JP2005154819A - 嵌合型接続端子 - Google Patents

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浩 坂本
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Abstract

【課題】 目視では判別できず、かつ前記挿入力の増加に繋がるような接触抵抗の増加を生じるミクロ的な腐食に対する耐食性が優れた、嵌合型接続端子を提供することを目的とする。
【解決手段】 表面に錫又は錫合金めっきが施された銅又は銅合金材からなり、前記錫又は錫合金めっき層表面がリフロー処理を施された嵌合型接続端子であって、前記リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面をレーザー測定機により測定した際の、算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.07μm の範囲であり、かつ、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下であることとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、端子又はコネクタ等の電気電子部品として好適の、錫又は錫合金めっきされた銅又は銅合金材からなる嵌合型接続端子に関し、特に、錫又は錫合金めっきにリフロー処理(加熱溶融処理)を施した、改善された嵌合型接続端子に関する。
一般に、銅又は銅合金材に錫又は錫合金めっきを施しためっき材は、嵌合型接続端子などの電気電子部品用材料として利用されている。
嵌合型接続端子は、特に、自動車等の電線の接続に多く使用され、一つ一つの端子は、オス端子とメス端子の組み合わせの嵌合型接続端子からなっている。これら嵌合型接続端子が複数個集合したコネクタを多極端子という。
近年、自動車の電装化が進むなかで電子制御装置に要求される機能が増加し、端子の小型化とともに端子を集合させて形成する多極コネクターの極数、即ち端子の数が増加している。このように端子の数が増加すると、コネクターを嵌合する際の挿入力が大きくなり、自動車を組み立てる際の作業性を低下させる原因ともなっている。このため、端子の数が増加しても、挿入力が従来よりも大きくならないような、低挿入力の端子が要求されている。
嵌合型接続端子の低挿入力化のためには、錫又は錫合金めっきの低摩擦係数化が重要となる。嵌合型接続端子における、錫又は錫合金めっきの低摩擦係数化方法としては、錫又は錫合金めっきとして、リフロー処理(加熱溶融処理)を施して光沢を得る方法が一般的である。また、このリフロー処理後は、はんだ付け不良を起こす錫と銅の金属間化合物の成長を抑制するために、水槽に浸漬して急冷するクエンチ処理を行う。
しかしながら、このリフロー処理を施された錫又は錫合金めっきにおいて、摩擦係数を下げるためには、錫めっき厚を薄くすることが有効であるが、錫めっき層の厚さを薄くすると、反対に耐食性が低下する問題がある。したがって、製造後の錫めっき銅材の経時変化により腐食し、嵌合型接続端子としての使用時に、接触抵抗が高くなって、前記挿入力が大きくなり、性能が安定しないという問題がある。また、前記腐食により、均一なめっき表面を必要とする端子又はコネクタでも反射率が低下するなどの問題となる。
このため、従来から、リフロー処理を施され、かつめっき層の厚さを薄くた錫又は錫合金めっきにおいて、耐食性を向上させる方法が種々提案されている。
例えば、リフロー処理による加熱溶融時に、めっき層中の錫原子と母材、または下地の銅原子との拡散により形成される金属層の厚みを0.4 〜1.2 μm とし、加熱溶融後の錫又は錫合金めっき層厚みを0.4 〜1.2 μm の範囲に制御する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、熱処理として、厚みが0.8 〜1.2 μm 程度の錫又は錫合金めっき層を、溶融しない程度の100 〜300 ℃で、5 〜30秒程度加熱することにより、錫又は錫合金めっき層中に、錫- 銅金属間化合物(η相)が分散した錫めっき層を形成させることも提案されている(特許文献2参照)。
更に、錫又は錫合金めっき層中に、C を含有させて摩擦係数を0.30以下とすることも提案されている(特許文献3参照)。あるいは、厚みが0.7 〜2.0 μm 程度の錫又は錫合金めっき層表面に有機潤滑皮膜を形成することも提案されている(特許文献4参照)。
