JP2005155067A - 杭頭部の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 大口径側に定着筋5が固定された円錐状の外鋼管3が、大口径側を上側にして地盤中に設置された杭1の頭部の周囲に配置され、外鋼管3と杭1との間隙に固化材4が充填されているとともに、外鋼管3の少なくとも大口径側の端部が上部のフーチング2に埋設されている。
【選択図】 図1
Description
一方、ひげ筋方式は、内籠方式に比べて鉄筋が鋼管杭21の外側に配置されることになるため、断面効率が改善される。しかし、近年の杭の高支持力化、大規模地震を対象とした設計とそれに伴う杭体の高耐力化(鋼管の厚肉化、コンクリート充填)により、ひげ筋方式でも過密配筋が避けられず、施工性に問題が生じたり、条件によっては、杭体の耐力に見合う接合構造に構成できない場合も生じる。また、杭建て込み後にひげ筋を溶接する際に、作業姿勢が悪く、接合部の品質確保に問題が残されている。
具体的には、同図に示すように、地震時に外鋼管26には充填コンクリート28からの支圧力R1、R2が作用し、これによって杭25との間での水平力のやりとりが行われる。このとき、外鋼管26にはせん断力、曲げモーメントあるいは斜め方向の引張力などの断面力が作用し、外鋼管26はこれに耐え得る肉厚のものを用いることが必要である。
また、充填コンクリート28が安定的に支圧力R1、R2による荷重伝達機能を発揮するためには、外鋼管26の管径D1と杭25の杭径D2の差に対して、外鋼管26には十分な長さL(外鋼管26の全長からコンクリート構造体29への埋め込み長を除いた長さ)を確保することが必要である。また、外鋼管26には、支圧力R1、R2作用時に支圧、割裂破壊による充填コンクリート28の耐力低下を防止するために十分な拘束力を発揮できるような肉厚が必要となる。
また、杭頭付近の曲げモーメントMによって、鉄筋27には引張力T1あるいは押し込み力T2が作用する。さらに、構造物のロッキングなどによる杭25への引き抜き力Nが作用すると、それによる引張力T0も加わる。これらの力に対して、鉄筋27が引き抜けることなく、杭25の間で力の伝達を確実に行う必要があるため、外鋼管26の長さL、すなわち付着長を相当長くとるか、あるいは少なくとも杭25外面の相当区間に付着のための突起を設けることが必要となる。
円錐状外鋼管の形状(長さ、大口径側の外径)や肉厚は、杭の条件や発生曲げモーメントに応じて所要の耐力が得られるように構造設計すればよい。円錐状外鋼管の長さについては、例えば、円錐状外鋼管の全長から上部コンクリート構造体への埋め込み長さを除いた長さが、杭の外径の0.5〜1.5倍程度になるように設定することができる。また、円錐状外鋼管の大口径側の外径については、例えば、杭の外径の1.5〜2.0倍程度になるように設定することができる。
杭としては、例えば、鋼管杭、コンクリート充填鋼管杭あるいは杭頭部付近にコンクリートが中詰された鋼管杭、既製コンクリート杭などを用いることができる。既製コンクリート杭には、例えば、PHC(高強度プレストレスコンクリート)杭、PC(プレストレスコンクリート)杭あるいはRC(鉄筋コンクリート)杭などを含み、これらの外側に鋼管を巻いた杭も含む。
固化材には、例えば、コンクリートあるいはモルタルを含む。
コンクリート構造体には、例えば、フーチングあるいは基礎梁などを含む。
定着筋は、例えば、円錐状外鋼管の外面あるいは内面に固定することができる。定着筋を外鋼管の内面に固定する場合には、定着筋の全長がコンクリートなどの固化材内に埋め込まれるため、腐食を防止することができる。
また、設置される円錐状外鋼管の下端から少し下側の杭の外面位置から斜めに立ち上がった領域を掘削すればよいので、円筒形の外鋼管の場合に比べて、掘削土量を低減することができ、施工費の低減および工期の短縮を図ることができる。
金物としては、例えば、閉合した環状部材、あるいは周方向に複数個に分割されている部材などを用いることができる。また、例えば、楔状に形成されたものなどを用いることができる。
また、円錐状外鋼管と杭とが直接または間接に接合されていると、杭に曲げモーメントが作用した際に、杭から円錐状外鋼管への直接的な荷重伝達が大きくなり、また引張側も含めた杭の全周面から円錐状外鋼管へ直接的な荷重伝達が行われることから、斜辺の軸方向への分力を利用する円錐状外鋼管の優れた構造特性をより有効に活用することができる。
また、円錐状外鋼管の内面に設けられた突起は、円錐状外鋼管と固化材とのずれを防止し、押し込み、引き抜きの軸方向力に対してより安定な構造を構築する。
また、施工も、現場で円錐状外鋼管を杭の頭部の周囲に被せて、両者の間にコンクリートなどの固化材を充填するだけの簡単な作業であり、特殊な技能を必要とせず、杭頭レベルの施工誤差などにも対応しやすい。
