JP2005153315A - インクジェット記録用紙及び記録方法 - Google Patents

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美彦 須田
Junji Ito
淳二 伊藤
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、かつひび割れやブロンジング等の品質低下が抑制されたインクジェット記録用紙及び記録方法を提供することである。
【解決手段】 支持体上に、無機微粒子とバインダーとを含有する多孔質インク受容層を2層以上有するインクジェット記録用紙において、該多孔質インク受容層の少なくとも1層が、分子量200以下である下記一般式(A)で表される化合物と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なく1種とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【化1】
Figure 2005153315

【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙及び記録方法に関し、詳しくは写真画質のプリントを形成する新規のインクジェット記録用紙及びインクジェット記録用紙を用いた記録方法に関するものである。
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)の面からもその改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に微粒子と親水性ポリマーからなる微小な空隙層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を呈し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した記録用紙は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング、いわゆる「しわ」の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。
インクジェット記録においては、一般に、水溶性染料インクを用いる場合と顔料インクを用いる場合とに大きく分けられる。顔料インクは、画像の耐久性は高いが、画像様に光沢が変化しやすく、その結果、写真画質に近いプリントを得にくい。
一方、水溶性染料インクを用いると、画像の鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。しかしながら、この水溶性染料は親水性が高いため、滲みが発生したり耐水性が劣るという欠点を有している。すなわち、画像記録後に、高湿下で長期間保存したり、プリント面上に水滴が付着した場合、染料が滲みやすい特性を有している。
この問題を解決するため、一般には、カチオン性物質のような染料固着性物質を、記録用紙の多孔質層中に添加しておくことが行われている。例えば、カチオン性ポリマーを用いてアニオン性の染料と結合させ、強固に不動化する方法が好ましく用いられている。このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウム、ポリエチレンイミン類、エピクロルヒドリン誘導体などが知られている。
更に、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドを用いて滲み耐性を改良したインクジェット記録用紙(例えば、特許文献1参照。)、あるいは、ポリアリルアミン類を使用して耐水性を改良したインクジェット記録用紙が開示されている(例えば、特許文献2参照。)
また、4級アンモニウム塩の重合物を用いて耐水性、滲み耐性を改良する技術が、例えば、「インクジェットプリンター技術と材料」(株式会社シーエムシー発行 1998年7月)や特開平9−193532号公報に記載されている。また、水溶性の多価金属イオンを予めインクジェット記録用紙中に添加して、インクジェット記録時に染料を凝集固着させて不動化させる方法も提案されている。
しかしながら、高い耐水性、滲み耐性を得るためには、多孔質インク受容層のバインダーを所望の条件に架橋する必要があるが、上記カチオン性ポリマーを用いた場合、乾燥後の膜面にひび割れが生じるなどの問題が発生することが判明し、更なる性能改良が求められている。
特開平10−114144号公報 特開2003−80837号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、かつひび割れやブロンジング等の品質低下が抑制されたインクジェット記録用紙及び記録方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、無機微粒子とバインダーとを含有する多孔質インク受容層を2層以上有するインクジェット記録用紙において、該多孔質インク受容層の少なくとも1層が、分子量200以下である下記一般式(A)で表される化合物と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
Figure 2005153315
〔式中、R1は水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、ヘテロアリール基、複素環基、NR45、またはOR6を表す。R2〜R6は、それぞれR1と同義である。また、R1とR2、R1とR3とがお互いに結合して環を形成しても良い。Xは酸素原子またはNHを表す。〕
(請求項2)
前記多孔質インク受容層の少なくとも1層が、架橋剤として硼素化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記多孔質インク受容層の少なくとも1層が、下記一般式〔1〕または〔2〕で表される4級アンモニウム基を有する水溶性のカチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
Figure 2005153315
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Qは酸素原子または−NH−を表す。R2、R3及びR4は各々メチル基またはエチル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオンまたはアルキルカルボン酸アニオンを表す。nは2または3を表す。〕
Figure 2005153315
〔式中、R5、R6及びR7は各々メチル基またはエチル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオンまたはアルキルカルボン酸アニオンを表す。〕
(請求項4)
前記多孔質インク受容層の少なくとも1層が、多価金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記一般式(A)で表される化合物が、尿素または尿素誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いた記録方法であって、有機溶媒含有比率20質量%以上のインクを用いて該インクジェット記録用紙上に印刷することを特徴とする記録方法。
(請求項7)
請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いた記録方法であって、下記一般式(I)または一般式(II)で表される染料を含有したインクを用いて該インクジェット記録用紙上に印刷することを特徴とする記録方法。
Figure 2005153315
〔式中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。〕
Figure 2005153315
〔式中、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−CONR12または−CO21を表す。Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。a11〜a14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。〕
本発明によれば、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、かつひび割れやブロンジング等の品質低下が抑制されたインクジェット記録用紙及び記録方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を行った結果、分子量200以下である前記一般式(A)で表される化合物と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なく1種とを含有する多孔質インク吸収層を塗布してなるインクジェット記録用紙により、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、かつひび割れやブロンジング等の品質低下が抑制されたインクジェット記録用紙を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
