以下、添付図面を参照して、この発明にかかる超音波診断装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。図1において、この超音波診断装置1は、体腔内に挿入される挿入部3と挿入部3を操作する操作部4とを備えたプローブ2と、超音波観測装置5と、受信アンテナ6bと、位置データ算出装置7と、入力装置8と、モニタ9と、画像処理装置10とを有する。挿入部3の先端には、超音波振動子3aが回転自在に組み込まれ、挿入部3の後端には、操作部4が配置される。超音波振動子3aの近傍には、送信コイル6aが着脱可能に配置される。操作部4は、モータ4aを有し、モータ4aは、シャフト3bを介して超音波振動子3aと接続される。超音波観測装置5は、操作部4に設けられた電源スイッチ(図示せず)およびケーブル等を介して、超音波振動子3aおよびモータ4aと電気的に接続される。位置データ算出装置7は、ケーブル等を介して、送信コイル6aおよび受信アンテナ6bと電気的に接続される。画像処理装置10は、ケーブル等を介して、超音波観測装置5、位置データ算出装置7、入力装置8、およびモニタ9と電気的に接続される。
プローブ2は、上述したように、先端に超音波振動子3aが配置された挿入部3とモータ4aが組み込まれた操作部4とを用いて構成され、体腔内を放射状に走査(ラジアルスキャン)するように機能する。また、プローブ2には、内視鏡等の光学系が設けられてもよく、この場合、プローブ2は、この光学系による体腔内の光学画像に関するデータを画像処理装置10に送出し、画像処理装置10は、受信した光学画像に関するデータをもとに、該データに対応する光学画像をモニタ9に画面表示させる。挿入部3は、可撓性部材を用いて実現され、体腔内への挿入に好適な細長い筒形状を有する。超音波振動子3aは、チタン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックを用いて実現され、印加されたパルス状の電圧を逆圧電効果によって超音波に変換する機能と、この超音波の反射波(エコー)を圧電効果によって電気的なエコー信号に変換する機能とを有する。シャフト3bは、フレキシブルなシャフトであり、モータ4aによる回転駆動を超音波振動子3aに伝達する可撓自在な駆動軸として機能する。
操作部4は、操作者の操作に応じ、超音波振動子3aおよび送信コイル6aが配置される部位を含む挿入部3の先端を湾曲させる機能を有する。また、操作部4は、操作者が操作部4の電源スイッチをオン状態にした場合、超音波振動子3aおよびモータ4aと超音波観測装置5とを電気的に接続し、超音波観測装置5は、超音波振動子3に100[V]程度のパルス状の電圧(パルス電圧)を印加するとともに、モータ4aに12[V]程度の直流駆動電圧を印加する。この場合、超音波振動子3aは、超音波観測装置5から印加されたパルス電圧を用いて超音波を出力するとともに該超音波のエコーを受波し、受波したエコーに対応するエコー信号を超音波観測装置5に送出する。これと同時に、モータ4aは、超音波観測装置5から印加された駆動電圧を用いて回転駆動を行うとともに、シャフト3bを介して該回転駆動を超音波振動子3aに伝達する。これによって、モータ4aは、シャフト3bを駆動軸として、超音波振動子3aを回転させる。
ここで、操作者が、体腔内に挿入部3を挿入した状態で操作部4の電源スイッチをオン状態にした場合、超音波振動子3aは、シャフト3bを駆動軸として回転駆動するとともに、体腔内に対する超音波の出力および該超音波のエコーの受波を繰り返す。この場合、超音波振動子3aは、挿入部3の挿入軸方向に垂直な平面について、ラジアルスキャンを行い、これによって、プローブ2は、一回のラジアルスキャンを達成する。その後、超音波振動子3aは、操作部4の電源スイッチがオフ状態に切り換えられるまで、このラジアルスキャンを繰り返すとともに、ラジアルスキャン毎に得られたエコー信号を順次超音波観測装置5に送出する。
超音波観測装置5は、検波回路、増幅回路、A/D変換回路、および座標変換回路等を用いて構成され、超音波振動子3aから順次受信したエコー信号に対して、包絡線検波処理、対数増幅処理、A/D変換処理、および極座標系から直交座標系への座標変換処理等の周知の各処理をそれぞれ行い、順次受信したエコー信号毎に一つの2次元画像データを作成する。その後、超音波観測装置5は、作成した2次元画像データを画像処理装置10に順次送出する。
送信コイル6aは、挿入部3の体腔内への挿入軸方向に関する第1コイルと該挿入軸方向に垂直な方向に関する第2コイルとを用いて実現され、上述したように、超音波振動子3aの近傍、たとえば、超音波振動子3aから0.5〜1[cm]程度離れた位置に着脱可能に配置され、さらに、ケーブル等を介して位置データ算出装置7と電気的に接続される。この場合、送信コイル6aは、超音波振動子3aに対する距離および方向がほぼ一定になるように固定され、これによって、第1コイルおよび第2コイルの各位置と各方向とが、超音波振動子3aに対してほぼ一定に設定される。また、送信コイル6aは、位置データ算出装置7が第1コイルおよび第2コイルに電流を供給した場合、送信コイル6aの周囲空間に磁場を発生させる。なお、送信コイル6aは、超音波振動子3aの近傍に配置される場合、挿入部3の外壁に着脱可能に配置されてもよいが、挿入部3内部に着脱可能に挿入されることが望ましい。
受信アンテナ6bは、複数のコイルを用いて実現され、送信コイル6aが発生させた磁場を感知するとともに該磁場を電流に変換し、その後、この電流に対応する電気的な信号(磁場信号)を位置データ算出装置7に送出する。
位置データ算出装置7は、操作者が位置データ算出装置7に設けられた電源スイッチ(図示せず)をオン状態にした場合、ケーブル等を介して送信コイル6aに電流を供給するとともに、受信アンテナ6bが送出した磁場信号を受信する。さらに、位置データ算出装置7は、受信アンテナ6bから順次受信した磁場信号をもとに、送信コイル6aの位置ベクトルr、単位長の軸方向ベクトルVa、および単位長の面平行ベクトルVbを算出し、得られた位置ベクトルr、軸方向ベクトルVa、および面平行ベクトルVbを送信コイル6aに関する位置データとして画像処理装置10に順次送出する。
ここで、位置データ算出装置7には、所定位置、たとえば受信アンテナ6bの中心位置を原点Oとし、x軸、y軸、およびz軸からなる空間座標系xyzが予め設定され、位置ベクトルrは、空間座標系xyz上における送信コイル6aの位置を決定するベクトルである。なお、位置ベクトルrは、送信コイル6aが超音波振動子3aの近傍に配置されていることに起因し、超音波振動子3aの回転駆動の中心位置を決定するベクトルとして近似できる。一方、軸方向ベクトルVaは、送信コイル6aの第1コイルから出力された磁場に対応する磁場信号をもとに算出され、空間座標系xyz上のベクトルであって、挿入部3の体腔内への挿入軸方向を示す単位長の方向ベクトルである。したがって、軸方向ベクトルVaは、超音波振動子3aがラジアルスキャンを行う体腔内の平面に垂直な方向を示す。また、面平行ベクトルVbは、送信コイル6aの第2コイルから出力された磁場に対応する磁場信号をもとに算出され、空間座標系xyz上のベクトルであって、この挿入軸方向に垂直な所定方向を示す単位長の方向ベクトルである。したがって、面平行ベクトルVbは、超音波振動子3aがラジアルスキャンを行う体腔内の平面に平行である所定方向を示す。なお、面平行ベクトルVbによって示される所定方向は、軸方向ベクトルVaによって示される垂直方向に対して常時一定方向に設定される。このことは、第1コイルおよび第2コイルの各位置と各方向とが、上述したように、超音波振動子3aに対してほぼ一定に設定されることに起因する。
入力装置8は、キーボード、タッチパネル、トラックボール、マウス、またはジョイスティック等を用いてまたはこれらの組み合わせによって実現され、超音波観測装置5によって作成された2次元画像データ上に指定される点(指定点)の座標情報に関する指定点情報、後述する基準切断面の所望の回転角度を指定する角度情報、またはモニタ9に対する画面表示処理に関する指示情報等を画像処理装置10に入力する。たとえば、キーボードまたはタッチパネルを用いる場合には、各情報の入力受付状態において、指定点情報または角度情報に対応する数値を入力しまたは選択し、あるいは、モニタ9またはタッチパネルに画面表示された座標位置を直接入力することによって、指定点情報または角度情報の入力が行われる。一方、トラックボール、マウス、またはジョイスティックを用いる場合には、各情報の入力受付状態において、指定点情報に対応する数値を選択し、あるいはモニタ9に画面表示された座標位置を直接入力することによって、指定点情報の入力が行われ、また、角度情報に対応する数値を選択し、あるいはモニタ9に画面表示されたカーソル等をマウスを押し下げながら所定方向に移動させる操作(以下、ドラッグ操作)を行うことによって、角度情報の入力が行われる。たとえば、操作者がこのドラッグ操作を行い、カーソルが画面の上方向に移動した場合に基準切断面を正方向に回転する角度情報が入力され、カーソルが画面の下方向に移動した場合に基準切断面を負方向に回転する角度情報が入力される。あるいは、カーソルが画面の右方向に移動した場合に基準切断面を正方向に回転する角度情報が入力され、カーソルが画面の左方向に移動した場合に基準切断面を負方向に回転する角度情報が入力される。
画像処理装置10は、RAM、ROM、またはハードディスク等の各種記憶媒体とCPUとを備えた周知のコンピュータを用いて実現され、画像データ記憶部11と表示回路12と制御部13とを有する。画像データ記憶部11は、RAM、EEPROM、またはフラッシュメモリ等の各種ICメモリ、ハードディスクドライブ、あるいは光磁気ディスクドライブ等のデータの書き込みおよび読み出しが可能な各種記憶装置を用いて実現される。画像データ記憶部11は、制御部13の制御のもと、制御部13から送出された2次元画像データまたは3次元画像データを記憶する。また、画像データ記憶部11は、制御部13が後述する3次元基準断層像データまたは3次元指定断層像データを作成した場合、制御部13の制御のもと、制御部13から送出された3次元基準断層像データまたは3次元指定断層像データを断層像データとして記憶する。
制御部13は、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現され、記憶部13a、画像データ演算部13b、および切断面演算部13cを有する。記憶部13aは、このROMおよびRAMを用いて構成され、この処理プログラムや演算パラメータの他に、制御部13が位置データ算出装置7から順次受信した位置データを記憶する。制御部13には、上述した空間座標系xyzと、空間座標系xyz上の点であって、後述する基準切断面に含まれる基準設定点または該基準切断面の垂直方向を決定する基準法線ベクトルとが予め設定され、記憶部13aは、空間座標系xyzと基準設定点または基準法線ベクトルとに関するデータを基準設定データとして記憶する。
また、超音波振動子3aがn回(n=1,2,3,…)のラジアルスキャンによって得られたn個のエコー信号を超音波観測装置5に順次送出した場合、制御部13は、超音波観測装置5がn個のエコー信号をもとにn個の2次元画像データをそれぞれ作成した各タイミングを把握するとともに、位置データ算出装置7から順次受信した位置データを該タイミング毎に把握する。その後、制御部13は、超音波観測装置5からn個の2次元画像データを順次受信するとともに、該2次元画像データ毎に、このタイミングにおいて作成された2次元画像データと該タイミングにおいて受信した位置データとの対応付けを行う。これによって、制御部13は、ラジアルスキャンが行われた位置に対応する位置データと、このラジアルスキャンによるエコー信号をもとに作成された2次元画像データとの対応付けを確実に行う。