特許2647656 号公報(1〜3 頁) 特開2003−82499 号公報(1〜5 頁) 特許2971035 号公報(1〜4 頁) 特開2003−183882号公報(1〜5 頁)
しかし、前記特許文献1や2、あるいは3 の方法でも、リフロー処理条件によっては、錫又は錫合金めっき層の表面 (最表面) の性状は改善できていない。このため、これら改良された薄めっき層の錫又は錫合金めっきが施された銅又は銅合金材からなる嵌合型接続端子は、例えば腐食生成物が無いなど、耐食性試験の結果が良好であったとしても、耐食性試験後の端子の接触抵抗が低いままであるとは限らない。即ち、目視では腐食生成物を判別できないが、前記挿入力の増加に繋がるような接触抵抗の増加を生じる、錫又は錫合金めっき層表面のミクロ的な腐食によって、錫又は錫合金めっき層表面の耐食性が低下することは防止できない。また、嵌合型接続端子が製造されてから使用されるまでには数週間から数ヶ月の時間的経過があり、製造直後の嵌合型接続端子の耐食性試験結果だけからでは、経時変化に伴って上記ミクロ的な腐食が生じることを評価できない。
更に、前記特許文献4 の方法では、有機潤滑皮膜による、絶縁作用や、端子使用環境下における摺動磨耗などによる皮膜粉化や劣化、更には、耐熱性などの新たな問題が生じる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、錫又は錫合金めっきを、低挿入力化のために、低摩擦係数化させた嵌合型接続端子であって、目視では判別できず、かつ前記挿入力の増加に繋がるような接触抵抗の増加を生じるミクロ的な腐食に対する耐食性が優れた、嵌合型接続端子を提供することである。
この目的を達成するために、本発明の嵌合型接続端子の要旨は、表面に錫又は錫合金めっきが施された銅又は銅合金材からなり、更に、前記錫又は錫合金めっき層表面がリフロー処理を施された嵌合型接続端子であって、前記リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面をレーザー測定機により測定した際の、算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.07μm の範囲であり、かつ、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下であることである。
本発明では、リフロー処理を施され、かつめっき層の厚さを薄くした錫又は錫合金めっきにおいて、嵌合型接続端子の最外表面である、錫又は錫合金めっき層表面の粗さを制御する。これによって、目視では判別できず、かつ前記挿入力の増加に繋がるような接触抵抗の増加を生じる、めっき層表面のミクロ的な腐食 (以下、単にミクロ腐食と言う) や通常の耐食性を併せて向上させる。
即ち、上記ミクロ腐食に対する錫又は錫合金めっき層表面の耐食性は、錫又は錫合金めっき層表面の粗さと密接に相関している。そして、更に、錫又は錫合金めっき層表面の粗さを上記規定の範囲とすることで、錫又は錫合金めっき層表面の上記ミクロ腐食に対する耐食性 (ミクロ耐食性) を向上させることができる。また、錫又は錫合金めっき層表面の粗さを上記規定の範囲とすることで、上記ミクロ腐食に対する耐食性のみならず、通常の、腐食生成物が目視で判別可能な、謂わばマクロ腐食に対する耐食性 (マクロ耐食性) も、併せて向上させることができる。
以下に、本発明の実施態様を具体的に説明する。
(めっき層表面粗さ)
本発明では、前記リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面の粗さを、非接触式のレーザー測定機によりめっき層表面を測定した際の、算術平均粗さ(Ra)と表面凹凸の平均間隔(Sm)で規定する。そして、この算術平均粗さ(Ra)を0.02〜0.07μm の範囲、表面の凹凸の平均間隔(Sm)を25μm 以下と規定する。
この算術平均粗さ(Ra)が0.07μm を超えた場合、低挿入力化のために、低摩擦係数化させた嵌合型接続端子であっても、経時変化に伴うミクロ腐食によって、挿入力の増加に繋がるような、接触抵抗が高くなる程度に、錫又は錫合金めっき層表面の耐食性が低下する。また、マクロ耐食性や反射率なども低下する。一方この算術平均粗さ(Ra)が小さいほど、反射率が向上し、錫又は錫合金めっき層表面の上記ミクロおよびマクロ耐食性が向上するが、算術平均粗さ(Ra)が0.02μm 未満では却って摩擦係数が高くなり過ぎる。しかも、このような小さい算術平均粗さは実際に製造しにくく、母材の表面研磨工程やリフロー処理工程などで製造コストを圧迫する。したがって、算術平均粗さ(Ra)は0.02〜0.07μm の範囲とする。