この杭頭部の接合構造では、コンクリート充填鋼管杭あるいは杭頭部付近にコンクリートが中詰された鋼管杭からなる杭1の頭部とフーチング(コンクリート構造体)2とが接合されている。
すなわち、地盤中に設置された杭1の頭部の周囲に、円錐状の外鋼管3が大口径側を上側にして、かつ上端を杭1の上端にほぼ一致させて配置されている。外鋼管3の小口径側の内径は杭1の外径と略同じに設定されており、外鋼管3の小口径側と杭1との間には殆ど隙間がない。円錐状外鋼管3と杭1との間隙には、コンクリートあるいはモルタルなどの固化材4が充填されている。円錐状外鋼管3の外面の上端部には、複数本の定着筋5が周方向に例えば等間隔に、かつ上方に垂直に突出するようにして、溶接等により固定されている。これらの定着筋5および円錐状外鋼管3の上端部は、フーチング2内に埋設されている。また、杭1の外面の上端部にも、複数本の定着筋6が周方向に例えば等間隔に、かつ上方に垂直に突出するようにして、溶接等により固定されている。これらの定着筋6も、フーチング2内に埋設されている。一方、フーチング2内には、水平方向に延びる上側鉄筋7および下側鉄筋8が埋設されている。
なお、施工に際しては、図2に示すように、円錐状外鋼管3に予め定着筋5を固定しておき、この円錐状外鋼管3を、定着筋6が固定された杭1の上方から、該杭1の頭部に被せる方法と、杭1の頭部に円錐状外鋼管3を被せた後に定着筋6を杭頭に固定する方法がある。
また、軸方向の押し込み力や地震時の構造物のロッキングなどにより生じる引き抜き力については、円錐状外鋼管3に固定された定着筋5だけでなく杭1の上端部に固定された定着筋6によっても、杭1から直接フーチング2へ伝達することが可能である。
また、円錐状外鋼管3の小口径側の内径が杭1の外径と略同じであるので、円錐状外鋼管3を杭1の頭部に被せるだけで、固化材4を充填することができる。
ここでは杭の上端部に定着筋が固定された例について説明したが、図9のように杭の上端部に支圧板が固定されている場合には、前記定着筋は該支圧板に固定されていても同様の効果が得られる。
杭1に曲げモーメントMが作用すると、杭1が円錐状外鋼管3を押し込む側において両者の間に直接的な荷重の伝達が行われる他、円錐状外鋼管3と杭1との間に充填された固化材4を介して、力が円錐状外鋼管3へ伝達される。すなわち、固化材4の支圧力R1、R2によって円錐状外鋼管3へ伝達される。さらに、円錐状外鋼管3へ伝達された力は、円錐状外鋼管3のフーチング2への埋め込み部、あるいは円錐状外鋼管3の上端部に固定された定着筋5により、せん断力あるいは曲げモーメントとしてフーチング2内に伝達される。
また、円錐状外鋼管3を用いることにより、杭1と円錐状外鋼管3との間に閉塞されて介在する固化材4をフーチング2方向に押さえ込む力を生じ、これにより固化材4に対する拘束効果が発揮されるため、固化材4が支圧、割裂破壊に対して安定的で、外鋼管が円筒形の場合に比べて大きな強度を発揮できる。
以上のことから、円錐状外鋼管3を用いることにより、外鋼管3の肉厚や長さを低減できる。
なお、図4において、掘削後に、円錐状外鋼管3を設置し、これらの円錐状外鋼管3の外側に空隙が残る場合には、掘削土砂を埋め戻すか、あるいは円錐状外鋼管3と杭1との間隙に固化材4を充填する際に、同時に前記空隙にこの固化材4を充填するようにしてもよい。
本実施の形態では、円錐状外鋼管3の小口径側の端部が鋼管杭からなる杭1Aに溶接などにより接合されている。溶接による接合の場合には、上側から下向きに溶接が可能である。
本実施の形態では、小口径側の内径が杭1Aの外径よりも少し大きく製作された円錐状の外鋼管3Aが用いられ、杭1Aの頭部の周囲に、この円錐状外鋼管3Aが大口径側を上側にして、かつ上端を杭1Aの上端にほぼ一致させて配置されている。この円錐状外鋼管3Aの下端部と杭1Aとの間には、横断面形状が三角形の楔状でかつ内面が円形の環状金物(環状部材)11が上側から嵌め込まれており、この環状金物11と円錐状外鋼管3A、および環状金物11と杭1Aとはそれぞれ、溶接などにより接合されている。溶接による接合の場合には、上側から下向きに溶接される。楔状の環状金物11としては、閉合した環状金物でもよいし、あるいは周方向に複数個に分割されている環状金物を用いてもよい。
本実施の形態では、杭1Aの打設前に、杭1Aの外面に予め溶接などにより円環状の載置板13が溶接などにより固定されている。この杭1Aの頭部の周囲に、円錐状外鋼管3Aが大口径側を上側にして被せられて、杭1Aの載置板13に載置されている。円錐状外鋼管3Aの上端は杭1Aの上端にほぼ一致している。円錐状外鋼管3Aの下端部と杭1Aとの間には、横断面形状が台形の楔状でかつ内面が円形の環状金物(金物)14が上側から嵌め込まれており、この環状金物14と杭1Aとは溶接などにより接合されている。溶接による接合の場合には、上側から下向きに溶接される。楔状の環状金物14としては、閉合した環状金物でもよいし、あるいは周方向に複数個に分割されている環状金物を用いてもよい。
