JP2005156543A - 電気化学的測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 作用極に一定の電位を印加して、標的成分の電気化学的酸化に基づく電流信号を検出する電気化学的測定方法において、電位印加に伴うセンサ出力の低下および共存妨害成分による影響の増大を防ぎ、高精度な測定ができる電気化学的測定方法および装置を提供する。
【解決手段】 作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の検出電位を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を検出する電気化学的測定方法において、作用極を電位が印加されない開放状態または前記検出電位よりも低い順電位の第1の電位が印加された状態に保ち、試料供給の検知または操作指令などにより作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を所定時間印加した後、印加電位を検出電位に切換えて測定を行い、測定が終了した後または一定時間経過した後、再び作用極を開放状態、または第1の電位が印加された状態に戻して次の測定を待つ。
【選択図】 図1
【解決手段】 作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の検出電位を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を検出する電気化学的測定方法において、作用極を電位が印加されない開放状態または前記検出電位よりも低い順電位の第1の電位が印加された状態に保ち、試料供給の検知または操作指令などにより作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を所定時間印加した後、印加電位を検出電位に切換えて測定を行い、測定が終了した後または一定時間経過した後、再び作用極を開放状態、または第1の電位が印加された状態に戻して次の測定を待つ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、試料の分析に係り、特に迅速な測定開始を可能にし、長期間使用安定性に優れ高精度測定が可能な電気化学的測定方法および装置に関する発明である。
電極を検出素子として用い、電極界面で起こる反応に基づく電流または電位変化を検知して各種物質を電気化学的に検出し測定する方法が知られている。例えば、白金電極上で起こる過酸化水素の酸化電流を測定して、過酸化水素濃度を電気化学的に求める方法があり、それに基づいた装置(過酸化水素電極)が開発されている。
過酸化水素電極は、一般的に作用極、対極及び参照極からなる3極構造を有する。これら3つの電極は、例えば図12に示すようなポテンシオスタット回路に接続され、予め参照極と作用極との間に一定の電位(例えばAg/AgCl参照極に対して0.7V)が印加されており、作用極の表面に到達した過酸化水素が、[化1]に示すような反応で酸化され、過酸化水素の2倍のモル数の電子が発生し、電子情報(電流値)に変換される。電子情報は一般的に過酸化水素が作用極表面に接する前(ベース電流)と接した後の電流値の比較で取り出される。したがって、正確な測定を行なうにはベース電流が安定していることが重要である。
また、過酸化水素電極と、過酸化水素生成酵素を含む生体触媒とを組み合わせてなるバイオセンサが開発され、その代表例はグルコース酸化酵素(以下GODという)と白金電極とを組み合わせたグルコースセンサである。すなわち、グルコースは[化2]により過酸化水素に変換され、変換された過酸化水素を過酸化水素電極で検出する。
すでに述べたように、正確な測定を行なうにはベース電流が安定していることが重要である。ここでポテンシオスタット回路が作動し作用極に測定用の電位が印加されている状態を通電と定義する。通電してから安定したベース電流(ここで「安定」とはベース電流のシフトによる測定精度への影響が保証範囲を超えないレベル以下として定義する)が得られるまでの時間は電極の材料や表面構造、および通電履歴などにより異なるが、通常、数分間〜30分間が必要である。
したがって、このような電極系を利用した測定では、装置を立ち上げ電極に電位を印加して一定時間経過してから測定を開始することが必要である。実験室や分析センターなどで使用される場合、担当者がこれらの作業を行ってから測定を開始することができるので、このような使用方法で問題がない。
一方、高齢化に伴う医療費の高騰、および人々の健康意識の向上に伴い、在宅など非医療機関での自己健康チェックと管理が重要になってきている。その一例はバイオセンサを搭載したトイレ設置型排泄物測定装置を用いて健康をチェックし管理することである。
このようなトイレ設置型排泄物測定装置では、バイオセンサや装置に関する知識が全く無い一般人の使用に耐えることは勿論、使用者がトイレに入って用便すると、直ぐに測定開始できること、短時間で測定結果を出力することが大事である。というのは、使用者がトイレに入ってから、何分間も待ってから用便を開始することや、排泄してから測定結果を得るまで長時間待つことは現実的ではないからである。
