS1415,Yes)、上述したステップS1116と同様の処理を行い、プリンタ10に対して、この面積の計測結果を出力する制御を行う(ステップS1416)。一方、操作者が、入力装置8を操作して、このプリンタ出力指示の指示情報を入力しない場合、制御部43は、プリンタ出力指示を受け付けず(ステップS1415,No)、すなわち、プリンタ10に計測結果をプリントさせずに、この面積計測処理を達成する。操作者は、この面積計測処理が達成されれば、所望の関心領域の面積を高精度に計測することができ、たとえば、図42に示すように、関心領域として探し出した腫瘍断層像hの面積を所望の多角形に近似し、該面積を計測することができ、これによって、手術前等に腫瘍等の疾患部位の断面積等を高精度に推定できる。
つぎに、制御部43が、3次元基準断層像データ上または3次元指定断層像データ上に設定した少なくとも4つの計測点によって形成された多角形の内部を複数の三角形に分割する処理について説明する。図43は、制御部43が5つの計測点S1〜S5を設定した場合を例示し、この計測点S1〜S5によって形成される多角形が、凸多角形である場合に、制御部43が、この凸多角形を複数の三角形に分割した状態を説明する図である。図44は、制御部43が5つの計測点S1〜S5を設定した場合を例示し、この5つの計測点S1〜S5によって形成される多角形が、凸多角形ではない多角形(凹多角形)である場合に、制御部43が、この凹多角形を複数の三角形に分割した状態を説明する図である。
制御部43が、上述したステップS1401〜S1412の各処理を行って、少なくとも4つの計測点と、該少なくとも4つの計測点の各2点を逐次結ぶ各線分とを演算出力した場合、この少なくとも4つの計測点を頂点とし、この各線分を辺とする多角形が形成される。その後、制御部43は、上述したステップS1401にて設定した初期の計測点を基準点に設定するとともに、上述したステップS1405〜S1410にて逐次設定した少なくとも3つの計測点から、その設定順序の前から逐次2点を選択して、この基準点と該2点とによって形成される三角形を逐次作成し、該逐次作成した三角形を用いて、この多角形を分割する。この場合、制御部43は、逐次作成する三角形の基準点における角度方向、たとえば、この基準点を回転中心として、この基準点と先の設定順序の計測点とによる線分から、この基準点と後の設定順序の計測点とによる線分に向けて回転する角度方向が所定方向(たとえば正方向)であるか否かを常時監視する。この角度方向が所定方向である場合、制御部43は、この多角形を凸多角形と判断し、この初期の計測点を基準点として、この多角形を分割する三角形を逐次作成する。
たとえば、制御部43が、図43に示すように、計測点S1〜S5を設定し、かつ、線分(S1S2)、線分(S2S3)、線分(S3S4)、線分(S4S5)、および終始点線分(S1S5)を演算出力した場合、この計測点S1〜S5を頂点とする五角形が形成される。この場合、制御部43は、初期の計測点である計測点S1を基準点として、計測点S1〜S3による三角形を作成するとともに、計測点S1における角度方向が正方向か否かを監視する。ここで、計測点S1を回転中心として、線分(S1S2)から、この多角形内部を通過するとともに終始点線分(S1S5)に向かう角度方向が、正方向として設定された場合、制御部43は、計測点S1〜S3による三角形の計測点S1における角度方向が正方向であることを確認し、この多角形が凸多角形であると判断する。これに基づき、制御部43は、この多角形を分割する三角形の1部として、計測点S1〜S3によって形成される三角形SQ1を設定する。
その後、制御部43は、計測点S1,S3,S4によって形成される三角形および計測点S1,S4,S5によって形成される三角形についても、三角形SQ1の場合と同様の処理を行い、この多角形を分割する三角形の1部として、計測点S1,S3,S4によって形成される三角形SQ2および計測点S1,S4,S5によって形成される三角形SQ3を設定する。この場合、制御部43は、この基準点と、最後の設定順序の計測点、すなわち計測点S5を含む三角形を設定したので、この多角形を分割する三角形の設定処理を達成する。これによって、この多角形は、制御部43が設定した三角形SQ1,SQ2,SQ3によって分割され、面積演算部43aは、計測点S1〜S5の各位置ベクトルのベクトル成分をもとに、三角形SQ1,SQ2,SQ3の各面積を演算出力するとともに、得られた各面積を全て加算して、この多角形の面積を演算出力する。
