JP2005158489A - 有機el装置とその製造方法及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子注入性(電子輸送性)としての機能を付加し、しかも発光層と電子注入層とを液相プロセスで積層することで下地の影響を受けるとといった不都合も解消した有機EL装置と、その製造方法、及びこの有機EL装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】 陽極23と陰極50との間に、少なくとも発光層60を有した有機EL装置である。発光層60が、発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 陽極23と陰極50との間に、少なくとも発光層60を有した有機EL装置である。発光層60が、発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、有機EL装置とその製造方法、及びこの有機EL装置を備えた電子機器に関する。
一般に、有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)を構成する有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光性材料を薄膜形成した構造となっており、両電極から注入された電子と正孔とが発光層内で再結合し、励起したエネルギーが発光として放出される機構となっている。このような有機EL装置は、各電極と発光層との間の電荷注入障壁が高いため、通常は陽極バッファ層となる正孔注入層(正孔輸送層)、および陰極バッファ層となる電子注入層(電子輸送層)をそれぞれ設けた積層構造となっている。この積層構造において電子注入層としては、例えばフッ化リチウム(LiF)や酸化マグネシウム(MgO)が知られており、これらを設けることで低電圧駆動を実現した有機EL装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ところで、現在、有機EL装置に用いられる有機発光性材料は、低分子系と高分子系とに大別されている。低分子系は、通常真空蒸着法などの気相プロセスを用いて薄膜形成され、マスクを用いてパターニングされる(例えば、非特許文献2参照)。これに対し、高分子系発光材料は、溶剤に溶かすことができるため塗布法による成膜が可能であり、例えばインクジェット法等の液滴吐出法を用いたパターニングが可能である(例えば、非特許文献3参照)。そして、このような液滴吐出法を用いた有機EL装置の製造方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、陽極バッファ層としての正孔注入層についても、塗布法で成膜することのできる材料が開発されていることにより、液相プロセスで成膜が可能となっている(例えば、非特許文献4参照)。
また、陽極バッファ層としての正孔注入層についても、塗布法で成膜することのできる材料が開発されていることにより、液相プロセスで成膜が可能となっている(例えば、非特許文献4参照)。
また、陰極バッファ層としての電子輸送層の薄膜形成については、主に真空蒸着法が用いられるため、エネルギーコスト・材料コストともに高価となり、しかも今後ディスプレイとして実用化される際に基板の大型化を妨げる一因になると考えられている。また、気相プロセスを用いた場合には下地となる有機物や基板が高熱環境に晒されることから、耐熱性に乏しい材料の場合には発光特性の劣化や基板の変形といった問題が起こることが懸念される。
そこで、陰極バッファ層(電子注入/輸送層)についても液相プロセスで形成する例として、電子輸送性高分子(繰り返し単位中にアルキル基またはアルコキシル基を1〜5個含む)を溶解または分散して湿式法で形成する方法(例えば、特許文献2参照)や、テトラヒドロアルミン酸塩を溶解または分散させた溶液(分散液)を用い、湿式法で電子注入層を形成する(例えば、特許文献3参照)等の方法が知られている。
特開平10−12377号公報
特開2000−252076号公報
特開2000−252079号公報
Appl.Phys.Lett.,70,(1997),p.152
Appl.Phys.Lett.,51,(1997),p.34
Appl.Phys.Lett.,71,(1997),p.34
Nature 357,477 (1992)
しかしながら、液相プロセスで電子注入層(電子輸送層)を成膜し形成する場合、下地となる発光層の影響を強く受けてしまうことから、以下のような課題がある。
例えば、発光層形成に用いた溶媒(分散媒)と同種の溶媒(分散媒)を用いて電子注入層(電子輸送層)を成膜した場合、電子注入層(電子輸送層)の形成材料を塗布した際に下地(発光層)が再溶解してしまい、下地である発光層の特性に悪影響を与えてしまう。また、使用する溶媒(分散媒)によっては、電子注入層(電子輸送層)の形成材料を塗布した際の下地(発光層)に対する濡れ性が悪くなってしまうことから、得られる電子注入層(電子輸送層)の膜厚均一性が損なわれ、結果として良好な特性が得られなくなってしまう。
例えば、発光層形成に用いた溶媒(分散媒)と同種の溶媒(分散媒)を用いて電子注入層(電子輸送層)を成膜した場合、電子注入層(電子輸送層)の形成材料を塗布した際に下地(発光層)が再溶解してしまい、下地である発光層の特性に悪影響を与えてしまう。また、使用する溶媒(分散媒)によっては、電子注入層(電子輸送層)の形成材料を塗布した際の下地(発光層)に対する濡れ性が悪くなってしまうことから、得られる電子注入層(電子輸送層)の膜厚均一性が損なわれ、結果として良好な特性が得られなくなってしまう。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電子注入性(電子輸送性)としての機能を付加し、しかも発光層と電子注入層とを液相プロセスで積層することで下地の影響を受けるとといった不都合も解消した有機EL装置と、その製造方法、及びこの有機EL装置を備えた電子機器を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の有機EL装置は、対向する陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を有した有機EL装置であって、前記発光層が、発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されてなることを特徴としている。
この有機EL装置によれば、その発光層が、発光層形成材料に電子注入性材料が混合された材料を用いた液相プロセスで形成されているので、この発光層は電子注入性(電子輸送性)としての機能が付加されたものとなり、したがって発光特性が向上したものとなる。また、このように発光層に電子注入性が付加されていることから、この発光層上に別に電子注入層を形成する必要がなくなり、したがって発光層と電子注入層とを液相プロセスで積層することで下地の影響を受けるといった不都合を解消することができる。