一般に、インクジェット記録用紙の作製において、より高い耐水性、滲み耐性を達成するためには、多孔質インク受容層のバインダーを架橋し、かつ色素を固定する目的でカチオン性物質を含有させるのが好ましい。しかしなから、カチオン性物質として水溶性のカチオン性ポリマーを用いると、塗布・乾燥後に形成した塗膜面にひび割れが生じるなど、品質の劣化をもたらすことがあった。これに対し、水溶性のカチオン性ポリマーを除き、その他のインクジェット記録用紙の構成条件を同一にしてインクジェット記録用紙を作製すると、上記のひび割れ故障の発生頻度が大きく減ることから、水溶性のカチオン性ポリマーが硬膜反応に何らかの影響を及ぼしているものと推定できる。
また、上記カチオン性ポリマーに変えて、前記一般式〔1〕または〔2〕で表される4級アンモニウム基を有する水溶性のカチオン性ポリマーのみを用いると、ひび割れ故障の発生頻度は大きく低下するが、逆に、ブロンジングを生じやすくなり、耐光性が著しく劣化するという新たな課題を引き起こすことが判明した。
本発明者らの検討によれば、本発明に係るポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる特定の構造を有する水溶性のカチオン性ポリマーの少なく1種と、本発明に係る一般式(A)で表される化合物とを併せて用いることにより、ひび割れ故障の発生が大きく低減され、かつ光沢、写像性が改良し、塗膜面品質の向上が達成され、塗膜面の品質と、耐水性、高湿滲み、耐光性などの保存性能が両立できたインクジェット記録用紙を得ることができた。
また、本発明のインクジェット記録用紙においては、有機溶媒含有率の高いインクを用いて印字した時に、特に大きな効果が発揮される。近年、プリンタインクヘッドの目詰まりを防止する目的で、インク中の有機溶媒含有率が高まっているが、このことはインクジェット記録用紙に対しては、より高いインク吸収性の付与を意味している。すなわち、この有機溶媒は、水よりもインク吸収層に吸収されにくいからである。記録用紙のインク吸収性が不足すると、多孔質インク受容層表面に残った色素によって、耐水性や滲み耐性のの劣化を生じる。上記課題に対し、本発明のインクジェット記録用紙では、一般式(A)で表される化合物と、本発明に係る前記一般式〔1〕または〔2〕で表される4級アンモニウム基を有する水溶性のカチオン性ポリマーを添加することによって、高いインク吸収性を維持すると共に、更に耐水性や滲み耐性を改良している。その結果、有機溶媒含有率の高いインクで印字する場合に、特に顕著な性能改良効果を得ることができた。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット記録用紙の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙においては、無機微粒子とバインダーとを含有する多孔質インク受容層を2層以上有し、該多孔質インク受容層の少なくとも1層に、分子量200以下である前記一般式(A)で表される化合物を添加することが1つの特徴である。
前記一般式(A)において、R1は水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、シクロアルキル基等)、置換もしくは非置換のアルケニル基(例えば、プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、置換もしくは非置換のアリール基(例えば、フェニル基等)、置換もしくは非置換のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、置換もしくは非置換のヘテロアリール基(例えば、トリアゾール基、イミダゾール基、ピリジン基、フラン基、チオフェン基等)、置換もしくは非置換の複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、NR45、またはOR6を表す。また、R1とR2、R1とR3とがお互いに結合して環を形成しても良い。Xは酸素原子またはNHを表す。
本発明においては、前記一般式(A)で表される化合物は、アルコール性水酸基を有しないことが、本発明の目的効果を発揮させる観点から好ましい。
前記一般式(A)において、分子量は200以下であることが特徴であり、また水素原子を除く原子数が15以下であることが好ましく、また水溶性であることが、添加容易性の観点から好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(A)で表される化合物例を列挙するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。
Figure 2005153315
Figure 2005153315
本発明に係る一般式(A)で表される化合物は、当業者が公知の方法に従って容易に合成することができ、また市販品として入手することもできる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、前記一般式(A)で表される化合物の中でも、尿素またはその誘導体であることが好ましく、尿素誘導体は基本的には、尿素のアミノ基の水素原子を、他の官能基で修飾された構造を有する。その修飾基は1つでも複数でもよく、複数の修飾基が互いに連結して環をなしていてもよい。本発明で用いることのできる尿素及び尿素誘導体としては、尿素、アルキル尿素、例えば、メチル尿素、エチル尿素、N,N′−ジメチル尿素、エチレン尿素、N,N′−ジヒドロキシエチル尿素等が好ましく、その中でも、特に尿素が好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、上記一般式(A)で表される化合物と共に、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なく1種とを含有することを特徴とする。
本発明でいうポリアリルアミン類とは、下記一般式〔4〕で表されるポリアリルアミン、下記一般式〔5−1〕または〔5−2〕で表されるポリジアリルアミン、下記一般式〔6−1〕または〔6−2〕で表されるポリジアリルアミン誘導体、またはこれらの重合体である。
Figure 2005153315
上記一般式〔4〕において、nは5〜10000の整数、X1 -は無機酸または有機酸の残基を表す。
Figure 2005153315
上記一般式〔5−1〕、〔5−2〕、〔6−1〕及び〔6−2〕において、R1及びR2は各々、水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシエチル基を表し、X2 -は無機酸残基または有機酸残基を表し、Yは2価の連結基を表す。また、一般式〔5−1〕、〔5−2〕において、nは5〜10000の整数である。また、一般式〔6−1〕及び〔6−2〕において、n/m=9/1〜2/8、p=5〜10000である。
上記一般式〔6−1〕または〔6−2〕で表されるポリジアリルアミンの誘導体の具体例としては、例えば、特開昭60−83882号公報に記載の一般式で示されるSO2基を繰り返し単位に含むもの、特開平1−9776号公報の2頁に記載されているアクリルアミドとの共重合体、本発明に係る一般式〔6−1〕または〔6−2〕で示されるポリジアリルアミンとの共重合体が挙げられる。
これらポリアリルアミン類の中で好ましい例として、下記一般式〔7〕または〔8〕で表される構造を有するポリジメチルジアリルアンモニウム類を挙げることができる。
Figure 2005153315
下記一般式〔7〕及び〔8〕において、nは重合度を表す。重合度としては、1000以下が好ましく、800以下がより好ましい。重合度が、1000を越えると粘度が上昇し、取扱いが困難になることがある。Xは1価のアニオンとなりうる原子または原子群であり、ハロゲンであることが好ましく、もっとも好ましくは塩素原子である。
前記ポリジメチルジアリルアンモニウム類として、上記一般式〔7〕で表される構造を有する化合物または前記一般式〔8〕で表される構造を有する化合物を1種単独で使用してもよく、これらを併用してもよい。いずれの場合においても、異なる重合度のものを混合して使用してもよい。また、前記ポリジメチルジアリルアンモニウム類は、適宜合成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明に用いられるジシアンジアミド系縮合物の具体例としては、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物が挙げられ、これらは三洋化成社のサンフィックス70、日本カーバイド社のニカフロックD−1000、日華化学社のネオフィックスF、ネオフィックスRP−70Yなどの商品名でそれぞれ市販されている。
本発明で言うポリエチレンイミン類とは、エチレンイミンを重合させて得られるポリマーまたはその誘導体であり、特にポリエチレンイミン第4級アンモニウム化合物が好ましい。具体的には、例えば、特開昭60−72785号、同60−76386号公報に記載されているものが挙げられる。
本発明に用いられるエピクロルヒドリン誘導体の具体例としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、または特開昭61−252189号公報の2頁に記載されているエピクロルヒドリンと3級アミンとの反応物や特開昭62−259882号公報の4頁に記載されている一般式(II)の化合物等が挙げられる。
