JP2005155871A - 高分子アクチュエータおよびクラッチ装置 - Google Patents

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辰弘 泊
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Abstract

【課題】 簡単な構造で大きな作動力を発生可能な高分子アクチュエータを提供するとともに、その高分子アクチュエータを用いた締結応答性が高いクラッチ装置を提供する。
【解決手段】 電場応答性体積相転移高分子30と電解質31とが封入された弾性容器29を軸線方向への体積増加のみを許容するシリンダ27およびピストン28間に収納して高分子アクチュエータAを構成したので、極めて簡単な構造で部品点数を大幅に削減しながら、弾性容器29の内部の電場を変化させて電場応答性体積相転移高分子30の体積を増加させることで、弾性容器29の体積を軸線方向に増加させて作動力を発生させることができる。この高分子アクチュエータAをクラッチ装置に適用すると、クラッチ装置の非締結時に予め高分子アクチュエータAに所定の電場を与えて軸線方向に変位させることで、クラッチクリアランスを適正な大きさに調整してクラッチ装置の締結応答性を確保することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電解質との間でイオンの授受を行うことで体積変化する電場応答性体積相転移高分子を用いた高分子アクチュエータと、その高分子アクチュエータを駆動源として用いたクラッチ装置とに関する。
自動車の動力伝達系に配置されるクラッチ装置に、コイルの励磁によりコアに吸引されるアマチュアの押圧力でクラッチディスクおよびクラッチプレートを相互に係合させる電磁クラッチを採用し、その締結力の大きさをコイルに供給する電流の大きさにより制御するものが、下記特許文献1により公知である。
かかる電磁クラッチでは、クラッチディスクおよびクラッチプレートの摩耗量の増加に応じてコアおよびアマチュア間のエアギャップが増加して締結応答性が低下する問題がある。そこで、固体電解質との間でマイナスイオンの授受を行うことで伸縮する導電性高分子材料を用いた高分子アクチュエータをクラッチ装置に適用することで、エアギャップの増加を補償して締結応答性の低下を防止するものを、本出願人が特願2003−315809号により提案している。
特開2002−211259号公報
しかしながら、特願2003−315809号により提案された高分子アクチュエータは、細い金属線をコイル状に巻いたコイル部材を導電性高分子材料の薄い皮膜で覆い、その内部に固体電解質を充填した導電性高分子チューブを多数本束ねてアクチュエータエレメントを構成し、このアクチュエータエレメントを螺旋状に巻いたものをシリンダおよびピストンにより区画した円筒状の空間に収納しているため、導電性高分子チューブの伸縮力をアクチュエータの作動力に効果的に変換することが難しく、またその部品点数が増加して構造が複雑化する問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で大きな作動力を発生可能な高分子アクチュエータを提供するとともに、その高分子アクチュエータを用いた締結応答性が高いクラッチ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、電場応答性体積相転移高分子と電解質とが封入された弾性容器を特定方向への体積増加のみを許容するケーシングに収納し、弾性容器の内部の電場を変化させたときに、電場応答性体積相転移高分子の体積増加に起因して生じる弾性容器の前記特定方向の体積増加を作動力とすることを特徴する高分子アクチュエータが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載の高分子アクチュエータを使用したクラッチ装置であって、第1部材に支持した第1摩擦係合要素と第2部材に支持した第2摩擦係合要素とを前記高分子アクチュエータの作動力で一体に係合させることを特徴するクラッチ装置が提案される。
尚、実施例のハウジング20は本発明の第1部材に対応し、実施例のスリーブ21は本発明の第2部材に対応し、実施例のクラッチプレート22L,22Rは本発明の第1摩擦係合要素に対応し、実施例のクラッチディスク24L,24Rは本発明の第2摩擦係合要素に対応し、実施例のシリンダ27およびピストン28は本発明のケーシングに対応し、実施例の電解質溶液31および電解質ゲル52は本発明の電解質に対応する。
請求項1の構成によれば、電場応答性体積相転移高分子と電解質とが封入された弾性容器を特定方向への体積増加のみを許容するケーシングに収納したので、弾性容器の内部の電場を変化させて電場応答性体積相転移高分子の体積を増加させると、弾性容器が特定方向に体積増加して作動力を発生することができる。また電場応答性体積相転移高分子および電解質を封入した弾性容器をケーシングに収納しただけの極めて簡単な構造なので部品点数を大幅に削減することができ、しかも電場応答性体積相転移高分子の体積の増加を作動力として直接取り出すので大きな出力を得ることができる。