この不都合を解消する目的で、いつでも直ぐに測定開始できるようにするために、従来のトイレ設置型排泄物測定装置(以下単に排泄物測定装置)ではバイオセンサへ常時通電(連続通電)している。
しかし、センサへ常時通電すると、以下に示すような課題が生じる。すなわち、通電時間の経過に伴い電極表面が徐々に酸化されて過酸化水素に対する反応が鈍くなり、単位濃度の過酸化水素に対して出力(感度)が経時的に低下する。一方、尿などの排泄物に過酸化水素と同様に電極で酸化される妨害成分が多く共存するが、これらの成分に対する感度は電極が酸化されても低下しない。結果的にS/N比が悪くなり装置の精度低下につながる。
このような課題に対し、連続通電により低下した感度を回復させるために、測定直前に測定電位とは逆の極性の電位、例えば-1V(vs Ag/AgCl)を印加することが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。しかし、逆の極性電位から測定電位に切り替えた時、逆の極性電位の印加により生成した還元性物質の酸化、およびフレッシュになった白金の再酸化などにより、著しく高いベース電流が生じることになり、ベース電流が安定するまで長い待ち時間を要する。
さらに、正と逆の極性電位の印加による白金電極の酸化還元を繰り返すことによって、電極材料が消費されてしまう上、電極表面にセンサ膜を設けた場合、膜が電極から剥離する恐れがある。また、センサへの連続通電による感度の低下を緩和するために、測定時に高電位(検出電位)を印加し、非測定時はより低い低電位に切り換える手法が提案された(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、低電位から高電位に切り換える時、通電状態の激変によりベース電流が大きく上昇し、再び安定するまでやはり一定の時間が必要で、安定するまでの所要時間は電位のシフト幅が大きいほど長くなる。その結果、使用者が待たされるとの問題を解決することができない。
使用者を待たさせず測定できるようにするために、改めて使用時間帯を予測し、使用しない時間帯には通電せず、使用時間帯になる一定時間前にタイマー等により通電を開始する方法が提案されている(例えば特許文献5参照)。しかし、この方法では装置使用の自由度を制限してしまう問題がある。
特開昭57−60255号公報
特開平3−85435号公報
特開平9−89834号公報
特開2000−241410号公報
特開2002−24221号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、連続通電によるセンサ感度の低下を防ぐと同時に、いつでも使用者を待たせることなく高精度な測定ができる電気化学的測定方法および装置を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明の電気化学的測定方法によれば、作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の検出電位を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を検出する電気化学的測定方法において、待機時作用極を電位が印加されない開放状態または前記検出電位よりも低い順電位の第1の電位が印加された状態に保ち、試料供給の検知または操作指令などにより作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を所定時間印加した後、印加電位を検出電位に切換えて測定を行い、測定が終了した後または一定時間経過した後、再び作用極を開放状態、または第1の電位が印加された状態に戻して次の測定を待つことを特徴とする。これにより、ベースラインが短時間で安定するので、常時通電をしなくても、いつでも使用者を待たせることなく測定することを可能となる。また、待機時作用極に電位を印加しないか、検出電位よりも低い順電位を印加するので、長期間通電による感度の低下を防ぐことができる。
請求項2記載の発明の電気化学的測定方法は、第1の電位は作用極の自然電位から自然電位より0.4V高い値までの範囲にあることを特徴とするので、電位印加によるセンサ感度の低下を防ぐまたは緩和すると同時に、酸化還元の繰り返しによる電極へのダメージを抑えることができる。
請求項3記載の発明の電気化学的測定方法によれば、前記第2の電位は、前記検出電位に比べて0.1〜0.3V高い範囲にあることを特徴とする。この範囲より高くなると、電極が過度に酸化され、測定感度を低下させてしまい、逆にこの範囲よりも低いと、ベースラインが安定するまでの時間が長くなるので、本発明により感度低下を防ぐと同時にベースラインを早く安定化させることができる。
また、請求項4記載の発明の電気化学的測定方法によれば、前記第2の電位の印加時間が0.1〜10秒の範囲にあることを特徴とする。検出電位よりも高い第2電位が印加されると、電極は検出電位が印加された場合に比べて、より早い速度で酸化が進む。本発明は感度低下の防止とベースラインの早期安定化を両立させる最適的な時間範囲を提供した。
