JP2005158923A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種電子機器に広く用いられている多層プリント配線板において、可撓性を有する部分を付与することにより、コネクターやリード線を用いることなく繰り返し折り曲げ可能な全層IVH構造の多層プリント配線板を提供することを目的とする。
【解決手段】可撓性絶縁シートに両面粗化銅箔を使用、あるいは回路表面を粗化処理することにより、容易に折り曲げることが可能で、さらに繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板を実現できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ等の各種電子機器に広く用いられる多層プリント配線板に関するものである。
特に、携帯電話機、ビデオカメラ等の電子機器は小型軽量化が進み、それに使用するプリント配線板は、高密度化とともに可撓性を有する機能を要求されている。
以下に従来の多層プリント配線板における製造方法について説明する。
図8(a)〜(c)は従来の多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。図8において、22は導電性のペーストが充填された導通孔を有し、かつ所定の形状に切断した層間導通用接着シート、23は内層材である。
まず図8(a)に示すように、層間導通用接着シート22の両面に銅箔を積層した後、導体パターン24を形成した内層材23を得る。
次に図8(b)に示すように、レーザー光を用いて所定の形状に切断した層間導通用接着シート22および銅箔21を内層材23を重ね合わせ、熱プレス機にステンレス板などで挟んでセットし、加熱・加圧した後、図8(c)に示すような多層銅張積層板を得る。
この表層を回路形成して、内部に導体パターン24を有し、導電性を有するペースト等により各層を電気的に接続し、さらに、一部分がフィルム状でかつ可撓性を有する多層プリント配線板を得る。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平10−200258号公報
しかしながら、上記の従来の多層プリント配線板の構成では、プリント配線板の可撓性を有する部分を高速で複数回折り曲げた場合、その衝撃で可撓性を有する部分の近傍の積層部分で層間密着性が悪くなり、可撓性を有する部分の近傍の多層積層部分に層間剥離が発生する可能性があった。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、容易に折り曲げることが可能で、さらに内層用の回路基板の回路と層間導通用接着シートの導電性ペーストとの導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板を実現できる多層プリント配線板の製造方法を提供しうるものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の発明は、表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程と、基材に熱硬化性樹脂が含浸された半硬状態のプリプレグシートに設けられた貫通孔に導電性ペーストが充填された層間導通用接着シートを準備する工程と、表層に回路が形成された回路基板を準備する工程と、前記可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程を備え、可撓性絶縁シートに形成された回路は表面が粗化されていることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法というものであり、可撓性絶縁シートに両面粗化銅箔を使用、あるいは回路表面を粗化処理することにより、容易に折り曲げることが可能で、さらに内層用の回路基板の回路と層間導通用接着シートの導電性ペーストとの導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板を実現できる。
本発明の請求項2に記載の発明は、可撓性絶縁シートに形成された回路は、両面粗化銅はくを用いることにより表面が粗化されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、黒化処理等の酸化処理による粗化によらず、層間導通用接着シートの導電性ペーストと内層材の導体の電気的な接続が、酸化皮膜により、阻害されることのないよう、接着力を向上するという作用を有する。
本発明の請求項3に記載の発明は、可撓性絶縁シートに形成された回路は、酸化処理したのち還元処理を施すことにより表面が粗化されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法としたものであり、層間導通用接着シートの導電性ペーストと内層材の導体の電気的な接続が、酸化皮膜により、阻害されることのないよう、接着力を向上するという作用を有する。
本発明の請求項4に記載の発明は、可撓性絶縁シートは、両面に接着剤層を有するポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、はんだ付け等の高温における耐熱性に優れることから、多層積層部分において熱プレスによる加熱加圧が可能となり、高多層化を実現できる。さらに接着剤層を有していることから、可撓性部分の銅箔および多層積層部分での回路基板との接着を安定させ、層間剥離の発生を防止するという作用を有する。