また、めっき層表面凹凸の平均間隔(Sm)が大きいほど反射率は高くなり、小さいほど反射率は小さくなる。しかし、めっき層表面凹凸の平均間隔(Sm)が25μm を超えた場合、摩擦係数が高くなり過ぎ、嵌合型接続端子としての性能が劣る。したがって、めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)は25μm 以下とする。なお、錫又は錫合金めっき層表面の反射率は50〜75% の範囲が好ましい。
なお、上記ミクロ腐食は、マクロ腐食のように、目視では腐食や腐食生成物が判別できない。また、本発明では、ミクロ腐食の内でも、前記挿入力の増加に繋がるような接触抵抗の増加を生じる、めっき層表面のミクロ的な腐食を問題にしている。したがって、ミクロ耐食性の評価は、後述する実施例の通り、嵌合型接続端子を製造後、使用されるまでの経時変化を模擬して、試験片の腐食促進試験を行なった後に行なう試験片表面の接触抵抗にて評価する。
ここで、めっき層表面の粗さ測定には、触針式表面粗さ計などを用いたJIS B0601 を含めて種々の方法があり、測定要素 (項目) も、上記他にも、最大粗さ(Rmax ) や最大高さ(Ry ) 、十点平均表面粗さ(Rz ) 、ピークカウント (表面の凹凸によって形成される一定以上の高さの山の数) などがある。しかし、厚みが0.5 〜2.5 μm 程度の薄い錫又は錫合金めっき層であって、かつRaが0.02〜0.07μm の範囲のような微細なレベルでは、非接触式によるレーザー測定機によらないと正確に、再現性良く測定できない。また、上記表面粗さの種々の測定方法や要素の内でも、非接触式によるレーザー測定機によりめっき層表面を測定した際の、上記算術平均粗さ(Ra)と、凹凸の平均間隔(Sm)とが、上記したミクロ耐食性に大きく影響するとともに、これらめっき層表面粗さ要素を正確に、再現性良く測定できる。
これらめっき層表面粗さは、基本的には、リフロー処理における加熱温度と処理時間によって制御する。リフロー処理によって、母材である銅材の表面粗さに依存して、比較的粗面であっためっき層表面が溶融して平滑化し、上記算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.07μm の範囲のような比較的小さい範囲に納まる。この現象は、めっき層表面の溶融だけではなく、錫又は錫合金めっきの錫と、母材銅との錫- 銅金属間化合物(η相)の生成と分散状態も大きく影響しているものと推考される。
但し、母材である銅材や錫又は錫合金めっき層の条件が全て同じ条件であったとしても、また加えて、リフロー処理における加熱温度と処理時間が、例えば、加熱温度600 ℃×処理時間10秒と同じであったとしても、めっき層表面が、上記算術平均粗さ(Ra)で0.02〜0.07μm の範囲になるとは限らない。これは、めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)も同様である。
上記算術平均粗さ(Ra)の値は、例えば、リフロー処理が一般的な熱風対流雰囲気による加熱の場合には、熱風の温度とともに、めっき層に対する流量あるいは速度によって、大きく異なる。これは、めっき層厚みが0.5 〜2.5 μm 程度の薄膜の領域では、めっき層表面の溶融や、錫- 銅金属間化合物(η相)の生成とめっき層中への分散状態が、熱風の流量あるいは速度によって微妙に影響され、これに伴って、上記算術平均粗さ(Ra)やめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)の値が大きく異なるようになるからであろうと推考される。
したがって、再現性良く、めっき層表面粗さを、上記算術平均粗さ(Ra)とめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)との本発明範囲に入れようとするならば、リフロー処理における加熱温度と処理時間とともに、上記しためっき層に対する熱風の流量あるいは速度による上記算術平均粗さ(Ra)とめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)への影響を予め定量的に確認した上で、これらの条件を定めて、リフロー処理を行なう必要がある。