さらに、請求項5記載の発明によれば、作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の検出電位を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を測定する電気化学的測定装置であって、作用極の電位を参照極に対して任意の値に保持する機構、作用極にある値またはパターンの電位が印加された時間を積算し記憶する機構、試料供給の検知または操作指令により作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を作用極に印加を開始する機構、検出電位における測定の終了を判定する判定機構、および測定終了後または検出電位を一定時間印加した後作用極に印加する電位を検出電位よりも低い順電位の第1の電位にシフトするか、または作用極への電位印加を中止し開放状態にする機構を有することを特徴とする電気化学的測定装置が提供される。これらの機構を備えることにより、常時通電をしなくても、いつでも使用者を待たせることなく測定すること、および出力低下による測定精度の低下を防止することを実現した。
本発明によれば、いつでも使用者を待たせることなく測定することを可能となる。また、長期間通電に伴う出力の低下および共存妨害成分による影響の増大を防ぐことができる。
以下図面を用いて本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用される電気化学的測定系は作用極、参照極および対極からなる。作用極の材料として白金、パラジウム、イリジウム、金などの貴金属が例として挙げられるが、安定性や使用のしやすさから白金がもっともよい。参照極としては銀/塩化銀電極、かんこう電極が例として挙げられるが、固体で成形しやすいことから、銀/塩化銀電極がもっとも好ましい。銀/塩化銀電極が安定的に機能するには一定濃度の塩素イオン、例えば塩化カリウム(KCl)と接触する必要があり、その基準電位(標準水素電極に対して)はKClの濃度に依存する(図10参照)。本発明では、特に言及しない限り、電位は飽和KClに対していう。対極として作用極と同じ材料、例えば白金を使用してよい。これらの電極はそれぞれ分離した形でポテンシオスタットに接続するか、ひとつの絶縁性基体に形成してもよい。図11にはセラミック基板上に形成された白金作用極、白金対極、および銀/塩化銀からなるプレーナー型電極系(プレーナー電極)を示す。プレーナー電極の場合、参照極に内部液を備える代わりに、一定濃度のKClを含む水溶液、例えば緩衝液に電極を接触させることによって、参照極の電位を一定に保つ方法を用いてもよい。
本発明で使用される電気化学的測定系は作用極、参照極および対極からなる。作用極の材料として白金、パラジウム、イリジウム、金などの貴金属が例として挙げられるが、安定性や使用のしやすさから白金がもっともよい。参照極としては銀/塩化銀電極、かんこう電極が例として挙げられるが、固体で成形しやすいことから、銀/塩化銀電極がもっとも好ましい。銀/塩化銀電極が安定的に機能するには一定濃度の塩素イオン、例えば塩化カリウム(KCl)と接触する必要があり、その基準電位(標準水素電極に対して)はKClの濃度に依存する(図10参照)。本発明では、特に言及しない限り、電位は飽和KClに対していう。対極として作用極と同じ材料、例えば白金を使用してよい。これらの電極はそれぞれ分離した形でポテンシオスタットに接続するか、ひとつの絶縁性基体に形成してもよい。図11にはセラミック基板上に形成された白金作用極、白金対極、および銀/塩化銀からなるプレーナー型電極系(プレーナー電極)を示す。プレーナー電極の場合、参照極に内部液を備える代わりに、一定濃度のKClを含む水溶液、例えば緩衝液に電極を接触させることによって、参照極の電位を一定に保つ方法を用いてもよい。
白金作用極を使用した場合、過酸化水素、各種のアミン、尿酸やアスコルビン酸などの還元性物質を直接検出することができる。また、作用極表面あるいは表面近傍に過酸化水素生成酵素などを含む生体触媒を固定化することにより、色んな成分を検出対象とするバイオセンサとして利用することができる。
本発明による電気化学的測定方法は、作用極に印加される電位によって特徴付けられる。図1に測定を行う前と後の時間帯を含む期間における作用極に印加される電位のパターンを示す。すなわち、待機時は作用極に検出電位よりも低い順電位の第1の電位を印加した状態に保つ。試料供給の検知または操作指令などにより検出電位よりも高い第2の電位を印加する。所定時間後第2の電位から検出電位に下げて測定を行う。測定が終了した後または一定時間経過した後、再び第1の電位を印加した状態に戻して次の測定を待つ。図示しないが、第1の電位を印加する代わりに、作用極を開放状態にしてもよい。
以下それぞれの印加電位について詳細に説明する。
検出電位は作用極の電極材料および検出対象によって適宜決定されてよいが、白金作用極を用いて過酸化水素を検出する電位は、銀/塩化銀参照極に対して0.5〜0.9Vの範囲が好ましく、より好ましくは0.6〜0.8Vの範囲である。電位が低いと過電圧が足りず、測定感度が小さくなる。一方、電位が高いと、白金電極自身の酸化等により電極の触媒能が低下する。さらに水の分解などによる電流が発生し測定精度を低下させる。
検出電位は作用極の電極材料および検出対象によって適宜決定されてよいが、白金作用極を用いて過酸化水素を検出する電位は、銀/塩化銀参照極に対して0.5〜0.9Vの範囲が好ましく、より好ましくは0.6〜0.8Vの範囲である。電位が低いと過電圧が足りず、測定感度が小さくなる。一方、電位が高いと、白金電極自身の酸化等により電極の触媒能が低下する。さらに水の分解などによる電流が発生し測定精度を低下させる。