なお、本発明で「電子注入性」とは、「電子輸送性」としての意味も含むとともに、正孔をブロックして発光層に留める「正孔ブロック層」としての意味も含むものとする。
この有機EL装置によれば、その発光層が、発光層形成材料に電子注入性材料が混合された材料を用いた液相プロセスで形成されているので、この発光層は電子注入性(電子輸送性)としての機能が付加されたものとなり、したがって発光特性が向上したものとなる。また、このように発光層に電子注入性が付加されていることから、この発光層上に別に電子注入層を形成する必要がなくなり、したがって発光層と電子注入層とを液相プロセスで積層することで下地の影響を受けるといった不都合を解消することができる。
なお、本発明で「電子注入性」とは、「電子輸送性」としての意味も含むとともに、正孔をブロックして発光層に留める「正孔ブロック層」としての意味も含むものとする。
また、前記有機EL装置においては、前記電子注入性材料は有機金属錯体であるのが好ましく、さらにこの有機金属錯体はアセチルアセトナト錯体であるのが好ましい。
アセチルアセトナト錯体として例えばカルシウムアセチルアセトナトは、良好な電子注入性を有し、しかも液相プロセスに適していることから、発光層に電子注入性(電子輸送性)としての機能を良好に付加させることが可能になる。
アセチルアセトナト錯体として例えばカルシウムアセチルアセトナトは、良好な電子注入性を有し、しかも液相プロセスに適していることから、発光層に電子注入性(電子輸送性)としての機能を良好に付加させることが可能になる。
また、前記有機EL装置においては、前記電子注入性材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属のハロゲン化物あるいは酸化物であってもよい。
これらの材料は、良好な電子注入性を有していることから、発光層に電子注入性(電子輸送性)としての機能を良好に付加させることが可能になる。
これらの材料は、良好な電子注入性を有していることから、発光層に電子注入性(電子輸送性)としての機能を良好に付加させることが可能になる。
また、前記有機EL装置においては、発光層形成材料に対する電子注入性材料の混合比率が、発光層形成材料を含む溶液あるいは分散液100重量部に対して、電子注入性材料を含む溶液あるいは分散液が0.1重量部以上40重量部以下とされているのが好ましく、10重量部以上20重量部以下とされているのがより好ましい。
このようにすれば、後述するように電子注入性材料を混合しない場合に比べて、特に発光効率の向上が顕著となり、したがって発光層上に別に電子注入層を形成することなく、良好な発光特性を発揮するようになる。
このようにすれば、後述するように電子注入性材料を混合しない場合に比べて、特に発光効率の向上が顕著となり、したがって発光層上に別に電子注入層を形成することなく、良好な発光特性を発揮するようになる。
また、前記有機EL装置においては、前記陰極が、導電性材料を含有してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されてなるのが好ましい。
このようにすれば、気相プロセスの場合の真空条件が不要となり、したがって前記の発光層形成に連続して陰極形成を行うことができ、これにより製造が容易になって生産性が向上する。
このようにすれば、気相プロセスの場合の真空条件が不要となり、したがって前記の発光層形成に連続して陰極形成を行うことができ、これにより製造が容易になって生産性が向上する。
本発明の有機EL装置の製造方法は、対向する陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を有した有機EL装置の製造方法であって、前記発光層を、発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成することを特徴としている。
この有機EL装置の製造方法によれば、前記の有機EL装置を良好に製造することができ、したがって、得られた有機EL装置が、前述したように発光特性が向上し、しかも積層時に下地の影響を受けるとといった不都合を解消した良好なものとなる。
この有機EL装置の製造方法によれば、前記の有機EL装置を良好に製造することができ、したがって、得られた有機EL装置が、前述したように発光特性が向上し、しかも積層時に下地の影響を受けるとといった不都合を解消した良好なものとなる。
本発明の電子機器は、前記の有機EL装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、発光特性が向上し、しかも積層時に下地の影響を受けるとといった不都合を解消した良好な有機EL装置を備えているので、特にその表示部として前記有機EL装置を用いた場合に、この電子機器自体も表示特性に優れたものとなる。
この電子機器によれば、発光特性が向上し、しかも積層時に下地の影響を受けるとといった不都合を解消した良好な有機EL装置を備えているので、特にその表示部として前記有機EL装置を用いた場合に、この電子機器自体も表示特性に優れたものとなる。
まず、有機EL装置の具体的な構成を図1と図2を参照して説明する。
本発明の有機EL装置1は、図1に示したように、R(赤)、G(緑)、B(青)をそれぞれ発光するドットをその実表示領域4に有し、これによりフルカラー表示をなすものとなっている。
本発明の有機EL装置1は、図1に示したように、R(赤)、G(緑)、B(青)をそれぞれ発光するドットをその実表示領域4に有し、これによりフルカラー表示をなすものとなっている。
次に、図1のA−B線の断面構造の一部を示す図2について説明する。
本例の有機EL装置はボトムエミッション型として構成されている。したがって基板20側から発光を取り出す構成であるので、基板20としては、透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板が好適に用いられる。
なお、有機EL装置がいわゆるトップエミッション型である場合には、前記基板20の対向側である封止基板(図示略)側から発光を取り出す構成となるので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミック、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
本例の有機EL装置はボトムエミッション型として構成されている。したがって基板20側から発光を取り出す構成であるので、基板20としては、透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板が好適に用いられる。
