JP2005156304A - ぜんまい装置、およびこれを備えた時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高級感のある良好な巻き上げ音を得ることができるぜんまい装置、およびこれを備えた時計を提供すること。
【解決手段】ぜんまい装置10の逆回転防止機構40を、角穴車4の歯形4eに係合するピン42と、このピン42を進退自在に支持し歯形4eに対して付勢する支持部材41と、この支持部材41が当接する当接部材43とを備えて構成したので、ぜんまい巻き上げ時に支持部材41が当接部材43に当接して巻き上げ音が発生する。この巻き上げ音の大きさや音色等は、支持部材41や当接部材43の材質や、大きさ、剛性等の設定により調整することができるので、手動によるぜんまいの巻き上げ時において、高級感のある良好な巻き上げ音を得ることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ぜんまい装置、およびこれを備えた時計に関する。例えば、手巻き式や、手巻き式と自動巻式を併用して巻き上げられるぜんまいと、調速のためのてんぷとを有した機械式時計や、そのようなぜんまいが解ける時に出力される機械エネルギを発電機で電気エネルギに変換し、その電気エネルギで回転制御手段を作動させて発電機の回転周期を制御することにより調速される電子制御式機械時計に利用できる。
従来より、ぜんまいの機械エネルギを利用して指針を運針させる機械式時計が知られている。また、近年では、ぜんまいが解放する時の機械エネルギを発電機で電気エネルギに変換し、その電気エネルギにより回転制御手段を作動させて発電機のコイルに流れる電流値を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に運針させて正確に時刻を表示する電子制御式機械時計(例えば、特許文献1参照)も多く用いられている。
また、機械式時計や電子制御式機械時計において、手動でぜんまいを巻き上げる際の違和感を低減させるための巻き上げ機構が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載された巻き上げ機構は、自動巻き上げ機構と手動巻き上げ機構とを備え、手動巻き上げ機構の巻真の回転が自動巻き上げ機構の巻き上げ輪列に伝達され、その後に送り部材および伝え車を介して角穴車に伝達されることで、送り部材から手動巻き上げ機構に伝わる衝撃が緩和され、手動でぜんまいを巻き上げる際の違和感を低減できるようになっている。
特開平8−5758号公報 特開2003−279665号公報
しかしながら、特許文献1、2の時計では、いずれも角穴車に係合するこはぜによって角穴車および香箱真の逆回転が防止されているため、手動によるぜんまいの巻き上げの際に、こはぜと角穴車との接触音が聞こえるのみで、良好な巻き上げ音が得られないという問題がある。
すなわち、こはぜによって角穴車の逆回転を防止した場合には、こはぜと角穴車の歯形との噛み合い部分の接触音、具体的にはジリジリという音しか聞こえず、さらにこはぜや角穴車は剛体なので、接触音の大きさや音色等を調整することができないため、高級感に乏しい巻き上げ音となってしまう。
本発明の目的は、高級感のある良好な巻き上げ音を得ることができるぜんまい装置、およびこれを備えた時計を提供することにある。
本発明のぜんまい装置は、ぜんまい、このぜんまいの一端が接続された香箱歯車、および前記ぜんまいの他端が固定された香箱真を有した香箱車と、前記香箱真に連結された角穴車とを備えたぜんまい装置であって、前記角穴車には、前記ぜんまいを手動で巻き上げるための手動巻き上げ機構と、前記ぜんまいの巻き戻りを抑制する逆回転防止機構とが接続されており、前記逆回転防止機構は、前記角穴車の歯形に係合する係合部材と、この係合部材を進退自在に支持し、かつ前記歯形に向かって付勢する支持部材と、前記手動巻き上げ機構の動作による前記角穴車の回転に連動して前記支持部材が当接する当接部材とを備えて構成されていることを特徴とする。
また、本発明のぜんまい装置は、ぜんまい、このぜんまいの一端が接続された香箱歯車、および前記ぜんまいの他端が固定された香箱真を有した香箱車と、前記香箱真に連結された第1および第2の角穴車とを備えたぜんまい装置であって、前記第1角穴車には、前記ぜんまいを手動で巻き上げるための手動巻き上げ機構が接続され、前記第2角穴車には、前記ぜんまいの巻き戻りを抑制する逆回転防止機構が接続されており、前記逆回転防止機構は、前記第2角穴車の歯形に係合する係合部材と、この係合部材を進退自在に支持し、かつ前記歯形に向かって付勢する支持部材と、前記手動巻き上げ機構の動作による前記第2角穴車の回転に連動して前記支持部材が当接する当接部材とを備えて構成されていてもよい。