図2は、制御部13が超音波観測装置5からn個の2次元画像データを順次受信した場合に、制御部13によって位置データとの対応付けが行われたn個目の2次元画像データを例示する図である。なお、以下では、操作者が、被検体の十二指腸内に挿入部3を挿入し、その後、超音波振動子3aによるラジアルスキャンを行うとともに挿入部3を挿入軸方向に徐々に手引きし、これによって、この十二指腸内を3次元的にラジアルスキャンする3次元走査が行われた場合について説明するが、このことは、この発明を限定するものではない。
図2に示すように、このn個目の2次元画像データDnには、十二指腸の横断面である十二指腸像Enと膵管の横断面である膵管像Fnが含まれている。制御部13は、上述したように、2次元画像データDnと2次元画像データDnが作成されたタイミングで受信した位置データとの対応付けを行う。この場合、制御部13は、2次元画像データDnに対応する平面の法線ベクトルとして軸方向ベクトルVanを設定し、この平面に平行であって、軸方向ベクトルVanに対して所定方向、たとえば、この平面における12時方向を示す方向ベクトルとして面平行ベクトルVbnを設定する。また、制御部13は、2次元画像データDnの画像中心Cnを示す位置ベクトルとして位置ベクトルrnを設定する。これによって、制御部13は、2次元画像データDnに対して、画像中心Cnを原点とし、面平行ベクトルVbnに平行な軸と外積ベクトル(Vbn×Van)に平行な軸とによる直交座標を設定できる。なお、外積ベクトル(Vbn×Van)は、面平行ベクトルVbnと軸方向ベクトルVanとの外積によって求められる。
制御部13は、超音波観測装置5から順次受信した(n−1)個の2次元画像データD1,D2,…,Dn-1についても、上述した2次元画像データDnの場合と同様に位置データの対応付けを行う。これによって、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnには、軸方向ベクトルVa1,Va2,…,Vanと、面平行ベクトルVb1,Vb2,…,Vbnと、位置ベクトルr1,r2,…,rnとがそれぞれ設定される。
図3は、制御部13が、位置データとの対応付けが行われたn個の2次元画像データを空間座標系xyzに配列する動作を説明する図である。図3に示すように、制御部13は、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnと位置データとの対応付けをそれぞれ行った場合、記憶部13aから読み取った空間座標系xyzと各2次元画像データに対応付けられた位置データとをもとに、このn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを空間座標系xyzに配列する。ここで、この位置データを構成する軸方向ベクトルVa1,Va2,…,Van、面平行ベクトルVb1,Vb2,…,Vbn、および位置ベクトルr1,r2,…,rnは、空間座標系xyzに配列される2次元画像データD1,D2,…,Dnの各位置と各方向を決定するので、制御部13は、超音波振動子3aが3次元的にラジアルスキャンを行った実際の位置関係とほぼ同じになるように、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを空間座標系xyzに配列できる。その後、制御部13は、空間座標系xyzにおける配列関係が設定されたn個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを画像データ記憶部11に記憶する。
図4は、制御部13が、位置データとの対応付けが行われたn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成してから、該3次元画像データにおける所望の3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させるまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図4において、制御部13が超音波観測装置5からn個の2次元画像データを順次受信するとともに位置データ算出装置7から位置データを順次受信した場合、制御部13は、上述したように、受信したn個の2次元画像データと位置データとの対応付けを行うとともに、この位置データが対応付けられたn個の2次元画像データに対して、空間座標系xyzにおける配列関係を設定する。その後、画像データ演算部13bは、空間座標系xyzにおける配列関係が設定されたn個の2次元画像データに対し、各2次元画像データ間の補間および重複部分の平均化等の公知の画像処理を行って、空間座標系xyz上の画像データである3次元画像データを作成する(ステップS101)。この3次元画像データは、各軸方向ベクトルVa1,Va2,…,Vanに垂直な平面の断層像データとして、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dnを有し、空間座標系xyz上の3次元座標に対応する多数のセル(ボクセル)によって構成される。なお、各ボクセルには、輝度値に対応する画像データ値が設定される。その後、制御部13は、画像データ演算部13bが作成した3次元画像データを画像データ記憶部11に記憶させる。
つぎに、制御部13は、入力装置8から入力された画面表示処理に関する指示情報のもと、画像データ記憶部11から所望の2次元画像データを読み出すとともに、表示回路12を介して、この2次元画像データをモニタ9に送出する。この場合、表示回路12は、この2次元画像データに対してD/A変換等の各処理を行い、モニタ9は、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像を画面表示する。操作者は、2次元超音波断層像がモニタ9に画面表示された場合、入力装置8を操作して、たとえば、モニタ9に画面表示されたカーソル等を用いて2次元超音波断層像上の所望位置を指定し、この所望位置に対応する指定点情報を入力する。制御部13は、入力装置8から入力された指定点情報をもとに、この2次元超音波断層像に対応する2次元画像データ上に指定点を設定する。操作者は、この指定点情報の入力動作を少なくとも2回行い、これによって、制御部13は、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に、入力された各指定点情報に対応する少なくとも二つの指定点を設定する(ステップS102)。
制御部13がn個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に少なくとも二つの指定点を設定した場合、切断面演算部13cは、設定された二つの指定点を通過する直線を演算出力するとともに、この二つの指定点と記憶部13aから読み出された基準設定点とを含む平面を演算出力する。なお、切断面演算部13cは、この二つの指定点が含まれ、かつ、記憶部13aから読み出された基準法線ベクトルを有する平面を演算出力してもよい。制御部13は、この平面を回転基準平面である基準切断面として設定するとともに、この直線を該基準切断面の回転軸として設定する。その後、画像データ演算部13bは、制御部13が画像データ記憶部11から読み出した3次元画像データを用いて、この基準切断面の2次元断層像データを含む3次元的な断層像データ(3次元基準断層像データ)を作成する。制御部13は、画像データ演算部13bが作成した3次元基準断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、表示回路12を介して、この3次元基準断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部13は、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS103)。
操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、入力装置8を操作して、制御部13を角度情報の入力受付状態に切り換える。たとえば、操作者が、マウスを用いてカーソルを画面上の所定位置に移動させ、その後、マウスのボタンを押した場合に、制御部13は、角度情報の入力受付状態に切り換えられる。制御部13が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS104,Yes)、操作者が、ドラッグ操作等を行って、入力装置8から角度情報を入力した場合、制御部13は、入力装置8から入力された角度情報を受け付ける。つぎに、切断面演算部13cは、入力装置8から入力された角度情報に対応する角度と上述した指定点情報とをもとに、基準切断面が該角度だけ回転した平面を演算出力し、制御部13は、この平面を指定切断面として設定する。画像データ演算部13bは、制御部13が画像データ記憶部11から読み出した3次元画像データを用いて、この指定切断面の2次元断層像データを含む3次元的な断層像データ(3次元指定断層像データ)を作成する。制御部13は、画像データ演算部13bが作成した3次元指定断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、表示回路12を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部13は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS105)。
その後、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部13を角度情報の入力受付状態に切り換える。制御部13が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS106,Yes)、操作者が、ドラッグ操作等を行って、入力装置8から角度情報を入力した場合、制御部13は、入力装置8から入力された角度情報を受け付けるとともに、ステップS105以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部13を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部13は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS104,No)、この3次元基準断層像の基準切断面を回転させないので、モニタ9は、この3次元基準断層像が画面表示された状態を維持する。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された所望の関心領域を観察することができ、被検体に対する超音波診断を達成できる。また、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、制御部13を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部13は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS106,No)、この3次元指定断層像の指定切断面を回転させないので、モニタ9は、この3次元指定断層像が画面表示された状態を維持する。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された所望の関心領域を観察することができ、被検体に対する超音波診断を達成できる。
