JP2005154855A - 光学多層膜用真空製膜装置と光学多層膜の製膜方法 - Google Patents

光学多層膜用真空製膜装置と光学多層膜の製膜方法 Download PDF

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秀治 高橋
Toshio Kobayashi
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Abstract

【課題】 光学特性が良好で、膜厚の1万から10万分の1の膜厚精度が被製膜基板の広
領域で得られる、光学多層膜用真空製膜装置と製膜方法を提供する。
【解決手段】 製膜源と被製膜基板の間に、膜厚分布補正機構を設ける。膜厚補正機構は
第一の膜厚分布補正板と第二の膜厚分布補正板からなり、製膜中に第一の膜厚分布補正板
の粒子遮蔽領域から第二の膜厚分布補正板が出入りする。製膜中に測定した膜厚分布デ−
タを基に第二の膜厚分布補正板を駆動、製膜を繰り返すことで良好な膜厚分布を得え、効
率的に多層膜光学フィルターの製造を行う。
【選択図】 図1

Description

光多重通信用光学多層膜フィルターの製膜に用いる光学多層膜用真空製膜装置と製膜方
法である。また、膜厚の0.001%程度の精度で膜厚を制御する必要がある製品の製膜
装置と製膜方法である。
最近の高速通信網の整備にともなって、高速で大量の情報が伝送されるようになってき
た。これを可能にする方法の一つとして波長多重光通信システム(DWDM:Dense
Wavelength Division Multiplexing)の開発が盛ん
に行われている。この波長多重光通信システムでは1本のグラスファイバーに複数の波長
の光信号を重ねて伝送するものであり、このためにはグラスファイバーの前後に光合分波
器を接続することが必要になる。誘電体多層膜光学フィルターは光合分波器を構成する狭
帯域フィルター(NBPF:Narrow Band Pass Filter)を始め
、光通信システムで使用される種々の光学フィルターとして使用されるものである。これ
らの多層膜光学フィルターはガラス基板上に高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を
交互に積層することにより数十層から二百層に及ぶ多層膜を形成し、その膜厚は数十μm
に達する。この多層膜光学フィルターの構造例としては特開平10−197721号公報
に記載されている。基本的な多層膜光学フィルターは所望のセンター波長をもたせるため
に、光学膜厚がセンター波長の1/4波長の高屈折率誘電体層と、光学膜厚が1/4波長
の低屈折率誘電体層を交互に積層したミラー層、および光学膜厚がセンター波長の1/2
波長もしくはその整数倍のスペーサー層、および成膜基板、および反射防止膜から構成さ
れる。光学膜厚と物理膜厚は次の関係を持っている。物理膜厚と膜の屈折率の積が光学膜
厚となる。本明細書では特に断わりの無い限り膜厚は光学膜厚を言う。
特開平10−197721号公報
多層膜光学フィルターを構成する各層の膜は、膜厚の1/10,000から1/100
,000の膜厚精度が要求され、これらの層の膜厚や組合わせを多層膜光学フィルターの
仕様に合せて調整することにより所望のセンター波長や急峻な裾野を持つ多層膜光学フィ
ルターを作製することができる。一般に多層膜光学フィルターを用いた光合分波器は特開
平11−337765号公報に記載されているように、異なるセンター波長を持つ多層膜
光学フィルターを複数個組合わせることにより作製する。このとき、現在主流になってい
る100GHzの光合分波器では波長間隔が0.8nmずつ異なる光学多層膜フィルター
を複数個使用する。
特開平11−337765号公報
所望のセンター波長を持つ多層膜光学フィルターの一般的な作製方法はガラス基板を高
速で自転させながら所望の波長の光を成膜中の基板に透過させ、透過光量をモニターしな
がら膜厚を判定して成膜原料を交換しながら多層膜を形成する。このとき、透過光量は膜
厚増加に伴って増減を繰り返すことが知られており、光量の増減は光学膜厚が1/4波長
毎に生ずる。例えば、特開昭61−296305号公報には光学式の膜厚モニターに関す
る記載があり、2種類の波長の片側の透過率または反射率がピークを越えたとき蒸着を停
止する方法が開示されている。これにより、1/4波長の光学膜厚を持つ膜を成膜するこ
とが可能になる。また、他の方法としては、光量のピークを予想するカーブフィッティン
グのソフトウエアを用いて正確にピークを検出し、成膜材料の切り替えを行うものも提案
されている。
特開昭61−296305号公報
光学式膜厚モニターを用いることにより、基板上のモニター位置における膜厚は正確に
計測することができ、所望の特性をもつ光学多層膜フィルターを作製することが可能にな
るが、基板上でも光学式膜厚モニターの測定位置以外の場所では、膜厚分布によって所望
の特性をもつ光学多層膜フィルターを作製することが難しかった。回転する基板上の径方
向の膜厚分布を向上させる方法として、特開平4−173972号公報に、基板上に堆積
する粒子の一部を遮蔽する分布補正板を用いることが開示されている。しかし、光学多層
膜フィルタ−のような高精度な膜厚を必要とする光学多層膜は、固定された分布補正板だ
けでは不充分であった。膜厚分布を更に改善する方法として、特開2003−14752