このような本発明によれば、ぜんまいを手動で巻き上げる際に、角穴車(または第2角穴車)の回転に連動し、逆回転防止機構の係合部材および支持部材が角穴車に対して進退移動して、支持部材が当接部材に当接することで、巻き上げ音が発生する。そして、この巻き上げ音の大きさや音色等は、支持部材や当接部材の材質や、大きさ、弾性等に依存するため、適切な支持部材や当接部材を選択することで、巻き上げ音を調整することができる。従って、手動によるぜんまいの巻き上げ時において、高級感のある良好な巻き上げ音を得ることができる。
また、本発明のぜんまい装置において、第1および第2の角穴車を備えた場合には、前記第1角穴車と第2角穴車とは、前記香箱車を挟んで対向していることが好ましい。
このような構成によれば、第1および第2の角穴車が香箱車を挟んで互いに反対側に配置され、香箱車の一方側に並べて配置されないので、第1角穴車に接続される手動巻き上げ機構と、第2角穴車に接続される逆回転防止機構とが干渉することなく、装置レイアウトを整然としたものにできるとともに、装置の組立性を向上させることができる。
また、本発明のぜんまい装置では、前記逆回転防止機構は、前記香箱車を挟んで地板の反対側に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、逆回転防止機構を構成するピン、支持部材、および当接部材が香箱車を挟んで地板の反対側(時計などに用いた場合の裏蓋側)に配置されるので、香箱車を地板に組み込んだ後に逆回転防止機構を組み込むことができ、装置の組立性を良好にすることができる。
また、ぜんまい装置を時計等の機器に用いた場合には、逆回転防止機構と裏蓋との間に形成された空間内に巻き上げ音が反響し、より高級感のある巻き上げ音を得ることができる。
また、本発明のぜんまい装置では、前記逆回転防止機構は、複数設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、逆回転防止機構を複数設けたことで、より大きな巻き上げ音を得ることができるとともに、各々の逆回転防止機構から異なる音色の当接音が発するようにすれば、複数音色から構成された奥行き感のある巻き上げ音を得ることができ、さらに高級感を向上させることができる。
さらに、本発明のぜんまい装置では、前記逆回転防止機構の支持部材は、板ばねから形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、支持部材自体が板ばねから形成されて弾性を有しているので、係合部材および支持部材を角穴車(または第2角穴車)に向かって付勢するための弾性部材を別途用意する必要がなく、部品点数を削減でき、装置を小型化することができることができる。
この際、本発明のぜんまい装置では、前記支持部材は、基端部が地板に固定されており、この基端部から片持ち状に延出した途中位置に前記係合部材が設けられるとともに、先端部が前記当接部材に当接可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、片持ち状の板ばねからなる支持部材の先端部を当接部材に当接させることで、大きな巻き上げ音を発生させることができるので、支持部材を小型化でき、装置の小型化および低コスト化を促進することができる。
一方、本発明の時計は、前記いずれかのぜんまい装置と、このぜんまい装置を構成する香箱歯車に接続された輪列と、この輪列に結合された指針とを備え、前記ぜんまい装置を構成するぜんまいの機械エネルギにより前記輪列が駆動されることを特徴とする。
このような構成によれば、前述と同様の作用効果を有した時計を構成することができる。
この際、本発明の時計は、てんぷを備えた機械式時計であることが好ましい。
このような構成によれば、ぜんまい巻き上げ時に、高級感のある良好な巻き上げ音が発生する機械式時計を構成することができる。
また、本発明の時計は、前記輪列を介して伝達される前記ぜんまいの機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、変換された電気エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御手段と、を備えた電子制御式機械時計であってもよい。