図2にpH6.8のりん酸緩衝液中における白金電極(図11に示すセラミック基板上に形成された電極系)のサイクリックボルタンモグラム(スキャン速度は0.05V/sec)を示す。図2から、プラス電位の方向に向けて電位をスキャンすると、0V以上ではプラスの電流が増大し、0.4〜0.9Vの間にブロードな酸化領域が記録されている。これは白金電極の酸化(酸化皮膜の形成)によるものである。またマイナス電位の方向に向けて電位をスキャンした場合、0.3V以下でマイナス電流が増大し、−0.2〜−0.3Vの間にシャープな還元ピークが現れた。これは前記酸化領域で形成された白金酸化皮膜の還元によるものである。この図から、過酸化水素の検出電位において、白金自身の酸化が避けられないことが分かる。すなわち、過酸化水素の酸化分解はある程度酸化皮膜ができた状態の白金表面で行われるのである。酸化皮膜の成長は電極の触媒能を低下させるので、検出電位における長期間通電による感度の低下の原因のひとつとして酸化皮膜の経時的な成長が考えられる。
したがって、検出電位での通電時間を測定に必要な最小限度に留めて、それ以外の待機時間には電位を印加せず、または電極が酸化されにくいより低い電位を印加することにより感度の低下を防ぐことができる。検出電位における通電時間はベースラインの安定化速度、採用される測定方法や試料供給方法等により適宜決定されるが、一般的な好ましい範囲として30秒〜3分間の範囲が挙げられる。
図1に示す本発明の順電位の第1の電位はこの考えに基づいて設定されたものである。ここで順電位とは、作用極に印加された電位参照極に比べて、ゼロよりも高いことを指す。第1の電位の値は作用極材料、検出電位の高さとその印加時間など、諸般条件を勘案して適宜決定されてよいが、好ましくは作用極の自然電位から自然電位よりも0.4V高い値の範囲から選定される。電極極の自然電位は電極に接する媒体、電極の表面状態等によって異なるので、ここでいう作用極の自然電位は、実際の測定にセンサが接触する試料以外の媒体(例えばリン酸緩衝液)および電極表面に酸化皮膜等がないフレッシュな電極の場合の自然電位を指す。白金の場合、中性りん酸緩衝液中では0.2V前後である。したがって、この場合、第1の電位の好ましい範囲は0.2V〜0.6Vの間である。一見して電位が低いほど、白金酸化皮膜が還元されやすく好ましいように思えるが、電位が過度に低いと、媒体中に含まれる他の成分も還元されその結果の生成物が蓄積されるので、第2の電位および検出電位に切換えた時、これらの生成物の酸化による電流が大きくなり、結局ベース電流の安定化に時間がかかってしまう。また、すでに述べたように、検出電位においてある程度白金酸化皮膜ができた状況になることが避けられないならば、酸化皮膜を完全に還元する必要がないことを意味する。逆に過度に電位を下げて酸化皮膜を完全に還元することは、測定の度に白金の酸化還元が繰り返されることになり、電極の消耗、さらに電極表面に密着したセンサ膜が設けてある場合、膜の電極表面からの浮きと剥離をもたらす恐れがあり、好ましくない。一方、電位を自然電位よりも0.4V以上高く設定した場合、酸化皮膜の還元が不十分か第1の電位の印加自身による酸化皮膜の形成も考えられ、感度低下防止効果が十分ではなくなる。
次に具体的な例を以って第1の電位の選定について説明する。
図3にはグルコースセンサに対して、測定時は0.7Vの検出電位で測定するが、それ以外の時間帯には所定の電位に切り替えて待機させるパターンで、一日1回の頻度でグルコースを測定する連続通電試験を行い、7週間経過した後、センサ性能と待機電位との関係を示す図である。このセンサは図9に示すように、白金作用極の表面に過酸化水素選択透過膜とグルコースオキシダーゼを固定化した酵素膜が形成された2層膜構造を有する。過酸化水素選択透過膜は試料に共存するアスコルビン酸や尿酸などの共存妨害成分を電極表面に到達するのを阻止するために設けたものである。なお、センサの作成については後記実施例を参考されたい。
待機電位は測定する以外の時間帯に作用極に印加されたる電位なので、本発明の第一の電位に相当する。センサ性能指標として、グルコースに対する出力(GLC、右目盛り)およびASA/GLC選択比、すなわち同濃度のアスコルビン酸とグルコースに対する出力の比率(左目盛り)を図示した。なお、図示データは試験初期の値を1とした相対値である。
まず、グルコースの出力を見ると、どの印加電位においても値が1よりも低くなった、すなわち初期に比べて連続通電によって出力が低下したが、0.3-0.5Vの間を中心とした山形の曲線を形成しており、待機電位がこの範囲において出力低下がもっとも少なく、これよりも高くなっても、低くなっても低下が大きくなった。一方、ASA/GLC選択比をみると、0.5Vを中心とした、グルコースに対する出力とは逆の谷型曲線を形成している。なお、選択比が低いほど、共存妨害成分による測定誤差が小さいことを意味するので、グルコース出力とは逆に、使用期間中において選択比が上昇しないことが望ましい。待機電位が0.3-0.5Vの間では、選択比が初期に比べて上昇せず、逆に低下した一方、電位が0.2V以下、および0.6V以上では高くなっている。特に0.9Vでは初期に比べて10倍近く上昇している。これはグルコースに対する出力が低下した一方、妨害成分のアスコルビン酸に対する出力が逆に上昇したことによる。