本発明の請求項5に記載の発明は、可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、可撓性部分は表層に回路のみが形成され、積層部分は導通孔と回路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、積層部分に導通孔と回路を形成することによって、配線収容性が高く、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を実現できる。
本発明の請求項6に記載の発明は、可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、層間導通用接着シートおよび回路基板は、積層部分のみに積層されることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、積層部分を多層化することによって、配線収容性が高く、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を実現できる。
本発明の請求項7に記載の発明は、可撓性部分と積層部分に区分され、可撓性部分の回路はカバーレイフィルムにより被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、可撓性部分の回路を被覆することによって、はんだレジストとしての機能と回路の保護を図り、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を実現できる。
本発明の請求項8に記載の発明は、カバーレイフィルムの回路に接する面は接着層が形成され、その反対面は離型処理が施されていることを特徴とする請求項7に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、可撓性絶縁シートおよび回路との密着性を向上させることができる。また、反対面に離型処理を施すことによって、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程の後、可撓性部分に該当する部分を切断除去する際に、容易に除去することができるという作用を有する。
本発明の請求項9に記載の発明は、可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、可撓性部分にのみ離型フィルムを積層したのち、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程の後、可撓性部分に該当する部分を切断除去する際に、離型フィルムとともに除去することができ、作業性が向上するという作用を有する。
本発明の請求項10に記載の発明は、前記可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着したのち、層間導通用接着シートまたは回路基板の可撓性部分に該当する部分を切断除去することを特徴とする請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、回路基板および層間導通用接着シートの透孔部を積層し熱圧着したのちに形成することができるため、回路基板および層間導通用接着シートを準備する工程が容易となる。
本発明の請求項11に記載の発明は、回路基板の可撓性部分に該当する部分は、回路基板を準備する工程において、予め切断除去されていることを特徴とする請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、回路基板が硬質板の場合、予め切断除去し透孔部を形成することによって、打抜き金型等を用いることも可能となり生産性を高めることができるという作用を有する。
本発明の請求項12に記載の発明は、層間導通用接着シートまたは回路基板の所定部分を切断除去したのち、前記可撓性絶縁シートの両側にこれらの層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程の後、可撓性部分に該当する部分を切断除去および離型フィルムが不要となり、生産性を高めることができるという作用を有する。
本発明の請求項13に記載の発明は、層間導通用接着シートは、所定部分を切断除去したのち、切断面を硬化することを特徴とする請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法としたものであり、切断面を硬化することにより積層および熱圧着時に半硬化状態の樹脂の流動化によるはみ出しを防止し可撓性部分の信頼性を向上するという作用を有する。
本発明の請求項14に記載の発明は、可撓性絶縁シートは可撓性部分と積層部分に区分され、層間導通用接着シートまたは回路基板の切断除去する所定部分は、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層した際に前記可撓性部分と同一の位置であることを特徴とする請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、層間導通用接着シートまたは回路基板の透孔部が可撓性絶縁シートの可撓性部分と同一の位置であることで、層間導通用接着シートまたは回路基板の可撓性部分においては、これらを積層し熱圧着後に切断除去する必要がなく、生産性を高めることができるという作用を有する。
本発明の請求項15に記載の発明は、所定部分をレーザーにて切断除去することを特徴とする請求項10または請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法としたものであり、所定部分の切断をレーザーで行うと同時に切断面をレーザーの熱で硬化することにより積層および熱圧着時に半硬化状態の樹脂の流動化によるはみ出しを防止し可撓性部分の信頼性および生産性を向上するという作用を有する。