なお、有機EL装置がいわゆるトップエミッション型である場合には、前記基板20の対向側である封止基板(図示略)側から発光を取り出す構成となるので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミック、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
また、基板20上には、画素電極23を駆動するための駆動用TFT123などを含む回路部11が形成されており、その上に発光素子(有機EL素子)が設けられている。発光素子は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23上に形成され、画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔注入層70と、この正孔注入層70上に形成され、発光機能を有するとともに電子注入機能をも有する発光層60と、この発光層60上に形成された陰極50とが形成されたことにより、構成されたものである。
ここで、前述したように発光層60は、発光機能のみでなく電子注入機能をも有したものとなっている。これは、この発光層60が、後述するように発光層形成材料のみからでなく、この発光層形成材料に電子注入性材料が混合された液状材料を用いて、液相プロセスで形成されているからである。
このような構成のもとに発光素子は、その発光層60において、正孔注入層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが結合することにより、発光を発生するようになっている。
このような構成のもとに発光素子は、その発光層60において、正孔注入層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが結合することにより、発光を発生するようになっている。
陽極として機能する画素電極23は、本例ではボトムエミッション型であることから透明導電材料によって形成されている。透明導電材料としてはITOが好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide :IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)等を用いることができる。なお、本実施形態ではITOを用いるものとする。
画素電極23の膜厚については、50〜200nmとするのが好ましく、150nm程度とするのが特に好ましい。また、ITO(画素電極23)の表面にはO2プラズマ処理が施されたことにより、これに親液性が付与されているとともに、電極表面の洗浄、及び仕事関数の調整がなされている。O2プラズマ処理については、例えばプラズマパワー100〜800kW、酸素ガス流量50〜100ml/min、基板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で行われている。
正孔注入層70は、例えばポリチオフェン誘導体やポリピロール誘導体などにポリスチレンスルフォン酸が添加されてなるものによって形成されたものである。すなわち、正孔輸送層70の形成材料として具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の分散液、つまり、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオシチオフェンを分散させ、さらにこれを極性溶媒(分散媒)である水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、極性溶媒(分散媒)としては、前記の水に代えてイソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテル類等を用いることもできる。
また、正孔注入層の形成材料についても、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
また、正孔注入層の形成材料についても、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
発光層60を形成するための材料としては、前述したように発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる液状材料が用いられる。
発光層形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。具体的には、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペニレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれら高分子材料にルブレン、ペニレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることもできる。
発光層形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。具体的には、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペニレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれら高分子材料にルブレン、ペニレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることもできる。
一方、電子注入性材料としては、特に有機金属錯体が用いられ、中でもβ−ジケトン錯体の一種であるアセチルアセトナト錯体が好適に用いられる。
有機金属錯体としては、キレート錯体やクラウンエーテル錯体等、種々の構造の錯体が挙げられる。すなわち、このような有機金属錯体は、金属元素からなる中心原子をM、有機材料からなる配位子をAとして一般式MAn(n:中心原子Mの価数)で示される有機金属化合物である。ここで、配位子Aとしては、アセチルアセトン(acac)、ジピパロイルメタン(dpm)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−オクタンジオアセトン(TMOD)、テノイルトリフルオロアセトン(TTA)、1−フェニル−3−イソヘプチ−1,3−プロパンジオン(商品名LIX54,LIX51;ヘンケル社)等のβ−ジケトン系の配位子、8−キノリノール(オキシン)、2−メチル−8−キノリノール等のキノリノール系の配位子、トリオクチルホフフィンオキシド(TOPO)、リン酸トリブチル(TBP)、イソブチルメチルケトン(MBK)、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸(D2EHPA)等のリン酸系の配位子、酢酸,安息香酸等のカルボン酸系の配位子、ジフェニルチオカルバゾン配位子等を有するものが挙げられる。中でもβ−ジケトン系の配位子を有する錯体(β−ジケトン錯体)は、酸性試薬であり、かつ、酸素原子による多座配位子であり、安定な金属錯体を形成できるため好ましい。