一方、この多角形を分割する三角形の基準点における角度方向が所定方向ではない場合、制御部43は、この多角形を凹多角形と判断し、この角度方向が所定方向ではないことを確認した三角形における先の設定順序の計測点を基準点として更新し、その後、この基準点より後の設定順序の計測点を逐次2点選択して、この多角形を分割する三角形を逐次作成する。ただし、制御部43は、基準点の更新を1回行った場合、現基準点と、該現基準点の1つ前の基準点として設定した計測点と、最後の設定順序の計測点とが頂点として含まれる三角形を作成するまで、この多角形を分割する三角形の設定処理を繰り返す。また、制御部43は、基準点の更新を複数回行った場合、現基準点と該現基準点の1つ前の基準点として設定した計測点とを頂点として含み、該計測点が後の設定順序の計測点として含まれる三角形を作成するまで、この多角形を分割する三角形の設定処理を繰り返す。
たとえば、制御部43が、図44に示すように、計測点S1〜S5を設定し、かつ、線分(S1S2)、線分(S2S3)、線分(S3S4)、線分(S4S5)、および終始点線分(S1S5)を演算出力した場合、この計測点S1〜S5を頂点とする五角形が形成される。この場合、制御部43は、図43に示した凸多角形の場合と同様に、初期の計測点である計測点S1を基準点として、計測点S1〜S3による三角形を作成するとともに、計測点S1における角度方向が正方向か否かを監視する。この場合、制御部43は、計測点S1〜S3による三角形の計測点S1における角度方向が正方向であることを確認する。これに基づき、制御部43は、この多角形を分割する三角形の1部として、計測点S1〜S3によって形成される三角形SQ4を設定する。
つぎに、制御部43は、計測点S1,S3,S4によって形成される三角形についても、三角形SQ1の場合と同様の処理を行う。この場合、制御部43は、計測点S1,S3,S4による三角形の計測点S1における角度方向が正方向ではないことを確認し、これに基づき、制御部43は、この三角形における先の設定順序の計測点である計測点S3を基準点として更新する。その後、制御部43は、基準点としての計測点S3と、該計測点S3の後の設定順序の計測点である計測点S4,S5とによって形成される三角形を作成するとともに、計測点S3における角度方向が正方向か否かを監視する。この場合、制御部43は、計測点S3〜S5による三角形の計測点S3における角度方向が正方向であることを確認する。これに基づき、制御部43は、この多角形を分割する三角形の1部として、計測点S3〜S5によって形成される三角形SQ5を設定する。
その後、制御部43は、計測点S3,S5,S1によって形成される三角形についても、上述した三角形SQ4の場合と同様の処理を行い、この多角形を分割する三角形の1部として、計測点S3,S5,S1によって形成される三角形SQ6を設定する。この場合、制御部43は、現基準点である計測点S3と、該現基準点の1つ前の基準点として設定した計測点S1と、最後の設定順序の計測点である計測点S5とが頂点として含まれる三角形を作成したので、この多角形を分割する三角形の設定処理を達成する。これによって、この多角形は、制御部43が設定した三角形SQ4,SQ5,SQ6によって分割され、面積演算部43aは、計測点S1〜S5の各位置ベクトルのベクトル成分をもとに、三角形SQ4,SQ5,SQ6の各面積を演算出力するとともに、得られた各面積を全て加算して、この多角形の面積を演算出力する。
なお、この実施の形態4では、3次元指定断層像上の所望位置に指定された複数の計測点の座標情報を用いて、面積計測処理を行った場合を例示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、3次元基準断層像上または2次元超音波断層像上の所望位置に指定された複数の計測点の座標情報を用いて、面積計測処理を行った場合に適用してもよい。
また、この実施の形態4では、操作者が入力装置8を用い、3次元指定断層像データ上に複数の計測点を設定し、これらの計測点の各座標情報をもとに、これらの計測点によって囲まれた計測範囲の面積を計測していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、入力装置8を用いたドラッグ操作によって描かれるドラッグ経路によって囲まれる計測範囲の面積を計測してもよい。図45は、制御部43がドラッグ経路によって囲まれる計測範囲の面積を計測する動作を説明する模式図である。図46は、ドラッグ経路によって囲まれた計測範囲が、複数の画素による多角形で構成された状態を例示する模式図である。