ここで、制御部13が2次元画像データ上に二つの指定点を設定した場合に、切断面演算部13cが、二つの指定点を通過する直線と、二つの指定点と予め設定された基準設定点とを含む基準切断面とを演算出力する処理について詳細に説明する。図5は、2次元画像データ上に設定された二つの指定点を通過する直線と基準切断面との設定を説明する図である。図5に示すように、制御部13は、入力装置8から入力された指定点情報をもとに、n個の2次元画像データに含まれる2次元画像データDm1,Dm2上に、指定点P1,P2をそれぞれ設定している。なお、2次元画像データDm1は、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データのm1個目の2次元画像データであり、2次元画像データDm2は、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データのm2個目の2次元画像データである。この場合、整数m1,m2は、整数n以下の正の整数であり、整数m1は整数m2より小さい。
切断面演算部13cは、指定点P1の座標情報と指定点P2の座標情報とをもとに、指定点P1,P2を通過する直線Lを演算出力する。また、切断面演算部13cは、指定点P1,P2の各座標情報と予め設定された基準設定点(図示しない)の座標情報とをもとに、指定点P1,P2および基準設定点を含む平面を演算出力する。この場合、制御部13は、図5に示すように、この平面を基準切断面H0として設定するとともに、直線Lを基準切断面H0の回転軸として設定する。すなわち、基準切断面H0は、直線Lを回転軸として含み、上述したステップS101において作成された3次元画像データを切断する切断面の回転基準面である。したがって、制御部13が入力装置8から入力された角度情報を受け付けた場合、切断面演算部13cは、この角度情報に対応する角度θを用いて、基準切断面H0を角度θだけ回転させた平面を演算出力し、制御部13は、この平面を指定切断面Hとして設定する。なお、切断面演算部13cは、指定点P1,P2の各座標情報と予め設定された基準法線ベクトル(図示しない)とをもとに、指定点P1,P2を含む平面を演算出力してもよく、この場合、制御部13は、上述した基準設定点を用いた場合と同様に、基準切断面H0を設定できる。なお、基準設定点、基準法線ベクトル、および基準切断面H0の設定方法の詳細は、後述する。
つぎに、切断面演算部13cが、制御部13に入力された角度情報に対応する角度θを用いて、基準切断面H0を角度θだけ回転させた平面、すなわち指定切断面Hを演算出力する処理について詳細に説明する。図6は、切断面演算部13cが、直線Lを回転軸として基準切断面H0から角度θだけ回転した指定切断面Hを演算出力する処理を説明する図である。図6に示すように、基準切断面H0は、指定点P1,P2と基準設定点とを用いて、または基準法線ベクトルを用いて決定される単位法線ベクトルe0を有する。また、指定切断面Hは、直線Lを回転軸として、基準切断面H0を角度θだけ回転した平面であるため、切断面演算部13cは、直線Lを回転軸として、単位法線ベクトルe0を角度θだけ回転して得られる単位法線ベクトルeと指定点P1,P2とを用いれば、指定切断面Hを演算出力できる。
ここで、図6に示すように、点P3が、指定点P1と指定点P2とを結ぶ線分の中点として仮定され、基準設定点Q0が、直線Lに垂直であって、点P3と基準設定点Q0とを結ぶ単位長の線分を構成する基準切断面H0上の点として仮定され、さらに、点Qが、直線Lを回転軸として基準設定点Q0を角度θだけ回転して得られる指定切断面H上の点として仮定された場合、指定切断面Hの単位法線ベクトルeは、指定点P1,P2の各位置ベクトルOP1,OP2と点Qの位置ベクトルOQとを用いて、次式(1)によって求められる。
e=(OP2−OP1)×(OQ−OP1)
/|(OP2−OP1)×(OQ−OP1)| ・・・(1)
また、点P3は、指定点P1と指定点P2とを結ぶ線分の中点として仮定されているので、点P3の位置ベクトルOP3は、次式(2)によって求められる。
OP3=(OP1+OP2)/2 ・・・(2)
また、ベクトルP1P2の単位ベクトルtが仮定された場合、単位ベクトルtは、次式(3)によって求められる。
t=(OP2−OP1)/|OP2−OP1| ・・・(3)
この場合、ベクトルP3Qは、位置ベクトルOP1,OP2と単位ベクトルtと角度θとを用いて、次式(4)によって求められる。
P3Q={(OP1×OP2)/|OP1×OP2|}cosθ
+{t×(OP1×OP2)/|t×(OP1×OP2)|}sinθ
・・・(4)
したがって、位置ベクトルOQは、式(2)〜(4)を用いて、次式(5)によって求められる。
OQ=OP3+P3Q
=(OP1+OP2)/2+{(OP1×OP2)/|OP1×OP2|}cosθ
+{(OP2−OP1)/|OP2−OP1|}
×{(OP1×OP2)/|OP1×OP2|}sinθ ・・・(5)
この式(1),(5)によれば、切断面演算部13cは、指定点P1,P2の各位置ベクトルOP1,OP2と基準切断面H0の回転角度である角度θとを用いて、単位法線ベクトルeを演算出力できる。すなわち、切断面演算部13cは、制御部13が受信した指定点情報と角度情報とを用いて単位法線ベクトルeを演算出力するとともに、該指定点情報と単位法線ベクトルeとを用いて指定切断面Hを演算出力できる。ただし、切断面演算部13cは、この角度θが零である場合、基準切断面H0を演算出力する。すなわち、基準設定点Q0の位置ベクトルOQ0は、式(5)の角度θとして零を代入すれば求めることができ、基準法線ベクトルe0は、角度θが零の場合の位置ベクトルOQ(すなわち位置ベクトルOQ0)と位置ベクトルOP1,OP2とを用い、式(1)に基づいて求めることができ、基準切断面H0は、指定点P1,P2と基準設定点Q0とを含み、基準法線ベクトルe0を法線とする平面として演算出力され、この方法によって、基準設定点Q0、基準法線ベクトルe0、および基準切断面H0が設定される。この場合、基準切断面H0は、幾何学的に、原点Oと指定点P1,P2とを含む面に対して垂直に交わる面になる。
なお、3次元画像を作成するための一般的なライブラリソフトウェアが制御部13に搭載されている場合、制御部13は、単位法線ベクトルeと、原点Oと指定切断面Hとの距離とが入力されれば、空間座標系xyz上の3次元画像データを指定切断面Hにて切断するとともに、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成できる。この原点Oと指定切断面Hとの距離は、単位法線ベクトルeと位置ベクトルOP1との内積または単位法線ベクトルeと位置ベクトルOP2との内積を用いて求められるので、制御部13は、上述した式(1),(5)に基づき、入力装置8から入力された指定点情報と角度情報とを用いて指定切断面Hを求めるとともに、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成できる。この場合、操作者が入力装置8を用いてドラッグ操作等を行う毎に、制御部13は、このドラッグ操作等によるカーソルの移動量に応じた角度情報を順次受け付けるとともに、順次受け付けた角度情報に応じて基準切断面を回転させ、これによって、指定切断面を順次求めるとともに、求めた指定切断面における3次元指定断層像データを作成または更新し、該3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる。
つぎに、上述したステップS102において、制御部13が、入力装置8から入力された指定点情報を用いて2次元画像データ上に指定点を設定する処理(指定点設定処理)について詳細に説明する。図7は、制御部13が指定点設定処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図8は、2次元画像データDm1上に指定点P1を設定する処理(第1指定点設定処理)を説明する図である。図9は、2次元画像データDm2上に指定点P2を設定する処理(第2指定点設定処理)を説明する図である。
図7、図8、および図9において、制御部13は、入力装置8から入力された画面表示処理に関する指示情報のもと、画像データ記憶部11から所望の2次元画像データ、たとえば2次元画像データDm1を読み出す(ステップS201)とともに、表示回路12を介して、2次元画像データDm1をモニタ9に送出し、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS202)。操作者は、この2次元超音波断層像に所望の関心領域が画面表示されているか否かを確認する。操作者は、所望の関心領域が画面表示されていない場合、入力装置8を操作して2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に更新する指示情報を制御部13に入力する。この場合、制御部13は、指定点情報の入力受付状態ではなく(ステップS203,No)、上述したステップS201以降の処理工程を繰り返す。一方、操作者が、所望の関心領域として、たとえば、図8に示す膵管像Fm1の画面表示を確認した場合、操作者は、入力装置8を操作して、たとえば、モニタ9に画面表示されたカーソルKを膵管像Fm1に移動させるとともに、膵管像Fm1上に指定点P1を指定する指定点情報を入力する。この場合、制御部13は、操作者による入力装置8の操作によって、指定点情報の入力受付状態に切り換わるとともに(ステップS203,Yes)、この指定点情報をもとに、2次元画像データDm1上の膵管像Fm1に対応する座標に指定点P1を設定する(ステップS204)。その後、制御部13は、指定点P1として設定された座標上に指定点P1を示すマーカ(第1マーカ)を付するとともに、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、第1マーカをモニタ9に画面表示させる。
ここで、制御部13は、上述したように、2次元画像データDnに対して、画像中心Cnを原点とし、面平行ベクトルVbnに平行な軸と外積ベクトル(Vbn×Van)に平行な軸とによる直交座標を設定できるので、2次元画像データDm1上には、図8に示すように、画像中心Cm1を原点とし、面平行ベクトルVbm1に平行な軸Bと外積ベクトル(Vbm1×Vam1)に平行な軸Aとによる直交座標系ABが設定される。この場合、制御部13は、2次元画像データDm1上の膵管像Fm1に対応する座標(a1,b1)に指定点P1を設定する。したがって、指定点P1の位置ベクトルOP1は、この座標(a1,b1)と画像中心Cm1の位置ベクトルrm1とを用い、かつ、軸方向ベクトルVam1および面平行ベクトルVbm1が単位長であることに基づき、次式(6)によって求められる。
OP1=rm1+a1(Vbm1×Vam1)+b1Vbm1 ・・・(6)
ただし、外積ベクトル(Vbm1×Vam1)は、軸Aの方向ベクトルに相当し、面平行ベクトルVbm1は、軸Bの方向ベクトルに相当する。このように、指定点P1に対応する座標(a1,b1)は、式(6)に基づき、空間座標系xyz上の3つの成分からなる座標で表現できる。すなわち、制御部13は、空間座標系xyz上の点として、2次元画像データDm1上に指定点P1を設定する。