1号公報に、基板上に製膜される薄膜の製膜速度を規制するための開口部を有する製膜速
度規制部材と、製膜速度規制部材の開口部に成膜中に挿脱できる薄膜の膜厚を補正するた
めの開口部を有する膜厚補正部材を設ける方法が開示されている。図10を用いて、従来
の製膜装置の概略断面を簡単に説明する。
図10a)に装置の概略図、図10b)に製膜速度規制板と膜厚補正板の形状を示す。
真空容器60内に製膜源61と被製膜基板62の間に製膜速度規制板63があり、製膜速
度規制板の開口部64から被製膜基板62に向かって製膜粒子が出て製膜するようになっ
ている。製膜速度規制板63の回転中心と被製膜基板62の回転中心は略同軸にあるため
、製膜速度規制板の開口部64からでた製膜粒子は被製膜基板62一部に着き、被製膜基
板62が回転することで、被製膜基板全体に製膜されることになる。製膜速度規制板63
は回転軸65で回転でき開口部64と蒸着源61の位置関係から被製膜基板に到達する製
膜粒子の量を調整し製膜速度を制御している。被製膜基板62は回転軸66で高速回転さ
せ被製膜基板全域に製膜粒子が堆積するものである。製膜速度規制板63と被製膜基板6
2の間に被製膜基板面に出し入れできる第1膜厚補正板70と第2膜厚補正板73が設け
られている。第1膜厚補正板70は回転軸71、第2の膜厚補正板73は回転軸74で各
々回転できるようになっている。第1および第2の膜厚補正板70,73に設けられた中
央部が凹んだ長方形状の開口部72と75の組み合わせで、組み合された開口部の形状お
よび面積を変更し、膜厚分布を改善する構造である。膜厚モニター77と78で膜厚を測
定しているが、膜厚測定点は製膜速度規制板63で製膜粒子は遮蔽されているので、製膜
粒子の飛散はないものである。
特開平4−173972号公報 特開2003−147521号公報
このような分布補正方法は、製膜源61から出た粒子を製膜速度規制板63の開口部6
4で限定し、さらに開口部72,75を設けた膜厚補正板70,73で粒子を遮蔽するの
で、製膜速度が著しく遅くなってしまう。百数十層に及ぶ光学多層膜フィルタ−を製膜す
る場合、製膜時間が数十時間以上に及ぶため、装置の生産効率が悪く、光学多層膜フィル
タ−の製造コストが高くなってしまう。また、製膜源61から飛散する粒子の一部しか被
製膜基板上へ堆積しないので、原料の無駄が多かった。
基板上の膜厚分布を補正するものとして、被製膜基板と製膜源の間に被製膜基板上に堆
積する粒子の一部を遮蔽する固定された膜厚補正板を設ける方法や、製膜中に膜厚を測定
し膜厚補正板の形状等を変更する方法が用いられていた。被製膜基板上の光学式膜厚モニ
ターが設置されている半径位置では、所定の膜厚が得られたが、光学式膜厚モニターから
数mm離れると膜厚のばらつきに起因する不良が多発していた。光学式膜厚モニターを多
数配置しその測定値から光学式膜厚モニター位置に応じた膜厚補正板の面積を変更すれば
、膜厚分布を改善することは出来ると思われるが、数mm間隔で基板の半径位置に多数の
光学式膜厚モニターを配置することや、光学式膜厚モニター位置に応じた可動する膜厚補
正板を設けることは、装置の複雑化や大型化に繋がり実現が難しいものであった。また、
光学多層膜フィルタ−用の被製膜基板への製膜には、10時間以上かかるため高コストで
ある。そのため、膜厚分布が悪いと被製膜基板からの光学多層膜フィルタ−の取れ数が少
なくなり製造コストが上昇すると言う問題があった。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、製膜源と対向し自転する被製膜基板と、前記製
膜源と被製膜基板間に開口部を有する製膜速度規制部材と膜厚分布補正機構が配され、製
膜速度規制板の開口部から出た製膜粒子が被製膜基板の全域に当る真空製膜装置であって
、被製膜基板の回転中心から同芯の中周位置から外周位置の領域に設けられた膜厚分布補
正機構は、固定された第一の膜厚分布補正板と可動する第二の膜厚分布補正板からなり、
第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域内に第二の膜厚分布補正板が配されており、製膜作
業中に第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域外に移動できること
が好ましい。
被製膜基板の中周位置とは被製膜基板中心と基板端部の略中間位置より約3mm被製膜
基板中心側を言い、外周位置とは被製膜基板端部より10mm基板中心側の位置を指すも
のである。被製膜基板中心から中周位置までの領域は、光学多層膜用に使用しない領域で
膜厚分布補正対象外としている。固定された第一の膜厚分布補正板と可動する第二の膜厚
分布補正板は、中周位置より基板中心側に5mmの位置から基板端部まで配され、製膜粒
子を遮蔽するものである。被製膜基板の膜厚分布補正板で遮蔽される個所以外は、常に粒
子が当り製膜されていることが製膜速度を得る上で好ましい。
被成膜基板は、光学多層膜フィルターの基材になるものであり、ガラスや石英等で多層
膜フィルターの使用光波長領域で良好な光透過特性を有する材質が好ましい。また、製膜
中に被製膜基板を通して膜厚をモニタ−するため、膜厚測定波長領域においても良好な光
透過特性を有する材料が好ましい。成膜源は、被製膜基板に堆積する飛散粒子の発生源で