図45に示すように、まず、操作者が入力装置8として、たとえばマウスを操作し、モニタ9に画面表示された腫瘍断層像hと膵管断層像fとの境界近傍の位置に第1の計測点S1を指定する。その後、操作者は、腫瘍断層像hを囲むようにドラッグ操作を行う。制御部43には、指定された計測点S1からの半径が予め設定されており、操作者が、この半径以内にカーソルKを移動させるとともに、このドラッグ操作におけるマウスのボタンの押し下げを止めると、制御部43は、この計測点S1と、このマウスのボタンの押し下げを止めた点とを結ぶ。この場合、制御部43は、このドラッグ経路を自動的に閉じて閉曲線にするとともに、図46に示すように、この閉曲線に対応する断層像データの各画素の位置情報をもとに、これらの画素による多角形を生成し、該多角形を用いて、この閉曲線に囲まれた計測範囲を構成する。その後、制御部43は、この多角形によって構成された計測範囲に存在する画素総数を計数する。つぎに、制御部43は、この計数処理によって得られた計数値に1画素あたりの実面積を乗じて、この閉曲線によって囲まれた計測範囲の面積を演算出力する。なお、この1画素あたりの実面積は、上述した1画素あたりの実寸の二乗によって求めることができる。その後、制御部43は、上述した面積計測処理の場合と同様に、この演算出力した面積を所定の単位に換算してモニタ9に画面表示させる。これと同時に、制御部43は、この閉曲線によって囲まれた計測範囲を3次元指定断層像W上に重畳してモニタ9に画面表示させる。
以上に説明したように、この実施の形態4では、3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に関する位置データが対応付けられた複数の2次元画像データを用いて作成された3次元画像データをもとに、3次元基準断層像または3次元指定断層像を画面表示し、画面表示された3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合、この所望位置に対応する各座標情報をもとに、この少なくとも3つ計測点によって囲まれた計測範囲の面積を所望の多角形に近似して演算出力するように構成しているので、胆管と膵管との合流部等の体腔内の特徴的部位または腫瘍等の疾患部位等の関心領域の断層像を一つの画面内に容易に表示出力できるとともに、この関心領域の面積を高精度に計測できる超音波診断装置を実現することができる。操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、この関心領域の断層像を容易に探し出すことができるとともに、探し出した関心領域の面積を高精度に把握でき、これによって、手術前等に腫瘍等の疾患部位の断面積等を高精度に推定することができる。
これによって、操作者は、手術前に疾患部位の大きさを正確に把握でき、手術方針または切除範囲の決定に有用である。また、操作者は、抗癌剤または放射線等による疾患部位の経時的な治療効果を一層正確かつ客観的に判定できる。特に、疾患部位の面積を計測して該疾患部位の大きさを評価すれば、得られる評価結果は、操作者によらず客観的である。
さらに、面積は、距離の2乗の次元を有するため、被検体の縦断像または断層像の歪みの影響を受けやすい。なぜなら、距離が実際の形状から縦横で10%の歪みを有する場合、面積はおよそ20%の歪みを含んでしまうためである。それゆえ、面積を計測する用途に、この実施の形態4の構成を用いることが非常に望ましい。
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。上述した実施の形態4では、所望の断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合に、この所望位置に対応する各座標上に計測点をそれぞれ設定するとともに、この少なくとも3つの計測点によって決定される計測範囲の面積を演算出力するように構成していたが、この実施の形態5では、空間座標系上に配列した複数の2次元画像データの各隣接2次元画像データ間の補間によって作成された3次元画像データ上に、相互に平行に配置された所定間隔の断層面を設定し、その後、この断層面の断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合に、この少なくとも3つの計測点の各座標情報と、この断層面の間隔とをもとに、所望の関心領域の体積を演算出力するように構成している。