以上のことから、待機時の電位を適度に下げることによって、長期間連続通電使用による出力低下が抑制されるだけではなく、選択比というもう一つのセンサ性能指標の劣化も防止することができることがわかる。図3から、このグルコースセンサの待機電位、すなわち第一の電位の最適範囲は0.2-0.6Vの間にあることが示された。
なお、第1の電位を印加する代わりにセンサを開放状態にしてもよい。この場合、待機時センサへの電位印加が中断されているので、節電の視点から好ましい。しかし、測定後作用極の電位が自然降下により検出電位から自然電位に下がることになるので、降下にはある程度時間がかかる。また測定等によって電極表面に酸化皮膜が形成されることにより作用極の自然電位自身が高くなることがあり、その結果酸化皮膜が十分に還元されず蓄積する可能性がある。したがって、開放状態にする方法は、測定頻度が小さく、例えば個人健康管理用測定機器など一日数回しか測定しない場合に好適である。頻繁に測定を行うことが必要な場合(例えば、測定間隔が2時間以内)は作用極の電位を素早く下げる第1の電位を印加する方法がより望ましい。
検出電位の印加を中止し開放状態にする、または第1の電位に切換えるタイミングは、測定の終了時、または検出電位を一定時間印加した後である。ここで測定終了とは、濃度を計算するための電流信号の読み取りが完了したこととして定義する。したがって、測定終了は必ずしも測定にかかわる動作シーケンス(例えば信号を読み取った後の電極洗浄や復帰動作など)がすべて終了することを意味しない。測定終了の判断方法として、電流信号のピーク等から判断することが例として挙げられる。一方、試料の供給または操作などの指令から測定完了までのシーケンスは一定であることが一般的であることから、検出電位を印加し始めてからの積算時間を以って切換えるタイミングを決定してもよい。この場合、測定終了の判定を省くことができる。積算時間として、電流信号を読み取るまでの時間が例として挙げられる。また、測定後、すぐ次の測定が開始される可能性を考慮し、電流信号を読み取ってからさらに一定時間、例えば5分間待ってから印加電位を切換えることも考えられる。こうすることにより次の測定がすぐ始まる場合、電位の切り替え回数を少なくすることができる。なお、このケースにおいて、試料の検出または操作がされた時には、検出電位が印加されているので、第2の電位へ切り替える必要がない。この場合、第2の電位への切り替えを行わないように、第2の電位を印加するための判定条件(検出電位の印加時間など)を測定シーケンスに取り入れるとよい。
さて、開放状態または第1の電位を印加した状態から検出電位を印加すると、電位の激変により、1)電気2重層の再平衡、2)電極表面の酸化、3)還元性成分の酸化、などにより高いベース電流が流れる。これが安定するまで時間がかかり、その結果測定を開始し測定結果を使用者に知らせるまで時間がかかってしまう。図1に示す本発明の第2の電位はこのベース電流を早く安定化させるためのものである。
図4にはセラミック基板に形成された白金電極をリン酸緩衝液(pH6.8)に浸漬し、0.3Vの電位を3分間印加した後、直接0.7Vの検出電位に切換えた場合(第2の電位の印加時間0秒の場合が相当)、及び図示時間だけ0.9Vを印加してから0.7Vの検出電位に切換えた場合の電流の経時変化を示す。0.3V(第一の電位)から0.9V(第2の電位相当)、または検出電位に切換えたタイミングは図上0秒のポイントである。図4から、第2の電位を印加せず直接検出電位に切換えた場合(第2の電位の印加時間が0秒の場合)に比べて、第2の電位の印加を経た場合の電流曲線のスロープが全体的に小さく、より早く安定することが分かる。30秒から60秒まで、および60秒から90秒までの電流変化値を表1に示す。表1から、第2の電位0.9Vを印加することにより、30秒間で経過した時点でベースラインが顕著に安定化してきた。印加時間が長いほど変化値が小さくなる傾向があるが、0.5秒以上では大差がなく、10秒間の印加では逆に変化がより大きくなる傾向が見られた。安定するまでの時間が印加時間によって異なるので、実際のケースは諸般条件を勘案して決定されてよい。この例の場合、仮に安定レベルは30秒間のベース電流変化が10nA以下であるとすると、試料供給が検出されたまたは操作指令が出された時点から30秒で出力電流値を読み取り結果を出す場合、0.9Vの印加時間が0.1秒間以上、例えば0.5秒間が必要である。一方、60秒後で出力電流を読み取る場合は、0.1秒間の印加でもよい。また、ベース電流の安定レベルは30秒間あたり5nA以下であるとした場合、どの印加時間でも30秒間以上待つ必要がある。
データを示さないが、第1の電位、第2の電位、および検出電位が異なると、電流の経時変化が当然異なってくる。また、電極の種類や電極表面に膜のありなし、膜がある場合、膜の種類やその性質によっても変化する。第2の電位の高さやその印加時間は、要求される安定レベルおよび出力を出すタイミングを満たすべく、上記諸般条件を勘案し、実際に決定される。第2の電位の好ましい範囲は検出電位よりも0.1Vから0.3Vの範囲にある。印加電位が過度に高いと、電極の酸化が進み、厚い酸化皮膜ができ、その結果測定感度が低下する恐れがある。一方、検出電位からの差が小さいと、安定化するまでの時間がかかってしまい、ベースラインの安定化効果が出なくなる。また、同様な理由で第2の電位の印加時間が好ましくは0.1秒〜10秒の範囲である。