請求項2の構成によれば、第1部材に支持した第1摩擦係合要素と第2部材に支持した第2摩擦係合要素とを高分子アクチュエータの作動力で一体に係合させるので、第1、第2摩擦係合要素が摩耗してクラッチクリアランスが増加しても、そのクラッチ装置の非締結時に予め高分子アクチュエータに所定の電場を与えて特定方向に変位させることで、前記クラッチクリアランスを適正な大きさに調整してクラッチ装置の締結応答性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図8は本発明の第1実施例を示すもので、図1は駆動力配分装置の構造を示す図、図2は図1の2部拡大図、図3は図1の3部拡大図、図4は図3の4部拡大図、図5は図4の5−5線断面図、図6は弾性容器の一部破断斜視図、図7は中低車速域での左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図8は中低車速域での右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図である。
図1に示すように、フロントエンジン・フロントドライブの車両の車体前部に横置きに搭載したエンジンEの左端にトランスミッションMが接続されており、これらエンジンEおよびトランスミッションMの後部に駆動力配分装置Tが配置される。駆動力配分装置Tの左端および右端から左右に延びる左ドライブシャフトALおよび右ドライブシャフトARには、それぞれ左前輪WFLおよび右前輪WFRが接続される。
駆動力配分装置Tは、トランスミッションMから延びる入力軸1に設けた入力ギヤ2に噛み合う外歯ギヤ3から駆動力が伝達される差動装置Dを備える。差動装置Dはダブルピニオン式の遊星歯車機構よりなり、前記外歯ギヤ3と一体に形成されたリングギヤ4と、このリングギヤ4の内部に同軸に配設されたサンギヤ5と、前記リングギヤ4に噛み合うアウタプラネタリギヤ6および前記サンギヤ5に噛み合うインナプラネタリギヤ7を、それらが相互に噛み合う状態で支持するプラネタリキャリヤ8とから構成される。差動装置Dは、そのリングギヤ4が入力要素として機能するとともに、一方の出力要素として機能するサンギヤ5が右出力軸9Rを介して右前輪WFRに接続され、また他方の出力要素として機能するプラネタリキャリヤ8が左出力軸9Lを介して左前輪WFLに接続される。
駆動力配分装置Tは、左右の前輪WFL,WFR間でトルク伝達するトルク伝達手段10を備える。トルク伝達手段10のキャリヤ部材11は右出力軸9Rの外周に回転自在に支持されており、円周方向に90°間隔で配置された4本のピニオン軸12の各々に、第1ピニオン13、第2ピニオン14および第3ピニオン15を一体に形成した3連ピニオン部材16が回転自在に支持される。
右出力軸9Rの外周に回転自在に支持されて前記第1ピニオン13に噛み合う第1サンギヤ17は、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8に連結される。また右出力軸9Rの外周に固定された第2サンギヤ18は前記第2ピニオン14に噛み合う。更に、右出力軸9Rの外周に回転自在に支持された第3サンギヤ19は前記第3ピニオン15に噛み合う。
実施例における第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数は以下のとおりである。
第1ピニオン13の歯数 Zb=17
第2ピニオン14の歯数 Zd=17
第3ピニオン15の歯数 Zf=34
第1サンギヤ17の歯数 Za=32
第2サンギヤ18の歯数 Zc=28
第3サンギヤ19の歯数 Ze=32
第3サンギヤ19は右クラッチCRを介してトルク伝達手段10のハウジング20に結合可能であり、右クラッチCRの係合によってキャリヤ部材11の回転数が増速される。またキャリヤ部材11は左クラッチCLを介してハウジング20に結合可能であり、左クラッチCLの係合によってキャリヤ部材11の回転数が減速される。そして前記左クラッチCLおよび右クラッチCRは、マイクロコンピュータを含む電子制御ユニットUにより制御される。
電子制御ユニットUは、エンジントルクTe、エンジン回転数Ne、車速Vおよび操舵角θを所定のプログラムに基づいて演算処理し、前記左クラッチCLおよび右クラッチCRを制御する。
次に、図2に基づいて差動装置Dおよびトルク伝達手段10の構造を更に詳細に説明する。