図47は、この発明の実施の形態5である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置51は、画像処理装置42に代えて画像処理装置52が配置され、画像処理装置52には、制御部43に代えて制御部53が設けられる。制御部53は、制御部43に体積演算部53aが追加された構成を有し、制御部43と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態4と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図48は、制御部53が、帯状または立体的な3次元縦断像をモニタ9に画面表示させてから、空間座標系xyz上のn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成し、その後、この3次元画像データ上に、相互に平行な平行断層面を所定間隔毎に設定するとともに、設定した各平行断層面の平行断層像を画面表示し、画面表示した平行断層像上に少なくとも3つの計測点が指定された場合に、この少なくとも3つの計測点によって決定される計測範囲の体積を計測するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図48において、超音波観測装置5が、上述したエコー信号をもとに2次元画像データを作成し、かつ、位置データ算出装置7が、このエコー信号が得られた位置に関する位置データを算出した場合、制御部53は、上述したステップS1301〜S1307と同様に、ステップS1501〜S1507の各処理工程を行う。
つぎに、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部43に角度情報を入力する操作を行わず、この3次元基準断層像および3次元指定断層像のもとである3次元画像データ上に設定する各平行断層面の間隔(断層面間隔)に関する断層面間隔情報を入力する操作を行う。この断層面間隔情報は、操作者が入力装置8を操作して、所望の断層面間隔に対応する数値を入力し、または選択し、情報入力がなされる。この場合、制御部53は、角度情報を受け付けずに(ステップS1506,No)、この断層面間隔情報を受け付ける(ステップS1508,Yes)。つぎに、制御部53は、この3次元画像データ上に、この断層面間隔情報に対応する断層面間隔の平行断層面を設定するとともに、設定した各平行断層面の平行断層像データを作成し、該平行断層像データに対応する平行断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS1509)。
その後、制御部53は、操作者が入力装置8を操作して入力した計測点情報を用いて、所望の平行断層像上に少なくとも3つの計測点を設定するとともに、該少なくとも3つの計測点によって囲まれた計測領域の体積を演算出力し、得られた演算結果を該体積の計測結果として表示出力またはプリンタ出力する(ステップS1510)。なお、この計測点が所望の平行断層像データ上に設定されてから、体積の計測結果が表示出力またはプリンタ出力されるまでの処理(体積計測処理)の詳細については、後述する。
一方、操作者が、入力装置8を用いて、上述した角度情報および断層面間隔情報の入力操作を行わなかった場合、制御部53は、角度情報を受け付けず(ステップS1506,No)、かつ、断層面間隔情報を受け付けず(ステップS1508,No)、上述したステップS1506以降の処理工程を繰り返す。この場合、制御部53は、操作者の入力操作によって入力された角度情報または断層面間隔情報を受け付けるまで、モニタ9に対し、画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像の状態を維持する制御を行う。
つぎに、制御部53が、上述したステップS1509において、入力された断層面間隔情報に対応する断層面間隔の平行断層面を3次元画像データ上に設定するとともに、設定した各平行断層面の平行断層像データを作成し、該平行断層像データに対応する平行断層像をモニタ9に画面表示させるまでの処理(平行断層像生成出力処理)を達成するまでの各処理工程について詳細に説明する。図49は、制御部53が平行断層像生成出力処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図50は、空間座標系xyz上に配列した3次元画像データSD0に対して、断層面間隔情報に対応する断層面間隔εの各平行断層面を設定するとともに、設定した各平行断層面の平行断層像データを作成するまでの処理を説明する図である。