第2の電位印加によるベースライン安定化のメカニズムは必ずしも明確ではないが、電極を一つのコンデンサーとしてみると、電位を印加または上げた時のベース電流は充電電流として捕らえることができる。この場合、所要充電量(電流の時間積分)が最終印加電位によって決められるが、印加電位が高いほど、初期充電速度が高いので、第2の電位を所定時間印加することによって、例えば最初の20秒間の充電量は、検出電位だけ印加した場合に比べて、多くなる。その結果、その後の所要充電量が少なくて済むことから、ベース電流がより早く低下し安定することになる。
次に本発明による装置について簡単に説明する。
本発明による電気化学的測定装置は、従来の装置と同様、作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の電位(検出電位)を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を測定するものであるが、図1に示す電位の印加パターンを、測定のタイミングに合わせて、自動的に実現する機構を備える。
本発明による電気化学的測定装置は、従来の装置と同様、作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の電位(検出電位)を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を測定するものであるが、図1に示す電位の印加パターンを、測定のタイミングに合わせて、自動的に実現する機構を備える。
すなわち、この電気化学的測定装置は、待機時作用極の電位を参照極に対して第1の電位に保持し、試料供給の検知または操作指令により作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を作用極に印加を開始し、第2電位の印加から所定時間経過後に印加電位を検出電位にシフトし、および測定終了後または検出電位を一定時間印加した後作用極に印加する電位を検出電位よりも低い第1の電位にシフトするかまたは作用極への電位印加を中止して開放状態にするよう電位を制御する制御装置と、作用極にある値もしくはあるパターンの電位が印加された時間を積算し記憶する記憶部と、検出電位における測定の終了を判定する判定手段とを有する。
図5および図6に通常の動作フローの例を示す。これらの動作フローは電源投入や装置のセットアップが完了し、測定の準備ができている待機状態からのフローである。
図5は測定終了の判定をもって第1の電位または開放状態への切り替えを行う動作フローである。すなわち、待機状態では作用極が常に第1の電位を印加した状態または開放状態にあり、試料供給の検知または操作指令により第2の電位を印加し、所定時間後検出電位に切換えて測定を行い、測定終了の判定をもって再び第1の電位または開放状態に切換えて待機状態に戻る。
図6は検出電位の印加時間の判定をもって第1の電位または開放状態への切り替えを行う動作フローである。すなわち、待機状態では前回の測定終了からの時間によって作用極が検出電位を印加した状態、あるいは第1の電位を印加した状態または開放状態にあり、試料供給の検知または操作指令後、作用極の電位印加状態を判定する。検出電位を印加している状態の場合は、直接測定に移すが、第1の電位を印加した状態または開放状態の場合は第2の電位を印加し、所定時間後検出電位に切換えてから測定を行う。その後、検出電位の印加は所定時間になるまではそのままにして待機状態に戻るが、所定時間経過しても試料の検出または操作指令がなければ第1の電位または開放状態に切換えて待機状態に戻る。
(実施例)
ステップ1:基体表面の洗浄
ガラス容器に50mlの1Nの硝酸を加え、続いてセラミック基体上に白金作用極と対極、および銀/塩化銀参照極が形成されたプレーナー電極(図11参照)を完全に液に沈めるように入れて、手で数回ゆっくり振蕩してから室温で30分間放置した。続いて、基体6を取り出して大量の脱イオン水で洗浄した。
ステップ2:基体表面のシラン化処理
別のガラス容器に49.5mlの脱イオン水および0.5mlの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノシラン)を加えて混合し、1%のアミノシラン溶液を調整した。続いて、ステップ1で硝酸で洗浄処理された基体6を調整済みのアミノシラン溶液に浸すように入れて、手で数回ゆっくり振蕩してから室温で30分間放置した。続いて、基体6を取り出して大量の脱イオン水で洗浄して35℃の雰囲気中で30分間乾燥させた。
ステップ3:過酸化選択透過膜原液の調整
牛血清アルブミン(BSA)を17.5mg秤量し、0.9mlの脱イオン水で溶解してBSA溶液を調整した。続いて2.0(v/v)%のグルタルアルデヒド水溶液を0.1ml加えて攪拌した。こうして過酸化水素選択透過膜の原液を調整した。
ステップ4:過酸化選択透過膜の形成