遊星歯車機構よりなる差動装置Dのリングギヤ4および外歯ギヤ3は、左側板36および右側板37に挟まれて複数本のボルト38で固定される。右側板37に形成した筒状の支持部37aが、差動装置Dのケーシングを兼ねるトルクコンバータケース39にローラベアリング40を介して支持され、かつ左側板36に形成した支持部36aの外周がローラベアリング35を介してトルクコンバータケース39に支持されるとともに、前記支持部36aの内周に左出力軸9Lの外周が相対回転自在に嵌合する。プラネタリキャリヤ8は左側板41および右側板42を複数本のボルト43で結合してなり、左側板41に形成した結合部41aに左出力軸9Lがスプライン結合される。右出力軸9Rの外周に嵌合する筒状のスリーブ44は、ニードルベアリング45を介して右出力軸9Rに支持されるとともに、ボールベアリング46を介してトルクコンバータケース39に支持される。右側板42に一体に形成した結合部42aとスリーブ44の左端とがスプライン結合され、スリーブ44の右端に3連ピニオン部材16の第1サンギヤ17がスプライン結合される。サンギヤ5は左側板41の結合部41aの外周にニードルベアリング47を介して相対回転自在に支持されており、その右端に一体に形成した結合部5aに右出力軸9Rの左端がスプライン結合される。
トルク伝達手段10のハウジング20の左端はトルクコンバータケース39の右端に嵌合し、トルク伝達手段10のキャリヤ部材11の左右両端は、一対のボールベアリング48,49によりトルクコンバータケース39およびハウジング20にそれぞれ支持される。3連ピニオン部材16の第2サンギヤ18は右出力軸9Rの外周にスプライン結合され、3連ピニオン部材16の第3サンギヤ19は、右出力軸9Rの外周に相対回転自在に嵌合するスリーブ21の左端に一体に形成される。
次に、図3に基づいて左右のクラッチCL,CRの構造を説明する。尚、左右のクラッチCL,CRは、左右の出力軸9L,9Rの軸線Lに直交する対称面Pに関して実質的に左右対称な構造を有しているため、その代表として右クラッチCRの構造を説明する。左クラッチCLの構成要素の符号は、右クラッチCRの構成要素の符号の添字「R」を「L」に変えたものである。
ハウジング20の内周面に5枚のクラッチプレート22Rと1枚のストッパプレート23Rとが回転不能かつ軸方向移動可能にスプライン嵌合しており、これらのクラッチプレート22Rおよびストッパプレート23Rに交互に重ね合わされた5枚のクラッチディスク24Rが、スリーブ21の右端外周に設けたガイド部25Rに回転不能かつ軸方向移動可能にスプライン嵌合する。そして左端のクラッチプレート22Rとハウジング20との間に複数個(例えば8個)の高分子アクチュエータAが軸線Lまわりに等間隔で配置される。
尚、左クラッチCLのクラッチディスク24Lは、キャリヤ部材11と一体のガイド部25Lに回転不能かつ軸方向移動可能にスプライン嵌合する。
図4〜図6から明らかなように、高分子アクチュエータAは、ハウジング20の凹部20aに嵌合してクリップ26で係止された有底円筒状のシリンダ27と、このシリンダ27の内部に摺動自在に嵌合して左端のクラッチプレート22Rを押圧可能な有底二重円筒状のピストン28と、シリンダ27およびピストン28により区画される環状の空間に収納されたタイヤチューブ状の弾性容器29とを備える。ゴム製の弾性容器29の内部には、アクリルアミドゲルのような電場応答性体積相転移高分子30と、アルキルアンモニウムにポリビニルアルコール(ゲル化剤)を混合した電解質溶液31とを混合したものが封入される。弾性容器29の内部には、4個のプラス電極32…および4個のマイナス電極33…が配置される。4個のプラス電極32…はリード線50aで環状に接続され、リード線50bで図示せぬ電源に接続される。また4個のマイナス電極33…はリード線51aで環状に接続され、リード線51bで図示せぬ電源に接続される。
しかして、電子制御ユニットUからの指令で右クラッチCRを締結すべく高分子アクチュエータAの弾性容器29の内部のプラス電極32…およびマイナス電極33…の電位差を増加させると、電場応答性体積相転移高分子30のプラスイオンが電解質溶液31に放出され、電場応答性体積相転移高分子30の個々の高分子の体積が縮小する。逆に、プラス電極32…およびマイナス電極33…の電位差を減少させると、電解質溶液31に放出されたプラスイオンが再び電場応答性体積相転移高分子30に吸収されて体積が増加する。このようにして電場応答性体積相転移高分子30および電解質溶液31の混合物の体積が増減すると、それを封入した弾性容器29の体積が増減するが、弾性容器29の外周面および内周面は二重円筒状のピストン28の内面に接しているため、弾性容器29は径方向に伸縮することができず、軸線L方向にのみ伸縮する。
弾性容器29が軸線L方向に伸長するとシリンダ27からピストン28が押し出され、その押圧力でクラッチプレート22Rおよびクラッチディスク24Rが係合して、ハウジング20にスプライン嵌合するクラッチプレート22Rと、ガイド部25Rにスプライン嵌合するクラッチディスク24Rとが一体化され、ガイド部25Rを支持するスリーブ21がハウジング20に結合される。また弾性容器29が軸線L方向に収縮すると、クラッチプレート22Rおよびクラッチディスク24Rの係合反力でピストン28がシリンダ27の内部に押し込まれる。このようにして、高分子アクチュエータAによって右クラッチCRの締結および締結解除を制御することができる。