有機金属錯体としては、キレート錯体やクラウンエーテル錯体等、種々の構造の錯体が挙げられる。すなわち、このような有機金属錯体は、金属元素からなる中心原子をM、有機材料からなる配位子をAとして一般式MAn(n:中心原子Mの価数)で示される有機金属化合物である。ここで、配位子Aとしては、アセチルアセトン(acac)、ジピパロイルメタン(dpm)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−オクタンジオアセトン(TMOD)、テノイルトリフルオロアセトン(TTA)、1−フェニル−3−イソヘプチ−1,3−プロパンジオン(商品名LIX54,LIX51;ヘンケル社)等のβ−ジケトン系の配位子、8−キノリノール(オキシン)、2−メチル−8−キノリノール等のキノリノール系の配位子、トリオクチルホフフィンオキシド(TOPO)、リン酸トリブチル(TBP)、イソブチルメチルケトン(MBK)、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸(D2EHPA)等のリン酸系の配位子、酢酸,安息香酸等のカルボン酸系の配位子、ジフェニルチオカルバゾン配位子等を有するものが挙げられる。中でもβ−ジケトン系の配位子を有する錯体(β−ジケトン錯体)は、酸性試薬であり、かつ、酸素原子による多座配位子であり、安定な金属錯体を形成できるため好ましい。
そして、本発明においては、配位子Aとしてアセチルアセトン(acac)を用いるのが好ましく、また中心原子Mとして、仕事関数が小さい金属、例えばCa(カルシウム)を用いるのが好ましい。したがって、本発明においては、電子注入性材料として特にカルシウムアセチルアセトナト(Ca(acac)2)が好適に用いられる。
このカルシウムアセチルアセトナトは、良好な電子注入性を有し、しかも液相プロセスに適していることから、発光層に電子注入性(電子輸送性)としての機能を良好に付加させることができる。
このカルシウムアセチルアセトナトは、良好な電子注入性を有し、しかも液相プロセスに適していることから、発光層に電子注入性(電子輸送性)としての機能を良好に付加させることができる。
また、これ以外にも、電子注入性材料として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属のハロゲン化物あるいは酸化物が使用可能である。
アルカリ金属としては例えばLi、Na、Csが用いられ、アルカリ土類金属としては例えばCa、Ba、Srが用いられ、希土類金属としては例えばSm、Tb、Erが用いられる。これら金属は、特にフッ化物として用いられ形成されているのが好ましいが、これ以外のハロゲン化物、すなわち塩化物や臭化物としてもよく、また、酸化物としてもよい。
アルカリ金属としては例えばLi、Na、Csが用いられ、アルカリ土類金属としては例えばCa、Ba、Srが用いられ、希土類金属としては例えばSm、Tb、Erが用いられる。これら金属は、特にフッ化物として用いられ形成されているのが好ましいが、これ以外のハロゲン化物、すなわち塩化物や臭化物としてもよく、また、酸化物としてもよい。
このような発光層形成材料や電子注入性材料を液状化するための溶媒あるいは分散媒としては、前記正孔注入層70を再溶解しないよう、該正孔注入層70に対して不溶な非極性溶媒が用いられる。特に、この液状材料を後述するようにインクジェット法等の液滴吐出法によって塗布する場合には、前記非極性溶媒として、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。また、スピンコート法やディップ法によって塗布する場合には、トルエンやキシレン、さらにはテトラヒドロフラン等が好適に用いられる。
ここで、このように発光層形成材料に電子注入性材料が混合されてなる液状材料としては、特に発光層形成材料と電子注入性材料との混合比が、発光層形成材料100重量部に対して電子注入性材料を約0.06重量部以上、23.53重量部以下とするのが好ましい。すなわち、例えば発光層形成材料を、その濃度が1.7重量%となるように溶媒あるいは分散媒に溶解しあるいは分散させ、発光層形成材料の液状材料を作製する。また、電子注入性材料を、その濃度が1.0重量%となるように溶媒あるいは分散媒に溶解しあるいは分散させ、電子注入性材料の液状材料を作製する。そして、発光層形成材料を含む液状材料100重量部に対して、電子注入性材料を含む液状材料を0.1重量部以上、40重量部以下となるようにして混合することにより、発光層形成材料に電子注入性材料が混合されてなる液状材料を得る。このような範囲で発光層形成材料に電子注入性材料を混合すれば、発光層形成材料に電子注入性が良好に付加され、したがってこの発光層60上に別に電子注入層を形成しなくても、良好な発光特性が得られるようになる。なお、発光層形成材料の液状材料100重量部に対して、電子注入性材料を含む液状材料を10重量部以上、20重量部以下となるようにして混合し、液状材料を形成するのが、良好な発光特性を得るうえでより好ましい。
陰極50は、発光層60及び有機バンク層221を覆うように形成されている。
陰極50を形成するための材料としては、発光層60側(下部側)に仕事関数が小さい材料を形成することが望ましく、例えばCa、Mgなどが用いられている。また、上部側(封止側)には発光層60側よりも仕事関数が高い材料、例えばAlが用いられている。このAlは、発光層60からの発光光を反射する反射層としても機能するものとなっている。陰極50の膜厚については、100〜1000nmとするのが好ましく、特に200〜500nm程度とするのが好ましい。なお、本実施形態はボトムエミッション型であることから、この陰極50は特に光透過性である必要はない。
陰極50を形成するための材料としては、発光層60側(下部側)に仕事関数が小さい材料を形成することが望ましく、例えばCa、Mgなどが用いられている。また、上部側(封止側)には発光層60側よりも仕事関数が高い材料、例えばAlが用いられている。このAlは、発光層60からの発光光を反射する反射層としても機能するものとなっている。陰極50の膜厚については、100〜1000nmとするのが好ましく、特に200〜500nm程度とするのが好ましい。なお、本実施形態はボトムエミッション型であることから、この陰極50は特に光透過性である必要はない。
画素電極23が形成された層間絶縁層284の表面は、画素電極23と、例えばSiO2などの親液性材料を主体とする親液性制御層25と、アクリルやポリイミドなどからなる有機バンク層221とによって覆われている。そして、画素電極23には親液性制御層25に設けられた開口部25a、および有機バンク221に設けられた開口部221aの開口内部に、正孔注入層70と、発光層60とが画素電極23側からこの順で積層されている。なお、本実施形態における親液性制御層25の「親液性」とは、少なくとも有機バンク層221を構成するアクリル、ポリイミドなどの材料と比べて親液性が高いことを意味するものとする。