つぎに、操作者は、入力装置8を操作して2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に更新する指示情報を制御部13に入力する。制御部13は、この指示情報に基づき、画像データ記憶部11から所望の2次元画像データ、たとえば2次元画像データDm2を読み出す(ステップS205)とともに、表示回路12を介して、2次元画像データDm2をモニタ9に送出し、2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS206)。操作者は、この2次元超音波断層像に所望の関心領域が画面表示されているか否かを確認し、所望の関心領域が画面表示されていない場合、入力装置8を操作して2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に更新する指示情報を制御部13に入力する。この場合、制御部13は、上述したステップS203の場合と同様に、指定点情報の入力受付状態ではなく(ステップS207,No)、上述したステップS205以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者が、所望の関心領域として、たとえば、図9に示す胆管像Gm2の画面表示を確認した場合、操作者は、入力装置8を操作して、たとえば、モニタ9に画面表示されたカーソルKを胆管像Gm2に移動させるとともに、胆管像Gm2上に指定点P2を指定する指定点情報を入力する。この場合、制御部13は、操作者による入力装置8の操作によって、指定点情報の入力受付状態に切り換わるとともに(ステップS207,Yes)、この指定点情報をもとに、2次元画像データDm2上の胆管像Gm2に対応する座標に指定点P2を設定する(ステップS208)。
なお、2次元画像データDm2上には、上述した指定点P1の場合と同様に、画像中心Cm2を原点とし、面平行ベクトルVbm2に平行な軸Bと外積ベクトル(Vbm2×Vam2)に平行な軸Aとによる直交座標系ABが設定され、指定点P2は、図9に示すように、2次元画像データDm2上の胆管像Gm2に対応する座標(a2,b2)に設定される。したがって、指定点P2の位置ベクトルOP2は、この座標(a2,b2)と画像中心Cm2の位置ベクトルrm2とを用い、かつ、軸方向ベクトルVam2および面平行ベクトルVbm2が単位長であることに基づき、次式(7)によって求められる。
OP2=rm2+a2(Vbm2×Vam2)+b2Vbm2 ・・・(7)
すなわち、制御部13は、空間座標系xyz上の点として、2次元画像データDm2上に指定点P2を設定する。その後、制御部13は、指定点P2として設定された座標上に指定点P2を示すマーカ(第2マーカ)を付するとともに、2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、第2マーカをモニタ9に画面表示させる。
なお、制御部13は、上述した第1マーカと第2マーカとを異なる態様で2次元画像データ上に付することが望ましい。この場合、制御部13は、指定点P1を示すマーカとして、たとえば+形で赤色の第1マーカを2次元画像データDm1上に付するとともに、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、この第1マーカをモニタ9に画面表示させる。また、制御部13は、指定点P2を示すマーカとして、たとえば×形で緑色の第2マーカを2次元画像データDm2上に付するとともに、2次元画像データDm2に対応する2次元超音波断層像上に重畳した状態で、この第2マーカをモニタ9に画面表示させる。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された第1マーカと第2マーカとを容易に判別できる。
つぎに、上述したステップS103において、制御部13が、設定した二つの指定点を用いて基準切断面と該基準切断面の回転軸とを設定し、その後、設定した基準切断面における3次元基準断層像データを作成するとともに、該3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させるまでの処理(3次元基準断層像表示処理)について詳細に説明する。図10は、制御部13が3次元基準断層像表示処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図11は、制御部13が3次元基準断層像を画面表示した状態を説明する図である。
図10および図11において、制御部13が、上述したステップS102の処理を行って、たとえば、2次元画像データDm1上および2次元画像データDm2上に指定点P1,P2をそれぞれ設定した場合、切断面演算部13cは、図5に示したように、指定点情報を用いて指定点P1,P2を通過する直線Lを演算出力するとともに、記憶部13aから読み出された基準設定点と指定点P1,P2とを含む平面、または記憶部13aから読み出された基準法線ベクトルと指定点P1,P2とを有する平面を演算出力する。この場合、制御部13は、切断面演算部13cによって演算出力された平面を基準切断面H0として設定するとともに、直線Lを基準切断面H0の回転軸として設定する(ステップS301)。つぎに、制御部13は、上述したステップS101において作成した3次元画像データを画像データ記憶部11から読み出し(ステップS302)、その後、画像データ演算部13bは、この3次元画像データを用いて、基準切断面H0における3次元基準断層像データを作成する(ステップS303)。制御部13は、画像データ演算部13bが作成した3次元基準断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、表示回路12を介して、この3次元基準断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部13は、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像W0をモニタ9に画面表示させる(ステップS304)。
図11に示すように、制御部13は、3次元基準断層像W0上に、2次元画像データの膵管像に対応する膵管断層像f0と、2次元画像データの胆管像に対応する胆管断層像g0とを表示するとともに、第1マーカによって表示された指定点P1、第2マーカによって表示された指定点P2、および直線Lに対応する補助線L1を膵管断層像f0上または胆管断層像g0上に重畳的に表示する。ただし、制御部13は、上述したように、第1マーカと第2マーカとを異なる態様で画面表示させることが望ましく、制御部13は、たとえば、+形で赤色の第1マーカを膵管断層像f0に重畳して画面表示させるとともに、×形で緑色の第2マーカを胆管断層像g0に重畳して画面表示させる。さらに、制御部13は、図11に示すように、3次元基準断層像W0と所望の2次元超音波断層像とを同一画面に出力するようにモニタ9を制御する。これによって、モニタ9には、3次元基準断層像W0と、所望の2次元超音波断層像、たとえば、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像dm1とが、相互に重畳しないように、同一画面上に出力表示される。
このように、2次元超音波断層像dm1上の第1マーカと3次元基準断層像W0上の第1マーカとを同じ態様にし、第1マーカと第2マーカとの態様を変えてモニタ9に表示したので、たとえば、図11に示すように、膵管を示す+形で赤色の第1マーカが表示された2次元超音波断層像dm1がモニタ9に表示されている場合には、この第1マーカと、3次元基準断層像W0の膵管断層像f0上に表示された同様の+形で赤色の第1マーカとの位置の対応がつけ易く、第2マーカが示す胆管との混同を避けることができる。
つぎに、上述したステップS105において、制御部13が、指定点情報と角度情報とを用いて指定切断面を設定し、その後、設定した指定切断面における3次元指定断層像データを作成するとともに、該3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させるまでの処理(3次元指定断層像表示処理)について詳細に説明する。図12は、制御部13が3次元指定断層像表示処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図13は、制御部13が3次元指定断層像を画面表示した状態を説明する図である。
図12および図13において、制御部13が、操作者による入力装置8の操作によって、角度情報の入力受付状態に切り換えられるとともに、操作者が、ドラッグ操作等を行って、モニタ9上のカーソルKを所定方向、たとえば画面の上下方向に移動させ、これによって、制御部13が、このカーソルKの移動量に対応する角度θを角度情報として受け付けた場合、切断面演算部13cは、この角度情報に対応する角度θと上述した指定点情報とをもとに、基準切断面H0が直線Lを回転軸として角度θだけ回転した平面を演算出力し、制御部13は、この演算出力された平面を指定切断面Hとして設定する(ステップS401)。この場合、切断面演算部13cは、上述した式(1)および式(5)に基づき、角度θと指定点P1,P2の各座標に関する情報とを用いて指定切断面Hを演算出力できる。つぎに、制御部13は、指定切断面Hが設定された場合、上述したステップS101において作成した3次元画像データを画像データ記憶部11から読み出し(ステップS402)、その後、画像データ演算部13bは、この3次元画像データを用いて、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成する(ステップS403)。制御部13は、画像データ演算部13bが作成した3次元指定断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、表示回路12を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部13は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像Wをモニタ9に画面表示させる(ステップS404)。
図13に示すように、制御部13は、3次元指定断層像W上に、2次元画像データの膵管像に対応する膵管断層像f、2次元画像データの胆管像に対応する胆管断層像g、および胆管と膵管との合流部(胆管膵管合流部)の断層像である胆管膵管合流部像fgを表示するとともに、第1マーカによって表示された指定点P1、第2マーカによって表示された指定点P2、および直線Lに対応する補助線L1を膵管断層像f上または胆管断層像g上に重畳的に表示する。ただし、制御部13は、上述した3次元基準断層像W0の場合と同様に、第1マーカと第2マーカとを異なる態様で画面表示させることが望ましく、制御部13は、たとえば、+形で赤色の第1マーカを膵管断層像fに重畳して画面表示させるとともに、×形で緑色の第2マーカを胆管断層像gに重畳して画面表示させる。さらに、制御部13は、図13に示すように、3次元指定断層像Wと所望の2次元超音波断層像とを同一画面に出力するようにモニタ9を制御する。これによって、モニタ9には、3次元基準断層像Wと、所望の2次元超音波断層像、たとえば、2次元画像データDm1に対応する2次元超音波断層像dm1とが、相互に重畳しないように、同一画面上に出力表示される。