同様に左クラッチCLも、電子制御ユニットUからの指令で高分子アクチュエータAのプラス電極32…およびマイナス電極33…の電位差を増減させることで、その締結および締結解除を制御することができる。
上記構成の駆動力配分装置Tにより、図7に示すように車両の中低車速域での左旋回時には、電子制御ユニットUからの指令で左クラッチCLを締結することで、キャリヤ部材11がハウジング20に結合されて回転を停止する。このとき、右前輪WFRと一体の右出力軸9Rと、左前輪WFLと一体の左出力軸9L(即ち、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8)とは、第2サンギヤ18、第2ピニオン14、第1ピニオン13および第1サンギヤ17を介して連結されているため、右前輪WFRの回転数NRは左前輪WFLの回転数NLに対して次式の関係で増速される。
NR/NL=(Zd/Zc)×(Za/Zb)
=1.143 …(1)
上述のようにして右前輪WFRの回転数NRが左前輪WFLの回転数NLに対して増速されると、図7に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である左前輪WFLのトルクの一部を旋回外輪である右前輪WFRに伝達し、車両の左旋回をアシストして旋回性能を高めることができる。
尚、キャリヤ部材11を左クラッチCLにより停止させる代わりに、左クラッチCLの締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を減速すれば、その減速に応じて右前輪WFRの回転数NRを左前輪WFLの回転数NLに対して増速し、旋回内輪である左前輪WFLから旋回外輪である右前輪WFRに任意のトルクを伝達することができる。
一方、図8に示すように車両の中低車速域での右旋回時には、電子制御ユニットUからの指令により右クラッチCRを締結することにより、スリーブ21がハウジング20に結合されて回転を停止する。その結果、スリーブ21に第3サンギヤ19を介して接続された第3ピニオン15も回転を停止するため、右出力軸9Rの回転数に対してキャリヤ部材11の回転数が増速され、左前輪WFLの回転数NLは右前輪WFRの回転数NRに対して次式の関係で増速される。
NL/NR={1−(Ze/Zf)×(Zb/Za)}
÷{1−(Ze/Zf)×(Zd/Zc)}
=1.167 …(2)
上述のようにして左前輪WFLの回転数NLが右前輪WFRの回転数NRに対して増速されると、図8に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である右前輪WFRのトルクの一部を旋回外輪である左前輪WFLに伝達することができる。この場合にも、右クラッチCRの締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を増速すれば、その増速に応じて左前輪WFLの回転数NLを右前輪WFRの回転数NRに対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達し、車両の右旋回をアシストして旋回性能を高めることができる。
この場合にも、スリーブ21を右クラッチCRにより停止させる代わりに、右クラッチCRの締結力を適宜調整してスリーブ21の回転数を減速すれば、その減速に応じて左前輪WFLの回転数NLを右前輪WFRの回転数NRに対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達することができる。
(1)式および(2)式を比較すると明らかなように、第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数を前述の如く設定したことにより、左前輪WFLから右前輪WFRへの増速率(約1.143)と、右前輪WFRから左前輪WFLへの増速率(約1.167)とを略等しくすることができる。
以上のように、左右のクラッチCL,CRを駆動する高分子アクチュエータAを、電場応答性体積相転移高分子30および電解質溶液31の混合物を弾性容器29に封入して構成したので、その部品点数を減少させて構造を簡素化することができる。しかも電場応答性体積相転移高分子30の体積変化をピストン28の軸線L方向の駆動力に無駄なく変換し、高出力で汎用性の高い高分子アクチュエータAを得ることができる。更に、弾性容器29の内部に電場応答性体積相転移高分子30および電解質溶液31の混合物を封入したので、混合物の漏洩を確実に防止しながら、その変形方向をシリンダ27に対するピストン28の摺動方向に合致させることができる。