本発明の請求項16に記載の発明は、接着剤層は、エポキシ樹脂を半硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、プリプレグシートの不織布または織布に含浸し半硬化されたエポキシ樹脂と、可撓性絶縁シート両面の接着剤層がともにエポキシ樹脂であることから、エポキシ樹脂が半硬化状態でのPETフィルムとの密着性、剥離性を略同一とすることができ、これによりPETフィルムのラミネートおよび剥離の条件を統一することができ、同じ製造ラインで用いてプリプレグシート、可撓性絶縁シートに導通孔を形成することができ、生産性を向上させることができる。
本発明の請求項17に記載の発明は、表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程は、接着剤層を有する可撓性絶縁シートに銅箔を積層し熱圧着する工程と、貫通孔を形成する工程と、前記銅箔表面および貫通孔内に銅めっきを施す工程と、前記銅箔を選択的に除去し回路を形成する工程と、回路の表面を粗化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、積層部分に銅めっきによる導通孔と、回路を形成することによって、配線収容性が高く、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を容易に実現できる。
本発明の請求項18に記載の発明は、表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程は、接着剤層を有する可撓性絶縁シートにPETフィルムをラミネートする工程と、レーザー加工により貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、PETフィルムを剥離する工程と、銅箔を積層し熱圧着する工程と、前記銅箔を選択的に除去し回路を形成する工程と、回路の表面を粗化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、積層部分に導電性ペーストによる小径の導通孔と、細線の回路を形成することが可能となり、配線収容性が著しく高く、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を容易に実現できる。
本発明の請求項19に記載の発明は、層間導通用接着シートを準備する工程は、プリプレグシートにPETフィルムをラミネートする工程と、レーザー加工により貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、PETフィルムを剥離する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、層間導通用接着シートに導電性ペーストによる小径の導通孔を形成することが可能となり、配線収容性が高く、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を実現できる。
本発明の請求項20に記載の発明は、層間導通用接着シートを準備する工程は、プリプレグシートにPETフィルムをラミネートする工程と、レーザー加工により貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、PETフィルムを剥離する工程と、所定部分をレーザーにて切断除去する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、層間導通用接着シートに導電性ペーストによる小径の導通孔を形成することが可能となり、配線収容性が高く、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を容易に実現できる。また、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程の後、可撓性部分に該当する部分を切断除去および離型フィルムが不要となり、生産性を高めることができ、さらに、切断面をレーザーの熱で硬化することにより積層および熱圧着時に半硬化状態の樹脂の流動化によるはみ出しを防止し可撓性部分の信頼性および生産性を向上するという作用を有する。
本発明の請求項21に記載の発明は、回路基板を準備する工程は、層間導通用接着シートの両面に銅箔を積層し熱圧着する工程と、その表層に回路を形成し内層用回路基板を準備する工程と、層間導通用接着シートを回路基板と交互にかつ最外層に銅箔を積層し熱圧着する工程と、その表層に回路を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、回路基板の配線収容性を高め、また高多層化も図ることができ、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を実現できる。
本発明の請求項22に記載の発明は、可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程は、層間導通用接着シートを回路基板と交互にかつ最外層に銅箔を積層し熱圧着する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法というものであり、さらに高い配線収容性と高多層化を図ることができ、かつ可撓性を有する多層プリント配線板を実現できる。