ステップ3で調整された過酸化選択透過膜の原液20μlを、ピペットでステップ2でシラン化処理されたプレーナ電極の作用電極の上にドロップし、35℃の雰囲気中で30分間乾燥して過酸化選択透過膜を成膜した。
ステップ5:酵素膜原液の調整
グルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4、シグマアルドリッチ製)2290ユニットを、0.7mlのリン酸ナトリウム緩衝溶液(100mM、pH6.0)で溶解し酵素溶液とした。また、牛血清アルブミン(BSA)を25mg秤量し、1.0mlの脱イオン水で溶解してBSA溶液を調整した。続いて調整されたBSA溶液0.2mlを取り、前記酵素溶液に加えて、均一に混ぜた。混ぜた後の混合液に2.0(v/v)%のグルタルアルデヒド水溶液を0.1ml加えて攪拌した。こうして酵素膜の原液を調整した。
ステップ6:酵素膜の形成
ステップ5で調整された過酵素膜の原液10μlを、ピペットでステップ2で形成された作用電極表面上の過酸化水素選択透過膜の上にドロップし、35℃の雰囲気中で30分間乾燥して酵素膜を成膜した。
こうして図9に示す膜構造を有するグルコースセンサを作成した。
ステップ1:基体表面の洗浄
ガラス容器に50mlの1Nの硝酸を加え、続いてセラミック基体上に白金作用極と対極、および銀/塩化銀参照極が形成されたプレーナー電極(図11参照)を完全に液に沈めるように入れて、手で数回ゆっくり振蕩してから室温で30分間放置した。続いて、基体6を取り出して大量の脱イオン水で洗浄した。
ステップ2:基体表面のシラン化処理
別のガラス容器に49.5mlの脱イオン水および0.5mlの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノシラン)を加えて混合し、1%のアミノシラン溶液を調整した。続いて、ステップ1で硝酸で洗浄処理された基体6を調整済みのアミノシラン溶液に浸すように入れて、手で数回ゆっくり振蕩してから室温で30分間放置した。続いて、基体6を取り出して大量の脱イオン水で洗浄して35℃の雰囲気中で30分間乾燥させた。
ステップ3:過酸化選択透過膜原液の調整
牛血清アルブミン(BSA)を17.5mg秤量し、0.9mlの脱イオン水で溶解してBSA溶液を調整した。続いて2.0(v/v)%のグルタルアルデヒド水溶液を0.1ml加えて攪拌した。こうして過酸化水素選択透過膜の原液を調整した。
ステップ4:過酸化選択透過膜の形成
ステップ3で調整された過酸化選択透過膜の原液20μlを、ピペットでステップ2でシラン化処理されたプレーナ電極の作用電極の上にドロップし、35℃の雰囲気中で30分間乾燥して過酸化選択透過膜を成膜した。
ステップ5:酵素膜原液の調整
グルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4、シグマアルドリッチ製)2290ユニットを、0.7mlのリン酸ナトリウム緩衝溶液(100mM、pH6.0)で溶解し酵素溶液とした。また、牛血清アルブミン(BSA)を25mg秤量し、1.0mlの脱イオン水で溶解してBSA溶液を調整した。続いて調整されたBSA溶液0.2mlを取り、前記酵素溶液に加えて、均一に混ぜた。混ぜた後の混合液に2.0(v/v)%のグルタルアルデヒド水溶液を0.1ml加えて攪拌した。こうして酵素膜の原液を調整した。
ステップ6:酵素膜の形成
ステップ5で調整された過酵素膜の原液10μlを、ピペットでステップ2で形成された作用電極表面上の過酸化水素選択透過膜の上にドロップし、35℃の雰囲気中で30分間乾燥して酵素膜を成膜した。
こうして図9に示す膜構造を有するグルコースセンサを作成した。
(実施例1)
上記ステップ6まで作成したセンサ2つを、センサセルに装着して図1に示すパタンの電位を印加する機能を備えた装置にセットし、第1の電位を0.5V、第2の電位を0.8V、検出電位を0.7Vのパターンで連続通電試験を行い、200mg/dlのグルコースを測定した時のセンサの出力を、初期値を1として相対化して通電経過時間に対してプロットした。その結果を図7に示す。図7から、最初の数週間で出力が低下したが、その後ほぼ一定のレベルを維持し、約6週間経過してもセンサの出力は初期の80%近く維持していた。
上記ステップ6まで作成したセンサ2つを、センサセルに装着して図1に示すパタンの電位を印加する機能を備えた装置にセットし、第1の電位を0.5V、第2の電位を0.8V、検出電位を0.7Vのパターンで連続通電試験を行い、200mg/dlのグルコースを測定した時のセンサの出力を、初期値を1として相対化して通電経過時間に対してプロットした。その結果を図7に示す。図7から、最初の数週間で出力が低下したが、その後ほぼ一定のレベルを維持し、約6週間経過してもセンサの出力は初期の80%近く維持していた。
また、試験終了後センサを外して実体顕微鏡で観察したところ、膜は使用前と同様、電極に密着して状態を保っていた。
(比較例1)
上記ステップ6まで作成した別の2つのセンサを、センサセルに装着して一定の電位を印加する機能を備えた装置にセットし、0.7Vの固定電位を印加する連続通電試験を行った。電位印加パターン以外は前記実施例と同じ条件にした。200mg/dlのグルコースを測定した時のセンサの出力を、初期値を1として相対化して通電経過時間に対してプロットした。その結果を図8に示す。図8から、センサ出力が通電時間と共に低下し、約6週間経過した時点で、センサの出力は初期の40%まで低下していた。