このような構成によれば、ぜんまい巻き上げ時に、高級感のある良好な巻き上げ音が発生するとともに、誤差が小さく正確な運針が実現可能な電子制御式機械時計を構成することができる。
さらに、本発明の時計は、前記ぜんまい装置を収容するケースと、このケースを密閉する裏蓋とを備えており、前記裏蓋の内側面には凹凸が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、裏蓋の内側面の凹凸によって巻き上げ音が反響することで、より高級感のある巻き上げ音を得ることができる。
また、本発明の時計は、前記ぜんまい装置を収容するケースと、このケースを密閉する裏蓋とを備えており、前記裏蓋は、シースルーであることが好ましい。
このような構成によれば、シースルーの裏蓋を通して内部の香箱車や角穴車、逆回転防止機構等が視認可能なので、巻き上げ時の各部の動作を確認でき、より一層高級感を向上させることができる。
以上の本発明によれば、高級感のある良好な巻き上げ音を得ることができるぜんまい装置、およびこれを備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るぜんまい装置を備えた電子制御式機械時計の概略を示す平面図、図2は、その要部の断面図である。
電子制御式機械時計は、香箱車1を備えている。香箱車1は、ぜんまい1aと、香箱歯車1bと、香箱真1cと、香箱蓋1dとを備えている。ぜんまい1aは、外端が香箱歯車1bに接続され、内端が香箱真1cに固定されて、香箱車1に収容されている。香箱真1cは、地板2に軸支され、香箱歯車1bに対して相対回転可能になっている。すなわち、香箱歯車1bに対して香箱真1cを回転させることでぜんまい1aが巻き上げられ、巻き上げられたぜんまい1aがほどけることで香箱歯車1bが回転駆動されるようになっている。
香箱真1cの一端側である地板2側には、第1角穴車3が固定されている。また、香箱真1cの他端側である裏蓋側、つまり香箱車1を挟んで地板2の反対側には、第2角穴車4が設けられている。
第1角穴車3には、図示しない竜頭、巻真31、つづみ車32、きち車33、丸穴車34、および角穴中間車35を有して構成された手動巻き上げ機構30が接続されている。また、第2角穴車4には、当該第2角穴車4を一方方向に回転させて逆方向への回転を規制する逆回転防止機構40が接続されている。そして、竜頭を回転操作することにより、手動巻き上げ機構30を介して第1角穴車3が回転され、前記香箱真1cを巻き上げ方向(本実施形態では時計方向)に回転させて、ぜんまい1aが巻き上げられるようになっている。
なお、本実施形態においては説明を省略するが、電子制御式機械時計は、手動巻き上げ機構30に併せて、回転錘や自動巻き上げ輪列を有して構成され、第1角穴車3に接続される自動巻き上げ機構を備えていてもよい。
また、電子制御式機械時計において、香箱歯車1bの回転は、二番車5、三番車6、四番車7および図示しない秒針車、五番車8、六番車9からなる輪列を介して増速されて、発電機20のローター21へと伝達される。そして、秒針車には秒針が固定され、二番車6には筒かなを介して分針が固定され、筒かなには日の裏車を介して筒車(不図示)が接続され、この筒車に時針が固定されている。
なお、各車5〜9およびローター21は、輪列受や二番受と地板2とによって軸支されている。
発電機20は、ローター21およびコイルブロック22,23から構成されている。ローター21は、図示しないローター磁石や、ローターかな21a、ローター慣性円板21bを備えている。このうち、ローター慣性円板21bは、香箱車1からの駆動トルク変動に対しローター21の回転速度変動を少なくするためのものである。コイルブロック22,23は、それぞれステータ(コア、磁心)24にコイル25を巻線して構成されたものである。各ステータ24は、ローター21に隣接して配置されるコアステーター部24aと、コイル25が巻回されるコア巻線部24bと、互いに連結されるコア磁気導通部24cとが一体に形成されて構成されている。
以上の電子制御式機械時計では、発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスター整流等からなる整流回路を通して昇圧、整流されて平滑用コンデンサーに充電され、このコンデンサーからの電力で発電機20の回転を制御する図示しない回転制御回路を作動させている。回転制御回路としては、発振回路、分周回路、回転検出回路、回転数比較回路、電磁ブレーキ制御手段等を含む集積回路(IC)によって構成され、発振回路には水晶振動子が用いられる。このような回転制御回路によって、発電機20のコイル25に流れる電流値等を制御したり、ショートブレーキを掛けたりすることで、輪列(ローター21)の回転速度、つまり指針(秒針、分針、時針)の運針が正確に駆動されるようになっている。