上記した通り、算術平均粗さ(Ra)やめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が、母材である銅材の表面粗さに依存しても、リフロー処理によって上記本発明の比較的小さい範囲に納めることは可能である。しかし、やはり、母材である銅材の表面粗さの影響は大きい。したがって、リフロー処理によって算術平均粗さ(Ra)とめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)とが上記発明範囲に入るように、母材である銅材の生産性や製造コストを阻害しない範囲で、銅材の表面粗さをできるだけ細かくすることが好ましい。
熱間圧延あるいは冷間圧延を施す通常の銅板の製造方法では、母材であるこの銅合金薄板の表面粗さは算術平均粗さ(Ra)で0.05μm 以上程度ある。したがって、母材である銅材の最終製造工程 (冷間圧延上がり、あるいは焼鈍、または酸洗) 後に、バフ研磨などの機械的な研磨や、電解研磨などの化学的な研磨によって、母材である銅材の表面粗さをできるだけ細かくすることが好ましい。
(錫又は錫合金めっき)
本発明における錫又は錫合金めっき自体は、鉛を含有しない、いわゆる鉛フリーめっきとしての公知の組成のめっきを用いて良い。即ち、純錫めっき、又は、錫- 銅合金めっき、錫- ビスマス合金めっき、錫- 銀合金めっき、錫- 亜鉛合金めっき、錫- インジウム合金めっきなどが例示される。これらは、半田付け性、曲げ性にも優れる。
錫又は錫合金めっき層は、嵌合型接続端子として要求される上記耐食性に合わせて厚みが選定されるが、0.5 〜2.5 μm の範囲とすることが好ましい。厚みが0.5 μm 未満では、低挿入力化のために、低摩擦係数化させた嵌合型接続端子であっても、挿入力の増加に繋がる、錫又は錫合金めっき層表面のマクロ耐食性や前記ミクロ耐食性が低下する可能性がある。一方、厚みの増加とともに低挿入力による挿抜性は低下するため、厚みが2.5 μm を超えた場合も、挿入力の増加につながる。
(銅又は銅合金、ニッケル又はニッケル合金下地)
銅又は銅合金母材と錫又は錫合金めっき層との間に、銅又は銅合金か、ニッケル又はニッケル合金かの、いずれかの層をバリア層として介在させる態様も、下記効果を得たい場合に適宜選択される。錫又は錫合金めっき層に対する下地として形成される銅又は銅合金、ニッケル又はニッケル合金めっき層などのバリア層は、めっき皮膜の耐熱信頼性を高める。例えば自動車のエンジンルーム内などの高温雰囲気中で長期間使用される場合に、母材の銅が錫めっき層へ拡散するのを阻み、接触抵抗が増加したり、錫- 銅金属間化合物の成長によるめっき剥離が発生するのを防止する。
これらバリア層を形成する場合、その厚みは0.1 〜3 μm 程度が望ましい。0.1 μm 未満ではこれらの効果が不足し、3 μm を超えて設ける必要は無く、却って、挿入力の増加につながる。なお、これら銅合金やニッケル合金としては、母材元素の拡散防止効果が得られる組成であれば、互いのニッケルや銅、あるいは錫、鉄、亜鉛、コバルト、リン、銀、ボロンなどの1種または2 種以上を含むものが使用できる。
(母材銅又は銅合金材)
母材銅又は銅合金材は、嵌合型接続端子として要求される強度などの機械的な性質や成形性、耐食性などに応じて、Cu-Zn 系合金、Cu-Zn-(Pb 、Sn、Al、Mn、Fe) 系合金などの黄銅、あるいは純銅、Cu-Al-Fe-Mn-Ni系合金、Cu- Si系合金等の特殊青銅などの、一般的な合金分類の銅が適宜選択される。
母材銅又は銅合金材の製造には、特別な工程は不要で、常法と同じ工程で製造できる。即ち、母材銅合金薄板の場合の製造は、まず鋳塊に熱間圧延あるいは冷間圧延を施し厚さ10mm前後の板とし、表面スケール除去のための面削が行われる。なお合金によっては面削前に焼鈍を行う場合もある。面削後に行われる冷間圧延工程において、冷間圧延、焼鈍・溶体化および焼き入れ処理などの調質処理、酸洗、表面研磨の処理を、適宜選択乃至繰り返し行って、母材銅又は銅合金板厚、例えば0.1 〜0.3mm の板厚に加工される。
(錫又は錫合金めっき方法)
本発明に係る錫又は錫合金めっきの製造方法は、基本的に、母材銅又は銅合金材に、電気めっきにより錫又は錫合金めっきを施してめっき材を得る工程と、めっき層表面を加熱溶融するリフロー処理を行う工程と、このリフロー処理しためっき材を冷却媒体を使用して冷却することによりクエンチ処理する工程とを有する。
リフロー処理は、めっき材を、例えば600 ℃程度に数十秒間加熱し、錫又は錫合金めっき層表面の一部を溶融させて光沢を得る処理を行なう。その後リフロー処理しためっき材を、はんだ付け不良を起こす錫と銅の金属間化合物の成長を抑制するために、水槽など冷却媒体中に浸漬、あるいは冷却媒体を吹き付けるなど、適宜の手段で急冷するクエンチ処理を行なう。