また、本発明において、好ましく用いられるエピクロルヒドリン誘導体としては、下記一般式〔9〕で表される構造を有するポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンである。
Figure 2005153315
上記一般式〔9〕において、nは重合度を表す。重合度としては、100〜800が好ましい。重合度が100未満であると結合強度が劣ることがあり、800を越えると安定性に欠けることがある。
上記一般式〔9〕で表される構造を有するポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンは、エポキシ化ポリアミド樹脂とも呼ばれ、分子中に第2級アミンを含むジアミン(例えば、ジエチレントリアミン)とジカルボン酸(例えば、アジピン酸)との脱水縮合反応によって得られるポリアミドポリアミンにおける第2級アミノ基に、エピクロルヒドリンを付加させた後、反応終了後に塩酸でpHを酸性側にすることにより得られる。前記ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンとしては、1種単独で使用してもよいし、異なる重合度のものを混合して併用してもよい。また、前記ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンは、適宜合成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。
これらは公知の方法により合成することができる。また、市販品としてナルポリ−607(ナルコケミカル社製)やポリフィックス601(昭和高分子社製)がある。
本発明のインクジェット記録用紙においては、多孔質インク受容層の少なくとも1層が、上記説明した分子量200以下である前記一般式(A)で表される化合物と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なく1種とを含有し、更に、前記一般式〔1〕、〔2〕及び〔3〕で表される4級アンモニウム基を有する水溶性のカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含有することが、本発明の目的効果をより一層発揮する観点で好ましい。
前記一般式〔1〕において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Qは酸素原子または−NH−を表す。R2、R3及びR4は各々メチル基またはエチル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオンまたはアルキルカルボン酸アニオンを表す。nは2または3を表す。
前記一般式〔1〕で示されるモノマーのうち好ましい化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド或いはエチルアイオダイドによる4級化物、またはそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩或いはアルキルカルボン酸塩を挙げることができる。この中で特に好ましい化合物としては、例えば、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテトなどを挙げることができる。
前記一般式〔2〕において、R5、R6及びR7は各々メチル基またはエチル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオンまたはアルキルカルボン酸アニオンを表す。
前記一般式〔2〕で示されるモノマーの好ましい例としては、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテートなどを挙げることができる。
これらモノマー単位に、更にアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドンから選ばれるモノマーを20〜80質量部の範囲で共重合することで、該4級アンモニウム塩基を有するポリマー自体のインク吸収容量及びインク吸収速度を高め、更に印字したドット径を適度の大きさに調節したりベタ部の印字むらを解消するなど極めて好ましい性質を付与することができる。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙の上述した以外の各構成要素について、その詳細を説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体上に親水性バインダーと無機微粒子を含有する多孔質インク受容層(以下、単にインク受容層ともいう)を2層以上形成する各水溶性塗布液を塗布し、空隙を有するインク受容層を形成したものである。
本発明に係るインク受容層は、主に無機微粒子と親水性バインダーから形成される。インク受容層を形成する無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。上記無機微粒子は一次粒子のまま用いても、また二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、シリカまたはアルミナが好ましく、更にアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカ等が好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであってもく、気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。1μmを越えると光沢性、または発色性が低下しやすく、そのため200nm以下が好ましい。更に100nm以下のシリカが最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
上記無機微粒子の平均粒径は、インク受容層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記無機微粒子は、一次粒子のままで、あるいは二次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜に存在していてもいが、上記平均粒径は、電子顕微鏡で観察した時にインク受容層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記無機微粒子の平均1次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒径以下である必要があり、無機微粒子の1次粒子径としては100nm以下のものが好ましく、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは4〜20nmの微粒子である。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記無機微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ないインク吸収層を形成する必要があり、インク受容層中には、5〜50g/m2の付き量になることが好ましい。更に、10〜25g/m2になることが特に好ましい。
インク受容層に含有される親水性バインダーとしては、特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えばゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールは、無機微粒子と相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000〜5,000のものが好ましく用いられ、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平1−206088号に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の違いなど、2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
インク受容層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、十分な空隙率の多孔質膜が得られ、十分な空隙容量を得やすくなり、維持できる親水性バインダーによるインクジェット記録時の膨潤によって空隙を塞ぐ状況を招かず、高インク吸収速度を維持できる要因となる。一方、この比率が20倍以下であれば、インク受容層を厚膜で塗布した際、ひび割れが生じにくくなる。特に好ましい親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
本発明のインクジェット記録用紙には、前記説明した本発明に係るポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマー、あるいは前記一般式〔1〕または〔2〕で表される4級アンモニウム基を有する水溶性のカチオン性ポリマーと共に、公知のカチオン性ポリマーを用いることを排除するものではない。