次に、香箱車1、第1角穴車3、および第2角穴車4を備えて構成される本発明のぜんまい装置10について、図2〜6に基づいて詳しく説明する。
ここで、図3、4は、それぞれぜんまい装置10を示す側面図、および斜視図である。図5は、ぜんまい装置10の平面図であり、図6は、第2角穴車4を示す断面図である。
ぜんまい装置10において、第2角穴車4は、香箱真1cに回転不能に固定される支持部4aと、この支持部4aに軸支される回動部4bとを有して構成されている。支持部4aは、中央に角穴を有した円盤状に形成され、その外周面には、直径方向に突出した2本の突起4cが設けられている。また、回動部4bは、外周に歯形4eを有する全体略リング状に形成され、その内部に支持部4aの円盤状部分が挿入されることで、支持部4aに回動可能に支持されている。そして、回動部4bの内部には、支持部4aの突起4cに対応して2つの凹み部4dが設けられており、この凹み部4dに突起4cが所定のガタ分だけ余裕をもって挿入されている。
すなわち、回動部4bの凹み部4dは、図5、6に示すように、平面視で略扇形に形成され、香箱真1cの軸回りに関する幅寸法が、支持部4aの突起4cの幅寸法よりも大きく設定されている。具体的には、突起4cが凹み部4d内で香箱真1cの軸回りに移動可能で、香箱真1cおよび支持部4aと、回動部4bとが10°〜30°だけ相対回転できる程度のガタが設けられている。そして、手動巻き上げ機構30および第1角穴車3を介して香箱真1cが巻き上げ方向に回転されると、突起4cが凹み部4d内部の一方側面に当接して、第2角穴車4が図5の矢印の方向に回転し、ぜんまい1aが巻き上げられるようになっている。
また、巻き上げ操作を中止すると、逆回転防止機構40により第2角穴車4の回動部4bの回転が停止されるとともに、ぜんまい1aがほどける力により突起4cが凹み部4d内部の他方側面に当接するまで、支持部4aおよび香箱真1cが巻き上げ方向と逆方向に巻き戻される。この香箱真1cの巻き戻りは、第1角穴車3および手動巻き上げ機構30を介して竜頭に伝達され、竜頭の巻き戻り感を指先で感じることができるようになっている。
逆回転防止機構40は、第2角穴車4を巻き上げ方向への一方方向のみに回転させる機能を有しており、図示しない受け材を介して地板2に取り付けられた板ばね(リーフスプリング)41と、この板ばね41の途中位置に固定され、かつ第2角穴車4の歯形4eに係合可能な係合部材としての係合ピン42と、地板2に取り付けられ、かつ板ばね41の先端が当接する当接部材43とを有して構成されている。
板ばね41は、第2角穴車4の外周近傍位置を跨いで配置された棒状の部材であって、その基端部(図5の上部)がねじ44で地板2に固定されている。また、板ばね41の基端部には、位置決めピン45が挿通されており、基端部の回転が規制されている。そして、板ばね41は基端部を支点として、図5の二点鎖線で示すように、先端側が自らの弾性力により第2角穴車4側に付勢されて当接部材43に当接した状態と、図5の実線で示すように、第2角穴車4から離れる外側に撓んだ状態との間を回動可能になっている。
係合ピン42は、板ばね41の撓みに伴って、第2角穴車4の歯形4e間に対して進退可能に構成され、係合ピン42が第2角穴車4側に移動して歯形4eに係合することで、第2角穴車4の巻き上げ方向と逆方向への回転が規制されるようになっている。また、係合ピン42は、図5に点線および一点鎖線で示すように、巻き上げ方向へ回転する第2角穴車4の歯形4eに対して摺動し、外側に移動しやすいように傾斜面等を有した断面形状になっている。
従って、ぜんまい1aの巻き上げ時に香箱真1cを介して第2角穴車4が巻き上げ方向へ回転された場合には、歯形4eが板ばね41の付勢力に抗して係合ピン42を外側に押すことで、板ばね41が撓んで、係合ピン42と歯形4eとの係合が外れる。そして、1つの歯形4eを通過すれば、板ばね41の弾性力により係合ピン42は、第2角穴車4側に移動し、次の歯形4eに係合することになる。このような動作を繰り返すことで逆回転防止機構40では、第2角穴車4がぜんまい1aの巻き上げ方向のみに回転し、逆回転しないようになっている。