ここで、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像Wが、胆管膵管合流部像fgの近傍に腫瘍断層像hを示している場合、操作者は、体腔内の特徴的部位である胆管膵管合流部を指標として、腫瘍断層像hに対応する実際の腫瘍の大きさまたは体腔内における位置等の情報を容易かつ的確に推定できる。すなわち、操作者は、入力装置8を用いてドラッグ操作等を行って、膵管および胆管の各断層像がともに表示された3次元基準断層像W0の基準切断面H0を回転する指示情報、すなわち、直線Lを回転軸として基準切断面H0を回転する角度θの角度情報を入力すれば、胆管膵管合流部像fgまたは腫瘍断層像h等の関心領域の断層像を容易に得ることができるとともに、この関心領域の断層像を用いて、被検体に対する超音波診断を的確に行うことができる。また、上述したステップS401〜S404において、制御部13の処理速度が十分速い場合、このドラッグ操作による入力量に応じて変化する回転角度の指定切断面の3次元指定断層像データが、このドラッグ操作に同期して、逐次モニタ9に出力される。このため、操作者は、胆管膵管合流部像fgまたは腫瘍断層像h等の関心領域の断層像を一層容易に得ることができる。
なお、操作者が、入力装置8を用いて、第1マーカ、第2マーカ、補助線、または2次元超音波断層像の画面表示を消去する指示情報を入力した場合、制御部13は、この指示情報による指示のもと、モニタ9に対して、画面表示された第1マーカ、第2マーカ、補助線、または2次元超音波断層像を消去する制御を行ってもよい。また、操作者が、入力装置8を用いて、第1マーカ、第2マーカ、補助線、または2次元超音波断層像の画面表示を再表示する指示情報を入力した場合、制御部13は、この指示情報による指示のもと、モニタ9に対して、消去された第1マーカ、第2マーカ、補助線、または2次元超音波断層像を再表示する制御を行ってもよい。さらに、操作者が、入力装置8を用いて、3次元基準断層像または3次元指定断層像と同一画面に表示された2次元超音波断層像を別の2次元超音波断層像に切り換える指示情報を入力した場合、制御部13は、この指示情報による指示のもと、モニタ9に対して、画面表示された2次元超音波断層像を更新する制御を行ってもよい。この場合、制御部13は、たとえば、膵管が表示された2次元超音波断層像を胆管が表示された2次元超音波断層像に切り換えることができる。
また、この実施の形態1では、プローブの先端に組み込まれた超音波振動子の近傍に送信コイルが配置され、位置データ算出装置が、この送信コイルから出力された磁場を用いて、この超音波振動子によるラジアルスキャンの位置データを算出していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、操作者がこのプローブを手引きする場合の超音波振動子の移動加速度を検出するとともに該移動加速度の積分処理等を行って、この超音波振動子によるラジアルスキャンの位置データを算出してもよい。
さらに、この実施の形態1では、磁場を発生する送信コイルがプローブ内の超音波振動子の近傍に配置され、該送信コイルによる発生磁場が受信アンテナに検出された場合に、この送信コイルの位置を検出していたが、この発明は、これに限定されるものではなく、超音波振動子の挿入方向と該挿入方向に垂直な方向との各指向性が設けられた受信コイルをプローブ内の超音波振動子の近傍に配置し、この受信コイルの位置を検出してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態1では、3次元走査によって得られた複数の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成し、所望の2次元超音波断層像上に指定点を二つ指定する指定点情報が入力された場合、該2次元超音波断層像に対応する各2次元画像データ上に該指定点情報に対応する指定点をそれぞれ設定するとともに、これら二つの指定点を含む基準切断面と、これら二つの指定点を通過する該基準切断面の回転軸とを演算出力し、その後、この3次元画像データと該基準切断面とをもとに、該基準切断面における3次元基準断層像を画面表示させている。さらに、この実施の形態1では、この基準切断面の所望の回転角度に関する角度情報が入力された場合、この角度情報と上述した指定点情報とをもとに、この基準切断面を該角度情報に対応する角度だけ回転した指定切断面を演算出力し、その後、この3次元画像データと該指定切断面とをもとに、該指定切断面における3次元指定断層像を画面表示させている。したがって、胆管と膵管との合流部等の体腔内の特徴的部位または腫瘍等の疾患部位等の関心領域の断層像を一つの画面内に的確に表示出力できる超音波診断装置を実現することができ、操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、この関心領域の断層像を容易に探し出すことができる。すなわち、操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、体腔内の被検部位の状態を容易に観察することができ、これによって、患者に対する超音波診断を迅速かつ的確に行うことができる。
一般に、胆道腫瘍または膵腫瘍等の疾患では、胆管または膵管に沿って腫瘍がどのように広がっているかを観察することが切除範囲を決定する上で重要である。何故なら、操作者、すなわち術者は、手術の際に胆管または膵管(主膵管)を含めて組織を切除するため、術前に切除部分の長さを見積もっておく必要があるからである。さらに、疾患部の観察が行われる場合には、腫瘍の好発部位である胆管膵管合流部が、一つの断層像上に表示されることが望ましい。何故なら、特徴のあるY字状の胆管膵管合流部は、位置の同定がし易いため、手術中の指標として用いられ易く、術者は、胆管膵管合流部からどの程度(たとえば何cm)の位置に腫瘍があるか、あるいは胆管膵管合流部を中心にして腫瘍がどのように広がっているか等の情報を知ることによって、術前に切除位置または切除範囲を見積もる必要があるからである。したがって、疾患部の観察が行われる場合には、胆管膵管合流部の特徴のあるY字状の形が明瞭にわかるように、胆管膵管合流部が一つの断層像上に表示されることが望ましい。この実施の形態1によれば、この胆管膵管合流部の断層像を容易に探し出すことができる。
また、この超音波診断装置のプローブに内視鏡等の光学系が設けられた場合、この超音波診断装置は、ラジアルスキャンを行うとともに体腔内の光学画像データを作成し、該ラジアルスキャンによる2次元的または3次元的な超音波断層像と該光学画像データによる体腔内光学像とを画面表示できる。この場合、操作者は、この超音波断層像と体腔内光学像とを観察して、被検部位の状態に関する医学的情報をさらに的確に得ることができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。上述した実施の形態1では、基準切断面の回転角度に関する角度情報が入力された場合、この角度情報と既知の指定点情報とを用いて指定切断面を演算出力し、その後、既知の3次元画像データと該指定切断面とをもとに、該指定切断面における3次元指定断層像を画面表示するように構成していたが、この実施の形態2では、基準切断面を回転する単位角度に関する情報が入力された場合に、該単位角度の整数倍の各角度を指定切断面の回転角度として設定するとともに、該回転角度毎の指定切断面を演算出力し、その後、該指定切断面毎の3次元指定断層像データを作成するように構成している。
図14は、この発明の実施の形態2である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置21は、画像処理装置10に代えて画像処理装置22が配置され、画像処理装置22には、制御部13に代えて、単位角度設定部23aを備えた制御部23が設けられる。制御部23は、制御部13と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図15は、制御部23が、位置データとの対応付けが行われたn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成してから、単位角度の整数倍毎に設定された指定切断面における3次元指定断層像データを作成し、その後、入力装置8から入力された角度情報に応じて、3次元指定断層像または3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させるまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図15において、制御部23が、上述した実施の形態1の場合と同様に、受信したn個の2次元画像データと位置データとの対応付けを行うとともに、この位置データが対応付けられたn個の2次元画像データに対して、空間座標系xyzにおける配列関係を設定した場合、画像データ演算部13bは、上述したステップS101と同様に、このn個の2次元画像データに対して補間等の画像処理を行い、空間座標系xyz上に3次元画像データを作成する(ステップS501)。
つぎに、制御部23は、上述した実施の形態1の場合と同様に、入力装置8から入力された画面表示処理に関する指示情報のもと、画像データ記憶部11から所望の2次元画像データを読み出すとともに、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる。操作者が入力装置8を用いて2次元超音波断層像上の二つの所望位置に関する指定点情報を入力した場合、制御部23は、上述したステップS102と同様に、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に、この指定点情報に対応する指定点P1,P2を設定する(ステップS502)。
少なくとも指定点P1,P2がn個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に設定された場合、制御部23は、上述したステップS103と同様に、基準切断面H0と基準切断面H0の回転軸である直線Lとを設定し、さらに、ステップS501において作成した3次元画像データを用い、基準切断面H0における3次元基準断層像データを作成する。その後、制御部23は、上述したステップS103と同様に、この3次元基準断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS503)。
つぎに、操作者が、入力装置8によるボタン操作またはドラッグ操作等を行って、基準切断面H0を回転する所望の単位角度に関する単位角度情報を入力した場合、制御部23は、この単位角度情報をもとに設定された各回転角度と、指定点P1,P2に対応する指定点情報とを用いて、該回転角度毎の指定切断面をそれぞれ演算出力する。この回転角度毎の指定切断面が設定された場合、画像データ演算部13bは、制御部23が画像データ記憶部11から読み出した3次元画像データを用いて、この回転角度毎の指定切断面における3次元指定断層像データをそれぞれ作成する(ステップS504)。その後、制御部23は、画像データ演算部13bが作成した回転角度毎の3次元指定断層像データを該回転角度と対応付けた状態で画像データ記憶部11に記憶する。なお、この単位角度情報は、制御部23が指定切断面を演算出力する前に制御部23に入力されればよく、記憶部13aまたは画像データ記憶部11に予め記憶されていてもよい。