本発明のインクジェット記録用紙は、多孔質インク受容層を形成する水溶性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限は無いが、硼酸化合物をもちいることが好ましい。また、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物或いは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
硼酸化合物とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルト硼酸、二硼酸、メタ硼酸、四硼酸、五硼酸及び八硼酸及びそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としての硼素原子を有する硼酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもい。特に好ましいのは硼酸とホウ砂の混合水溶液である。
硼酸と硼砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。また、請求項3に対応する供給量としては、上記水溶性バインダー1g当たり100〜600mgが好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、多孔質インク受容層の少なくとも1層が、多価金属化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る多価金属化合物は、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属化合物を挙げることができ、また多価金属化合物は多価金属塩であってもよい。中でもマグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、亜鉛からなる化合物は無色の為好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物であることが更に好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子を含む化合物であることが特に好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物(但し、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムは除く)は、その化合物自身は水溶性であっても非水溶性であっても良いが、インク受容層の所望の位置に均一に添加できるものであることが好ましい。
また、本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、インク受容層の所望の位置に均一に添加できるものが好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子を含む化合物の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(例えば、塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウムなどが挙げられる。
本発明で用いることのできるアルミニウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩等)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩等)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩など)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
本発明で用いることのできるマグネシウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、硫化マグネシウム、炭化マグネシウム、リン酸マグネシウムがあげられ、これらの中でも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムが好ましい。
これらの多価金属化合物の中でも、特に好ましいものは、前述したジルコニウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したもの、アルミニウム原子含む化合物で好ましいものとして例示したもの、マグネシウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したものの中で、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、塩基性塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムである。特に酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルが好ましく、酸塩化ジルコニウムが最も好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、前記多価金属化合物と共に、アミノ酸を併せて用いることも好ましい方法の1つである。
本発明でいうアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体で使用することができる。
本発明に係るアミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
本発明においては、アミノ酸として、下記一般式(B)で表されるアミノ酸が好ましい。
一般式(B)
2N−R−COOH
一般式(B)において、Rは任意の置換基を表し、炭素数が11以下の置換基が好ましく、更に好ましくは炭素数が8以下の置換基である。このうち、特に好ましいのは、炭素数11以下のα−モノアミノモノカルボン酸、β−モノアミノモノカルボン酸及びγ−モノアミノモノカルボン酸から選ばれる少なくとも1種である。
具体的に好ましいアミノ酸として、アミノカルボン酸、グリシン、アラニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、セリン、ε−アミノ−n−カプロン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニンを挙げることができる。
本発明に用いる支持体は、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもいが、非吸水性支持体であることが好ましい。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体または不透明支持体がある。透明支持体としてはポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50μm〜200μmが好ましい。
また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要は無く、着色された記録シートであってもい。
本発明のインクジェット記録用紙では原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもく、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特にインク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙には、各種の添加剤を添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
次に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法について説明する。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独に或いは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、或いは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、更に好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布及び乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
また、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件であれば特に制限は無いが、好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、或いは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、或いは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。
次いで、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクについて説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、特に水溶性染料インクを用いたインクジェット記録方法において特に効果が大きく好ましいが、顔料インクを用いたインクジェット記録方法でも使用することができる。また、本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いたインクジェット記録方法が好ましく用いられる。