以上に説明した基板20から層間絶縁層284までの層が、回路部11を構成するものとなっている。
以上に説明した基板20から層間絶縁層284までの層が、回路部11を構成するものとなっている。
なお、本実施形態の有機EL装置1は、前述したようにカラー表示を行うべく、各発光層60が、その発光波長帯域が光の三原色にそれぞれ対応して形成されている。例えば、発光層60として、発光波長帯域が赤色に対応した赤色用発光層60、緑色に対応した緑色用発光層60、青色に対応した青色用有機EL層60とをそれぞれに対応する表示領域R、G、Bに設け、これら表示領域R、G、Bをもってカラー表示を行う1画素が構成されている。また、各色表示領域の境界には、金属クロムをスパッタリングなどにて成膜した図示略のBM(ブラックマトリクス)が、有機バンク層221と親液性化制御層25との間に位置して形成されている。
次に、前記の有機EL装置1の製造方法に基づき、本発明の製造方法の一例を、図3(a)〜(c)、図4(d)、(e)を参照して説明する。なお、図3、図4に示す各断面図は、図1中のA−B線の断面図の一部に対応した図である。
まず、公知の手法によって基板20の表面に、図2に示した回路部11までを形成し、続いて、基板20の全面を覆うように画素電極23となる導電膜を形成する。そして、この透明導電膜をパターニングすることにより、図3(a)に示すように、画素電極23を形成する。
まず、公知の手法によって基板20の表面に、図2に示した回路部11までを形成し、続いて、基板20の全面を覆うように画素電極23となる導電膜を形成する。そして、この透明導電膜をパターニングすることにより、図3(a)に示すように、画素電極23を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、画素電極23および層間絶縁膜284上に絶縁層である親液性制御層25を形成する。続いて、親液性制御層25において、異なる2つの画素電極23の間に位置して形成された凹状部にBM(図示せず)を形成する。具体的には、親液性制御層25の前記凹状部に対して、金属クロムを用いスパッタリング法にて成膜する。
次いで、図3(c)に示すように、親液性制御層25の所定位置、詳しくは前記BMを覆うように有機バンク層221を形成する。具体的な有機バンク層の形成方法としては、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に溶解したものを、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して有機質層を形成する。なお、有機質層の構成材料は、後述する液状材料の溶媒に溶解せず、しかもエッチングなどによってパターニングし易いものであればどのようなものでもよい。
続いて、有機質層をフォトリソグラフィ技術、エッチング技術を用いてパターニングし、有機質層にバンク開口部221aを形成することにより、開口部221aに壁面を有した有機バンク層221を形成する。
続いて、有機質層をフォトリソグラフィ技術、エッチング技術を用いてパターニングし、有機質層にバンク開口部221aを形成することにより、開口部221aに壁面を有した有機バンク層221を形成する。
次いで、有機バンク層221の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成するものとする。具体的には、該プラズマ処理を、予備加熱工程と、有機バンク層221の上面および開口部221aの壁面ならびに画素電極23の電極面23c、親液性制御層25の上面をそれぞれ親液性にする親液化工程と、有機バンク層の上面および開口部の壁面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とで構成している。
すなわち、基材(バンクなどを含む基板20)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親液化工程として、大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。次いで、撥液化工程として、大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することにより、親液性および撥液性を所定箇所に付与する。
なお、このCF4プラズマ処理では、画素電極23の電極面23cおよび親液性制御層25についても多少の影響を受けるが、画素電極23の材料であるITOおよび親液性制御層25の構成材料であるSiO2、TiO2などはフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保持される。
次いで、正孔注入層形成工程によって正孔注入層70の形成を行う。この正孔注入層形成工程としては、液相プロセスによって数nm〜数百nmオーダーの薄膜を作製する方法が採用される。液相プロセスとは、成膜したい材料を溶解もしくは分散させることで液状体とし、この液状体をスピンコート法やディップ法、あるいは液滴吐出法(インクジェット法)等により、薄膜を作製する方法である。なお、スピンコート法やディップ法は全面塗布に適しているのに対し、液滴吐出法は任意の箇所に薄膜をパターニングすることができることから、この正孔注入層形成工程においては、液滴吐出法によって前記の正孔輸送層形成材料を電極面23c上に塗布するのが好ましい。
液滴吐出法(インクジェット法)で正孔注入層形成材料を選択的に塗布する場合、まず、液滴吐出ヘッド(図示略)に正孔注入層形成材料を充填し、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルを親液性制御層25に形成された前記開口部25a内に位置する電極面23cに対向させ、液滴吐出ヘッドと基材(基板20)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面23cに吐出する。
その後、乾燥処理および熱処理を行い、正孔注入層形成材料に含まれる分散媒や溶媒を蒸発させることにより、電極面23c上に正孔注入層70を例えば数nm〜数百nmオーダーの薄膜に形成する。この乾燥処理については、窒素雰囲気中にて室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度とする条件で行うのが好ましい。また、この乾燥処理後の熱処理については、真空中にて200℃で10分間程度とする条件で行うのが好ましい。