図49および図50において、操作者が、上述したように、入力装置8を操作して、断層面間隔情報を入力した場合、制御部53は、この断層面間隔情報を受け付けるとともに、3次元画像データ上に設定する各平行断層面の間隔として、この断層面間隔情報に対応する断層面間隔εを設定する(ステップS1601)。つぎに、制御部53は、画像データ記憶部12から3次元画像データを読み出すとともに、該3次元画像データ上に、各平行断層面が断層面間隔ε毎に配列された平行断層面群を設定し(ステップS1602)、さらに、この平行断層面群の各平行断層面について、平行断層像データをそれぞれ作成する(ステップS1603)。
ここで、この3次元画像データは、上述したように、3次元走査によって得られたn個の2次元画像データの各隣接データ間を補間または内挿して作成された立体画像データであり、この3次元走査に関する位置データに対応するとともに、空間座標系xyz上の位置と輝度とを有するボクセルによって構成されている。したがって、制御部53は、この3次元画像データ上に所望の平行断層面群を設定すれば、この3次元画像データを用いて、この所望の平行断層面群の各平行断層面の平行断層像データをそれぞれ作成できる。
たとえば、制御部53は、3次元走査に関する各位置データをそれぞれ有する2次元画像データD1,D2,…,Dnによって作成された空間座標系xyz上の3次元画像データSD0に対して、2次元画像データD1,D2,…,Dnの配列関係に依存しない各平行断層面を断層面間隔ε毎に設定すれば、該各平行断層面の平行断層像データをそれぞれ作成できる。この場合、制御部53は、図50に示すように、空間座標系xyz上の3次元画像データSD0と断層面間隔εとをもとに、断層面間隔ε毎に各平行断層像データが配列された平行断層像データ群を有する3次元画像データSDを作成できる。
その後、制御部53は、作成した平行断層像データ群を有する3次元画像データを画像データ記憶部12に記憶するとともに、表示回路13を介して、この平行断層像データ群のうちの1つの平行断層像データをモニタ9に送出し、これによって、この平行断層像データに対応する平行断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS1604)。この場合、制御部53は、この平行断層像データ群の所望位置の平行断層像データ、たとえば先頭の平行断層像データを読み出すとともに、該平行断層像データに対応する平行断層像をモニタ9に画面表示させ、あるいは、操作者の入力操作によって逐次入力された指示情報に基づき、この平行断層像データ群から1つの平行断層像データを逐次読み出すとともに、該平行断層像データに対応する平行断層像をモニタ9に逐次画面表示させる。
つぎに、制御部53が、上述したステップS1510の体積計測処理を達成するまでの各処理工程について詳細に説明する。図51は、制御部53が平行断層像上に指定された計測範囲の体積計測処理を達成するまでの各処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図52は、制御部53が、関心領域の断層像である腫瘍断層像hが表示された平行断層像上に所望数、たとえば9つの計測点を設定し、この9つの計測点によって囲まれる計測範囲の体積を計測した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。図53は、制御部53が、体積計測対象の関心領域の立体画像上に、体積演算処理の経過を表示した場合のモニタ9の画面表示を例示した図である。
図51および図52において、上述した平行断層像データ群が3次元画像データ上に作成された場合、制御部53は、記憶部14aに既に記憶している体積を初期化、すなわち零に設定し(ステップS1701)、その後、計測点情報の受付待機状態になる(ステップS1702)。つぎに、操作者が、入力装置8を用い、たとえば、マウス等を操作して、モニタ9に表示されたカーソルを平行断層像上の各所望位置に移動させるとともに該各所望位置を逐次指定し、該各所望位置に対応する各計測点情報を逐次入力した場合、制御部53は、上述したステップS1401〜S1413とほぼ同様の処理を行い、指定された計測点による多角形の面積を演算出力する(ステップS1704)。たとえば、制御部53は、図52に示すように、指定された9つの計測点S1〜S9による多角形の面積を演算出力する。