上記水性インクとは、下記着色剤及び溶媒、その他の添加剤を有する記録液体である。着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或いは食品用色素等の水溶性染料、或いは水分散性顔料が使用できる。
本発明の記録方法においては、本発明のインクジェット記録用紙上に、前記一般式(I)または一般式(II)で表される染料を含有したインクを用いて印刷することを特徴とする。
本発明に係るインクでは、前記一般式(I)で表されるマゼンタ染料を含有することを特徴の1つとする。
前記一般式(I)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引基であることが好ましく、σp値が0.45以上の電子吸引基であることが更に好ましく、σp値が0.6以上の電子吸引基であることが特に好ましい。また、σp値が1.0以下の電子吸引性基であることが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
前記一般式(I)において、R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。
前記一般式(I)において、R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
前記一般式(I)において、R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。
前記一般式(I)において、Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。また、この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が挙げらる。
上記説明した一般式(I)における各基は、更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールチオ基、または複素環チオ基等やイオン性親水性基が挙げられる。
ここで、本発明でいうハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数には、σp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しく記載されている。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合、その範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(I)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるがが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えば、アセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
以下に、本発明に係る前記一般式(I)で表される具体的なマゼンタ染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
また、本発明に係るインクでは、前記一般式(II)で表されるシアン染料を含有することを特徴の1つとする。
一般式(II)中、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
11〜X14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは、例えば、X11〜X14が全て−SO2−Zであるが、各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが、部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは、例えば、−SO2−Zと−SO2NR12が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式(II)で表されるフタロシアニン染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
11〜X14としては、それぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、または−CONR12が好ましく、特に−SO2−Z、または−SO2NR12が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。
Zはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。ただしR1、R2が共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
11〜Y18は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。a11〜a14はそれぞれ独立に1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明に係るフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
ハメットの置換基定数σp値について前述と同義である。
前記一般式(II)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を、置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
(1)β−位置換型:2及びまたは3位、6及びまたは7位、10及びまたは11位、14及びまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(2)α−位置換型:1及びまたは4位、5及びまたは8位、9及びまたは12位、13及びまたは16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(3)α,β−位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば、白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
本発明に係る一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)またはジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(II−1)で表される金属誘導体と反応させるか、或いは4−スルホフタロニトリル誘導体(化合物R)と一般式(II−1)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
Figure 2005153315
上記各式中、Xpは上記一般式(II)におけるX11〜X14のいずれか1つに相当する。Yq,Yq′はそれぞれ上記一般式(II)におけるY11〜Y18のいずれか1つに相当する。
一般式(II−1):M−(Y)d
一般式(II−1)において、Mは前記一般式(II)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
得られる前記一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
Figure 2005153315
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13及びX14が全く同じ置換基であるβ位置置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(II)の染料の中でも互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる為、特に好ましい。
本発明に係る一般式(II)で表されるフタロシアニン染料は、特開2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−193638号に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
以下に、本発明に係る前記一般式(II)で表される具体的なシアン染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
Figure 2005153315
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶媒、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
本発明の記録方法においては、本発明のインクジェット記録用紙上に、上記有機溶媒含有比率が20質量%以上のインクを吐出して画像記録することが好ましく、インクの有機溶媒含有比率としてより好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは20〜50質量%である。