ここで、吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面23c上にて広がり、親液性制御層25の開口部25a内に満たされる。その一方で、撥インク処理された有機バンク層221の上面では、液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からはずれて有機バンク層221の上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が親液性制御層25の開口部25a内に転がり込む。
次いで、図4(d)に示すように、発光層形成工程によって発光層60の形成を行う。この発光層形成工程では、予め、前述したように発光層形成材料に電子注入性材料を混合し、これらの混合材料としての液状材料を用意しておく。なお、本実施形態では、発光層形成材料として赤色光を発光するもの、緑色光を発光するもの、青色光を発光するものをそれぞれ用意しておき、各発光層形成材料に最適な電子注入性材料を混合して3種類の液状材料を用意しておく。
そして、これらの液状材料を、例えば前記の液滴吐出法によってそれぞれ所定の箇所の正孔輸送層70上に吐出し、その後、乾燥処理および熱処理を行うことにより、有機バンク層221に形成された開口部221a内に発光層60を形成する。ここで、乾燥処理としては、液滴吐出法で塗布を行った場合、ホットプレート上にて200℃以下で加熱し、乾燥蒸発させるといった方法が好適に採用される。また、スピンコート法またはディップ法によって塗布を行った場合には、基板に窒素を吹き付けるか、あるいは基板を回転させて基板表面に気流を発生させることで乾燥させることができる。
次いで、図4(e)に示すように、陰極層形成工程によって陰極50の形成を行う。この陰極層形成工程では、例えば蒸着法やスパッタ法等によってAl等の陰極材料を成膜する。
その後、封止工程によって封止基板30の形成を行う。この封止工程では、作製した有機EL素子内部に水や酸素が浸入するのを防ぐため、封止基板30の内側に乾燥剤45を貼着しつつ、該封止基板30と基板20とを封止樹脂(図示略)にて封止する。封止樹脂としては、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂が用いられる。なお、この封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
以上の工程を経て作製された有機EL装置1は、両電極間に10V以下の電圧を印可することにより、画素電極23側から特に青色の光を良好に取り出すことができた。
その後、封止工程によって封止基板30の形成を行う。この封止工程では、作製した有機EL素子内部に水や酸素が浸入するのを防ぐため、封止基板30の内側に乾燥剤45を貼着しつつ、該封止基板30と基板20とを封止樹脂(図示略)にて封止する。封止樹脂としては、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂が用いられる。なお、この封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
以上の工程を経て作製された有機EL装置1は、両電極間に10V以下の電圧を印可することにより、画素電極23側から特に青色の光を良好に取り出すことができた。
このようにして得られた有機EL装置1にあっては、発光層60が、発光層形成材料に電子注入性材料が混合されてなる材料を用いた液相プロセスで形成されているので、この発光層60は電子注入性(電子輸送性)としての機能が付加されたものとなり、したがって発光特性が向上したものとなる。また、このように発光層60に電子注入性が付加されていることから、この発光層60上に別に電子注入層を形成する必要がなくなり、したがって発光層と電子注入層とを液相プロセスで積層することで下地の影響を受けるとといった不都合を解消することができる。
なお、前記実施形態では、陰極50を蒸着法やスパッタ法等の気相プロセスで形成したが、これに代えて、導電性材料を含有してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成してもよい。
すなわち、例えば陰極50を、発光層60に接する主陰極と、この主陰極に積層される補助陰極とで構成し、主陰極、補助陰強を共に導電性材料で形成する。そして、このような主陰極、補助陰極を、いずれも液滴吐出法等の液相プロセスで形成するようにする。
すなわち、例えば陰極50を、発光層60に接する主陰極と、この主陰極に積層される補助陰極とで構成し、主陰極、補助陰強を共に導電性材料で形成する。そして、このような主陰極、補助陰極を、いずれも液滴吐出法等の液相プロセスで形成するようにする。
前記主陰極を形成するための導電性材料としては、例えばエチレンジオキシチオフェンを含む高分子化合物からなる導電性高分子材料が用いられる。具体的には、前述した正孔注入層70の形成材料でもある、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の分散液が使用可能である。また、主陰極50を構成する導電性材料として、前記の導電性高分子に代えて金属微粒子を用いてもよく、さらに導電性高分子とともにこの金属微粒子を用いるようにしてもよい。特に、導電性高分子と金属微粒子との混合材料によって主陰極を形成した場合には、比較的低温で主陰極を焼成しつつ、主陰極50の導電性を確保することが可能になる。金属微粒子として、具体的にはAuやAg、Al等を使用することができる。なお、AuやAg等の金属微粒子の他に、カーボンペーストを採用することも可能である。
前記補助陰極は、陰極50全体の導電性を高めるために主陰極50に積層されたもので、主陰極50を覆うことで酸素や水分などからこれを保護する機能も備えたものであり、導電性を有する金属微粒子によって形成されたものである。この金属微粒子として、化学的に安定な導電性材料であれば特に限定されることなく、任意のもの、例えば金属や合金などが使用可能であり、具体的にはAl(アルミニウム)やAu(金)、Ag(銀)などが好適に用いられる。
このように、陰極50を液相プロセスで形成するようにすれば、気相プロセスの場合の真空条件が不要となり、したがって前記の発光層60の形成に連続して陰極50の形成を行うことができ、これにより製造が容易になって生産性が向上する。また、画素電極(陽極)についても液相プロセスで形成するようにすれば、陽極、機能層(正孔注入層、発光層)、陰極からなる有機EL素子を全て一貫して液相プロセスで形成することができ、したがって製造がより容易になって生産性が一層向上する。
なお、前記の実施形態においては、ボトムエミッション型を例にして説明したが、本発明はこれに限定されることなく、トップエミッション型にも、また、両側に発光光を出射するタイプのものにも適用可能である。
なお、前記の実施形態においては、ボトムエミッション型を例にして説明したが、本発明はこれに限定されることなく、トップエミッション型にも、また、両側に発光光を出射するタイプのものにも適用可能である。