つぎに、体積演算部53aは、上述したステップS1509において設定した断層面間隔εと、このステップS1704の処理によって演算出力した面積とを乗算する乗算処理を行うとともに、該乗算処理によって演算出力された値と、現時点で既に記憶部14aに記憶されている体積とを加算する加算処理を行い、該加算処理によって演算出力された値、すなわち体積の累積値を現時点での体積とする(ステップS1705)。この場合、体積演算部53aは、平行断層像上に指定された計測点による計測範囲を底面とし、上述したステップS1509において設定した断層面間隔の整数倍を厚さとする領域の体積を演算出力する。たとえば、体積演算部53aは、図52に示すように、計測点S1〜S9に囲まれた範囲の腫瘍断層像hを底面とし、断層面間隔εを厚さとする領域の体積を演算出力する。
なお、制御部53は、入力装置8を用いたドラッグ操作によるドラッグ経路によって囲まれる計測範囲の面積を計測し、得られた面積に断層面間隔εを乗じ、これによって、この計測範囲を底面とし、断層面間隔εを厚さとする領域の体積を演算出力してもよい。図54は、制御部53がドラッグ経路によって囲まれる計測範囲の体積を計測する動作を説明する模式図である。
図54に示すように、まず、操作者が入力装置8として、たとえばマウスを操作し、モニタ9に画面表示された腫瘍断層像hと膵管断層像fとの境界近傍の位置に第1の計測点S1を指定する。その後、操作者は、腫瘍断層像hを囲むようにドラッグ操作を行う。制御部53には、指定された計測点S1からの半径が予め設定されており、操作者が、この半径以内にカーソルKを移動させるとともに、このドラッグ操作におけるマウスのボタンの押し下げを止めると、制御部53は、この計測点S1と、このマウスのボタンの押し下げを止めた点とを結ぶ。この場合、制御部53は、このドラッグ経路を自動的に閉じて閉曲線にするとともに、上述した面積を計測する場合と同様に、この閉曲線に対応する断層像データの各画素の位置情報をもとに、これらの画素による多角形を生成し、該多角形を用いて、この閉曲線に囲まれた計測範囲を構成する。つぎに、制御部53は、この多角形によって構成された計測範囲に存在する画素総数を計数し、得られた計数値に1画素あたりの実面積を乗じて、この閉曲線によって囲まれた計測範囲の面積を演算出力する。その後、制御部53は、この演算出力した面積に断層面間隔εを乗じ、これによって、この計測範囲を底面とし、断層面間隔εを厚さとする領域の体積を演算出力する。
体積演算部53aが現時点の体積を演算出力した場合、制御部53は、この体積を記憶部14aに記憶するとともに、図52に示すように、平行断層像に指定された計測点による計測範囲の体積計測結果として、この演算出力された体積を所望の単位に換算してモニタ9に画面表示させる(ステップS1706)。その後、操作者が、入力装置8を用いて、この体積計測処理の終了指示に関する計測終了指示情報の入力操作を行わない場合、制御部53は、上述したステップS1702以降の処理を繰り返す。
また、制御部53は、このステップS1706において、この体積計測結果を画面表示するとともに、平行断層像と同一画面内に、体積計測対象の関心領域の立体画像を表示し、この立体画像上に、このステップS1705による体積演算処理の経過を表示することもできる。この立体画像を表示するまでの作用を以下に説明する。
制御部53は、上述したステップS1704の面積計測処理を行う毎に、関心領域として、たとえば腫瘍断層像hを探し出す。つぎに、制御部53は、腫瘍断層像hを底面とし、上述したステップS1509において設定した断層面間隔の整数倍を厚さとする領域と、それまで既に体積演算領域として抽出されている領域とをあわせ、あわせた領域の3次元腫瘍画像SDhを構築する。さらに、制御部53は、体積演算処理によって体積が計測された部位(体側計測済み部位)として、この3次元腫瘍画像SDhを表示する。その後、制御部53は、後述するようにステップS1704〜ステップS1706を繰り返し、腫瘍断層像hを探し出す毎に新たな3次元腫瘍画像SDhを表示することで、ステップS1705による体積演算処理の経過を表示できる。これによって、操作者は、計測対象の関心領域について、現在の体積演算処理が行われた位置を容易に把握できる。
一方、操作者が、入力装置8を用いて、計測点情報の入力操作を行わずに、画面表示された平行断層像の表示を切り換える指示情報の入力操作を行った場合、制御部53は、計測点情報を受け付けずに(ステップS1703,No)、この指示情報による平行断層像の表示切換指示を受け付ける(ステップS1707,Yes)。この場合、制御部53は、この表示切換指示のもと、画像データ記憶部12に記憶した平行断層像データ群から該表示切換指示に対応する平行断層像データを読み出すとともに、表示回路13を介して、この読み出した平行断層像データをモニタ9に送出する。この場合、更新処理部14dは、既に画面表示されている平行断層像に代えて、この平行断層像データに対応する平行断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS1708)。その後、制御部53は、上述したステップS1702以降の処理工程を繰り返す。