本発明は、可撓性絶縁シートに両面粗化銅箔を使用、あるいは回路表面を粗化処理することにより、容易に折り曲げることが可能で、さらに内層用の回路基板の回路と層間導通用接着シートの導電性ペーストとの導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板を実現できるという効果を奏するものである。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(e)は本発明の実施の形態1における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。図1(a)は表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程、図1(b)は層間導通用接着シートを準備する工程、図1(c)は回路基板を準備する工程、図1(d)は可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程を示す。
まず、図1(a)に示す表層に回路が形成された可撓性絶縁シート1の構成について説明する。
可撓性絶縁シート1に形成された回路4は、表面が粗化されている。表面の粗化は、両面粗化銅箔を用いるか、あるいは、酸化処理したのち還元処理を施すことにより実現できる。
また、可撓性絶縁シート1は、両面に接着剤層を有するポリイミドフィルムである。その接着剤層は、エポキシ樹脂を半硬化して形成されている(PET剥離に有利)。
また、可撓性絶縁シート1は、可撓性部分Fと積層部分Rに区分され可撓性部分Fの回路4はカバーレイフィルム5により被覆されていて、カバーレイフィルム5の回路4に接する面は接着層が形成され、その反対面は離型処理が施されている。
可撓性絶縁シート1の回路4の製造プロセスは、両面に接着剤層を有するポリイミドフィルムに銅箔を積層し熱圧着した後、前記銅箔を選択的に除去し回路を形成し、回路の表面を粗化する(但し、両面粗化銅箔を用いた場合は、不要)。
両面粗化銅箔の使用あるいは、粗化処理によって、後述する層間導通用接着シート2の導電性ペーストの電気的な接続信頼性を確保しつつ、十分な接着力を得ることができる。
次に、図1(b)に示す層間導通用接着シート2の構成について説明する。
層間導通用接着シート2は、基材に熱硬化性樹脂が含浸された半硬状態のプリプレグシート2aに設けられた貫通孔に導電性ペースト10が充填された構成である。
プリプレグシート2aは、アラミド不織布または織布、あるいはガラス不織布または織布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化したものである。その製造プロセスを図2に示す。
まず、図2(a)、(b)に示すように、プリプレグシート2aにPETフィルム8をラミネートし、これにレーザー加工により貫通孔9を形成し、次に、図2(c)〜(d)に示すように、貫通孔9に導電性ペースト10を充填し、PETフィルム8を剥離して層間導通用接着シート2を得る。
次に、図1(c)に示す表層に回路4が形成された回路基板3の構成について説明する。
この回路基板3の製造プロセスは、層間導通用接着シート2の両面に両面が粗化された銅箔11を積層熱圧着しその表層に回路を形成して後、可撓性絶縁シート1の可撓性部分Fに該当する部分をレーザー加工あるいは打抜き金型を用いて予め切断し除去し、透孔7を形成しておく。
以上のプロセスにより可撓性絶縁シート1、層間導通用接着シート2、回路基板3を準備する。
次に、図1(d)に示すように、可撓性部分Fと積層部分Rに区分された可撓性絶縁シート1の可撓性部分Fにのみ離型フィルム6を積層したのち、層間導通用接着シート2および回路基板3を熱プレス機にステンレス板などで挟んで積層する。それを図1(e)に示すように、熱圧着した後、層間導通用接着シート2の可撓性部分Fに該当する部分をレーザーにて切断し、離型フィルム6と共に除去し、透孔7を形成する。
なお、可撓性絶縁シート1、層間導通用接着シート2、回路基板3を積層し熱圧着したのち、回路基板3の可撓性部分に該当する所定部分を切断除去することも可能であるが、本実施の形態の図1(c)に示すように、回路基板3の可撓性部分Fに該当する部分を予め切断し除去し透孔7を形成することが生産性や品質のうえにおいても望ましい。
なお、以上に示した実施の形態の他に、以下に示す実施の形態を採用することも可能である。
(1)可撓性絶縁シート1、図3(f)に示される可撓性部分Fは回路4、積層部分Rは導通孔10と回路4が形成されている構成を採用することも可能である。これにより、回路の高密度化を図ることができる。
図3に示す可撓性絶縁シート1の製造方法について説明する。
まず、図3(a)、(b)に示すように、接着剤層を有する可撓性絶縁シート1aにPETフィルム8をラミネートし、これにレーザー加工により貫通孔9を形成する。
次に、貫通孔9に導電性ペースト10を充填し、PETフィルム8を剥離したのち、両面が粗化された粗化銅箔11を積層し熱圧着して導通孔10により両表面層を電気的に接続する{図3(c)〜(e)}。
次に、図3(f)に示すように、銅箔11を選択的に除去し回路4を形成して、可撓性部分Fは回路4のみ、積層部分Rは導通孔10と回路4が形成された可撓性絶縁シート1を得る。
(2)可撓性絶縁シート1は、図4(d)に示すスルーホール13を有する構成を採用することも可能である。
その製造プロセスは、図4(a)〜(d)に示すように、接着剤層を有する可撓性絶縁シート1aに両面が粗化された銅箔11を積層し熱圧着し、ドリル加工により貫通孔9を形成し、銅箔11表面および貫通孔9内に銅めっき12を施した後、銅箔11を選択的に除去し回路4を形成し、めっきスルーホール13を有する可撓性絶縁シート1を得る。
(3)回路基板3は、図5(b)に示す4層構造の多層の回路基板を採用することも可能である。これにより高密度化を実現することができる。
4層構造の多層の回路基板の製造方法を図5に示す。
まず、図5(a)に示すように、内層用の回路基板3aの両側に層間導通用接着シート2と銅箔11を積層し、熱圧着したのち、図5(b)に示すように、表層に回路4を形成して4層構造の回路基板3を得る。