次に、本発明の電子機器を説明する。本発明の電子機器は、前記の有機EL装置1を表示部として有したものであり、具体的には、例えば図5に示すような携帯電話が挙げられる。
図5において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は前記の有機EL装置1を用いた表示部を示している。
図5に示した電子機器(携帯電話)は、前記の有機EL装置からなる表示部1001を備えているので、特に表示部1001が良好なものとなるので、この携帯電話(電子機器)自体も表示特性に優れたものとなる。
なお、本発明の電子機器としては、このような携帯電話以外にも、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置や、腕時計型電子機器、フラットパネルディスプレイ(例えばテレビ)などにも適用可能である。
図5において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は前記の有機EL装置1を用いた表示部を示している。
図5に示した電子機器(携帯電話)は、前記の有機EL装置からなる表示部1001を備えているので、特に表示部1001が良好なものとなるので、この携帯電話(電子機器)自体も表示特性に優れたものとなる。
なお、本発明の電子機器としては、このような携帯電話以外にも、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置や、腕時計型電子機器、フラットパネルディスプレイ(例えばテレビ)などにも適用可能である。
(実施例)
以下、本発明の有機EL装置をその実施例によってさらに具体的に説明する。
図6は本実施例の有機EL装置を示す図であり、図6中符号500は有機EL素子(有機EL装置)である。この有機EL素子500は、図示しないガラス基板上に、陽極501、正孔輸送層502、発光層503、陰極504を形成したものである。
以下、本発明の有機EL装置をその実施例によってさらに具体的に説明する。
図6は本実施例の有機EL装置を示す図であり、図6中符号500は有機EL素子(有機EL装置)である。この有機EL素子500は、図示しないガラス基板上に、陽極501、正孔輸送層502、発光層503、陰極504を形成したものである。
このような構成の有機EL素子500を形成するには、ガラス基板(図示せず)上にITO(インジウムスズ酸化物)を成膜して陽極501とし、さらにこの陽極501表面を酸素プラズマ処理した後、ポリエチレンジオシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルフォン酸(PSS)との混合物(PEDOT:PSS=1:20)溶液(分散液)を塗布・焼成することにより、正孔注入層502を形成する。
次に、発光層503を形成するため、発光層形成材料に電子注入性材料を混合し、これらの混合材料としての液状材料を用意する。すなわち、ポリフルオレン系発光材料をキシレンに、濃度が1.7重量%となるようにして溶解し、発光層形成材料の液状材料とする。また、カルシウムアセチルアセトナトをジメチルホルムアミド(DMF)に、濃度が1.0重量%となるようにして溶解し、電子注入性材料の液状材料とする。なお、発光層形成材料や電子注入性材料の溶媒に対する溶解性が低い場合には、超音波洗浄機を用いて溶媒に対し均一に分散させるようにしてもよい。
このようにして発光層形成材料の液状材料、電子注入性材料の液状材料をそれぞれ形成したら、発光層形成材料を含む液状材料100重量部に対し電子注入性材料を含む液状材料が20重量部となるようにしてこれらを混合し、混合材料としての液状材料とする。
このようにして発光層形成材料の液状材料、電子注入性材料の液状材料をそれぞれ形成したら、発光層形成材料を含む液状材料100重量部に対し電子注入性材料を含む液状材料が20重量部となるようにしてこれらを混合し、混合材料としての液状材料とする。
次いで、得られた液状材料(混合材料)をスピンコート法によって前記正孔注入層502上に塗布する。このとき、液状材料は正孔注入層502上にムラ無く塗布することができた。続いて、塗布した液状材料(混合材料)を乾燥・焼成することにより、発光層503を形成する。
その後、真空蒸着によって発光層503上にAlを成膜し、陰極504とした。さらに、ガラスとエポキシ系樹脂で封止し、有機EL素子500を得た。
その後、真空蒸着によって発光層503上にAlを成膜し、陰極504とした。さらに、ガラスとエポキシ系樹脂で封止し、有機EL素子500を得た。
このようにして得られた有機EL素子500の、電圧と輝度との関係を図7(a)に示し、電圧と発光効率の関係を図7(b)に示した。
また、比較のため、発光層503として電子注入性材料を加えない、発光層形成材料のみからなる従来の発光層を有した有機EL素子を形成した。そして、この有機EL素子の、電圧と輝度との関係を図7(a)に併記し、電圧と発光効率の関係を図7(b)に併記した。
図7(a)、(b)より、本実施例の有機EL素子500は、従来のものに比べて高輝度かつ高効率となっており、したがって発光特性の向上が確認された。
また、比較のため、発光層503として電子注入性材料を加えない、発光層形成材料のみからなる従来の発光層を有した有機EL素子を形成した。そして、この有機EL素子の、電圧と輝度との関係を図7(a)に併記し、電圧と発光効率の関係を図7(b)に併記した。
図7(a)、(b)より、本実施例の有機EL素子500は、従来のものに比べて高輝度かつ高効率となっており、したがって発光特性の向上が確認された。
(実験例)
図7に示した構成の有機EL素子500を、発光層503についてのみ以下のようにして形成し、その他は前述した通りにして形成した。
発光層503については、ポリフルオレン系発光材料をキシレンに、濃度が1.7重量%となるようにして溶解し、発光層形成材料の液状材料とした。また、アセチルアセトナトをテトラヒドロフラン(THF)に、濃度が1.0重量%となるようにして分散(一部溶解)させ、電子注入性材料の液状材料とした。
図7に示した構成の有機EL素子500を、発光層503についてのみ以下のようにして形成し、その他は前述した通りにして形成した。
発光層503については、ポリフルオレン系発光材料をキシレンに、濃度が1.7重量%となるようにして溶解し、発光層形成材料の液状材料とした。また、アセチルアセトナトをテトラヒドロフラン(THF)に、濃度が1.0重量%となるようにして分散(一部溶解)させ、電子注入性材料の液状材料とした。
このようにして形成した発光層形成材料の液状材料100重量部に対し、電子注入性材料の液状材料を10、20、30、40重量部となるようにしてこれらを混合し、4種類の混合材料としての液状材料を形成した。そして、これら液状材料によって前述した方法と同様にして発光層503を形成し、4種類の有機EL素子を得た。
また、比較のため、電子注入性材料の液状材料を0重量部としたもの、すなわち発光層形成材料の液状材料のみから発光層503を形成した有機EL素子も得た。