ここで、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、入力装置8を操作して、制御部23を角度情報の入力受付状態に切り換える。たとえば、操作者が、マウスを用いてカーソルを画面上の所定位置に移動させ、その後、マウスのボタンを押した場合に、制御部23は、角度情報の入力受付状態に切り換えられる。制御部23が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS505,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部23に角度情報を入力した場合、制御部23は、この角度情報を上述した回転角度に対応する角度として受け付けるとともに、この角度情報に対応する回転角度の指定切断面における3次元指定断層像データを画像データ記憶部11から読み出し、表示回路12を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部13は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS506)。
その後、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部23を角度情報の入力受付状態に切り換える。制御部23が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS507,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部23に角度情報を入力した場合、制御部23は、この角度情報を受け付けるとともに、ステップS506以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部23を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部23は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS505,No)、この3次元基準断層像の基準切断面を回転させないので、モニタ9は、この3次元基準断層像が画面表示された状態を維持する。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された所望の関心領域を観察することができ、被検体に対する超音波診断を達成できる。また、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、制御部23を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部23は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS507,No)、この3次元指定断層像の指定切断面を回転させないので、モニタ9は、この3次元指定断層像が画面表示された状態を維持する。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された所望の関心領域を観察することができ、被検体に対する超音波診断を達成できる。
つぎに、上述したステップS504において、制御部23が、入力された単位角度情報をもとに設定された各回転角度と、指定点P1,P2に対応する指定点情報とを用いて、該回転角度毎の指定切断面をそれぞれ演算出力してから、該回転角度毎の指定切断面における3次元指定断層像データをそれぞれ作成するまでの処理(3次元指定断層像作成処理)について詳細に説明する。図16は、制御部23が3次元指定断層像作成処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図17は、制御部23が回転角度毎の指定切断面を設定する処理を説明する図である。
図16および図17において、制御部23が、入力装置8によるボタン操作またはドラッグ操作等によって入力された単位角度情報を受け付けた場合、単位角度設定部23aは、この単位角度情報に対応する角度を単位角度θ1として設定するとともに、単位角度θ1の整数倍の各角度を回転角度θSとして設定する(ステップS601)。この場合、単位角度設定部23aは、得られる回転角度θSが180[deg.]を超えるまで、次式(8)に基づく回転角度の演算出力を行い、得られたs個の回転角度θ1,θ2,…,θSを基準切断面H0の回転角度として設定する。
θS=sθ1 (s=1,2,3,…) ・・・(8)
なお、この単位角度情報として入力される単位角度θ1は、1〜5[deg.]程度であることが望ましく、これによって、制御部23は、細密に区分された各指定切断面の3次元超音波断層像データを作成することができ、たとえば、毛細血管等の微小組織の断層像の画面表示に好適な細密化された3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させることができる。
切断面演算部13cは、単位角度設定部23aが、基準切断面H0の回転角度として、s個の回転角度θ1,θ2,…,θSを設定した場合、この回転角度θ1,θ2,…,θSと上述した指定点情報とをもとに、基準切断面H0が直線Lを回転軸として回転角度θ1,θ2,…,θSだけ回転した各平面を演算出力し、制御部23は、この演算出力されたs個の平面を回転角度毎の指定切断面としてそれぞれ設定する(ステップS602)。この場合、切断面演算部13cは、上述した式(1)および式(5)に基づき、回転角度θ1,θ2,…,θSと指定点P1,P2の各座標に関する情報とを用いて、これらの各平面をそれぞれ演算出力でき、制御部23は、図17に示すように、回転角度θ1,θ2,…,θSだけ基準切断面H0を回転した各平面を回転角度毎の指定切断面H1,H2,…,HSとしてそれぞれ設定する。
制御部23は、回転角度毎の指定切断面H1,H2,…,HSが設定された場合、上述したステップS501において作成した3次元画像データを画像データ記憶部11から読み出す(ステップS603)。画像データ演算部13bは、制御部23が画像データ記憶部11から読み出した3次元画像データを用いて、回転角度毎の指定切断面H1,H2,…,HSにおける各3次元指定断層像データを作成する(ステップS604)。その後、制御部23は、画像データ演算部13bが作成した各3次元指定断層像データを回転角度θ1,θ2,…,θSとそれぞれ対応付けた状態で画像データ記憶部11に記憶する。これによって、制御部23は、この回転角度に対応する角度情報が入力された場合に、該角度情報による角度に対応する回転角度の3次元超音波断層像データを画像データ記憶部11から読み出すことができる。
つぎに、上述したステップS506において、制御部13が、基準切断面の回転角度として、入力装置8の操作によって入力された角度情報を受け付けてから、この角度情報に対応する回転角度の指定切断面における3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させるまでの3次元指定断層像表示処理について詳細に説明する。図18は、制御部23が、この3次元指定断層像表示処理を達成するまでの処理工程を詳細に説明するフローチャートである。図18において、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部23に角度情報を入力した場合、制御部23は、この角度情報が上述した基準切断面H0の回転角度θ1,θ2,…,θSのいずれか一つに対応するか否かを判断し、この角度情報がこれらの回転角度のいずれか一つに対応すると判断した場合に、この対応する回転角度として、この角度情報による角度を受け付ける(ステップS701)。これと同時に、制御部23は、この角度情報に対応する回転角度が対応付けられた3次元指定断層像データを画像データ記憶部11から読み出す(ステップS702)。
たとえば、制御部23は、回転角度θ1に対応する角度情報が入力された場合、この角度情報による角度を回転角度θ1に対応する角度として受け付けるとともに、この回転角度θ1と対応付けられた3次元指定断層像データを画像データ記憶部11から読み出し、さらに、回転角度θ2に対応する角度情報が入力された場合、この角度情報による角度を回転角度θ2に対応する角度として受け付けるとともに、この回転角度θ2と対応付けられた3次元指定断層像データを画像データ記憶部11から読み出す。すなわち、制御部23は、これらの回転角度に対応する角度情報が順次入力された場合、順次入力された角度情報による各角度を回転角度に対応する角度として順次受け付けるとともに、これらの角度情報に対応する回転角度毎に対応付けられた3次元指定断層像データを画像データ記憶部11から順次読み出すことができる。
その後、制御部23は、表示回路12を介して、これらの角度情報に対応する回転角度毎の3次元指定断層像データをモニタ9に順次送出する。これによって、制御部23は、入力装置8を用いて順次入力される角度情報に応じ、該角度情報に対応する回転角度毎の3次元指定断層像をモニタ9に順次画面表示させる(ステップS703)。
なお、この実施の形態2では、回転角度毎に設定された各指定切断面における3次元指定断層像データが、該回転角度と対応付けられた状態で記憶されるようにしていたが、この発明は、これに限定されるものではなく、回転角度毎に設定された各指定切断面と各3次元指定断層像とを対応付けて記憶してもよく、操作者によって角度情報が入力された場合に、この角度情報と既知の指定点情報とを用いて指定切断面を演算出力し、得られた指定切断面と対応付けられた3次元指定断層像データを読み出すとともに、該3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像を画面表示してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態2では、基準切断面の回転角度に関する単位角度情報が入力された場合に、該単位角度情報に対応する単位角度が整数倍されて得られる各角度をこの基準切断面の回転角度として設定するとともに、該回転角度と該基準切断面上の二つの指定点に関する指定点情報とを用いて、該回転角度毎の指定切断面を設定し、その後、設定された指定切断面毎の3次元指定断層像データを作成するとともに、該3次元指定断層像データを各回転角度と対応付けて記憶するようにし、操作者が回転角度に対応する角度情報を順次入力した場合に、順次入力された角度情報に対応する回転角度と対応付けられた3次元指定断層像データを順次読み出すとともに、該3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像を順次画面表示するように構成しているので、角度情報が入力されてから該角度情報に対応する回転角度毎の3次元指定断層像を画面表示するまでの処理速度を向上することができ、これによって、操作者が順次入力した所望の角度情報に応じ、該角度情報に対応する回転角度毎の3次元指定断層像を効率的に順次画面表示する超音波診断装置を実現できる。
また、基準切断面の回転角度が、操作者によって入力される単位角度情報に対応する単位角度を整数倍した各角度として設定されるので、回転角度について細密に区分された指定切断面を容易に設定することができ、これによって、回転角度について細密に区分された3次元指定断層像を容易に画面表示することができ、関心領域が毛細血管等の微小組織であっても、その断層像を容易かつ的確に画面表示する超音波診断装置を実現できる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。上述した実施の形態1では、位置データとの対応付けが行われた複数の2次元画像データを空間座標系xyz上に配列した場合に、配列された全ての2次元画像データに対して補間等の画像処理を行い、該2次元画像データに対応する3次元画像データを作成していたが、この実施の形態3では、これらの2次元画像データ上に二つの指定点が設定された場合に、この指定点がそれぞれ設定された二つの2次元画像データ間について補間等の画像処理を行い、該二つの2次元画像データに挟まれた範囲の3次元画像データを作成している。