また、円錐状外鋼管3Aと杭1Aとの間に介在させる環状金物として楔状の環状金物14を用いているので、寸法誤差を吸収して円錐状外鋼管3Aの小口径側の端部と杭1Aとの間に隙間なく嵌め込むことができる。また、環状金物14を杭1Aに溶接により接合する場合には、楔状の環状金物14と杭1Aとの間の1箇所を下向きの溶接をするだけでよいので、施工性が良い。
本実施の形態では、杭1の上端に、円環状の支圧板15が杭1の内外方に突出するようにして固定されている。また、定着筋5の上端にプレートナットなどの定着部材16が取り付けられている。
なお、支圧板15は、軸方向の押し込み力や引き抜き力、あるいは曲げモーメント作用時に、荷重を分散して伝達し、フーチング2のコンクリートや固化材4の支圧破壊を防止できる面積と剛性を有するものであればよい。
本実施の形態では、円錐状の外鋼管3Bが、図1の円錐状の外鋼管3の大口径側の端部に円筒形の円筒部3bが形成されている形状に形成されている。円筒部3bの内側に定着筋5が溶接により固定されている。定着筋5の上端には、定着部材16が取り付けられている。円筒部3bの略上半分はフーチング2内に埋設される。
また、杭1の固化材に面する外面に環状の突起17(この例では3個)が上下方向に間隔をおいて設けられている。また、円錐状外鋼管3Bの内面には、複数個(この例では3個)の環状の突起18が上下方向に間隔をおいて設けられている。
また、定着筋5が円錐状外鋼管3Bの内面に固定されているので、定着筋5の全長がコンクリートなどの固化材内に埋め込まれ、腐食を防止することができる。
なお、本実施の形態では、定着筋5を溶接により円錐状外鋼管3Bに直接固定するようにしたが、これに代えて、例えば、予め円錐状外鋼管3Bに溶接などで固定したカプラー(ねじ孔付き接続具)を用いて定着筋5を固定するようにして、現場での溶接作業を省略することも可能である。
突起を構成する方法としては、鋼板や鉄筋を杭や円錐状外鋼管に溶接して一体化することで容易に施工できる。
2 フーチング(コンクリート構造体)
3、3A、3B 外鋼管
3b 円筒部
4 固化材
5 定着筋
6 定着筋
11、14 環状金物(金物)
13 載置板
15 支圧板
16 定着部材
17、18 突起
Claims (9)
- 大口径側に定着筋が固定された円錐状の外鋼管が、大口径側を上側にして地盤中に設置された杭の頭部の周囲に配置され、該外鋼管と前記杭との間隙に固化材が充填されているとともに、該円錐状外鋼管の少なくとも大口径側の端部が上部のコンクリート構造体に埋設されていることを特徴とする杭頭部の接合構造。
- 前記外鋼管と前記杭との間に金物が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の杭頭部の接合構造。
- 前記杭の外面に固定された載置板上に、前記外鋼管が載置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の杭頭部の接合構造。
- 前記杭、前記外鋼管、前記金物および前記載置板のそれぞれまたはいずれかが接合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 前記外鋼管の上端部に円筒部が形成され、この円筒部に前記定着筋が固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 前記杭の上端部に支圧板が固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 前記杭の上端部および/または前記支圧板に、前記コンクリート構造体に埋設される定着筋が固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 前記外鋼管に設けられた前記定着筋、前記杭に設けられた前記定着筋および前記支圧板に設けられた前記定着筋の少なくとも1つの上端部に、定着部材が固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 前記杭の前記固化材に面する外面および/または前記外鋼管の内面に突起が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項8に記載の杭頭部の接合構造。
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