なお、複数の内層用の回路基板3と、複数の層間導通用接着シート2を交互にかつ最外層に銅箔11を積層熱圧着したのち、4層以上の回路基板を得ることも可能である。
(4)図1(d)で示した可撓性絶縁シート1、層間導通用接着シート2、回路基板3を積層、熱圧着工程は、層間導通用接着シート2を回路基板3と交互にかつ最外層に銅箔11を積層し熱圧着することも可能である。これにより高密度化、高多層化を実現することができる。
また、図1(d)の積層、熱圧着工程は、可撓性部分Fと積層部分Rに区分された可撓性絶縁シート1{図6(a)}、層間導通用接着シート2{図6(b)}、回路基板3{図6(c)}を、図6(d)に示すように、左右の積層部分Rのみにそれぞれ積層、熱圧着する工程を採用することもできる。これにより、図1(e)の熱圧着した後、層間導通用接着シート2の可撓性部分Fに該当する部分をレーザーにて切断し、透孔7を形成するという工程および離型フィルム6が不要となる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態においては、実施の形態1と同一の部分は、実施の形態1で用いた図面と符号を用いることにし、異なる形態についてのみ説明する。
図7(a)〜(e)は、本発明の実施の形態2における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図7(a)は表層に回路が形成された可撓性絶縁シート1を準備する工程であり、図7(c)は回路基板を準備する工程であり、それぞれ図1(a)、図1(c)と同一であり、説明は省略する。
まず、図7(b)に示す層間導通用接着シート2は、図2(a)〜(d)の工程の後、所定部分をレーザー加工にて切断、除去して透孔7を形成して得る。レーザー加工を用いることにより透孔7の切断面を硬化することができる。これにより、切断面はレーザーの加工時の熱により溶融硬化していることにより積層時の樹脂流れを防止することができ極めて精度の高い可撓性部分を切断と同時に形成することができる。
また、層間導通用接着シート2と回路基板3の透孔7は、図7(d)の可撓性絶縁シート1、層間導通用接着シート2、回路基板3を積層した際に、可撓性部分Fと同一の位置となるように設けられている。
その後、図7(e)に示すように、熱圧着し、多層プリント配線板を得る。
本発明の製造方法を用いた多層プリント配線板と従来の多層銅張積層板の特性を比較すると、従来方法ではプリント配線板を直角に折り曲げた場合、積層部分の層間密着性が低く、多層の積層部分に層間剥離が発生する可能性があったが、本発明では層間剥離の発生は認められなかった。
また、折り曲げを10000回繰り返しても導体パターンの切断や積層板へのクラックは、全く発生しないという優れた効果が得られた。
以上のように本発明によれば、一部分に可撓性を有し折り曲げ可能な多層プリント配線板を提供することができる。
以上のように本発明は、可撓性絶縁シートに両面粗化銅箔を使用、あるいは回路表面を粗化処理することにより、容易に折り曲げることが可能で、さらに内層用の回路基板の回路と層間導通用接着シートの導電性ペーストとの導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板を実現できる多層プリント配線板の製造方法を提供しうるものであり、産業上の利用可能性は大といえる。
本発明の実施の形態1における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態2における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 従来の多層プリント配線板の製造方法を示す断面図
符号の説明
1、1a 可撓性絶縁シート
2 層間導通用接着シート
3 回路基板
4 回路
5 カバーレイフィルム
6 離型フィルム
7 透孔
8 PETフィルム
9 貫通孔
10 導電性ペースト
11 銅箔
12 銅めっき
13 めっきスルーホール

Claims (22)

  1. 表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程と、基材に熱硬化性樹脂が含浸された半硬状態のプリプレグシートに設けられた貫通孔に導電性ペーストが充填された層間導通用接着シートを準備する工程と、表層に回路が形成された回路基板を準備する工程と、前記可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程を備え、可撓性絶縁シートに形成された回路は表面が粗化されていることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  2. 可撓性絶縁シートに形成された回路は、両面粗化銅はくを用いることにより表面が粗化されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  3. 可撓性絶縁シートに形成された回路は、酸化処理したのち還元処理を施すことにより表面が粗化されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  4. 可撓性絶縁シートは、両面に接着剤層を有するポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  5. 可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、可撓性部分は表層に回路のみが形成され、積層部分は導通孔と回路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  6. 