さらに、板ばね41の先端部と当接部材43とには、互いに当接する当接面41a,43aが設けられている。そして、ぜんまい1aの巻き上げ時に板ばね41が撓んで回動し、板ばね41自身の弾性力によって第2角穴車4に向かって戻る際に、当接面41a,43a同士が繰り返し当接することで、連続的な当接音が発せられるようになっている。この当接音は、板ばね41の長さ寸法や、径寸法、材質、剛性等の設定によって調節可能である。本実施形態において板ばね41は、リン青銅等のばね性に優れた材料から形成され、香箱車1の直径と略同一、もしくは香箱車1の直径よりも若干長い長さ寸法を有し、基端部から先端部に向かって、段階的に太くなる径寸法を有している。
以上のような板ばね41によれば、従来のこはぜと比較して十分に長い長さ寸法を有していることで、大きな当接音が発せられるようになっている。さらに、板ばね41の長さ方向に径寸法を変更したり、材質を変更したりすることで、剛性が設定可能になっているため、当接音の音色が調整可能になっている。すなわち、板ばね41の基端側の径寸法を小さくして、先端側の径寸法を大きくすれば、板ばね41の剛性が低下し、質量が大きいために、比較的低音(振動数が低い)の当接音が発せられ、板ばね41の材質を硬くして剛性を高めれば、高音(振動数が高い)の当接音が発せられるようになる。
また、第2角穴車4の歯形4eのピッチを変更することで、当接音の間隔が調整できるようになっている。すなわち、第2角穴車4の歯形4eのピッチを細かく、つまり歯形4eの数を周長に対して多くすれば、当接音の間隔が短くなり、また、第2角穴車4の歯形4eのピッチを粗く、つまり歯形4eの数を周長に対して少なくすれば、当接音の間隔が長くなる。この際、本実施形態の第2角穴車4は、手動巻き上げ機構30に接続されておらず、その歯形4eのピッチは、所望する巻き上げ音に応じて、適宜設定可能になっている。
さらに、本実施形態の逆回転防止機構40は、1つに限らず、図7に示すように、複数設けられていてもよい。
図7において、本実施形態の変形例に係るぜんまい装置10Aでは、香箱車1の周方向に沿って3つの逆回転防止機構40が設けられている。このような逆回転防止機構40において、ぜんまい1a巻き上げ時の第2角穴車4の回転に連動して、3つの板ばね41が同時に、または各々異なるタイミングで回動するようになっている。この際、各逆回転防止機構40の板ばね41は、同一の音色の当接音を発するように構成されていてもよく、また各板ばね41の剛性を各々異なる設定にして、各逆回転防止機構40から異なる音色の当接音が発せられるようにしてもよい。
このようなぜんまい装置10Aによれば、より大きな当接音が発せられる、あるいは単音に限らず、複数音色から構成された当接音が発せられるようになる。
以上の逆回転防止機構40は、香箱車1を挟んで地板2の反対側である時計の裏蓋側に設けられている。図示を省略するが、通常裏蓋は、ぜんまい装置10,10Aや、輪列(各車5〜9)、発電機20との間に間隔を有して時計のケースに取り付けられている。そして、本実施形態における裏蓋の内側面には、切削加工等によって凹凸が形成されている。従って、上述のように逆回転防止機構40の板ばね41および当接部材43の当接によって発せられた当接音は、裏蓋内側面の凹凸で反射され、時計のケース内に反響するようになっている。
また、本発明の時計は、図8に示すように、外側からケース100の内部が見えるシースルーの裏蓋101を有して構成されていてもよい。この裏蓋101は、金属製で環状の枠材102と、この枠材102の内部に嵌め込まれた透明材料としてのサファイアガラス103とを有して構成されている。裏蓋101は、枠材102の4箇所を介してケース100にねじ止めされている。そして、サファイアガラス103を介して、外側からぜんまい装置10の逆回転防止機構40が視認できるようになっている。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) ぜんまい1aを手動で巻き上げる際に、第2角穴車4の回転に連動して、逆回転防止機構40の係合ピン42および板ばね41が第2角穴車4に対して進退移動して、板ばね41先端の当接面41aが当接部材43の当接面43aに繰り返し当接することで、巻き上げ音(当接音)が発生する。この巻き上げ音の大きさや音色等を、板ばね41や当接部材43の材質や、大きさ、剛性等の設定により調整することで、手動によるぜんまい1aの巻き上げ時において、高級感のある良好な巻き上げ音を得ることができる。
(2) 板ばね41と係合ピン42を有して逆回転防止機構40が構成されているので、簡単な構造で第2角穴車4の逆回転を規制することができ、ぜんまい装置10,10Aの小型化および低コスト化を促進できる。また、第2角穴車4の歯形4eに係合する係合ピン42が、第2角穴車4に対して進退可能に、かつ第2角穴車4に向かって付勢されているので、ぜんまい1a巻き上げ時の第2角穴車4の回転に連動して係合ピン42が進退動作し、確実に第2角穴車4の逆回転を防止することができる。