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤、等が挙げられる。
水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするために、20℃において、通常、25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。上記インクのpHは、好ましくは5〜10であり、特に好ましくは6〜9である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《記録用紙1の作製》
〔シリカ分散液の調製〕
(シリカ分散液D−1の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒子径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を25%含むシリカ分散液B−1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を2g含有)の110Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、硼酸とホウ砂の1:1質量比の混合水溶液A−1(各々3%の濃度)の54Lを攪拌しながら、徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。
(シリカ分散液D−2の調製)
上記シリカ分散液B−1の400Lを、カチオン性ポリマーP−2を12%、n−プロパノール10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−2(pH=2.5)の120Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記混合水溶液A−1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−2を得た。
上記シリカ分散液D−1及びシリカ分散液D−2は、それぞれ調製した後、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
Figure 2005153315
〔塗布液の調製〕
上記調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、多孔質インク受容層用の各塗布液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当りの量で表示した。
(第1層用塗布液:最下層)
シリカ分散液D−1 625ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3500 ケン化度99.7%、クラレ社製
PVA135H)5%水溶液 363ml
エタノール 8.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
(第2層用塗布液)
シリカ分散液D−1 625ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3500 ケン化度99.7%、クラレ社製
PVA135H)5%水溶液 363ml
エタノール 8ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
(第3層用塗布液)
シリカ分散液D−2 625ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3500 ケン化度99.7%、クラレ社製
PVA135H)5%水溶液 363ml
エタノール 3ml
20%酢酸ジルコニル水溶液(ジルコゾールZA:第一希元素化学工業(株)製)
30ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
(第4層用塗布液:最上層)
シリカ分散液D−2 625ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3500 ケン化度99.7%、クラレ社製
PVA135H)5%水溶液 363ml
カチオン性界面活性剤−1の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
エタノール 3ml
20%酢酸ジルコニル水溶液(ジルコゾールZA:第一希元素化学工業(株)製)
30ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
Figure 2005153315
上記の様に調製した各層用塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
〔塗布〕
上記調製した各塗布液を、下記の湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支持体上に、スライドホッパー型コーターを用いて4層同時塗布した。
〈湿潤膜厚〉
第1層:40μm
第2層:40μm
第3層;40μm
第4層:40μm
なお、上記紙支持体は、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール状に巻かれた下記の支持体を用いた。
使用した紙支持体は、含水率が8%で、坪量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布した。表面側はコロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を記録媒体1m2当り0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電した後、Tgが約80℃のスチレン−アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
各層塗布液を紙支持体上に塗布して各インク受容層を形成した後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンにて20〜40℃の温風を6〜7分間吹付けて乾燥を行った後、ロール状に巻き取って記録用紙1を得た。
《記録用紙2〜12の作製》
上記記録用紙1の作製に用いたシリカ分散液D−2(第3層、第4層で使用)において、カチオン性ポリマーP−2に代えて、表1に記載の水溶性のカチオン性ポリマーを用い、更に第1層〜第4層の各塗布液に、表1に記載の様に10%尿素水溶液を添加した以外は同様にして、記録用紙2〜12を作製した。
《記録用紙13の作製》
上記記録用紙8の作製において、第3層及び第4層塗布液の調製に用いた20%酢酸ジルコニル水溶液(ジルコゾールZA)を除いた以外は同様にして、記録用紙13を作製した。
なお、表1に略称で記載した各水溶性のカチオン性ポリマーの詳細は、以下の通りである。
〔a:ポリアリルアミン類〕
a−1:PAA−HCl(ポリアリルアミン塩酸塩 日東紡製)
a−2:PAS−H(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド 日東紡製)
〔b:ジシアンジアミド系縮合物〕
b−1:サンフィックス70(ジシアンジアミドホルマリン縮合物 三洋化成製)
〔c:ポリエチレンイミン類〕
c−1:エポミンPK(強カチオン性ポリエチレンイミン 日本触媒製)
〔d:エピクロルヒドリン誘導体〕
d−1:ポリフィックス601(昭和高分子社製)
《記録用紙の評価》
以上の様にして得られた記録用紙1〜13について、以下の各特性評価を行なった。
〔ひび割れ耐性の評価〕
各記録用紙のインク受容層塗布面を、0.1m2をルーペを用いてひび割れ状態を観察し、下記の基準に則りひび割れ耐性の評価を行った。
A:ひび割れがほとんど観察されない
B:0.5mm未満の微小なひび割れが数点観察される
C:0.5mm以上の粗大なひび割れが数点観察される
D:0.5mm以上の粗大なひび割れが全面に観察される
〔発色性の評価:画像濃度の測定〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正のマゼンタインクによりマゼンタベタ画像を印字し、その反射濃度を光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定し、下記の基準に従って発色性の評価を行った。
A:マゼンタ画像濃度が、1.7以上
B:マゼンタ画像濃度が、1.6以上、1.7未満
C:マゼンタ画像濃度が、1.4以上、1.6未満
D:マゼンタ画像濃度が、1.4未満
〔ブロンジング耐性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正のブラックインクにより黒ベタ画像を印字し、形成した黒ベタ画像を23℃、相対湿度80%の雰囲気下で1週間保存した後、プリント画像の状態(ブロンジングの発生具合)を目視観察し、下記の基準に則りブロンジング耐性の評価を行った。
A:ブロンジングの発生が認められない
B:わずかにブロンジングが認められるが問題ない
C:一部でブロンジングが認められるが実用上問題ない
D:ブロンジングが激しく認められる