あり、略円板状に形成され製膜中に自転させることで製膜源の組成や減り方の均一化を図
ることができる。製膜源にイオンビームを照射し、製膜源の蒸発温度以上に加熱すること
で飛散粒子を得ることができる。原料がタンタル酸化物(Ta)やシリコン酸化物
(SiO)などの高融点材料の場合に有効な方法である。比較的低融点の原料の場合は
抵抗加熱の方法を用いることができる。また、加速したアルゴンイオンを衝突させ飛散粒
子を得ることも可能である。製膜速度規制部材は、製膜源と被製膜基板の間で製膜源に近
い部位に設ける。製膜速度規制板は製膜源から出た飛散粒子が被製膜基板に到達する量を
規制するものである。特に製膜源の表面をクリーニングする場合に有用なものであり、製
膜中は飛散粒子が被製膜基板以外の部位に付着することを防ぐ役目をする。ステンレスに
孔を開けた板構造で、製膜源上を移動できることが好ましいものである。本明細書では製
膜源から出る粒子を飛散粒子と言い、特に被製膜基板に到達し膜を形成する粒子を製膜粒
子としている。
膜厚分布補正機構は、固定された第一の膜厚分布補正板と可動する第二の膜厚分布補正
板と第二の膜厚分布補正板を駆動する駆動部から形成される。第一および第二の膜厚分布
補正板は製膜粒子を遮蔽するように、被製膜基板と製膜源の間で被製膜基板に近い部位に
位置し、前記駆動部は製膜粒子の領域外に設けられることが好ましい。第一および第二の
膜厚分布補正板は、被製膜基板の略中周位置から外周位置に配されるものである。第二の
膜厚分布補正板は第一の膜厚分布補正板の被性膜基板側に設けても製膜源側に設けても良
いものであるが、第ニの膜厚分布補正板を駆動する駆動部に飛散粒子が付着するのを防ぐ
点から、第二の膜厚分布補正板は被製膜基板側に配することが望ましい。第一および第二
の膜厚分布補正板は西洋鋏の様に組み合わされ、支点は外周位置に力点となる駆動部は被
製膜基板の外周位置より外側に設けることが望ましい。駆動部で第二の膜厚分布補正板を
駆動することで、第一の膜厚分布補正板の製膜粒子遮蔽領域から第二の膜厚分布補正板を
出して製膜粒子を遮蔽するものである。
第一の膜厚分布補正板は、被製膜基板の中周から外周間で外周側より中周側の膜厚が厚
く、その差が最小になるような形状とすることが望ましく、外周側の遮蔽面積に比べ内周
側の遮蔽面積が小さい形状とすることが好ましい。第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚分
布補正板が製膜粒子を遮蔽する領域に収まる形状であれば良く、第一の膜厚分布補正板と
相似形であっても異なった形状でも良いものである。第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚
分布補正板から出る量は外周位置ではゼロで内周に向かうに従い大きくなる。言い換えれ
ば第二の膜厚分布補正板の出た量と第一の膜厚分布補正板の量の比率が、内周に行くに従
い大きくなるものである。第二の膜厚分布補正板を駆動させた時においても、膜厚補正の
基準となる外周位置の遮蔽面積を変えないことが、膜厚分布を精度良く制御する上で好ま
しいものである。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、被製膜基板の少なくとも中周位置と外周位置の
膜厚を製膜中に測定できる膜厚モニターを設け、前記膜厚モニターの値を計算し膜厚分布
補正機構に帰還し、第二の膜厚分布補正板を移動することが好ましい。
膜厚モニタ−は、成膜中に被製膜基板上に製膜された膜厚を直接測定できるものが好ま
しい。被製膜基板外に設けられた膜厚モニターで測定すると、被製膜基板の膜厚と僅かな
違いが生じるためである。この僅かな差が許容できる場合は問題ないが、多層膜フィルタ
ーの様な高精度の膜厚制御が求められるものには使用できない。膜厚を直接測定する方法
としては、製膜する膜厚の整数倍である波長光を膜に略垂直に照射し、被製膜基板の背面
に設けられた膜厚モニターで透過光量を測定し、膜厚を求めるものである。膜厚モニタ−
は少なくとも被製膜基板背面の中周位置と外周位置に配し、投光部は製膜粒子領域外に設
けることが好ましい。製膜粒子領域内に投光部を設けると投光部が製膜粒子を遮蔽してし
まい膜厚分布が著しく悪くなるためである。投光部を製膜源の近くに配することで製膜粒
子を遮蔽せず、略垂直に投光することが可能となる。
膜厚モニターの膜厚測定値から第二の膜厚分布補正板を移動させる量は次のように求め
ることができる。まず、外周位置の膜厚a1と内周位置の膜厚値b1を測定する。次回の
膜厚測定t2までの間に基準位置となる外周位置の膜厚a2を計算する。膜厚a1に掛っ
た時間t1から製膜速度とt2−t1の積で想定膜厚a2を求めることができる。同様に
内周位置の想定膜厚b2を求め、b2とa2が同じ値に近づくように第二の膜厚分布補正
板を駆動させる。この計算と第二の膜厚分布補正板の駆動を繰返し内周位置と外周位置の
膜厚差を無くすものである。内周位置および外周位置での膜厚分布補正板の粒子遮蔽面積
と製膜速度の関係および、遮蔽面積と駆動量の関係は最初に求めて計算機に入力しておく
。製膜を進めるに従い製膜源の減り具合等で、僅かではあるが粒子遮蔽面積と製膜速度の
関係は変化してくるため、例えばa1とa2、b1とb2から求めた製膜速度を次回の製
膜速度の計算基準値として用いることで、製膜装置による変動をなくすることができる。