(3) 第1角穴車3と第2角穴車4とが香箱車1を挟んで対向しているので、第1角穴車3に接続される手動巻き上げ機構30と、第2角穴車4に接続される逆回転防止機構40とが干渉することなく、装置レイアウトを整然としたものにできるとともに、ぜんまい装置10,10Aの組立性を向上させることができる。さらに、第2角穴車4が裏蓋側に配置されているので、香箱車1を地板2に組み込んだ後に第2角穴車4や逆回転防止機構40を組み込むことができ、組立性を一層向上させることができる。
(4) さらに、逆回転防止機構40が裏蓋側に配置されているので、裏蓋との間に形成された空間内に巻き上げ音が反響し、高級感のある巻き上げ音を得ることができる。そして、裏蓋の内側面に凹凸を設ければ、この凹凸によって巻き上げ音が反響することで、より高級感のある巻き上げ音を得ることができる。
(5) また、図8に示すように、透明なサファイアガラス103を有して裏蓋101が構成されていれば、裏蓋101を通してケース100内部の香箱車1や逆回転防止機構等40が視認可能なので、巻き上げ時の各部の動作を確認でき、より一層高級感を向上させることができる。
(6) さらに、図7に示すように、複数の逆回転防止機構40が設けられていれば、より大きな巻き上げ音を得ることができるとともに、各々の逆回転防止機構40から異なる音色の当接音が発するようにすれば、複数音色から構成された奥行き感のある巻き上げ音を得ることができ、さらに高級感を向上させることができる。
(7) 第2角穴車4が支持部4aおよび回動部4bから構成され、これらの突起4cと凹み部4dとの間に10°〜30°のガタが設けられているので、手動によるぜんまい1aの巻き上げ完了時において、香箱真1cが巻き上げ方向と逆向きにガタ分だけ巻き戻され、この香箱真1cの巻き戻りが、手動巻き上げ機構30を介して竜頭および指先に伝達され、良好な巻き上げ感を得ることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明は、電子制御式機械時計に限らず、がんぎ車、アンクル、てんぷ等を備える機械式時計に適用してもよい。
また、前記実施形態では、第2角穴車4に逆回転防止機構40を接続したが、これに限らず、第2角穴車4は省略可能であり、第2角穴車4を省略した場合には、前記実施形態の第1角穴車3と同様の構成を有した角穴車に逆回転防止機構40を接続してもよい。この際、逆回転防止機構40が接続される角穴車を、香箱車1を挟んで地板の反対側(裏蓋側)に配置することが好ましい。このようにすれば、裏蓋との間に形成される空間に巻き上げ音が反響して、高級感のある良好な巻き上げ音が得られる。
また、前記実施形態では、逆回転防止機構40の係合ピン42を支持する支持部材を板ばね41で構成したが、これに限らず、剛な部材から支持部材を構成してもよい。この際、支持部材の先端部を角穴車に向かって付勢する弾性部材を別途用意して、支持部材に連結するような構成が採用できる。このように支持部材を付勢する弾性部材としては、例えば、軸支された支持部材の基端部に連結されるねじりコイルばね、支持部材の途中位置を押圧するコイルばね、板ばね等が採用可能である。また、支持部材を剛な部材から構成した場合においても、当接部材の材質や大きさ等を適宜設定することで、巻き上げ音の大きさや音色が調節でき、良好な巻き上げ音を得ることができる。
また、逆回転防止機構40を木製の箱に収容してもよい。このようにすれば、当接音が木製の箱の内部に反響することで、当接音のうち高振動数部分の耳障りなノイズをカットしてやわらかい音にすることができ、より一層高級感のある巻き上げ音を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るぜんまい装置を備えた電子制御式機械時計の概略を示す平面図である。 前記電子制御式機械時計の要部の断面図である。 前記ぜんまい装置を示す側面図である。 前記ぜんまい装置を示す斜視図である。 前記ぜんまい装置を示す平面図である。 前記ぜんまい装置の第2角穴車を示す断面図である。 前記実施形態の変形例に係るぜんまい装置を示す平面図である。 本発明の時計を裏側から見た平面図である。
符号の説明