なお、操作者が、入力装置8を用いて、計測点情報の入力操作を行わず、かつ、上述した平行断層像の表示を切り換える指示情報の入力操作を行わない場合、制御部53は、計測点情報を受け付けず(ステップS1703,No)、かつ、平行断層像の表示切換指示を受け付けない(ステップS1707,No)。この場合、制御部53は、上述したステップS1709以降の各処理工程を繰り返す。
他方、操作者が、入力装置8を用いて、この体積計測処理の終了指示に関する計測終了指示情報の入力操作を行った場合、制御部53は、この計測終了指示情報による計測処理終了指示を受け付ける(ステップS1709,Yes)。その後、操作者が、入力装置8を用いて、この体積の計測結果を紙面等にプリントするプリンタ出力指示の指示情報を入力した場合、制御部53は、この指示情報に基づくプリンタ出力指示を受け付けるとともに(ステップS1710,Yes)、上述したステップS1416と同様の処理を行い、プリンタ10に対して、この体積の計測結果を出力する制御を行う(ステップS1711)。一方、操作者が、入力装置8を用いて、このプリンタ出力指示の指示情報を入力しない場合、制御部53は、プリンタ出力指示を受け付けず(ステップS1710,No)、すなわち、プリンタ10に計測結果をプリントさせずに、この体積計測処理を達成する。操作者は、この体積計測処理が達成されれば、所望の関心領域の体積を高精度に計測することができ、たとえば、図52および図53に示すように、関心領域として探し出した腫瘍断層像hが含まれる3次元腫瘍画像SDhの所望領域の体積を計測することができ、これによって、操作者は、手術前に疾患部位の大きさを正確に把握でき、手術方針または切除範囲の決定に有用である。また、操作者は、抗癌剤または放射線等による疾患部位の経時的な治療効果を一層正確かつ客観的に判定できる。特に、体積を計測して疾患部位の大きさを評価することは、体積が腫瘍等の疾患部位の細胞数に概ね比例することに起因し、疾患の勢いを評価する用途に好ましい。さらに、疾患部位の体積を計測して該疾患部位の大きさを評価すれば、得られる評価結果は、操作者によらず客観的である。
さらに、体積は、距離の3乗の次元を有するため、被検体の縦断像または断層像の歪みの影響を受けやすい。なぜなら、距離が実際の形状から縦横で10%の歪みを有する場合、体積はおよそ30%の歪みを含んでしまうためである。それゆえ、体積を計測する用途に、この実施の形態5の構成を用いることが非常に望ましい。
なお、この実施の形態5では、空間座標系xyz上の3次元画像データ上に、3次元走査における位置データと対応付けられた複数の2次元画像データの配列関係に依存しない各平行断層面を断層面間隔毎に設定していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、この3次元画像データ上に、所望の2次元画像データ、3次元基準断層像データ、または3次元指定断層像データに平行な各平行断層面を断層面間隔毎に設定してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態5では、3次元走査を行ったプローブの移動経路または移動方向に関する位置データが対応付けられた複数の2次元画像データを用いて作成された3次元画像データに対して、相互に平行な各平行断層面を所定の断層面間隔毎に設定するとともに、該各平行断層面の平行断層像を逐次画面表示し、画面表示された平行断層像上の所望位置に少なくとも3つの計測点が指定された場合、この所望位置に対応する各座標情報と、この断層面間隔とをもとに、この少なくとも3つ計測点によって囲まれた計測範囲を底面とし、この断層面間隔を厚さとする領域の体積を演算出力するように構成しているので、胆管と膵管との合流部等の体腔内の特徴的部位または腫瘍等の疾患部位等の関心領域の所望範囲の体積を高精度に計測できる超音波診断装置を実現することができる。操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、この関心領域の体積を高精度に把握できるとともに、表示出力された3次元画像全体のうちの関心領域の占める大きさを容易に把握でき、たとえば、手術前等に腫瘍等の疾患部位の体積等を高精度に推定することができる。