また、比較のため、電子注入性材料の液状材料を0重量部としたもの、すなわち発光層形成材料の液状材料のみから発光層503を形成した有機EL素子も得た。
得られた5種類の有機EL素子について、電圧(V)と発光効率(Cd/A)との関係を調べた。得られた結果を、図8のグラフに示す。
得られた結果より、電子注入性材料の液状材料を加えて発光層を形成した有機EL素子は、加えないもの(0重量部のもの)に比べていずれも効率が増加し、したがって電子注入性材料の液状材料を加えることによる効果が確認された。
また、前記発光層形成材料の液状材料に対する前記電子注入性材料の液状材料の混合割合については、30重量部以上になると効率が低下する傾向にあることから、特に10重量部以上、20重量部以下とするのが望ましいことが分かった。
また、前記有機EL素子の発光ムラについても調べたところ、前記発光層形成材料の液状材料に対する前記電子注入性材料の液状材料の混合割合が増加するにしたがって発光ムラが増える傾向にあり、したがってこの点からも、前記混合割合は20重量部以下とするのが望ましいことが分かった。
得られた結果より、電子注入性材料の液状材料を加えて発光層を形成した有機EL素子は、加えないもの(0重量部のもの)に比べていずれも効率が増加し、したがって電子注入性材料の液状材料を加えることによる効果が確認された。
また、前記発光層形成材料の液状材料に対する前記電子注入性材料の液状材料の混合割合については、30重量部以上になると効率が低下する傾向にあることから、特に10重量部以上、20重量部以下とするのが望ましいことが分かった。
また、前記有機EL素子の発光ムラについても調べたところ、前記発光層形成材料の液状材料に対する前記電子注入性材料の液状材料の混合割合が増加するにしたがって発光ムラが増える傾向にあり、したがってこの点からも、前記混合割合は20重量部以下とするのが望ましいことが分かった。
1…有機EL装置、23…画素電極(陽極)、50…陰極、60…発光層、
70…正孔注入層
70…正孔注入層
Claims (16)
- 陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を有した有機EL装置であって、
前記発光層が、発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されてなることを特徴とする有機EL装置。 - 前記電子注入性材料が、有機金属錯体であることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
- 前記有機金属錯体がアセチルアセトナト錯体であることを特徴とする請求項2記載の有機EL装置。
- 前記電子注入性材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属のハロゲン化物あるいは酸化物であることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
- 発光層形成材料に対する電子注入性材料の混合比率が、発光層形成材料の溶液あるいは分散液100重量部に対して、電子注入性材料の溶液あるいは分散液が0.1重量部以上40重量部以下とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
- 発光層形成材料に対する電子注入性材料の混合比率が、発光層形成材料の溶液あるいは分散液100重量部に対して、電子注入性材料の溶液あるいは分散液が10重量部以上20重量部以下とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
- 前記陰極が、導電性材料を含む溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機EL装置。
- 陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を有した有機EL装置の製造方法であって、
前記発光層を、発光層形成材料に電子注入性材料を混合してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 前記電子注入性材料が、有機金属錯体であることを特徴とする請求項8記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記有機金属錯体がアセチルアセトナト錯体であることを特徴とする請求項9記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記電子注入性材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属のハロゲン化物あるいは酸化物であることを特徴とする請求項8記載の有機EL装置の製造方法。
- 発光層形成材料に対する電子注入性材料の混合比率を、発光層形成材料の溶液あるいは分散液100重量部に対して、電子注入性材料の溶液あるいは分散液を0.1重量部以上40重量部以下としたことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
- 発光層形成材料に対する電子注入性材料の混合比率を、発光層形成材料の溶液あるいは分散液100重量部に対して、電子注入性材料の溶液あるいは分散液を10重量部以上20重量部以下としたことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記陰極を、導電性材料を含む溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成することを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記液相プロセスが、スピンコート法、ディップ法、またはインクジェット法であることを特徴とする請求項8〜14のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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WO2012011510A1 (ja) | 2010-07-21 | 2012-01-26 | 住友化学株式会社 | 有機el素子 |
-
2003
- 2003-11-26 JP JP2003395487A patent/JP2005158489A/ja not_active Withdrawn
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WO2012011510A1 (ja) | 2010-07-21 | 2012-01-26 | 住友化学株式会社 | 有機el素子 |
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