計算で求めた第二の膜厚分布補正板の駆動量を膜厚補正機構の駆動部に帰還し、第二の膜
厚分布補正板を駆動させるものである。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、第一の膜厚分布補正板の製膜粒子遮蔽領域は中
周位置および外周位置で円周の6%以下であることが好ましい。
第一の膜厚分布補正板の製膜粒子遮蔽領域を大きくすると製膜速度が低下するため、余
り大きくすることは好ましくない。下限は膜厚分布量で決まるものであるが、概略中周位
置および外周位置で各々の円周の2%以上とすることで、膜厚分布が精度良く得られるも
のである。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚分布補正板
の外周位置を支点として被製膜基板に対し平行に回転移動する西洋鋏の様な構造とするこ
とが好ましい。第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域から出る面
積は外周位置から中周位置方向に向かって大きくなることが好ましい。
通常、被製膜基板を回転させて製膜される基板径方向の膜厚分布は、波打つ様な形状に
なることはなく、径方向で連続的な膜厚差が生じ傾きを持った膜厚分布となるものである
。中周側が厚く外周側が薄くなる傾き方向にするため、予め第一の膜厚分布補正板の形状
を求めておき、この膜厚分布の傾きを修正するために、第二の膜厚分布補正板が第一の膜
厚分布補正板の粒子遮蔽領域から出る面積を、被製膜基板外周位置から中周位置方向に向
かって順次大きくなる構造とすることが望ましい。
第一の膜厚分布補正板および第二の膜厚分布補正板の間隔およびそれぞれの膜厚分布補
正板の厚みは、出来得る限り薄くすることが好ましい。蒸着源から被製膜基板上へ飛散す
る粒子が全て被製膜基板に垂直に飛散する場合は問題ないが、斜めに飛散する粒子も含ま
れるので、斜めに飛散する粒子の影響を最小限にするため、第一および第二の膜厚分布補
正板の厚みは1mm程度と出来る限り薄くすることが良いものである。また、第二の膜厚
分布補正板の駆動力を小さくできる点からも好ましいものである。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板
の粒子遮蔽領域から出る幅は、中周位置で中周位置の円周の2.6%以下であることが好
ましい。
第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板から出る幅が大きくなると、第一と第二
の膜厚分布補正板の粒子遮蔽幅が基板中周に占める比率に応じて製膜速度が遅くなり、製
膜速度が遅くなってしまう問題がある。第一の膜厚分布補正板の幅は、中周から外周に向
かい幅広になり中周位置と外周位置での円周に対する膜厚分布補正板の幅の比率はほぼ同
じとしている。そのため、中周位置で第二の膜厚分布補正板が大きくなると、膜厚分布の
傾斜が急峻になリ過ぎる。このことから、第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板
の粒子遮蔽領域から出る幅は、中周位置で中周位置の円周の2.6%以下であることが好
ましい。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚分布補正板
の外周位置を支点として回転移動する構造であり、回転させる力点は支点より外側に位置
し、圧電素子で駆動することが好ましい。
力点に設けられる駆動機構は被製膜基板の外側で、製膜粒子を妨害しない位置に設置す
る必要がある。また、駆動機構部分に飛散粒子が付着して駆動部の動きを阻害したりしな
い様に、カバー等を設けることが好ましい。
第二の膜厚分布補正板を駆動する機構は、外部から電気信号で駆動することが好ましい
。第二の膜厚分布補正板の駆動は10μm程度の微小量の制御が必要であるため、圧電素
子を使用することが望ましい。ネジやカム機構を用いることもできるがメカ的な構造では
ゴミの発生の問題がある。また、真空度を維持すため出来うる限り小型で構造が簡単なも
のが良いが、メカ的な駆動装置では実現が難しい。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、第二の膜厚分布補正板を第一の膜厚分布補正板
の粒子遮蔽領域から第二の膜厚分布補正板の可動範囲の略半分出した状態で製膜し、中周
位置から外周位置間は略直線的に変化する膜厚分布を有する膜を形成する第1工程、中周
位置と外周位置の膜厚値を測定する第2工程、膜厚値を計算し第二の膜厚分布補正板の移
動量を決める第3工程、第二の膜厚分布補正板を移動させる第4工程、第2工程から第4
工程を繰り返すことが好ましい。
第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域から第二の膜厚分布補正板の稼動範囲の略半分出
した状態で製膜することで、膜厚分布をより制御し易くなる。中周位置が外周位置に比べ
膜厚が大きくなるように第一の膜厚分布補正板の形状を予め決めているが、蒸着源を使う
に従い蒸着源と被製膜基板の距離に変化が起こり、中周位置と外周位置の膜厚が逆転して
しまうことが起こる。その度に、第一の膜厚分布補正板の形状を変更する事はできないた
め、第二の膜厚分布補正板を第一の膜厚分布補正板から出した状態で製膜して、常に中周