図19は、この発明の実施の形態3である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置31は、画像処理装置10に代えて画像処理装置32が配置され、画像処理装置32には、制御部13に代えて制御部33が設けられる。制御部33は、画像データ演算部13bに代えて画像データ演算部33aを有し、制御部13と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図20は、制御部33が、位置データとの対応付けが行われたn個の2次元画像データを空間座標系xyz上に配列した状態で画像データ記憶部11に記憶してから、該2次元画像データをもとに作成された3次元指定断層像を画面表示するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図21は、空間座標系xyz上に配列された複数の2次元画像データを用いて、指定点が指定された2次元画像データ間の3次元画像データを作成する処理を説明する図である。図20および図21において、制御部33が超音波観測装置5からn個の2次元画像データを順次受信するとともに位置データ算出装置7から位置データを順次受信した場合、制御部33は、上述した実施の形態1の場合と同様に、受信したn個の2次元画像データと位置データとの対応付けを行うとともに、この位置データが対応付けられたn個の2次元画像データに対して、図21に示すように、空間座標系xyzにおける配列関係を設定する。その後、制御部33は、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データを画像データ記憶部11に記憶する(ステップS801)。
つぎに、制御部33は、上述した実施の形態1の場合と同様に、入力装置8から入力された画面表示処理に関する指示情報のもと、画像データ記憶部11から所望の2次元画像データを読み出すとともに、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる。操作者が入力装置8を用いて2次元超音波断層像上の二つの所望位置に関する指定点情報を入力した場合、制御部33は、上述したステップS102と同様に、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に、この指定点情報に対応する指定点P1,P2を設定する(ステップS802)。この場合、制御部33は、図21に示すように、2次元画像データDm1上に指定点P1を設定し、また、2次元画像データDm2上に指定点P2を設定する。
少なくとも指定点P1,P2が2次元画像データDm1,Dm2上に設定された場合、画像データ演算部33aは、空間座標系xyzに配列されたn個の2次元画像データの内、指定点P1が設定された2次元画像データDm1と、指定点P2が設定された2次元画像データDm2とによって挟まれる範囲(指定画像範囲)について、各2次元画像データ間の補間および重複部分の平均化等の公知の画像処理を行い、この指定画像範囲の3次元画像データを作成する(ステップS803)。その後、制御部33は、画像データ演算部33aが作成した3次元画像データを画像データ記憶部11に記憶する。なお、指定点P1が設定された2次元画像データDm1と、指定点P2が設定された2次元画像データDm2とは、互いに隣接した2次元画像データでなくてもよい。
一方、切断面演算部13cは、指定点P1,P2が2次元画像データDm1,Dm2上にそれぞれ設定された場合、上述したステップS103と同様に、指定点P1,P2を含む基準平面と指定点P1,P2を通過する直線Lとを演算出力する。制御部33は、図5に示したように、この基準平面を基準切断面H0として設定するとともに、直線Lを基準切断面H0の回転軸として設定し、さらに、ステップS803において作成された指定画像範囲の3次元画像データを用いて、基準切断面H0における3次元基準断層像データを作成する。その後、制御部33は、上述したステップS103と同様に、この3次元基準断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS804)。
ここで、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した実施の形態1の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部33を角度情報の入力受付状態に切り換える。たとえば、操作者が、マウスを用いてカーソルを画面上の所定位置に移動させ、その後、マウスのボタンを押した場合に、制御部33は、角度情報の入力受付状態に切り換えられる。制御部33が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS805,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部33に角度情報を入力した場合、制御部33は、入力装置8から入力された角度情報を受け付ける。つぎに、制御部33は、上述したステップS105と同様に、この角度情報に対応する角度θと指定点P1,P2に対応する指定点情報とを用いて、基準切断面H0を角度θだけ回転した指定切断面Hを設定する。
画像データ演算部33aは、指定切断面Hが設定された場合、制御部33が画像データ記憶部11から読み出した指定画像範囲の3次元画像データを用いて、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成する。その後、制御部33は、画像データ演算部33aが作成した3次元指定断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、表示回路12を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部33は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS806)。
その後、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部33を角度情報の入力受付状態に切り換える。制御部33が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS807,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部33に角度情報を入力した場合、制御部33は、この角度情報を受け付けるとともに、ステップS806以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部33を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部33は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS805,No)、この基準切断面H0を回転させないので、モニタ9は、この3次元基準断層像が画面表示された状態を維持する。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された所望の関心領域を観察することができ、被検体に対する超音波診断を達成できる。また、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、制御部33を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部33は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS807,No)、この指定切断面Hを回転させないので、モニタ9は、この3次元指定断層像が画面表示された状態を維持する。これによって、操作者は、モニタ9に画面表示された所望の関心領域を観察することができ、被検体に対する超音波診断を達成できる。
なお、この実施の形態3では、指定画像範囲の3次元画像データが作成され、その後、基準切断面と該基準切断面の回転軸とが設定された場合を例示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、指定画像範囲の3次元画像データは、3次元基準断層像データの作成処理が開始される前に作成されればよい。この場合、指定画像範囲の3次元画像データは、基準切断面と該基準切断面の回転軸とが設定された後に作成されてもよい。
また、この実施の形態3では、入力された角度情報に対応する角度の指定切断面について3次元指定断層像を作成した場合に適用したが、この発明は、これに限定されるものではなく、上述した実施の形態2に示したように、単位角度を用いて設定された回転角度毎の3次元指定断層像を作成した場合に適用してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態3では、位置データが対応付けられた複数の2次元画像データ上に二つの指定点が設定された場合、各指定点がそれぞれ設定された二つの2次元画像データによって挟まれた範囲、すなわち指定画像範囲について補間等の画像処理を行い、この指定画像範囲の3次元画像データを作成するように構成しているので、当該装置の記憶容量を可能な限り節約して、3次元基準断層像または3次元指定断層像を作成する処理を行う場合に制御部にかかる負荷を軽減することができ、これによって、補間等の画像処理の高速化を促進し、所望の関心領域の断層像を短時間で画面表示する超音波診断装置を実現できる。
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。上述した実施の形態1〜3では、所望の2次元画像データに対応する2次元超音波断層像を用いて、指定点情報の入力を行った場合に、この2次元画像データ上に指定点が設定されるように構成していたが、この実施の形態4では、画面表示された3次元指定断層像を用いて、指定点情報の入力が行われた場合に、既に設定されている指定点に関する各データを更新している。
図22は、この発明の実施の形態4である超音波診断装置の概略構成を例示するブロック図である。この超音波診断装置41は、画像処理装置10に代えて画像処理装置42が配置され、画像処理装置42には、制御部13に代えて、更新処理部43aを備えた制御部43が設けられる。制御部43は、制御部13と同様に、処理プログラム等の各種データが記憶されたROM、各演算パラメータを記憶するRAM、および該ROMに記憶された処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図23は、制御部43が、位置データとの対応付けが行われたn個の2次元画像データを用いて3次元画像データを作成してから、該3次元画像データを用いて作成された3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像を画面表示し、その後、この3次元指定断層像を用いて指定点情報の入力が行われた場合に、既に設定されている指定点が更新されるまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図24は、画面表示された3次元指定断層像を用いて指定点情報が入力された場合に既に設定されている指定点を更新する処理を説明する図である。