1…香箱車、1a…ぜんまい、1b…香箱歯車、1c…香箱真、2…地板、3…第1角穴車、4…第2角穴車、4e…歯形、4f…つめ、5〜9…輪列、10,10A…ぜんまい装置、20…発電機、30…手動巻き上げ機構、31…巻真、40…逆回転防止機構、41…板ばね(支持部材)、42…係合ピン(係合部材)、43…当接部材、101…裏蓋、103…サファイアガラス。

Claims (12)

  1. ぜんまい、このぜんまいの一端が接続された香箱歯車、および前記ぜんまいの他端が固定された香箱真を有した香箱車と、前記香箱真に連結された角穴車とを備えたぜんまい装置であって、
    前記角穴車には、前記ぜんまいを手動で巻き上げるための手動巻き上げ機構と、前記ぜんまいの巻き戻りを抑制する逆回転防止機構とが接続されており、
    前記逆回転防止機構は、前記角穴車の歯形に係合する係合部材と、この係合部材を進退自在に支持し、かつ前記歯形に向かって付勢する支持部材と、前記手動巻き上げ機構の動作による前記角穴車の回転に連動して前記支持部材が当接する当接部材とを備えて構成されていることを特徴とするぜんまい装置。
  2. ぜんまい、このぜんまいの一端が接続された香箱歯車、および前記ぜんまいの他端が固定された香箱真を有した香箱車と、前記香箱真に連結された第1および第2の角穴車とを備えたぜんまい装置であって、
    前記第1角穴車には、前記ぜんまいを手動で巻き上げるための手動巻き上げ機構が接続され、
    前記第2角穴車には、前記ぜんまいの巻き戻りを抑制する逆回転防止機構が接続されており、
    前記逆回転防止機構は、前記第2角穴車の歯形に係合する係合部材と、この係合部材を進退自在に支持し、かつ前記歯形に向かって付勢する支持部材と、前記手動巻き上げ機構の動作による前記第2角穴車の回転に連動して前記支持部材が当接する当接部材とを備えて構成されていることを特徴とするぜんまい装置。
  3. 請求項2に記載のぜんまい装置において、
    前記第1角穴車と第2角穴車とは、前記香箱車を挟んで対向していることを特徴とするぜんまい装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のぜんまい装置において、
    前記逆回転防止機構は、前記香箱車を挟んで地板の反対側に設けられていることを特徴とするぜんまい装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のぜんまい装置において、
    前記逆回転防止機構は、複数設けられていることを特徴とするぜんまい装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のぜんまい装置において、
    前記逆回転防止機構の支持部材は、板ばねから形成されていることを特徴とするぜんまい装置。
  7. 請求項6に記載のぜんまい装置において、
    前記支持部材は、基端部が地板に固定されており、この基端部から片持ち状に延出した途中位置に前記係合部材が設けられるとともに、先端部が前記当接部材に当接可能に構成されていることを特徴とするぜんまい装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載のぜんまい装置と、このぜんまい装置を構成する香箱歯車に接続された輪列と、この輪列に結合された指針とを備え、
    前記ぜんまい装置を構成するぜんまいの機械エネルギにより前記輪列が駆動されることを特徴とする時計。
  9. 請求項8に記載の時計において、
    てんぷを備えた機械式時計であることを特徴とする時計。
  10. 請求項8に記載の時計において、
    前記輪列を介して伝達される前記ぜんまいの機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、変換された電気エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御手段と、を備えた電子制御式機械時計であることを特徴とする時計。
  11. 請求項8から請求項10のいずれかに記載の時計において、
    前記ぜんまい装置を収容するケースと、このケースを密閉する裏蓋とを備えており、
    前記裏蓋の内側面には凹凸が形成されていることを特徴とする時計。
  12. 請求項8から請求項10のいずれかに記載の時計において、
    前記ぜんまい装置を収容するケースと、このケースを密閉する裏蓋とを備えており、
    前記裏蓋は、シースルーであることを特徴とする時計。
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