位置が外周位置に対して膜厚が厚くなるようにすることが好ましい。
所定膜厚の製膜途中で、被製膜基板の中周位置と外周位置の膜厚を測定し、膜厚分布補
正板の幅が変わらない外周位置の残りの製膜時間を計算し、この製膜時間の間に基板中周
位置の膜厚が基板外周位置と同じになるように、中周位置の製膜速度を変更する比率を計
算する。つまり、中周位置の製膜速度の変更比率と同じ比率になるように中周の円周に対
する第二の膜厚分布補正板の移動量を計算する。そして、計算結果に基づき第二の膜厚分
布補正板を移動し、製膜を行う。膜厚測定、計算、第二の膜厚分布補正板の移動の繰返し
は、所定の膜厚になる間少なくとも複数回できれば4回以上行うことが好ましい。前記繰
返し回数を多くすることで、膜厚のずれ量の修正する比率を小さくすることが可能となる
。中周位置と外周位置の膜厚の差を修正するのは、内周位置と外周位置の膜厚分布補正板
の面積を変え製膜速度を変えることで行う。外周位置の製膜速度を基準として内周位置の
製膜速度との比率を修正比率と称している。
本発明の光学多層膜用真空成膜装置は、中周位置と外周位置の膜厚差の修正は、複数回
に別けて行い順次修正比率を小さくし、中周位置と外周位置の膜厚差を無くすことが好ま
しい。
所定膜厚の途中で、外周位置と中周位置の膜厚の差を測定し、中周位置の製膜速度を調
整した後に残りの膜厚を製膜することになる。ここで、膜厚差の修正回数が一回の場合は
、膜厚を測定するまでに製膜された膜は目標膜厚の多くを占めることになり、基板の外周
位置と中周位置の膜厚差は大きくなる。この膜厚差を残りの製膜時間で修正するには、残
りの膜厚を製膜する間の修正比率が大きくなる。さらに、残りの膜厚分を製膜する間の変
動は修正できないので、膜厚差を少なくすることが難しい。このようなことから、膜厚差
の修正を複数回行うことによりより膜厚分布の良い膜が得られる。最後の膜厚分布補正板
の駆動から所定膜厚になる製膜終了までの時間を短くし、修正比率を小さくすることで、
より膜厚分布の良い膜が得られるものである。
一回の修正比率は1.2以下とすることが好ましい。修正比率を大きくし過ぎるつまり
、中周位置と外周位置での製膜速度差が大き過ぎると、膜の屈折率が変化するため好まし
くない。製膜速度が大きくなると膜の密度が下がり、膜の屈折率が下がるためである。修
正比率が1.2以下つまり20%の差であれば屈折率の変化は無視できるレベルであるが
、30%を超えると無視できないレベルまで屈折率の変化が起こる。特に高屈折率の膜は
注意を要するものである。修正比率は修正回毎に半分程度に下げていくことで、膜厚分布
の良い膜が得られることになる。
種々の製膜条件の変動により生じる膜厚分布を、成膜中に膜厚を測定しその膜厚測定値
を基に、第一の膜厚分布補正板の製膜粒子遮蔽領域から第二の膜厚分布補正板を出し入れ
する膜厚分布補正機構を用い、膜厚分布の良い被製膜基板が得られる光学多層膜用真空成
膜装置と製膜方法を提供し、光学特性の良好な光学多層膜フィルターが基板から取れる個
数を増加させ、安価な光学多層膜フィルターを供することができる。
本発明の光学多層膜用真空製膜装置の概要断面図を図1a)、膜厚補正機構と製膜速度
規制板の形状を図1b)に示す。真空容器1内に製膜源2と被製膜基板4の間に製膜速度
規制板5があり、製膜速度規制板5の開口部15から被製膜基板4に向かって製膜粒子が
出て製膜するようになっている。半径75mmの被製膜基板4の製膜源側に中心から外周
に向かって被製膜基板4の近傍に膜厚補正機構8を設けている。膜厚補正機構8は被製膜
基板の交換時に邪魔にならない様に回転軸9で回転できる構造である。製膜時は膜厚補正
機構8は図示した位置にあるものである。被製膜基板4は、製膜時に回転軸7により12
00rpmで回転するものである。被製膜基板4の回転中心と製膜源2の電子ビーム11
が当る場所は、ほぼ同一軸に配されているので、製膜源から出た製膜粒子は膜厚補正機構
8で遮られる分を除き、被製膜基板全面に常に届くものである。
製膜源2はリング状で回転軸3で0.05rpmで回転する。回転は製膜源の減り方に
よる蒸着条件の時間的変動を少なくするためである。製膜源2は複数の材料を交互に使用
できるようにリング径を変えて配置している。電子銃10から出た電子ビーム11は磁場
(図示せず)によって曲げられ製膜源に当たり製膜源を熔かす。製膜源の材料を変更する
ときは、磁場を変化させ電子ビームの曲がりを変えることで対応できるようにした。製膜
速度規制板5は回転軸6で回転でき開口部15と蒸着源2の位置関係から被製膜基板に到
達する製膜粒子の量を調整し製膜速度を制御している。製膜初期に製膜源表面をクリーニ
ングしたり製膜源が熔融し安定するまでなど、回転軸6の回転角度により製膜源を完全に
覆い製膜粒子が被製膜基板に到達することを防ぐことができる。製膜源2と被製膜基板4
の間隔は1000mm、製膜源2と製膜速度規制板の間隔は50mm、被製膜基板4と膜
厚補正機構8の間隔は50mmとした。
真空容器底に設けられた投光器16から投射されたハロゲンランプの白色光は、製膜さ
れた膜と被製膜基板4を透過し受光器17に入射される。受光器は中周位置と外周位置の
2ヶ所に配している。受光器17に入った光は分光され波長毎に電気信号に変換し光学膜
厚を測定している。測定された光学膜厚値を基に膜厚補正板制御部18で第ニの膜厚分布