図23および図24において、制御部43が、上述した実施の形態1の場合と同様に、受信したn個の2次元画像データと位置データとの対応付けを行うとともに、この位置データが対応付けられたn個の2次元画像データに対して、空間座標系xyzにおける配列関係を設定した場合、画像データ演算部13bは、上述したステップS101と同様に、このn個の2次元画像データに対して補間等の画像処理を行い、空間座標系xyz上に3次元画像データを作成する(ステップS901)。
つぎに、制御部43は、上述した実施の形態1の場合と同様に、入力装置8から入力された画面表示処理に関する指示情報のもと、画像データ記憶部11から所望の2次元画像データを読み出すとともに、この2次元画像データに対応する2次元超音波断層像をモニタ9に画面表示させる。操作者が入力装置8を用いて2次元超音波断層像上の二つの所望位置に関する指定点情報を入力した場合、制御部43は、上述したステップS102と同様に、n個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に、この指定点情報に対応する指定点P1,P2を設定する(ステップS902)。
少なくとも指定点P1,P2がn個の2次元画像データD1,D2,…,Dn上に設定された場合、制御部43は、上述したステップS103と同様に、基準切断面H0と基準切断面H0の回転軸である直線Lとを設定し、さらに、ステップS901において作成した3次元画像データを用い、基準切断面H0における3次元基準断層像データを作成する。その後、制御部43は、上述したステップS103と同様に、この3次元基準断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、この3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS903)。
3次元基準断層像がモニタ9に画面表示された場合、操作者は、この画面表示された3次元基準断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した実施の形態1の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部43を角度情報の入力受付状態に切り換える。たとえば、操作者が、マウスを用いてカーソルを画面上の所定位置に移動させ、その後、マウスのボタンを押した場合に、制御部43は、角度情報の入力受付状態に切り換えられる。制御部43が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS904,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部43に角度情報を入力した場合、制御部43は、入力装置8から入力された角度情報を受け付ける。つぎに、制御部43は、上述したステップS105と同様に、この角度情報に対応する角度θと指定点P1,P2に対応する指定点情報とを用いて、基準切断面H0を角度θだけ回転した指定切断面Hを設定し、この指定切断面Hと、画像データ記憶部11から読み出した3次元画像データとを用いて、指定切断面Hにおける3次元指定断層像データを作成する。その後、制御部43は、作成した3次元指定断層像データを画像データ記憶部11に記憶するとともに、表示回路12を介して、この3次元指定断層像データをモニタ9に送出する。これによって、制御部43は、この3次元指定断層像データに対応する3次元指定断層像をモニタ9に画面表示させる(ステップS906)。
その後、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察し、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されているか否かを確認する。所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていない場合、操作者は、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、入力装置8を操作して、制御部43を角度情報の入力受付状態に切り換える。制御部43が角度情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS906,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作等を行って、制御部43に角度情報を入力した場合、制御部43は、この角度情報を受け付けるとともに、ステップS905以降の処理工程を繰り返す。
一方、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、制御部43を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部43は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS904,No)、この基準切断面H0を回転させないので、モニタ9は、この3次元基準断層像が画面表示された状態を維持する。この場合、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元基準断層像による所望の関心領域を観察することができる。その後、操作者が、この3次元基準断層像上の指定点に対して更新対象の指定を行わない場合、制御部43は、更新する指定点に関する指定点情報の入力受付状態ではなく(ステップS907,No)、該指定点情報の入力受付を行わないので、後述する指定点更新処理を行わず、この3次元基準断層像上に表示された指定点の設定を維持する。
他方、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像を観察して、所望の関心領域がモニタ9に画面表示されていることを確認した場合、上述した3次元基準断層像の場合と同様に、制御部43を角度情報の入力受付状態に切り換える操作を行わない。この場合、制御部43は、角度情報の入力受付状態ではなく(ステップS906,No)、この指定切断面Hを回転させないので、モニタ9は、この3次元指定断層像が画面表示された状態を維持する。この場合、操作者は、モニタ9に画面表示された3次元指定断層像による所望の関心領域を観察することができる。その後、操作者が、この3次元指定断層像上の指定点に対して更新対象の指定を行わない場合、制御部43は、更新する指定点に関する指定点情報の入力受付状態ではなく(ステップS907,No)、該指定点情報の入力受付を行わないので、後述する指定点更新処理を行わず、この3次元指定断層像上に表示された指定点の設定を維持する。
ここで、操作者が、画面表示された3次元基準断層像または3次元指定断層像を観察するとともに、入力装置8を用いて、たとえば、画面表示されたカーソルを更新対象の指定点に移動させるとともに該指定点を指定する操作を行い、この3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に重畳的に表示された更新対象の指定点を指定した場合、制御部43は、新規に指定される指定点に関する指定点情報の入力受付状態に切り換えられる。制御部43が、この指定点情報の入力受付状態に切り換えられ(ステップS907,Yes)、操作者が、入力装置8によるドラッグ操作またはボタン操作等を行って、この指定点情報を制御部43に入力した場合、制御部43は、更新対象として指定された指定点の更新情報として、この指定点情報を受け付ける。その後、制御部43は、この指定点情報を用いて指定点更新処理を行い、この更新対象の指定点を該指定点情報に対応する新規の指定点に更新する(ステップS908)。
たとえば、操作者が、入力装置8を用いて、3次元指定断層像W上に重畳的に表示された指定点P2の更新を指定し、その後、指定点P2を更新する指定点情報を入力した場合、制御部43は、入力された指定点情報を指定点P2の更新情報として受け付けるとともに、図24に示すように、この指定点情報に対応する指定点P2aを3次元指定断層像W上に新規に設定する。この場合、制御部43は、指定点P2を指定点P2aに更新し、これによって、この指定点更新処理を達成する。なお、制御部43は、3次元指定断層像W上に重畳的に表示された指定点P1の更新が指定され、その後、指定点P1を更新する指定点情報が入力された場合も、この指定点P2の場合と同様に、指定点P1に対する指定点更新処理を達成することができる。また、制御部43は、図11に例示した3次元基準断層像W0上に重畳的に表示された指定点P1または指定点P2の更新が指定され、その後、指定点P1または指定点P2を更新する指定点情報が入力された場合も、この3次元指定断層像の場合と同様に、指定点P1または指定点P2に対する指定点更新処理を達成することができる。
画面表示された3次元基準断層像上または3次元指定断層像上の二つの指定点の少なくとも一つが更新された場合、制御部43は、最新の二つの指定点に関する指定点情報を用いて、上述したステップS903以降の処理工程を繰り返す。この場合、制御部43は、この最新の指定点情報を用いて、二つの指定点を含む基準切断面と該基準切断面の回転軸とを更新するとともに、3次元基準断層像データを更新し、該3次元基準断層像データに対応する3次元基準断層像と、更新された回転軸に対応する補助線とをモニタ9に画面表示させる。この補助線L2は、図24に示すように、指定点更新処理後の最新の指定点、たとえば、指定点P1,P2aを通過する直線として画面表示される。
なお、この実施の形態4では、入力された角度情報に対応する角度の指定切断面について3次元指定断層像を作成した場合に適用したが、この発明は、これに限定されるものではなく、上述した実施の形態2に示したように、単位角度を用いて設定された回転角度毎の3次元指定断層像を作成した場合に適用してもよいし、上述した実施の形態3に示したように、指定点が設定された二つの2次元画像データ間に対して補間等の画像処理を行い、この指定画像範囲の3次元画像データを作成した場合に適用してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態4では、画面表示された3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に表示された指定点に対して更新対象の指定が行われ、その後、この指定点の更新処理に関する新規の指定点情報が、この3次元基準断層像上または3次元指定断層像上に入力された場合に、この更新対象の指定点を新規の指定点情報に対応する指定点に更新する処理を行うとともに、該処理後の最新の指定点に関する指定点情報を用いて、基準切断面と該基準切断面の回転軸とを更新するように構成しているので、2次元画像データ上に設定された指定点に対する更新作業の短時間化を促進するとともに、該2次元画像データをもとに作成された3次元画像データに対して、所望の断層像が表示される切断面を容易に設定できる超音波診断装置を実現することができる。操作者は、この超音波診断装置を用いた場合、体腔内の特徴的部位または患部等の関心領域が的確に表示された断層像を容易に探し出すことができ、これによって、患者の体腔内を検査する超音波診断の作業効率を向上することができる。
また、この実施の形態4では、胆管膵管合流部等の体腔内の特徴的部位を画面表示した後、この特徴的部位の全体が画面表示された状態で指定点を更新し、該更新後の指定点を通る直線を回転軸として、切断面を回転するように構成したので、操作者、すなわち術者は、一旦胆管膵管合流部等を観察し、その後、たとえば膵管の周囲における腫瘍の有無をさらに確認したい場合に、3次元画像データを作成する処理から当該超音波診断装置を操作し直すことなく、所望の断層像を画面表示する操作を簡便に行うことができる。