上記ステップ6まで作成した別の2つのセンサを、センサセルに装着して一定の電位を印加する機能を備えた装置にセットし、0.7Vの固定電位を印加する連続通電試験を行った。電位印加パターン以外は前記実施例と同じ条件にした。200mg/dlのグルコースを測定した時のセンサの出力を、初期値を1として相対化して通電経過時間に対してプロットした。その結果を図8に示す。図8から、センサ出力が通電時間と共に低下し、約6週間経過した時点で、センサの出力は初期の40%まで低下していた。
また、試験終了後センサを外して実体顕微鏡で観察したところ、膜は作用極表面を中心に、電極表面から浮いて、膜と電極の間に液が入っている状態になっていた。
膜が浮いて電極表面から離れると、酵素膜で形成された過酸化水素の電極表面への拡散距離が大きくなってセンサ出力が低下することから、連続通電に伴うセンサ膜の浮が出力低下の原因のひとつであることが分かる。本発明による方法を採用すれば、膜浮を防止することができる。
2…作用極
7…参照極
8…対極
10…プレーナー電極系
7…参照極
8…対極
10…プレーナー電極系
Claims (5)
- 作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の検出電位を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を検出する電気化学的測定方法において、
待機時作用極を電位が印加されない開放状態、または前記検出電位よりも低い順電位の第1の電位が印加された状態に保ち、試料供給の検知または操作指令などにより作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を所定時間印加した後、印加電位を検出電位に切換えて測定を行い、測定が終了した後または一定時間経過した後、再び作用極を開放状態、または順電位の第1の電位が印加された状態に戻して次の測定を待つことを特徴とする電気化学的測定方法。 - 前記第1の電位は、作用極の自然電位から自然電位よりも0.4V高い値までの範囲にあることを特徴とする、請求項1記載の電気化学的測定方法。
- 前記第2の電位は、前記検出電位に比べて0.1〜0.3V高い範囲にあることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の電気化学的測定方法。
- 前記第2の電位の印加時間は0.1〜10秒の範囲にあることを特徴とする、請求項3記載の電気化学的測定方法。
- 作用極、参照極および対極を含む電極系を有し、作用極に一定の検出電位を印加して標的成分の電極酸化に伴う電流信号を測定する電気化学的測定装置であって、待機時作用極の電位を参照極に対して任意の値に保持する機構、作用極にある値またはパターンの電位が印加された時間を積算し記憶する機構、試料供給の検知または操作指令により作用極に前記検出電位よりも高い第2の電位を作用極に印加を開始する機構、所定時間後印加電位を検出電位にシフトする機構、検出電位における測定の終了を判定する判定機構、および測定終了後または検出電位を一定時間印加した後作用極に印加する電位を検出電位よりも低い順電位の第1の電位にシフトするまたは作用極への電位印加を中止して開放状態にする機構を有することを特徴とする、電気化学的測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004288760A JP2005156543A (ja) | 2003-11-05 | 2004-09-30 | 電気化学的測定方法および装置 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007304081A (ja) * | 2006-04-10 | 2007-11-22 | Hokuto Denko Kk | 溶液分析方法 |
JP2012242093A (ja) * | 2011-05-16 | 2012-12-10 | Tanita Corp | 生化学測定装置 |
JP2013053925A (ja) * | 2011-09-05 | 2013-03-21 | Funai Electric Advanced Applied Technology Research Institute Inc | 検出対象物質を検出する検出装置 |
JP2016045028A (ja) * | 2014-08-21 | 2016-04-04 | 理研計器株式会社 | 感度回復機能を備えたガス検出器 |
JP2017090465A (ja) * | 2014-09-25 | 2017-05-25 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電気化学測定方法および電気化学測定装置 |
-
2004
- 2004-09-30 JP JP2004288760A patent/JP2005156543A/ja active Pending
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