補正板の移動量を計算し、膜厚補正機構8の圧電素子14を駆動させ第ニの膜厚分布補正
板12を移動させた。
被製膜基板4と膜厚補正機構の位置関係を、図2を用いて詳細に説明する。被製膜基板
4の中心a点と第ニの膜厚分布補正板12の回転支点、膜厚補正機構8の回転支点を直線
上に配置している。被製膜基板4の中心点aから主要個所の半径は、膜厚補正機構先端b
点が30mm、内周位置c点が35mm、外周位置d点が65mmで被製膜基板の外周は
外周位置より10mm外側に位置している。膜厚補正機構先端b点は被製膜基板の中心a
点まで延ばすことは可能であるが、実際光学多層膜フィルターとして使用できる膜が得ら
れるのは中周位置から外周位置の範囲であることが経験的に判っているので、膜厚補正機
構8の全体の重量を減らすために、膜厚補正機構の先端b点は30mmとしたものである
。第一の膜厚分布補正板13と第二の膜厚分布補正板12は軸20で繋がっており、軸2
0を回転支点として圧電素子14が伸びると第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚分布補正
板が遮蔽する領域に取り込まれ、圧電素子14が縮むと第二の膜厚分布補正板は第一の膜
厚分布補正板が遮蔽する領域から出て、第二の膜厚分布補正板と第一の膜厚分布補正板で
遮蔽する領域を大きくできるようにした。膜厚補正の基準となる外周位置dでは第二の膜
厚分布補正板が回転移動しても第一の膜厚分布補正板の遮蔽領域から出ないようにしてい
る。第一の膜厚分布補正板の幅は、外周位置dで15mm膜厚補正機構先端b点では5m
mとなるようにした。破線の円で示した受光器は第一の膜厚分布補正板から約5mm離し
て半径35mmと65mmの位置に設けた。
図1には示していないが、真空容器1内には製膜アシスト用のイオンガンを設けた。イ
オンガンは製膜時に酸素イオンもしくは酸素とアルゴンの混合イオンを被製膜基板面に照
射するものである。被製膜基板面に照射されたイオンは製膜粒子が柱状に成長する速度を
妨げ横方向への成長を助け、製膜された膜の密度を上げる働きをするものである。
本実施例で用いた膜厚測定方法に付いて述べる前に、実施した多層膜光学フィルターの
構成について図3を用いて説明する。多層膜光学フィルターは、被製膜基板4の一方の面
(以後、A面と言う)に狭帯域フィルターとして機能する多層膜31および光反射膜32
が形成され、他方の面(以後、B面と言う)に、反射防止膜33が形成されている。多層
膜31は、約1mm厚まで研磨された被製膜基板4上に、キャビティー層34がカップリ
ング膜35を挟んでn層積層されている。最上層のキャビティー層34上には光反射防止
膜32が配される。キャビティー層34はミラー層35aとスぺーサー膜36、ミラー層
35bから構成される。ミラー層35a,36bは高屈折率膜37と低屈折率膜38が交
互にm層積層された構造で、スペーサー層36下(基材側)のミラー層35aは、基材側
から高屈折率膜37と低屈折率膜38の順に積層され、スペーサー膜36上のミラー層3
5bは基材側から低屈折率膜38と高屈折率膜37の順に積層されている。キャビティー
層の繰り返し数n=4とし、ミラー層の高屈折率膜と低屈折率膜の繰り返し数mは、キャ
ビティー層を基材側から順に第1、第2、第3、第4とすると、第1、第2キャビティー
層はm=7、第3キャビティー層はm=8、第4キャビティー層はm=6とした。光反射
防止膜は、光学膜厚がλ/2となるように低屈折率なSiO膜を形成した。ミラー層
を構成する高屈折率膜にはTa(屈折率2.15)、低屈折率膜にはSiO(屈
折率1.46)を使用した。多層膜の総積層数は128層で、総膜厚(物理的膜厚)は約
34μmとした。B面に形成する反射防止膜33は、被製膜基板4側から順に、Ta
(319.9nm)、SiO(403.4nm)、Ta(254.5nm)、
SiO(202.5nm)の順で、4層膜構造とした。括弧内は、成膜した物理膜厚を
示している。
光学膜厚はハロゲンランプから出る1549.5nmの波長をモニターした。ミラー層
35とスペーサー層36から構成されるキャビティー層34は1/4波長(387.37
5nm)の光学的膜厚毎に光透過率の増減を繰り返すことを利用して光学膜厚を測定した
。1/4波長に相当する光学膜厚に達した時点で、高屈折率膜用の製膜源と低屈折率用の
製膜源を入れ替え、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層した。
被製膜基板は直径150mmで、SiO、NaO、KO、TiOを主成分とす
る厚さ10mmのガラス板を用いた。真空容器内を真空度6.7×10−4Pa(≒約5
×10−6Torr)以下に排気した後、図4に示す製膜条件で高屈折率膜と低屈折率膜
を交互に積層製膜行った。多層膜光学フィルターの基材は1mm程度の厚さであるので、
被製膜基板の厚みを1mmとすると研磨の必要がないので好ましいが、薄い被製膜基板を
用いると反りが発生したりするので、少なくとも5mm以上の被製膜基板を用いる必要が
あり、本実施例では10mm厚のガラスを用いた。
本発明の光学多層膜用真空製膜装置を用いて、多層膜光学フィルターを製作し効果を確
かめた結果に付いて説明する。検討1の第一の膜厚分布補正板幅に付いては、全体の膜厚
分布と製膜速度で評価した。検討2の中周位置で第二の膜厚分布補正板の出る量、検討3
の第二の膜厚分布補正板の移動回数、検討4の修正比率に対する効果は次の多層膜光学フ