また左右のクラッチCL,CRの内部に荷重センサを設けることでクラッチプレート22L,22Rおよびクラッチディスク24L,24Rの摩耗に伴うクラッチクリアランスを監視しておき、クラッチクリアランスが増加した分だけ高分子アクチュエータAを伸長駆動することで、常に最適のクラッチクリアランスを確保して左右のクラッチCL,CRの締結応答性を最大限に高めることができる。
次に、図9および図10に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
第1実施例ではゲル状の電場応答性体積相転移高分子30と電解質溶液31とを混合しているが、第2実施例ではゲル状の電場応答性体積相転移高分子30と電解質ゲル52とを、ドーナツ状の弾性容器29の内部の径方向外側および径方向内側に2層に配置している。電場応答性体積相転移高分子30と電解質ゲル52とは、それらの間にセパレータを設けなくても相互に混ざり合うことはない。弾性容器29の内面には、電場応答性体積相転移高分子30に接する位置に4個のプラス電極32…が設けられ、電解質ゲル52に接する位置に4個のマイナス電極33…が設けられる。4個のプラス電極32…はリード線50aで環状に接続され、リード線50bで図示せぬ電源に接続される。また4個のマイナス電極33…はリード線51aで環状に接続され、リード線51bで図示せぬ電源に接続される。
軸線L方向に摺動自在に嵌合するシリンダ27およびピストン28間に弾性容器29を収納してプラス電極32…およびマイナス電極33…に通電すると、プラス電極32…およびマイナス電極33…の電位差に応じて電場応答性体積相転移高分子30と電解質ゲル52との間をプラスイオンが移動し、電場応答性体積相転移高分子30の体積が変化することで、シリンダ27に対してピストン28が相対移動する。この原理は第1実施例と同じであるが、本実施例では電場応答性体積相転移高分子30に電解質ゲル52が混合していないので、電場応答性体積相転移高分子30の体積の変化率がより大きくなり、左右のクラッチCL,CRの締結応答性を更に高めることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、請求項1の高分子アクチュエータAは、実施例のクラッチCL,CR以外の任意の用途に適用することができる。
また実施例の電場応答性体積相転移高分子30は電位差の増加に応じてプラスイオンを放出して体積が減少するものであるが、電位差の増加に応じてマイナスイオンを吸収して体積が増加するものであっても良い。
また実施例の弾性容器29はドーナツ状に形成されているが、中央の空間を無くして単純な円柱状としても良い。
また第2実施例では電場応答性体積相転移高分子30および高分子ゲル52を2層に配置しているが、3層以上に配置しても良い。
駆動力配分装置の構造を示す図 図1の2部拡大図 図1の3部拡大図 図3の4部拡大図 図4の5−5線断面図 弾性容器の一部破断斜視図 中低車速域での左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図 中低車速域での右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図 第2実施例に係る前記図4に対応する図 第2実施例に係る弾性容器の一部破断斜視図
符号の説明
20 ハウジング(第1部材)
21 スリーブ(第2部材)
22L クラッチプレート(第1摩擦係合要素)
22R クラッチプレート(第1摩擦係合要素)
24L クラッチディスク(第2摩擦係合要素)
24R クラッチディスク(第2摩擦係合要素)
27 シリンダ(ケーシング)
28 ピストン(ケーシング)
29 弾性容器
30 電場応答性体積相転移高分子
31 電解質溶液(電解質)
52 電解質ゲル(電解質)
A 高分子アクチュエータ

Claims (2)

  1. 電場応答性体積相転移高分子(30)と電解質(31,52)とが封入された弾性容器(29)を特定方向への体積増加のみを許容するケーシング(27,28)に収納し、弾性容器(29)の内部の電場を変化させたときに、電場応答性体積相転移高分子(30)の体積増加に起因して生じる弾性容器(29)の前記特定方向の体積増加を作動力とすることを特徴する高分子アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の高分子アクチュエータ(A)を使用したクラッチ装置であって、
    第1部材(20)に支持した第1摩擦係合要素(22L,22R)と第2部材(21)に支持した第2摩擦係合要素(24L,24R)とを前記高分子アクチュエータ(A)の作動力で一体に係合させることを特徴するクラッチ装置。
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