〔滲み耐性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正マゼンタインクによるマゼンタベタ画像を背景として、ブラックインクによる線幅が約0.3mmの細線を印字した。次いで、印字後直ちに、試料の両面を、記録用紙の作製に用いた紙支持体1により上下各3枚ずつ重ねた後、輪ゴムで固定し、この積層試料を、50℃、相対湿度85%の雰囲気下で7日間保存した。次いで、保存前後でのブラックインクの線幅をマイクロデンシトメーターで測定(反射濃度が最大濃度の50%部分の幅を線幅とした)し、下式に従って滲み率を測定し、下記の基準に則り滲み耐性の評価を行った。この滲み率が小さいほど、滲み耐性に優れていることを表す。
滲み率=(画像保存後の線幅)/(画像保存前の線幅)
A:滲み率が1.00〜1.20である
B:滲み率が1.21〜1.40である
C:滲み率が1.41〜1.60である
D:滲み率が1.61以上である
〔耐光性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正マゼンタインクによるマゼンタ画像濃度が約1.0のベタ画像を印字し、この画像サンプルを、キセノン・フェードメーターを用いて、70000ルクスで、100時間照射した後、反射濃度残存率(照射後の反射濃度/照射前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従い耐光性の評価を行った。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定した。
A:反射濃度残存率が、90%以上
B:反射濃度残存率が、80%以上、90%未満
C:反射濃度残存率が、70%以上、80%未満
D:反射濃度残存率が、70%未満
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005153315
表1の結果より明らかな様に、本発明に係るカチオン性ポリマーを第3層、第4層に含有する記録用紙2〜6は、比較のカチオン性ポリマーのみを用いた記録用紙1に比較し、ブロンジング耐性と耐光性に優れるが、ひび割れを生じやすいという大きな欠点があった。これに対し、本発明に係る一般式(A)で表される尿素を含有した本発明の記録用紙8〜13では、ひび割れ耐性が大幅に改良されると共に、発色性、耐光性、ブロンジング耐性及び滲み耐性との両立が達成できていることが分かる。
また、上記方法と同様にして、シリカ分散液D−2の調製に使用するカチオン性ポリマーとして下記のa−3、b−2、d−2を用いた場合にも、記録用紙8〜12と同様の効果が得られることを確認した。
〔a:ポリアリルアミン類〕
a−3:PAS−J(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体 日東紡製)
〔b:ジシアンジアミド系縮合物〕
b−2:ネオフィックスRP−70(ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドホルマリン縮合物 日華化学製)
〔d:エピクロルヒドリン誘導体〕
d−2:ナルポリ−607(エピクロルヒドリン−3級アミン反応物 ナルコケミカル製)
実施例2
実施例1に記載の記録用紙8の作製において、尿素に代えて、一般式(A)で表される化合物である例示化合物2を第1層及び第2層の塗布液それぞれに1Lあたり1g、また第3層、第4層の塗布液それぞれに1Lあたり1.5g添加した以外は同様にして、記録用紙14を作製した。
更に、上記記録用紙14の作製において、例示化合物2に代えて、例示化合物25、28、39、50をそれぞれ用いた以外は同様にして、記録用紙15〜18を作製した。
以上のようにして作製した記録用紙14〜18について、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、発色性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の各評価を行った結果、実施例1に記載の記録用紙8と同様の優れた効果を確認することができた。
実施例3
実施例1に記載の記録用紙8、9、10、12の作製において、シリカ分散液D−1の調製に使用するカチオン性ポリマーP−1をそれぞれ表2に記載のカチオン性ポリマーに変更した以外は同様にして、記録用紙19〜22を作製し、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、発色性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
Figure 2005153315
表2の結果より明らかな様に、本発明に係るカチオン性ポリマーを第1層、第2層にも含有した記録用紙19〜22は、実施例1に記載の本発明の記録用紙の効果に比較すると滲み耐性に若干影響が出る場合があるが、基本的に本発明の目的効果を得ることができる。
実施例4
施例1に記載の記録用紙7の作製において、シリカ分散液D−2の調製に用いたカチオン性ポリマーP−2の半量をa−1またはa−2にに置き換え、更に表3に記載のように10%尿素水溶液の添加層及び添加量を変更した以外は同様にして、記録用紙23〜25を作製し、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、発色性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の各評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2005153315
表3の結果より明らかな様に、第3層及び第4層に使用するカチオン性ポリマーの一部を本発明に係るカチオン性ポリマーに置き換えても、本発明の意図する効果を得ることができる。この場合、発色性の改良は不十分であるが、耐光性の改良効果は大きい事が分かる。
実施例5
《インクセットの調製》
〔インクセットAの調製〕
〈イエロー濃色インクY1〉
C.I.Acid Yellow 132 3.0質量%
ジエチレングリコール 10.0質量%
グリセリン 10.0質量%
トリエチレングリコールモノメチルエーテル 5.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 25.0質量%
〈イエロー淡色インクY2〉
C.I.Acid Yellow 132 0.75質量%
ジエチレングリコール 10.0質量%
グリセリン 10.0質量%
トリエチレングリコールモノメチルエーテル 10.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 30.0質量%
〈マゼンタ濃色インクM1〉
C.I.Acid Red 249 4.0質量%
ジプロピレングリコール 10.0質量%
テトラエチレングリコール 10.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 30.0質量%
〈マゼンタ淡色インクM2〉
C.I.Acid Red 249 1.0質量%
ジエチレングリコール 12.0質量%
グリセリン 12.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 34.0質量%
〈シアン濃色インクC1〉
C.I.Direct Blue 199 3.0質量%
エチレングリコール 10.0質量%
グリセリン 10.0質量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 10.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 30.0質量%
〈シアン淡色インクC2〉
C.I.Direct Blue 199 1.0質量%
ジプロピレングリコール 5.0質量%
グリセリン 10.0質量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 10.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 25.0質量%
〈ブラック濃色インクK1〉
Basacid Black X34 30.0質量%
エチレングリコール 7.0質量%
ジエチレングリコール 7.0質量%
グリセリン 7.0質量%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 3.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 24.0質量%
〈ブラック淡色インクK2〉
Basacid Black X34 9.0質量%
エチレングリコール 7.0質量%
プロピレングリコール 7.0質量%
グリセリン 7.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 24.0質量%
〔インクセットBの調製〕
〈イエロー濃色インクY3〉
C.I.Acid Yellow 132 3.0質量%
ジエチレングリコール 7.5質量%
グリセリン 7.5質量%
トリエチレングリコールモノメチルエーテル 2.5質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 17.5質量%
〈イエロー淡色インクY4〉
C.I.Acid Yellow 132 0.75質量%
ジエチレングリコール 6.0質量%
グリセリン 6.0質量%
トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 18.0質量%
〈マゼンタ濃色インクM3〉
C.I.Acid Red 249 4.0質量%
ジプロピレングリコール 6.0質量%
テトラエチレングリコール 6.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 18.0質量%
〈マゼンタ淡色インクM4〉
C.I.Acid Red 249 1.0質量%
ジエチレングリコール 6.0質量%
グリセリン 6.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 17.0質量%
〈シアン濃色インクC3〉
C.I.Direct Blue 199 3.0質量%
エチレングリコール 6.0質量%
グリセリン 6.0質量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 6.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 18.0質量%
〈シアン淡色インクC4〉
C.I.Direct Blue 199 1.0質量%
ジプロピレングリコール 2.5質量%
グリセリン 7.5質量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 7.5質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 17.5質量%
〈ブラック濃色インクK3〉
Basacid Black X34 30.0質量%
エチレングリコール 5.0質量%
ジエチレングリコール 5.0質量%
グリセリン 5.0質量%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 3.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 18.0質量%
〈ブラック淡色インクK4〉
Basacid Black X34 9.0質量%
エチレングリコール 4.0質量%
プロピレングリコール 4.0質量%
グリセリン 7.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0質量%
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学製) 1.0質量%
イオン交換水 残部
インク中の総有機溶剤量 19.0質量%
《記録用紙の評価》
上記調製した各インクセットと各記録用紙を用いて、表4に記載の組み合わせで、画像プリントを行い、実施例1に記載の方法と同様の評価基準でブロンジング耐性の評価と、下記の方法に従って発色性とインク吸収性の評価を行った。
(画像プリント)
実施例1で作製した記録用紙2、8、12について、ノズル直径23μm、駆動周波数12kHz、1色当たりのノズル数128、同色ノズル密度90dpi(以下、dpiとは2.54cm当たりのドットの数を表す)のピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型インクジェットプリンタに、上記調製した各インクセットを装填して、各色ベタ画像の印字を行った。
(発色性の評価)
上記方法により印字した黒ベタ画像の反射濃度(DR、DG、DB)を、光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定した。
(インク吸収性の評価)
各記録用紙に印字した各色ベタ画像について、印字直後の印字部分を指でこすって画像の乱れを目視観察し、下記の基準に則りインク吸収性の評価を行った。なお、評価は、各色インクの平均値で表示した。
A:指で擦ってもほとんど画像の乱れがない
B:指で擦ると、やや画像がこすれて汚れが発生する
C:指で擦ると、画像がこすれてひどく汚れる
以上により得られた結果を、表4に示す。
Figure 2005153315
表4の結果より明らかな様に、本発明の記録材料8、12を用いて作製した画像プリントは、いずれのインクを使って印刷した場合にもブロンジング耐性、インク吸収性、発色性において、比較の記録材料2よりも優れた効果を示すが、その効果は、特に有機溶媒含有率が20質量%以上であるインクセットAを用いたときに顕著であることが分かる。
実施例6
実施例5に記載のインクセットAの調製において、マゼンタ濃色インクM1及びマゼンタ淡色インクM2のそれぞれの調製で用いた染料(C.I.Acid Red 249)を、本発明に係る前記一般式(I)で表されるマゼンタ染料(例示化合物M−2)に変更し、更にシアン濃色インクC1及びシアン淡色インクC2のそれぞれの調製で用いた染料(C.I.Direct Blue 199)を、本発明に係る前記一般式(II)で表されるシアン染料(例示化合物C−4)に変更した以外は同様にして、インクセットCを調製し、このインクセットCを用いて、実施例1で作製した記録用紙1〜13について、実施例5に記載の方法に従って、画像プリント及び各評価を行った結果、本発明の記録用紙(記録用紙8〜13)と、本発明に係る前記一般式(I)または一般式(II)で表される染料を含有したインクを含むインクセットCで作製した画像プリントは、比較の記録用紙を用いて作成した画像プリントに対し、ブロンジング耐性、インク吸収性、発色性において優れていることを確認することができた。

Claims (7)

  1. 支持体上に、無機微粒子とバインダーとを含有する多孔質インク受容層を2層以上有するインクジェット記録用紙において、該多孔質インク受容層の少なくとも1層が、分子量200以下である下記一般式(A)で表される化合物と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
    Figure 2005153315
    〔式中、R1は水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、ヘテロアリール基、複素環基、NR45、またはOR6を表す。R2〜R6は、それぞれR1と同義である。また、R1とR2、R1とR3とがお互いに結合して環を形成しても良い。Xは酸素原子またはNHを表す。〕
  2. 前記多孔質インク受容層の少なくとも1層が、架橋剤として硼素化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記多孔質インク受容層の少なくとも1層が、下記一般式〔1〕または〔2〕で表される4級アンモニウム基を有する水溶性のカチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
    Figure 2005153315
    〔式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Qは酸素原子または−NH−を表す。R2、R3及びR4は各々メチル基またはエチル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオンまたはアルキルカルボン酸アニオンを表す。nは2または3を表す。〕
    Figure 2005153315
    〔式中、R5、R6及びR7は各々メチル基またはエチル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオンまたはアルキルカルボン酸アニオンを表す。〕
  4. 前記多孔質インク受容層の少なくとも1層が、多価金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記一般式(A)で表される化合物が、尿素または尿素誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いた記録方法であって、有機溶媒含有比率20質量%以上のインクを用いて該インクジェット記録用紙上に印刷することを特徴とする記録方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いた記録方法であって、下記一般式(I)または一般式(II)で表される染料を含有したインクを用いて該インクジェット記録用紙上に印刷することを特徴とする記録方法。
    Figure 2005153315
    〔式中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。〕
    Figure 2005153315
    〔式中、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−CONR12または−CO21を表す。Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。a11〜a14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。〕
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CN105803855A (zh) * 2016-05-06 2016-07-27 浙江骏马数码科技有限公司 防水喷墨打印工程蓝图纸

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