但し、前記した通り、めっき層表面粗さは、基本的にリフロー処理における加熱温度と処理時間によって、そして、一般的な熱風対流雰囲気による加熱の場合には、めっき層に対する熱風の流量あるいは速度によって、大きく影響する。したがって再現性良く、めっき層表面粗さを、上記算術平均粗さ(Ra)とめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)との本発明範囲に入れようとするならば、リフロー処理における加熱温度と処理時間とともに、上記しためっき層に対する熱風の流量あるいは速度による上記算術平均粗さ(Ra)とめっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)への影響を予め定量的に確認した上で、これらの条件を定めてリフロー処理を行なう必要がある。
以下に本発明の実施例を説明する。上記常法により製造した黄銅板 (圧延板) から、100mm 四方で板厚が0.25mmの、Znを30質量% 含有した母材黄銅板を採取した。この母材黄銅板に、銅下地めっきを下記条件で0.8 μm 施し、更にその上に、純錫めっきを下記条件で、表1 、2 に示す各種厚みに施した。なお、表1 は発明例、表2 は比較例である。
(銅下地めっき条件)
めっき浴組成;硫酸銅:250 g/リットル、硫酸:100g/リットル、めっき浴の温度;35℃、電流密度;4 A/dm2
(錫めっき条件)
めっき浴組成;硫酸第一錫:50g/リットル、硫酸:100g/リットル、めっき浴の温度;25℃、電流密度;4 A/dm2
次いで、このめっき材を温度が600 ℃の熱風対流雰囲気炉内に10秒間入れてリフロー処理した後、25℃の水槽中に浸漬して冷却し、クエンチ処理した。この条件での熱風対流雰囲気による加熱の場合に、めっき層に対する熱風の流量および速度とめっき材の錫めっき層表面の算術平均粗さ(Ra)と、めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)との定量的な関係を予め把握しておいた。そして、めっき層に対する熱風の流量と速度とを変えて制御することで、各めっき材の錫めっき層表面の算術平均粗さ(Ra)と、めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)を各々変えた。
これらめっき材を供試材とし、供試材より各試験片を採取して、各種測定および評価を行なった。先ず、試験片の錫めっき厚さ、試験片の錫めっき層表面の算術平均粗さ(Ra)、めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)を、レーザー測定機 (Lasertec社製、1LM21D、リアルタイム走査型レーザー顕微鏡) により測定した。また、摩擦係数、耐食性、耐食性試験後の接触抵抗、反射率を各々測定、評価した。錫めっき厚さは蛍光X 線膜厚測定装置により求めた。これらの結果を表1 、2 に示す。
(摩擦係数)
図1 に示す摩擦係数測定用の試験装置を用いて、同一供試材から切り出した試験片同士を、一定面積が接触するようにして、オートグラフを用いて測定した。即ち、面積1cm2の板状の錫めっき試験材 (試験片)1を荷重N が1kgfの同じ底面積のブロック2 に貼りつけ、この試験材1 を他方の同一試験材3 の表面で、移動速度0.38mm/ 秒で錫めっき面同士を滑らせ、その水平方向にかかる力(F) をロードセル6 により検出し、動摩擦係数 (μ) を次式、摩擦係数μ=水平方向にかかる力F/荷重N により求めた。なお、図1 において、4 は試験材1 を引っ張る弾性の少ないワイヤ、5 はプーリーである。また、試験材摩擦面に潤滑剤は一切使用しなかった。
(マクロ耐食性)
JIS 8617に基づく塩水噴霧試験を行い、試験片表面を観察し、目視で腐食生成物や腐食の有無を判定し、マクロ耐食性を評価した。そして、腐食生成物や腐食の無いものを○、有るものを×と評価した。塩水噴霧試験条件は、5%の塩水の35℃の温度における飽和水蒸気の中で、12時間放置した。
(腐食促進後の接触抵抗−ミクロ耐食性)
嵌合型接続端子を製造後、使用されるまでの経時変化を模擬して、試験片端部面を防水塗装した後、試験片を温度40℃、湿度85% の腐食雰囲気下に24時間放置して腐食を促進した後に、この試験片表面の接触抵抗を測定し、ミクロ耐食性を評価した。接触抵抗は四端子法により、解放電圧20mV、電流10mA、摺動荷重100kgfにて測定した。