ィルター特性と合格率で評価した。多層膜光学フィルター特性は、図5に示す膜厚に最も
敏感なセンター波長のシフト量と膜質に影響される挿入損失を測定した。合格率は中周位
置から外周位置で取れる理論取れ数を分母とし、センター波長のシフト量が±0.2(n
m)以下で挿入損失が−0.3(dB)以下のフィルター数を分子として百分率で求めた
。検討2から4では、センター波長のシフト量の被製膜基板内での分布を評価するため、
中周位置と外周位置で取れる多層膜光学フィルターの、センター波長のシフト量の平均値
を用い、外周位置の平均値から内周位置の平均値を減じたセンター波長の差を求めた。検
討5の駆動源に付いては、駆動機構部に付着した粒子を清掃しなくても正常に作動した時
間で評価した。特に、断わりの無い限り、初期製膜は第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚
分布補正板から中周位置で50%出した状態で行い、一層の製膜間に4回第二の膜厚分布
補正板の駆動を行っている。また、修正比率は第二の膜厚分布補正板の駆動回数が増える
に従い、修正比率を下げて製膜している。
(検討1) 第一の膜厚分布補正板の幅を中周位置および外周位置の円周に対し3%、
6%、10%、15%と変え、全体の膜厚分布と製膜速度で評価した結果を、図6に示す
。全体の分布を求めるだけであるので、低屈折率膜を約0.3μm付け表面粗さ計で測定
し、膜厚分布は内周位置の膜厚を外周位置の膜厚で除した。第一の膜厚分布補正板の大ま
かな幅を決めるものであるので、物理的膜厚で評価した。製膜速度は膜厚を製膜時間で除
して求め、第一の膜厚分布補正板が無い時の製膜速度を基準として比率で表わした。中周
位置および外周位置で6%以下とすることで、膜厚分布を内周位置が厚くなる1以上とす
ることができ、製膜速度の減少も6%以下に抑えることができた。
(検討2) 第一の膜厚分布補正板の幅を中周位置で円周の4%、外周位置で円周の6
%とし、第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板の幅から出る量を、中周位置で円
周の2.4%から4%まで変化させて、多層膜光学フィルターを製作した。図7に結果を
示す。合格率は、第二の膜厚分布補正板の出る量が2.5%で99%と最も高く、2.4
%から2.6%の範囲で26%以上の値を得た。2.7%を超えると急激に合格率は低下
した。挿入損失は−0.3dBが得られている。センター波長の差は第二の膜厚分布補正
板の出る量が2.5%と2.55%の間で最小となった。第二の膜厚補分布正板が第一の
膜厚分布補正板の幅から出る量は、中周位置で円周の2.6%以下が良いことが確認でき
た。より好ましい範囲は2.45%から2.55%である。
(検討3) 一層の膜を製膜する間に第二の膜厚分布補正板を、1回から10回まで変
化させた。第一の膜厚分布補正板の幅は中周位置で円周の4%とし、第二の膜厚分布補正
板の出る量は2.5%近傍とした。結果を図8に示す。一層の膜を製膜する間に第二の膜
厚分布補正板を4回以上移動させることで、合格率は97%以上が得られた。センター波
長の差も0.03nm以下と非常に良い値を示している。
(検討4) 修正比率は、外周位置の製膜速度を基準として内周位置の製膜速度との比
である。一層の製膜の間に4回第二の膜厚分布補正板を駆動させその時の修正比率とセン
ター波長のずれ量および挿入損失、合格率を求めた。図9に結果を示す。#1から#5の
試料中、修正比率で1.3を示した#2の試料では合格率およびセンター波長の差で最も
悪い値を示した。修正比率を1.2以下の他の試料は、合格率も95%以上が得られてお
り、一回の修正比率を1.2以下にすることが有効であることが実証された。また、修正
比率を回を増す毎に約半分に減らしていった試料3は、センター波長の差と挿入損失で代
表される光学特性が良く合格率も最も良かった。修正比率を1.2以下とし修正回数を増
す毎に修正比率を減じることが良いことが実証された。
(検討5) 第二の膜厚分布補正板を駆動させる方法として、圧電素子と空圧式シリン
ダー、ネジ送り、カムについて検討した。空圧式シリンダーは真空装置内で使用するため
、シールが難しく空気漏れ等が多発したため実際には使用できなかった。ネジ送りとカム
の駆動にはステッピングモーターを使用した。約200層の光学多層膜の製膜には約20
時間かかり、その間確実に第二の膜厚分布補正板を駆動できる必要があるだけでなく、保
守回数を減らすためにも長時間駆動できることが必要である。約1分に1回の割合で第二
の膜厚分布補正板を駆動させ、正常に駆動できなくなるまで連続製膜を行い、各駆動方法
の寿命を調べた。ステッピングモーターを使用したネジ送り、カムは約100時間と約1
30時間で正常に作動しなくなった。圧電素子を用いた駆動方式は400時間使用しても
正常に駆動できた。光学多層膜の製膜を50回以上継続的におこなっているが圧電素子に
よる駆動は正常に稼働していることから、1000時間以上の使用に耐えられることは実
証されている。このことから、第二の膜厚分布補正板の駆動源に、圧電素子が適している
ことが確認された。
上記実施例では多層膜光学フィルターとして100GHzのDWDM用狭帯域フィルタ
ーの例を示したが、本発明の光学多層膜真空成膜装置はこれに限られるものではなく、広