可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、層間導通用接着シートおよび回路基板は、積層部分のみに積層されることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  7. 可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、可撓性部分の回路はカバーレイフィルムにより被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  8. カバーレイフィルムの回路に接する面は接着層が形成され、その反対面は離型処理が施されていることを特徴とする請求項7に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  9. 可撓性絶縁シートは、可撓性部分と積層部分に区分され、可撓性部分にのみ離型フィルムを積層したのち、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  10. 前記可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着したのち、層間導通用接着シートまたは回路基板の可撓性部分に該当する部分を切断除去することを特徴とする請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  11. 回路基板の可撓性部分に該当する部分は、回路基板を準備する工程において、予め切断除去されていることを特徴とする請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  12. 層間導通用接着シートまたは回路基板の所定部分を切断除去したのち、前記可撓性絶縁シートの両側にこれらの層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  13. 層間導通用接着シートは、所定部分を切断除去したのち、切断面を硬化することを特徴とする請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  14. 可撓性絶縁シートは可撓性部分と積層部分に区分され、層間導通用接着シートまたは回路基板の切断除去する所定部分は、層間導通用接着シートおよび回路基板を積層した際に前記可撓性部分と同一の位置であることを特徴とする請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  15. 所定部分をレーザーにて切断除去することを特徴とする請求項10または請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  16. 接着剤層は、エポキシ樹脂を半硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  17. 表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程は、接着剤層を有する可撓性絶縁シートに銅箔を積層し熱圧着する工程と、貫通孔を形成する工程と、前記銅箔表面および貫通孔内に銅めっきを施す工程と、前記銅箔を選択的に除去し回路を形成する工程と、回路の表面を粗化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  18. 表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程は、接着剤層を有する可撓性絶縁シートにPETフィルムをラミネートする工程と、レーザー加工により貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、PETフィルムを剥離する工程と、銅箔を積層し熱圧着する工程と、前記銅箔を選択的に除去し回路を形成する工程と、回路の表面を粗化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  19. 層間導通用接着シートを準備する工程は、プリプレグシートにPETフィルムをラミネートする工程と、レーザー加工により貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、PETフィルムを剥離する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  20. 層間導通用接着シートを準備する工程は、プリプレグシートにPETフィルムをラミネートする工程と、レーザー加工により貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、PETフィルムを剥離する工程と、所定部分をレーザーにて切断除去する工程であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  21. 回路基板を準備する工程は、層間導通用接着シートの両面に銅箔を積層し熱圧着する工程と、その表層に回路を形成し内層用回路基板を準備する工程と、層間導通用接着シートを回路基板と交互にかつ最外層に銅箔を積層し熱圧着する工程と、その表層に回路を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  22. 可撓性絶縁シートの両側に層間導通用接着シートおよび回路基板を積層し熱圧着する工程は、層間導通用接着シートを回路基板と交互にかつ最外層に銅箔を積層し熱圧着する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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