表1 から分かる通り、リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面の、算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.07μm の範囲であり、かつ、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下である発明例1 〜15は、反射率が50% 以上有り、かつ摩擦係数が0.30以下と低く、マクロ耐食性も良好である。そして、上記腐食促進後の接触抵抗も、発明例の中で比較的高い発明例6 でも2.3 mΩ以下と低い。これら発明例の低接触抵抗レベルは、経時変化しても、ミクロ耐食性が良好で、挿入力の増加に繋がる接触抵抗の上昇が抑制できていると言える。
これに対して、表2 から分かる通り、リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面の、算術平均粗さ(Ra)が0.02μm 未満である、比較例16〜20は、反射率が76.2% 以上有る。しかし、摩擦係数が0.35を超えて高い。ただ、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下であり、マクロ、ミクロを含めて耐食性は良く、腐食促進後の接触抵抗は2.2 mΩ以下と低い。
リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面の、算術平均粗さ(Ra)が0.07μm を超える、比較例21〜25は、摩擦係数は0.30以下と低いものの、反射率が50% 未満と低い。また、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下であるにもかかわらず、マクロ、ミクロを含めて耐食性は悪く、腐食促進後の接触抵抗も10.3m Ωを超えて高い。したがって、この接触抵抗の高レベルは、経時変化によって、ミクロ腐食が進み、挿入力の増加に繋がる接触抵抗の上昇を抑制できていないと言えるものである。
リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm を超える、比較例26〜30は、反射率が78.5% 以上有る。しかし、摩擦係数が0.35を超えて高い。ただ、錫又は錫合金めっき層表面の算術平均粗さ(Ra)は発明範囲内であるため、マクロ、ミクロを含めて耐食性は良く、耐食性試験後の接触抵抗は2.1mΩ以下と低い。
以上の結果から、リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面の、算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.07μm の範囲であり、かつ、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下であることの、マクロ、ミクロを含めた耐食性など、嵌合型接続端子性能乃至本発明効果に対する臨界的な意義が裏付けられる。
Figure 2005154819
Figure 2005154819
以上説明したように、本発明によれば、錫又は錫合金めっきを、低挿入力化のために、低摩擦係数化させた嵌合型接続端子であって、目視では判別できず、かつ前記挿入力の増加に繋がるような接触抵抗の増加を生じるミクロ的な腐食に対する耐食性が優れた、嵌合型接続端子を提供することができる。したがって、錫又は錫合金めっきした銅又は銅合金材の、嵌合型接続端子用途への適用を大きく拡大することができる。
本発明における摩擦係数の測定方法を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1:錫めっき試験材、2:ブロック、3:錫めっき試験材、4:ワイヤ、
5:プーリー、6:ロードセル

Claims (1)

  1. 表面に錫又は錫合金めっきが施された銅又は銅合金材からなり、更に、前記錫又は錫合金めっき層表面がリフロー処理を施された嵌合型接続端子であって、前記リフロー処理後の錫又は錫合金めっき層表面をレーザー測定機により測定した際の、算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.07μm の範囲であり、かつ、錫又は錫合金めっき層表面の凹凸の平均間隔(Sm)が25μm 以下であることを特徴とする嵌合型接続端子。
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