帯域フィルターや利得等価フィルター等、膜厚の精密制御を必要とする多層膜光学薄膜の
製造に適用できる。また、本実施例では真空蒸着装置に膜厚分布補正機構を用いた場合を
示したが、原料の発生源がイオンビームスパッタ源であっても基板を自転させながら成膜
する成膜装置であれば本発明の膜厚分布補正機構を適用できる。膜厚モニターを物理膜厚
が測定できるものに変更することで、光を透過しない金属膜等に本発明の膜厚補正機構を
用いることもできる。
本発明の光学多層膜用真空製膜装置の概要断面図である。 本発明の被製膜基板と膜厚補正機構の位置関係を説明する図である。 多層膜光学フィルターの構成を示す図である。 多層膜光学フィルターの製膜条件である。 センター波長のずれ量と挿入損失を説明する図である。 第一の膜厚分布補正板の幅の検討結果を示す図である。 第二の膜厚分布補正板の出る量の検討結果を示す図である。 第二の膜厚分布補正板の移動回数の検討結果を示す図である。 修正比率の検討結果を示す図である。 従来の製膜装置の概略断面図である。
符号の説明
1 真空容器、2 製膜源、3 回転軸、4 被製膜基板、5 製膜速度規制板、
6 回転軸、7 回転軸、8 膜厚補正機構、9 回転軸、10 電子銃、
11 電子ビーム、12 第二の膜厚分布補正板、13 第一の膜厚分布補正板、
14 圧電素子、15 開口部、16 投光器、17 受光器、
18 膜厚補正板制御部、20 軸、31 多層膜、32 光反射防止膜、
33 反射防止膜、34 キャビティー層、35 カップリング層、
35a,35b ミラー層、36 スペーサー層、37 低屈折率膜、
38 高屈折率膜、60 真空容器、61 製膜源、62 被製膜基板、
63 製膜速度規制板、64 開口部、65 回転軸、66 回転軸、
70 第1膜厚補正板、71 回転軸、72 開口部、73 第2膜厚補正板、
74 回転軸、75 開口部、77,78 膜厚モニター。

Claims (8)

  1. 製膜源と対向し自転する被製膜基板と、前記製膜源と被製膜基板間に開口部を有する製
    膜速度規制部材と膜厚分布補正機構が配され、製膜速度規制板の開口部から出た製膜粒子
    が基板の全域に当る真空製膜装置であって、被製膜基板の回転中心から同芯の中周位置か
    ら外周位置の領域に設けられた膜厚分布補正機構は、固定された第一の膜厚分布補正板と
    可動する第二の膜厚分布補正板からなり、第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域内に第二
    の膜厚分布補正板が配されており、製膜作業中に第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布
    補正板の粒子遮蔽領域外に移動できることを特徴とする光学多層膜用真空製膜装置。
  2. 被製膜基板の少なくとも中周位置と外周位置の膜厚を測定できる膜厚モニターを設け、
    前記膜厚モニターの値を計算し膜厚分布補正機構に帰還し、第二の膜厚分布補正板を移動
    することを特徴とする請求項1に記載の光学多層膜用真空製膜装置。
  3. 第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域は中周位置および外周位置で円周の6%以下であ
    ることを特徴とする請求項1および2に記載の光学多層膜用真空製膜装置。
  4. 第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚分布補正板の外周位置を支点として回転移動する構
    造であり、第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域から出る面積は
    外周位置から中周位置方向に向かって大きくなることを特徴とする請求項1から3に記載
    の光学多層膜用真空製膜装置。
  5. 第二の膜厚分布補正板が第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域から出る幅は、中周位置
    で中周位置の円周の2.6%以下であることを特徴とする請求項1から4に記載の光学多
    層膜用真空製膜装置。
  6. 第二の膜厚分布補正板は第一の膜厚分布補正板の外周位置を支点として回転移動する構
    造であり、回転させる力点は支点より外側に位置し、圧電素子で駆動することを特徴とす
    る請求項1から5に記載の光学多層膜用真空製膜装置。
  7. 第二の膜厚分布補正板を第一の膜厚分布補正板の粒子遮蔽領域から第二の膜厚分布補正
    板の可動範囲の略半分出した状態で製膜し、中周位置から外周位置間は略直線的に変化す
    る膜厚分布を有する膜を形成する第1工程、中周位置と外周位置の膜厚値を測定する第2
    工程、膜厚値を計算し第二の膜厚分布補正板の移動量を決める第3工程、第二の膜厚分布
    補正板を移動させる第4工程、第2工程から第4工程を繰り返すことを特徴とする光学多
    層膜の製膜方法。
  8. 中周位置と外周位置の膜厚差の修正は、複数回に別けて行い順次修正比率を小さくし、
    中周位置と外周位置の膜厚差を無くすことを特徴とする請求項7に記載の光学多層膜の製
    膜方法。
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